ナント大学への交換留学 ~なんとなくナントへ~ 人文学部

ナント大学への交換留学
~なんとなくナントへ~
人文学部 浦松 巧
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------9月某日、僕は日本と7時間の時差があるフランスにいた。ナント大学というところで
フランス語を学ぶ留学生として選ばれたからだ。選ばれたからにはこの地で語学力を高め
ることはもちろん、この国の文化にも積極的に関わっていこうとしなくては…。
次は初めての歴史の授業だ。フランスの歴史をフランス語で学ばなければいけないのは
面白いが大変だな…。一応日本語で少し調べて予習していたが…。
先生「さて皆、人と動物の決定的な違いはなんだろうか?」
…そこから勉強するのですか?
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------こんにちは、フランスのナント大学というところで 2 学期間留学していた浦松といいま
す。僭越ながら僕自身の留学体験について少しお話しさせていただきます。これを見て少
しでも留学というものについて知ってもらえれば幸いです。
●ナントの魅力
僕はナントという街に留学していたわけですが、ここの魅力はなんといっても(冗談で
はありません)留学生を支援する「なんとなくナント」という慈善団体にあると言っても
過言ではありません。と、言うのも、通常、フランスの入国後の手続きはかなり複雑で、
さらにナントに在住している日本人は少ないため、役所の方々が上手くコミュニケーショ
ンを取れない私たちに理解を示してくれることはありません。しかし、ナントには「なん
となくナント」という団体があるため、私たちは入国後の手続きから、寮で使う食器類、
寝具、その他もろもろの生活必需品の調達などまでスムーズに行うことができました。そ
の他にも、バカンス中の旅行など相談に乗ってくれたり、日本料理の夜会や、パーティー
などの行事に誘ってくれることも多々ありますし、最近では恋愛相談にも付き合ってもら
えるほどで、年々その手厚さは増しております。もちろん、既にある程度語学力を持って
いて、それを高めることに貪欲な人の中には、彼らのサポートの手厚さに甘えたくないと
いう方もいるでしょうが、この団体のおかげでナントは、僕のような語学力の面で不安が
ある人にとっても門戸が開かれた場所になっていると思います。
●普段の生活について
授業については、冒頭で書いた通り、日本で行われるものと随分勝手が違います。僕ら
留学生は通常、フランス語の書き、読み、聞き取り、文法、発音などの授業を、さらにレ
ベルが上がれば歴史や芸術方面の授業もうけることができるようになるのですが、これら
の授業の大半は、聴講形式ではなく、先生が明確な答えの無い問いを与え、生徒自身に答
えを求め、発言させ、常に自分の意見や例を出させるような参加型の形をとっています。
なので、1コマが2時間という長さにも関わらず、誰も寝ている生徒はおらず、それどこ
ろか、僕の感覚から言えば、日本で受ける 90 分の授業よりはるかにあっという間に終わっ
てしまうという印象さえあります。
授業が終わってしまえば、図書館に行って勉強したり、友達やクラスメートと遊びに行
ったり、スーパーで買い物して寮でごはんを作って…と、日本とそう変わらない生活をし
ていますが、ひとつ気をつけなくてはいけないのが、スーパーが 8 時前に閉まってしまう
のと、日曜日や祝日はそもそも開かないということです。これに注意して生きないと 3 日
連続 3 食ケバブなどということになりかねないので注意が必要です。
●学んだこと
これは学んだことというより、参考にしてほしいことといったほうがいいのかもしれま
せんが、日本でやってきたこと以上のことはなかなかできないということです。例えば、
僕は歴史などの社会系の授業が苦手で、あまり真面目に取り組んでいなかったのですが、
いざフランスに行ってみると、授業中当たり前のように自国の歴史や、政治、保険制度、
食文化、諺、果てはジェスチャーまであらゆることについて話すことを要求されます。そ
して、そのような機会がある度に、自分の話せる内容の乏しさに、いかに日本に関心を持
たず過ごしてきたかを実感させられました。
(私以外の新潟大学からの留学生の方から、各
国それぞれの歴史を喋らせて年表を作るという授業の存在を知ったときは、身震いしたも
のです…)このように、留学する前に自分がしてきたことによって、語学以前に出来るこ
とが限られてしまうケースがあることもあります。
留学した先にもよるかもしれませんが、フランスは、相手の言ったことを読み取ること
を重視する日本と異なり、相手に自分の意見をしっかり伝えて、理解させることがより重
要視され、授業もそれを目的として行われます。当然、日本語でもわかってないことを相
手に理解してもらえるはずはありません。だからこそ、僕はこれから留学する人には語学
力を高めること以上に、日本で自分の興味のないことでも、あるものはより一層学び、日
本語で知識を深めていくことにより時間をかけることをお勧めします。言語はあくまで伝
えるための手段でしかありません、内容の充実さによって語学力の成長速度も変わってし
まうこともあるでしょう。これから留学する方々が日本にいる間から目的を持ってあらゆ
ることを学んで、実りある留学生活を送れることを願っています。
留学中いろいろ至らない僕を支えてくれた方々や、一緒に留学した留学生の方々、フラ
ンス人の友達やクラスメートがいなかったら自分の留学体験もこれほど楽しいものにはな
らなかったと思います。本当にありがとうございました。