■食品中の総アフラトキシンの測定例 AS/LC-023 食品を汚染するマイコトキシン(カビ毒)のうち、アフラトキシン(AF)は肝臓毒で天然で最強の発がん性物質と言われています。自然界では アフラトキシンB1、B2、G1、G2などが産生され、発がん性が強いのはB1です。日本における食品中のアフラトキシンの指標は、アフラトキシ ンB1から総アフラトキシン(B1、B2、G1、G2)に変更されており、10 μg/kg 未満という基準が適用されています(*1)。また世界各国では、そ れぞれの状況に応じて規制値が設定されています。 試料の精製は多機能カラム(MFC:Multi Functional Column)を用いる方法と、イムノアフィニティーカラム(IAC:Immunoaffinity Column)を用 いる方法があり、試料の種類によって選択します。またアフラトキシンB1、G1は感度が低いため、標準試料、実試料共に誘導体化が必要で す。トリフルオロ酢酸を用いて誘導体化し、LC-FLで分離検出する方法が一般的ですが、カラムで分離後フォトケミカルリアクターによる誘導 体化や電気化学的誘導体化法も試験法として示されています(*2)。 今回は、トリフルオロ酢酸によるプレカラム誘導体化を用い、LC-FLで測定する方法を紹介します。 (*1)厚労省 食安発0331第5号(平成23年3月31日) (*2)厚労省 食安発0816第1号(平成23年8月16日) ◆食品中総アフラトキシン試験法の概要◆ 測定(LC関係のみ) 前処理 プレカラム誘導体化 (トリフルオロ酢酸) 多機能カラム 蛍光 検出器 分離 穀類、豆類、種実類 ポストカラム誘導体化 (フォトケミカルリアクター) イムノアフィニティーカラム 香辛料、加工食品 O ポストカラム誘導体化 (電気化学的反応) O O O O O O O O O CH3 O O O O O 蛍光 検出器 分離 アフラトキシンB1 C17H12O6 = 312.27 O O O CH3 O O O CH3 O O アフラトキシンB2 C17H14O6 = 314.29 O アフラトキシンG1 C17H12O7 = 328.27 CH3 O O アフラトキシンG2 C17H14O7 = 330.29 【アフラトキシン構造式】 ■アフラトキシン(B1、B2、G1、G2)標準試料の測定例 AFB2 AFG2 AFB1 4 .0 LaChrom C18 (3 μm) 4.6 mm I.D. × 150 mm アセトニトリル / メタノール / 水 = 1 / 3 / 6 (v/v) 0.7 mL/min 40 ℃ FL Ex 365 nm、Em 450 nm 20 μL 2 0 面積(×105) F L U FLU 4 6 .0 AFG1 6 <測定条件> カラム : 溶離液 : 流量 : カラム温度 : 検出波長 : 注入量 : 2 .0 0 .0 0 .0 0 5 .0 5 1 0 .0 分 10 min 1 5 .0 15 【標準試料測定例(各 0.5 ng/mL(1.0 μg/kg)】 AFB1 r2 = 0.9965 6 4 2 2 0 .0 20 0 0 2 4 6 濃度(μg/kg) 8 10 【直線性】 試験法の定量下限値(1.0 μg/kg)のクロマトグラムを示します。これにより本試験法に十分適用できることがわかりました。 また直線性は 0.5 ~ 10 μg/kg の範囲で寄与率 0.997 が得られました。 Page.1 ■食品中の総アフラトキシンの測定例 AS/LC-023 試料の精製に多機能カラム(MFC:Multi Functional Column)とイムノアフィニティーカラム(IAC:Immunoaffinity Column)を用いた場合の測定 例を紹介します。いずれも誘導体化はトリフルオロ酢酸を用いたプレカラム法でおこないました。 ■多機能カラムを使用したアーモンド、落花生の測定例 15 AFB1 1 5 .0 <試料の前処理法> 【アーモンド】 試料 50 g ← 水+アセトニトリル(1+9) 200 mL ホモジナイズ後、遠心分離 10 0 AFB2 5 .0 AFG2 5 AFG1 F L U FLU 1 0 .0 ろ液 5 mL 固相抽出カートリッジカラム(多機能カラム)に よる精製 0 .0 0 .0 0 5 .0 1 0 .0 5 10 min 分 200 1 5 .0 2 0 .0 15 20 溶出液 2 mL 分取 AFB1 2 0 0 .0 150 【落花生】 窒素気流下で乾固 ← トリフルオロ酢酸 0.1mL 室温・案所で15分間静置 ← アセトニトリル+水(1+9) 0.9 mL 分析試料(20 μL) 100 1 0 0 .0 AFB2 F L U FLU 1 5 0 .0 50 5 0 .0 0 0 .0 0 .0 0 5 .0 1 0 .0 5 10 min 分 1 5 .0 2 0 .0 15 20 ■イムノアフィニティーカラムを使用したナツメグ、ローストピーナツの測定例 200 AFB1 2 0 0 .0 150 <試料の前処理法> 【ナツメグ】 試料 50 g ← 塩化ナトリウム 5 g ← 水+メタノール(1+4) 200 mL ホモジナイズ後、遠心分離 100 1 0 0 .0 5 0 .0 0 AFB2 50 AFG2 AFG1 F L U FLU 1 5 0 .0 ろ液 10 mL+水 40 mL 0 .0 試料溶液 10 mL 0 .0 0 5 .0 5 300 1 0 .0 1 5 .0 分 15 10 min 2 0 .0 20 イムノアフィニティーカラムによる精製 AFG1 3 0 0 .0 【ローストピーナツ】 溶出液分取 200 100 AFB2 1 0 0 .0 窒素気流下で乾固 ← トリフルオロ酢酸 0.1 mL 室温・暗所で15分間静置 ← アセトニトリル+水(1+9) 0.9 mL 分析試料(20 μL) AFG2 AFB1 F L U FLU 2 0 0 .0 0 0 .0 0 .0 0 5 .0 5 1 0 .0 10 min 分 1 5 .0 15 2 0 .0 20 *本分析試料は、一般財団法人マイコトキシン検査協会殿よりご提供いただきました。 主な装置構成 : Chromaster 5110 ポンプ、5210 オートサンプラ(サーモスタット付)、5310 カラムオーブン、5440 蛍光検出器 注意: 本資料に掲載のデータは測定例を示すもので、性能を保証するものではありません。 Page.2 (2013/06)
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