ファーガスンとアメリカ革命

KA-2014-19 / December 2014
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 スコットランド啓蒙とアメリカ独立問題
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天羽康夫、ダーレン・リングリー、青木裕子(共編)
『ファーガスンとアメリカ革命』
-カーライル和平使節(1778-9 年)記録集-
付録 R.プライス『市民的自由』(1776 年)批判
Adam Ferguson and the American Revolution
Amoh, Yasuo / Lingley, Darren / Aoki, Hiroko (eds.), Adam Ferguson and the American Revolution: Proceedings of the British Commissioners at Philadelphia, 1778 - 9.
with the appendix "Remarks on a Pamphlet lately published by Dr. Price, 1776". ca.
340 pp. 2014:12 (Kyokuto Shoten, JA) <K14-37>
ISBN 978-4-87394-024-3
cloth ¥32,400 (税込)
七年戦争の戦勝国イギリスは財政難から砂糖法印紙法等を制定
し、アメリカに負担を課した。アメリカは<代表なくして課税なし>と
いうスローガンを掲げて本国に反発する。大陸会議は独立宣言を
採択し、ジョージ・ワシントンの指揮の下、独立への道を歩むことに
なる。サラトガにおけるイギリスの敗退によりアメリカは自信をつけた
が、衝撃を受けたイギリスは和平への道を模索するようになる。
ノース英首相はアメリカにカーライル和平使節団を派遣することにし
た。その使節団の書記官に任命されたのが『市民社会史論』の著者
エディンバラ大学教授アダム・ファーガスンであった。本書はこの
使節団の任命から帰国に至るまでの記録である。書記官ファーガス
ンが作成した文書や、ワシントンに宛てた書簡も含まれている。付論
は独立戦争のさなか、イギリスで出版された強固なアメリカ支持論
プライス『市民的自由』に対するファーガスンの批判的論考である。
『ファーガスンとアメリカ革命』を推薦する
アメリカは 1776 年に独立宣言に踏み切る。それは大ブリテンの内部でスコットランド
並の地位を得たいという植民地アメリカの心底からの願望が無視されたからであった。独
立のキーパースンの一人はフランクリンであった。郵政長官代理として長くイングランド
に滞在したフランクリンは大ブリテンの忠実な臣民として合邦の実現を期待し、そのため
の努力を惜しまなかったが、大ブリテンの歴代の内閣はアメリカの願望に理解を示さな
かった。
危機を迎えてノース内閣が急遽派遣したカーライル使節団は大陸会議との交渉にさえ
入れずに、ボストン港で門前払いをくらった。名士ファーガスンの努力でさえ最早実らな
かった。遅きに失したのである。こうして大ブリテンはアメリカ植民地を失った。それは
その後の歴史に照らすとき、あまりにも当然の帰結のように思われるが、大ブリテンが
もっと早く理解を示していれば、アメリカの独立は少なくともこの時期にはなかった。
本書は歴史の決定的瞬間を考える縁となる英米関係の資料として貴重であるし、また
思想家ファーガスンの理解のためにも必読の文献である。
田中秀夫(京都大学名誉教授、愛知学院大学教授)
企画・発売元
極東書店