第6回 環と体

第 6 回 環と体 2
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問 1. 可換環 R の 1 ̸= a ∈ R は a2 = a を満たすとする.このとき以下の問に答えよ.
(1) (1 − a)2 = 1 − a であることを示せ.
(1 − a)2 = (1 − a)(1 − a) = 1 − 2a + a2 = 1 − 2a + a = 1 − a
(2) a が零因子であることを示せ.
条件 a2 = a と分配法則より
0 = a2 − a = a(a − 1) = (a − 1)a
よって a は零因子である.
(3) Ra := {ra ∈ R | r ∈ R} のとき
Ra ∩ R(1 − a) = {0}
であることを示せ.
∀x ∈ Ra ∩ R(1 − a)
⇒
x = 0 を示す.
まず x = (a + 1 − a)x = ax + (1 − a)x に注意する.
x ∈ Ra ∩ R(1 − a) であるからある r1 , r2 ∈ R が存在して x = r1 a = r2 (1 − a) である.
仮定より R は可換環であるから x = ar1 = (1 − a)r2 である. このとき
x = ax + (1 − a)x = a(1 − a)r2 + (1 − a)ar1 = (a − a2 )r2 + (a − a2 )r1 = (a − a)r2 + (a − a)r1 = 0
問 2. 環 R は次の性質をもつとする.
∀a ∈ R[a2 = a]
このとき R は可換環になる事を示せ.
∀a, b ∈ R [ab = ba] ⇔ ∀a, b ∈ R [ab − ba = 0] を示す.
授業中のヒントじゃだめでした. ごめんなさい. さて次のように考えます.
a + b = (a + b)2 = a2 + ab + ba + b2 = a + ab + ba + b なので ab + ba = 0 がわかる. また
a − b = (a − b)2 = a2 − ab − ba + b2 = a − (ab + ba) + b = a + b なので −b = b がわかる. 従って
0 = ab + ba = ab − ba
となる.
問 3.
{(
R=
a
b
)
−b a
}
∈ M (2, R) | a, b ∈ R
は体となる事を示せ.( 可換である事と零でない元が逆元を持つことを示せ.)
地道に計算する.
(
)
(
)
a b
c d
• 可換であること. A :=
, B :=
のとき以下の用に可換になることがわかる.
−b a
−d c
(
)
ac − bd ad + bc
AB =
−bc − ad ac − bd
(
)
ac − bd ad + bc
BA =
−bc − ad ac − bd
(
)
a b
• 逆元をもつこと. A :=
ab ̸= 0 とする. このとき A の逆行列
−b a
(
)
a −b
1
a2 + b 2
が A の逆元であることがわかる.
b
a