第1部講演配布レジュメ - 栃木県公共嘱託登記土地家屋調査士協会

平成28年12月1日
栃木県土地家屋調査士会・公開講座
道路と通行に関するトラブル
~道路境界・公道と私的所有権・建築基準法上の道路・相隣関係~
弁 護 士
第1
山
﨑
司
平
はじめに,自己紹介~土地家屋調査士会との関わり
平成15年6月26日・東京土地家屋調査士会境界紛争解決センター発会式
平成13年度と平成14年度 第二東京弁護士会仲裁センター運営委員会委員長
平成17年6月10日 東京土地家屋調査士会顧問に就任
平成18年から 関東ブロック新人研修 講師「土地家屋調査士の業務と法的責任」
静岡会・千葉会・富山県会・都内各支部・福岡県会・愛知県会・山形県会
第2 土地家屋調査士について
1 法の目的と職責
土地家屋調査士法(以下「法」とする)1条(目 的)
この法律は,土地家屋調査士の制度を定め,その業務の適正を図ることにより,
不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し,もって不動産に係る国民の権
利の明確化に寄与することを目的とする。
昭和54年の改正前は「この法律は,登記簿における不動産の表示の正確さを確保するため,土
地家屋調査士の制度を定め,その業務の適正を図ることを目的とする」
法2条(職 責)(昭和54年新設→平成14年位置変更)
土地家屋調査士は,常に品位を保持し,業務に関する法令及び実務に精通して,公
正かつ誠実にその業務を行なわなければならない。
2 土地家屋調査士の職責および義務
(1)一般的義務
○品位を保持し,業務に関する法令及び実務に精通して,公正かつ誠実に(2条)
○秘密保持義務(24条の2/罰則) ○会則遵守義務(24条)
○研修(25条)
1
調査士は,その所属する調査士会及び調査士会連合会が実施する研修を受け,その資質の向
上を図るように努めなければならない。
2
調査士は,その業務を行う地域における土地の筆界を明らかにするための方法に関する慣習
その他の調査士の業務についての知識を深めるよう努めなければならない。(平成14年改正)
○土地家屋調査士倫理規定(平成21年6月15・16日)
(2)職務の独占=表題登記の申請代理は,土地家屋調査士の専権である。
- 1 -
○不動産表示登記業務・筆特の記録作成は,依頼に応じる義務(22条)/罰則
他人に業務を取り扱わせてはならない(規則22条)
○虚偽の調査・測量の禁止(23条)/罰則)
*東京地裁昭和62年5月13日判決・東京高裁昭和63年1月28日判決
登記官が表示登記に関する事項について自ら調査するか否かは担当登記官の裁量に委ねられて
いる。添付書類等により不動産の現況を把握することができ,申請された登記事項が不動産の
現況に照らして十分正確であると認められる場合は,登記官は,重ねて調査する必要はない。
土地家屋調査士の作成した地積測量図・実地調査書及び隣接土地所有者の承諾書等を添付して
申請された更正登記をしても,登記官に過失がないとされた。200倍・60倍だったが。
*福岡高裁平成1年10月25日判決も,登記官が土地家屋調査士の申請を信用したケー
スであり,登記官には過失はなかったとされたケースである。
*「登記官は,表示に関する登記をする場合には,法第29条により実地調査を行わ
なければならない。ただし,申請に係る不動産の調査に関する報告(土地家屋調査
士・・・・が代理人として登記を申請する場合において,当該土地家屋調査士・・・・が作
成したものにかぎる。)その他の申請情報と併せて提供された情報又は公知の事実
若しくは登記官が職務上知り得た事実により登記官が実地調査する必要がないと認
めたときは,この限りでない。」(不動産登記法規則第93条)平成17年の法改正
(3)業務遂行上の義務
○事務所の設置(20条) ○帳簿の備え置き・保存(21条)
○報酬基準の明示(規則21条)←→ 紛議調停制度(54条)
●業務を行えない事件(22条の2) (認定土地家屋調査士の考査に頻出)
公務員として・仲裁人として取り扱った事件(1項),
筆界特定手続代理業務について,双方代理の禁止(2項)
①相手方の協議を受けて賛助し,又はその依頼を承諾した事件(1号)
②協議を受けた事件で,協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの(2号)
③相手方からの依頼による他の事件(3号)
④調査士法人の社員・使用人について(4号~7号)
境界ADR代理業務について,認定調査士の双方代理の禁止(3項)
3
土地家屋調査士の業務(3条) (認定土地家屋調査士の考査に頻出)
① 不動産の表示に関する登記について(1項1号・2号・3号・6号)
・調査・測量(1号)
・登記申請手続の代理・審査請求手続の代理(2号)
・法務局に提出する書類等の作成(3号)
・これらについての相談(6号)
② 筆界特定手続に関する業務(第1項4号・5号・6号)・・新しい業務
・筆界特定手続の代理・却下の審査請求の代理(4号)
・この手続で提出する書類等の作成(5号)
・これらについての相談(6号)
・筆界特定調査委員(不動産登記法128条1項2号=欠格事由の反対解釈)
- 2 -
③
筆界の裁判外民間紛争解決手続に関する業務(1項7号・8号)・・新しい業務
・代理(7号) vs 補佐人(民事訴訟法60条)
・これについての相談(8号)
*当該機関が法務大臣によって指定されていること(7号)≠ADR法の認証
*次の要件の「いずれにも」該当すること(第2項)
○代理業務は,「弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限」る(本文)
○法務大臣が指定する法人の研修課程を修了した者(1号)
○代理も相談も法務省が手続に必要な能力を有すると認定した者(2号)・認定調査士
○土地家屋調査士会の会員であること(3号)
④
法の施行規則29条に定める業務(法29条1項一号。調査士法人の業務)
・当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により,鑑定人その他これに類する
地位に就き,土地の筆界に関する鑑定を行なう業務又はこれらの業務を行なう者
を補助する業務(一号)
・土地の筆界の資料及び境界標を管理する業務(二号)
・調査士又は調査士法人の業務に関連する講演会の開催,出版物の刊行その他の教
育及び普及の業務(三号)
・登記事項証明書の交付及び書面の交付に係る業務(四号)
4
①
民事上の紛争解決制度について,隣接法律専門職として
一般論
┌裁判所・・・・訴訟,調停
└裁判外・・・・ADR=Alternative Dispute Resolution
代替的紛争処理 → 裁判外紛争処理 → 裁判外紛争解決 → 紛争解決支援
法務省の認証ADRは「かいけつサポート」を名乗るように指導されている。
平成22年9月の東京での「日米ADRシンポジウム」リーラ・ポータ・ラブ教授
ADRの「A」はAppropriate(適切な),Amicable(円満な)に変化しつつあるのが世界の状況
②
筆界特定制度と境界ADRとの関係
A 筆界特定制度………………筆界がどこそこである,という登記官の認識
この制度は,民・民の「境界」に関する紛争の最終的解決ではない
B 境界問題解決センター……所有権界について,当事者の合意による解決
「筆界」と「所有権界」がズレていることが前提となる→→時効(第7.2)
⇒「筆界特定制度」と「境界センター」の協働 ⇒ 調査士の業務拡大!→?→!→?
「筆界」と「所有権界」とのズレ ⇒ ┌筆界を尊重する ⇒ 作業終了
└所有権界を尊重する ⇒ 次の作業
測量 ⇒ 合意書等の作成 ⇒ 分筆登記 ⇒ 所有権移転登記
法務省民事第二課・日調連
平成22年3月連携に関する検討のとりまとめ
平成22年7月通知
筆界特定制度の申立が年間約2500件。境界確定訴訟は年間約1000件が400件に。
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第3 境界について
① 公法上の境界
=「筆界(ひっかい,ひつかい,ふでかい)」
過去の歴史的事実や沿革により,国家により設けられたもの。
「表題登記がある1筆の土地(……)とこれに隣接する他の土地(……)との間に
おいて,当該1筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた2以
上の点及びこれらを結ぶ直線をいう。」(不登法123条1号)
②
私法上の境界
=隣接する土地の当事者間で自由に決めることができる。
(私的自治の原則,契約自由の原則)。
定義規定はない。「所有権界」「借地境界」「地役権界」「建物敷地境界」
③
公法上の境界と私法上の境界の関係
「境界(筆界)とは異筆間の土地の境界である。かかる境界は客観的に固有するもの
というべく,当事者間の合意によって変更処分し得ないもの」(最判昭31.12.28判
夕67・68)(柳下泰児氏注)
「当事者間で境界(所有権界)を定めても,これによって,その一筆の境界(筆界)自
体は変動しない」(最判昭42・12・26判時507・29)
「土地の一部を時効により取得したとしても,各土地の境界(筆界)が移動するわけ
のものではない」(最判昭43.2.22判時514・47)
④
境界確認の法的性質
┌所有権界の確認→処分行為…意思能力が必要
└客観的に存在する筆界の確認→保存行為・管理行為…意思能力
処分行為:財産権の変動を生じる法律的処分行為,財産の現状・性質を変じる事実的処分行為
保存行為:財産の現状を維持する行為(各共有者がすることができる.民法252条但書)
⑤ いわゆる「官民査定」について (三井住友トラスト不動産のHP)
(1) 官民査定とは,官有地と民有地の境界を確定すること。
戦前まで=官民の境界は境界査定という行政処分。行政庁が一方的に決定→査定。
先例 「境界確定は,各省各庁の長と隣接地所有者とが対等の立場で境界を協議し,
両者が合意に達した場合に成立するもので,その性質は財産所有者としての国と
隣接地所有者との契約と解すべきである」。(?)
(2) 公共用地境界明示申請手続き≒筆界の確定(!?)
・法律に基づく制度ではない。都道府県の要綱(公物管理権)などに基づき,官有地と民有地の境
界紛争を事前に回避し,官有地の管理保全を図る等の立場から定められた制度で,名称は,色々
ある。申請手続は省略。
・官有地の管理者が窓口となる担当者を決め,担当者と申請人(代理人)は過去の資料,現在の構造
物等の現況について照合し,境界線の協議。
・ある程度協議が整い境界線についての方向性がでたら,隣接地所有者・対側地所有者等と現地立
- 4 -
会をして,境界点がどのような位置関係にあるか確認。
・立会って両者が合意したら,境界標を設置→合意した旨の確定図,あるいは協議書に署名・捺印。
確定協議書,官民境界明示書,明示指令図など管理者によって異なる。
官民境界確認は行政処分ではない。不服があれば,境界確定訴訟,所有権確認訴訟を求めること
ができる,が……。
・協議の資料は,道路台帳,河川台帳,森林簿,保安林台帳備付地図,旧土地台帳附属地図等。
明治時代から実測されており,比較的精度が高い。
民地側で官庁が保存している以上の資料を得るのは非常に難しい。官庁主導になる。
第4 道路について
1 道路の定義
法律上の統一的な定義はない。(「道路・通行に関する法律と実務」末光祐一)
人又は自動車等が移動することが出来るある程度開けた空間・場所で,移動・通行を
目的としている土地。(参考.末光1頁)
道路……法律:395本,政勅令:371本,府省令:517本
通路……法律:36本,政勅令:20本,府省令:115本
公道……法律:1本,政勅令:1本,府省令:9本
民法
私道……法律:2本,政勅令:0本,府省令:7本
宅建業法,建築基準法
2
公道
国・地方公共団体等の法律に基づく公的組織等が設置・管理・監督等をする公共的な
道路で,一般公衆の通行の用に供するもの(末光9頁)
(1)道路法による道路…高速自動車国道,一般国道,都道府県道,市町村道
(2)都市計画に基づく道路…都市計画道路,土地区画整理法の道路,旧住宅地造成事業法の道路,
都市再開発道路,新都市基盤整備法の道路,大都市地域住宅等供給促進特別措置法の道路,
密集市街地整備法の道路
(3)一般自動車道
(4)開発道路
(5)市町村有道路
(6)認定外道路…里途,二線引く畦畔,脱落地道路
3
私道
私有財産として,設置・管理・廃止等が所有者に任されている道路。
通行権のない第三者は通行できない。(末光9頁)
建築基準法の適用がある私道,固定資産税が非課税の私道,公衆用道路,構内道路
4
接道義務と建築基準法の道路
都市計画区域内の建築物の敷地は,原則として,建築基準法上の一定の道路に,2m
以上接していなければならない(建築基準法43条,42条1項)。
当該建築物及びその敷地の利用について防火上・非難上・安全上支障なきを期し,もって安全良
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好な居住環境を確保しようとする公益保護を本来の趣旨とし,近隣居住者が家裁等の災害時に不
測の危難にさらされないよう,その生活上の利益を保護しようとする趣旨も含む(水戸地判昭6
1年10月30日)(末光125頁)。
(1)道路法による道路
(2)都市計画道路法,土地区画整理法,旧住宅地造成事業に関する法律の道路,都市再開発法,
新都市基盤整備法,大都市地域住宅等供給促進特別措置法,密集市街地整備法による道路
(3)既存道路(末光134頁)
(4)計画道路
(5)指定道路(末光136頁)
第5 民法上の相隣関係について
・隣地使用請求権(民法209条)
土地の所有者は,境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範
囲内で,隣地の使用を請求することができる。ただし,隣人の承諾がなければ,その住家に立
入ることはできない。
前項の場合において,隣人が損害を受けたときは,その償金を請求することができる。
・袋地所有者の囲繞地通行権(民法210条~213条)
・自然流水の受忍義務(民法214条)
土地の所有者は,隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。
・雨水注瀉工作物の設置禁止(民法218条)
土地の所有者は,直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。
・境界線付近の建築(民法234条)
建物を築造するには,境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない。
前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは,隣地の所有者は,その建築を中止
させ,又は変更させるることができる。ただし,建築に着手した時から1年を経過し,又はそ
の建物が完成した後は,損害賠償の請求のみをすることができる。
但し,建築基準法65条
防火地域又は準防火地域にある建築物で,外壁が耐火構造のものについては,その外壁を隣地
境界線に接して設けることができる。最高裁平成元年9月19日判決
・目隠しの設置(民法235条)
境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベラ
ンダを含む。)を設ける者は,目隠しを付けなければならない。
第6 各種の通行権について
1 公道の自由通行
○ 一般公衆は,公道の性格・設置目的等により,それぞれの道路の性質に応じた範囲
(場所・方法)で,法令に則って,公道を自由に通行できる(末光92頁)。
- 6 -
公道の通行を妨害された者は,不法行為の問題が生じ,排除を求めることが出来る。
=通行の自由権・人格的通行権(大判明31.3.30。最一小判昭31.1.16)
○
開発道路
×
道路の損壊
2
●
●
○
△
○
△
私道についての権利制限
建基法の道路が私有地の場合,道路上の建築は出来ない。
一般の通行を阻害することは出来ない(東京高判昭49.11.26。末光165頁)
位置指定道路は,一般公衆も通行できる。反射的効力(末光166頁.384頁)。
一指定道路は,自由には廃止できない。
既存道路・みなし道路・建基法42条2項道路等は,一般公衆も通行できる。
路地状敷地は,私道とも言えるが,通行権がない者は通行できない。
3
○
私有地の通行権
袋地所有者の囲繞地通行権(民法210条~213条)
1項
○
認定外道路
×
×
廃止された元道路
違法な占有
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は,公道に至るため,その土地を囲ん
でいる他の土地を通行することができる。
2項
池沼・河川・水路もしくは海を通らなければ公道に至ることができないとき,又は崖が
あって土地と公道と二著しい高低差があるときも,前項と同様とする。
・公道に至る通路が狭すぎるときは,袋地と認定されることもある(末光208頁)。
・袋地は後発的に発生することもある。
・通行権を主張する者は,登記の有無は問われない。
・通行の場所は,通行権者に必要で,かつ囲繞地のために損害の最も少ないところである。
・通行権者の負担で,囲繞地に通路を開設することができる。
○
○
○
通行地役権の設定(民法280条~)
債権契約に基づく通行権。契約自由の原則。有償vs無償
黙示的通行権(末光345頁~)
黙示の契約を認めるためには,通行の事実があって,通行千野所有者がこれを黙認しているだ
けでは足りず,さらに,通行千野所有者が通行権を設定し,法律上の義務を負担することが客
観的に見ても合理性がある考えられるような特別の事情があることが必要である。(東京高判昭
49年1月23日。末光345頁)
○
人格的通行権・通行の自由権
○
慣習上の通行権
○
生活権に基づく通行権
○
反射的利益による通行権
○
通行妨害の濫用・信義則違反の結果による通行権(末光386頁~)
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1
土地家屋調査士と依頼人との法律関係
第7 参考記載
・他人の労力を使用する契約…雇用・請負・委任…土地家屋調査士の業務は?
(1)請負 請負は,当事者の一方がある仕事を完成することを約し,相手方がその仕事の結果
に対してその報酬を支払うことを約することによって,その効力を生じる。(民法632条)
・瑕疵担保責任(民法634条1項)
・注文者の損害賠償請求権(民法634条2項本文)・注文者の契約解除権(民法635条)
・前2条(請負人の瑕疵担保責任)の規定は,仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又
は注文者の与えた指図によって生じたときは,適用しない。ただし,請負人がその材料又は指
図が不適当であることを知りながら告げなかったときはこの限りでない(民法636条)
(2)委任
委任は,当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し,相手方がこれを承
諾することによって,その効力を生じる。(民法643条)
・この節の規定は,法律行為でない事務の委託について準用する。(民法656条)
・受任者は,委任の本旨に従い,善良な管理者の注意をもって,委任事務を処理する
義務を負う(民法644条)
2
所有権の取得時効(民法162条)
(認定土地家屋調査士の考査に頻出)
20年間,所有の意思をもって,平穏に,かつ,公然と他人の物を占有した者は,その所有権
を取得する。(1項)
10年間,所有の意思をもって,平穏に,かつ,公然と他人の物を占有した者は,その占有の
開始の時に,善意であり,かつ過失がなかったときは,その所有権を取得する。(2項)
占有の継続
排他性
時効の援用
時効完成と登記
等々
3「境界確認書」の取得について
・書面=将来の紛争に備えての重要な書証…使用印鑑=登録印・実印/立会人
・問題となるのは
成年後見が必要な人,外国の居住者,財産管理人(不在者,相続財産)
隣地の所有名義人が死亡していて,未だ相続(登記)がされていない場合
・境界確認(書)の第三者に対する効力
承継─┬特定承継……売買・贈与……債権的効力……証拠としての意味
└包括承継……相続・合併
4
境界の毀損について
●不法行為=民法709条=損害賠償
●境界損壊罪=5年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法262条の2)
境界標として設置されていた有刺鉄線が張られている丸太約30本をノコギリで根本から切り倒
した事案で,未だ境界が不明になっていないとして境界損壊罪の成立を否定した最高裁判決が
あります(最高裁判決昭和43年6月28日)。
町道の敷地内に石垣が設置されたのに長期間にわたり放置され,石垣の所有者及び一般人もこ
れを境界標として承認していた場合には,石垣が真正な境界標でなくても,これを損壊すれば,
境界毀損罪が成立する(東京高裁昭和41年7月19日判決.判タ196号153頁)
● 測量標の効用侵害=2年以下の懲役または100万円以下の罰金(測量法61条)
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以上
弁 護 士
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現
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〇日弁連・ADR(裁判外紛争解決機関)センター・委員長(2016年度~)
○原子力損害賠償紛争解決センター・仲介委員
○日本土地家屋調査士会連合会・顧問
〇東京土地家屋調査士会・顧問
〇野方警察・被害者支援ネットワーク・会長
〇中野区保護司会顧問
○中央大学法曹会・幹事長=代表者(平成27・28年度)
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