ワインオープナー博物館 バローロにあるワインオープナー博物館は元薬剤師でトリノ出身のPaolo Annoni氏 によって、ランゲ地方に1987年に移住した後の2006年5月13日にオープンしまし た。彼のコレクションは約1300本あり、そのうちの500本をCastello dei Marchesi Falletti(ファッレッティ侯爵城)の隣の場所で展示しています。 博物館は、”Re dei Vini”(ワインの王)と呼ばれるバローロなどのカンティーナを つくる熟練した職人の手によって、レンガ造りのアーチ状の天井とヘリンボーン・ス トライプの丸天井でできています。 この道具の歴史と進化を17世紀後半から現在までの行程で知ることができます。 “cavatappi sospesi”と命名されるオープナーは、シンプルな木製、鉄、アルミ、 真鍮、動物の骨や角、黒檀、真珠、ブロンズ、象牙、銀、金、べっ甲などでできてお り、そしてまた2つのネジ、左右旋回法、挿入法などのような、ハンドルやネジそし て複雑なメカニズムの発明のしくみを知ることができるでしょう。 博物館の19のコーナーでは、さまざまなオープナーの装飾や形だけでなく、ポケッ トサイズ、広告宣伝目的、動物やエロティズムをテーマにしたもの、そしてミニチュ アサイズの香水瓶や薬剤瓶のふたの開栓に利用されたオープナーなども展示されて います。 貴族や宗教関係者の間では、これらに金細工の装飾をしたり自分の名前を彫刻したり していました。 博物館は3言語(英語、ドイツ語、イタリア語)でのパネル表示がされており、ショ ーケースの中には並はずれたすばらしいオープナーコレクションを、また ”leonardiani”というレオナルド・ダ・ヴィンチによる好奇心あふれるデザイン画の イメージを見ることができます。一部では漫画タッチで描かれたヴィンテージの絵は がきが展示されています。 博物館にはツアーインフォメーションとインターネットポイントがあるブックショ ップが併設され、すべての生産者のバローロワインのボトル、バローロに関する本や 歴史、またキッチングッズやアンティーク&モダンなワインオープナーを購入するこ とができます。 どこで、どのように、ワインオープナーは誕生したのか? これらの質問に答えることは簡単ではないけれど、だいたいの信憑性のある推測をすることがで きます。 2つの確信:オープナーは、ガラス容器からコルクをはずすためにできたもの、そし て必ずしもワインの入ったボトルの栓抜きのためにできたものではない、ということ でした;最初の特許は1795年にイギリス人のSamuel Henshallによってされました。 18世紀初めのガラス容器は珍しく、高価で、非常に壊れやすいものでした。 イタリアでは1728年まで、ガラス容器のワインの貿易は禁止されていました。主な 理由の一つに、この高価で壊れやすいガラス容器を生産する専門技師の技術を無断で コピーする悪者から守るため、そして同一容量のボトルを生産することの難しさから 、生産工芸を守るためにその必要性がありました。 その後、同年5月25日法王の許可により、イギリス製の、均一性に優れた頑丈ない わゆる”a vetro nero”( 黒ガラス)と呼ばれたボトルが販売されるようになりました。 ワイン貿易は、木樽でおこなわれ、ボトルやマグカップはカンティーナからワインを 運び込むためだけに使用されました。これらは木の小片でふたをし、大麻または麻く ずで巻かれ十分に密閉されていました。 後にコルク製の栓を使用するようになりましたが、栓が長すぎたためにボトルの首に とどまらず不安定でした。 そのため、本質的には瓶を十分に密閉できる状態は数時間または数日間しか持ちませ んでした。 有能な商人や船乗りの国だったイギリスはまたワインの愛好家で、イタリア、フラ ンス、ポルトガルからワインを輸入し、またコルクも生産国から輸入していました。 ここにワインオープナーを発明する前提条件があるわけですが、何がそれを実現する ために私たちにインスピレーションを与えたのでしょうか? 最も信頼性が高いのは17世紀半ばにすでに使用されていた、銃に詰めた薬包を取り 除くためのメタル製のネジです。同世紀では、ミニチュアのコルク栓抜きが発明さ れ、香水瓶や薬剤瓶の開栓をする機能を持っていました。
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