授業のエキスパート養成事業(第5学年音楽科)授業実践記録

授業のエキスパート養成事業(第5学年音楽科)授業実践記録
学 校 名
職・氏名
松山市立堀江小学校
教諭 和田 和美
1 日 時
平成 21 年 11 月 17 日(火) 第5校時(13:30~14:15)
2 題材名
音楽でえがこう「夜空の音楽づくり」(6時間扱い)〔A表現:音楽づくりイ〕
3 目 標
○ 音楽づくりに関心をもち、友達と協力して意欲的に音楽づくりに取り組んでいる。
【関心・意欲・態度】
○ 音楽を特徴付けている要素や音楽の仕組みに気付き、それを生かした表現方法を工夫している。
【感受・表現の工夫】
○ 音楽のまとまりを感じながら、思いや意図をもって表現している。
【表現の技能】
○ 曲想と、音楽を特徴付けている要素との関連を感じ取りながら聴いている。
【鑑賞の能力】
4 指導観
⑴ 児童について
本学級の児童は、歌うことが好きな児童が多く、音楽の授業に意欲的に取り組む。学年初めのア
ンケートによると、90%の児童が音楽の授業が「好き」と答え、そのほとんどが「歌うことが好き」
と答えている。リコーダーなど楽器の演奏を苦手だと思っている児童は 30%いるが、どの児童もう
まく演奏するようになりたいと意欲的である。また、苦手と答えた児童は、楽譜が読めないから難
しく感じているということが分かった。
これまで、歌唱や器楽、また鑑賞の学習の中で、旋律と低音、旋律と和音とのかかわりや響き合
いを感じ取ったり、旋律やリズムの特徴を聴き取り、それを生かして歌い合わせたりする活動をし
てきた。その中で、児童は音を重ねる楽しさや美しさを少しずつ感じ取るようになり、リコーダー
奏においても音色に気を付け、音の重なりや響きの美しさを感じ取りながら演奏しようと意識する
ようになってきた。一方、創作活動については、低学年時に簡単なリズムの模倣や音探し・音遊び
を経験しているが、要素や仕組みを生かして音楽をつくることは今回が初めてである。
⑵ 題材について
本題材では、初めて音楽づくりに取り組む児童が興味をもちやすいよう、身近な自然から題材を
得た音楽づくりに取り組む。
第一次の、「雨」を題材とした音楽づくりでは、マリンバのみを使用して、「ドローン」「繰り返
し」
「合いの手」
「自由なふし」の四つの役割を決めて音楽をつくることで、音楽を特徴付けている
要素や仕組み(「音楽のもと」)を学習する。マレットによる音色の違いや、音域による音のイメー
ジの違いを感じ取り、どのような音が合っているのかをグループで話し合い、一つのふしを繰り返
したり強弱や速さを変化させたりしながら音を音楽にする活動を通して、音楽づくりの楽しさを味
わわせたい。
第二次では「夜空」を題材にした音楽づくりに取り組ませる。第一次と同じく、自然から題材を
得た音楽づくりであるが、実際に耳にする音ではなく、星のきらめきや夜空の様子など、音のない
世界から想像したものを音楽で表現するという、児童に表現の工夫の幅をもたせられる題材である。
変化のない一つの場面を想像するのではなく、動きのある情景や時間の変化、夜空の下で聞こえて
くる自然の音を取り上げ、
「雨の音楽」で学習した、音楽を特徴付けている要素や仕組みを生かし、
それをより発展させた表現へと結び付ける学習として適切な題材であると考える。
音楽づくりは、自分の思いや意図をもちながら友達とかかわり、互いの表現を尊重し合いながら
グループで一つの音楽をつくり、よりよい表現へと高めていく活動である。これは、児童の道徳性
を支える基本的な能力をはぐくむことや、音に対する感性を育てることにつながる。道徳教育を推
進している本校の研究の中の、豊かな表現力・創造力を育て、道徳的実践力を身に付けさせること
につながると考える。
⑶
指導について
指導に当たっては、音楽づくりのルールを設けて活動させるとともに、〔共通事項〕の中で「音
色」「リズム」「速さ」の三つの要素を意識させる。
「夜空の音楽づくり」では、児童がどのような夜空の場面や風景を音にしていきたいのか、グル
ープの思いや意図を詩に表し、それぞれの場面で必要な音はどんな音なのか、場面の変化をどう音
楽で表現していくのかを考えさせたい。モチーフをつくり、音を重ねたり、かけ合いにしたりと変
化させながら音楽づくりをさせる。
音楽の仕組みや要素を聴き取り、よりよい表現に結び付けるため、鑑賞教材を効果的に取り扱い、
音色の変化や低音の働きに気付かせたり、場面の移り変わりを音楽でどう表現しているか考えさせ
たりして、自分たちがつくる音楽に見通しをもたせたい。音楽づくりの仕上げの段階では、音楽の
「始め」
「中」
「終わり」のまとまりをとらえ、形式を意識させられる鑑賞曲を取り上げる。グルー
プでよさを認め合ったり意見を伝え合ったりする中で、自分たちで音楽的な約束を見付けたり、表
現を工夫する楽しさを味わったりする活動にしていきたい。
活動は4名から5名の少人数のグループで行い、一人一人の思いや意図がグループでの音楽づく
りに取り上げられるようにする。楽器の基本的な奏法を指導するとともに、音色、リズム、速さの
要素を変化させたり、節を繰り返したりするなど、音楽を特徴付けている要素や仕組みをいつも意
識させる。児童が試行錯誤しながら音楽をつくる過程を大切にしていきたい。そして、最後には、
各グループがつくった音楽を組曲としてまとめ、学級みんなで一つの曲につくり上げていく喜びを
味わわせたい。
5
題材の評価規準
ア
イ
題材の評価規準
音楽づくりに関心
をもち、友達と協力
して意欲的に音楽づ
くりに取り組んでい
る。
音楽を特徴付けて
いる要素や音楽の仕
組みに気付き、それ
を生かした表現方法
を工夫している。
学習活動における具体の評価規準
①
音楽への関心・
意欲・態度
音楽的な感受や
表現の工夫
音楽づくりに関 ①
それぞれの楽
心をもって取り組
器の組合せや、音
んでいる。
色に注意し、イメ
② 友達の意見を聞
ージに合った音
きながら、協力し
色を工夫してい
て楽しく音楽づく
る。
りをしている。
② 音楽を特徴付
けている要素や
音楽の仕組みに
気付き、よりよい
表現方法を工夫
している。
ウ
表現の技能
エ
鑑賞の能力
音楽のまとまりを
感じながら、思いや
意図をもって表現し
ている。
曲想と、音楽を特
徴付けている要素と
の関連を感じ取りな
がら聴いている。
①
①
自分たちのイ
メージに合う音
楽を思いや意図
をもって表現し
ている。
音楽のまとま
りを感じ取って
聴いている。
② 楽器の組み合
わせの変化や響
きのおもしろさ
に気付いて聴い
ている。
6
指導と評価の計画(6時間扱い)
ねらい・学習活動
第一次
1時間
第二次
1時間
第三次
3時間(本時その3)
共通事項
音色や音の出し方に注意して「雨の音楽」をマリンバで表現する。
○
参考教材「雨の樹」を聴いて、音色や音楽的特
徴をとらえる。
○ 四つの役割を確認し、グループで雨の音楽づ
くりをする。
○ 音楽を特徴付けている要素や音楽の仕組みに
気付く。
☆
エ-①②(観察・ワークシート)
ア-①(観察)
イ-①(観察)
音色
リズム
速度
反復
変化
夜空をテーマにした詩を作り、場面に合った音楽にするための音素材を話し合う。
○
参考教材「ホルストの惑星より」
・八村義夫「星 エ-①② (ワークシート)
辰譜」等を聴いて、音楽の構成について考える。
○ 詩からイメージをふくらませ、楽器の音色や ア-①(学習態度・
表情の観察)
響きに気を付けてどのような音素材を使うか話
イ-①(観察)
し合う。
☆
音色
リズム
速度
音の重なり
音楽を特徴付けている要素や音楽の仕組みを生かして、「夜空の音楽」をつくる。
○
場面に応じた音楽をつくるため、音の響きや
重なりなど、音色とモチーフを意識し、友達と
協力して音楽づくりをする。
○ 他のグループの演奏を聴き、音楽を特徴付け
ている要素や音楽の仕組みを考えながら、どう
すればよりよい表現になるか話し合う。
○
標題音楽である、ペールギュント「朝の気
分」、バレエ音楽「こんぺいとうのおどり」等
を鑑賞し、音楽表現のおもしろさや、音楽を特
徴付けている要素や仕組みに気付き、音楽づく
りをする。
第四次
☆
つくった音楽を互いに鑑賞し、よさを味わう。
○
つくった音楽をグループごとに発表する。
1時間
7
☆
具体の評価規準(評価方法)
○
友達の作品のよかったところを見付け、感想
や意見を発表し合う。
○ 組曲として、グループの発表をまとめる。
ア-②(学習態度の観察)
イ-②(学習態度・
音色
リズム
表情の観察) 速度
旋律
イ-②(評価カード)
音の重なり
ウ-①(評価カード)
反復
変化
問いと答え
ア-②(学習態度の観察)
等
イ-②(演奏の聴き取り)
ウ-①(評価カード)
エ-①②(鑑賞カード・発表)
イ-②(ワークシート)
ウ-①(聴き取り)
エ-②(鑑賞カード・発表)
音色
リズム
速度
反復
問いと答え
変化
本時の指導
目
標
○ 音楽を特徴付けている要素や仕組みを生かして、より豊かな表現方法を工夫する。
⑵ 本時の指導に当たって
標題音楽を鑑賞し、音楽の「始め」
「中」
「終わり」のまとまりを意識させ、形式を学ぶことで自
分たちがつくる音楽に見通しをもたせる。また、音色、リズム、速さの変化が音楽の表現をどのよ
うに深めているかを合わせて考えさせたい。音楽を特徴付けている要素や仕組みを生かして、自分
たちの音楽を更に豊かな表現にするための話合いをし、表現を高めることにつなげたい。
⑴
⑶
展
開
学習の流れ
1
本時の課題を確認する。
○指導上の留意点
◎評価(評価方法)
○
前時の学習を振り返り、本時の活動の見通し
をもたせる。
「音楽のもと」を生かして、自分たちの音楽をつくろう。
2
標題音楽を鑑賞し、聴き取ったことを自分た
ちの音楽にどのように生かすかを話し合う。
・ 「こんぺいとうのおどり」を鑑賞して、音
色、くり返し、問いと答え、形式等を聴き取
る。
・ 聴き取ったことをどのように音楽づくりに
生かすか話し合う。
・ 話し合ったことを発表する。
○
児童の自主的な話合いができるよう支持的な
雰囲気をつくる。
○ 音楽の特徴や仕組みを聴き取らせるために、
音楽の要素を意識して聴くようにさせる。
◎ 音楽のまとまりを感じ取って聴いている。
(鑑賞カード、発表)
○ グループ学習の課題を明確にするために、鑑
賞曲から聴き取ったことを、どのように工夫す
ればよいか、意見を出させる。
3
グループで意見を出し合いながら、音楽づく
りをする。
○ 音を音楽へと構成し、まとまりのある音楽に
するために、
「音楽のもと」をどのように生かす
音楽の要素や仕組みに気付く。
か、試行錯誤させる。
要素や仕組みを生かすにはどうするか考える。 ◎ 友達の意見を聞きながら、協力して楽しく音
楽づくりをしている。 (観察・評価カード)
・ 音色、リズム、速さを工夫する。
◎ 音楽を特徴付けている要素や音楽の仕組みに
・ 旋律を変化させる。
(くり返し、かけ合い、変化、音の重なり、等) 気付き、よりよい表現方法を工夫している。
(学習態度・表情・演奏の聴き取り)
・ 「始め」
「中」
「終わり」のまとまりを考える。
◎ 自分たちのイメージに合う音楽を思いや意図
をもって表現している。
(評価カード)
創意工夫しながら音楽づくりをする。
2グループごとに聴き合い、音楽の表現を高 ○ 自分たちの思いや意図が聴き手に伝わるか確
認し合い、よりよい音楽になるよう、新たな工
めるためには、更にどのような工夫をするとよ
夫点を見付け合う。
いか話し合う。
3
4 本時のまとめをし、次時の学習内容を知る。 ○ グループごとに、本時の活動の評価をさせて
表現を工夫した部分と、課題を発表させて次時
・ 次時は、グループの音楽を仕上げ、組曲と
への意欲をもたせる。
して演奏することを知る。
※ 下線は、「共通事項」
8
授業評価の視点
授業構成力
音楽づくりと鑑賞活動との関連が、音楽を特徴付けている要素や音楽の仕組みを聴き取り、その
よさや面白さを感じ取って、児童が創意工夫して音を音楽に構成していく力を育てることにつなが
ったか。
○ 授業実践力
児童が思考を深め、話合いを深めたり、表現を工夫したりするための教師の言葉掛けは適切であ
ったか。
○
9 授業の実際
時刻
13:30
教師の主な発問・支援
児童生徒の主な反応・活動
「こんぺいとうのおどり」鑑賞
○
旋律がどのように現れているかに注意し
・ 前時の活動を振り返りながら気付いたこ
て聴いてみよう。
(一斉)
とを発表する。
・ 形式を意識させる。
・ 同じメロディーが何回も繰り返して出
・ 中間部分の変化を感じ取らせる。
てくる。
・ 感じが変わっている理由を考えさせ、要
・ 最初と最後が同じで、サンドイッチ形
素の働きを見付けさせる。
式で作られている。
・ 中の部分は、全く違うフレーズで、感
じが違っていた。
・ 始めと終わりの部分は似ているが、少
し違いがある。
〔音の高さ・楽器の音色・音の重なり〕
13:44
授業の課題と各グループの課題の確認
○
本時の課題は「音楽のもとを考えながら音 ・ リーダーが話合いをまとめ、ホワイトボ
楽をつくろう」です。今日の各グループの目
ードにまとめて前の黒板に提示する。
標を決めよう。
(一斉・グループ)
○ 今日の課題を一班から発表しよう。
・ リーダーが各グループの課題を発表する。
・ 「始め」は弱く、「中」は強く、「終わ
り」は一番弱くする。
・ 「中」の部分の強弱の変化を工夫する。
・ 強弱と音の高さを変化させる。
・ 「始め」から「中」の部分、そして「終
わり」の部分への移り変わりを工夫する。
・ 強弱と速さを変化させて演奏する。
13:50
グループ活動
○
各班で協力して音楽づくりをしよう。
(グループ)
・ 6つのグループを、児童のつまずきを明ら
かにしながら順に指導する。質問があるグル
ープは、譜面代に目印の音符を付けて教師に
伝え、教師はその目印のある班を優先的に指
導する。
・
音楽室の中でグループに分かれてそれぞ
れ活動する。
時刻
教師の主な発問・支援
児童生徒の主な反応・活動
・ 途中で星が流れる工夫はできないかな。
・ 最後のまとまりをどうする?
・ 強弱をもう少し付けよう。最初はPか
ら始めよう。
・ サンドイッチにするけど、最初と最後
は少し変化させよう。
14:08
各グループの活動報告
○
各グループで、どんなところを工夫して音
楽づくりをしたか発表しよう。
(一斉)
○
工夫したことを説明しながら、実際に演
奏で示して発表する。
(一斉)
・
中間部の最後を、詩の意味に合わせて
小さくするなど、強弱を工夫した。
・ タイミングが合わないところを、合わ
せるように工夫した。
・ 音の高さを変えて同じメロディーを繰
り返し、変化をもたせた。
・ 場面の移り変わりがはっきりするよう
に、ハンドベルを入れて工夫した。
・ 鈴と木琴を重ねて演奏し、曲の最後の
部分を工夫した。
14:13
本時のまとめと次時の課題
○
次の授業では、グループの音楽をつなぎ、 ・ 音楽を特徴付けている要素やしくみ(授
5年2組の組曲「夜空の音楽」を完成させて、
業では「音楽のもと」と呼んでいる。)を生
発表しよう。
かしながら音楽づくりができたか、協力し
て活動できたか振り返る。
・ 次の時間の活動について見通しをもつ。
10
研究協議の記録
項
目
1 授業改善の視点と自己
評価
2
協
議
内
容
・
意
見
音楽を形づくっている要素や音楽の仕組みを生かして、児童が試行
錯誤しながら、音を音楽に構成していくには、どのような授業の組立
てをしたらよいか考えた。
鑑賞曲から音楽を特徴付けている要素を聴き取り、自分たちの活動
に生かすため、指導の各場面に「惑星」、「朝の気分」等の曲の鑑賞を
取り入れて音楽づくりと関連付けた。本時は、
「こんぺいとうのおどり」
を鑑賞して、曲のまとまりを感じ取らせた後、特に中間部の変化を工
夫させたいと考えた。
○ 第4学年の既習曲であったということもあり、予想以上に曲の特徴
をとらえた意見が多数出たため、焦点がずれていった。曲のまとまり
は感じ取れていたので、時間の都合で次の活動へ進んだが、もう1回
鑑賞させ確認させる時間がとれるとよかった。
○ 本時は特に、
「中」の部分の変化を工夫させたかったが、演奏が不十
分な箇所の練習となってしまった傾向があり、形式を意識しながらの
活動になったかどうかという点では、疑問である。
○ 使用する楽器や音を限定して音楽づくりを行ったが、学習目標を達
成させるためには、それ以外にも約束を決め、活動のねらいをより明
確にすることの大切さを感じた。
○
グループ協議
○ 学習課題の提示の仕方を工夫するとよかった。
音楽づくりと鑑賞活
・ モチーフの作成や繰り返しなどにもこだわって表現しようとよく
動との関連が、児童が創
活動していた。
意工夫して音を音楽に
・ 鑑賞曲の聴取から、なんとなく創作活動に入ってしまったので、
構成していく力を育て
再度、確認のための鑑賞が必要であったのではないか。
ることにつながったか。
・ グループですでに強弱がついているのに、そればかり練習してい
(授業構成力)
た。他の「速さ」や「音色」にも注目させることができたのではな
いか。
・ 1時間の活動内容を、もう少し絞るべきではないか。
○ 〔共通事項〕の扱い方が興味深かった。
・ 〔共通事項〕を「音楽のもと」と呼び、児童はこれまでに学習し
た言葉を駆使しようとしていた。
・ 音楽の要素に重点を置くあまり、言葉が多くなってしまう。音で
対話する場の設定や方法はないか。
・ 音楽の要素をもっと活用するために、作って表現している音や音
楽を確かめる環境があるとよい。
○ 鑑賞曲を有効に活用することで、音楽の要素が抽出できるというこ
とが確認できた。児童の鑑賞力がよく身に付いていて、日ごろの計画
的な学習訓練により、音楽の要素に着目して聴くことができていた。
自分たちのグループの演奏を録音して聴く活動も、取り入れてみては
どうか。
○ 詩の内容にふさわしい、いろいろな楽器を使ったグループの話合い
や教え合いがよくできていた。
⑵ 児童が思考を深め、話 ○ 教師と児童のやりとりがスムーズで、教師が児童の様々な意見をよ
合いを深めたり、表現を
くコーディネートしていた。
工夫したりするための
○ 児童の発言に対して、「もっと具体的に。」などと問い返すことによ
教師の言葉掛けは適切
り、児童の意識がより細かいところへ目を向けることができた。
だったか。(授業実践力)
⑴
項
3
目
全体での話合い
音楽づくり、創作の在
り方について
⑴
⑵
グループ活動の在り
方について
⑶
学習訓練について
協
議
内
容
・
意
見
○ 児童が、
『音楽のもと』を正確に理解しているのか疑問が残る。例え
ば、テンポとリズムの意味が混同していると察せられた場合、その状
況から教師が適切な言葉に言い換える必要があったのではないか。
○ 演奏に対する相互評価の場を設定すると、より理解が深まるのでは
ないか。
○ 思いを共有するためのワークシートの工夫や、音楽の要素を分かり
やすく書き込むことができる楽譜を作成すると、話合い活動をより深
めることができる。
○ グループの反省を話し合う振り返りの時間があると、目標の確認が
できる。
○ 実際に演奏を伴って説明させ、疑問を投げかけたり、評価したりし
ているところがよかった。
「音楽のまとまり」を確認するためには、1
曲全部を発表するグループがあってもよかった。
○
イメージする詩が長すぎると焦点がぼやけてしまうので、単純化し
たり、1つの詩をグループごとに分担したりして工夫させるなどの方
法もよいのではないか。
○ 指導要領改訂のポイントである〔共通事項〕を明確に提示した、継
続的指導が大切である。
○ 詩・音・イメージ・言葉のつながりに具体性をもたせて考えたり、
工夫したことを伝えたりすることができるとよい。
○ 用いる楽器の音色がどのグループも似ているので、他の楽器を取り
入れるなどの手立ても必要だったのではないか。
○ グループ内で児童一人一人に係を設けると、より主体的な活動がで
きる。
○ 児童の姿勢、発表態度、楽器の扱いなどに教師が心がけている授業
の約束がよく身に付いている。児童の心に浸透していく指導を心がけ
ていることの証である。
授業改善のポイント
○
歌唱分野や教師の得意分野に偏ることのないよう、創作活動を年間計画に計画的に取り入
れ、音楽をつくる楽しさを体験させる。
○ 音楽づくりの活動では、単なる効果音やイメージにとどまらないよう、
〔共通事項〕を手が
かりにして、音を音楽に構成していくことが大切。ルールを決めて、その中で音楽づくりを
させる。授業で取り上げる〔共通事項〕は、ねらいに沿って、多すぎず、少なすぎず。
○ 創作活動と鑑賞活動との関連を図る。ねらいとする要素を聴き取ることができる楽曲を選
択し、そこで感じ取ったことを児童・生徒が音楽づくり、創作の活動に生かせるように、教
材を開発していく必要がある。
○ 音楽の要素や要素どうしのかかわりを、教師主導の教え込みではなく、児童・生徒が体感
しながら理解してく活動を展開していく。出来栄え重視ではなく、試行錯誤する活動の過程
を大切にした指導を心がける。
○ 児童・生徒の実態に合った教材選択、指導の工夫をしていくことが大切である。