良好なパフォーマンスを維持する豪州経済

情報提供⽤資料
経 済 環 境 レ ポ - ト
良好なパフォーマンスを維持する豪州経済
-豪ドル相場の下⽀えに期待-
2016年6⽉2⽇
景気後退や低成⻑を余儀なくされている資源国が多いなか、豪州経済は良好なパフォーマンスを
維持しています。
国家統計局が6⽉1⽇に発表した2016年1-3⽉期の実質GDPは、前年同期⽐3.1%増と3期連続で
前期に⽐べて伸び率を⾼め、2012年7-9⽉期以来の⾼成⻑となりました(図表1)。個⼈消費の堅調
が続いたことに加え、純輸出の改善が⼤きく寄与したためと⾒られます。
当⾯の豪州経済や豪ドル相場の⾒通しについては、以下の点がポイントになると考えられます。
ポイント①
-内外需バランスのとれた成⻑-
実質GDPの主要需要項⽬では、個⼈消費が前年⽐3.0%増と2011年7-9⽉期以来の3%台の伸びとなり、
当期の成⻑を牽引しました。雇⽤・所得環境の改善に加え、物価の落ち着きが消費需要を押し上げたため
と⾒られます(雇⽤市場の動向を図表2に、消費者物価の推移を次⾴の図表4に掲載)。また、緩和的な⾦融
環境が継続していることも、消費者マインドを下⽀えしていると考えられます。
住宅投資は増加ペースが鈍化したものの、引き続き成⻑の押し上げ要因となりました。⾦融緩和の⻑期
化による⾦利低下の進展が、住宅需要を刺激していることが背景にあると⾒られます。投機⽬的の住宅取
得については規制が強化されていますが、移⺠の増加が続いていることもあり、住宅需要の基調は強いと
思われます。
また、純輸出が改善テンポを速め、個⼈消費と並んで当期の成⻑を牽引しました。輸出が鉄鉱⽯など⾮
農業品を中⼼に伸び率を⾼めた⼀⽅、輸⼊が2期ぶりに減少したためと⾒られます。
⼀⽅、設備投資は11期連続で減少となり、マイナス幅が拡⼤しました。資源ブームの⼀巡で資源投資
の落ち込みが続いているためと考えられます。また、⾮資源投資も、機械機器投資を中⼼に低調な動きが
続いたと⾒られます。課題である豪州経済の脱資源依存の成⻑モデルへの転換は、まだ道半ばと⾔えます。
(図表1)豪州:実質GDPの推移
(図表2)豪州:雇⽤者数と失業率の推移
(期間:2005年1⽉〜2016年4⽉)
(期間:2013年第1四半期〜2016年第1四半期)
(前年⽐寄与度、%)
5
政府⽀出
在庫投資他
純輸出
(千⼈)
設備投資
住宅投資
個⼈消費
120
実質GDP
3.0
3
1.8
2.0
2.7
2.3
2.0
2.7
2.6
2.3
2.3
2.9
3.1
2.1
7
失業率、右軸
100
4
2
(%)
雇⽤者数(前⽉⽐増減)、左軸
6
80
5
60
4
40
3
1
20
0
▲1
1
▲ 20
▲ 40
▲2
2013年3⽉
2
0
2014年3⽉
2015年3⽉
2016年3⽉
(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
2005年1⽉
0
2008年1⽉
2011年1⽉
2014年1⽉
(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
<本資料に関してご留意いただきたい事項>
■本資料は、投資環境に関する情報提供を⽬的として岡三アセットマネジメント株式会社が作成したものであり、特定のファンドの投資勧誘を⽬的として作成し
たものではありません。■本資料に掲載されている市況⾒通し等は、本資料作成時点での当社の⾒解であり、将来予告なしに変更される場合があります。また、
将来の運⽤成果を保証するものでもありません。■本資料は、当社が信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するもの
ではありません。■投資信託の取得の申込みに当たっては、投資信託説明書(交付⽬論⾒書)をお渡ししますので必ず内容をご確認のうえ、投資判断はお客
様ご⾃⾝で⾏っていただきますようお願いします。
1
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ポイント②
-成⻑に軸⾜を置くターンブル政権-
豪州経済は、個⼈消費が牽引役を果たして順調な景気回復が続く公算が⼤きいと予想されます。労働
市場の回復が雇⽤・所得の改善を促す動きが継続すると考えられます。また、⾦融緩和効果の浸透が⾒
込まれます。特に、⾦利動向に敏感な⾃動⾞などの⼤型の耐久消費財や住宅の需要を刺激していくと⾒
られます。
財政⾯からの景気⽀援が期待される環境になってきていることも注⽬されます。ターンブル政権は、7
⽉2⽇の総選挙を睨んで、5⽉上旬に発表した2016-2017年度予算案において、成⻑に軸⾜を置く⽅針を
表明しました。具体的には、①法⼈税率の段階的な引き下げや中⼩企業向け優遇税制の拡⼤、②鉄道や
道路などのインフラ投資の拡⼤(総額500億豪ドル)、③国家技術・科学振興計画(総額11億豪ドル)
など、企業寄りの政策を柱に豪州経済の成⻑⼒を⾼めるとしています。
焦点の7⽉2⽇の総選挙は、最近の世論調査ではターンブル⾸相が率いる与党連合がリードしている模
様です。
ポイント③
-豪ドル相場は、下値固めから反発場⾯へ-
豪ドルの対円相場は、⼯業原材料価格の反発にもかかわらず、⾜元では1豪ドル=80円を挟んでもみ合
いの動きに終始しています(図表3)。世界の⾦融市場では、⽶国の政策⾦利の引き上げ、英国の欧州連
合(EU)離脱の是⾮を問う国⺠投票、中国の⼈⺠元の動きなど、複数のリスク要因に対する投資家の警
戒感が残ることから、これらの要因によって為替相場が円⾼傾向となる場⾯も考えられます。
ただ以下の観点から、豪ドル相場は下値固めの動きを続けた後、夏場にかけて豪ドル⾼・円安局⾯に
⼊っていくのではないかと⾒ています。
(図表3)豪ドルの対円レートとJOC⼯業原材料商品指数の推移 (図表4)豪州:政策⾦利や消費者物価などの推移
(期間:2005年1⽉〜2016年5⽉)
(期間:2014年1⽉3⽇〜2016年5⽉27⽇、週次)
(円)
(ポイント)
130
100
120
95
100
90
85
80
70
80
豪ドルの対円レート、左軸
16
実質GDP(前年⽐)、右軸
政策⾦利、左軸
7
14
消費者物価(前年⽐)、左軸
6
12
5
10
4
8
3
6
2
4
1.75
1
2
60
JOC⼯業原材料商品指数、右軸
50
70
2014年1⽉
8
110
90
75
(%)
(%)
140
105
40
2014年7⽉
2015年1⽉
2015年7⽉
2016年1⽉
(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
0
0
2005年1⽉
2008年1⽉
2011年1⽉
2014年1⽉
(注)実質GDPと消費者物価は、2005年第1四半期〜2016年第1四半期
(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
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■本資料は、投資環境に関する情報提供を⽬的として岡三アセットマネジメント株式会社が作成したものであり、特定のファンドの投資勧誘を⽬的として作成し
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第1に、豪州経済の順調な回復が豪ドル相場を下⽀えしていくことが期待されます。ブラジルやロシア
は⾔うまでもなく、カナダやメキシコなど主要資源国が景気後退や低成⻑を余儀なくされるなか、豪州
経済の良好なパフォーマンスが⽬⽴ちます。資源国通貨では、豪ドルが選好されやすい環境になってい
ると⾒られます。
第2に、政策⾦利の引き下げは、最終局⾯にあると⾒られます。豪州準備銀⾏は、5⽉上旬の⾦融政策
委員会において、低インフレに対応して利下げを実施、政策⾦利を1.75%と過去最低⽔準としました
(前⾴の図表4)。さらに、7⽉27⽇発表予定の4-6⽉期の消費者物価が低インフレの継続を⽰唆する内
容であれば、利下げに進む可能性があると思われます。ただ、その場合、⾦融市場では利下げの打ち⽌
め感が台頭する可能性が⾼いと考えられます。
第3に、⽇本サイドの要因が挙げられます。⽇本政府は、5⽉26⽇〜27⽇のG7⾸脳会議後、消費税率
の引き上げを2017年4⽉から2019年10⽉に2年半延期すると共に、2016年度第2次補正予算の編成を柱
とする景気対策の策定を表明しました。政府に歩調を合わせ、⽇銀も6⽉〜7⽉にかけて追加⾦融緩和に
踏み切る可能性があると⾒られます。その場合、国債の買⼊れには限界が⾒えつつあるため、マイナス
⾦利幅の拡⼤が有⼒な選択肢になると考えられます。豪⽇⾦利差の拡⼤を通じて、豪ドル⾼、円安が促
されるものと考えます。
以上
(作成:投資情報部)
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商
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登
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