2015 年大学入試センター試験 【講評(速報)】 科目名:世界史B 総 論 問題の構成は,それぞれ主題(テーマ)を持つ 大問を4題,各大問に3題の中問(A~C)を設けるという従来の 形式が 2015 年も踏襲された。各中問に3問ずつ用意された小問の数は,これも 2014 年と同じ合計 36 問で構成さ れている。その他,思考力を重視する「センター試験」の特徴を反映した,地図,図版,年表などを活用した問題が 本年も出題された。 時代別では例年,古代から現代まで偏りなく出題されている。地域別でも特定の場所に偏っていることはなく, 受験生が苦手とする中央アジアや南米からも僅かであるが出題された。分野別では政治・経済・社会・対外交 渉・文化史などから満遍なく出題されていたと言える。 出題形式では,正文判定形式が増えているのが印象的であった。地図問題や整序問題,空欄補充問題,2 つの文章の正誤を判定する問題など出題されている問題に新しい形式は見られなかった。 出来事を古い順に並び変える問題の中には,選択を迷うものもみられたが,同一地域の歴史や同時代の異なる 地域についての問題については,選択肢の文章の正誤がはっきりしているものが多い印象を受けた。 大問の内容 第1問 世界史上の帝国の支配とその影響(25 点) ローマ帝国におけるセウェルス帝の治績,オーストリア帝国解体後のウィーン,大英帝国の植民地であったオー ストラリアという各主題文をもとに,該当する地域や時代の情況を正確に理解していることを要求するセンター試験ら しい問題。正誤が明確に判定できる問題が多く,取りこぼしは避けたい。 第2問 世界史上の港市(25 点) 南海貿易の拠点となった中国の泉州,大航海時代の初期に繁栄したポルトガルのリスボン,オスマン帝国支配 下のアナトリアのイズミルといった,交易で繁栄した東西の港市を主題文として活用した問題。交易の状態や物資の 流通など主題に沿った問題で,地図問題も2問出題されている。 第3問 世界史上の軍隊(25 点) ヨーロッパの中世末期から近代初期の傭兵,火器の流入による東アジアにおける軍隊や戦術の変化,第一次 世界大戦で捕虜となった将兵の扱いという各主題文を題材に関連事項を問う問題。戦争,国家間の対立等に関 する出題が中心。図版や地図には未見の資料が用いられているが,問題そのものとの関連性は希薄である。 第4問 世界史上の遊戯,その伝播と受容(25 点) インドで誕生したチェス,中国起源の“じゃんけん”,同じく囲碁の伝播という主題文を活用した問題。第4問では, 主題文との関連で文化史に関連する問題が多く出題された。問8の暦に関する問題は,文章が2通りに読むことが できるため,正答が複数あるという出題ミスの指摘があった。 C (株)市進 2015 ○ E A
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