カキ殻の土木材料への再資源化

カキ殻の土木材料への再資源化
宮本正規*
谷 口 克 也 **
山 田 幹 雄 ***
端 新 四 郎 ****
能登半島に位置する中島町及び穴水町は日本海側で最大のカキ養殖産地である。地場産業の振興を図
る上からも多量に発生するカキ殻の再資源化が大きな課題となっている。本研究では,土木分野へのカ
キ殻の再利用を目的に,カキ殻の特性を活かした利用法を検討した。室内試験の結果を踏まえ,軟弱地
盤が多い中島町の道路拡幅工事等に試験施工した。得られた結果は以下のとおりであり,破砕したカキ
殻を土木材料に応用できることを確認した。
(1) 細 孔 を 有 す る カ キ 殻 は 細 粒 化 す る ほ ど 吸 水 性 が 向 上 す る の で 砂 の 代 替 化 が 可 能 で あ る 。
(2) カ キ 殻 と 安 定 剤 と の 併 用 に よ り , 一 軸 圧 縮 強 度 の 相 乗 効 果 が 期 待 で き る 。
(3) 試 験 施 工 に お い て も カ キ 殻 の 吸 水 性 効 果 に よ っ て 強 度 が 改 善 さ れ る こ と が 確 認 さ れ た 。
キ ー ワ ー ド : カ キ 殻 , 一 軸 圧 縮 強 度 , CBR, 含 水 比
Reuse of Oyster Shell Resources as Civil Engineering Materials
Masaki MIYAMOTO, Katsuya TANIGUCHI, Mikio YAMADA and Sinshiro HANA
One of the biggest oyster farms on the side of the Japan Sea are Nakashima-machi and Anamizu-machi, both located
in the Noto Penninsula, Ishikawa Prefecture. With a view to promoting the industries of Ishikawa Prefecture, the reuse of
large amounts of oyster shell resources has become an important issue. This study was carried out for the application of
the oyster shell resources to civil engineering materials. Based on our laboratory experiments, oyster shell was used as a
field test in a road broadening construction at Nakashima- machi whose soil is soft in its great part. The following results,
confirming that oyster shell could be applied as civil engineering materials, were obtained
(1) The moisture absorption ability of oyster shell increases as it is milled into small pieces because of its micro-pores.
It suggests the effective way of the addition of oyster shell to soft soil.
(2) The unconfined compressive strength is improved by the use of oyster shell and hardening material.
(3) In the field test of the road construction, the improvement in the mechanical strength by the moisture absorption effect
of milled oyster shell was recognized.
Keywords:o yster shell, unconfined compressive strength, california bearing ratio, water content
1.緒
言
そ の 圃 場 整 備 事 業 も 平 成 11 年 度 の 終 了 に 伴 い , 漁 業
石川県中島町及び穴水町は,日本海側で最大のカ
キ養殖産地として知られている。特に,中島町は全
振興の観点からも大量に発生するカキ殻の再資源化
が大きな課題となっていた。
体 の 90% を 占 め て お り , 約 8億 円 の カ キ を 出 荷 し て お
り,町の主要産業の一つである。
国内の主要なカキ養殖産地は広島,三重,宮城各
県 等 が 挙 げ ら れ る が , 全 体 で 年 間 20 万 ト ン を 超 え る
カキはほとんど剥き身で出荷するため,毎年3∼4
カキ殻の一部が飼料,土壌改良材,暗渠排水のろ過
千トン1)発生するカキ殻を一般廃棄物として町の共
材に利用されているに過ぎず,そのほとんどは野積
同保管場に一時保管して有機物を分解させた後,こ
み状態となっているのが現実である。再資源化を目
れまでは圃場整備事業として,カキ殻の形状を利用
指した研究には水処理材2)や土木分野ではサンドコ
し,暗渠排水のろ過材に利用されてきた。しかし,
ンパクションパイル工法による砂の代替化3)及びア
スファルトフィラー4)への適用性が挙げられる。
*
化学食部
***
**
北 川 ヒ ュ ー テ ッ ク (株 )
国立福井工業高等専門学校
****
カキ殻は炭酸カルシウムであり,我が国で自給で
中島町役場
-1-
きる唯一の鉱物資源であることを踏まえて,その再
資 源 化 計 画 と し て 1)大 量 使 用 が 可 能 で あ る こ と
廃棄物の再資源化に理解があること
表1
カキ殻の化学組成
(mass% )
2)
I.L
SiO 2
Al 2 O 3
Fe 2 O 3
CaO
MgO
R2O
P2O5
SO 3
3)地 域 限 定 型
42.7
2.95
1.27
0.36
50.5
0.49
0.76
0.09
0.43
で輸送コスト及び加工コストを最小限に留めること。
こ の 3条 件 を 再 資 源 化 の 前 提 条 件 と し た 。
カ キ 殻 の 化 学 組 成 は 表 1 よ り 主 と し て Ig Loss(脱 炭
本研究は産学官連携による能登地域未利用資源活
酸 と 有 機 物 )と CaOで あ る が , カ キ 殻 の 表 面 は 凹 凸 が
用事業の一環で行い,前述した前提条件を基に金属
激しいので一部土が付着しており,土を構成する珪
精錬材料への応用と土木材料への応用に絞り検討し
酸 塩 が 少 量 含 ま れ て い る 。 MgOは SiO 2 及 び Al 2 O 3 と の
た。最初に石灰石の代替原料にカキ殻を用いた金属
比率から予想されるよりも多く含まれている。
精 錬 を 操 業 炉 ( ア ー ク 炉 )で 実 証 実 験 を 行 い , 金 属 精
錬材料に利用できることを既に報告した。5)
土木材料への応用を検討した背景には,中島町周
辺の地盤が極めて軟弱で土質改善に関心が強くしか
も地元で発生するかき殻の再資源化に理解が深いこ
とが挙げられる。そこで基礎実験で細粒化したカキ
殻を砂状骨材として利用して,カキ殻自身が軟弱土
中の水分を取り込み見掛け上の含水比を低減させる
効果のあることを確認した。その基礎試験の概要と
2002年 3月 に 中 島 町 西 谷 内 地 区 に あ る 町 道 呉 竹 線 拡 幅
工事でカキ殻を路床材に応用した試験施工の概要に
ついて報告する。
図2
2.実験方法
2.1
カ キ 殻 の 表 面 構 造 (SEM写 真 )
カ キ 殻 の 外 表 面 は 図 2に 示 す SEM写 真 か ら 薄 片 状 の
カキ殻
隔壁がカードハウス構造になっており,毛管現象に
貝殻 はい ずれ も結晶 性炭 酸カ ルシ ウムで ある が, よる吸水性が高いことが推察される。
その結晶相は生息する海域の水温,水深等の外的要
基礎試験に用いたカキ殻は七尾西湾漁協から入手
因でなく貝殻の種類で決定される。例えば,カキ,
し,3段階に分けて粉砕したカキ殻の粒度別の諸物
ホタテは方解石であり,赤貝やアサリ等は霞石であ
性を表2に示す。基礎試験に用いたカキ殻の平均粒
る。カルシウムよりもイオン半径の小さいマグネシ
径 は , 大 : 5mm, 中 : 1.2mm 小 : 0.2mmで あ っ た 。
ウ ム や 亜 鉛 等 の 2価 陽 イ オ ン を 含 む 炭 酸 塩 は 方 解 石 と
表2
カキ殻の諸物性
なり,ストロンチウムやバリウムのようなカルシウ
項目
ム よ り も イ オ ン 半 径 の 大 き い 2価 陽 イ オ ン を 含 む 炭 酸
含 水 比 (%)
単位体積重量(t /m3)
吸 水 量(%)
塩は霰石となる。
粒度
大
中
小
1.2
0.66
9.7
4.0
0.69
19.5
7.5
0.73
25.7
図 1に 示 す カ キ 殻 の X 線 回 折 プ ロ フ ァ イ ル か ら 方 解
石であることがわかる。
含水比とは水とカキ殻の重量比率を示し,粒径が
細 か く な る 表 面 積 が 大 き く な る た め , 吸 水 量 が 3倍 強
X線 強 度 (cps)
10000
増加していることがわかる。
8000
6000
4000
2.2
2000
対象土
基礎試験及び試験施工に用いた土は含水比率の異
0
10
20
30
40
50
60
2θ
図1
70
80
なる各地域から土を採取した。
基礎試験
カキ殻のX線回折パターン
低含水比土:石川県能美郡辰口町
-2-
ることがわかる。
中含水比土:石川県河北郡津幡町
浜 田 土 (中 島 町 )は 辰 口 , 津 幡 土 と 比 較 し て シ ル ト
高含水比土:石川県鹿島郡中島町浜田地区
質であるにも関わらず顕著に含水比が高いのは,腐
試験施工
高含水比土:石川県鹿島郡中島町塩津地区
植質が多いために増加した土粒の隙間への毛管水に
中 島 町 周 辺 の 地 盤 は 極 め て 軟 弱 で 地 表 面 下 0.3 ∼
よるもので締め固め特性の最大乾燥密度からも推察
0.6m で 自 然 湧 水 が あ り , 深 さ 約 8 m ま で シ ル ト 層
することができる。腐植質が多い土はフミン酸に変
(0.074 ∼ 0.005mm) と な っ て い る 。 地 面 の 強 さ は 標 準
化 す る た め p H (KCl溶 液 )が 他 の 土 と 比 べ て 極 度 に 低
貫 入 試 験 (JIS A1219) で 地 面 か ら 75cm の 高 さ か ら
く く , 4.86で あ っ た 。
63.5kg の 鉄 の 重 り を 落 下 さ せ て 中 空 パ イ プ を 地 面 下
西谷内地区で試験施工に用いた改良対象土の諸物
30cm ま で に 貫 入 さ せ る た め に 要 す る 打 撃 回 数 (N 値 )
性 を 表 4に 示 す 。 浜 田 地 区 に お け る 改 良 対 象 土 と 比 較
は わ ず か 2以 下 に 過 ぎ な い 。
すると,シルト,粘土分が更に多い。
表4
上 記 に 示 す 対 象 土 の 粒 径 分 布 及 び JIS法 で 評 価 し た
試験施工に用いた改良土
諸 物 性 を 図 3及 び 表 3に 示 す 。
100
累積通過百分率(%)
90
高含水比土
80
70
60
中含水比土
試験施工土
50
低含水比土
40
30
20
10
0.001
0.01
図3
0.1
粒 径(mm)
1
10
2.3
各地域の土の粒径分布
安定剤
基礎試験では高・中含水比土の土質が粘性土であ
る こ と か ら , 安 定 剤 に セ メ ン ト 系 固 化 材 (ア サ ノ ク リ
低含水比土である辰口の土は砂質>>シルト質>
ー ン セ ッ ト )を 用 い た 。 一 方 , 中 島 町 浜 田 地 区 の 宅 地
粘土質の順に構成されている。一方,高含水比土で
造成地及び呉竹線拡幅工事の試験施工には太平洋セ
あ る 浜 田 地 区 (中 島 町 )の 土 は シ ル ト 質 > > 砂 質 > 粘
メ ン ト (株 )製 で セ メ ン ト 系 固 化 材 (ジ オ セ ッ ト 10
土 質 の 順 に な っ て い る 。 更 に 西 谷 内 地 区 (中 島 町 ) の
弱 土 用 )を 用 い た 。
軟
拡 幅 工 事 で 施 工 し た 土 は 塩 津 地 区 (中 島 町 )の 道 路 改
良現場から搬出した土でシルト質>>粘土質粘土質
2.4
>砂質の順で平均粒径からは粘土質に近いシルト質
2.4.1
であることがわかる。
表3
各地域の土の諸物性
試験方法
供試体の作成方法
基 礎 試 験 に 用 い た 土 は 2.5mmフ ル イ で 礫 等 を 除 去 し
た後,次に試料を均一に混合した後,含水比を測定
した。
設 定 含 水 比 ( 試 験 含 水 比 )は そ の 土 が 自 然 状 態 で 通
常 存 在 す る 中 で か な り 高 含 水 比 の 状 態 (軟 弱 な 状 態 )
を想定するため,それぞれの土の液性限界に近い含
水 比 と し , 低 含 水 比 土 は 30 % , 中 含 水 比 土 は 50 % 及
び 高 含 水 比 土 は 80% と し た 。
混合した試料の土をビニール袋に密閉し,室温で1
週間以上養生した。試験に供する前に再度混合し,
含 水 比 を 測 定 し て 設 定 含 水 比 の ±2% 以 内 (低 含 水 比
浜 田 土 の 自 然 含 水 比 は 液 性 限 界 の 79% を 遙 か に 超
えており,形が保持できないほど高含水比の土であ
土 は ±1% 以 内 )で あ る こ と を 確 認 し た 。
2.4.2
-3-
供試体の評価方法
1200
一軸圧縮強度(kN/m )
一 軸 圧 縮 強 度 (JIS A1216) : 円 柱 状 試 料 (d : 50mm ,
1000
低含水比土
2
L: 100mm)を 一 軸 圧 縮 試 験 機 に セ ッ ト し た 後 , 毎 分 1
%の圧縮ひずみが生じる割合で連続的に供試体を圧
縮させて応力−ひずみ曲線を作成する。 供試体の一
軸圧縮強度は下記の式で算出する。
800
600
中含水比土
400
200
高含水比土
0
こ こ に σ : 圧 縮 応 力 ( kN/ m 2 )
0
P : 圧 縮 歪 み ε の 供 試 体 に 加 え ら れ た 力 (N)
10
20
30
40
カキ殻添加率(%)
A 0 : 圧 縮 す る 前 の 供 試 体 の 断 面 積 (m 2 )
図4 カキ殻添加率と一軸圧縮強度との関係
D 0 : 圧 縮 す る 前 の 供 試 体 の 直 径 (m)
CBR試 験 (JIS A1211): モ ー ル ド (径 150mm)内 で 締 め
なり,高含水比土より低含水比土が顕著な添加効果
固 め た 土 の 供 試 体 に 一 定 速 度 で ピ ス ト ン (径 54mm)に
が確認された。
荷 重 を か け て 土 に 2.5mm貫 入 さ せ た 時 の 荷 重 と 標 準 荷
3.1.3
重 (13.4kN)と の 比 率 で 表 示 さ れ る 。
安定剤の添加効果
高含水比土における安定剤の添加率と一軸圧縮強
CBR は 土 の 支 持 力 を 示 す 重 要 な 指 標 と し て 道 路 の
度 と の 関 係 に つ い て , カ キ 殻 無 添 加 と 20% 添 加 し た
設計・施工する際に必ず求められる項目の一つ。一
データと比較した。
級 国 道 の 設 計 CBRは 20% 以 上 と な っ て い る 。
250
3.1
一軸圧縮強度(kN/m2)
3.結果と考察
基礎試験
3.1.1
カキ殻の吸水性
カキ殻が土木材料に適しているか基礎試験を行っ
た 。 試 験 は 2mm以 下 に 破 砕 し た カ キ 殻 の 吸 水 性 の 有
用 性 を 確 認 す る た め , 内 径 70mm, 高 さ 190mmの 円 筒
形状のアクリル樹脂容器の底に礫分を取り除いた
2mm以 下 の 土 (含 水 比 26.6% )を 入 れ る 。 次 に 2,000μ m
カキ殻添加
200
150
100
カキ殻無添加
50
0
0
以下に破砕した乾燥したカキ殻を投入し,再び同じ
5
10
安定剤の添加率(%)
15
含 水 比 土 を 入 れ た そ の 上 に 質 量 400gの 重 錘 を 乗 せ た 。
図5
各 層 の 高 さ を 100mm と し た 。 上 部 開 口 部 を ラ ッ プ フ
ィルムで密封してカキ殻の吸水性を評価した。
安定剤の添加率と一軸圧縮強度との関係
低含水比土 1.7 そ の 結 果 , 上 下 部 の 土 の 含 水 比 は 22.8% , 22.5% と
中含水比土 0.4 な り , 試 験 前 と 比 較 し て 含 水 比 が 4% 減 少 し た 。 一 方 ,
5.7 31 1.1
94
26 48
カ キ 殻 の 含 水 比 は 17.0% ま で 上 昇 し た こ と か ら , カ キ
相乗効果
CBR値
殻が吸水性に優れている素材で土の最大乾燥密度を
改善できることが確認された。
3.1.2
カキ殻の添加効果
中粒度に調整したカキ殻の添加率と一軸圧縮強度
と の 関 係 を 図 4に 示 す 。 い ず れ も カ キ 殻 の 添 加 率 を 高
めるにつれて一軸圧縮強度は増加する。しかし,軟
原 土 カキ殻単独 安定剤単独 カキ殻
安定剤
弱 土 に お け る そ の 添 加 効 果 は 30% が 限 度 で あ る 。
一 方 , 低 含 水 土 (辰 口 町 )の 一 軸 圧 縮 強 度 は カ キ 殻
30% 添 加 で 1,000kN/m 2 を 超 え , 無 添 加 の 約 3倍 強 と
図6
-4-
カキ殻・安定剤添加による相乗効果
図 5よ り 安 定 剤 の 添 加 率 を 高 め る こ と に よ り , 一
殻はブルドーザーの転圧で粉砕したものを用い,含
軸圧縮強度はいずれも向上するが,カキ殻の添加効
水 比 は 18.9% で あ っ た 。 混 合 は ス タ ビ ラ イ ザ , 転 圧 は
果は安定剤の添加率が高いほど大きく現れる。
振 動 ロ ー ラ 等 を 用 い て 施 工 し た 。 施 工 3ヶ 月 後 の 現 場
図 6は 低 ・ 中 含 水 比 土 そ れ ぞ れ の CBR値 を 模 式 的 に
CBR で は C : 17 → 29 % , D : 25 → 40 % , E : 28 → 56 %
表したもので,カキ殻のみでは大きな強度改善が期
となり,カキ殻と消石灰の併用による添加効果が確
待できない。しかし,安定剤と併用した場合には,
認された。土と消石灰若しくはカキ殻が反応して珪
カキ殻・安定剤それぞれ単独で用いた場合より,大
灰 石 化 (wollastonite) し て い る か X 線 回 折 で 確 認 し た
きく相乗効果が認められる。
が,生成されていないことがわかった。
3.1.4
2 回 目 の 試 験 施 工 は 平 成 14年 3 月 に 中 島 町 西 谷 内 地
カキ殻の吸水による強度改善効果
区 町 道 で 行 わ れ , 試 験 施 工 の 工 区 割 り を 表 6に 示 す 。
対 象 土 の 含 水 比 を 横 軸 に , 縦 軸 に は カ キ 殻 を 20%
表6
添加と無添加における一軸圧縮強度比との関係を図7
工 区 安定剤添加率(%) カキ殻添加率(%)カキ殻含水比(%)
A
16
-
-
B
16
20
14
C
16
20
30(飽和状態)
に示す。
七尾市以北での路床改良や浅層地盤改良では,大
半 対 象 と な る 軟 弱 土 の 含 水 比 の 範 囲 (30 ∼ 80 % )に 入
各 工 区 の 長 さ は A 工 区 : 20 m , B 工 区 : 25 m , C工
っ て い る 。 そ こ で 対 象 土 の 含 水 比 が わ か れ ば 図 7よ り
増加する一軸圧縮強度を概略推定することができる。
6
中粒度
対象土、搬入、整正
高含水比
強度比
したカキ殻の工区を設定した。
細粒度
中含水比
8
区 : 25m と し , 改 良 厚 さ は 各 工 区 と も 30cmと し た 。
今回の試験施工では飽水したカキ殻と含水比を低減
低含水比
10
試験施工の工区割り
4
A,B,C工区固化材敷均し
1t当たりの混合面積を算出し、敷均し
2
B,C工区カキ殻敷均し
低含水比のカキ殻は自然乾燥
0
0
20
40
60
80
100
混 合
対象土の含水比
図7
対象土の含水比によるマスターカーブ
混合試料採取
整正、転圧
カ キ 殻 は 図 2の SEM写 真 よ り 多 孔 質 構 造 に な っ て い
るので,粉砕物の吸水性は粒度が細かいほど高まる。
混合はスタビライザ使用
混合後、試料をビニル袋に採取
転圧は3tローラを使用
下層路盤工 施工
軟弱土と混合した際にこの細孔への吸水により土相
図8
の 含 水 比 を 下 げ る こ と に よ り , 強 度 が 2∼ 7 倍 改 善 さ
試験施工の手順
れる。
3.2
試験施工
最 初 の 試 験 施 工 は 平 成 12 年 10 月 に 浜 田 地 区 の 宅 地
造 成 地 で カ キ 殻 の 添 加 効 果 を 確 認 す る た め , 表 5に 示
す よ う に 5工 区 に わ け て 行 っ た 。 1工 区 の 当 た り の 改
良 面 積 は 20m 2 (長 さ 10m ×幅 2m )で 深 さ は 0.4m で あ
る。なお,カキ殻及び消石灰の添加率は改良土重量
に対する比率を示す。なお,試験に供した表5 のカキ
表5
試験施工した道路
試験施工の区割り
消 石 灰 カキ添加率
添 加 率 無添加
15%
30%
無 添 加 A工区
−
D工区
6%
B工区 C工区 E工区
図9
拡幅工事現場
試 験 施 工 は 図 8に 示 す 手 順 で 行 い , 施 工 後 の 現 場 写
真 を 図 9に 示 す 。
-5-
3.2.1
事業で建設する運びとなった。同施設は発生するす
室 内 CBR試 験
べ て の カ キ 殻 を 3ヶ 年 屋 外 に 保 管 し て 貝 に 付 着 し て
混 合 し た 試 料 に つ い て 試 験 室 で 当 日 中 に CBR 試 験
供 試 体 を 作 製 し た 。 7日 及 び 28日 後 に CBR試 験 を 行 い , い る 塩 分 の 除 去 と 有 機 物 を 完 全 に 分 解 さ せ た 後 , 所
定の粒径に粉砕して土木材料,土壌改良材,金属精
各 平 均 値 を 表 7に 示 す 。
表7
工 区
A
B
C
錬材料等に供給される。
室 内 CBR試 験
含水比 乾燥密度 CBR(7日) CBR(28日)
(%)
(g/cm3)
(%)
(%)
45.8
1.16
8.4
12.2
43.7
1.198
13.6
15.1
48.7
1.151
8.8
9.6
4.結
言
(1) カ キ 殻 を 破 砕 し た 粒 径 が 小 さ い ほ ど 吸 水 性 が 高
く,軟弱土対策に適している。
(2) カ キ 殻 の 添 加 率 の 増 加 に よ り , 一 軸 圧 縮 強 度 は
表 7の 含 水 比 は 混 合 し て か ら 5時 間 後 に 測 定 し て い
向 上 す る が , 軟 弱 地 盤 で は 30% が 限 度 で あ る 。
るため,セメントの水和反応に使用される水分量も
(3) カ キ 殻 単 独 で 使 用 す る よ り , 安 定 剤 と の 併 用 に
少なく,各工区とも大差が見られない。乾燥密度は
よ っ て CBRの 相 乗 効 果 が 期 待 で き る 。
含 水 比 と 同 様 で 大 差 な い が , 工 区 Bで は 含 水 比 の 影
(4) 対 象 土 の 含 水 比 (30 ∼ 80% )を 知 れ ば 増 加 す る 一
響でやや高くなっている。
軸圧縮強度を概略推定することができる。低含水
CBRは 7日 及 び 28日 強 度 の 評 価 で は , 固 化 反 応 が か
比の土質ほどカキ殻の添加効果が顕著である。
なり進んでいると考えられる。安定剤により水分が
(5) カ キ 殻 と 消 石 灰 と の 併 用 に よ る 試 験 施 工 で は , 3
消費されるので相対的に含水比の低下したことでカ
ヶ 月 後 と 直 後 の 現 場 CBRの 比 率 は 1.6∼ 2.0と な り ,
キ 殻 の 添 加 効 果 が 現 れ て い る 。 C工 区 の 試 験 結 果 か
い ず れ も CBR が 改 善 さ れ て い る こ と が 確 認 さ れ た 。
ら,飽水状態のカキ殻では添加効果は期待できない
(6) 試 験 施 工 に お い て も カ キ 殻 の 吸 水 性 効 果 に よ っ
ことが判明した。
3.2.2
て強度が改善されることが再確認された。
現場密度試験
今回の試験施工は路床改良後引き続き下層路盤の
謝
施 工 を 行 う た め , RI水 分 計 で 評 価 し た 。 各 工 区 と も
本 研 究 を 遂 行 す る に 当 た り , 真 柄 建 設 (株 )技 術 研
3地 点 に つ い て 測 定 し た 結 果 を 表 8に 示 す 。 表 8よ り
究 所 , 佐 藤 道 路 (株 )北 陸 支 店 , 大 田 行 政 書 士 事 務 所
含水比及び乾燥密度は室内試験の結果と比較して含
及び七尾西湾漁業協同組合の皆様のご協力に感謝し
水比が低く,乾燥密度は逆に少し高くなっている。
表8
工 区
A
B
C
辞
ます。
現場密度試験
含水比 湿潤密度 乾燥密度
(%) (g/cm3)(g/cm3)
45.1
1.696
1.169
42.5
1.724
1.21
46.3
1.708
1.168
参考文献
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土 木 技 術 , Vol.50, No.2(1995)
た わ み 量 は 含 水 比 が 最 小 の B工 区 が 最 も 少 な く 平 均
4) 篠 原 俊 彦 , 菅 沼 建 弥 , 奥 村 雅 幸 : 貝 殻 の ア ス フ ァ
で 1,200 μ m で あ る が , 飽 水 し た カ キ 殻 を 用 い た C 工
ルト混合物用フィラーとしての適用性,土木学会
区 で は 平 均 で 1,700μ mと な り , 施 工 条 件 に よ っ て た
第 49回 年 次 学 術 講 演 会 , 88-89(1994)
わ み 量 が 大 き く 異 な る 。 3ヶ 月 経 過 後 裁 荷 直 下 の た
5) 宮 本 正 規 , 室 谷 貴 之 , 廣 瀬 幸 雄 , 山 田 恒 二 , 吉 野
わ み 量 は C工 区 の 一 部 を 除 き 900μ m以 下 に 減 少 し た
了 : 石 川 県 工 業 試 験 場 研 究 報 告 , No.48 , p.49-
ことから舗装基準をクリアしている。
54(1999)
中島町はカキ殻の再資源化を積極的に進めるため,
用 途 に 応 じ た 前 処 理 施 設 を 平 成 14年 度 か ら 国 庫 補 助
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