最高レベルのトレード手法をどこよりもわかりやすく! 小次郎講師のトレーダーズバイブル第 57 回 第 10 部 投資の極意に関するコラムその 1 「行動ファイナンス続き」 皆さん、こんにちは、小次郎講師です。 こんにちは。助手のムサシです。 本日は行動ファイナンスの続き。 行動ファイナンス、大事ですね。 それがわかっただけでも進歩。 【1、投資は人の判断力を奪う】 「東大生のように優秀な人間がトレードをした瞬間に高校生以下の判 断力になる」という話をした。 ええ。信じられませんが。 たとえば、A 社の株と B 社の株を持っていたとする。A 社は花形業界の 勢いのある会社。社長は優秀で社員はやる気にあふれている。 いいですね。 それに対して B 社はもう業界自体が過去の業界で将来展望がない。社 長は三代目のぼんくらで内紛ばかり。社員は仕事をさぼって転職先を 探しているような会社。 ひどいです。なんでそんな株買ったのでしょう。 その素晴らしい A 社の株とどうしようもない B 社の株を持っているとし て、どちらかの株を手放し、どちらかの株を残そうと思ったら、どちらを 残し、どちらを手放すのが正解と思う? 中学生でもわかる質問ですね。A 社の株を残し、B 社の株を即刻手放しま す。 だね。中学生でもわかるよね。その中学生でもわかる判断を、優秀な 投資家さえ出来ず、ほとんどの投資家が B 社の株を残し A 社の株を手 放している。 え? なぜだかわかるかな? さっぱりわかりません。 理由は簡単。A 社の株は買った価格より大きく値上がりしている。だか ら、利益を確定しようと売りに出す。B 社の株は買った価格より大きく値 下がりしている。だから上がるのを待とうと手放せない。 あ、なるほど。 一般的に投資家は買った銘柄のマイナスが大きくなればなるほど、手 放せなくなるという性質がある。 そうですね。時間が経過して、もう上がる見込みが少なくなって、で、そのと きに損があきらめがつく範囲だったら手放しますが、一定以上の損だったら もう上がるまで待とうという気持ちになりますね。特に株式のようにいつまで も持てるというものの場合、特にそうです。 その結果、手元に残っている株はどうしようもない株ばかりになる。これ など、冷静に考えればわかるはずなのに、全ての投資家が陥る落とし 穴だ。 なるほど、確かに高校生以下の判断力になってますね。 【2、正しい判断が出来ない例】 そういった「心理が影響して正しい判断が出来ない」という例は日常い ろいろとある。たとえば、宝くじを買うときに、11 組の111111などとい う番号のくじを買うだろうか? 11 組の111111ですか。そんな番号が当たるはずないですね。だから買わ ないです。 23 組の 832415 なら何とも思わない。ところが 11 組の111111ならそ んなくじ当たるはずがないと思う。実はどちらも同じ確率だということが わかってない。 当たる確率が同じなんですね。そう言われれば。 そういう当たりそうもないと思える宝くじを普通の宝くじと交換してあげ るよ、などという友達がいる。1 枚 100 円の手数料を取ってね。 あくどい。 それでも交換してくれという人がいるのだよ。心理というものを逆に利 用することが一番確実に勝てるコツかもしれない。 【3、プロスペクト理論】 前回プロスペクト理論というのをちょっとだけ話した。プロスペクト理論と は Prospect(=期待)に対する心理学的な影響を研究した学問。投資 に非常に影響する。たとえば投資家は利益には鈍感で損失には敏感と いう性質がある。 たとえば、 A:確実に 100 万円利益が出る。 B:160 万の利益が出るが、3 回に 1 回はプラマイゼロ。 このふたつのうちどちらかを選べと言われたらどちらを選ぶ? 前回の給料の話と一緒ですね。やっぱり僕は A を選んじゃいますね。間違っ てます? だね。A は 3 回で 300 万の利益、B は 3 回で 320 万の利益。期待値で 言うと、A は 100 万、B は 106.7 万となる。 期待値とは? 1 回当たりに換算した期待出来る利益。これも大数の法則が大事で、 少ない回数では期待値どおりにはならないが、回数を重ねると正しく、 期待値×回数の利益になってくる。 なるほど、そうなんですね。期待値で考えることは重要ですね。 では次の質問、きみはペナルティを払わなくてはいけなくなった。次の どちらを選びなさい。 A:100 万円ペナルティを払う。 B:160 万円のペナルティを支払う。但しサイコロを振って1か 2 の目が出たら払わなくていい。 さあどうだ? これは悩みますね。サイコロの目で1か2だと支払わなくていいというのは、 要するに 3 分の1の確率でペナルティを免れるってことですね。じゃあ B を選 びます! これも上記例と同じで、A は期待値-100 万、B は期待値-106.7 万。 ということで、A を選ぶのが正解なのだけど、今度は、払わなくていい可 能性に賭けたいということで B を選ぶ投資家が多い。 確かに。 またマイナス金額が大きくなるにつれて変化に鈍感になるということも プロスペクト理論でわかっている。 どういうことですか? たとえば A 株 買ったばかりで損益がない。 B 株 すでに 500 万円の損が出ている。 A 株が上昇して 100 万円の利益になる、下落して 100 万円の損になる。 これは投資家にとって重要事項だ。なんとかプラスにもっていきたいと 全力を尽くす。 でしょうね。 だから上がる可能性が 55%、下がる可能性が 45%なら持ち続けるが、 逆に下がる可能性が 55%上がる可能性が 45%なら手放す。 当然です。 ところが B 株は違う。その後、上昇して 400 万の損に減ろうが、下降し て 600 万の損になろうが、たいした差ではないと思ってしまう。だから、 B 株の値動きには関心がなくなる。基本方針は放置だ。だから下がる 可能性が 55%、上がる可能性が 45%と言われても、平然と持ち続け る。 なるほど。いつか上がるまでずっと持ち続けるという方針なんですね。 利益が出ているときはまた違った考え方になる。 C 株 すでに 500 万円の利益が出ている。 今度は、投資家心理としてこの利益をさらに 100 万増やしたいと思う気 持ちよりも、この利益を守りたいという気持ちの方が強くなる。とすると、 上がる可能性 55%、下がる可能性 45%くらいなら、安全のためにとり あえず一度決済しておこうということになるケースが多い。 わかります。55%って安心出来る確率ではないですものね。 このように人間の心理状態により、正しい計算が出来なくなる。そのこ とを解明したのがプロスペクト理論。行動ファイナンスの基本となる考 え方だ。 勉強になります。 投資で勝とうとするとき、これから上がる下がるというのを当てるのはプ ロでも至難の業。ところが投資家の心理を研究して、投資家が陥りやす い勘違いの逆を突くことは一番確実に勝てる方法かもしれない。 勉強する価値ありですね。 そのとおり。行動ファイナンス、これからの投資家にとって勉強しなけれ ばいけない必須科目といっておこう。本日はこれまで。 ありがとうございました。
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