2016年02月号

ケン動物病院ニュースレター
2016 年 2 月号
そろそろ予防の時期になります
こんにちは。ワンちゃん、ネコちゃんの混合ワクチンの接種はお済みで
すか?ワクチンは終生免疫ではないため、年1回の接種が必要です。発
病すると非常に死亡率の高い感染症もあります。ワクチン接種によって、
病気にかからない強い身体をつくりましょう。
気を付けておきたい腎臓のこと
腎臓は、血液中の老廃物をろ過・除去して尿をつくり、体内の水分調節をするという働きを
しています。
しかし、血液中の老廃物が蓄積されたり、老化による機能の低下により、様々な病気を発症
します。
特に、気を付けないといけないことは、一度障害を受けた箇所は元には戻りません。
決定的な治療法がないため、早期発見による食事管理と治療により、腎臓の働きを助け、
病気の進行を遅らせる必要が出てきます。
代表的な腎臓の病気
・尿石症
尿石症とは、尿管、膀胱・尿道に石が存在する事により、
血尿や膀胱炎の原因となる病気です。
石が出来るのは遺伝的な体質による影響もございます
が、尿路感染や水・フードの成分による原因もあります。
特に、寒い時期の猫は注意が必要です。
猫は元々砂漠に住んでいた動物なので、尿を濃縮して排
泄するようにできています。
そのため、犬に比べてこの病気が多く、水をあまり飲ま
なくなる寒い時期は、特に濃縮されやすく石ができやす
い状況になります。
・慢性腎臓病(尿毒症)
慢性腎臓病とは、感染や炎症によりダメージを受けた腎
臓の機能が低下し、本来排出されるはずの老廃物が、血
液に再吸収されて、全身に回ってしまう病気です。
特に犬の場合は、慢性腎臓病になっても症状が現れにく
く、気が付いた時には深刻な状態という事もあります。
症状としては、嘔吐、下痢、のどの渇き、尿の回数が増
える、食欲不振、元気消失、そして呼吸状況の悪化など
がみられます。
状態が、悪化するとケイレン、昏睡に陥入ります。
一度、慢性腎臓病にかかってしまうと、治る事はありま
せんが、状態をコントロールする事は出来ます。
尿について、少し気にしましょう
生活環境など様々な事が理由で変わる事もありますが尿は、
腎臓の状態を表しています。色や臭い、量、回数など
毎日記録する必要はありませんが、時々気にするようにしましょう。
定期的に尿検査を受けましょう!
どんな病気に対してもいえますが、腎臓病についても
早期発見・治療が大事になります。
尿検査では、尿の色や臭いだけでなく、尿糖、尿比重な
ど腎臓の状態が色々わかるものです。
定期的に尿検査を受ける事で、病気を悪化する前に見つ
けられます。
一度、ダメージを受けた箇所が治らない腎臓だからこそ、
尿検査が大事なものになります。
※猫の飼主様へ
尿検査を受ける際、尿を採る事が難しいという声をよく
聞きます。尿は、病院で採る事も出来ますので、ご相談
下さい。
「肝腎」という言葉があるように、「肝」臓と「腎」臓は、
体の中で大事な働きをする臓器です。
犬や猫が自分で管理できない分、しっかり管理して
守ってあげましょう。
学べるワンニャン語クイズ
問題:ワンちゃんが、しっぽを股に挟むときがあります。それは、どうしてでしょうか?
(答えは下です。
)
①.怖いよぉ~
②. 挟むと気持ち良い!
③.イライラするなぁ~
プチ情報
殺処分ゼロを目指して
ドックトレーナーの北村嘉啓さんを中心に、本来殺処分され
てしまうはずの保護犬をトレーニングして、里親の元へ送り
出すプロジェクトが動き出しています。
最初は問題を抱えていたワンちゃんでも、愛情を持って接し
ていけば、小さな子供でも安心して近づけるまでになるそう
です。
現在、幸運にも協力者から 1200 坪の土地を提供してもら
い、不幸なワンちゃんたちのための、自由に遊べるドッグラ
ン、犬の問題行動の改善トレーニング場、保護犬一時預かり
施設などを揃えた「夢の楽園」を完成させるべく、大々的な
工事を開始したそうです。
「行き場をなくした保護犬を素晴らしい里親様のもとへ送り
出して、幸せな『犬生』を過ごしてほしい!」という北山さ
んの願いが叶うと良いですね。
千代田区の取り組み、5年間ネコの殺処分ゼロ!
東京都のど真ん中に位置する千代田区は、かつて野良ネコによる苦情
が数多く寄せられていたそうです。
これに対して、千代田区は 2000 年より「飼い主のいない猫の去勢・
不妊手術費助成事業」を導入しました。行政と地域ボランティアが連
携を取りながら、野良ネコたちを一時的に保護して、去勢・不妊手術
をした後で、地域に戻して世話をすることにより、千代田区は殺処分
ゼロを実現できたようです。
今後も地域ネコとして受け入れ、世話してくれる、優しいネコ好きた
ちの心のサポートが続いてほしいと願います。
答え ①怖いよぉ~。人でも負けると、
「尻尾を巻いて逃げる」と言いますが、怯えた時に
ワンちゃんも尻尾を股に挟んで、自分の弱点でもある肛門腺の臭いを他のワンちゃんなどに
嗅がれないようにします。そのため、恐怖などを感じると無意識に尻尾を股の間に挟みます。
本の広場
猫とさいごの日まで幸せに暮らす本
(大泉書店)
人の世界で高齢化が進むように、猫ちゃんも獣医
療が発達し、寿命が飛躍的に伸びてきました。
そういう現代だからこそ、猫ちゃんの老いや死に
ついて、直面しないといけない状況になってきま
した。
本著は、小さな家族である猫ちゃんが老いた時に、
どのようにして幸せや健康を維持するか、そして、
どのように猫ちゃんの最期を迎えるかなど書かれ
ております。
長い時間一緒に過ごしてきた猫ちゃんとの最期
は、とても辛いもので、出来れば「考えたくない」、
「見たくない」という気持ちが出てくるのは当然
だと思います。
しかし、著者である加藤由子さんは、
「生をまっと
うして死んでいくことは悲しむべきことでは決し
てなく、むしろ美しいことだと信じています」と
いう言葉を述べております。
虐待など理不尽な死や悔やまれる死ではないから
こそ、美しいことなんだと思います。
猫ちゃんは、人と比べて年をとるのが早い生き物
です。
本書を読むことで、大事な家族と最期まで素敵な
時間や生活を過ごしてみてはいかがでしょうか?