「スキー場における労働災害防止」 について、要請を行いました 小出労働基準監督署 小出労働基準監督署では、スキー場における労働 災害が増加傾向となっていることから、平成 27 年 12 月 9 日付けで、当署管内(⼩千⾕市、⻑岡市川 口、魚沼市、南魚沼市、湯沢町)すべてのスキー場 施設、索道運⾏事業者等(34 事業場)に対して、 労働災害防止への積極的な取り組みの要請を⾏い ました。 (要請内容は別添のとおりです。) 小出基署発 1209 第 1 号 平成 27 年 12 月 9 日 事 業 者 各 位 ⼩出労働基準監督署⻑ スキー場における労働災害の防止について(要請) 平素より労働災害の防⽌にご尽⼒いただき御礼申し上げます。 さて、当署管内(小千谷市、⻑岡市川⼝地区、⿂沼市、南⿂沼市、湯沢町)全産業 の休業 4 日以上の死傷労働災害は、前年より減少しています。 業種別では、製造業、建設業で減少しましたが、その一方で、スキー場を含む第三 次産業では増加しています。スキー場における労働災害は、平成 23 年の 12 件をピ ークに減少傾向となっていましたが、平成 27 年においては、1 月から 4 月までの間 に9件、5 月から 11 月までの間に 3 件と、既に計 12 件の労働災害が発⽣し、前年 1 年間発⽣数の 3 件を大幅に上回る状況となっています。 このような状況に⻭⽌めをかけるためには、労働災害防⽌に向けた更なる取組が急 務でありますが、過去 5 年間のスキー場における労働災害を分析すると、索道員の労 働災害が 16 件と最も多く、その内 6 件は「作業中にリフト乗降場から転落する」等 の墜落・転落災害です。また、被災労働者の内、60 歳以上が約 4 割を占めています。 (詳細は参考資料「スキー場における労働災害を防ぎましょう!」を参照してくださ い。) つきましては、これから本格的な冬のレジャーシーズンを迎え、参考資料の「スキ ー場における労働災害防⽌のポイント」の災害事例と同種の労働災害の発生が一層懸 念される時期となることから、特にリフト乗降場及びゲレンデ管理の労働災害防⽌に ついては、別紙「スキー場における労働災害防止のための重点実施事項」の措置が講 じられているか、今⼀度職場の総点検を実施していただくとともに、労働者に対する 安全教育を強化する等積極的に労働災害防⽌に向けた取組を⾏っていただきますよ う要請します。 なお、厚⽣労働省では「STOP!転倒災害プロジェクト2015」として、12 月 31 日まで転倒災害を防止する運動を全国的に展開しています。リーフレットを添 付しましたので、趣旨をご理解の上、積極的な取組をお願いいたします。 本件に関するお問い合わせ先 小出労働基準監督署 監督安衛課 電話(025)792−0241 別紙 スキー場における労働災害防止のための重点実施事項 小出労働基準監督署 1. 安全衛⽣管理の基本的事項 ① 経営トップ自らの労働災害防止に対する方針の表明 ② 安全管理者、衛⽣管理者、産業医(または安全衛⽣推進者)の選任及び安全衛⽣員会の運 営等安全衛⽣管理組織による災害防⽌の推進 ③ 4S 活動(整理 整頓 清潔 清掃)の推進 ④ 雇⼊れ時健康診断、定期健康診断の実施と医師の意⾒に基づいた就業上の措置の実施 ⑤ アルバイト等非正規労働者に対する雇入れ時安全衛生教育の強化 ⑥ 危険予知活動、ヒヤリハット活動等の作業に対する危険意識を向上させるための教育訓練 の実施 2. 作業別労働災害防止対策 (1)リフト乗降場所における労働災害防⽌対策 ① 墜落・転落災害の防⽌ 墜落防⽌柵は適切な位置に設置することとし、開口部、腐食等がないか設置状況をその 日の作業開始前に点検して確認のうえ、異状を認めたときは補修すること 墜落防⽌⽤安全ネットは隙間がないよう設置するとともに、損傷、破れ等がないか設置 状況をその日の作業開始前に点検して確認のうえ、異状を認めたときは補修すること 墜落の危険のある端部付近は⽴⼊禁止の措置をすること リフトに背を向けた作業姿勢は⾏わないこと リフト支柱上部等の高さ 2 メートル以上の箇所での作業の際は安全帯を使用すること ② 転倒災害の防止 すべり、つまずき、くぼみ、段差等をなくすとともに、滑り⽌めの措置、ハイグリップ ⻑靴の着⽤等により歩⾏時の安全を確保すること ③ ⾼年齢労働者に対する作業配慮 ⾼所作業、重量物を取扱う作業等身体への負担が大きい作業を低減すること (2)ゲレンデ管理(パトロール、ディガー等)における労働災害防⽌対策 ① 転倒災害の防止 パトロール、コース整備など業務上必要な場合を除き、スキー、スノーボード等の滑⾛ による移動は避けること ゲレンデ滑⾛時は周囲の滑⾛者などに気を配るとともにスピードを出し過ぎないこと スキー場を経営する事業者・スキー場で働く労働者の皆さまへ スキー場における労働災害を防ぎましょう! 管内のスキー場での労働災害(休業 4 日以上)は、過去 5 年間で39 件(平成 23 年 1 ⽉〜27 年 11 月)の労働災害が発生しています(図 1)。 スキー場における労働災害は、その年の降雪状況等により、ばらつきはありま すが、2 ⽉〜3 月に多く発生しています(図2) 。 図1 年度別発⽣状況 図2 月別発生状況 11 14 9 12 6 6 7 3 23年 3 3 24年 25年 3 1 26年 27年 11月 12月 1月 2月 3月 4月 夏期 特に索道員の労働災害が 16 件と最も多く占めており(図 3) 、その多くは「作 業中にリフト乗降場所から転落する」など墜落・転落災害が 6 件発生しています (図 4)。また、労働災害の約 4 割が 60 歳以上の労働者です。 図3 作業職種別発生状況 図4 索道員の災害別発⽣状況 その他 (3件) 18.8% バス運転手 (2件) 5.1% 整備員 (3件) 7.7% 索道員 (16件) 41.0% インストラクター (3件) 7.7% パトロール員 ディガー (7件) 17.9% (8件) 20.5% 墜落転落 激突 (1件) 6.3% 挟まれ (1件) 6.3% (6件) 37.5% 転倒 (5件) 31.3% 墜落場所(内訳) ○ リフト乗降場の端部 (4 件) ○昇降はしご (1 件) ○リフト支柱上部 (1 件) 「あせらず・あわてず・安全確認!」 小出労働基準監督署 (2015/12) スキー場における労働災害防止のポイント (1)リフト乗降場における労働災害防止対策 墜落・転落災害の防⽌ 墜落防⽌柵は適切な位置に設置することとし、開口部、腐食等がないか設置状況を その日の作業開始前に点検しましょう。 墜落防⽌⽤安全ネットは隙間がないよう設置するとともに、損傷、破れ等がないか 設置状況をその日の作業開始前に点検しましょう。 【災害事例】 乗降場端部で客がリフトから転落してしまい、客と接近してきたリフトとの接触を防ぐため、リフトをつかん で回避しようとした際、勢いがついて転落防⽌板を乗り越え、2.5 メートル下の雪⾯に⾶び降りて転落した。 (胸椎圧迫骨折・休業 2 か月・発生月 3 月・発生時刻 13 時・索道員・62 歳・男性・経験 16 年) 墜落の危険のある端部付近は⽴⼊禁⽌の措置をしましょう。 【災害事例】 リフト試運転中、リフト乗降場の端部付近で他の従業員と会話をしていた際、後⽅から運⾏してきたリフト に衝突し、3 メートル下の雪⾯に墜落した。 (肋⾻⾻折・休業 2 ヶ月・発生月 4 月・発生時刻 10 時・索道員・67 歳・男性・経験 2 年) リフトに背を向けた作業姿勢はやめましょう。 【災害事例】 リフト乗降場の除雪作業中、後⽅から運⾏してきた搬器に激突された。 (顔⾯切傷、頸椎捻挫・休業 1 週間・発生月 1 月・発生時刻 14 時・索道員・50 歳・男性・経験 1 月) リフト支柱上部等の高さ 2 メートル以上の場所の箇所での作業の際は安全帯を使用 しましょう。 【災害事例】 始業点検のため、リフト⽀柱上部の機械設備を点検中、⾜を滑らせて 3 メートル下に墜落した。 (腰椎圧迫骨折・休業 2 ヶ月・発生月 1 月・発生時刻 8 時・索道員・64 歳・男性・経験 20 年) 転倒災害の防止 すべり、つまずき、くぼみ、段差等をなくすとともに、滑り止めの措置、ハイグリ ップ⻑靴の着⽤等により歩⾏時の安全を確保しましょう。 【災害事例】 リフト乗降場の乗⾞位置プレートに雪が積もったため、⾜で取り除こうとした際、⾜元が滑って転倒した。 (⾜⾸捻挫・休業 2 週間・発生月 2 月・発生時刻 13 時・索道員・31 歳・男性・経験 2 年) (2)ゲレンデ管理(パトロール、ディガー等)における労働災害防⽌対策 転倒災害の防止 パトロール、コース整備など業務上必要な場合を除き、スキー、スノーボード等の 滑⾛による移動は避けましょう。 ゲレンデ滑⾛時は周囲の滑⾛者などに気を配るとともに、スピードを出し過ぎない ようにしましょう。 【災害事例】 コース外を滑⾛中、バランスを崩して転倒した。 (膝半月板損傷・休業 1 ヶ月・発生月 2 月・発生時刻 11 時・パトロール・18 歳・男性・経験 1 月) 【災害事例】 ⼤会⽤のコース整備作業中、ジャンプ台のテストジャンプを⾏った際、バランスを崩して転倒した。 (鎖骨骨折・休業 2 ヶ月・発生月 3 月・発生時刻 13 時・ディガー・28 歳・男性・経験 6 年) 小出労働基準監督署
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