48.戦争犯罪国はアメリカだった! 感想文:林 久治 記載:2016 年8月 16 日 著者:ヘンリー・S・ストークス(訳者:藤田裕行)、発行:2016 年 4 月 29 日、 発行所:ハート出版、定価:1600 円、著者の略歴:1938 年英国生まれ。61 年オッ クスフォード大・修士卒。64 年来日。フィナンシャル・タイムズ、タイムズ、ニ ューヨーク・タイムズの各東京支局長を歴任。 1 (1)前書き 私(筆者の林)のHPの「読書感想文欄:39 章」で、(39章の内容/fをご参照 下さい)、私は「なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか」という本(以後は、 本Ⅰと記載する)を紹介し、私の主張を次のように記載した。 ①日本が日米戦争で敗戦した後、米国は悪名高い「東京裁判」を敢行した。本Ⅰは次ぎの ように書いている(本Ⅰ:p.117-118)。マッカーサーは日本に到着したその日のうちに、 「平和に対する罪」を犯したかどで、重大戦争犯罪人の逮捕を命じた。それまで、国際法 に「平和に対する罪」は存在しなかった。戦勝国となった連合国が、創りだしたものだっ た。さらに、本Ⅰは次ぎのようにも書いている(本Ⅰ:p.119-120)。それまで、人類史 上で戦勝国が敗戦国を「戦争を戦った罪」によって、裁いたことはなかった。今日でも、 日本では「東京裁判史観」を信じている者が少なくないが、東京裁判自体が悪質な国際法 違反だった。 ②本Ⅰが以上のように書いている主張を、私(林)は断固支持する。それでは、真の戦争 犯罪人は誰であっただろうか?私は「支那事変」と「大東亜戦争」に限定して、国際法お よび国内法に違反した戦争犯罪人として、次ぎの5名を告発し彼らの罪状を記載する。 米国 32 代大統領:ルーズベルト(在位:1933.3.4-45.4.12)、米国 33 代大統領:トルー マン(在位:1945.4.12-53.1.20)、初代日本占領連合国軍最高司令官:マッカーサー (在位:1945.8.13-51.4.11)、支那・国民党軍事委員長:蒋介石(在位:1932.3.646.5.11)、ソ連共産党書記長:スターリン(在位:1922.4.3-53.3.5) (なお、今回は罪状の記載を省略する。詳細は39章/fをご覧下さい。) 私は 39 章の内容をメル友の方々にお送りしたが、数人の方々からご感想を頂いた。 それらの内で、2つの意見を以下に記載する。 義兄(元・大阪朝日アナウンサー):歴史というのは戦争に勝ったグループが残 した情報だから常に半信半疑です。 腹を立てて戦争して、殺戮、略奪、強姦など、 隠されていた本能を発散させて、 スキッとしたところで、記録と歴史を残す。その 繰り返しですからなあ。(なお、義兄の父親は、終戦直前に陸軍省の防衛課長であった。 戦況が悪化し、義父が学童疎開を東条首相に提案したところ、首相から「集団疎開は家族 制度に反する。お前は西洋かぶれだ!」と、ひどく叱られたそうである。その後、戦況が さらに悪化した 1944 年6月になって東條首相は突如、防衛課長の上田少将を無視して、 直接、内務省に対して集団疎開の実施を命じたそうである。) 中学の同窓生(元・帝人専務):フィリピンを米国の植民地から解放するために 日本はアメリカと闘ったわけでもなく、明治維新以降の富国強兵思想が満州進出、 朝鮮併合、台湾統治と進み、世界を相手に第2次大戦を日本が仕掛けたことは明白 と私は思います。一つの行為に対して原因があり、その原因を誘起するする行為が ある、その行為を誘起する原因がまたあるといった具合にどんどん遡ってゆきます。 そのどこかで誰かが一つ解決するとこの連鎖はとまるのしょうからこれが人類の知 恵ではないでしょうか。そういう意味で原爆投下はルーズベルトとトルーマンの責 任と切り捨てることは私にはできません。最後に、罪を憎んで人を憎まずというの はきれいごとの詭弁なのでしょうか。 私は「上記の意見は、現在の多くの日本人が持つ代表的な意見であろう」と思う。 しかし、今回紹介する「戦争犯罪国はアメリカだった!」(以後は、本書と記載す る)の著者・ストークス氏は本書で「私は日本国民が、東京裁判の虚構に目覚め、 史実と正義の声を上げてくれることに、期待している。日本人が、そう思わないこ とには、日本の名誉が回復されることは無い」と主張している。 2 先の大戦で戦勝国であった英国生まれのストークス氏が、日本の「歴史修正主義 者」のような見解を持っていることに、私は強い興味を感じた。どうして、彼はこ のような意見を持つようになったのであろうか?その理由に対して、私は次のよう に推測する。「彼が新聞記者として来日し、日本の歴史や現状を長年に渡り知れば 知るほど、先の大戦における日本の立場と、連合国側(米国、ソ連、英国などの白 人国家)の有色人種に対する偏見と侵略の歴史に、彼は気付いた」と。 今回は、本書を取り上げ、「戦争犯罪国はアメリカだった!」ことや「真の戦犯 は東条英機らでなく、ルーズベルト、チャーチル、スターリンであった」という本 書の主張を紹介する。(なお、私の調査や意見を青文字で記載する。) (2)本書の目次 序章 東京裁判こそ戦争犯罪であった 第1章 極東国際軍事裁判研究プロジェクト 第2章 三島由紀夫の「市ヶ谷事件」 第3章 アメリカによる洗脳 第4章 イエズス会の独善的な日本布教 第5章 白人キリスト教徒による世界侵略と有色人大虐殺 第6章 「レイプ・オブ・江戸」と明治維新 第7章 白人支配の世界で独立主権を貫いた日本 第8章 民族平等の世界を目指した大東亜共栄圏 第9章 連合国によって「創られた」裁判 第 10 章 東京裁判70年の虚妄を打ち破れ! 第 11 章 大東亜戦争の真実 最終章 三島由紀夫はなぜ「市ヶ谷事件」で自決したのか! (3)本書の紹介 本書の内容は、上記の目次でおよそ推測できるであろう。ここで、私(林)は本 書を詳しく紹介する積りはない。序章には、本書の結論が簡潔に書かれている。本 紹介では、序章を比較的詳細に紹介し、他章は簡潔に紹介する。本書の詳細に興味 のある方は、本書を購入するなり、図書館で借りるなりして、是非ご自分で本書を 読んで下さい。 序章で著者は次のように書いている。 ①戦勝国が敗戦国を裁いて、戦争犯罪人として一方の将兵のみを処刑するのは復讐 だ。占領期間は、まだ戦争中である。その中で、戦時捕虜にあたる東条英機らのい わゆる「A級戦犯」を、不当な裁判にかけ処刑した。これはリンチであり、捕虜殺 害というれっきとした戦時国際法違反で、処刑それ自体が戦争犯罪だ。 ②連合国占領軍総司令部(GHQ)という公的名称を冠しているが、GHQ はマッカーサ ー一人のものであった。彼は自尊心中毒による病んだ人間だった。彼は日本人への 復讐や、アジアへの見せしめに加え、世界へアメリカの正義を発信しようと東京裁 3 判という芝居を上演したのだ。おぞましい矛盾だ。正義を貫くというパフォーマン スに、正義の欠片もなかった。 ③マッカーサーは、白人の優越を示そうとした。西洋の文化や文明、伝統と思想の 優越を、小さな黄色い種族による未開で野蛮な社会に見せつけようとした。日本国 民全体が、東京裁判の被告だった。今日、日本の大新聞、文部科学省、文化人をは じめ多くの日本国民が、東京裁判史観を信じている。今日の日本は、いまだにマッ カーサーの呪縛の渦中にある。 ④西洋文明が為したことは、結果的に非文明の所作であり、正義の基準は全く実践 されなかった。悲しいことであり、また邪悪なことでもあった。私は、日本国民が 東京裁判の虚妄に目覚め、史実と正義の声を上げてくれることを期待している。日 本人がそう思わないことには、日本の名誉が回復されることはない。 第1章は、著者が「東京裁判の虚妄とジャーナリズム」という題名で講演した内 容で、本書の主張と同じである。第2章は、三島由紀夫の「市ヶ谷事件」の紹介で ある。著者は三島と親交があり、「三島は命と引き換えに問題提起をした」と書い ている。私(林)は、三島事件に関しては、本書とは異なる意見を持っている。次 節(私の感想)で本件を検討するので、本節では後回しにする。 第3章によれば、著者は「なぜイギリス人なのに日本の弁護をするのだ」とよく 言われるそうである。著者からすると、「連合国の戦勝史観が正しかった」と強弁 するほうが「戦時プロパガンダ」の繰り返しでしかない。「日本はアジアを侵略し、 非道な残虐行為を行った」とか「東京大空襲や広島・長崎への原爆投下は、日本が 侵略戦争を始めたからだ」と言うのは、欧米や中国、朝鮮のプロパガンダである。 問題は、日本のメディアと多くの日本人が戦勝国のプロパガンダをそっくり受け入 れていることである。洗脳されているとしか思えない。勝者は敗者に対し、一方的 に勝者の見方を強要し、それ以外の歴史認識を持つと「歴史修正主義者」のレッテ ルを貼る。「歴史修正主義者」と声高に相手を罵倒する者こそ、多くの場合「歴史 修正主義者」なのだ。 第4章で、著者は「私はクリスチャンだがクエーカー教徒だ。クエーカーでは、 他人の意見を聞くように努める。クエーカー教は日本の神道にとても似ている。そ んなクエーカーの私にとって、白人キリスト教徒の非道な世界侵略は、どうしても 受け入れ難い」と書いている。モーゼが神の言葉として「異教徒は、男も女も全員 虐殺しろ。男を知らない処女は、分かち合え」と言ったことは、聖書にその通り書 いてある。史実では(例えば、天正少年使節団の報告)、当時のキリスト教徒たち は全世界で有色人種の人身売買を広域展開していた。日本のキリシタン大名たちは、 火薬がほしいばかりに、女たちを獣のごとく縛って南蛮船に運んでいた。 林の調査:クエーカー(Quaker)は、キリスト友会(キリストゆうかい、Religious Society of Friends)に対する一般的な呼称である。友会は、17 世紀にイングランドで設 立された宗教団体である。友会には全信者に向けた経典や正式な教義箇条のようなものは ないが、信者間にある一定範囲の教義的な合意はみられる。最も中心にある考えは、内な る光である。(林の意見:クエーカーの考えは、私の好きな「グノーシス派/f」に近いよ うである。) 第5章で、著者は「白人キリスト教徒の歴史は、異教徒は殺すと言う思想が根底 にある」と書いている。キリスト教徒は、1096 年の第1回十字軍でエルサレムに入 ると、騎士たちはユダヤ人やアラブ人など、異教徒を皆殺しにし、女性はレイプし 4 た。15 世紀には、ポルトガルとスペインが、香辛料を求めて世界を侵略した。1521 年に、マゼランはセブ島に到着し、大砲による威嚇でセブ王と同盟を結び、キリス ト教の布教を始めた。しかし、近くの小島マクタン島のラプラプ酋長はマゼランの 攻撃を撃退し、マゼランの首を取った。その後、スペインが三百数十年間フィリピ ンを植民地支配した。1989 年の米西戦争でスペインがアメリカに降伏し、フィリピ ンはアメリカに割譲された。 スペイン人を始めとするヨーロッパ人は、「新大陸」に世界史上最大の大殺戮 (ジェノサイド)という災厄をもたらした。疫病、殺人強盗、奴隷化、そして虐殺 の結果だった。アメリカ合衆国を建国した清教徒たちは「神から与えられた明白な 使命(Manifest Destiny)」によって、原住民(インディアン)を次々の虐殺しなが ら、東海岸から西海岸へと、「西部劇」を実行して行った。(林の意見:ジェノサイ ドは、ヒットラーのみが行ったのではなく、白人キリスト教徒の本質である。) 第6章で、著者は「三島は黒船を嫌悪していた。アメリカなどの西洋列強による、 有色人種に対する横暴、侵略、搾取。そうした姿を、三島は黒船に象徴させていた のだろう」と書いている。 第7章で、著者は「幕末・維新の状況における日本の選択として、二つの重要な テーマがあった。ひとつは、白人列強の植民地支配、有色人種の大虐殺と奴隷化か ら日本を守れるかという生存の観点。もうひとつは、たとえ生存できたとしても、 国体を護持できるかという点であった」と書いている。日本が国を挙げて「富国強 兵」に努めた背景には、白人列強のアジア支配の脅威があった。一番の脅威は、朝 鮮半島をロシアが南下してくることであった。このままでは、清国やロシアが朝鮮 半島を植民地にしかねない。 1894 年、朝鮮の混乱を契機とした、日清戦争が始まった。この戦争に勝利した日 本は、下関条約で清国より遼東半島、台湾、および澎湖諸島を割譲された。これに 対して、ロシアがフランスとドイツと結託して、「遼東半島を清国に返還するよう に」と日本に要求した。有名な「三国干渉」である。その三年後、この三国は清国 に代償を要求し、ロシアは旅順・大連を租借した。仏独英も、清国の要地を租借し た。日本は、侵略戦争を戦ったのではない。アジアを侵略していたのは白人列強諸 国であり、日本は自衛のために軍事的対応を余儀なくされてきたのである。 第8章で、著者は「第二次世界大戦は、正義の側の連合国と悪の枢軸国である日 独伊のファシズムとの戦いであったとするのが、戦後レジームである。日本がアジ ア諸国を侵略したというのは、連合国側の戦時プロパガンダにすぎない。」と書い ている。多くの日本人が錯覚をしている。それは、日本のメディアが「日本はアジ アに対して侵略戦争を起こし、アジアの人々を二千万人も殺した」と報道するから である。 アジアを侵略していたのは、白人キリスト教徒の列強諸国であった。「大東亜戦 争」は、日本にとっては第一義的には「自衛戦争」であったが、結果的には非白人 世界にとって、待望していた恩恵であった。白人に、奴隷のように扱われ、搾取さ れた世界中の有色人種に希望を与えた。 第9章で、著者は「外務省のホームページには『我が国はサンフランシスコ平和 条約第 11 条により、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、この裁判について 異議を述べる立場にはない』と宣言している。過去に、日本の首相や閣僚の多くが 『日本は、平和条約第 11 条で東京裁判を受諾しているので、日本は侵略戦争を認め 5 た』と大間違いをしている。そのような解釈は誤訳で、条文の英語は『日本は東京 裁判の判決を受け入れ、日本で収容されている日本人受刑者の刑の執行を行う』と いう意味だ」と書いている。 著者は本章で、「連合国戦勝史観」に対して、次のように反論している。 ①東京裁判は違法裁判であり、無効である。よって、被告は全員無罪である。その 裁判を根拠とする全てのことがらも、無効である。 ②日本は、国際法違反をしていない。連合国側の主張する侵略戦争や残虐行為は、 事実ではない、捏造である。 林の意見:本書の著者は、我々日本人が言いたくても言えないことを、明確に言ってく れた。大変有難い。著者は、本章でその理由を詳細に説明している。ここでそれらを再録 すると長くなるので省略する。是非ご自分で本章を読んで下さい。 第 10 章で、著者は「東京裁判は裁判の体をなさない、復讐劇であり、マッカーサ ーが命令によって戦時捕虜を殺害したリンチであった。国際法が定める戦時捕虜の 不当処刑にあたる。つまり、東京裁判は違法裁判であった。まともな人間であれば、 こんな茶番劇を肯定できるはずがない」と書いている。判決はすでに決まっており、 少数意見は抹殺された。例えば、パール判事の意見は、紹介されることはなかった。 国際法では、戦争責任を戦争をした国の元首やリーダー個人の責任とすることは 認められていない。戦争の場合には、一方的な被害者や、一方的な加害者はいない。 双方に、被害があり、加害がある。戦敗国とは、戦勝国より多くの犠牲者を出した 国である。だから、戦争に負けた。勝った方は、最大の犠牲を相手方に与えたにも かかわらず、戦勝国にも当然にいる犠牲者の仇討ちをしたいと思う。戦敗国にはそ れ以上の犠牲者がいる。戦勝国が、勝ったからと言って、一方的に仇討ちをしては ならない。 第 11 章で、著者は「私は日本の側に立って、極東の島国・日本が、なぜ大東亜戦 争に至ることになったかを、検証してみた。過去五百年の白人キリスト教徒による 世界侵略のなかで、なんとか独立を守ってきたというのが、日本の真実の姿だ」と 書いている。 著者は「日本がアメリカ、イギリスなどと大東亜戦争の開戦に至るには、その背 景があった。日本は、この五百年間、日本の独立と権益を守ろうと努力してきた。 他国をいたずらに侵略、占領、支配、搾取する意図はなかった。しかし、日本には 外からの脅威が次第に迫ってきた。それは、白人キリスト教の列強諸国の脅威、ロ シア帝国の南下の脅威、さらにはコミンテルン(国際共産主義)の脅威もあった」 と書き、次の諸点を指摘している。 ①満州事変は、日本の侵略戦争ではない! ②支那事変は、日本の侵略戦争ではない! ③盧溝橋事件は、共産党が仕掛けた。 ④南京大虐殺は、通州での邦人大虐殺のカモフラージュ。 ⑤大東亜戦争は、日本にとっては自衛戦争であった。 林の意見:本書の著者は、我々日本人が言いたくても言えないことを、明確に言ってく れた。大変有難い。著者は、本章でその理由を詳細に説明している。ここでそれらを再録 すると長くなるので省略する。是非ご自分で本章を読んで下さい。 6 最終章で、著者は「三島由紀夫はなぜ市ヶ谷で自決したのか!?」との疑問に対 する解答を書いている。(林の調査:若い人々は知らないかも知れないが、「三島事 件」とは、1970 年 11 月 25 日に、日本の作家・三島由紀夫が、自衛隊の市ヶ谷駐屯地に乗 り込み、バルコニーで憲法改正のため自衛隊の決起(クーデター)を呼びかけ、その直後 に割腹自殺をした事件である。) 著者は三島と親交が深かったが、最終章で次のように書いている。「事件前に、 三島は多くを語らなかった。多くを語るよりも、命を捨てるという実際の行動で、 命より大切なものの存在を訴えた。希代の文章力を持つ三島が、言葉ではなく、そ の命そのものを捨てることで表現した。いや、そうすることしか、表現できなかっ た。彼が訴えた憲法改正はいまに至っても実現していない。日本は、未だ占領下に 置かれているようだし、日本は真に主権を回復しているとは言えない。アメリカの 一部か、保護領のようにも見える。」 図1.三島事件を報じる朝日新聞夕刊(1970 年 11 月 25 日) 記事中の写真は、「自衛隊市ヶ谷駐屯地のバルコニー」で演説する三島由紀夫。 (4)本書に対する私の感想 私(林)は、「日米戦争はなぜ起きたか。 たった9分で分かる近代史 50 年」と 題する動画が1)のサイト/Qに掲載されていることを見つけた。本動画の内容は本 書の意見と同じであるので、是非ごらん下さい。 7 本書の著者は、「東京裁判を成り立たせる論理と、原爆投下を正当化する論理の 奥底には同じものがある」と書いている。(本書:p.251)以下に本書の該当部分 (本書:p.251-252)を引用する。 東京裁判も「事後法」の、「違法裁判」だ。東京裁判が、正当だったとは、どう考えて も言うことができない。法理や論理に照らして、「正当性がある」などとは、とても言え たものではない。茶番、復讐、私刑と呼ばれるが、実際にそのようなものだった。 原爆投下はどうか。こちらも、都市をまるごと破壊するのである。戦時国際法で、戦争 は「戦闘員どうしで戦う」ことが定められている。若い男性は、皆が戦場に行っていて、 本土に残された多くが、老人、女性、子供、病弱者だった。(原爆や空襲は、)そうした 非戦闘員を、大虐殺した。日本の降伏は決定していた。それにもかかわらず、なぜ原爆を 投下したのか。広島にはウラン爆弾、長崎にはプルトニウム爆弾を投下した。これは生体 実験と言わざるを得ない。 その他に、ソ連へのけん制、非キリスト教徒だったからなど、重複した理由があるだろ う。いずれにしても、原爆投下は戦時国際法違反の「戦争犯罪」である。それを正当化し、 国際法を堂々と違反して、「正義」だというアメリカの信念の根拠は、いったい何か。そ れは、「異教徒は殺せ」とモーゼに命じた神の「明白なる使命」が根底にあったからでは なかろうか。 私は、著者の上記の意見に賛成である。最近は、イスラム原理主義者のテロが頻 発している。記憶に新しい事件では、本年の7月1日の夜、ダッカ・レストラン襲 撃人質テロ事件が起こり、28 人が死亡したが、うち 17 人は外国人、2 人が警察官で、 犯人も 6 人が射殺された。犠牲者の中には、国際協力機構 (JICA) 関係者である、 日本人(男性 5 人と女性 2 人)が含まれていた。 イスラム教のジハードの思想は、あくまでも自国に対する侵略戦争を仕掛けられ た場合にのみ行われるらしい。イスラムでは、「自分たちの領土に侵略してくる敵 に対して、武器を持たずに降伏しなさい」という立場をとらず、「侵略してくる敵 に対して自ら立ち上がって自国を守ること」を奨励し、その自衛の戦争のことをジ ハード(聖戦)という。近年、一部の過激派がこの言葉を悪用し、テロ行為のこと をジハードと呼ぶことがある。「これは、あくまでも本来の意味からは遠く離れた 間違った使い方である」との弁解がある。しかし、自爆テロを行う本人は、「これ で、自分は死後に天国に行ける」と喜んで死んで行くようである。 イスラムにおける天国は、信教を貫いた者だけが死後に永生を得る所とされる。 イスラム教の聖典「コーラン」ではイスラムにおける天国の様子が次のように書か れている。「天国に来たイスラム信者の男性には、一人につきセックスの相手をす る 72 人のフーリー(天女)がいる。彼女たちは永遠の処女であり、セックスを行い 処女膜が破れても、すぐさま再生する。」 私は、一神教(ユダヤ教、キリスト教、およびイスラム教)の国々の政治家や宗 教指導者に対し「明白なる使命や自爆テロは間違いであるので、絶対にやるな!」 との発言を強力に行うことを要求する。彼等がこれらの過ちを糊塗するなら、私は 「エホバともアラーとも呼ばれている一神教の神は、殺戮の神であり、信じるに足 りない」と結論せざるを得ない。 本書では、著者のストークス氏は次のように書いている。(本書:p.271) 日本の最大の問題は、日本人がアメリカによる洗脳を自覚できないことだ。「日本は戦争 犯罪をした」とか、「日本は侵略戦争を起こした、犯罪国家だ」などというまったくの虚 8 構を、真実であると思い込んでいる。日本人は、この無明から覚醒せねばならない。日本 人は立派な民族である。日本は、戦争犯罪国家などではない。その誇りを取り戻し、いわ れなき日本人の父祖に対する名誉棄損を打破することだ。三島由紀夫は、そのことを魂か ら訴えようとして、東京裁判が行われた場所で、自決したのだ。 三島事件が起こったのは、私が結婚した直後であったので、私は三島事件をよく 憶えている。その時、私は次のような感想を持った。「三島由紀夫はノーベル文学 賞の候補になるだけの優秀な作家なのかも知れないが、自衛隊にクーデターを促そ うとした行動は、全くの時代錯誤である。彼に実現したい主義主張があるなら、切 腹などという滑稽な手段ではなく、彼の得意な文学や弁舌で、日本国民を説得する 努力をすべきであった」と。 従って、私はストークス氏のように三島由紀夫を称賛できない。彼は「潮騒」の ような抒情的な小説を書いている。一方、彼はグロテスクな作品も多く書いている。 彼の精神の軌跡を解明することは、人間研究では大変面白い課題かもしれない。し かし、老い先短い私には、三島文学を読むことに時間を割けないし、読む意欲もな い。私は、「三島由紀夫は、相模原事件の犯人と同様に、気のふれた病人である」 としか思えないのである。 引用したサイト 1)のサイト:https://www.youtube.com/watch?v=6kfMhYp7PeQ 9
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