平成23年度 新プロジェクト創出コラボレーション促進事業成果報告 平成23年度 新プロジェクト創出コラボレーション促進事業成果報告 ジェムリサーチジャパングループ 事業成果 カラー解析による宝石のクラス分け装置の開発 代表企業:ジェムリサーチジャパン株式会社 (宝石鑑定業) 住 所:〒542-0083 大阪市中央区東心斎橋1-3-10 代表者名:宮﨑 智彦 電 話:06-6252-1222 ■ダイヤモンドを色によってクラス分けを行うためにはダイヤモンドの帯びている黄色みを定量化す る必要がある。カラーを数値として表す方式はいくつかあるがここではよく用いられているXYZ 表色系を用いる。この方式は試料の赤色成分をx軸、緑色成分をy軸にとりその色を2次元座標上 に表す方式である。XYZ表色法による数値化法の過程を図1に示す。カラー鑑定にはD65ランプ が光源として用いられる。ダイヤモンドの透過率の測定は屈折率が2.42と天然物の中では最も大き い部類に属することおよび輝きを増すため反射光を多くするようにカットされているため容易では なく照射法を工夫する必要がある。反射光を測定することによってダイヤモンドの透過率を得るた 担当コーディネータ:松下 賢二(近畿産業技術クラスター協同組合 工学博士) 構成企業 ジェムリサーチジャパン株式会社(宝石鑑定業) 、 株式会社フジ工芸(宝石貴金属加工卸売業) 、藤本商店(宝石貴金属卸売業) 、 今在家精工株式会社(精密金属加工業) めの光学系を図2に示す。ハロゲンランプからの白色光を拡散させダイヤモンドに照射し、反射光 を積分球で集め受光部の光ファイバに導 く。ファイバの他端は分光器に接続されて おり、カラー分解されたスペクトルデータ が得られる。カラー鑑定の色基準となるマ スタースストーンのEランクからJランク までの6種類のダイヤモンドの測定から得 られたxyz色度座標値を2次元座標にプ ロットした結果を図3に示す。図の右上の 目 的 方向が黄色が濃くなっていく方向であり、 ■鑑定士の目に頼っているダイヤモンドのカラーグレーディングを光学的手法を用いた色解析システ ムを構築し客観的データに基づくグレーディング装置を開発すること ・ダイヤモンドの透過率を精度よく計測できる光学系を確立する。 ・計測データからカラー情報を得るためのデータ処理法を確立する。 ・高精度でカラー解析の可能な装置を設計、試作しその性能を評価する。 Gランクのマスターストーンを除いてEラ ンクからJランクまでランク順の通り直線 状に配置されている。Gランクのマスター ストーンについては透過率スペクトルの更 なる検討が必要であるが他のランクのダイ ヤモンドについては反射光計測による定量 化が可能だと考えられる。 図1.色度座標の求め方 事業内容 ■ダイヤモンドの品質はCarat(重量)、Color(色)、Clarity(透明度)、Cut(形状)の4Cで評 価される。このうちCaratやCutは重量計や形状測定などで定量化しやすい要素である。Clarityに ついては顕微鏡を用いて傷や含まれている微小な異物の検出が行われている。しかしながらColor については微妙な黄色の着色の度合いによってDからZまで23段階にクラス分けしそのグレードを 評価するものでありほとんどの場合鑑定士の目に頼っている。そのため鑑定士による個人差、鑑定 士の体調、照明などの周囲環境などに影響を受ける可能性があり、また鑑定士の恣意的な意思が入 り込む余地も残されている。これらの問題点を解決する一つの方法として光学的な手法を用いて色 検出を行いそのデータを基にクラスわけを行うことが考えられる。客観的なデータに基づくクラス 装置を開発することにより顧客の安心感も増し販売の促進にもつながる。高精度でクラスわけを実 行できれば鑑定士の補助装置として、また低価格の簡易型装置が開発できれば宝石店や質屋などの 流通関係にも需要があるものと思われる。 図3.マスターストーンのプロット 図2.反射光測定法 今後の目標 ■透過率測定の光学系を構成し、得られたデータからカラー解析を行うこと ■反射率測定と透過率測定のそれぞれについてその光学系構成の容易さ、測定データの安定性、カラ ー解析のしやすさなどを評価すること ■上の結果に基づいてカラー解析装置を試作しその性能を確かめること 17 18
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