2001. 5. 18 NO. 号外 日本航空機長組合 TEL 03-5756- 3909 日 本 航 空 先 任 航 空 機 関 士 組 合 日本航空乗員組合 TEL 03-5756-3074 TEL 03-5756-9251 世界中で進められる待遇改善の運動! 第9回 Alliance 会議報告(その2) 今回の会議における各国の報告から、全世界的な航空業界の好況を背景に 会社に待遇の改善を迫っている様子が見て取れます。その原動力となってい るのはやはり個人の意識と行動力なのです。 以下、各乗員組合からの報告の要旨をまとめます。 Ø Hong Kong Aircrew Officers Association (HKAOA; キャセイパシフィック乗員組合) ・労働契約交渉が 1999 年以来、長きにわたって継続している。 ・会社は悲観的な業績見通しをしていたが、結果として 2000 年は大きな 利益を上げた。 *今回 HKAOAの代表として会議に参加した John Findlay氏は HKAOA の事務局長ですが、乗員ではなく、常勤の事務職です。アシスタン ト職ではないので、当然会社との交渉にも出席します。こういった 法律その他の実務に精通した専門家は、英国航空乗員組合などでも 採用しています。 Ø 英国航空乗員組合 ・機材の更新が継続しており、在来型 747 は来年 3 月で退役する。また、 この更新に伴って、客室のコンフィギュレーションも、Cクラスを増 席するよう変更されている。 ・賃金交渉がまもなく始まるが、今回は大幅な賃上げが期待される。 ・今後数年間で大量の定年退職者が出るため、定年年齢の引き上げにつ いて議論中である。 ・会社は、アメリカのカーゴ会社と合弁で新会社を作り、運航を始めた。 今後の動きを注視している。 Ø フィンランド航空乗員組合 ・昨年大規模な機構改革が行われたが、その最中にも関わらず、1 億 2 千万ユーロ(約 130 億円)の利益を上げた。 ・新経営陣の下、経営戦略と事業方針も精査されている。 ・2 月に新協定を締結したが、5 月末までに賃上げを含む新賃金制度で 合意に至らない場合には、新協定は 11 月末で失効となる可能性もある。 Ø イベリア航空乗員組合 ・会社は今年 4 月に完全民営化されたが、その直前にはパイロットが今 後の契約交渉の成り行きに不安を持ったため、定時出発率は 22%以下 にまで下落した。 ・現行労働契約は昨年 12 月に失効したが、新契約が締結されるまでは自 動的に延長される。今回の契約交渉では、カットされた賃金の回復な どがポイントとなる。 ・会社は伝統的に組合敵視の姿勢をとっており、争議行為なしには、コ ストのかからない回答であろうともしようとしない。 Ø エア・リンガス乗員組合 *エア・リンガスはアイルランドを本拠とする航空会社です。 ・賃金問題での労使紛争がいまだ解決しておらず、現在は仲介役のアイ ルランド労働関係委員会(Labour Relations Commission)と会談を 持っている。 ・500 名の組合員に対して、未消化の年休は 1400 週分にものぼる。会 社はパイロット不足を理由に、当面年休を与えない方針を明らかにし ている。これに対し、組合員が大量の年休を取る動きがある。 Ø カンタス航空乗員組合 ・国内線は、競争の激化から 25%の収入減。しかし、国際線は 26%増 と好調で、全体として収支はほぼ横這い。 -2 - ・今まで機材は全てボーイングであったが、今回 A330 と A318 の導入 を決定。 Ø AEROPERS(スイス航空乗員組合) ・持ち株会社化により、Sairgroup(エスエアーグループ)の所有とな った。現在のスイス航空には、1250 名のパイロットと 4000 名のキャ ビンクルー、それに若干名の地上職がいるに過ぎない。 ・グループは 2000 年には 16 億 US ドル(約 1960 億円)の損失を計上 した。新 CEO に就任したマリオ・コルティ氏は、大がかりなリスト ラに着手することを発表している。 ・組合は 2 年間にわたって 5%の賃金カットを提案し、その見返りとし て 1150 名のパイロットの雇用の確保を含む 3 年間の労働契約の延長 を求めている。 Ø ランチリ航空乗員組合 ・国内経済は緊縮傾向にあるが、航空輸送に関しては国内・国際の旅客・ 貨物とも 14%近い伸び率を示している。 ・会社は積極的に海外進出をすすめている。 ・ランチリはおそらく oneworld 加盟航空会社の中で最低の賃金ではな いかと思われる。参考までに、767 のキャプテンで月々の賃金は手取 りで 4000US ドル(約 50 万円)となる。 Ø Allied Pilots Association(APA; アメリカン航空乗員組合) ・新委員長として、Capt. John Darrah が就任。Darrah 機長は 36 歳。 ・会社の業績は好調。2000 年は歴史的な利益を記録。 ・AMR(アメリカン航空の持株会社)が TWA を買収、またユナイテッ ド航空が買収した US Air の資産の一部を譲り受ける契約に合意。これ によって、アメリカン航空は世界最大の航空会社となる(従業員数約 13万5千人、うちパイロット約1万6千人) -3 - 次回のニュースでは、日本からの報告についてお伝えします。 -4 -
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