問題と解答 - 天文宇宙検定

第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
1
問題
正答
銀河の各種観測量の間には、経験的な相関(スケーリング則)が
見つかっている。次のうち、説明が正しいものを選べ。
①フェイバー-ジャクソン関係とは、円盤銀河の光度がそれを構成
する恒星の速度分散の4乗に比例するスケーリング則である
②タリー-フィッシャー関係とは、楕円銀河の光度がその回転速度
の4乗に比例するスケーリング則である
③色-等級関係とは、楕円銀河の光度が大きいものほど色が赤い
という相関である
④密度-形態関係とは、銀河の数密度が高い領域ほど円盤銀河が
多く、低い領域ほど楕円銀河が多いという相関である
2
図は様々な温度の黒体放射スペクトルを表す。黒体輻射スペクト
ルについて正しいものを選べ。
解説
③ ①、②、④について正しい説明は次の通り。
・フェイバー-ジャクソン関係とは、楕円銀河の光度が
速度分散の4乗に比例する
・タリー-フィッシャー関係とは、円盤銀河の光度が回転
速度の4乗に比例する
・密度-形態関係とは、銀河の数密度が高い領域ほど
楕円銀河が多く、低い領域ほど円盤銀河が多い
フェイバー-ジャクソン関係とタリー-フィッシャー関係
は、銀河の質量(光度に比例する)による重力を、恒星
の速度分散や円盤の回転運動で支えるという力学的
な関係であると理解されている。色-等級関係は、特
に、銀河団内の楕円銀河について見られる関係で、光
度の大きな楕円銀河ほどそれを成す恒星の金属量が
高く、赤い色に見えると解釈されている。これは楕円銀
河の形成メカニズムに対し制限を与える関係である。
密度-形態関係も、銀河団中の楕円銀河や低密度領
域に多い円盤銀河の形成メカニズムに対して大きな示
唆を与える関係である。
② いわゆるウィーンの変位則から、黒体輻射スペクトル
のピークの振動数は温度に比例し、逆にピークの波長
は温度に反比例する。図は対数スケールで描いてあ
り、ピークを結んだ直線の傾きが3であることから、ピー
クの強度は温度の3乗に比例することがわかる。数式
的には、黒体輻射がB ν(T )=(2h /c 2)T 3(ν/T )3/
[exp(h ν/kT )-1]と表せるので、(ν/T )が一定の
ときに、B ν(T )∝T 3になる。
①ピークの振動数は温度に比例し、ピークの強度は温度の2乗に
比例する
②ピークの振動数は温度に比例し、ピークの強度は温度の3乗に
比例する
③ピークの振動数は温度に反比例し、ピークの強度は温度の2乗
に比例する
④ピークの振動数は温度に反比例し、ピークの強度は温度の3乗
に比例する
3
カーナビに使うGPS衛星は、高度2万kmを高速(秒速4km)で周回し
ている。このため、特殊相対論の効果と一般相対論の効果により、
衛星と地上では時計の進み方が異なってくる。カーナビによって自
分の現在地を正確に知るためには、衛星の時計と地上の時計の
ズレを補正しなければならない。地上から見た衛星の時計の進み
方についての以下の文のうち、正しいものを選べ。
② 運動する物体の時計を観察すると、特殊相対論の効
果により、その時刻がゆっくりと刻まれる様子を見るこ
とになる。また、重力場中にある時計を観察すると、一
般相対論の効果により、ゆっくり進む様子を見ることに
なる。地上にいる私たちが上空を運動する人工衛星の
時計を観察する場合、運動による特殊相対論効果が
時計の進み方を遅くする一方で、重力による一般相対
①特殊相対論効果は衛星の時計の進み方を速め、一般相対論効
論効果は時計の進み方を速める(地表を基準とすると
果は遅くする
人工衛星のある場所の重力は弱いので、時計の進み
②特殊相対論効果は衛星の時計の進み方を遅くし、一般相対論効
方は速くなって見える)。GPS衛星の場合、特殊相対論
果は速める
の効果は地上の時計に比べて1日あたり7.1マイクロ秒
③特殊相対論効果と一般相対論効果は、ともに衛星の時計の進
遅れる(1マイクロ秒は10-6秒)。これに対し一般相対論
み方を速める
の効果は、1日あたり45.7マイクロ秒速く進む。これらの
④特殊相対論効果と一般相対論効果は、ともに衛星の時計の進
効果を合わせると、GPS衛星の時計は地上の時計に
み方を遅くする
対して1日あたり38.6マイクロ秒速く進むことになる。
GPSのためには、この補正が必要になる(補正がない
と11kmの誤差が生じることになる)。
1
第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
問題
正答
4
あなたはいま月面上に立っているとして、地球に引かれる重力と太
陽に引かれる重力とではどちらが大きいか。以下の中から最も正し
いと思われるものを選べ。
①太陽からの重力の方が2倍程度大きい
②地球からの重力の方が2倍程度大きい
③同じ程度である
④季節によって大小関係は変化する
5
燃焼火炎温度が同じ場合を仮定した際、液体ロケットの推進剤の
組み合わせで最も比推力の高いものはどれか。
①液体酸素-液体水素
②液体酸素-メタン
③四酸化二窒素-液体水素
④四酸化二窒素-メタン
解説
① F =-GmM /r の公式を利用する。地球に引かれる
引力は F 地球=-GmM 地球/ (月-地球距離)2 である。
また、太陽に引かれる力は、F 太陽=-GmM 太陽/ (月-
太陽距離)2 である。これらに数値を与えて比をとると
(概算でよい)、 F 地球= 0.46×F 太陽である。したがっ
て、太陽からの重力の方が2倍程度強いことになる。で
は、なぜ月は太陽に向かって落下しないのか? これ
を理解するには、公転による遠心力も考慮する必要が
ある。つまり、月の軌道について考えてみると、月は地
球の周りを公転し、さらに地球と月は太陽の回りを公
転している。これらの公転運動による遠心力により、そ
れぞれの場合について重力は打ち消され、月が太陽
あるいは地球に向かって落下することはない。
2
① 比推力は燃焼火炎温度に比例して高くなり、また、燃
焼ガス中の平均分子量が小さいほど高くなる。ここで
は火炎温度を同じと仮定しているため、燃焼ガス中の
平均ガス分子量が小さいものを選択すればよい。①は
主に水蒸気が発生するためH2Oであり、分子量は18前
後となる。炭素が含まれるメタンなどでは二酸化炭素
(CO2)が多く排出されるため、分子量は48前後、四酸
化二窒素の場合も窒素酸化物(NOx)や二酸化炭素
(CO2)などが燃焼ガスの主な成分となるため、平均分
子量が大きくなり比推力は低下する。
6
セファイド型変光星の周期-光度関係は宇宙の距離はしごとしての ① ヘンリエッタ・リービットは、ハーバード大学天文台の
重要性があり、エドウィン・ハッブルによるアンドロメダ銀河(M31)ま
“コンピュータ”として台長のエドワード・ピッカリングに
での距離の測定や、宇宙膨張の発見の基礎となった。さて、セファ
雇用された女性集団の一人で、写真乾板から変光星
イド型変光星の周期-光度関係を発見したのは次のうち誰か。
を見つけてカタログに記録する仕事を担当した。その
仕事に才能を発揮した彼女は、1912年、小マゼラン雲
①ヘンリエッタ・リービット
中の25個のセファイド型変光星について、その変光周
②ハーロー・シャプレー
期と明るさにきれいな相関があることを発見し、ハー
③ヒーバー・カーティス
バード大学天文台紀要に論文を発表した。ハーロー・
④ミルトン・ヒューメイソン
シャプレーはピッカリングの次のハーバード大学天文
台長で、当時、渦巻星雲と呼ばれた天体は銀河系の
内部にあるとする巨大銀河系説を提唱した。ヒーバー・
カーティスは、銀河系のサイズを過小評価していたも
のの、渦巻星雲は銀河系外にあるとする島宇宙説を
提唱した。シャプレーとカーティスは1920年に「宇宙の
大きさ」という題目で公開討論会を行ったことで有名。ミ
ルトン・ヒューメイソンはウィルソン山天文台に勤めた
ハッブルの助手で、銀河の赤方偏移の測定を手伝っ
た。その功績により、中学卒ながら後に博士を授与さ
れた。
7
奈良県明日香村のキトラ古墳に描かれた天文図の星々は、いつ、
どこで観測されたものなのかについて研究が続けられている。
2015年には新しい研究成果も発表され、現時点で主な説は3つ知
られている。では以下の中で、発表されていない説はどれか。
①紀元前80年頃の観測
②紀元前65年頃の、北緯38.4°付近での観測
③紀元1世紀の、北緯39.5°付近での観測
④紀元4世紀の、北緯34°付近での観測
8
ヨーロッパ南天天文台(ESO)にある4台の超巨大望遠鏡VLTの名
前には天文学に関連するチリの先住民の言葉が用いられている。
実際には採用されていないものはどれか。
①南十字星
②金星
③太陽
④天の川
2
③ ①と④が2015年7月に発表された説で、それぞれ①は
国立天文台の相馬充助教、④が元国立天文台の中村
士教授の研究成果である。②は、元同志社大学の宮
島一彦教授の研究成果として1999年の「キトラ古墳学
術調査報告書」(明日香村教育委員会)で公表された
説(なお、各氏の肩書きは2015年8月現在のもの)。
④ 4台の望遠鏡の名称は以下である。
Antu 太陽、Kueyen 月、Melipal 南十字星、Yepun 金
星。
第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
9
問題
正答
セファイド型変光星について述べた文で間違っているものはどれ
か。
①変光周期が長いほど絶対等級を示す数値は小さい
②種族によって周期-光度関係は異なる
③星の半径が最も大きいとき、最も明るい
④太陽より質量が数倍大きな星が進化したものである
10
Ib型超新星、II-P型超新星、II-L型超新星のうちで、爆発機構が異
なるのはどれか。
①Ib型超新星
②II-P型超新星
③II-L型超新星
④どれも同じである
11 図は様々な波長の電磁波で撮像した活動銀河ケンタウルス座Aの
画像である。正しい組み合わせはどれか。
解説
③ セファイド型変光星は太陽の2−3倍の質量の星が進化
して不安定な状態にある星である。その変光周期は長
いほど絶対等級は明るい(数字は小さい)。その変光
の原因は半径の脈動であるが、半径の変化と明るさの
変化のタイミングは同じではない。半径、種族による光
度周期関係が異なることを考慮に入れていなかったた
め、初期にはハッブル定数はかなり大きめに見積もら
れている。
④ 観測的には、スペクトルに水素の吸収線がみられないI
型(Ia型、Ib型、Ic型)とみられるII型(II-P型、II-L型)に
分けられる。一方、爆発のメカニズムからは、Ia型が
チャンドラセカール限界を超えた白色矮星全体の爆発
によるもの(核爆発型超新星)で、その他が太陽質量
の8倍以上の恒星が重力崩壊を起こす結果生じるもの
(重力崩壊型超新星)である。
① 活動銀河の一種で電波銀河でもあるケンタウルス座A
は、星が球状に集まった楕円銀河の一種だが、赤道面
に塵を多く含むガス円盤を有しており、それをほぼ真
横から観測している。そのため、可視光で観測すると、
bのように赤道面の星の光が遮られて銀河が上下に分
断しているように見える。しかし赤外線は星間塵などを
通過しやすいので、赤外線で観測するとdのように赤道
面や中心部も光っている。さらに銀河の中心からは赤
道面に垂直方向にジェットが伸びており、電波で観測
するとcのように上下に2つのジェットが観測される。X
線では、片方のジェットが隠されて、aのように1本の
ジェットが観測される。
①a:X線、b:可視光、c:電波、d:赤外線
②a:電波、b:赤外線、c:紫外線、d:可視光
③a:紫外線、b:可視光、c:電波、d:X線
④a:ガンマ線、b:電波、c:X線、d:可視光
12 天体における輻射機構は、連続スペクトルと線スペクトルに大別さ
れる。以下に示す輻射機構についての説明文のうち、間違ってい
るものを選べ。
①サイクロトロン線とは、磁場中を運動する高エネルギー電子が放
出する連続スペクトルである
②逆コンプトン散乱とは、高エネルギー電子がエネルギーの低い
光子に衝突して光子にエネルギーを与える現象であり、非熱的な
連続スペクトルとなる
③熱制動放射とは、原子核の近傍で自由電子が軌道を曲げられる
ことで放出される電磁波で、熱的な連続スペクトルである
④分子スペクトルとは、分子の回転状態や振動状態が変化すると
きに発生する電磁波で、線スペクトルを示す
3
① 磁場中に高エネルギー電子(相対論的速度で運動)が
飛び込むと、磁場からローレンツ力を受けて軌道を曲
げられる。このとき連続的な電磁波が放出されるが、こ
の機構は「シンクロトロン放射」と呼ばれる。シンクロト
ロン放射と逆コンプトン散乱は、べき乗型の連続スペク
トルとなる。
第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
問題
正答
解説
13 ある横向きの渦巻銀河に、図のようにスリットをあてて分光観測を
行った。この観測から得られたスペクトルで、特定の輝線の波長の
位置によるズレを模式的に示す図として最も適当なものはどれか。
② 渦巻銀河の円盤部の回転運動を調べるためには、銀
河の長軸に沿ってスリットをあてて分光観測を行う。多
くの渦巻銀河は中心付近では剛体回転が見られる
が、中心から離れるにつれて一定の回転速度になる
傾向がある。
14 ダークマター(暗黒物質)が存在する観測的根拠としてあてはまら
ないものを選べ。
④ 「ブラックホール影」とは、ブラックホール周りで輝くガス
の画像の中に暗い影領域が生じる現象である(まだ観
測されていない)。暗い影領域が生じる理由は、輝くガ
スからの光線の一部がブラックホールに吸い込まれて
私たちに届かなくなるためである。もしも観測されれ
ば、ブラックホール半径の2倍程度の半径の円盤状の
影領域が、輝くガスの中に浮かび上がることになる。こ
の観測により、ブラックホール質量などブラックホール
に固有な物理量が推定可能となる。ダークマターの存
在を示唆するものではない。もっとも、「ブラックホー
ル」は暗黒物質の1つの候補であるのだが、激しい天
体活動現象を引き起こしていないブラックホールが(観
測が困難であるため未確認であり)、その対象となるで
あろう。①②③の観測は、銀河や銀河団中に未確認の
巨大質量(=ダークマター)が潜んでいることを示唆す
る。
①銀河の中心からの距離に対する銀河回転の速度分布の観測
②銀河団中に見られる「アインシュタイン・リング」の観測
③銀河団中の銀河のランダム運動の速度分布の観測
④銀河中心の超巨大ブラックホールによる「ブラックホール影」の
観測
4
第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
問題
正答
15 窓のない宇宙船に乗っている宇宙飛行士が、2つの物体を床から
高さh の位置1、2の場所に少しだけ離して静かに置いたところ、少
し時間が経つと床からの高さh のまま、それぞれ近づき、位置1'、2'
の場所に移動するのを観測した。この実験から読み取れる宇宙船
の状態について説明した以下の文のなかで、最も適切なものはど
れか。物体や宇宙船などの質量は無視できるとする。
解説
③ 2つの物体の床からの高さが変わらないので、宇宙船
は重力の元で自由落下しているか、重力の無視できる
宇宙空間を等速直線運動しているかのどちらかであ
る。しかし、2つの物体が近づくのは、天体の重力に
よって2つの物体がそれぞれ天体中心に向かって落下
しているためである.したがって正解は③。なお、宇宙
空間を等速直線運動している場合は、2つの物体の位
置は変化しない。宇宙空間を加速度運動している場合
は、2つの物体は横方向の距離を保ったまま、床に落
下する。天体の表面に静止している場合は、お互いに
近づきながら床に落下する。
①宇宙船は重力の無視できる宇宙空間で等速直線運動している
②宇宙船は重力の無視できる宇宙空間で加速度運動している
③宇宙船は天体の重力のもとで自由落下している
④宇宙船は天体の表面に静止している
16 約1万Kの星間ガス中における音速は15km/s前後である。太陽コ
ロナ中の音速として正しいものを選べ。
①1.5km/s程度
②15km/s程度
③150km/s程度
④1500km/s程度
17 1862年にシリウスの暗い伴星であるシリウスBを発見したのは誰
か。
①ウォルター・アダムズ
②フリードリッヒ・ベッセル
③オールヴァン・クラーク
④アーサー・エディントン
5
③ ガスの絶対温度をT 、比熱比をγ、平均分子量をμ、
気体定数をR gとして、ガス中の音速は
c s=√(γR gT /μ)
で表される。すなわち、比熱比と平均分子量が同程度
なら、音速は絶対温度の√に比例する。太陽コロナの
温度は約100万Kで星間ガスの温度の約100倍なの
で、音速は約10倍となる。
③ 1844年、シリウスのふらつき運動から、シリウスに伴星
が存在することをドイツのベッセルが推測していた。そ
して、1862年にアメリカのオールヴァン・クラークが実
際に暗い伴星(10等級)を発見した。さらに1915年、シ
リウス伴星のスペクトル観測をアダムスが行い、シリウ
スもその伴星も、表面温度がほぼ同じで約1万Kである
ことが判明した。その結果、ステファン・ボルツマンの法
則からシリウスBの半径がAの100分の1しかないことが
わかった。その後、エディントンやファウラーそしてチャ
ンドラセカールらによって、白色矮星の構造が解明さ
れていった。
第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
問題
正答
18 2015年は、アインシュタインが一般相対性理論を提唱してから100
年を迎える年である。この理論は、ブラックホールやワームホール
の存在、宇宙膨張や収縮、重力波の存在などを予言するが、アイ
ンシュタイン自身も理論からの結論に惑わされた。次の中で、あて
はまらないものはどれか。
解説
④ ①は宇宙項を追加した有名な話。②はシュワルツシル
ドに宛てた手紙に記載された話。③も1932年前後の
話。④は量子力学の解釈に対する論争でのアインシュ
タインの言葉。
①宇宙が膨張や収縮する解になってしまうのを知って、方程式を修
正した
②特異点が出てくる(後のブラックホール)解を「数学的に簡略化し
たモデルのため」と考えた
③自ら予言した重力波を、後に否定する論文を書いた(しかし、掲
載されなかった)
④二重スリットの実験解釈について、「神はサイコロなど投げない」
といった
19 メシエカタログに登録されている110個の天体について述べている
文で間違っているものはどれか。
①超新星残骸はM1のみである
②球状星団より散開星団の方が多い
③楕円銀河より渦巻銀河の方が多い
④一部に星雲、星団、銀河ではないと思われるものを含む
20 水素、1回電離ヘリウム、1回電離カルシウム、一酸化チタンの吸収
線は恒星の温度によってその強度が異なる。これらの吸収線強度
がそれぞれ最も強い恒星を、その温度の高い順に並べた。正しい
のはどれか。
①水素>1回電離ヘリウム>1回電離カルシウム>一酸化チタン
②一酸化チタン>1回電離カルシウム>1回電離ヘリウム>水素
③水素>一酸化チタン>1回電離ヘリウム>1回電離カルシウム
④1回電離ヘリウム>水素>1回電離カルシウム>一酸化チタン
21 満月の表面輝度がほぼ一様であり円盤状に見える理由について、
もっともらしいものを選べ。
①月の表面は、全体が細かな砂で覆われている
②月の表面は、光沢のある岩盤で覆われている
③月の表面には、ごく薄いが大気がある
④月の表面の模様が変わらないことより、月面全体が平らである
22 ある恒星の年周視差の観測を行ったところ、恒星は図のような楕
円上を1年かけて運動した。このとき、年周視差p は、次の図の太
い実線のどの部分にあたるか。
6
② メシエカタログ中で超新星残骸はM1のみである。銀河
系内の天体としては星雲が約1割、星団が約5割(うち
散開星団は26個、球状星団は29個)である。残りの約
4割が銀河であるが、そのうち渦巻銀河が半数以上を
占める。また一部には不明確な天体(実体のない天体
や二重星など)も数個含まれている。
④ 1回電離ヘリウム (HeII) の吸収線はO型星のように非
常に温度が高い恒星で強い。水素の吸収線はA型星
で最も強く現れ、1回電離カルシウムの吸収線はKやM
型の恒星で強い。一酸化チタンの吸収線はM型の晩期
で最も強い。一般的に各種の吸収線の強さは、その
(各電離度の)原子の数に依存する。例えば、水素はA
型星以上に温度が高いと全て電離してしまい、逆に温
度が低いと励起することができなくなる。ヘリウムは安
定した原子で、1回電離するためには高い温度が必要
である。一酸化チタンのような分子は一般的に励起す
るためのエネルギーが小さい。
① 月の表面全体は「レゴリス」と呼ばれる細かな砂で覆
われている。この砂はガラス質の成分も含み、太陽か
らの光線を乱反射する。そのため、月面の輝度分布は
ほぼ一様となる。
この砂は、太陽系の間を漂う物質が月に降り注ぎ月面
に激しくぶつかり変成したものである。地球の場合、大
気があるので地表に届く前に燃え尽き、流れ星などと
なるが、月の場合には月面上に降り積もることになる。
① 年周視差は地球が太陽の周りを公転することで生じ、
一般に、恒星は楕円状に運動する。年周視差p の値
は、地球の軌道半径(1 天文単位)を基線にするため、
天球上を恒星が移動する楕円の長軸の半分になる。
第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
問題
正答
解説
23 以下の文のア、イ、ウに入る正しい語句の組み合わせを次のなか
から選べ。
① パルサーは、正確に電波を放出する。この原因は、星
の自転によるもの、と考えるのが最も自然だ。しかもミ
リ秒程度で高速回転するならば遠心力によって星が破
パルサーは、ミリ秒から数秒の間隔で正確に電波を発している天
壊されないように、相当小さくて(半径10km程度で)原
体である。はじめに発見した【 ア 】は、宇宙からの知的生命体か
子核密度程度の重力が強い天体であることが結論さ
ら発信されていると考え、「緑の小人」と命名したほどである。この
れる。当時すでに、中性子星のモデルは提唱されてい
ような電波放射のメカニズムは、【 イ 】が原因と考えられている。
たが、パルサーの発見で、はじめて中性子星の存在が
高速に動いていることから、パルサーは小さくて質量の大きな天体
確認された。パルサーの発見は、1967年である。第一
のはずで、多くは【 ウ 】であると考えられている。
発見者はヒューイッシュ教授の学生だったベルだが、
ノーベル賞(1974年)が授賞されたのは、ヒューイッシュ
①ア:ベルとヒューイッシュ、イ:パルサーの自転、ウ:中性子星
と、電波天文学の開拓者であるライルで、ベルは受賞
②ア:ハルスとテイラー、イ:パルサーに落下する粒子の制動放
しなかった。正答以外の選択肢にあるハルスとテイ
射、
ラーは1974年に連星パルサーを発見した二人で、連星
ウ:ブラックホール
パルサーの発見は重力波放射の間接的な証拠となっ
③ア:ペンジアスとウィルソン、イ:パルサーの運動によるドップラー た(二人は1993年にノーベル物理学賞を受賞した)。ペ
効果、ウ:クォーク星
ンジアスとウィルソンは1965年に宇宙背景放射を発見
④ア:ルメートルとハッブル、イ:パルサーの伴星からの重力波放
し、1978年にノーベル物理学賞を受賞した。ルメートル
出、ウ:白色矮星
とハッブルは独立に膨張宇宙の発見に貢献した。1920
年代の終わりである。
24 シンクロトロン放射(=磁気制動放射ともいう)は、磁力線のまわり
を高速で運動する電子が放出する電磁波である。シンクロトロン放
射光の特徴として間違っているものを選べ。
①磁力線を1周するごとに1つのパルス状電磁波が観測される
②放射される電磁波の強度分布は電子の運動方向に大きく偏る
③電磁波の振動方向が特定の方向に偏っている
④磁場強度に依存した線スペクトルとして観測される
④ 磁場中で高速に運動する電子は、(電荷をもっている
ので)磁場から力を受け、磁場と運動方向の両方に垂
直な方向に力を受ける。その結果、 磁力線の周りを螺
旋運動するようになる。その際,電子周りの電場は急
激に変化することになり、その変動(電磁波)が光速で
周囲の空間に伝わる。電子が磁力線の周りを1周する
たびに1つの電磁波パルスが放出されるのだが、無数
の回転を繰り返すことで無数のパルスが放出される。
それらが重なり合うことで、シンクロトロン放射は「ベキ
型」の連続スペクトルとなる。
25 一般に、太陽から遠い惑星ほど温度は低くなる。雪線(スノーライ
① 木星型惑星は地球型惑星に比べて、非常に巨大であ
ン)は、水が昇華せずに固体として凍りつく温度になる境界のことで
る。その理由として、惑星を形作る材料として、スノーラ
ある。雪線について、正しいものを選べ。
インの外側であったため、水が固体として存在できた
ので、それも材料として使えたからと考えられる。この
①地球型惑星と木星型惑星を分ける
点では、木星型惑星も天王星型惑星も同様である。天
②木星型惑星と天王星型惑星を分ける
王星型惑星は、水素やヘリウムが、他のより重い元素
③雪線より外側の惑星には、極冠がある
と比べると少ないという点で、木星型惑星と分けられ
④雪線より内側の惑星では、雪が降ることはない
る。極冠とは、火星の極に見られる氷やドライアイスの
領域のことであり、火星以外について使われることは
ない。
26 天体の見かけの等級m から絶対等級M を引いた値m -M を距離
指数と呼び、遠方の天体の距離を求める方法に利用される。この
天体の距離をr [pc]とするとき、これらの間の正しい関係式はどれ
か。
①m -M =5 logr +5
②m -M =5 logr -5
③m -M =-5 logr +5
④m -M =-5 logr -5
7
② 見かけの等級m と距離r [pc] から絶対等級M を求め
る関係式は、
M =m +5 − 5 logr で与えられる。これから②を得
る。
第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
問題
正答
27 次に挙げる星座には歴史的にも有名なコンパクト天体が潜んでい
る。最初に発見された「中性子星」は、どの星座に属するか。
①はくちょう座
②おうし座
③おおいぬ座
④ほ座
28 図はある種類の天体の銀河座標系での分布図である。この天体
の種類は何か。
①恒星
②球状星団
③超新星
④ガンマ線バースト
29 太陽Sを含めた銀河面内のすべての恒星が、一定速度V 0で円運
動しているとする。図のように、銀経l の第4象限(270°<l <
360°の領域)の点Pを、l を一定として太陽の位置(r =0)から無
限遠(r =∞)まで変化させていくとき、点Pの視線速度v の変化を
表すものはどれか。
8
解説
なし 最初に発見された中性子星は、1967年に アントニー・
ヒューイッシュと ジョスリン・ベルによって発見されたこ
ぎつね座のPSR B1919+21である。はくちょう座には、
ブラックホール候補天体「はくちょう座X1」がある。1962
年にX線で輝く天体として発見されている(X線源の詳し
い位置は1971年に明らかにされた)。おうし座のかに
星雲の中心部にはかにパルサーと呼ばれる中性子星
があるが、最初に発見された中性子星ではない。おお
いぬ座のシリウスはシリウスA とシリウスB からなる連
星系であるが、シリウスB は「白色矮星」として有名で
ある(1862年にオールヴァン・クラークが発見)。ほ座で
は、1968年に「ほ座パルサー」(中性子星)が発見され
ている。※本問の選択肢には正答がありませんでした
ので、本問は解答者全員を正解とします。
② 球状星団は銀河に属するものの古い種族で、銀河面
に集中して分布せず、銀緯の高いところや銀河中心の
バルジに分布する。通常の恒星は銀河面(図中ではb
=0°)付近に集中する。超新星やガンマ線バーストは
銀河系外の天体であるため、銀河座標で分布を表示
すると一様な分布になる。
④ 視線速度は、銀河中心からの距離をR 、太陽の銀河中
心からの距離をR 0、太陽の銀河回転角速度をω0 とす
ると、v = {ω(R ) − ω0}R 0 sinl で与えられ、回転速
度V (R )= V 0 を用いると、v =(R 0/R − 1)V 0 sinl と
なる。第4象限では、sinl <0 であり、点P の銀河中心
からの距離R は、r が増加すると、R 0 → 減少→ 増加
→ R 0 → ∞ となるので、点P の視線速度v は0 → 減
少→ 増加→ 0 → 増加となり、④が正解となる。なお、
①は第3象限(180°< l < 270°)、②は第2象限
(90°< l <180°)、③は第1象限(0°<l <90°)
での変化を表す。
第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
問題
正答
30 星座と科学的発見を組み合わせた説明を書いたが、ひとつは間
違っているといわれた。それはどれか。
①銀河系内ではじめてのブラックホール候補天体が、はくちょう座
に発見された
②系外惑星といわれる天体がはじめて発見されたのは、くじら座で
ある
③オリオン座の中心には、多数の原始惑星系星雲が発見されてい
る
④最も近くにある星団は、おうし座にある
31 図はアルマ望遠鏡の観測によって得られた若い原始星「HL Tau」
の画像である。中心天体のまわりに縞模様の円盤が見える。この
図の解説として最もふさわしいものはどれか。
解説
② 初めて太陽のような恒星に系外惑星が発見されたの
は1995年10月。ペガスス座51番星の周囲を公転して
いる巨大ガス惑星だった。2015年2月現在、1500個を
超える系外惑星が発見されている。なお、はくちょう座
では、はくちょう座X−1というブラックホール候補天体が
発見され、オリオン座には多数の原始惑星系星雲が
発見されている。おうし座には、もっとも近くにある星
団、ヒアデスがある。
④ 原始星とは核融合がまだ始まっていない天体のことを
指す。図中の円盤では塵が明るく光っている。この円
盤中のガスや塵を掃き集めながら惑星が形成されると
考えられており、したがって、惑星ができつつある場所
では塵が少なくなる。よって、縞模様の暗いところで惑
星ができつつあると考えられる。
①核融合が始まったばかりの中心天体のまわりで、縞模様の明る
いところに惑星ができつつあると考えられる
②核融合が始まったばかりの中心天体のまわりで、縞模様の暗い
ところに惑星ができつつあると考えられる
③核融合がまだ始まっていない中心天体のまわりで、縞模様の明
るいところに惑星ができつつあると考えられる
④核融合がまだ始まっていない中心天体のまわりで、縞模様の暗
いところに惑星ができつつあると考えられる
32 質量が太陽の8~10倍程度の恒星は、超新星爆発によって中性子
星になると考えられているが、その際、恒星がもともともっていた角
運動量と磁場(磁束)のほとんどを引き継ぐとみられている。もし、
半径70万kmの恒星表面の磁束密度B の天体が、半径10 kmの中
性子星になったとすると、中性子星表面の磁束密度B 'はB の何倍
になるか。以下から最も適切な値を選べ。なお、恒星、中性子星と
も完全な球体とする。
①7万倍
②49億倍
③343兆倍
④B 'とB の値は変わらない
33 ある惑星状星雲が観測された。この惑星状星雲を形成した恒星の
質量は、次のどの範囲にあったと推測されるか。
①太陽質量の0.46~1倍
②太陽質量の0.46~8倍
③太陽質量の1~8倍
④太陽質量の8倍以上
9
② 今、天体が完全に球体であるとすれば、半径をR とし
て、磁束Φ
Φ=B ×S =B ×πR 2
が保存すると考えてよいから、
B ×7000002=B '×102
が成り立つ。よって、
B '=B ×700002=B ×4900000000=B ×49億
となり、答えは49億倍。
③ 惑星状星雲を形成する恒星の質量の範囲は太陽質量
の0.46~8 倍の間である。しかし、太陽質量の主系列
星としての寿命は約100 億年であり、これより質量の
軽い恒星の寿命は、宇宙の年齢138 億年よりずっと長
くなる。したがって太陽質量より小さな恒星はまだ惑星
状星雲を形成することができず、③が正解となる。な
お、8倍以上の恒星は超新星爆発を起こし、惑星状星
雲は形成しない。
第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
問題
正答
34 固体ロケットの推進剤である固体推進剤は燃料成分と酸化剤成分
が内包されているため、一度火がつくと外界の酸素が遮断された
水中でも燃焼を継続することができる。そこで、燃焼中に周囲の圧
力を徐々に下げ真空にした場合、推進剤の燃焼の振る舞いとして
正しいものはどれか。
①燃焼を継続する
②ついたり消えたりする
③あるところで消炎する
④圧力を下げた瞬間に爆発する
解説
③ 固体推進剤には低圧可燃限界(low Pressure
Deflagration Limit:PDL)が存在し、あるところまで減圧
をすると消炎してしまう。これは、推進剤中に含まれる
酸化剤粒子が熱分解に必要とする熱エネルギーが大
きいため、周囲の圧力を減少させると酸化剤粒子が熱
分解されにくくなり、火炎が燃料過多となって消炎す
る。PDLは固体モータの残存推力の推定に重要なパラ
メータである。
35 次の図は、系外惑星の質量(横軸)と半径(縦軸)をプロットした図
中に惑星の密度が一定とした場合の質量と半径の関係を実線で
描きこんだものである。質量と半径の関係を正しく表しているもの
はどれか。
② 惑星半径をr とすると体積は(4/3)πr 3。密度ρが一
定の場合の質量m はm =(4/3)πρr 3 となるので、
半径r の式に直すとr =((3m )/(4πρ))1/3。対数にす
ると、log(r )=(1/3)log(m ) +((1/3)log(3/(4πρ)) とな
り、密度が一定ならば、対数軸のグラフでは傾き1/3の
直線になる。
36 2014年には、銀河系の中心にガス雲が接近し、潮汐力破壊が起こ
されるものと期待されていたが、残念ながら観測されなかった。潮
汐力とは物体に働く重力の大きさが場所によって異なるために生じ
る力のことである。潮汐力の説明について次の4つの文のうち、正
しいものはいくつあるか。
① D.のみ正しい。
海水面の上下は地球と月の運動および太陽の位置に
よって決まり、1日に2回上下する。ブラックホールで星
が破壊される現象は潮汐事象と呼ぶ。惑星の楕円運
動は万有引力の効果として説明される。
A.潮汐力は地球の自転によって海水面が1日に1回上下すること
から命名された
B.ブラックホールの潮汐力で星が破壊され光る現象を潮汐力フレ
アと呼ぶ
C.惑星が楕円運動するのも潮汐力の効果である
D.ブラックホールに落下する物体が引き伸ばされる現象も潮汐力
の効果である
①1つ
②2つ
③3つ
④4つ
37 NASAが2008年、創立50周年を記念して北極星に向けて「Across
the Universe」という曲を送信した。この曲の演奏者は誰か。
①ザ・ビートルズ
②ザ・ローリング・ストーンズ
③クイーン
④ブラー
10
① アルバム「レット・イット・ビー」に収録された曲である。
クイーンのギタリストのブライアン・メイは、宇宙物理学
で博士号を取得しており、天文学者としての活動も行っ
ている。ブラーの楽曲「ビーグル2」は、火星探査機
ビーグル2に搭載され、火星から再生される予定だっ
たが、着陸に失敗し、実施されなかった。
第5回天文宇宙検定1級問題・解答
No.
問題
正答
38 次の表は、4つの恒星P、Q、R、Sのスペクトル型と絶対等級のデー
タである。この中で最も半径の小さな恒星はどれか。
①P
②Q
③R
④S
39 生命の起源に関して、パンスペルミア説について正しく述べている
ものはどれか。
①深海底の熱水噴出孔周辺で、生命が誕生したとする説
②潮の干満の差が大きな干潟周辺で、生命が誕生したとする説
③生命の材料や生命そのものが、宇宙から運ばれてきたとする説
④黄鉄鉱などの鉱物を触媒として、その表面で生命が誕生したと
する説
40 2015年7月14日、探査機ニューホライズンズが冥王星をフライバイ
し、最接近時には冥王星から約1万3000 kmのところまで迫った。さ
て写真の天体はどれか。
①冥王星
②冥王星の衛星カロン
③冥王星の衛星ケルベロス
④土星の衛星ミマス
11
解説
② 恒星の光度は、絶対等級が暗いものほど小さい。ま
た、光度は星の半径の2乗と表面温度の4乗に比例す
る。したがって、恒星PとQを比較すると、表面温度は同
程度なのに絶対等級がQの方がはるかに暗いので、P
よりQの半径が小さい。同様に、RよりSの方が半径が
小さい。一方、スペクトル型がA型(表面温度約1万K)
とM型(表面温度約4000K)を比較すると、A型の方が
表面温度は2倍程以上大きく、同じ半径であればA型
の方が、光度は16倍程以上大きくなる。しかし、絶対等
級を比較するとし、Qの方が1等級(光度で約2.5 倍)明
るいだけである。したがって、SよりQの半径が小さいこ
とが推測される。
また、次のように考えてもよい。スペクトル型と対等
級のデータから、PとS は主系列星、Qは白色矮星、R
は赤色巨星と推測される。したがって、最も半径の小さ
な恒星は白色矮星であるQと推測される。
③ パンスペルミア説は、古くはウィリアム・トムソンやス
ヴァンテ・アレニウスなどによっても唱えられた。宇宙を
漂う塵や彗星に微生物が付着して地球に運ばれたと
考える説や、微生物そのものが宇宙空間を漂って地球
にやってきたと考える説がある。パンスペルミア説の提
唱者の1人であるフレッド・ホイルは、宇宙空間に漂う
塵の一部は乾燥した微生物であると考えた。DNAの二
重らせん構造の発見者として知られるフランシス・ク
リックもパンスペルミア説を唱えた1人で、彼は知的生
命が生命の素を宇宙空間にばらまいたとする「意図的
パンスペルミア説」を唱えている。しかし、これは生命
の起源根本の解決にはならないため、批判も多くあ
る。
② 冥王星の劇的な画像とともに、衛星カロンの詳細な画
像も撮影された。カロンの極地方には暗い領域がある
が、その原因はまだ不明である。ニューホライズンズの
研究チームは、非公式だが、この領域を「モルドール
(『指輪物語』に登場する冥王サウロンの王国名)」と呼
んでいるらしい。 衛星ケルベロスは小さな衛星で、球
形ではないようだ。また衛星ミマスは、非常に大きなク
レーターがあり、『スター・ウォーズ』に出てくるデスス
ターに似ているので有名。