特集 1 水道水源林の保全

環境基本理念
と環境計画
運用結果(平
成 年度)と
今後の目標
22
特 集
1
水道水源林の保全
−安全でおいしい水は豊かな森林から−
事業の概要と
環境側面
水道水源林の
保全
水の安全性の
確保
水道局の節電
対策
2011 年は、国連が定めた国際森林年です。国際的に森林の重要性が認識され、持続可能な森林の管
地球温暖化防止
の更なる推進
理と利用の重要性に対する認識が高まっています。水は森林から貯水池や河川を下って浄水場から御家
庭に、さらに下水処理場から河川を通って海に流れ、また森林に戻ります。それゆえ、森林の保全は水道
事業の根幹であり、安全でおいしい水の安定供給の原点でもあります。水道局では、安全でおいしい水
を供給するため、多摩川上流の森林を水道水源林として管理し、森林の保護・育成を通じて、良好な水
循環型社会へ
の取組
環境の保全に努めています。また、
ボランティアの方々と協働して緑豊かな水源の森づくりを行っています。
1 水道水源林の管理による水源水質の保全
(2)沿革
化学物質の安
全対策
東京都における水道水源林の管理は、明治 34
(1)水道水源林の概況
年(1901 年)に、東京府が多摩川水源地の森林
東 京 都 の 水 道 水 源 林 は、 多 摩 川 上 流 域 の 東
荒廃を原因とする洪水や渇水に対処するために
工事における環
境配慮の推進
京都と山梨県にまたがる東西約 31km、南北約
森林管理を始めたのがその第一歩です。その後、
20km に及んでいます。面積は東京都区部の約
東京市から東京都の管理となり、管理面積を拡
35%に当たる 21,631ha です。
大しながら森林の保護・育成を行い、現在に至っ
自然環境・景
観の保全
水源林の持つ様々な機能を維持・向上させ、
小河内貯水池の水質保全や、安定した河川流量
の確保を図るため、水道局では計画的な管理を
行っています。
ています。
笠取山付近の変遷
今から約 90 年前の大正末期の様子です。
笠取山付近は周囲一帯が裸山でした。
研究開発
水道水源林の広がり
埼玉県
埼 玉 県
環境コミュニ
ケーション
環境マネジメ
ントシステム
14
カラマツを植栽後
山梨県
神奈川県
甲州市
北都留郡
山 梨 県
丹波山村
約 30 年経過した様子です。
東 京 都
奥多摩町
青梅市
西多摩郡
小河内ダム
小菅村
檜原村
都県境
東京都水道局 環境報告書 2011
あきる野市
市町
村堺
幹線
道路
日の出町
鉄道
河川
水道 水源管理
水源林 事務所等
現在は、緑豊かな森林が広がって
います。
環境基本理念
と環境計画
(3)水道水源林の機能
ア 水源かん養機能
22
エ 二酸化炭素吸収機能
森林の樹木は、光合成の働きにより大気中の
二酸化炭素を吸収し、酸素を供給しています。
豊富です。たい積した有機物は小動物等の活動
水道局が管理する水道水源林では、1年間で約
により分解され、スポンジ状で保水力の高い良
2万トンの二酸化炭素を吸収、固定しています。
事業の概要と
環境側面
健全な森林は、落ち葉などの有機物の供給が
運用結果(平
成 年度)と
今後の目標
森林は、水源かん養機能により洪
水や渇水を緩和するため、
「緑の
ダム」とも呼ばれています。
水道水源林の
保全
好な土壌を形成します。森林に降った雨は、こ
のようなスポンジ状の土壌を通って地中深くに
浸透し、ゆっくりと河川に流れ出します。
水の安全性の
確保
二酸化炭素吸収機能
(4)水道水源林の管理
水道局の節電
対策
現在、水道水源林は、「第 10 次水道水源林管
水源かん養機能
に基づいて管理を実施しています。この管理計
という考えの下、水源かん養機能などの公益的
森林に降った雨は、樹木の枝葉や草、地上に
機能を十分に発揮し、さらに山地崩壊や病虫害
積もった落ち葉などがクッションとなって緩や
などの自然災害等に強い森林を目指しています。
の中に浸透します。このため、地表を流れる雨
水が少なく、地表の土砂浸食を防ぎます。
水道水源林の森林の約 70 パーセントは天然
林、約 30 パーセントは人工林です。天然林は、
自然のまま生育している森林で、今後も特に人
の手を加えず自然の推移に任せ、その土地で最
研究開発
きれいな水となって河川に流れ込みます。
自然環境・景
観の保全
るちり、窒素、リンなどがろ過・吸着・分解され、
工事における環
雨水が土の中を移動する間に、雨水に含まれ
4 水道水源地であることを考慮し、自然環境の
保護に努めます。
5 森林の育成と森林資源の循環を通じ、地球温
暖化の防止に努めます。
境配慮の推進
ウ 水質浄化機能
<水道水源林管理の基本方針>
1 水道水源林における水源かん養機能のより一
層の向上に努めます。
2 小河内貯水池のたい砂防止のため、土砂流出
防止機能のより一層の向上に努めます。
3 水道水源林における水質浄化機能のより一層
の向上に努めます。
化学物質の安
全対策
土砂流出防止機能
循環型社会へ
の取組
かに地表に達し、土の表面を荒らすことなく土
地球温暖化防止
画では、
「安全でおいしい水は豊かな森林から」
の更なる推進
イ 土砂流出防止機能
理計画」(平成 18 年度から平成 27 年度まで)
も安定した森林を目指しています。一方、人工
林は、人の手によって苗木を植え、育てている
森林です。幼木から 100 年を超える高齢木まで、
環境コミュニ
ケーション
様々な樹齢のヒノキ、カラマツ、スギなどが植
えられています。人工林は立地条件に合わせて
天然林誘導型森林と複層林更新型森林の二つの
水質浄化機能
環境マネジメ
ントシステム
タイプに分け、森林のタイプごとに生育途中の
各段階で下刈、除伐、枝打等の様々な手入れを
行っています。
東京都水道局 環境報告書 2011
15
環境基本理念
と環境計画
運用結果(平
成 年度)と
今後の目標
22
事業の概要と
環境側面
水道水源林の
保全
水の安全性の
確保
水道局の節電
対策
地球温暖化防止
の更なる推進
循環型社会へ
の取組
化学物質の安
全対策
工事における環
境配慮の推進
自然環境・景
観の保全
天然林
天然林誘導型森林
研究開発
天然林・人工林面積
複層林更新型森林
人工林のタイプ面積
除地(道路、河川敷)
633ha 3%
環境コミュニ
ケーション
人工林
5,956ha
27%
複層林
更新型
2,593ha
44%
水道水源林
21,631ha 天然林
環境マネジメ
ントシステム
15,042ha
70%
(平成 23 年 3 月末現在)
16
東京都水道局 環境報告書 2011
人工林
5,956ha
天然林
誘導型
3,363ha
56%
環境基本理念
と環境計画
特集1 水道水源林の保全 ―安全でおいしい水は豊かな森林から―
運用結果(平
成 年度)と
今後の目標
■水道水源林の管理方法
22
事業の概要と
環境側面
水道水源林の
保全
水の安全性の
確保
水道局の節電
対策
健全な生育が見られない植栽
木を取り除きます。
植栽木の本数密度を調整するために
間引きを行い、伐採された木は木材
として利用します。
地球温暖化防止
の更なる推進
循環型社会へ
の取組
化学物質の安
全対策
工事における環
境配慮の推進
自然環境・景
観の保全
これからも水道水源林を守り続けます
研究開発
水源管理事務所 技術課
技術課では、水道水源林の保全管理、山地災害の予防と復旧、森
林管理基盤の整備などを行っており、必要な工事の調査、設計、監
環境コミュニ
ケーション
督業務などを行っています。
現場はほとんどが森林の中になります。森林現況調査は蒸し暑い
中や凍えるような寒さの中で行う場合もありますし、測量などで急
な斜面を移動する場合もあります。体力的に厳しい時もありますが、
環境マネジメ
ントシステム
これまで諸先輩方が心を込めて植え、育ててきた森林を、次の世代
に引き継ぐため、これからも水道水源林を守り続けていきます。
東京都水道局 環境報告書 2011
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環境基本理念
と環境計画
運用結果(平
成 年度)と
今後の目標
22
(5)調査・研究
ア 人工林育成技術の体系作り
ウ 間伐材等の有効利用
―地球温暖化防止への貢献―
事業の概要と
環境側面
森林は、地球温暖化の原因と言われている二
水道水源林の
保全
水源の森にふさわしい人工林の姿として、「針
酸化炭素の吸収源・貯蔵庫としての役割が大きく
広混交林」や「複層林」と定めたのは今から 20
期待されています。また、木材は、再生可能な循
年ほど前のことです。このような森づくりは、
環資源であることに加え、製造・加工時のエネル
全国的にも類例が少ないほか、歴史も浅く、技
ギー消費が鋼材等に比べて少なく、化石燃料に
術的に明らかになっていない部分もあります。
代わるエネルギー源になるなど、地球温暖化防
このため、人工林の育成技術の体系づくりに向
止に貢献する資源として期待されています。
けて、継続的な調査を行っています。
水道局では、人工林の管理作業に伴い発生す
水の安全性の
確保
る間伐材等を、土木資材や事務所等の内装材等
に利用するほか、間伐材で作成したPRグッズ
を作成するなど、有効利用を推進しています。
水道局の節電
対策
多摩川水源森
林隊事務所の
内装材
地球温暖化防止
の更なる推進
複層林内での生育状況調査
歩道の土留柵
イ 森林被害調査の実施
近年、水道水源林においては、ニホンジカ等
循環型社会へ
の取組
による森林の被害が深刻化し、下草が食べられ
てなくなったり、樹木の皮が食べられたり剥が
されたりして、植栽木が枯れるなどの被害が増
間伐材PRグッズ
(6)民有林購入モデル事業
化学物質の安
全対策
加しています。そこで、森林被害状況の定期的
小河内貯水池上流域の民有林では、長期にわ
なモニタリング調査を行い、被害の大きい森林
たる林業不振の影響などにより、荒廃の進んだ森
内に動物が侵入できない柵を設置するなど、効
林が増えています。
果的な被害対策を実施しています。
工事における環
境配慮の推進
また、水道水源林の森林にマツ枯れやナラ枯
そこで、
荒廃した民有林を購入し、
将来にわたっ
て水源地域を良好な状態で保全し、水道水源林の
自然環境・景
観の保全
れなどの病虫害が発生した場合、樹木が枯れる
機能を最大限に発揮できるようにしていきます。
などの大きな被害が懸念されます。このため、
しかし、購入に当たっては、境界が不明確な土地
水道水源林内の被害発生状況を定期的に調査す
があることや投機による地価の高騰など、考慮す
るとともに、その周辺の森林における病虫害の
べき課題があります。
発生状況についても定期的に情報を収集し、被
害発生の予防と拡大の抑制に努めています。
このため、管理が不十分で土地所有者が手放
す意向を持つ民有林を試験的に購入することを通
研究開発
じて諸問題の解決を図っていきます。
平成 22 年度は 3 件の購入対象山林を決定し、
測量等の作業を進めています。平成 23 年度は 4
月から 6 月を公
環境コミュニ
ケーション
募期間とし、現
環境マネジメ
ントシステム
18
地調査等を経
て購入対象山
林の決定を行
シカの食害に遭ったモミ
う予定です。
小河内貯水池上流域の民有林分布図
東京都水道局 環境報告書 2011
環境基本理念
と環境計画
特集1 水道水源林の保全 ―安全でおいしい水は豊かな森林から―
運用結果(平
成 年度)と
今後の目標
Column
22
事業の概要と
環境側面
水道水源林に生息・生育する野生動植物
水道水源林は標高 500 メートルから 2,100 メートルの間に位置し、温帯性山地帯から亜寒帯性高山地帯
に属しています。天然林では、比較的土壌の深い山腹や渓流沿いに、ブナ、ミズナラ、クリ、シオジ、カエ
デ類などの広葉樹を主体とする森林が広がっています。また、土壌の浅い岩場や標高の高い地域では、コメ
水道水源林の
保全
ツガ、トウヒなどの針葉樹を主体とする森林が広がっています。このように多様な水道水源林の中には、数
多くの植物が生育しています。
水の安全性の
確保
ミズナラ
アズマシャクナゲ
水道局の節電
対策
ブナ
ミツバツツジ
ツキノワグマ等の大型ほ乳類も数多く生息しています。
小型ほ乳類のヤマネについては、個体数
循環型社会へ
の取組
が少ないことなどから、森林の管理作業等
を行う際に、生息環境を阻害しないよう特
に注意を払っています。
ニホンジカ
ニホンカモシカ
化学物質の安
全対策
また、樹木に害を及ぼす虫を捕食しても
らうため、水道水源林内に巣箱を設置して、
野鳥の保護を図っています。
する多くの人々と共有する」という視点に立ち、
ア 多摩川水源森林隊
林業の衰退等から荒廃が進む多摩川上流域(山
水源地における交流・連携事業等を展開してい
梨県を含む。
)の人工民有林を緑豊かな森に再生
ます。
するため、平成 14 年7月に「多摩川水源森林隊」
していただくとともに、ボランティアや民間団
を設立しました。
研究開発
多くの人々に水源を守ることの大切さを理解
自然環境・景
観の保全
のない森づくりの大変さ・大切さを水道を利用
(1)多様な主体との連携による森づくり
活動内容は、ボランティアの方々による植栽、
り、多摩川上流の環境保全を効果的に推進して
よる森林保全作業の見学や植栽作業体験等の学
います。
習活動です。これらの活動を通じて、都民の皆
環境コミュニ
ケーション
体と連携して森づくり活動に取り組むことによ
下刈、間伐、枝打等の保全活動や、都民参加に
さまに森林保全が水源の森づくりにとっていか
に大切であるかを理解していただいています。
環境マネジメ
ントシステム
ボランティアの募集は平成 15 年3月から開始
し、平成 22 年度末には計 854 人の方々にボラ
ンティア登録をしていただいています。
東京都水道局 環境報告書 2011
工事における環
第 10 次水道水源林管理計画では、
「かけがえ
境配慮の推進
2 水源地における交流・連携
地球温暖化防止
の更なる推進
水道水源林の中には、現在個体数が増えすぎて問題となっ
ているニホンジカを始め、ニホンザル、ニホンカモシカ、
19
環境基本理念
と環境計画
運用結果(平
成 年度)と
今後の目標
22
森林保全活動
事業の概要と
環境側面
主に毎週木、土、日曜日に活動を行っており、平成 22 年度は 136 回の活動を行い、計 1,750 人の方々
に参加していただきました。
水道水源林の
保全
水の安全性の
確保
水道局の節電
対策
間伐作業
枝打作業
ボランティアによる森林保全活動
学習活動
平成 22 年度は、宿泊体験学習を 7 月に1回、日帰り体験学習を 10 月と 11 月に1回ずつ行い、計 43
地球温暖化防止
の更なる推進
人の方々に参加していただきました。
宿泊体験学習では、活動の目的や内容の説明を受けた後、2日間で間伐作業や下刈作業を行いました。
また、森林を散策し、シカの食害対策や、複層林の見学を行いました。日帰り体験学習では、間伐作業や枝
循環型社会へ
の取組
打作業を行いました。参加者からは、
「実践的な体験が多く、森づくりの話も分かりやすかった。」、
「多摩川
や水道水源林の歴史など初めて知ることが多かった。
」
、
「多くの人が参加することで水資源の理解が深まる
ので、良い活動であると思う。
」などの感想をいただきました。
化学物質の安
全対策
工事における環
境配慮の推進
自然環境・景
観の保全
宿泊体験学習の様子
日帰り体験学習の様子
研究開発
〜多摩川水源森林隊の活動回数が 1,000 回を迎えました〜
平成 14 年 7 月から活動を行ってきた多摩川水
環境コミュニ
ケーション
環境マネジメ
ントシステム
20
源森林隊は、多くのボランティアの方々の協力に
より、
平成 22 年 10 月 17 日(日)の活動をもって、
通算 1,000 回を迎えることができました。当日は、
事務所にて活動 1,000 回の挨拶とこれまでの活動
経過について説明した後、活動現場にて間伐材を
用いて歩道を設置しました。
東京都水道局 環境報告書 2011
事務所にて挨拶
歩道設置の様子
環境基本理念
と環境計画
特集1 水道水源林の保全 ―安全でおいしい水は豊かな森林から―
水道水源林を訪れる皆様に森林の持つ働きや
22
多摩川水系上下流交流会
多摩川水系上下流交流会は、多摩川上流域の
事業の概要と
環境側面
ア 水源地ふれあいのみち
運用結果(平
成 年度)と
今後の目標
(2)多くの人々に親しまれる水源林への取組
豊かな自然を守り慈しむ方々と中下流域で水を使
用する方々とが親しく交流することを通して、水
源林の大切さや水質保全の重要性について理解
要性を知っていただくため、水道水源林内に「水
を深めていただくため、平成 14 年度から行って
源地ふれあいのみち」としてハイキングコース
います。
水道水源林の
保全
自然を守ることの大切さを理解し、水源地の重
平 成 22 年 度 は、8 月 19 日 ( 木 ) 及び 8 月
を整備しています。
できる「小河内ゾーン(見はらしの丘)
」
、ブナ、
た親子 36 名が東京都奥多摩町を訪れました。水
ミズナラなどの広葉樹を主体とする天然林を歩
源林内にある 「水源地ふれあいのみち (山梨県
く「柳沢峠ゾーン(ブナのみち)
」
、多摩川源流
柳沢峠)」 を水道局職員の案内により、水源林の
の3ゾーンがあります。
働きや樹木の説明を受けながら歩きました。 参
加者は、落ち葉の積もった土を踏んでその柔らか
水道局の節電
対策
の水干を探訪する「水干ゾーン(源流のみち)」
水の安全性の
確保
桜の花と四季折々に変化する奥多摩湖を眺望
20 日 (金) の1泊 2 日の日程で、公募で選ばれ
さに驚いたり、モミの葉をもむと漂う爽やかな香
りを嗅いだりと、五感で森を体験しました。
また、奥多摩町では、地元の方々に教えてい
した野菜を使ったピザ作りを行い、交流を深めま
した。
その他小河内ダムでは見学した堤体内の涼し
循環型社会へ
の取組
水源地ふれあいのみち(柳沢峠ゾーン)
さに 「冷蔵庫の中みたい。」 と驚きの声も。 奥
多摩町水と緑のふれあい館では3Dシアターを鑑
水源地ふれあいのみちを利用し、公募により
賞し、奥多摩の豊かな自然や歴史も学んでいた
だきました。
化学物質の安
全対策
水源林ふれあいウォーク
参加者からは、「水の大切さを知る良い機会に
が森林を直接案内する水源林ふれあいウォーク
分かったことも多く良かった。」 などの感想を頂
を夏と秋の年2回実施しています。夏は冷たい
いています。
沢の水に触れ、秋は色付いたカエデの葉を拾っ
て見比べるなど、季節に応じた体験に加え、樹
自然環境・景
観の保全
皮や木の葉の匂いを嗅いだりして、楽しく森林
を散策しながら、森林が水を育む役割について
理解を深めていただきました。
参加された方からは、
「水道水源林の役割を
水源地ふれあいのみちの散策
じゃがいもの収穫
研究開発
知り、身近に思えるようになった。
」
、
「自然に触
れ、植物や動物のことを知ることができて良かっ
た。
」などの感想を頂きました。
イ 学校教育との連携
環境コミュニ
ケーション
学校教育の現場で行われている、 飲み水やそ
れを育む森林についての学習を支援し、次世代を
担う子供たちに水道事業や水道水源林の役割等に
沢の水に触れる体験
環境マネジメ
ントシステム
ついての理解を深めてもらうため、水道水源林に
水道水源林の役割を説明
工事における環
なった。」「水源林の役割など実際に歩いてみて
境配慮の推進
集まった都営水道のお客さまを対象に、局職員
地球温暖化防止
の更なる推進
ただきながら、じゃがいも等野菜の収穫や、収穫
関する学習教材の提供や、局職員が学校を訪問し
て説明する水道教室などを行っています。
東京都水道局 環境報告書 2011
21
環境基本理念
と環境計画
運用結果(平
成 年度)と
今後の目標
22
水道教室では、土壌が水をきれいにする実験
や、森林に関するクイズを交えながら、水源林
ウ 奥多摩湖いこいの路
事業の概要と
環境側面
の役割などを説明しています。実際に森林内で
「奥多摩湖い
調査する際の格好や道具を説明するなど、現場
こいの路」は、
で働く職員だからこそ伝えられる水源林の様子
奥多摩湖南岸
を感じてもらえるように努めています。
に整備した散策
水道水源林の
保全
路です。ダムサ
イトから「山の
ふるさと村」ま
で 約 12km あ り、
水の安全性の
確保
中間点に位置する「いこいの広場」には、トイレ
水道教室の様子
やあずまや等の休憩施設を整備しています。 「奥多摩湖いこいの路」の散策や「奥多摩 水
水道局の節電
対策
また、多摩川水源森林隊での都立高校の奉仕
と緑のふれあい館」
(77 ページ参照)の見学を
体験活動の受入れも行っています。平成 22 年
通して、奥多摩湖や小河内ダムについて理解を
度は、都立高校の生徒6名を計3日間受入れ、
深めることができます。
下刈や間伐などの森林保全活動に協力してもら
地球温暖化防止
の更なる推進
いました。参加した生徒からは、
「森林の大切さ
が理解できた。
」
、
「達成感が大きい。
」などの感
想を頂きました。
エ 小河内ダム展望塔
小河内ダム展望塔は、ダムの堤体に位置して
おり、3階の展望室からダムや奥多摩の自然を
一望することができます。
循環型社会へ
の取組
また、展望室の床には流域全体のイラストマッ
プが描かれているほか、2階にはダム建設時の
記録写真や、奥多摩の自然を紹介したパネルを
化学物質の安
全対策
展示し、訪れる方々が理解を深めることができ
ます。
都立高校の奉仕体験活動の様子
工事における環
境配慮の推進
自然環境・景
観の保全
小河内ダム展望塔の案内図
研究開発
水道水源林の管理は、平成 13 年(2001 年)に 100 周年を迎え、現在は、次の
100 年を見据えて着実な森林管理を進めるとともに、水源かん養機能等を向上させる
環境コミュニ
ケーション
複層林化の推進や間伐材の有効利用などの施策にも取り組んでいます。また、第 10 次
環境マネジメ
ントシステム
22
水道水源林管理計画から開始した、多くの人に親しまれる水源林への取組として、多
摩川水源森林隊や水源林ふれあいウォーク、水道教室などの水源地における交流・連
水源管理事務所長
青木 秀幸
携事業を積極的に行っています。今後は、これらの事業をさらに拡充し、より多くの方々
に水道水源林の役割や森林保全の取組について理解していただくよう努めていきます。
東京都水道局 環境報告書 2011