良い靴の条件と正しいフィッティング 大河原 晃 近年、靴に関する足のトラブルが激増しています。いずれも間違った靴選びに起因することは自明の理で あります。しかし健康に多大の影響を与えることにもなるので見逃すことは出来ません。 日本に靴が導入されたのは約120年位前。一般に普及したのは第二次世界大戦後でありますから、僅かに 6,70年位前のことであります。それまでの履き物=草履・ゲタは、ハレの日の装いとして隅に追いやられ、 日常は完全に靴にとって代わられてしまった観があります。戦後の物不足の中から出発することになった日本 人の靴生活は、ゲタ民族の骨格を十分研究したうえでの靴づくりであったかどうかは疑問が残るところであり ます。一方で消費者も、ひたすら靴に足を合わせる求め方をしてきた為に、重大な弊害が起きてしまったと言 う経緯があります。 そして靴による足の障害は、社会的環境が極めて顕著に関係しています。一つは華美な服装の普遍化と靴の 機能を無視したファッション性。二つ目は機能を無視した利益先行の靴づくり。しかし、“足に心地良い、履 きやすい靴を”と言う消費者のニーズとシューフィッターも誕生し、靴への考え方も変化しつつあります。 そこで靴先進国欧米の「靴」哲学を学び、改めて健康の原点を司る足と靴の問題を2点ほど考えてみたいと 思います。 良い靴の条件 靴型 人間本来の足型に近く、拇趾部分がなるべく内側に向いているもの。 拇趾の動きをスムーズにして、歩きやすいと同時に外反母趾になりにくい。かかとの高いヒールなどでは、 先が細く体重がかかりやすいため外反母趾になりやすい。 パーツ 1ヒールカウンター(かかとを固定するもの) 堅く、かかとにピッタリ合わせて履く事が大事 かかとが柔らかいものだと足首や筋肉に余分な負担をかけ、足に疲労がたまる原因にもなる 2アッパー(表革) 一般的には天然皮革、布、プラスチック、ゴムが用いられる。 それぞれ長所短所あるが、柔軟性、耐久性、吸排湿性、美観など全体的に見れば天然皮革に優る素材は ない。 3ソール(底)~厚さと重さ 適度に重く軽すぎないものがよい。 有る程度の重量が有れば歩行時における足の振り子作用を助けるおもりの役目となる。重さが気になる ようであれば、大腿四頭筋(太もも)の筋力トレーニングを行うとよい。 4アーチサポート(土踏まずのふくらみ) 土踏まずの部分が硬くしっかりしていて沈まないものがよい。 柔らかくて簡単に曲がってしまうものは足に優しい感じもするが、かえって足や筋肉への負担が増えて しまう。それにより、扁平足や開張足の原因となる。また、扁平足などは外反母趾の原因にもなってき てしまう。 正しいフィッティング・7つの条件 1 かかとを靴に目一杯つける。 2 座ったままではなく必ず立って。 3 趾の先と靴の間が1~1.5cmは余裕が欲しい 4 座った状態のときの余裕と3~4mm異なるから注意 5 靴ひもの場合は、痛い一歩手前までしっかり結ぶ。 6 10歩、20歩と歩いてみる 7 つま先が靴に当たらないか、足の周りに圧迫感、痛みがないか。 以上が良い靴の条件と正しいフィティングです。足は人間の土台です。足が涙を流せば、何処かに変調を来た します。足を十分いたわって、楽しく快適な生活を送って頂ければと思います。
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