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食品安全ネットワーク便り
《略 称 フ ー サ ン 便 り》
発 行
会 長
連絡先
第106号
2013/9
食品安全ネットワーク(Food Safety Network)
角野久史
ホームページ http://www.fu-san.jp
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町1-4-8堺筋本町ガーデンスクエア イカリ消毒株式会社
TEL06-6264-2741 FAX06-6264-2740
「商売とは心配の上に成り立つもの」
株式会社 三晃
代表取締役 黒田久一
フーサン便り
の巻頭文を担当
するのが、今回
で 2 回目です。
前回は 、2010 年 2
月でしたので、 3
年半ぶりになり
ます。
前回は 、「 Think global,act local.」 と言う八
百屋には似つかわしくない(笑 )、英文タイ
トルの拙文を寄稿させて頂きました 。今回は 、
ズバリ 、
「 商売とは心配の上に成り立つもの 」
と言うコテコテ系で行きたいと思います。
弊社グループは、昭和 39 年創業で、おか
げさまで、本年で創業 50 周年目を迎えまし
た。元々は、果実専門の仲卸業が事業の出発
です。つまり 、「果物屋」です。創業から 10
数年間は 、一卸売市場で 、特定顧客に対して 、
果実だけの商売をしておりました。創業者で
ある父は、その偏った経営に不安(心配)を
抱き、その後、複数市場に展開し、果実だけ
でなく、野菜も扱うようになり、お取引先様
も増やす努力をしました。平成に入り、青果
物における市場流通が減少し始めました。市
場外流通が増え、それに相まって、市場業者
には、価格の決定権が失われて来ました。
仲卸業という素材だけを右から左への商売に
限界を感じて、加工して販売するようになり
ました。
それがカット野菜事業であり、惣菜事業に
進出したきっかけです。皆さんも実感されて
おられるかと思いますが、青果物が、丸ごと
一個消費される事が、年々、減って来ていま
す。少子高齢化、核家族化の影響や簡便食品
へのシフトなど多くの要素があるかと思いま
すが、野菜が丸ごと売れない時代になりまし
た。大根一本の平均的な重量は1キロ、白菜
は 2.5 キロ、キャベツは 1.25 キロ、スイカに
至っては 5 キロなど。これらを丸ごと消費す
るには、やはり、4人以上の世帯人数を必要
-1
とします。その消費変化に対応すべく、八百
屋の商売も変化しなければなりませんでし
た。
しかしながら、素材の販売しかして来なか
った会社が、手を加えて販売(ものづくり)
をするようになり、新たな“心配”が生まれ
ました。その“心配”の大きなものは、食品
衛生に関するものです。素材を扱うにしても
食品衛生の意識は当然必要ですが、加工して
販売する立場とは、比べものになりません。
食品加工を全く素人から始めた訳ですか
ら、その“心配”を少しでも解消すべく、い
ろんなところに行っては、学ぶ努力をしまし
た。
食品加工をするようになって、しばらくし
て(社)日本惣菜協会に入会させて頂きまし
た。その後、特に食品衛生の事で、より深く
学びを得たいと、この食品安全ネットワーク
に入会させて頂きました。
急増するノロウイルス対策や、食物アレル
ギーやカロリー表示、原産地表示等、表示関
係が益々高度化(複雑化)しており、正しい
対応をするためにも常に学びを得る事が大切
だと思っています。そして多くの“心配”か
ら少しでも解放されるには、 7S の取組みが
非常に重要だと思います。
弊社も取組みをしておりますが、まだまだ
不十分であり、フーサンでの学びに期待した
いと思います 。事業を続ける限り 、未来永劫 、
あらゆる“心配”から解放される事はありま
せん。
その“ 心配 ”も 、明確な事業戦略 、そして 、
科学的根拠に基づく衛生管理技術の向上、そ
して何よりも、それらを支える人材育成で、
少しでも回避できるものだと思います 。「商
売とは心配の上に成り立つもの」という言葉
を忘れず、コツコツと学びを積み上げ、時代
に対応できる会社にしたいと思います。
これからもフーサンから多くの事を学びた
いと思います 。どうぞ 、宜しくお願いします 。
-
食品安全ネットワーク
第1回食品衛生7S基礎講座報告
東洋産業㈱福山支店
食品安全ネットワーク
の皆さま、初めまして。
私は東洋産業株式会社
で福山支店に所属して
おります森本薫と申し
ます。
こ の 度 は 去 る 平 成 25
年 7 月 25 日に開催さ
れました第 25 回講演
会サロン『第 1 回食品
衛生 7S 基礎講座』の受講報告を致します。講
演は 、『食品衛生とは、なぜ食品衛生 7S が必
要 な の か 』、『 食 品 衛 生 7S か ら ISO22000・
FSSC22000 へ 』、『食品衛生 7S 構築事例発表』
の 3 題で行われました。
1,食品衛生とは、なぜ食品衛生7 S が必要
なのか
(1)工業 5S から食品衛生 7S へ 、
(2)食品衛生 7S
の定義と目的
第 1 講演の 1、 2 時限目として食品安全ネッ
トワーク会長の㈱角野品質管理研究所代表取締
役 角野 久史先生よりご講義頂きました。工業
5S とは自動車産業の中で生まれ、無駄を排除
<講演中の角野 久史講師>
し効率を目的としたものです。そのため工業の
清掃は見た目の清潔を維持するものであり、清
掃方法は拭く・吸う・掃くとなります。食品で
は微生物レベルの清潔を求められるため、単な
る清掃では不十分と考えられ洗浄・殺菌を含む
清掃とした食品衛生新 5S が生まれました。
しかし、現場で食品衛生新5Sを実践する中
で洗浄・殺菌は独立させるだけ重要なものであ
-
森本
薫
り、食品衛生の最終目的は『清潔』であるとい
うことで、7 つの S からなる食品衛生 7S(整理
・整頓・清掃・洗浄・殺菌・躾・清潔)に至っ
たとの事です。講演では白菜の浅漬けの集団食
中毒事故の事例が紹介されました。特注があっ
たため、原料である白菜の殺菌工程で消毒液の
濃度が十分に保たれていなかったことが原因で
した。濃度を一定に保つための明確な基準はな
く、まさに検証に基づく客観的評価が無い状態
で製造を続け、また、記録も残されず安全のた
めの仕組みづくりやルール必ず守る躾ができて
いないことが重大な事故を起こしてしまった原
因と考えられます。
食品衛生 7S でい
う『躾 -ルールを
守る事』ができ
ていれば起こら
なかったことで
す。食品工場で
は生産効率も大
変重要なことで
すが、このよう
<熱心な受講生>
な事故を起こさないための清潔な製造環境が重
視されるべきだと思います。
また、食品衛生 7S は清潔を目標としていま
すが、整理・整頓・清掃を突き詰めることで最
終的には効率の改善もなされます。食品の安全
・生産の効率化を達成できるまで成長させれ
ば、衛生管理の土台としては非常に優秀なツー
ルだと感じました。
2,食品衛生 7S の導入方法
3 時限目は弊社 コンサルティング室長 金山
民生より講義がありました。
7S 導入の初めの仕事は 7S 委員会の立ち上げ
です。特にトップの関与が重要で、人・時間・
資源の供給が不可欠であり、トップが率先垂範
し最後までやりきろう、という姿勢を見せるこ
とも 7S 活動の成果を大きく左右します。また、
7S を現場に浸透させるため重要なのが定義の
共有化です。個々によって解釈が違えば幾通り
もの 7S ができてしまいます。
7S の定義を必ず 1 日 1 回は見るような場所
に表示したり、講習会等で再度確認したりする
ことで 7S の定義の認識を社内で統一します。
トップのリーダーシップや定義の共有化により
1-
全員が同じ方向に向かって努力する事が大切だ
と改めて感じました。
実際、私の担当しているお客様では、副社長
が一緒に工場内を巡回し、率先して改善指摘を
しています。報告会においても、副社長・工場
<講演中の奥田 貢司講師>
<講演中の金山 民生講師>
長・部門長も含めて意見交換がされ、改善がな
されるのも非常に速いです。また、 7S 活動の
改善発表を年 2 回行っており、お互いの改善事
例を発表し合って良いものは取り入れること
で、7S 活動をさらに成長させています。
部署を超えた相互協力活動の事例が紹介され
ましたが、これも全員が同じ方向に向いている
からこそできることだと思います。まずは、自
分の持ち場を改善していくことが個々の役割で
はありますが、部署の中では手におえない問題
を他部署と一体になり解決した非常に良い事例
です。個々が 7S 活動に対して高い意識を持た
れていることを強く感じました。
3,食品衛生 7S 導入の成果
4 時限目は株式会社帝装化成 コンサルティ
ング室室長 奥田貢司先生よりご講義を頂きま
した。
食品衛生 7S は活動を進めるに伴って成長し、
初級から中級、上級に進むに従い、様々な効果
が得られます。初級では整理・整頓が中心とな
りますが、無駄なモノがなくなり物の置き場も
定められることで作業場所が広く確保でき、先
入れ先出しが可能になるため、物を探す時間の
短縮・異物混入の防止にもなり労働事故も起き
にくい製造環境が整います。躾によりルールを
守るのが当たり前になり、従業員のやる気の向
上にもつながります。
中級・上級レベルになるとさらに従業員の意
識改革が進み、従業員の行動・態度にも変化が
現れます。そして、ムリ・ムラ・ムダがなくな
-2
る事でコストの削減につながる活動になり、品
質が向上しクレームが減少すると顧客や取引先
の信頼も得ることができます。最終的には企業
が儲かる仕組みになれば、 7S 活動が成功して
いるということになります。食品メーカー様と
一体となり、食品の安心・安全を確保し利益も
生まれる活動を目指したいと思いました。
4,食品衛生 7S から ISO22000,FSSC22000 へ
第2講演はフードクリエイトスズキ有限会社
鈴木 厳一郎先生にご講義頂きました。
<講演中の鈴木
厳一郎講師>
ISO22000は食品マネジメントシステム規格
で、全8章のうち企業が実施する必要のある要
求事項は4章からなっています。7章の『安全な
製品の計画及び実現』の中の前提条件プログラ
ムを強化したものがFSSC22000です。ハードウ
ェアの要求が多いという印象が強かったです
が、ハザードをコントロールできればソフトに
-
よる代替方法で対応が可能です。ハードウェア
の要 求をソフトで代替した事例としていくつか紹介
がありました。
(1) 床に水たまりを避ける様な設計をしなけ
ればならない⇒定期的に水たまりを除去し、水
たまりを防止
(2) 天井と頭上の設備は、埃及び結露の蓄積
を最小にするように設計されなければならない
⇒容器に蓋をして破損時の混入を防止・結露の
落下を考慮してものを配置
などハードウェアの工事ではなく、ソフトによ
って対応しています。7Sができていると一般衛
生管理の要求を満たすことができ、食品の安全
を守る土台となるということがよくわかりまし
た。
5,食品衛生 7S 構築事例発表
第 4 講演は株式会社 赤福 長尾康之様に 7S
活動事例のご講演を頂きました。工場で取り組
まれている 7S 活動を喫茶店へ展開した事例で
した。工場では現場の方が自主改善活動をされ
も店舗の従業員と品質保証部の方が一緒になっ
て行っていました。喫茶店では餅をカットする
必要があり、その際に使用する包丁の刃の欠け
やまな板の殺菌の方法で困られていましたが、
工場の裁断機の刃の改良で餅に切れ目を入れて
餅を手で割れるようにし、店舗から包丁・まな
板を撤去しています。喫茶店だけの問題とせず
工場側も一体となり改善に取り組んでいる姿に
感銘を受けました。
赤福様の食品衛生 7S の真の効果として ”コ
ミュニケーション”を挙げられています。関係
者同士で顔を合わせて議論する事で、双方が納
得した生きたルールを作ることができ、現場に
もスムーズに浸透する。 7S 活動が当たり前に
なり従業員の個々の 7S の知識・行動力も高め
ることができるとの事でした。
6,おわりに
私自身、食品衛生7 S を基本とした防虫防鼠
の取り組みを行っており、日々さまざまな場面
に遭遇しながらお客様である食品工場でお仕事
をさせて頂いています。その中で、今回の基礎
講座を受講することで改めて食品衛生7 S の
<事例発表の赤福(株)長尾 康之講師>
ており、非常に良いアイデアを出し合って、問
題改善をされています。たとえば、洗浄用具の
ロッカーから洗浄用具用のカートに変更し、道
具の管理・ロッカーの清掃が容易になり、必要
な台数を用意する事で道具を取りに行き探す手
間もなくなり、作業の効率化を実現しています。
検品のラインでは商品を立てる台を少し斜めに
するだけで、検品がしやすくなるだけでなく、
作業者が楽な姿勢で作業できるようになってい
ます。
さらにクレーム0も達成されており、ちょっ
としたアイデアで商品の安全や作業性を改善す
るという大きな成果を出された事例も色々と紹
介されました。喫茶店では餅をカットする包丁
やまな板の管理が問題になっており、その改善
-3
<質疑応答での5人の講師>
生まれた歴史に始まり7つの S の定義、そし
て効果的な運営方法やその成果に至るまで一連
の流れを確認することができ非常に有意義であ
りました。また、食品の安全の基盤となると共
に『人づくり』のための優秀なツールであるこ
とを今回の講演で実感しました。これからも、
自分の仕事の中で食品衛生7 S を活用し、お
客様に微生物レベルの清潔を目指していただく
ことで安全な商品を製造し続けて頂けるようサ
ポートしていきたいと強く思いました。
この度は講師の皆さま、誠にありがとうござ
いました。
-
食品安全ネットワーク
第
第7
7回
回
『
『食
食品
品衛
衛生
生7
7S
S実
実践
践事
事例
例発
発表
表会
会』
』
発表企業を募ります!!
1,日
時
2,場
所
2 13 日(木)
平成26年 月
午前10時30分より(受付10時00分より)
エル・おおさか (大阪府立労働センター)
TEL : 06-6942-0001 FAX : 06-6942-1933
〒 540-0031 大阪市中央区北浜東 3-14
詳細はフーサン便りの次号に掲載します。
3,内
容
挨 拶
第1部 基調講演会
第2部
第3部
第4部
食品衛生7S実践事例発表会
講評と表彰
情報交換会
4,実施要項
1)ねらい
食品安全ネットワークでは、食品工場や関連企業での5Sや7Sについて、その
啓発と普及活動を続けてきました。平成20年、第1回発表会を実施してより、多
くの企業様に好評を得てきました。発表事例は本としてまとめ、好評発売中です。
今回も中身の充実した 第7回実践事例発表会 にしましょう。
2)発表企業を募ります
実践事例を発表される企業を募集しますので奮ってご参加ください。会員企業を
優先しますが、推薦があれば非会員の企業でも参加できます。
3)演題
5Sや7Sまた8Sなどの取り組みの実践であれば演題は自由とします。
4)発表時間
発表時間は20分、質疑応答時間を10分とします。
5)発表方法
原則としてパワーポイントを使用するが、その他の方法も事前に申し出れば可と
します。発表者は複数でも可とします。
6)表彰
審査基準に基づき優秀な企業を表彰し、記念品を贈呈します。
優秀賞受賞企業には「食品衛生7S基礎講座」の事例発表をお願いします。
7)発表の申し込み
発表されます企業は、 平成25年12月末日までに事務局に申込んでください。
先着、原則6社までとします。
8)その他
不明な箇所は事務局にお問い合わせください。
− 1−
食品安全ネットワーク
第 6 3 回 米 虫 塾 ( 食 品 の 安 全 ・ 安 心 講 座 ) 報告
2013年7月20日(土)
会場:(株)ライフプラザパートナーズセミナールーム
フードテクノエンジニアリング株式会社
濱﨑洋輔
平成 25 年 7 月 20 日 に行われた第 63 回
米虫塾 食の安全・安心講座をフードテク
ノエンジニアリング株式会社の濱﨑洋輔が
報告させて頂きま
す。宜しくお願いい
たします 。今回は「 米
国食品安全強化法
( FSMA) について 」
という議題で、株式
会社鶏卵肉情報セン
ター代表取締役社長
杉浦嘉彦先生、 LRQA ジ ャパン マネージ
ャー 坂下琢治先生にご講演頂きました。
まず杉浦先生からは、 FSMA の 概要と経
緯を中心にお話頂きました。
FSMA( 米国食品安全強化法 , Food Safety
Modernization Act) とは、 2011 年 1 月 4 日に
アメリカで成立した新たな法律で、これま
で 以 上 に FDA( 米 国 食 品 安 全 医 薬 局 ) の
権限が強化、拡大されています。また、
FSMA の 適用範囲はアメリカ国内の企業は
もちろん、アメリカへ輸出する海外の企業
に対しても課せられるので、日本でも対応
が必須となっています。
この FSMA の 成立に大きく関与している
団 体 の 一 つ に 、 GMA( 米 国 食 品 製 造 業 協
会 ) と い う 業 界 団 体 が あ り ま す 。 GMA の
加盟団体には、マクドナルドやネスレ等私
たちに馴染みのある企業がいくつもありま
す。食品会社の主目的は「自社ブランドの
商標保護・促進をしながら、消費者に安全
かつ高品質な製品を提供すること 」であり 、
GMA は そ れ を 実 現 さ せ る た め に 規 制 と 透
明性の両面をより促進できるようにしたい
と い う 考 え が あ り ま す 。 GMA が 米 政 府 に
政策提言をするのにはこういった背景があ
ります。
-1
FSMA で は今回 、新たに食品施設に対し 、
ハザード分析と予防的コントロール計画書
の作成・実行を全業種で義務付けていま
す。計画書に入れる項目は、①意図的異物
混入の可能性を含むハザード分析、②予防
的コントロール 、(あれば CCP に おける予
防的コントロールも含む )③モニタリング 、
④検証、⑤是正措置、⑥記録保持、の 6 つ
です 。この計画書は食品施設が保持し 、FDA
からの要請があった時には迅速に応じなけ
ればなりません。
ま た GMA は 、「 食 品 サ プ ラ イ チ ェ ー ン
ハンドブック 」というものを作成しており 、
食品企業が計画書を作成する際に、安全目
標を満たすようなパートナー企業を選ぶの
に参考となるものになっています。このハ
ンドブックの和訳は、杉浦先生が手掛けら
れました。日本語版ハンドブックは、イン
ターネット上に無料で閲覧可能ですので、
関連企業の皆様には是非参考にしてくださ
い。
また FSMA は 、フードディフェンス(食
品防御)について数多く言及しています。
-
食品の安全確保の取組方法は、フードセー
フティ(食品安全)とフードディフェンス
(食品防御)の2つに分けられます。フー
ドセーフティは、食品加工・貯蔵過程での
偶発的な食品汚染を防ぐことで、フードデ
ィフェンスは、意図的な食品汚染を防ぐこ
とです 。過去の意図的な食品汚染の事例は 、
1984 年 に オ レ ゴ ン 州 の レ ス ト ラ ン の サ ラ
ダ バ ー で サ ル モ ネ ラ の 混 入 が 、 2003 年 に
はミシガン州のスーパー従業員が牛ひき肉
にニコチン系殺虫剤混入がありました。こ
のような食品テロのリスクを低減させるた
めに、フードディフェンスは達成可能な目
標を設定し、評価方法を提示する方法で、
柔軟性があり、どの施設でも適用可能な利
点があります。
次 に 坂 下 先 生 に は 、 FSMA と cGMP
( current Good Manufacturing Practice) の内
容を説明しつつ、食品工場の現場での気付
きを中心にお話頂きました。
けるかが大事であるとおっしゃっていまし
た。例えば、施設内の機械・床・壁・天井
の清浄性、使用する空気・水の清浄性、工
具・筆記具といった工場内に持ち込む物、
工場で出た廃棄物等、考え得るハザードに
対して普段から注意を配っておくことが大
事である、とのことでした。
最後の質疑応答の時間では、 FSMA は 現
在「食品安全強化法」と和訳されておりま
すが、杉浦先生は「食品安全現代化法」と
表現するほうが適しているとおっしゃって
いました。私も杉浦先生のお話を聞いてそ
の通りだと感じました。現代化法と訳すと
法律上の安全基準を、今の社会に適した安
全基準に合わせるという意味が込められて
いるのでより伝わるのではないかと思いま
した。
最後に私の所感です。今回の講座で日本
でも許可されていない食品は輸入しないの
と同様に、海外でも規格に適していない食
特に印象的だったのが 、作業衣の話です 。 品は輸入しないことを初めて知りました。
cGMP に は、作業に適した上衣を着用する
現在食料の大半を輸入に依存している我が
こと、身体を適度に清潔に保つこと、と記
国において、世界の食糧事情を把握してお
していますが、工場により作業衣に求めら
くことは、とても重要なことに思います。
れる清潔のレベルは違います。汚れがない
私も食に携わる業務をする者として 、また 、
程度でいいのか?微生物レベルで清潔にす
消費者の一人として、今まで以上に海外の
るのか?クリーニングは個人でやるのか?
食糧事情に耳を傾けておかなければと思え
まとめてクリーニングするのか?等まで考
たよい機会となりました。今回、このよう
えておく必要があります。このようにして
な文章を書く機会を与えていただきありが
工場内で細かなルール作りをしておくこと
とうございました。文章にまとめるにあた
が大切だとおっしゃっていました。
り、講座を振り返り、テーマについて深く
また工場の安全性を確保するために、作
考えることができました。この場をお借り
業者は普段から「汚染源」にどれだけ気付
して御礼申し上げます。
-2-
【平井由美子のちょっと一言】
『 Let ’ s お う ち で HACCP 』
食環境プロデューサー
平井 由美子
1.はじめに
仕事では、食品安全や HACCP に 携わっ
ているみなさんですが、ご家庭でのキッチ
ン・台所についてはどうでしょうか?自分
で料理もするから気になって仕方ない人も
いれば、家のことは家族に任せっきりとい
う人もいるでしょう。今回は、各家庭のキ
ッチン・台所に焦点をあてて、家庭での食
品安全―特に微生物危害から守る―にはど
うしたらいいのかを「おうちで HACCP」
と題して話したいと思います。
小売店で買い物
をして家庭の冷蔵
冷凍庫で一時保管
ののち、料理をし
て食事をするとい
う一連の流れの中
で、管理点として
重要になるポイン
ト・行動を挙げ、その時に何に注意しなけ
ればいけないのかを列挙しました。
る 。移動時間が 1 時間を超える場合は 、
小売店にある氷やドライアイスを利用
する。これら(氷・ドライアイス)の
準備がされていない場合は帰路の時間
を考え時間がかかると判断した場合は
購入しない。
家庭での食品安全を考える時、どう
しても調理という直接的な工程のみに
注目しがちですが、実際は購入すると
いうところから考えなければなりませ
ん。
(2)家庭での保管
○定期的に冷蔵庫と冷凍庫の温度を確
認する。冷蔵庫は4∼5℃を維持してお
り、冷凍庫はマイナス18℃以下である
こと。
○購入した食料はすみやかに冷蔵庫・
冷凍庫に保管する。
○精肉や生魚からのドリップが漏れる
のを防ぐために、ビニール袋に入れるか
トレーを敷いて保管する。これらの下の
段に生で食べるものを置かない。
○精肉や生魚を保管後は手洗いをす
る。
2.家庭のキッチン・台所の重要ポイント
と行動
(1)買い物
○びん容器の製品を買うときは、蓋の
真ん中が隆起していないか確認する。
○精肉はドリップが包装容器から漏れ
ていないか確認する。支払い後漏れてい
ることがわかった際にはビニール袋等に
入れる。
○エコバッグやレジ袋に入れる時は生
で食べるものとそうでないものと分けて
入れる。万一、同じ袋に入れる場合は、
精肉など微生物汚染のハザードとなりえ
る食品の下に生で食べるものを置かな
い。
○購入後は食料をまっすぐ家に持ち帰
−1−
(3)料理の準備
○準備の前には必ず手を洗う。ペーパ
ータオルを使用している家庭はごくわず
かだと思います。手拭き用のタオルは毎
日交換して洗濯する。
○精肉、生魚を扱った後も手洗いをす
る。
○精肉・生魚類のドリップと果物やサ
ラダの食材として生食される食品と接触
させない。
○使用後すぐに、洗剤でカウンタート
ップ、機器、まな板などの器具を洗う。
可能な限り食品衛生7 S でいうところ
の洗浄だけでなく殺菌も行う。
○解凍は冷蔵庫内で行い、カウンタ
ートップの上など常温(室温)では行
わない。ただし解凍まで 30 分 ごとに
水を変え、密閉された容器もしくは袋
の中に入れて冷水中で解凍するのは問
題ない。または、電子レンジで解凍し
てすぐに調理しても構わない。
○調味液につける工程のある料理
は、その間は冷蔵庫に保管すること。
解凍や調味液につけるなどの工程は
ついうっかり常温放置で行ってしまい
がちですが、微生物汚染を避けるため
にも冷蔵庫で行いましょう。
(4)料理
○温度計を使用して食品中心部が安
全な温度に達していることを確認す
る 。温度基準は 、75 ℃で1分間以上 、
牡蠣などノロウイルスの残存が懸念さ
れるときは、 85 ℃1分間以上。
○食品を電子レンジで加熱するとき
は、電子レンジ対応の容器を使用する
こと。加熱しようとする食品にワット
数と時間が記載されている時はそれを
守ること。
(5)盛り付け・いただきます
○食べる前には手を洗う。
○清潔な手できれいな調理器具を
使って食器に盛り付ける。食器は洗
剤とお湯で洗浄されていること。
○冷菜は4∼5℃以下を、温かい
料理は60℃以上を維持すること。
○例え、冬の寒い時期でも料理済
みの食品を 2 時間以上室温で放置し
な い 。 30 ℃ を 超 え る よ う な 暑 い 日 、
あるいはひと肌程度に温められた料
理は1時間しか放置してはいけない。
潔な容器を使用すること。
○迅速に冷却するため浅い容器等を
使い、できるだけ小分けにする。調理
後 2 時間以内に冷蔵すること。
○残り物が食べられるかどうか疑わ
しい場合は捨てること。味見をしない
ように。
3.家庭も安心できない
今回、これをま
とめてみようと思
ったきっかけは、
食中毒集計にあり
ました。別件で食
中毒件数(厚労省
まとめ)について
集計していたので
すが、その中で食
中毒の患者数と死
亡数を発生場所別にまとめてみたところ、
家庭における食中毒発生の患者数が占める
割合は、 1.5 % とわずかでした。
しかし、ハインリッヒの法則のように、
死者1人が発生するのに何人の患者数がい
る か を 計 算 す る と 、 患 者 数 約 194 人 で 1
人の死者が発生しており、食中毒での死者
数全体の 34.6 % が家庭での食中毒でした 。
(すべて平成 20 年 度∼平成 24 年 度まで
の食中毒件数の平均値にて算出)これらの
食中毒の原因が必ずしも今回挙げた生物的
危害、特に微生物危害によるものではあり
ません。しかしながら家庭での食事だから
安全であるというわけではないことを再認
識し、健康で楽しい食卓を作っていってほ
しいと思います。
※参考資料
「 Food Safety in the Kitchen a “ HACCP”
Approach」
Food Safety and Inspection Service United States
Department of Agriculture
http://dwb.unl.edu/teacher/nsf/c10/c10links/www.f
sis.usda.gov/oa/pubs/haccpkit.htm
(6)残り物の保管
本文中に書かれた数字は、厚労省から発表され
○残り物を保管するときは、手を洗
ているものはそれを、それ以外は参考資料に記
い、洗浄されたカウンタートップで清
載されている数字をそのまま活用しております 。
−2−
第17回定期総会報告
平成25年4月18日に開催された、第17回定期総会の内容については「食品安全ネットワーク便り」第105号で
会則改定と新しい役員名簿を報告しました。今回は平成24年度決算報告と監査報告並びに平成25年度予算案について
掲載します。
第3号議案
平成24年度決算案
自 平成24年4月 1日
至 平成25年3月31日
収
入
の
部
項目
予算額
会 団体会員(100 社) 1,000,000
費 個人会員( 90 名) 270,000
の
部
小
計
1,270,000
事 企業サロン
300,000
講演会サロン
300,000
業 (GFSI セミナー)
320,000
7S実践発表会
160,000
の
同上
300,000
定期総会
200,000
部 米 虫 塾 ( ISO22000 600,000
1,196,370
260,000
320,000
72,000
123,000
240,000
200,000
455,000
研究会)
小
計
手 普通預金利息
数 通信教育手数料
料
の
部
小 計
そ 前期繰越金
の
他
小
合
計
計
2,180,000
100
30,000
1,670,000
52
88,376
30,100
81,547
88,428
81,547
81,547
3,561,647
支
出
の
部
項目
予算額
事 企業サロン
210,000
講演会サロン
350,000
業 (GFSI セミナー)
7S実践発表会
350,000
73,630 の 定期総会
180,000
40,000
米虫塾( ISO22000 研
240,000
△ 20,000 部 究会)
248,000
ホームページ更新料
80,000
37,000
海外研修雑費
20,000
60,000
次年度会場予約金
30,000
0
事業予備費
30,000
145,000
小
計
1,490,000
事務委託料
600,000
経 事務用品費
48,000
通信費
480,000
費 会議費
72,000
510,000
フーサン便り編集費
180,000
48
の 交通費
120,000
58,376
渉外費
36,000
部 事務局活動費
240,000
ネット接続料
90,000
雑費
10,000
決算額
差
額
989,370
10,630
207,000
63,000
81,547
3,036,345
決算額
134,192
275,277
差
325,387
163,970
152,936
80,000
17,220
51,550 △
0
額
75,808
74,723
24,613
16,030
87,064
0
0
2,780
21,550
30,000
1,200,532
600,000
39,481
503,012
39,000
180,000
115,000
38,160
200,000
85,726
7,770
289,468
0
8,519
△ 23,012
33,000
0
5,000
△
2,160
40,000
4,274
2,230
1,876,000
195,647
1,808,149
27,664
67,851
167.983
195,647
3,561,647
27,664
3,036,345
167,983
525,302
△ 58,328
0
0
525,302
小
計
そ 次期繰越金
の
他
小
計
合
計
第4号議案
平成24年度決算監査報告
平成24年度の食品安全ネットワークの収支決算状況について監査しましたところ、
適正かつ正確に処理されていましたことを報告いたします。
平成25年4月13日
監査役
監査役
-1-
柳沢 義彰
田中 達男
印
印
第6号議案
平成25年度予算案
自 平成25年4月
1日
至 平成26年3月31日
収
項目
入
の
予算額
会 団体会員
費 個人会員
部
支
計算根拠
項目
1,000,000 @ 10,000 × 100 社
240,000 @ 3,000 ×
の
計
事 定期総会
企業サロン(宿
業
同上情報交換会費
講演会サロン
部
講演会サロン
1,240,000
200,000 @ 5,000 × 40
(7S基礎講座)
7S実践発表会
同上
180,000 @4,500 × 40
50,000 @ 2,500 × 20
140,000 @ 3500 × 40
180,000 @ 3,000 × 60
210,000 @ 3,500 × 60
240,000 @2,000 × 20 × 6
80,000 シーテェイプラニング社
海外研修雑費
20,000 手土産他
320,000 @ 8,000 × 40(会員)
次年度会場予約金
50,000
200,000
事業予備費
30,000
84,000 @ 3,000 × 28
@ 10,000 × 20(非会員)
300,000 @ 5,000 × 60(会員)
小
@ 3,000 × 40(同企業他)
180,000 @ 3,000 × 60
米虫塾
600,000 @5,000 × 20 × 6
手 利息
計算根拠
ホームページ更新料
120,000
計
7S実践発表会
200,000 @ 5,000 × 40
部
(7S基礎講座)
部 米虫塾
同上情報交換会費
小
の
100,000 @ 5,000 × 20
泊研修)
秋の見学会
の
企業サロン(宿泊研修)
業 秋の見学会
部 小
の
予算額
事 定期総会
80 人
出
600,000 @ 50,000 × 12 カ月
経 事務用品費
48,000 @ 4,000 × 12 カ月
通信費
480,000 @ 40,000 × 12 カ月
費 会議費
24,000 @ 2,000 × 12 カ月
フーサン便り編集費
普通預金
数 通信教育手数料
30,000 @50 × 600
料 出版物印税
20,000 規格協会、日科技連
1,180,000
事務委託料
2,304,000
50
計
180,000 @ 30,000 × 6 回
の 交通費
120,000 @ 10,000 × 12 カ月
渉外費
36,000 @ 3,000 × 12 カ月
部 事務局活動費
240,000 @ 20,000 × 12 カ月
の
同上昨年分
40,000 @ 20,000 × 2 カ月
部
ネット接続料
90,000 @ 7,500 × 12 ヶ月
雑費
10,000
小
計
そ 前期繰越金
50,050
27,664
の
小
他
計
そ 次期繰越金
1,868,000
573,714
の
他
小
合
計
計
小
27,664
3,621,714
合
-1-
計
計
573,714
3,621,714
食品安全ネットワーク
第40回見学会と第43回企業サロンのお知ら
せ
株式会社 あわしま堂(菓子製造工場)
秋の恒例の見学会は、趣向を変えて稼働中の工場を見学するために午前としましたので
ご期待ください 。(株)あわしま堂様は「月刊 HACCP 」8月号に食品の品質管理一筋に3
5年∼結論は食品工場7Sだ∼の記事が掲載されました 。「食品工場7S」の実践を見学
から学び取ってください。今回は情報交換会は行いませんのでご了承ください。
1,日
時
平成25年 10月23日(水) 10時00分より
株式会社 あわしま堂
1,見学先
京都伏見工場
【住所】 〒 612-8291 京都市伏見区横大路天王後 45-5
TEL 075-604-6688
会社概況はホームページを参照ください。
アドレスは、 http://www.awashimado.co.jp/cmp_cmp.htm
1,集合場所と時間 京阪電車 中書島駅
9時30分 (時間厳守)
改札口を出たところに集合です。
1,内
容
①挨拶
10:00∼10:05(予定)
食品安全ネットワーク 会長
角野 久史
②会社概況説明
10:05∼10:20(〃)
③工場見学
10:20∼11:20(〃)
③ 講演会&質疑応答
11:30∼13:00(〃)
演題「食品の品質管理は食品工場7Sだ」
株式会社 あわしま堂 品質保証室長 花野 章二氏
1,定
員
40 名(定員になりしだい締め切らせていただきます。)
1,会
費
お一人様
5,000円
出席されます方は、 10月17日(金)までに 、申し込み用紙に記入のうえ、
事務局までFAX下さい。
ホームページからも申し込み出来ます。
同業種の会員様には申し込みをご遠慮ください。
1,申し込み
1,その他
第40回見学会と第43回企業サロン 株式会社あわしま堂
申込先 イカリ消毒(株) 食品安全ネットワーク 担当 鴻上 高
会
社
TEL 06-6264-2741
名
FAX 06-6264-2740
参加者氏名
住
T
所
E
L
〒
F
-1-
A
X