01 第三期子育て支援研究プロジェクト 研究テーマ 親子の育ちを支える子育て支援 はじめに 第一期 第二期 第三期 02 平成16年からNPO等の団体の参画の 下,子育ての当事者に伝えたいこと 共同機構として 「保育園(所)・幼稚園だからこそできる 子育て支援」 「親子の育ちを支える子育て支援」 研究目的 03 「親子の育ちを支える子育て支援」 ~何故子育て支援をしなければならないか~ 本音で語ることからスタート 研究方法 04 1 子育て支援施設・関係機関の見学,視察 2 保育園(所)・幼稚園における子育て支援 の共通性と違いについて 3 こどもみらい館共同機構研修の受講 4 エピソード記述から検討会へ 05 1.子育て支援施設・関係機関の見学,視察 関係機関を知る こどもみらい館 聚楽保育所 「ほっこり子育てひろば」 「子育ての井戸端会議」 「園庭開放」 「おしゃべりサロン」 ◆悩んでいるのは自分だけ じゃないんだ 第二児童福祉センター ◆虐待を受けた親を支え受け止める ◆みんな同じなんだ ◆子どもはけんかするものなんだ つどいの広場 住吉児童館 「桜木ふれあいの家」 「どんぐり広場」 ◆アドバイスをするのではなく, 受け止めること,待つこと ◆0歳~18歳までの子どもが安心して利用できる ◆保護者のつどう場の提供 保健師さんとの意見交換会 ◆困難ケースの事例 「支援する人を孤独にしない」 06 視察や見学を通して・・・ ◆保護者同士をつなぐ ◆保護者自身が気づくように導く ◆温かく「いつでもどうぞ」と迎える ◆話しやすい雰囲気をもつ ◆丁寧に寄り添い,お互いの人柄を知って 関係を築く ことを学びました。 07 2.保育園(所)・幼稚園の共通性と違い 現状を伝え合う ①未就園児の保護者への支援 保育園(所)では・・・園庭開放・一時保育 ・同年齢や少し大きい子どもと共に遊べる ・受け入れ体制が十分でない 幼稚園では・・・・・・ 園庭開放・未就園児の教室 ・教育や保育を求めてくる,リフレッシュできる・在園児とのスピード感の違い ②在園児の保護者への支援 保育園(所)では・・・*子どもを園に任せきりになり,子どもに向き合えない 幼稚園では・・・・・・・*子どもに気持ちが向かいすぎる, 保護者同士の関係が子どもの関係につながる 抱える共通性 心の豊かさより「目に見えるものに重きを置く」 保育園(所)・・・一緒に子育てができるように,送迎時やクラスだよりで丁寧に伝える 幼稚園・・・・・・・子どもが低年齢のうちに個々の保護者の気持ちを受け止める 受け入れの環境は違うが,園所ならではできることは・・・ ◆親子の気持ちを受け止める ◆子育てに気持ちが向かえるようにする ◆地域の親子が安心して過ごせる場作り 08 3.こどもみらい館共同機構研修の受講 共同機構研修 「保育園(所)・幼稚園に求められる地域の子育て家庭への支援」 「保育園(所)・幼稚園における子育て支援と関係機関との連携」 「主体としての心を育てる保育~今,大切にしたい保育の質~」 話し合いでは・・・ ◆支援者としての意識のあり方 ◆関係機関・地域との連携 ◆同じ方向を見ながら隣で支援する ◆親子が生き生きと,自己肯定感に支えられながら生活できるよう な基盤づくり 中間報告会 鯨岡先生からは・・・ ◆自分の存在を認められたとき自己肯定感が立ちあがる ◆懐深くお母さん方の存在を本気で肯定していけるか, 支援者として問われる 大倉先生からは・・・ ◆保護者が評価的な眼差しにさらされたと感じないような配慮 ◆保護者を一人の人間としてより深く理解するための枠組み作 りと,そのために必要な関係性構築のための方法論の蓄積 が子育て支援をする上での第一歩 というアドバイスをいただきました。 09 研究の再考 中間報告会でのアドバイスを基に・・・ 親子の「心」に目を向けた子育て支援の研究を更に 深めるため ~今の保護者の抱えるしんどさ~ エピソード記述検討 ほっこり子育てひろばのアンケート 「主体としての心を育てる保育」の研修受講 「保護者対応事例」・「保護者との関係構築 」 研究を進める。 10 4.エピソード記述から検討会へ 1年目は 「親育ち」「子育ち」をテーマに同じ親子を追って2回の エピソードを記述 中間報告会の後には 「心に目を向けた支援」をテーマにエピソードを記述 エピソードの紹介 『みんなそう言ってくれはるんですけど・・・』 11 エピソード検討会 ◆子どもとの「接面」を作っていくことの大事さ ・子どもや親の心の揺れを感じる・何故その気持ちに傾いたか ・その気持ちの動きを感じたか・そのプロセスを大事にする まずは受け止めること ◆発達面で気になる子どもへの対応 ・支援者のもつ温かい雰囲気,関係性,ほっこりとした空間 ・受け止めてもらってことで心が育ち,その子の世界観を広げる その子の世界観を保護者と共有 ◆虐待を受けている子どもの行動に対して ・その子の気持ちを引き出していくようなかかわりをする ・母親の気持ちに近づくことで母親の理解につながる 「懐深い受け止め」「かかわりの大切さ」 12 研究内容 1 13 「今の保護者の抱えるしんどさ」とは・・・ 人間関係の希薄化,コミュ二ケーション力の低下,核家族化 高齢出産で祖父母の介護が必要,周囲に頼れる人がいない 精神的・身体的健康を崩している 子どもの障害や他児とのかかわりに悩みを持っている 昼間,子どもと一対一で過ごしている 子育ての悩みを相談できず,ネットや専門書で自分なりに 解決するしかない 14 しかし・・・ つながりが少ない 孤独感 我が子が大切 でもどうすれば いいのかわか らない 相談したが・・・ 子育てに向き合 えない自分は ダメなんだ 不安 自分で自分を 受け入れられ ない辛さ • 悩みを抱える保護者の不安に対して 15 ◆保護者のしんどさをイメージし,子育ての悩みを受け止め 共感する。 ◆保護者が「今,何を求めているか」「どのような状態でいる のか」正確に見極める 一般的な保護者の悩みについて 子どもを共に育む『親支援』プログラム ほっこり子育てひろばのアンケートから考える 保護者の悩み・不安 ・一人で抱え込まず,人に話す ・人の子育ての悩みを聞く 「自分だけではないんだ」 安心感・悩みの軽減 保護者自身が気づく 16 研究内容 2 対応事例による現状と対応のあり方 各園所での事例 子どもが集団生活に 馴染めない 発達の状況を考え 「子どもにとって」 「親の気持ち」 子ども同士のトラブル や怪我が心配 保護者同士の トラブル 家庭訪問では 親の気持ちを受け 止め,寄り添う 苦情を宝として捉えるが,訴えに対しては・・・ 17 ◆話を聞き,整理して返す ◆文字に書いて整理し,情報の提供をする その他 送迎時に“泣いていた”“けんかしていた”姿を見て,保護 者間で情報が先回りし,トラブルや不安にならないように ◆子どもの状況を確認する ◆職員間で連携する ◆お迎えの際にそのときの状況を伝える 保護者の関係修復はなるべく早い段階でできるよう個々 の対応を丁寧にしていく。 研究内容 3 保護者との関係構築のための工夫 保護者からの相談に対して ◆「いつでも話をききますよ」という姿勢 ◆話してもらえたことに感謝する ◆全職員で共通認識する ◆場所や時間,タイミングについて配慮する ◆怪我などが起こった後の対応をしっかり行い “任せて大丈夫”という安心できる関係を築いていく その親子のこれからの人生も含めて考え,自己満足にならな い支援をする。 18 19 園庭開放を利用する保護者には ◆登録・面談など基本的な枠組みつくり ◆それぞれの様子を観察する ◆声をかけるタイミングや保護者同士がつながるような雰 囲気つくり ◆子育て支援の場を紹介する際,保護者が自分で選べ るよう後押しをし,安心につなげる ◆園所全体で支援していることを伝える 20 地域の子育て支援者としては ◆家庭訪問後の報告,相談,記録(支援目標・支援内容) ◆親子の声を聞き,それを振り返り,次の訪問に活かす ◆保護者の状態を把握し,細やかな配慮と柔軟な対応を心 がける 研究メンバーの心の変容 保育園(所)・幼稚園が子育て支援をする本当 の意味とは・・・ 当初の 本音? 研究を進めることで 本音! 21 22 ◆子育て支援とは、大勢の人を集めたイベント形式のようなもの。 ◆自園(自所)の子育て支援の内容を伝えるためにあるもの。 ◆園長や教頭,主任がするものだと思っていた。 ◆担任として支援者としての自覚がなかった。 そして 保護者の悩みには・・・ ◆子どもが変わることで保護者の気持ちも変わる。 ◆「できる」ことに力を注ぐことが,保護者の悩みの解決につなが るのではないか。 本音を振り返ることになった。 という 研究メンバーの気づき 23 ◆自分の考えていた子育て支援はとても狭義なものだった。 ◆保護者に対して思いやりや励ましの言葉が足りなかった。 ◆エピソード記述の研修で,その瞬間の親子の心の動きを深く捉え ることはとても新鮮だった。 ◆エピソードを記述することで,そのときの親子の思いはどうだった のかということを意識してかかわる大切さがわかった。 ◆エピソード記述や人のエピソードを読むことで,相手を大切に思う ということが自分には欠けていた。 24 ◆今まで園長が行ってきた保護者対応の姿勢の中にある “子育て支援”に対する思いに気づくことができた。 ◆様々なネットワークがあることを知り,他機関と積極的に 連携していくことが必要であると強く感じた。 ◆保護者の頑張りに共感し,受け止めることも大事だと感じた。 ◆人の役に立つ喜びから「自己肯定感」がもてるようになる支 援の大切さを学んだ。 ◆家庭訪問事業では,保護者に「甘える」ことから生まれる支 援もあるというアドバイスで,肩の力を 抜いて訪問できるようになった。 研究を終えて ◆一人ひとりに無心に寄り添うことが,保護者を変えるのでは なく 自ら変っていくことを支えていくような優しいかかわりにな るということが,実際の親子とのかかわりで意識するように なった。 ◆保護者の悩みをしっかり受け止めてかかわろうとするように なり,今までより保護者との距離が近づいてきたように感じ, 研究会で学んだことは「こういうことだったんだ」と,実際の親 子とのかかわりで改めて気づいた。 ◆自分なりにエピソードを記述し,全職員で考える場を作り, 「心の育ち」の大切さを伝えていきたい。 ◆保護者と共に考えることが子どもの育ちにつながっている。 25 26 ◆迷うことを恐れず,相手の気持ちを安易に理解した気になる のではなく,気持ちに寄り添って想像してかかわることを実践 していきたい。 ◆自分の保育について振り返り方を教えてもらった。様々な 支援の形や方法があることを知ったことは大きな力になった。 できる限りの支援の方法を常に忘れないようにしていきたい。 ◆プロジェクトでの学びを日々の実践に活かすことができ,これ からもこの気づきを親子に丁寧に返していけるようにしていき たい。 研究の成果と課題 27 <成果> 「子育て支援」をする者として・・・ 未就園児と在園児の保護者に対して ◆保護者の抱える状況を正しく捉え,すぐには表出しない保護者の 心の 叫びに親身に耳を傾け,思いを汲み取り,丁寧な対応をする。 ◆保護者や地域,職員が心を合わせ,同じ方向を向いて子どもの 育ちを支える。 ◆人の役に立てる機会をもつ等,自己肯定感がもてるような支援 ◆どの子にとっても居心地のよい場所であること。 ◆子どもの姿に不安を感じる保護者の気持ちを受け止める。 28 ◆支援者が答えを出すのではなく,保護者自身が気付けるよう に導くことが大切。 ◆エピソード記述や検討で「心の接面」をどう作っていくかを 意識する。 「できる」「できない」という「させる」保育が子どもや保護者に どのような心の傷を与えているか考える。 『懐の深い支援』 をすることの意味について実感できた。 <課題> 29 保育園(所)・幼稚園における子育て支援 として・・・ ◆保育園(所)・幼稚園における環境の中での,環境作り,場 作り,地域への支援のあり方を考え実践すること ◆「親子の育ちを支える子育て支援」が根付くために,保護 者とのつながりや地域の関係機関とのつながり,ネット ワークの構築 30 研究プロジェクトとして・・・ ◆現場での保育を抱えながら,視察や研修の受講,毎月の 研究会に参加することが難しく,十分な協議が図れない部分 もある。 ◆「心を育てる」ことの意味を各園所でどのように伝え,職員の 共通認識が図れるか。 ◆メンバーが変わることで研究の積み上げが難しい。 ご清聴ありがとうございました。
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