6 月の相談 NGO・NGO活動について 質問: NGO は市民運動と考えてよいのか?市民運動との関係は? 回答: NGO の活動は本来、市民運動であることが望ましい。すわなち、開発途上国の現状と、そこでの支援 活動についてニュースレターや講演などで市民に広くアピールして、何らかの行動(その一部とし て寄付)を促すことが求められる。しかし現実にはなかなか支援者(会員)や寄付が集まらず、そ の結果、財政的にも苦しいのが現状である。 質問: 子ども達が奨学金などの教育支援を受けて、その結果、目に見える効果がでているのか? 回答: 奨学金を受けた学生の中には、医者になったり看護婦になったりする子がいる。奨学金を受けて、 かりに希望する仕事に就けなくても、基礎教育を受けてから社会に出るのと、基礎教育も受けずに 社会に出るのとでは、大きな違いがある。また親の教育レベルも少しずつ上がっている。社会全体 の教育レベル(効果)は階段を一段ずつ上がるようにゆっくりと表れてくるのではないか。 質問: NGO の職員はどこから給料をもらっているのか?しっかり生活ができるのか? 回答: 有給と無給、常勤と非常勤の区別がある。有給の場合は、会員からの会費、企業や団体からの賛助 会費、委託事業の管理費などから捻出するのが一般的。また NPO 法人では、本来の非営利事業に支 障がない範囲でその他の事業(収益事業)も認められており、その収益をあてる団体もある。当方 では、奨学金を送金していただく際に 1 割程度の管理費をお願いしているが、大変難しくどの団体 も管理費・人件費の確保に苦労している。 外国事情 質問: ラオスの貧困や教育のレベルの低さは社会主義と関係があるのか? 回答: 19 世紀末から 20 世紀半ばを過ぎるまで植民地支配や内戦が続き、国が独立したのが 1975 年。独立 した時点で圧倒的な人材不足と物不足で、それが現在まで続いている。独立してから現在までラオ スは社会主義国だが、中国の教育水準や経済発展ぶりを見ると、貧困の原因を社会主義だけに求め るのは早急な議論ではないか。ただ、ラオスは人口が少ないため国内市場が貧弱で、それが経済的 にはマイナスだろうと考えられる。 質問: タイでボランティアをしたいと思っているが、テレビなどでタイでもイスラム過激派による爆破(未 遂)事件や殺傷事件が起きている。タイでボランティアをするのは危険ではないか? 回答: タイ南部の、マレーシアとの国境沿いのいくつかの県では治安があまりよくないようだが、バンコ クとその周辺(中央部)や東北部、北部などでボランティアをするのなら、今のところ治安は心配 ない。しかし、上記の国境周辺でのボランティアを希望するのなら(他の所でも基本的には同じだ が)信頼できる地元の団体を探して、その団体を通じてボランティアをする(探す)べきである。 質問: ラオスの教育の現状について知りたい。 回答: 当方がラオスで奨学金事業を進めるにあたり収集した情報や文献などを紹介した。 募金・寄付 質問: 自宅でビーズ教室を開いており、 生徒に NGO 支援の寄付を募りたい。どのように話したらよいのか? 回答: 寄付先の NGO の活動内容、対象国の事情、寄付の使い道、財政状況などをしっかり理解すること。 できたら、パンフレットやニュースレターを取り寄せ、事務所に行って話を直接聞くとよいのでは ないか。1つだけではなく複数の NGO を調べると、比較することで NGO を見る目ができると思う。 それはご自身が支援先の NGO を見つける際にも当てはまることだ。できたらパンレットを取り寄せ たり、直接話を聞きに事務所に出かけてみると良い。しかも、1つだけではなく、複数の NGO を調 べると、NGO を見る目をできてくると思う。こうした調査は、自分が NGO を選ぶ際にも大切なことだ と思う。 質問: NGO を通して奨学金支援をしたいが、男子と女子どちらにするのが有効だろうか? 回答: 性別を指定できない場合もあるので、その NGO が性別を指定できるかを確認して欲しい。どちらが 有効かを判断するのは大変難しいので最終的にはご自分で判断していただきたい。但し、対象地域 の現状を見て、特に一方の性の進学率が低い場合は、その地域に何か理由があるのかもしれないの で、そちらを支援することは有効ではないかと思う。 スタディーツアー・海外でのボランティア相談 質問: 看護婦をしているが、将来、発展途上国の人々を支援する仕事をしたい 回答: 海外に出て働くことは大いに結構だが、その一方、日本人看護士が海外で働く際に得る給料で、現 地の看護士を数人雇うことができる。もし言葉が出来なければ通訳が必要で、通訳の人件費を含め ると、国によっては地元で 10 名以上の看護士を雇える(現地の雇用の促進) 。一般に緊急支援の場 合を除き、日本人の技術者が支援に出かけた方が良いケースとそうではないケースをよく考えてか ら、支援援活動を始めたほうがよい。 総合学習・学校関係 質問: 学校祭で国際協力コーナーを設置したいので協力して欲しい。 回答: 当方の展示用パネルやビデオ、パンフレットなどを貸し出すことになった。 緊急救援・物資輸送 質問: 使わなくなったそろばんを生かす方法があるという報道をテレビで見た。紹介されていた町に聞い てみたが状況がよくわからない。寄付先を紹介して欲しい。 回答: 当方では現在ラオスにそろばんを贈り、学校教育に取り入れることにより、子どもたちの生活に役 立つ計算能力を高める「そろばん普及事業」を実施している。しかし、そのためにはそろばんを送 るだけではなく、指導者の養成が不可欠であるので、包括的に支援していく必要があることを説明。 後日当方を訪問されることになった。 組織運営・マネージメント 質問: 事情によりしばらく NPO 法人の活動を休眠させたいがどうすれば良いか。 回答: 内部的な手続きは定款に則して進めていただきたい。所轄庁に休眠を報告する義務はないが、年度 ごとの事業報告・会計報告などは実績なしでも提出しなければならない。あまりに長期に渡る休眠 状態は好ましくないので、根本的な打開策を理事や社員で話し合ってみてはどうか。 国内ボランティア相談 質問: 会社勤めをしながら NGO でボランティア活動ができるか? 回答: たとえば、自宅でできる作業もあるし、週末に活動やイベントを実施する NGO もあるので、興味の ある NGO に直接連絡を取って調整して欲しい。その NGO の活動や支援国の状況などがよりよく把握 できるし、ボランティア同士で親睦を温めるのも仕事以外の世界が広がって楽しいのではないか。 質問: 貧困地域の支援をしたいが、資金的な支援と活動的な支援はどちらが良い? 回答: 資金的な支援は、お金がしっかり現地に届き有効に使われているかどうかがポイントになる。活動 的な支援は、支援先に必要なことは何か、その中で自分は何ができるかをしっかり話し合って行動 しなければ効率が悪いことがある。いずれにしろ個人では不明なことも多いと思うので、支援をし たい国で活動している NGO に連絡をして提携することを勧めたい。
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