市政クラブ21 平成20年度 会派視察報告書 日 程: 5月13日(火)新千歳空港(JAL502 9:00 発)→羽田空港(10:30 着) →神奈川県厚木市視察(市役所 14:00~17:00) →アートホテルズ大森 宿泊 5月14日(水)アートホテルズ大森(8:00 発)→(東京・我孫子間 1 時間 30 分) →千葉県我孫子市視察(市役所 9:30~12:00) →(我孫子・水戸間 2 時間)→茨城県水戸市視察(市役所 15:00~17:00) →ホリデイイン水戸 宿泊 5月15日(木)ホリデイイン水戸(8:00 発)→(水戸・いわき間2時間 00 分) →福島県いわき市視察(市役所 10:00~11:00/13:00~15:00) →(いわき・福島間 2 時間 30 分)→福島市 吉川屋宿泊 5月16日(金)吉川屋(8:30 発)→福島県福島市視察(「こむこむ」9:30~11:00) →(福島・仙台間 2 時間 30 分)→仙台空港(JAL2911 →新千歳空港(15:45 着) 14:35 発) 1.厚木市(報告者:上村)(事務局担当 大野様:046-225-2700) 厚木市役所/〒243-8511 神奈川県厚木市中町 3-17-17 ㈱ヴェルテ/代表取締役社長 〒243-0021 田野島永明 ℡:046-223-1511(代表) 様 神奈川県厚木市岡田 3-9-14 ℡:046-229-3000 視察項目: ①産業政策「新産業創出推進協議会(立体農場)」について ・ 施設概要と運営について ・ 現状と現段階での問題・課題について ・ 今後の展開について ・ 現地視察(㈱ヴェルテ/武蔵工業大学・丸紅㈱) ・ その他 内 容: <厚木市産業政策支援制度> 中小企業者の経営の安定や振興育成を図る為に融資制度を設けている。金融機関に一定 の資金を預託することにより、低利固定金利で融資が受けられる。受付や審査は金融機関 が行います。 また、融資制度を利用すると『利子補給制度』や『信用保証補助制度』が受けられる。 ①厚木市中小企業者補助制度 ●ISO認証取得促進事業補助金で9000、14000シリーズが対象で、9000 シリーズで経費の3/1以内で50万円以内の補助・14000シリーズは経費の2 /1以内で100万円以内の補助である。 ●中小企業研究開発補助金で新開発や新技術を促進するために研究経費の2/1以内で 50万円以内の補助である。 ●見本市出展補助金で見本市出展の要する経費で国・地方公共団体が主催し、50以上 の団体が出展規模で1事業所が年1回の補助をする。 ●中小企業技術養成事業補助金で神奈川県雇用産業人材課が実施する研修に技術者を派 遣する費用の2/1以内で補助をする。 ②厚木市企業立地条例 固定資産税の負担軽減と雇用奨励金により、新たな企業の進出や既存の企業の事業拡大 を支援する。 ①雇用奨励金の交付により、新しく市民を一年以上雇用した場合に従業員一人当たり3 0万円の交付をする。 ※対象の事業と従業員数また資本金 製 造 業 15人以上 3億円 情報通信業 5人以上 1億円 卸売小売業 5人以上 5千万円 自然科学業 15人以上 3億円 ※交付限度対象の人数と交付額 70人×30万円=2,100万円 ※適用期間(H17年1月1日からH21年12月31日)5年間 ③厚木市中小企業活性化事業 市内企業に経営の安定や新技術の向上を図る為に、中小企業診断士特許流通アドバイザ ーなどの専門家が企業に巡回訪問する。また、産学共同研究の促進を図り年間100万円 の補助金を補助をする。 ④厚木市企業情報データベース活用 市内の企業のPRを図る目的で、企業概要・事業内容などの情報を厚木市HP上で検索 できるデータベースシステムを運用しており、登録料は無料である。 ⑤厚木市起業・創業・団塊世代の支援事業 起業のノウハウや事業計画の作成や支援を目的に税理士や中小企業診断士を派遣して、 ビジネスプランのサポートを目的にする。また、団塊世代の起業を目的とする人達に起業 に要した、経費や活動費の費用の一部を補助金を交付する。交付決定には審査選考会があ ります。 ※厚木市の中小企業への支援対策について 中小企業融資制度については、融資枠も大きく金利も低い様である。特徴的には『厚 木市中小企業補助制度』でISO・研究開発費・見本市出展・技術者養成など、登別 市も見習う事が多くある。また、『雇用奨励金』や『産学共同開発』など今企業が求め ている課題や問題点などニーズにあった、中小企業の支援対策について的確にとらえ ている。 <㈱ヴェルデの立体農場(有機無農薬栽培)事業現地視察> ①時代背景について 世界人口の二大保有国の中国やインドが近代化の道を邁進したことで、両国の環境破 壊が加速されることが考えられ、さらに生活水準の向上に伴うエネルギーや食料消費の 増加が世界経済に大きなシンパクトをもたらします。すでに、人口が13億人を超える 中国やインドなどが、食料輸入大国の仲間入りをするのが確実視されております。 一方で、地球温暖化の原因で農耕地の砂漠化や異常気象の要因で農業に大きな被害が もたらし始めています。また、世界的に食料自給自足の到来の始まりで日本は、食料自 給率が28%で70%以上を海外の国々に依存をしているのが現実であります。 ②栽培農地の立体化について 今日、水耕栽培や施設栽培で農業の工業化が進んでおり、どれもが面での栽培で 設備投資も膨大にかかります。そこで、農地を立体化し植物の光栽培技術を組み合わせ る事で、面積の5倍から数倍の農地面積の創出が可能になり、米や麦なら年に5回、レ タスやサラダ菜であれば数十回のハイサイクル水耕栽培農業が可能になります。 ③無店舗、空店舗の対策について ㈱ヴェルデは、軽い天然培土を製造しているので、農地の立体化が可能です。米など は、年に5階は面での収穫ですから2階建ての建造物であれば、単純に10回の収穫が 可能になり、現在各地区においても無店舗、空店舗、空き教室、空工場、空倉庫など有 休施設や廃校舎が多く見られます。 この有休施設などを活用して、水耕栽培や施設栽培に比べ数倍の投資効果が得られる。 これらの施設を将来的にフランチャイズ化やネットワーク化する事で、従来の農作物よ り相当コストダウンが計れるメリットがあります。また、雇用の面や人材育成の為にも 社会的な貢献度も大きいと思われる。 【これらの計画の必要性】 ①不測時の食料安全保障マニュアルの存在 世界的な異常気象などを懸念して、世界凶作を想定した危機管理マニュアルが農林水産 省から用意されている。 ②鉱物エネルギーから植物エネルギーへの転換 地球温暖化の現象が深刻な状況にあり、更に鉱物資源の有限性が確実であり、世界は植 物エネルギーに大きく傾き始め、その行つく先は自給自足経済の到来を意味しています。 ③食の安全性の重要性 農薬問題で海外からの輸入依存に問題が出ており、作物の残留硝酸窒素の濃度が問題視 され毒性が非常に大きい。 ④激変する気象環境 日本を含めて、多発する異常気象のために世界の農作物の収穫が非常に不安定になって 来ている。 ⑤減少する農耕地と農業従事者 日本では毎年5万ヘクタールの農地が減少しており、農業従事者も減少しており年々自 給率が悪化している。 ⑥激化する世界の食料争奪戦 中国が食料輸入国に転じ、国際的に中国と日本が食料輸入先において競合した場合合、 国家買い付けにより日本は中国にほとんど負ける事になる。 ⑦今後の課題について ◎地球環境を考える上で、将来はソーラや風力などの燃料が必要である。 ◎風力・太陽などの電機メーカーとの提携。 ◎大手メーカーやフランチャイズの展開方法が必要である < 感 想 > ㈱ヴェルデは厚木市中小企業活性化事業(産学共同研究補助金)を活用して、厚木市や 東海大学などの協力のもと、現地法人を立ち上げて立体農場(有機無農薬栽培農法)を管 理運営している。企業方針は時代の流れや、国の方針に沿ってはいるが、登別の観光との リンクとしては、まだ実用性に向けては色々な課題が山積していると思われる。 2.我孫子市(報告者:辻)(事務局担当 松本様:04-7185-1655) 我孫子市役所/〒270-1192 千葉県我孫子市我孫子 1858 番地 ℡:04-7185-1111 視察項目: ①予算編成手法について (予算編成をめぐる、市民・議会との関係について(公開・公聴性など)) (予算審査特別委員会の運営手法について) (近年における予算に係る議会改革について) ②市民からの意見募集制度(パブリックコメント)について ③助金の公募と市民審査について ④提案型公共サービス民営化制度について ・ 上記施策の概要、効果と課題点、将来的な修正策について ・ 事例について ・ その他 内 容: <我孫子市概要> 昭和45年7月1日市政執行。人口約 135,583 人、 世帯数約 54,086 世帯、 市域面積約 43.1k ㎡。 平成20年度一般会計当初予算は313億 1 千万円。市議会議員定数は28名。 <提案型公共サービス民営化制度> 同市では、民・官が対等の立場で公共サービスを担う「新しい公共」づくりを目指し ており、同制度は官からの一方的な委託ではなく、民の提案に基づく委託を目的とした ものである。 同市が公共サービスを民営化する基盤としては大きく2点が影響している。 1 点目は、同市は市民活動が活発であり、NPO 法人は30団体、市民活動団体は3 50登録されている。代表的なエピソードとして、生活排水の影響で水質汚濁全国ワー スト1を27年間続けてきた同市の川が、地元主婦を中心とした市民活動により、現在 は水質改善されたことが紹介される。 2 点目は同市の歳入の 6 割が市税。法人税 6 億円、個人 300 億円となっており、団塊 世代が多い現状からも、高齢化がすすむこと、市職員の削減がすすむことを背景に、市 事業の圧縮が求められていた。 このような背景のもとで、平成17年市政執行方針で市長が同制度実施を表明。行政 評価表を基に、市事業を例外なくリスト化した後に、平成 18 年 3 月市 HP で同制度を 公表し、全国で始めて開始された。 募集にあたっては、法律や常識的に行政が担うべき事業も含めて、例外なく 1131 事 業を公表。内容は、事業名・事業内容の他、人件費(一人当たり 940 万円/年)を含 めた事業費を公表。具体的に民間からの提案・要求があれば細かな事業データも提供さ れている。 提案団体は個人を除く、市内外すべての団体が対象で、主体的実施を前提とした提案 を求めている。又、コスト減だけを目的とするのではなく、将来含め「サービス」が向 上するか否かを基準とする。複数を統合した事業提案も認めている。 行政の業務内容が理解しづらいとの意見を踏まえ、提案にあたっては、まずはラフな 提案を担当者に提出していただき、担当者と提案者で具体的に協議した後に正式な提案 手続きをとっている。 提案審査は、市職員による予備審査の後、専門家による分科会形式で審査。審査委員 は大学教員などで、報酬は1会議7千円。 1次・2次募集併せて66件の提案実績があり、内37件(H19・7件/H20・10 件)を採用。委託にあたっては競争入札を及び、1件の随意契約を行なっている。 成果としては、コストの削減、サービス内容の向上に加え、事業と団体の新たな結びつ きを創出している。 一方、採用から実施までのプロセスが課題となっている。提案者がそのまま事業を実 施できたのは 37 件中 3 件に留まっており、募集数減少の原因のひとつには提案者への 優位性が無いことも考えられている。今後は更に提案しやすい仕組みづくりに向けて、 新市長のもと、見直しがすすめられている。 Q.コスト削減効果はどの程度あったのか A.削減額の目標値は出していない。当初は完全民営化を目指していたか、殆どが委託の みとなっている。 Q.契約が単年度だと、初期投資費などを考えると民間から提案しづらいのではないか? A.確かに、5~10年サイクルだとコスト削減できるとの提案も多く、課題の一つとな っている。 Q.市外事業者の参入が多いことに対する議論は? A.「地域の活性化」を総合的に判断することで理解を求めた。 Q.条例・市長・議会との関係は? A.条例整備の必要は無かった。市長が係わるのは、委託に伴う予算編成時のみ。議会も、 予算・決算審査時に委託事業について議論されている。 <その他・予算編成過程とその公開、及びパブリックコメントについて> 予算編成過程とその公開、及びパブリックコメントに関して、時間の都合上、資料の み戴く。 同市では、予算編成の際、各部署から要求が出される次年度の新規事業が、どのよう な過程で採択されていくかを明らかにしている。又、事業採択に際し、広範に市民の意 見を聴くため、 「パブリックコメント手続き実施要綱」を定め、実施している。 実際、同市の HP を確認すると、 「予算編成状況」「市民からの意見と市の考え」 (パ ブリックコメント)の内容及び結果について、随時掲載されている。又、議員に対する 予算説明についても、議会全体に加え会派ごとの説明を市職員が行なっており、市職員 と議会との議論の幅の広さが伺える。また、予算審査の議論内容によっては、否決や市 長からの一部訂正が行なわれることも少なくなく、互いに2元代表制の意識付けが成さ れていることが伺える。 3. 水戸市(報告者:沼田)(事務局担当 桜井様:029-224-1111㈹) 水戸市役所/〒310-8610 茨城県水戸市中央 1-4-1 ℡:029-224-1111 視察項目: ①子育て支援・多世代交流センター(わんぱーく・みと)について (ア) 施設・事業概要 (イ) 施設建設・事業開始までの経緯 (ウ) 投資費・運営費・収支状況 (エ) 利用者数推移(事業毎・年齢毎など) (オ) 施設運営のスタッフ体制(職種など) (カ) 効果及び課題点、今後の展開について (キ) 現地視察 (ク) その他 内 容: <子育て支援・多世代交流センター(わんぱーく・みと)> この施設は水戸市の第5次総合計画のリーディンプランに基づき、まちづくり交付金を 活用し、中心市街におけるまちの賑わいの創出や少子高齢化社会に対応した福祉のまちづ くりを目標に、子ども中心として高齢者を含めた多世代が交流や参加できる拠点施設にな ること、さらには交流を図りながら子どもの育成を促進する場として整備された施設であ る。平成19年4月に開館。建築費は総体で約 28 億円で、そのうち用地取得費が 24 億円 かかっている。財源はまちづくり交付金 12 億 7 千万、一般財源 3 億 8 千万、地方債が 11 億 2 千万からなっている。 施設内容は鉄筋コンクリート 2 階建てで、延床面積が 952.37 平方メートル、1 階は「親 子交流のフロア」と位置付け、遊び場としての「プレイルーム」、母親同士が自由に話ので きる「子育て交流サロン」、短時間の乳幼児をあずかる「一時預かり保育室」、さらに「育 児相談室(カウンセリング室)」 、「授乳室」、「事務所」がそれぞれ配置されており、2 階は 「伝承・交流フロア」として位置づけ、「遊戯室」や、小学生を対象にした学習の場として 「児童室」、他に「世代交流サロン」や「工作・調理室」等が配置されている。職員体制は 10名で、市職員 3 名(内 1 名保育士)、嘱託職員 2 名(産婦人科医、看護師)、臨時職員 5 名(内 4 名一時預かりのための保育士)が配置されている。 なお、施設に対する一般会計の繰り入れは、平成 20 年度予算では 3000 万とされている。 開館は日曜日~土曜日までであり、月曜日、祝日、年末年始が休館、午前 8 時 30 分~午 後5時 15 分までが開館時間になっている。 利用料金は最初に200円かかるも、それ以降はカード提示により無料となっている。 また、預かり保育については午前 9 時~午後 5 時までで、1 日 1200 円の利用料金がかか る。利用者は開館 1 年目だが、4 月現在、登録者 12477 人、利用者は 50200 人、一時預か り保育も 1206 人を数え、計画よりも大幅に上回る状況とのことだった。 今後の方向としては、公民館等を活用した各地域に展開する多世代交流の形成のため、 地域ネットワークを育み、高質な活動内容と情報を発信していける中核拠点としての体制 構築を図っていく考えである。 又、多世代交流の意味からも高齢者を含めた多世代を施設事業にどのように参加させて いくかが、これからの課題と言っていた。 < 感 想 > 核家族の進む中にあって、多世代との交流は大変大事なことだと思う。今後の展開に期 待したいと思う。 4.いわき市(報告者:山口) いわき市役所/〒970-8686 福島県いわき市平字梅本 21 番地 ℡:0246-22-1111 視察項目①: ①「健康産業育成支援」事業について(事務局担当 (ア)健康産業育成支援の目的について (イ)プランニング作成過程について (ウ)現状と現段階での問題・課題について (エ)今後の展開について (オ)その他 千葉様:0246-22-7536) 内 容: <市の位置・地勢> いわき市は福島県の南東端に位置し、南端 は茨城県に接している。東は太平洋に面して いるため、寒暖の差が比較的少なく、気候に 恵まれた地域であり、雪はめったに降らない。 市の広さは、1,231.34平方キロメートルと、 市としては日本でも有数の面積である。 地形は、西方の阿武隈高地(標高500~700 m)から東方へゆるやかに低くなり、平坦地を形成、夏井川や鮫川を中心とした河川が市 域を貫流し、太平洋に注いでいる。 <概況> 国内最大級のいわき湯本温泉があり、その資源を活用し、いわき市独自の温泉利用法を 教えるサポーターとして温泉療法士バルネオセラピストを養成している。 元々は常磐炭坑で栄えたまちである。2年前くらいに、それを題材としたフラガールとい う映画が大ヒットした。エネルギー革命により閉山したまちの活性化を図るべく取組んだ テーマが観光であった。常磐ハワイアンセンターとしてオープンし、現在はスパリゾート ハワイアンズとして事業運営している。平成19年の観光交流人口は1千7十万人であり、ハ ワイアンズには199万人の観光客が訪れた。 いわき市は昭和41年に、5市4町5村が対等合併したまちである。市の大きさは1,231平方 メートルであり全国一大きい面積を誇っていた。香川県を除いた四国の大きさに匹敵する ものである。また、東京23区の倍の面積である。現在では10番目となっている。人口は現 在35万人である。財政規模としては一般会計で1,570億円である。日照時間は長く、温暖な 地域である。雪は年に2回程度しか降らない。せいぜい1〜2㎝である。 <いわき市産業育成政策の概要> 平成7年度より東北地方においては有数な工業都市である。事業社数は728社である。従 業員数は28,288人。化学工業関係の事業が第一位で、輸送関係事業が続き建設関係が3番目 になっている。 工業団地などの造成も行ってきたが、外部からの誘致政策にも限界がでてきた。そこで、 内部の活性化を図る必要性がでてきた。三位一体改革で財源の見直しも迫られたようであ る。平成13年に策定された長期総合計画に基づき、ローリングを繰り返し実施計画に移し ている。その中で「活力に満ち、想像力溢れるまちを目指した地域産業活性化を進める」 という位置づけが示された。具体的には「循環社会の創世」「安全・安心のまちづくり」 などが掲げられている。それにより「いわき市工業振興ビジョン」を策定した。この中に 新技術或は、新産業創出に向けての戦略産業の育成を政策に位置づけた。そこで「いわき 市戦略産業育成プラン」が平成15年に調査過程を経て、作成された。 「戦略産業育成」とは、いわき市の地域資源を活用した産業の育成を目指すものである。 この段階でいろいろな角度より分析及び調査活動をした上で4つを選定し、4ケ年計画でそ れぞれの分野別アクションプランを作成することとした。「環境」「観光」「健康」「木 材」である。それらに該当する事業を積極的に支援する事を決めた。 平成15年に「環境」を柱とするアクションプランを作成し、平成16年に「観光」、平成 17年には「健康」、そして平成18年には「森林・林業・木材産業育成支援プラン」を作成 した。3番目の健康というテーマは温泉資源を生かしたものとして選定されたものである。 それぞれについて、資金、制度、事業の環境整備へのバックアップをするものである。 他にないような、モデル事業となりうるものを市が採択し、委託するというシステムであ る。国の補助金も積極的に取りに行く。申請の手伝いも市でバックアップしている。採択 を受けた事を条件とし、つなぎ資金を融資している。 <健康産業育成支援プランの目的ついて> 温泉や食品などの地域資源を、健康という価値を付加して外貨を獲得することを目的 とした。 <プランニング作成過程について> 策定経緯として、平成 17 年に産、学、民、官の代表者による研究会を設置した。青年会 議所や旅館組合、市内の大学、生協、いわき市、県のハイテクプラザの施設の方などで会 を構成した。4 回の意見交換会を開催した。 支援策としては、取組事業者に対して、資金支援などを行った。又、県や国の施策など の情報などにも積極的にアプローチした。効果的に積極的に実施することを前提とした。 健康というと広い分野になるが、医療という側面より、食と温泉という側面から捉えた。 スポーツなども視野に入れた。ニーズ調査の中でも、有効と判断した。リーダーの育成。 食の素材へのこだわりや加工などにも力点をおいた。新橋にアンテナショッブを設置し、 いわき市の特産品の販売も行っている。 市民は安全や安心。産業界は活性化。学会は地域貢献につながるものである。行政は経 済の活性化及び健康という側面からすると社会保障費の削減にもつながる。 平成 19 年度では、経済産業省の予算を活用して温泉療法士バルネオセラピストの養成講 座を実施した。地域資源であれば何でも良いという事ではない。多くの方々に認知されて いなければならない。 又、平成 19 年 10 月 12 日に、いわき湯本温泉旅館協同組合が提案した「健康と癒しの温 泉地創設事業」も採択されている。湯本温泉は元々、男性客が主流で宴会型の観光客が多 かった。その後バブル崩壊で激減した。従って、滞在型をめざし、ドイツのバーデンバイ ラーに提案事業者を派遣し、研修を積みながら、温泉療法士であるバルネオセラピストの 要請を始めた。今現在 200 名程度の人材を育成した。その方々が現在地域において活躍し ている。フラダンスも健康運動の一つとして取り組まれている。5 年間で目標設定している。 温泉の泉質に応じた指導をしている。湯本温泉は 3 つの泉質が混合した温泉である。温泉 以外にも、山や海にも恵まれている。日照時間が非常に長いので、その特性も利用してい る。健康運動指導士のスキルアップ事業も行っている。薬膳などは地元の方々の取組によ り、地産地消を原則に事業化している。 <現状と現段階での問題・課題について> 新規事業においては、経済的問題により競争入札では対応できないのが現状である。そ こで、初期需要の拡大のため、国の制度改革により、いわき市としても条例改正をし、認 定したものについては、随意契約を行って、競争力が付くまで、企業を育成する方向にし た。 <感想> 地元の地域資源を活用するという視点は、各自治体において積極的に取り組まれている。 いわき市においても同様で、観光と温泉資源と食を、新たな視点より新規産業育成につな げており、基本的には人材育成事業に力点をおいている。市のバックアップ体制があれば、 地元の数人の想いのある方がいれば、地域を変えることができると、再認識できた視察で あった。 視察項目②: ②スパリゾートハワイアンズ(常磐興産㈱事業本部)について (福島県いわき市常磐藤原町蕨平 50 ℡0246-43-3191) (健康運動指導士・温泉利用指導者 小野様) (ア)テーマパークの施設概要と運営について (イ)課題と対策について (ウ)健康運動の現状と課題について (エ)その他 <感想> 炭坑のまちとして栄えていたが、エネルギー革命により、まち総体が大変革を求められ たということである。まちの命運をかけ、常磐ハワイアンセンターとしてオープンし、そ の後バブル経済破綻による影響を受け、更に変革を求められたという。現在はスパリゾー トハワイアンズと名称変更し、施設も新設し、健康と癒しという新たなコンセプトで再生 を図っている。中心を担っている健康運動指導士である小野さんの前向きな姿勢に感動し た。事前にいわき市の「健康産業育成支援事業」を役所にて説明を受けていたとおり、小 野さんの力が、大きな原動力になっていると感じた。当然、それを支え、或は理解を示し たトップリーダーがいたから実現できたものである。ヨーロッパ型の明るいイメージの健 康増進施設(スパリゾート)である。自ら勉強を積み重ね、先進地であるドイツにも行き、 北海道大学名誉教授阿岸先生などのサポートも受けるなど、積極的な姿勢が回りに感動を 与え、スタッフを動かし、それが利用する方々にも伝わると強く感じた。いろいろ改善し なければならないことや、課題もあるということであったが、今後、登別においての新た な視点での健康観光産業の参考になるとこは間違いないものであった。 5.福島市(報告者:①山田・②熊野)(事務局担当 福島市役所 松崎様 〒960-8601 福島県福島市五老内町 3 番 1 号 こむこむ 〒960-8044 福島県福島市早稲町 1 番 1 号 024-525-3776) ℡:024-535-1111 ℡:(024)524-3131 視察項目①: ①「議会改革」について (ア)改革の概要 (イ)具体的効果と課題点 (例えば、政務調査費資料の全面公開による市民利用者数などの反響) 内 容: <福島市概要> 福島市は福島県の北部に位置し、奥羽山脈に囲まれた福島盆地の中心に開かれた街であり、 四季の寒暖差が激しい為、暖地性、寒地性の両方の果物が栽培される全国有数の果物産地 である。 <議会改革> 今回は、登別市議会で取り組んでいる議会改革の先進地として、福島市を行政視察した。 ① 費用弁償について 自宅より役所までの㎞によって、本会議、委員会出席ごと出しているが、平成17 年度より下記の様に改正した。 4㎞未満 6,600円を1,500円 4㎞以上8㎞未満 7,200円を2,000円 8㎞以上 7,900円を3,000円 表彰等に関する規定の廃止については平成20年度より廃止とし、議長、副議長の写真 を取りやめ、記録としてプレイトに名前を刻み、議長室に張るだけにとどめる事とした。 この件については議会歴史の観点から見ると、どうなのかとの思いはあるが、今まで多 くの議会を視察した中で始めての事であったので、登別市議会としても一度議論をする 事も必要では無いかと考えた。 ② 政務調査費の収支報告書と証拠種類の閲覧 福島市は議員1人あたり月額10万円を各会派に支給している。 平成20年6月より政務調査費の収支報告書などすべての関連資料について、情報開示 請求の手続きなしで無料閲覧できる情報公開制度を始める。これまでは、開示請求の手 続きで手数料100円が掛かったほか、閲覧も請求から数日後であつた。説明では政務 調査費の全資料を請求無しで見ることが出来コピーも自由に取れるのは、県内で初めて の事で事である。平成18年5月議員で作る市議会政務調査費検討委員会を設置し、調 査費の使途について検討をかさね、条例改正案を可決した。 ア)会派で承認されない研修費用の支出は認めない。 イ)備品購入経費は認めない。 ウ)書籍購入については書籍名を収支報告書に記載する。 等の要綱を定めて今年から適用するなど、政務調査費にかんする取り組みに力を入れ た。 登別市議会と照らし合わせて見ると、情報公開の面については今回視察した福島市 の情報開示請求の方法について見習う方向で、当市として検討する事が必要であると 感じた。 視察項目②: ②「子供の夢を育む施設『こむこむ』 」について (ア)施設・事業概要 (イ)施設建設・事業開始までの経緯 (ウ)投資費・運営費・収支状況 (エ)利用者数推移(事業毎・年齢毎など) (オ)施設運営のスタッフ体制(職種など) (カ)効果及び課題点、今後の展開について (キ)現地視察 (ク)その他 内 容: 「子どもの夢を育む施設『こむこむ館』」を訪問し、その施設の概要、事業目的、建設費・ 維持費、さらには利用者数の推移などを聞いた。 館長の峯島和彦氏から、歓迎のご挨拶を受け、施設の内容については、岸本裕彦氏が館 内を案内してくださり丁重なご説明をいただいた。 <『こむこむ館』施設の概要> 福島市子どもの夢を育む施設『こむこむ館』は、” 子どもの夢”を基本テーマとして子どもたちに豊 かな出会いを提供し、創造力や科学する心を育て、 また芸術文化の普及向上を図る教育文化の複合施 設としてNHK福島放送局と一体的に整備(合築) し、プラネタリウム・展示施設・多目的ホール・ 子どもライブラリーなどを導入、子どもからお年 寄りまで世代を超えた人々が集い交流し、福島固 (右端が、岸本氏) 有の文化の継承や創造的活動を行う場として、ま た、中心市街地活性化に資することができるよう福島市及び周辺地域の住民が気軽に利用 できる施設として、平成 17年 7 月 23 日(土)に開館した。 ①設計の基本コンセプト (1)-1『こむこむ館』 ●誰もがわかりやすく、安全で自由に活動が展開される秘説づくり ……利用施設が見渡せる吹き抜け空間を核とした有機的な施設構成 ……ユニバーサルデザイン ●全ての人に開かれ、明るく健全な空間づくり ……多彩なイベントが出来るガレリア(*) *:高い位置にガラスなどの屋根をもつ歩行者空間 ……自由に使えるワークショップ室 ●環境に優しく、市民が育む施設づくり ……屋上緑化、企画運営への市民参加 (1)- 2『NHK福島放送局会館』 ~21世紀に生きる地域のために~ ●信頼性と安全性・拡張性の高い会館機能の実現 ……明確なフリーゾーンとセキュリティゾーン ……24 時間対応機能の強化、災害時の機能維持 ……ユニバーサルデザイン ●人・街・地域とふれあう 開かれた空間機能の形態 ……視聴者プラザ、汎用スタジオ、賑わいの空間、屋上緑化 ②施設の建設経緯 従来使用されていた児童文化センター(昭和 47 年に整備)施設の老朽化、狭隘化という 課題があり、新たな施設の建設を求める市民の声が多かった。 第三次福島市総合計画基本計画に施設整備方針が位置づけられ、 「子どもの夢を育む施設 整備懇談会」の設置(平成 12 年)、さらに、平成 13 年にNHK福島放送局と施設整備につ いて基本協定を締結、基本設計の実施に入った。 開館は、平成 17年 7 月 23 日。 ③施設構想の背景 ● 児童文化センターをその機能の一部として取り込んだ、多機能・高機能を有する教育 文化複合施設を整備する。 ● 「子どもに夢を 青年に希望を お年寄りにやすらぎを」をメインテーマとする。 ● NHKと一体的に整備し中心市街地の活性化に資する。 ● 施設のあり方、運営の仕方のソフト面を福島のオリジナルとして、市民に育てられる 施設の展開を図る。 ④建物の概要 ○所 在 地……福島市早稲町1番1号 ○敷地面積……5,000 ㎡ ○建築面積……3,332 ㎡ ○延べ床面……9,886 ㎡ ○構 造……鉄骨鉄筋コンクリート造、地上4階地下1階 ○主要用途……劇場、集会所、展示場、図書館 ○総事業費……53 億 4 千万円(不含土地購入費) ○運営形態……開館後、3年間は市直営とする。その後、民間委託するか指定管理者制 度を導入するかを検討する。平成20年度に、いずれかに決定される。 ○組 織……福島市教育委員会管理下にあり、施設運営委員会で運営されている。 館長(常勤嘱託)……1名 総務管理係 …………5名 事業推進係 …………28 名(いずれも、職員、嘱託職員、臨時職員含む) ○施設及び設備…… 1階…わいわいホール(可動式舞台、客席数 296 席) 子どもライブラリー(児童専門図書館、蔵書数 2 万冊) にぎわい広場(NHKとの共同使用も可能)など 2階…学習室(120 名収容) デジタルスタジオ(パソコン設置) 交流・検索コーナーなど 3階…リハーサルスタジオ(防音設備、ミキシングルーム、ピアノなど) 工作室、調理室、子どもオープン㎝スタジオなど 4階…プラネタリウム(ドーム径 15m 客席数 120 席) 常設展示室、企画展示室など 屋上…子ども天文台(ドーム径 4m、15 ㎝屈折式天体望遠鏡) 太陽光発電装置など 屋外…駐車場(普通車 17 台、大型バス2台、駐輪場 114 台) ○年間利用者数…… 平成 17 年度…302,927 人 平成 18 年度…322,828 人 平成 19 年度…323,433 人 合計……949,188 人 (尚、訪問した 5 月 16 日には、入館者 100 万人まで「あと 15,577 人」 の表示があった。 ○年間歳出予算……総 < 感 想 額 448,218,000 円 > 『こむこむ館』『NHK福島放送局会館』ともに、全ての人に開かれた空間機能の提供を 基本コンセプトにしているように、施設の一体化(合築)を図り、その中央部を「賑わい・ 交流を高めるガレリア」に位置づけることで、賑わいの相乗効果を生み出している。 素晴らしい施設と言うほか言葉が見つからないが、多くの市民ボランティアの方々にも 支えられ順調な施設運営がなされているように感じた。 ただ、幼稚園児、小学生の利用に比し、中・高校生の利用度が伸び悩み、今後の企画に どう取り組むかなどの課題があることも聞いた。 東北本線JR福島駅のすぐ側にある施設という利便性から、利用者の 30%程度は市外か らということで市街地の活性化にも充分寄与していると考えられる。
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