平成27年5月19日発行 豊かな稔りに。日本の農業を応援します。 IBJ 防除情報 * 第51号 (*IshiharaBioscienceJapan=石原バイオサイエンスの略) ●農水省は、 5月19日に向こう1ヶ月の主要病害虫発生予報を発表しました。 その中から主な作物を対象に、発生が「多い」と発表された病害虫とその地域及び防除農薬(弊社の推奨農薬)を 一表に纏めましたので、推進のご参考にして下さい。(特記以外の使用方法は希釈液散布) 作物別 小麦 いちご 野菜 きゅうり トマト きゃべつ 果樹 全般 なし 果 樹 茶 病害虫名 赤かび病 灰色かび病 ハダニ類 うどんこ病 灰色かび病 べと病 灰色かび病 菌核病 コナガ 発生が 防除農薬(当社推奨農薬) 「多い」地域 東海 トリフミン乳剤 東海 カリグリーン 近畿、南九州 アカリタッチ乳剤 プロパティフロアブル、トリフミン水和剤、トリフミン乳剤、 南関東 ドーシャスフロアブル、カリグリーン、アカリタッチ乳剤 北関東 カリグリーン 北関東 ランマンフロアブル、ドーシャスフロアブル 東海 カリグリーン 近畿 フロンサイド粉剤、ミニタンWG アタブロン乳剤、アクセルフロアブル、テルスター水和剤、 南関東 トアローフロアブルCT、トアロー水和剤CT 果樹カメムシ 四国 類 黒星病 北九州 チャノコカクモン 南九州 ハマキ チャハマキ 南九州 チャノホソガ 南関東、東海 カンザワハダニ 近畿、九州 テルスターフロアブル、同水和剤* トリフミン水和剤、フロンサイドSC、同水和剤 アタブロン乳剤、テルスターフロアブル、同水和剤、トアロー水和剤CT アタブロン乳剤、テルスターフロアブル、同水和剤 テルスターフロアブル、同水和剤 テルスターフロアブル、同水和剤 注)表中の地域については、その地域全域で発生がみられるものではありません。 * 果樹でのテルスタ-水和剤、同フロアブルは、登録作物、害虫種を確認して御使用下さい。 ●2015年4月28日~ 5月19日までの間に登録された弊社の新農薬(適用拡大を含む)は、次の通 りです。(下線部が適用拡大になりました。) ◇石原フロンサイド水和剤 登録番号:第17556号(5月19日付け) 作物名 適用 病害名 希釈倍数 にんじん 黒葉枯病 1000倍 食用ゆり 葉枯病 鱗茎さび症 やまのいも (むかご) 葉渋病 1000~ 2000倍 50~ 200倍 2000倍 使用時期 本剤の 使用回数 使用方法 フルアジナムを含む 農薬の総使用回数 100~ 収穫14日 300L/10a 前まで 3回以内 散布 3回以内 100~ 収穫14日 300L/10a 前まで 6回以内 使用液量 - 植付前 1回 100~ 収穫7日前 4回以内 300L/10a まで 7回以内 (球根瞬間浸漬は1回 以内、 球根瞬間浸 散布は6回以内) 漬 散布 散布 4回以内 ご説明 します 今月の特集は、「アブラムシ」と「アザミウマ類(かんきつ)」について取上げます。 ①アブラムシ アブラムシはカメムシ目(半翅目)のアブラムシ上科に属する昆虫の総称です。また、アリマキとも呼ばれます。 多くの種類は、主に若い葉に群がって寄生、吸汁し、葉を黄変、萎縮させ、あるいは葉に排泄物(甘露)を堆積 させ、そこにすす病菌を繁殖させ、作物生育を著しく阻害します。 野菜で発生するアブラムシ 作物 種類 発生時期 キャベツ、はくさい、だいこん、 きゅうり、なす、ピーマン、ほうれ モモアカアブラムシ んそう 暖地:3月~5月が多い 寒冷地:6月~7月が多い きゅうり、なす、すいか、メロン ワタアブラムシ 6月~7月が多く、暑さに比較的弱い アブラナ科野菜 ダイコンアブラムシ(キャベツ、 ハナヤサイ、ブロッコリー)、 ニセダイコンアブラムシ(だいこん、 はくさい) ダイコンアブラムシ(暖地:5月~6月が多い、寒 冷地:7月が多い) ニセダイコンアブラムシ(秋に多い、寒冷地:初夏 にも多い) 果樹で発生するアブラムシ かんきつ 作物 種類 ミカンクロアブラムシ かんきつ、りんご、なし、もも、 ユキヤナギアブラムシ ぶどう、うめ、くり、びわ かんきつ、なし、うめ、 びわ りんご りんご、なし かんきつ、りんご、なし、もも、 うめ モモアカアブラムシ 発生時期 3月上旬から幼虫は芽に寄生 ユキヤナギやコデマリ上に卵で越冬、3月上旬 ~中旬孵化、 かんきつ:4月下旬 なし:5月末 りんご:6月 ワタアブラムシ 6月~7月が多い リンゴコブアブラムシ リンゴミドリアブラムシ 5月上旬 6月中旬~7月上旬 モモアカアブラムシ 5月頃 ワタアブラムシ ユキヤナギアブラムシ 野菜にはウイルスに起因する各種のモザイク病があり、病原ウイルスがアブラムシによって伝播されます。 ▼アブラナ科・ウリ科・ナス科の野菜で発病が激しいアブラムシ伝播性モザイク病 作物 伝播性モザイク病 だいこん、はくさい カブモザイクウイルス(TuMV)、キュウリモザイクウイルス(CMV) きゅうり、トマト キュウリモザイクウイルス(CMV) ご説明 します ②アザミウマ類(かんきつ) チャノキイロアザミウマ チャノキイロアザミウマ 体長:[成虫](雌)0.8~1.0mm (雄)0.7~0.8mm 体色:全体に黄色~淡黄色。(1齢 幼虫は白色半透明。)触覚は8節で、 第3節以下は暗褐色。 生態 越冬形態:成虫または蛹の形態で、地表面の落葉下や樹皮間隙、浅い土中で越冬します。 生活史:卵 → 幼虫(2齢) → 蛹(2齢(前蛹→蛹)) → 成虫 生態(かんきつ):5月上旬から春梢に寄生を始め、落果後の5月下旬から幼果への寄生が多くなります。 その後10月下旬まで果実に寄生して加害します。 被害の様子(かんきつ) 5月下旬から6月下旬に幼果と果皮の隙間に虫が侵入し、果皮が吸汁され壊死することで、 リング状あるいは 萼(がく)と相似形の、灰白色の傷ができます。(図1) 7月から10月に寄生されると、果頂部を中心とした灰白色から茶褐色の雲状の傷ができます。(図2) リング状 または がくと相似形 の灰白色の傷 (図1)果梗部の被害 5月下旬から6月下旬に寄生されると 6月上旬から7月にかけて被害がでます。 灰白色から 茶褐色の 雲状の傷 (図2)果頂部の被害 7月から10月に寄生された場合、 8月から9月下旬以降にかけて被害がでます。 ミカンキイロアザミウマ ミカンキイロアザミウマ 体長:幼虫・成虫共、1~2mm 体色:(幼虫)淡黄色 (成虫)黄褐色 生態 卵は、花弁や果梗などの組織内に1個ずつ産みつけられます。 ふ化した幼虫は主に花に寄生し、花粉を餌に成長します。 前蛹の時期が近づくと幼虫は地表に移動し、土中などで前蛹となる。前蛹~蛹の時期は食 害せず、移動も殆どしません。成虫になると再び花に寄生します。寒さに強く、露地作物や、 雑草で越冬します。 (参)ミカンキイロアザミウマの寄主植物 野菜類 花卉類 果樹類 雑草等 なす、ピ-マン、トマト、メロン、いちご等 きく、ガ-ベラ、ばら等 かんきつ、もも、ぶどう等 1世代のサイクルは、下表の様に気温により変動するが、相対的に短くなります。 この事が、殺虫剤への抵抗性発現にも影響しています。 気温 次世代誕生までの期間 15℃ 約35日 20℃ 約20日 25℃ 約12日 30℃ 約10日 ・成虫の生存期間は気温25~30℃で45日前後。 ・1雌当たりの総産卵数は200~300個。 被害の様子(かんきつ) (1)開花期の被害は、露地栽培で発生することがあり、萼(がく)の内面やその付近の果面をふ化 幼虫が食害するために、この傷から腐敗が発生します。通常、これらの被害果は開花終期の花に由 来する幼果に限って発生し、自然落果や摘果により殆ど問題となりません。 (2)果実着色期の被害は、ハウスみかんで発生します。 着色始期~収穫期に成虫が果実を吸汁加害すると、加害された部分は油胞を残して白くかすり状と なります。被害程度の高いものでは、果頂から果実側面にかけて広範囲に発生します。 ヒラズハナアザミウマ ハナアザミウマ(※) 体長:[成虫](雌)約1mm (雄)約0.6mm 体色:(雌)頭部・胸部は橙黄色~ 黄褐色。腹部は褐色~黒褐色。 (雄)黄色。 (※かんきつを食害するハナアザミウマ類には、この他、ヒラズハナアザミウマ、ビワハナアザミウマ等があります。 写真はヒラズハナアザミウマ。) 生態 ハナアザミウマ類に含まれる種はいずれも、数世代/年繰り返します。 成虫・幼虫共、主に花粉を食べますが、植物の組織も吸汁し、かんきつでは、果実同士もしくは果実と 葉または枝等が重なり合っている部位を中心に寄生し、果皮を吸汁する為、果実に被害が出ます。 被害の様子(かんきつ) かんきつ類の施設栽培では重要な害虫。露地栽培でも梅雨明け以降、高温・少雨が続くと発生密度 が高くなり、被害を受けることがあります。 ハナアザミウマ類に加害された果実の部位は、最初リング状や円状に白変し、後に褐色に変色して、ひ どい場合には腐敗に至ります。 露地みかんでは、気温の低下により極早生>早生>普通の順で被害が減少しますが、晩秋まで気温 が高い場合は、普通温州でも被害を受けます。 弊社では、圃場の土壌を御送付頂き、その土壌中のセンチュウ量を測定、報告し、 防除計画の御参考にして頂く無料サ-ビスを継続実施しております。 ニュース
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