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Q&A
v2
Q:(Q&Aの1回転するブランコの問題で) a =
というのは、
R
どうやって出てきた式ですか?
A:一回転するブランコは等速円運動ではありませんが、
最下点付近の一部分だけをみると等速円運動と考えて
問題ありません。ですので向心加速度の公式を用いました。
Q:ニュートンの振り子って何ですか?どんなしくみですか?
A:右の写真のような装置だと思いますが、その名前は
初めて聞きました。私は衝突球と呼んでいました。ネットで
調べてみると「ニュートンのゆりかご」というのが、最も一般的
な呼び名のようです。英語では Newton’s cradle(揺りかご)
です。第7章の衝突のところで解説します。
Q:地球上でも位置により多少重力の大きさは違うので
そのことを考慮すると、厳密には重力は保存力と言える
のでしょうか?
A:確かに地上の重力の大きさは場所によって多少異なりますが保存力です。質点の重力は保存力です
ので、その重ね合わせはどんな複雑な形状でも保存力です。
Q:永久機関に極めて近い装置を知りたいです。
A:永久機関とは、外部からエネルギーを受け取ることなく、
仕事を行い続ける装置です。このような措置はエネルギー
保存則に反するので存在しません。すべての機関は
エネルギー保存則を満たすので、エネルギーの視点でみると
永久機関以外は同じです。「一見、永久機関のように見える
装置」としては、水飲み鳥はその一つです。力学的な「機関」
ではありませんが、10年以上に渡って光り続ける光源が
あります。電池が入っているわけでもないので、これも一見、
永久機関のように見えます。これは半減期 12.3年の
三重水素(トリチウム)という放射性物質のβ崩壊を
エネルギー源としています(核エネルギー)。時計の文字盤や
写真のようなキーホルダータイプのものもあります。
放射性物質ですので、法律の制限を受けます。明るい
法律違反のものもあるようですので注意が必要です。
このようなものは、壊れたりすると被ばくの危険性があります。
第13回 (6/8)
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m1m2
より万有引力 F(r) を求める。
r
問題:質量 m1 の質点が原点に固定されている。位置 r にある質量 m2 の質点に働く万有引力 F(r) を求
めよ。
F(r) = -∇U(r) を用いて万有引力による位置エネルギー U(r) = -G
m2
z
r
U(r) = -G
y
x
F(r) = -∇U(r) = ( -
∂U
∂x
(
m1m2
y2 + z2 )1/2
x2 +
,-
∂U
∂y
,-
∂U
)
∂z
m1
∂U
= -Gm1m2(-1/2)(2x)
∂x
各点に
1つの値
↓
各点に
3つの値
↓
スカラーである U(r) より、ベクトルである F(r) が求められるのは、情報量の点から少し不思議な気がしますね。
↑
完全に自由に
値を決めることができる。
↑
スカラーの勾配である
という制限がある。
自由に値を
決めることはできない。
第13回 (6/8)
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例題2 脱出速度
p66
地球表面にある大砲から砲弾を発射して地球の重力圏から脱出させて無限の遠方まで到達させたい。
(1)地球表面における砲弾(質量 m )の万有引力による位置エネルギーはいくらか?
ただし、地球の質量は ME,地球の半径は RE とし、地球の全質量は中心にあるとしてよい。
E はEarth の E
万有引力による
位置エネルギーの
基準点は無限遠
(2)地球表面における砲弾の万有引力による位置エネルギーを重力加速度 g を用いて表せ(MEを消去)。
上のままでもよいが、もっと身近な定数で表現
(3)砲弾の初速度を v0 とすると、発射直後の砲弾の力学的エネルギーはいくらか?
第2宇宙速度
(4)地球の重力圏から脱出して無限の遠方まで到達させるための初速 v0 の最小値(脱出速度)を
計算せよ。空気抵抗は無視し、力学的エネルギーは保存するとせよ。
自転,公転,太陽の重力は無視し、地球の半径は 6.4×103 km、重力加速度は 10 m/s2 とせよ。
地球の質量 ME を知らなくても計算できることに注意
ME を用いる表現では
-G
mME 1
+
mv02 > 0
2
RE
運動エネルギー
重力による
位置エネルギー
mME
1
mv02 > G
RE
2
v02 >
2GME
RE
√
脱出速度:
第2宇宙速度
第13回 (6/8)
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2GME
RE
問題:太陽表面からの脱出速度を計算せよ。太陽の質量 M は 2×1030 kg(地球の約30万倍)、
半径は 70万km(地球の約100倍)。G は 6.7×10-11 [m3/kg・s2]とせよ。
相対性理論によると光速 c = 3×108 m/s 以上の運動は不可能。
脱出速度が光速 c を超えるとブラックホールとなる。(M が大きく、R が小さいと脱出速度が大きくなる。)
例:中性子星は、質量は太陽程度、半径は10 km 程度、脱出速度は光速の1/3 程度、密度は約10億トン/cm3
(参考)第1宇宙速度:地表面すれすれの衛星の速さ。問題:第1宇宙速度を求めよ。(空気抵抗は考えない)
g は9.8 m/s2 とせよ。
(参考)ISS(国際宇宙ステーション)の軌道は地上 400 km です。ISSの速度第1宇宙の速さを求めよ。
必要なら、前頁とこの頁の値を用いてよい。
答えの値は第一宇宙速度より小さいが、これは軌道上の速度であることに注意、力学的エネルギーは地上すれすれの場合より大きい。
第13回 (6/8)
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6章 質点の角運動量と回転運動の法則
力 F のモーメント (p73)
力のモーメント:新しい物理量
← 重い人は、支点に近いところに座り、
軽い人は、支点から遠いところに座るとつり合う
F1l1 = F2l2
シーソーを回転させる能力: Fl に比例する
点Oのまわりの力の
モーメント
単位:N・m
(トルク) N = Fl :物体を支点(点O )のまわりに回転させる能力
反時計回りを正
回転の向きの違いは、 時計回りを負
として区別する。
等速円運動
の θ と同じ
問題: 左上のシーソーの図で、点Oのまわりの力 F1 と力 F2 のモーメントを求めよ。
力 F1 のモーメント:
力 F2 のモーメント:
力の向きが、回転の向きと異なる場合
(左下の図でθ が 90°でない場合、90°の場合も含む)
力のモーメント
「力の大きさ F 」×「支点Oから力の作用線までの距離 l 」
問題:左の図で、点Oのまわりの
力F1のモーメントと力F2のモーメントはいくらか?
力 F1 のモーメント: -F1l1 =-F1r1 sinθ
力 F2 のモーメント: F2l2
作用線
[問題] 上の図は、「てこ
てこ」の原理を示している。「てこ
てこ」とは、小さい力で大きな力を得るための道具である。
てこ
てこ
上の図で l2 = 10 cm、r1 = 1 m、θ = 60°の時、力 F2 の大きさは力F1の大きさの何倍か?てこの質量は
無視してよい。
ヒント:ゆっくり持ち上げるとき、F とF の力のモーメントはつり合っており N = 0 としてよい。
1
2
N = -F1r1 sinθ + F2l2 = 0
F2 =
F1 =
F1 ≒ 8.7 F1
「てこ」で、10倍の力を得たとしても、移動距離は1/10 しかないことに注意:仕事 W = F・s は同じ。問題:てこの応用例は?
第13回 (6/8)
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xy 平面に平行な力 F が xy 平面上の点P ( x, y ) に作用している場合 (成分で表現すると)
Fy
y
力 F は、Fx と Fy に分解できる。
分力 Fx の原点Oのまわりの力のモーメントは、
N = -yFx
F
(時計まわり:-、作用線までの距離:y、力の大きさ:Fx)
分力 Fy の原点Oのまわりの力のモーメントは、
N = xFy
作用線
物体
Fx
y
(反時計まわり:+、作用線までの距離:x、力の大きさ:Fy )
合計すると、力 F の原点Oのまわりの
力のモーメントは
x
x
O
力のモーメントは力が作用する物体の形状に依存しない
支点を中心に回転する機構の有無も関係ない。
後で勉強する角運動量,回転運動の法則を勉強すると
スッキリします。
点Pの位置ベクトル r と
点P におけるベクトル量 A
との外積(ベクトル積)r×A を、
点Oまわりの A のモーメントという
Aが力Fの場合:力のモーメント
Aが運動量pの場合が運動量のモーメント
後でやります。
py
y
角運動量
(運動量のモーメント)
角運動量は、力のモーメントの力 F を
質点の運動量 p ( = mv ) で置き換えたもの
p
v
y
r
m
点Oのまわりの
力のモーメント
点Oのまわりの
角運動量
N = Fl
L = pd = mvd
N = Fr sin θ
L = pr sin θ = mvr sin θ
N = xFy-yFx
L = xpy-ypx
px
θ
x
O
N = xFy-yFx
x
L = m(xvy-yvx)
l,
d
問題:質量 m の物体が、点Oを中心とする半径 r の円周上を、角速度 ω で
等速円運動している場合、この物体の点Oのまわりの角運動量 L はいくらか?
O
第13回 (6/8)
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回転運動の法則
(p74)
L = m(xvy-yvx) の両辺を t で微分すると、
dL
= m d (xvy-yvx) = m(vxvy + xay-vyvx-yax)
dt
dt
= m(xay-yax) = x(may)-y(max) = xFy-yFx = N
(前頁の式参照)
dL
dt = N
(
回転運動の法則
)
質点の角運動量の時間変化率は、その物体に働く力のモーメントに等しい
対応させて理解する
運動の法則:
dp
= F に対応
dt
(p37, 3.14式参照)
質点の運動量の時間変化率は、その物体に働く力に等しい
対応関係
回転運動 直線運動
L
N
p
F
中心力
ある物体に作用する力の作用線がつねに一定の点Oを通り、
その強さが点Oと物体の距離 r だけで決まる場合、この力を
地球 m
O
太陽M
中心力
といい、点Oを力の中心という
例: 惑星に作用する万有引力(すぐ後で勉強する)
F = G Mm
r2
角運動量保存則 (p75)
物体が中心力だけの作用を受けて運動する場合には、
力の中心のまわりの角運動量は一定である。
[証明] ある物体が点Oを中心とする中心力だけの作用を受けて運動する場合は、
点Oのまわりの力のモーメントN は 0、なぜなら、N = Fl で l = 0 (作用線が点Oを通る)
dL
= N = 0 なので L = 一定
dt
第13回 (6/8)
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ニュートンのゆりかご
いつもはもう少し後でやるのですが、Q&Aで出たので、問題提起をしておきます。
問題:揺らさない(カチカチと玉同士が衝突したりしない)ようにするには、どのように運ぶのがよいか?
実験
① 1つの球を引き上げて、手を離してみる。
② 2つの球を引き上げて、手を離してみる。
③ 3つの球を引き上げて、手を離してみる。
④ 4つの球を引き上げて、手を離してみる。
問題:なぜ上のようになるのか?
例えば②の場合、2つ分の玉の質量の1つの物体を同じ速度で衝突させると
②のような結果にならない。なぜか?上のような結果になるのは、どのように解釈すればよいのか?
第13回 (6/8)
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