「新成長戦略」実現に向けて (これまでの進展と、今後の課題) Ⅰ.国際競争を勝ち抜く事業活動の拠点としての飛躍的な魅力向上 Ⅱ.新たに成長を主導する戦略分野 −高機能・単品売り型産業から、システム売り/課題解決型/文化付加価値型、の産業へ− Ⅲ.地域経済・中小企業の活性化 −多様性に対応した支援策の展開− Ⅳ.「国を開く」内外一体の経済産業政策の展開 Ⅴ.「技術で勝って、事業でも勝つ」事業戦略への転換 −「技術を価値につなげる」研究開発と国際標準戦略の推進− Ⅵ.事業仕分け・行政事業レビューの徹底・横展開を通じた事業の選択と集中 平成23年1月 経済産業省 2010年経済産業政策の流れ ① 産業構造ビジョン(6月3日 産業構造審議会決定) ② 新成長戦略(6月18日 閣議決定) ③ 新成長戦略実現会議スタート(9月9日) ④ 新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策 (9月10日 閣議決定) ステップ1 ⑤ 円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策 (10月8日 閣議決定→平成22年度補正:11月26日 成立) ステップ2 ⑥ 日本国内投資促進プログラム(11月29日) ⑦ 平成23年度税制改正大綱取りまとめ (12月16日 閣議決定) ステップ3 ⑧ 平成23年度予算案取りまとめ (12月24日 閣議決定) 2 Ⅰ.国際競争を勝ち抜く事業活動の拠点としての飛躍的な魅力向上 1. 国際的水準を目指した法人税改革 □ 法人実効税率(現行40.7%)について、国際水準の実現を目指し、まずは来年度に5%引下げ □ 中小法人等の軽減税率(現行18%)を3%引下げ 2. グローバル企業のアジア本社や研究開発拠点を呼び込む(日本のアジア拠点化) ◇ 次期通常国会に「アジア拠点化推進法案」を提出(予定) □ 「アジア拠点化推進税制」を創設 : 法人実効税率の5%引下げとあわせ、グローバル企業の研究開発拠点等の法人実効税率を 約12%引下げ、運用面で入国管理手続の迅速化(通常1か月→10日程度) 等 ○ アジア拠点化推進のための立地補助(30.7億円) : 戦略的な企業誘致交渉や有望投資案件の発掘・ 呼び込みを実施し、高付加価値拠点の立地を支援 3. 事業再編の促進を通じた「世界で戦える」企業の創出 ◇ 次期通常国会に「産業活力再生法の一部改正法案」を提出(予定) : 事業統合の迅速化、完全子会社化手続の簡素化 等 △ 「日本国内投資促進プログラム」の取りまとめ ・ 産業界、労働界の参加を得て、「成長促進型」の政策の推進を宣言。 ・ 経団連の投資行動目標(5年後に84兆円、10年後に104兆円の民間設備投資を実現)など、産業界から 具体的な設備投資目標を提示。 ◇:法律関連 ○:予算関連(22年度予備費・補正、23年度当初) □:税制関連 ◎:組織関連 △:その他経済産業省の取組 3 Ⅱ.新たに成長を主導する戦略分野 (その1) −高機能・単品売り型産業から、システム売り/課題解決型/文化付加価値型、の産業へ− 1. グリーン・イノベーションの推進と「環境・エネルギー大国」の実現 ○ 低炭素関連産業の国内立地の推進(1,474億円) : 2020年までに、低炭素産業及び関連部材産業での国内投資を促すことにより、リチウムイオン電池等の分野で 9兆円の市場を創出し、合計49万人の雇用を創出。 ○ 家電・住宅エコポイント制度の延長・見直し(3,104億円) 家電エコポイント : 発行数(個人) 約2,679万件、約4,000億ポイント(平成22年11月末現在) 対象家電製品(テレビ/冷蔵庫/エアコン)の販売台数(11月) 前年同月比 5.3倍/2.0倍/2.8倍 住宅エコポイント : 発行数 約29万戸、約441億ポイント(平成22年11月末現在) リフォーム対象の内窓/リフォーム用ガラスの出荷量(11月) 前年同期比3.3倍/1.9倍 ○ レアアース総合対策(1,000億円) : レアアース等代替材料・使用量削減技術開発、レアアース等国内ユーザー企業支援、リサイクル支援 等 △ ドンパオ鉱山権益を含めたレアアース資源の開発のパートナーとして、ベトナムと合意 ◇ 次期通常国会に再生可能エネルギーの固定価格買取制度の構築のための法案を提出(予定) □ 地球温暖化対策のための税(石油石炭税の課税強化) : 石油石炭税に税率を上乗せ(平成23年10月から足かけ5年、3段階に分けて実施)、税収規模約2,400億円 ◎ エネルギー産業課(仮称)の創設等 ○ 国内における「スマートコミュニティ」実現に向けた社会実証(横浜市など4か所)を実施(184億円) ○ 海外におけるスマートコミュニティの実証事業等(米ニューメキシコ、仏リヨン等、190億円) △ スマートコミュニティの国際展開金融支援 : スマートコミュニティの海外展開を担う事業体組成に対する産業革新機構からのリスクマネー供給を支援 △ COP16 : 京都議定書の単純延長に明確に反対。二国間クレジット制度等、地球規模でCO2排出量を削減する方策 を具体化させ、米中印を含んだ形で、真に公平かつ実効的な枠組み作りを進める △ 二国間クレジット制度の政府間協議開始 : インド・ベトナム(首脳級合意)、ASEAN+3・インドネシア・フィリピン・ラオス・タイ(交渉中) □ 環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)の創設 : 先進的な低炭素・省エネ設備への投資に対し、優遇措置を創設 ◇:法律関連 ○:予算関連(22年度予備費・補正、23年度当初) □:税制関連 ◎:組織関連 △:その他経済産業省の取組 4 Ⅱ.新たに成長を主導する戦略分野 (その2) −高機能・単品売り型産業から、システム売り/課題解決型/文化付加価値型、の産業へ− 2. インフラ関連産業・システム輸出の推進 △ パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合発足(議長:官房長官) △ 公的金融機能の強化 国際協力銀行(JBIC)の機能強化 : 先進国向け投資金融の対象拡充(都市鉄道等、平成22年11月閣議決定) 先進国向け輸出金融の業務追加等に関する法案を次期通常国会に提出予定 日本貿易保険(NEXI)の機能強化 : 政策変更リスクを付保対象に追加等(平成22年に実施済)、 現地通貨の為替リスクへの対応等を年度内目途に実施予定 国際協力機構(JICA)の海外投融資 : パイロットアプローチを年内に開始し、年度内に再開を実現 ○ インフラ・システム輸出促進支援(372.6億円) : スマートコミュニティ、水処理、リサイクル、宇宙等における事業実施可能性調査、研究開発・実証事業、人材育成 等 △ 官民一体となった原子力発電新規導入プロジェクト受注に向けて国際原子力開発(株)を設立(電力会社、原子力関連 メーカー、産業革新機構の共同出資) 。ベトナム原子力発電所プロジェクトの建設パートナーに決定 △ モロッコ、チュニジアでの太陽エネルギー分野の協力合意 ◇ 原子力協力協定の締結を促進し、原子力発電の国際展開を後押し(ヨルダン、韓国:署名、ベトナム:実質合意) △ 産業革新機構の資本参加により、豪州及びチリの水処理企業買収 3. クール・ジャパン戦略 ○ クールジャパン戦略の推進(14.0億円) : 官民有識者会合にて重点国及び分野を検討し、10件程度の国際展開モデルプロジェクトを採択予定 2020年に12兆∼17兆円(現在の2・5∼4倍)規模を輸出する目標を設定 △ 日本ファッションの海外進出を支援するためのテストマーケティング事業を上海で実施 ◎ クールジャパン推進のための新たな部局(クリエイティブ産業審議官、クリエイティブ産業振興課(仮称))の創設等 4. 医療・介護・健康関連産業(ライフ・イノベーション) ○ 民間事業者と医療・介護機関等の連携による、医療・介護等関連サービス分野への参入の促進(19.0億円) ○ 生活支援ロボットの日本初の安全性検証試験専用施設の立ち上げ ○ 「どこでもMY病院」構想の推進等(15.0億円)、国際医療交流の推進(10.0億円) ※ 研究開発関連予算はⅤ.に後述 ◎ ヘルスケア産業課(仮称)の創設等 ◇:法律関連 ○:予算関連(22年度予備費・補正、23年度当初) □:税制関連 ◎:組織関連 △:その他経済産業省の取組 5 Ⅲ.地域経済・中小企業の活性化 −多様性に対応した支援策の展開− ○ 中小企業対策の徹底 ◇ 次期通常国会に「産業活力再生法の一部改正法案」を提出(予定) : 地域中小企業の事業引継ぎを円滑化するため、希望企業同士の引き合わせを支援 等 □ 中小軽減税率(現行18%)の3%引下げ 〔再掲〕 △ 中小企業海外展開支援会議(議長:経済産業大臣) : 各地域で経済産業局が関係機関と連携し、中小企業の海外展開をきめ細かに一貫支援 10年後に中小企業(製造業)の対売上高輸出割合約7%の中堅企業並み12%への引き上げを目指す (現状試算で1.7兆円規模の増加) ○ JETRO・中小機構による中小企業の海外展開支援(42.0億円) : 海外展開の準備段階から、進出段階(見本市出店、商談会等)、契約締結段階(輸出手続、知的財産 等)までの、国内外での一貫した支援 △ 現地中小企業が日本語での相談等の支援を受けられるよう、現地金融機関等に「Japan Desk」を設置 ○ 新卒者就職応援プロジェクト、合同就職説明会等による人材の確保、育成(115億円) : 新卒未就職者1万人規模の職場実習や大学等における合同就職説明会を実施。ものづくり分野等に おける実践型研修を実施。(新卒者就職応援プロジェクトは平成22年度前半で約5,000名実施、 終了した約2,700名のうち約1,000名が就職(平成22年12月9日時点)) ○ 中小企業の資金繰り対策の強化 : 平成22年度予備費で1兆円規模の条件変更に対応 : 平成22年度補正で15兆円規模の融資・保証に対応 ①借換保証の拡充・推進、②セーフティネット保証、③小口零細企業保証など : 平成23年度当初予算で創業支援、海外展開支援を含め、融資・保証を充実 ◇:法律関連 ○:予算関連(22年度予備費・補正、23年度当初) □:税制関連 ◎:組織関連 △:その他経済産業省の取組 6 Ⅳ.「国を開く」内外一体の経済産業政策の展開 1. EPA・FTAの推進・経済連携強化 △ 「包括的経済連携に関する基本方針」策定(閣議決定) : すべての品目を自由化交渉対象とし、交渉を通じて、高いレベルの経済連携を目指す : 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)関係国と協議開始 △ 経済連携交渉の進展 : 日インド(10月)、日ペルー(11月) 交渉完了 : 日豪、日EU(交渉中)、日韓(交渉再開に向けた局長級協議開始) 等 2. 農業の産業化支援 △ 食と農林漁業の再生実現会議(議長:内閣総理大臣)の設置を受け、 経済産業省において、農業産業化支援ワーキンググループ(議長:経済産業副大臣)を設置 : 輸出促進策の充実、農村地域での再生可能エネルギーの導入、 産業界等による農業協力の推進等を検討 3. APEC取りまとめとその場を活用した国際戦略の推進 △ APEC首脳会議・閣僚会議開催 : 首脳宣言として「横浜ビジョン」に合意 : アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた道筋、APEC成長戦略の取りまとめ ◇:法律関連 ○:予算関連(22年度予備費・補正、23年度当初) □:税制関連 ◎:組織関連 △:その他経済産業省の取組 7 Ⅴ.「技術で勝って、事業でも勝つ」事業戦略への転換 (その1) −「技術を価値につなげる」研究開発と国際標準戦略の推進− 1. 課題解決に直結する産学官が結集した研究開発体制の構築 ○ 先端分野の研究開発の推進、グリーン/ライフ・イノベーション分野への重点化 グリーン・イノベーション ライフ・イノベーション ・ 低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト (40.2億円) ・ 低炭素社会を実現する超低電力デバイスプロジェクト (53.5億円) ・ 低炭素社会を実現する超軽量・高強度革新的融合材料プロジェクト (27.4億円) ・ 次世代印刷エレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発 (23.7億円) ・ グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発 (35.8億円) 2. ・ 生活支援ロボット実用化プロジェクト (19.9億円) ・ がん超早期診断・治療機器総合研究開発 プロジェクト (27.8億円) ・ 幹細胞実用化に向けた評価基盤技術開発プロジェクト (17.3億円) ・ 課題解決型医療機器の開発・改良に向けた 病院・企業間の連携支援 (40.0億円) 事業戦略と一体となった国際標準戦略 ○ 戦略的な国際標準化の推進(14.0億円) : スマートグリッド、医療機器等の特定戦略7分野等において、重点的に国際標準の開発・提案等を行う ○ アジアにおける基準認証の国際展開の推進(11.6億円) : アジア諸国と共同で、太陽電池の長寿命評価方法等“我が国製品の強み”が適正評価される手法の 開発及び国際標準化を推進、アジア各国の認証機関の認証能力の向上を支援 3. 世界的な研究開発拠点等への集中投資 ○ つくばイノベーションアリーナの整備等(29.9億円) : 国内外の人材を結集し、先端研究開発、性能・安全性評価、次世代人材育成等を産学官連携の下で 行う環境を整備 ○ イノベーション拠点立地支援(303.0億円) : 企業等による試作品・実証ライン等の大規模な設備などの整備や、産学官が連携し実用化を目指す 共同研究施設等の整備に対し補助を行う ◇:法律関連 ○:予算関連(22年度予備費・補正、23年度当初) □:税制関連 ◎:組織関連 △:その他経済産業省の取組 8 Ⅴ.「技術で勝って、事業でも勝つ」事業戦略への転換 (その2) −「技術を価値につなげる」研究開発と国際標準戦略の推進− 4. 「技術の公開/非公開」の戦略的組合せを支える特許制度見直しと営業秘密管理の徹底 ◇ 次期通常国会に「特許法等の一部改正法案」を提出(予定) : 特許ライセンスを受けて行う事業の保護強化、中小企業の負担軽減を含めた特許料金の見直し 等 ◇ 次期通常国会に「不正競争防止法の一部改正法案」を提出(予定) : 刑事訴訟手続における営業秘密の内容保護、アクセスコントロール回避機器による被害防止 等 Ⅵ.事業仕分け・行政事業レビューの徹底・横展開を通じた事業の選択と集中 1. 独立行政法人・公益法人改革の推進と事業の選択と集中 △ 「独自仕分け」や事業仕分けでの指摘の反映と横断的見直し : 中小企業基盤整備機構の余剰資産2,000億円の国庫納付 : JKA(競輪振興法人)補助事業審査の抜本的見直し(中抜き法人排除等) : 貿易再保険特会を廃止して独法NEXIに移管するとの仕分け結果を踏まえ、見直しを進める 等 2. 事業仕分け第3弾の結果の反映による平成23年度予算案における削減額 ○ 本年10月および11月に行われた事業仕分け第3弾の結果の的確な反映により、概算要求時から更に 144億円を削減。引き続き、今回の反映結果を踏まえた取組みを徹底し、事業の「選択と集中」を着実に 進める。 ◇:法律関連 ○:予算関連(22年度予備費・補正、23年度当初) □:税制関連 ◎:組織関連 △:その他経済産業省の取組 9
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