DCDC電源

 永
ミニ電源
∼ ‘
マイク□ リツ ト作”
− ◎ −
熱 電 デバ イ スで4◎g弱 に轟 糠′
水が餌′気化熱で動く
ティジタル温湿度計
片倉 克己K 加miKt汰皿
◎ うそのようなホントの話…電子回路は水で動かせる
写真1に示すのは, 水を与えると動き出すディ ジ
タル温湿度計です. センサで計測した温度と湿度を
マイコ ンで処理 して表示 します.
見かけは機械的ですが, 水で動作するので, まる
で植物のような電子回路です. 水が枯れないように
気を付ければ, エンドレスで動き続けます, 水が枯
れてもまた与えれば動くので, 植物を育てるほどの
気づかいは不要です. 太陽電池のように昼間しか動
作できないという制約もありません. 風力ほど電力
の変動も大きくありません. 水が必要条件の農業用
熱電
デパイ
ス
.
DC‐DC
コンバータ
LVBC03
−
130
(CDN)
センサにも向いています. 電池やコ ンセントからの
電力供給なしで作物の発育状況を監視する装置が作
れそうです.
数℃の温度差であれば動物の体温や発酵時の発熱
●
程度でも電源とし
て利用できる可能性があります.
た だし, 得 られるエネルギは小さいので, 電子回路
のロ ー・パ ワ ー化が必要です. 本章では, 図1に示
す構成で水の気化熱から発電した数十”Wのエネ
ルギで電子回路を動かすことに挑戦しました, 実現
にはロー・ パ ワ ー 部 品の選択, 回路と ソフ トウ エア
の工夫が必要です. 課題点も残っています. これら
の工夫と課題点について解説します.
本器のキー技術
◎ 液体から気体に変化するとき水は熱を奪われる
私たちの身の周りの空気には, 水蒸気として微量の
水が含まれています.
湿度が100%でないときには, まだ水を含むゆとり,
があるので, 水を置いておくと気化して空気中に溶け
込んでいきます. 水が液体から気体に変化する時には,
気化熱としてエネルギが取り出され
,温度が下がります‘
⑩ 温度差から電力が得られる
空気中の湿度から温度差が得られるなら, ゼーベッ
ド
ヌタ技術 2015年2月号
ランジ
図1 製作した温湿度表示器の構成
この構成で水の気化熱から発電した電力で電子回路を動かす
ク効果を使って電力を得られます.
ゼー ベ ック効果と は, 温度差 がある と電圧 を生 じる
現象です. ゼーベック効 果の レベルを示す値と してゼ
ーベック係数があります. これは1℃あたりの発電能
力を表します, 熱電対な どの 金属は, 数 ” ∼数十
百
言
誉
帯
蓑
電話髭無
温
挑肇議差曹髭窟
して利用 できま せんで した.
轟 数十mvで起動する超低消費電力電源の誕生
多数の熱電デバイスを直列に接続した部品が登場し,
1℃あたり数十mvの電圧を出力できるようになりま
した. わずか2
0mvの低電圧から起動したり変換効率
が改善 したり な どDC−DCコ ンバータの性能ア ッ プも
あり, 水の気化熱による温度差発電で電子回路を動か
せる 目処が立っ てきま した.
・
1
11
澗
雛
謙
総
猿
;
温度と湿度の測定結果が正しいこと
ための基準(市販の乾湿球型湿度計)
る
・
るDC
DCコンバータ・
‐
130(
CDN)
モジュール LVBC03
‐
のアルミ・フィン
室温伝導用
熱電デ バイス
−
)
TGP‐
751(Mi
t
r
c
ope
気化熱伝導用の
ガーゼを巻いた銅棒
気化熱発生用の
水タンク
,
1
1
,
;
265“Aで動くマイコンを使った
温度と湿度を計測し表示する回路
‐
−
・
表不加餐SW
.
.
.
・
1
≦
写真1 電池もコンセントも不要/ 水を与えると動くディジタル温湿度計
センサで計測した温度と湿度をマイコンで処理して表示する
112
1
1
ヌタ技術 2015年2月号
ト
ラソジ
・
・
さ
特集
永久ミニー起源 ・ マイク□ワ ッ ト作戦
%
取り出せる気化熱は
湿度が低いほど大きい
90
銚子(海辺にある)を除けば日本の湿廟ま83%が上限)
僻 /×
85
◎ 空気は微量の水を含む
普段は意識することの無い身の周りの空気には,
\※
婚
《\∼
//″
〆
クメ \\u
刷堀
、
邑 ヮ5
長野
Y
嬢
尾そ 海茅 ″ダ
80
30℃のとき, lm3中に最大30
i
g程の水 が含ま れます.
下 記の情 報 によ る と, 1日 に10∼1008の水が空気 か
60
50
i
r/
er−out−of‐a
◎h
//t
i‐l
t
t
/
t
:
ab
abo
c
om/24352/wa
rkawa
er
p
.
このような装置を利用しなくても, 梅雨時に使う除
湿器を1日動作させれば, 数βの水をタンクに得るの
は容易です,
轟 水が気化するとき熱というエネルギが生まれる
相対湿度が1
0
0%でない空気はまだ水を含むゆとり
があります, 空気中に水を置いておくと気化して空気
中に溶け込んでいきます. 洗濯物が乾いていくのはこ
のためです,
水が液体から気体に変化する時には, 気化熱として
熱エネルギが水から取り出され, 水の温度が下がりま
す, 風呂上がりに体が濡れたままでいると, だんだん
寒くなるのは体の表面についている水分が気化して,
体温がうばわれるからです.
湿度が低いほど
, 水は気化しやすいため気化後の水
の温度は下がります. この原理を使ったのが中学校で
習った乾湿球での湿度測定です. 乾湿球型の湿度計は
乾球側で空気の温度を測り, 湿球側で水の気化熱を測
り, 温度差から湿度を求めます.
轟 気化熱により1.
5∼2℃の温度差がでる・
図2は日本各地の月ごとの湿度変化です. 海辺の銚
\
し′r \
/ 東京
55
◎ht
i
i
t
gaz
/2013
08
14…dr
i
i
t
ne
nevnews
nk
ng‐wa
pゾ/g
,
\
券\
65
ら作れるようです,
//
/イ
,
2
3
\
・
、
\
\
\
, , , , , , ,. , ,
4 5
6
7
8
9 1o ll 12
図2 日本の湿度は年間を通して8
3%程度が上限
15∼30℃の範囲で気化熱により1
5℃の温度差が得られる
.
子を除けば, 日本では8
3%程度が上限です, 8
3%付
近の湿度で室内温度として期待できる1
0℃の範
5∼3
囲で表1の温度差湿度表を見ると, 気化熱により1
5
.
℃程度の温度差が得られます. 空調を効かせた室内な
ら湿度が70%以下という場合も多いの で, 2℃ 以上の
温度差が期待できます,
P湿度の計算① 水蒸気の含有密度 [
] を使う方法
g/m3
空気に含むことのできる水分量は, 温度によって変
化 します. 10℃ ではlm3中に1occ程度です. この空
▼
3
気中の水は, 水蒸気となって存在し
, 空気lm あた
りに含む水蒸気量を飽和水蒸気量と呼びます. 飽和水
蒸気量に対して空気に含まれる水蒸気量は相対湿度と
呼ばれ, 次の式で表されます.
三ご雲里
R〃=
mwm謂
……………………… ……(
1
)
ただし, mが 空気中に含まれている水蒸気の量
3 ・
[g/m3
]
, mwm叙:飽和水 蒸気量 [g/m]
紗湿度の計算② 水蒸気圧 [
hpa
] を使う方法
湿度尺〃の計算方法を次に示します,
表1 乾球用温度センサと湿球用温度センサの測定値(温度差)から湿度を求めるときに利用した換算表
例えば乾球が25℃で湿球が24℃のとき湿度は9
1%である
乾球
【℃] 0
0
.
40
100
乾球と湿球の温度差 [℃]
0
5
.
97
1
0
.
94
1
5
.
9
1
2
O
,
88
2
5
,
85
3
O
.
8
2
3
5
−
.
79
4
O
.
76
4
5
.
3
7
5
O
.
7
1
5
5
.
68
6
O
.
66
0
8
O
7
.
.
60 も 56
O
身
.
51
10
0
.
4
7
35
1
00
97
9
3
90
8
7
83
8
0
77
74
71
68
6
5
63
57
5
2
4
7
4
2
3
0
1
00
96
2
9
89
8
5
82
7
8
5
7
72
68
65
2
6
5
9
53
デ
4
41
36
2
5
0
10
96
2
9
88
84
80
76
7
2
68
65
1
6
7
5
4
1
3
4
28
20
10
0
95
91
86
8
1
77
72
68
64
6
0
56
5
2
32
25
18
2
1
12
4
5
0
0
15
1
00
94
89
84
7
8
73
68
63
58
53
48
47
5
4
‐
4
8ー 40
43 .3帆
30
lo
1
00
93
8
7
8
0
4
7
6
8
6
2
56
50
44
38
3
2
27
15
5
1
00
92
84
76
68
6
1
53
46
38
31
24
1
6
9
0
0
0
0
0
10
0
90
8
0
70
6
0
50
4
0
3
1
21
12
3
0
0
0
0
0
0
‐5
1
00
87
73
60
47
34
2
2
9
、0
0
0
0
0
0
0
0
0
‐lo 1
00
82
6
4
46
2
9
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
ト
ラソジ
ヌタ核備 2015年2月号
,
113
鞭務
爺
総繍
謝
鴎諾
鰯瀞
鱗薗
駿部
熊瀞
艦潟
隊輔
総導
騨燕
灘
鰹聾
燕
綴霧
鵬総
擦謙
隣
灘譲
鯖鰹
綴鰹
鱗縫
謎
鰍焦
耐
鰍馨
鱗
嬢欝
鰹
瀞熟
糠
鱗議
欝
鰹難
聴
醗鷺
酵鞘
癖漏
鰹鱒
Rr
Pexl
00
翼 三ir
ただ し, Pew
(鎚);気化 冷却温 度で2での水蒸気圧
…….……………・………・
・(
2
)
[Pa
]
]
, 島々:大気圧 [Pa
式(
)から, 相対湿度は環境温度の飽和水蒸気の量
1
と環境空気に含まれている飽和水蒸気の量の比です.
I
S規格の湿度測定方法を見ると, 実用上は湿潤空気
J
の水蒸気圧鳥 と, その温度T
・における飽和水蒸気圧
今回の製作では, 気圧計までは積んでいないので,
25 [
hpa
] で計算 しています.
標準大気圧1013
.
本器のハキ ドウ ェア
Pewm)の比 となっ ています.
] は,次の式で求まります.
水の飽和蒸気圧P
hpa
e
w[
−1
Pew=expl‐60969385× 髭b
s
2
4
0
9
1
1
1
3xl
6
4
2−2
9
o‐2x rabs
十21
7
.
.
2
十1
673952×10一5× 7
+めs
.
+2
)
} … … … … … …・(
433502xl
3
)
2ib
n(
.
s
ただし, 髭郁;絶対温度 [K]
湿潤空気の水蒸気圧鳥 は, 次の式で求まります,
)…(
)(注1
4
)
鳥 =鳥w(n}−QOO08xp山 ×(r.−r2
◎ 全体の構成
写真1に示すのは製作した温湿度表示器です.
右側 に吊るさ れているのは熱電 デバイ ス, 低起動電
圧のDC‐DCコンバータ で構成 した電源部, 温度・湿
度センサ, 気化熱発生用の水タンクです, 左側に吊る
されているのは乾湿球型の湿度計です, 測定値の比較
用 に並 べ てみま した. 下側 に配置さ れているのは, 温
度と湿度を計測して表示するマイコン回路です. 液晶
に温度と湿度を表示します. 表示切替スイッチを押す
ことで温度と湿度の表示が切り替わります.
◎ 熱電デバイスまわりの構成
右側の電源部は上下に分かれています. それぞれ厚
さ2mm, 幅1omm の鋼 棒を曲 げて骨格と し, 熱が伝
表2 熱電デバイスTGP‐751の発電能力は11omv/Kである
発電能力が60mv/KのTGP‐651もある
TGP‐751 TGP‐651
.
内部抵抗 [Q]
熱抵抗 並マW]
ゼ「ベック係数 〔mv/K]
サイズ(
Lxw)[mm]
重量 [
]
g
銅棒に
密着させる
300
185
18
2
8
110
6
0
1
5×10
2
2
,
0
,15×1
2
2
.
シリコン・グ
リスを塗る
熱電デバイス
TGP
75
1
−
)は高温側, 低温側ともにシリコン・
写真3 熱電デバイスTGP‐751(Mi
l
t
r
c
ope
写真4 昇圧用DC−DCコンバータLVBC
グリスを塗って銅棒に密着させる
03‐130(CDN)を使う
114
o昇圧型DC−DCコンバータ・モジュールLVBC03シリーズのお問い合わせ先
)53‐07
3
2
㈱CDN, h
//WW肉
0985
t
t
i
:
cdn
co
p
p/
,
,
.
, 賓:(
ド
ランジ
ヌ夕核術 2015年2月号
80
表3 使用 した発電デバイ ス用昇圧型DC−DCコン パ ‐
夕・モジュール LVBC03シリーズの起動電圧と仕様
負荷抵抗値が下がると起動電圧は少し高めになる
川
60
起動電圧 入力電力 出力電力 効率
[mv
] [”W] [”W] “
[%]
型 名
LVBC03‐050
5
0
2
1
1
4
66
LVBC03‐080
80
2
2
15
68
LVBC03‐130
13
0
20
15
75
戻
値
0
−3
5
.
当回
−3
O
.
′
\
\\
/
」
ー25 ≧
・ .
−2
o櫛
.
暑
−ー5
−「.
0
″
0
‐
0
0
壬
4
200
5
−0
.
l
r
1
600
400
ー
800
1000
入力電圧 [mV]
4
0kQ負荷時
7
定電圧機能付き
図3 使用した発電デバイス用昇圧型DC‐DCコンバ ータ・モジ
4
70kQ負荷で出力6〃A
ュール LVBC03‐130の出力電圧と効率(
20
0
リード部を除く
16×1
4×14
」
家 30u
備 考
0
5
0
0
,8
, 13
約一2
5
.
r
50
0
−4
,
′イ勘率ノ
\
] 40
÷
(
) 起動電圧と効率
a
項 目
最大入力電圧 [V]
最小入力電圧 [mv]
出力電圧 [V]
最大出力電流 [“A]
寸法 [mm]
重量 [
]
g
ハ
のとき)
.
)のとき, 変換効率が最大75%と高い
入力が約20f
130mv
A
i
iW{
,1601
4
5
,
(
b
) 仕様
00
00
ー
−
−
−−1okQ
一一−−33kQ
一
−−−470kQ
一一−−2MQ
90
80
70
」
▼
戻60 t
I
J
50 N
豪 40
30
20
lo
0
0
80
川・
つ
/ \
、
\
\
\
\
\
豪60
寂 40
30
20
一
(
) LVBC03‐050
a
ヤ
\
∼ /
\\
\\
\
0′
\
\
\\
200
0
80
70
戻60
50
湊40
R
^
、
、
\ \
、
t
r‐
×
\
\\
20
1
60
四回叩
−
−1okQ
一一−−33kQ
一
−
−−−470kQ
一一−−2MQ
90
30
\\
10
1
r
200 400 600 8oo ,000
入力電圧 [mV]
ね
50
\も
鵡
100
一一−−lokQ
一一−−33kQ
一一−−470kg
ー−−−2MQ
90
lo ′
0
\
.
,
200 400 600 800 1000
影
入力電圧 [mV]
入力電圧 [mV]
(
b) LVBC03・080
)LVBC03‐
130
(c
回4 使用した発電デバイス用昇圧型DC−DCコンバータ・モジュール LVBC03シリーズの効率
33k∼470kQの負荷では70%程度と高い
わらないように樹脂ねじで接続しています. 上側は室
温状態で, 下側は水の気化熱で室温よりも温度が下が
っ た状態です.
樹脂ねじの間にあるのが熱電デバイスです. 熱電デ
)と室温r
(丁
2
.から湿度を求めて表示しています,
.−T
. キー パーツ① 温度差2 ℃ で
40gW・を生み出す熱電デバイス
バイ ス の上側の銅 棒にア ルミ ・フィ ンを付けて室温を
◎ 1 ℃ あたり11omv/Kと高出力のTGP‐751(Mi
cro
伝達しています. 下側は銅棒にガーゼを巻きつけて,
水を入れたタンクに浸しています. 表面張力で水がガ
ーゼに吸い上げられて空気中に気化し, 気化するとき
に下がった温度が銅棒を経由して熱電デバイスに伝わ
ります,
l
)を使う
t
pe
上部のアルミ・フィ ンの間にあるのが熱電デバイ ス
から得られた電圧を昇圧する低起動電圧のDC−DCコ
ンバータです. 昇圧 した電圧はマイ コン回路の電源と
な っ ています.
上下の銅棒には温度センサを付けて室温T・と気化
熱T
2を測定できます. 湿度を表示するときは温度差
ト
ラソジ
ヌタ技術 2015年2月 号
写真2に示すの は, 発電 能力 が11omv だ のTGp−
l
)です. 気化熱か ら得 られる 数℃ の温 度
751(Mi
t
crope
差で昇圧回路を動作させるために必要参数十mvの電
圧を出力できるので, これを選びました. 薄膜技術で
0個ほど作り
lmm2の面積に微細な熱電デバイスを1
9
o
omVほど出力で
込み直列化することで,1℃あたりl
きます. 中央に基板があり, 上が高温伝導用の丸いア
ルミ体で, 下が低温伝導用の平面角形のアルミ体です.
高温側 は十10∼十100℃ で低 温側は0∼十85℃ が使用
範囲です. 今回は室温で使用するので問題ありません.
注1:風が吹いているときは,0
0
0
8ではなく0
0
0
0
6
6
2を使うことがある
0
.
.
115
◎ 2℃の温度差から最大40”W得られると考えて電
源とマイコンを選ぶ
NC
表2にTGP‐751と発 電能力 の異なるTGP‐651の特
性を示 します.TGP‐751は11omv/Kと高出力です が,
ず ・
: ′
●
」
●
. . .
・
1
‘ .
−
t L
.
1
:
●
▲
.
●
”
.
・ 温度と湿度を表示するマイコン部も数十βW レベ
ルで動作する必要があります, マイコンの電源電圧を
2
5V, 熱電 デ バイ ス の 出力 を40βW と した 場合, 電
.
流値 は16”Aです. 実際には昇圧時のロス があるので
10にA 以下の消費電流で動作するマイ コ ンが必要 にな
,
、
.
,
.
●
.
‘
.
●
・
.
’
・
)物
図5 使用した発電デバイス用昇圧型DC−DCコンバータ・モジ
ュール LVBC03シリーズの使い方
出力が数十”Aを超える場合は, 入力に数百gFのセラミック・コンデン
サを接続する
キ固バーツ②50mvで起き上がり数十女Wで
動く昇圧型DC‐DCコンバータ・モジュール
TGPL751に はね じ穴がありま せ ん, 理想に近 い熱 密
着構 造 にす るにはTGP‐751の上下 のア ルミ 体 と 凹 凸
の関係になる形状の銅ブロックを使うとよいと思いま
す, 加工が大変なので, 高温側は丸いアルミ体の上平
面に銅棒を密着させ, 低温側は下面の平面部を下の銅
130(CDN)です.
熱 電 デ バイ ス TGP−751の 出力イ ン ピー ダ ンス300
Q に対 し て, 入力イ ン ピー ダンス がlkQ と 大きく;
グリスを塗って熱伝導率がよくなるようにしました.
.
●
・
r
●
‘
.
」
’
●
.
●
.
NC
◎ 130mvで起動/ 効 率70%のLVBC03‐130(CDN)
●
を使う
,
0mVのLVBC03‐
3
写真4に示すのは, 起動電圧が1
棒 に密着さ せました. 銅棒とアルミ面に はシリ コン・
.
・
.
・
1
.
.
1
・
.
J
●
、
●
.
●
●
,
.
.
・
.
・
.
●
.
.
・
・
ヒ懲 鵬欄 にDN
)
取り 出せる 最大電力 は40”W なので, TGP‐751を使
うには, 低電力 で動作するDC‐DCコ ンバータが必要
です,
◎ 取り付け方に注意
写真3に熱電デバイスの取り付け部を示します.
・
、
.
.
r
.
.
1
)
.
1
●
.
・
●
.
.
●
’
・
.
.
●
.
・
.
050
UI:LVBC03
‐
,
吃ば
0
0Qと高いです. 温度差が2℃のときに
内部抵抗は3
り ま す.
.
物6
0%と高効率, しかも外付け部品が少ないので
最大7
これを選 びま した.
▲LVBC03シリ ーズは起動 電圧 が50mv, 80mV, 130
鞭 C以上で2
激度差1
上 400”W′KELK社の熱電 デバイス‐
劃が
曜輔 随
した
熱電
但 u
れバイ ス を開 発 している Micropelt
デ
ジー ズ 社
ンフィ ニオ ン テク
ドイ
のイ“
社も
ツ ド
,ノ ロ
ーフ
と:
ファー研究機構の共同開発部隊が
ケ ウンホ
20
に設立した会社です
0 嬬 桧
.
連会社であるKBLK社
では小松製作所の関
E 糾
饗
を製品化しています. 出力電圧は
イス
デバ
輝 第
を
Kと低いです
添 孤
で が, 内部イ ン ピ ーダンス が7Q
入力が2
ので
カ 0mvで起動できる電源 に
削 の
, ニ
ジー)と組み合わせが可
(
リニアテクノロ
8
狐 鰍 テ
歯 .
0℃による発電能力を
Aに示すの
喜 キ
磯 は
, 温度差1
}
比車
した結果です
榔 「
. 最大電力を取り出すため, 内部
したときの値です.
と同じ値の負荷抵抗を接続
抵ま
嫡
煎
i
l
M
Oは
t社 のTGP−
S
0
6
6
A
O
TG
BL獅
K社
のK
c
rope
酷
モ きます
以上の電力を出力で
の2倍
1 5
7
婿 電
. 出力電力は
測 の 綱 します. 温度差が数℃のときは,
冴 鐙 噂 昇圧回路の効率に依存するので,
l
今 回 は Mi
t社 の TGP‐751を 選 択 しま した.
ope
c
r
温 度差 が大き い 場合 はKBLK社 のKTGS066AOOを
使うの がよさそう です, ただし, KTGS066AOOは集
積素子構造に近い状態なので高温部と低温部の熱伝
達構造に工夫が必要です.
〈野田 龍三>
表A 温度差10℃による発電能力
蟹泳ぎぃ場合はKELK
こ比例するので温度差
出力電力は温度差の2乗‘
,
社のKTGS066AOOを使うのがよさそう
メーカ名
型 名
ゼーベック係数
−
[mv/K] −
内部抵抗 [Q]
1
0℃差最適負荷電圧
[mv
]
1
0℃差時最大出力
[“W]
l
Mi
t
KBLK
ope
c
r
KTGS066AOO TGP‐651 TGP‐751
26
60
10
1
7
185
30
0
130
3
00
550
1
14
2
4
486
100
8
鞭 もも臨聡もも恥恥臨臨ぬ亀塗臨も睡塗も臨時臨も恥鴇竪臨も塗臨もぬ聡恥臨も臨も恥鴎恥臨も邑塗臨臨も臨ぬ
恥嗣聡墜も臨もぬ亀泌ぬもも墜蝕
116
ト
ラソジ
ヌタ枝爾 2015年2月号
特集
”
SW, cc
ツチ
永 久ミニ 電 源 ・ マイク□ワ ッ ト作戦
1
4
cc
ICI
MSP430F6720
ー
PN(テキサス・インスツルメンツ)
/SBWTDIO
RST/NMI
PI
3/ACLK/TCK
.
2/ADCIOCLK/TMS
PI
.
/TCLK
PII/MCLK/TDI
P1,
0/SMCLK/TDO
TES/SBWCLK
P6
7/SO
.
P6
6/SI
AVSS
.
5/S2
P6
AVCC
.
4/S3
VASYS
P6
,
3/S4
0/PM TAO
0/VeREF−/A2
P6
PI.
、
.
P6
2/S5
1/PM TAO
1/VeREF+/AI
PI.
,
.
/AO
P6
1/S6
2/PM一UCAORXD/PM−UCAOSOMI
PI.
.
1
○/S
3/PM一UCAOTXD/PM UCAOS
IMO/R03
P6
7
PI
.
.
P5
7/S8
AUXVCC2
.
6/S9
P5
AUXVCCI
.
5/SIO
P5
VDSYS
.
4/SII
P5
.
3/S12
P5
,
2/S13
P5
VCORE
.
I
X
N
DVSYS
XOUT
P5
1/S14
AUXVCC3
.
0/S15
/LCDREF/R13 P5
Pt4/PM‐UCAIRXD/PM州UCAISOMI
.
P4
ワ/S16
IMO/R23
5/PM UCAITXD/PM−UCAIS
PI
.
.
6/S17
P4
LCDCAP/R33
.
P4
5/S18
COMO
.
4/SI9
P4
COMI
.
3/S20
P4
COM2
.
P4
2/S21
COM3
.
P4
1/S22
PI.
6/PM UCAOCLK/COM4
.
0/S23
P4
PI.
7/PM−UCBOCLK/COM5
.
/
S2
4
0
MU鱒縄CUC
OM
6
/
S
3
9
?
/
PMNONE
作
/
P
MU
C
B鴎鍋U
P
,
/
S
3
8
1
P
MU
C
B
O
S
I
M
O
/
P
MU
C鴇S
D対C
OM
7
控
/
.
”
一
2
C
2
S
OMU
S
3
陸
翌P
MU
C
A
X
D
/
MU
A
7
R
P
,
U
/
S2
C2 MO
S
3
6
P
3
4
/PMSDCLK
7
/
MU
C燈 X
D
/M
/
授
3
P
.
,
‐ ASI
一 T P
S28
TA0
2
/
4/PM UCAICLK/S35
P2
,
,
P2
5/PM UCA2CLK/S34
.
/
S
3
0
/
S
LR
X
3
/
M
1
B
P
1
P
T姫.
6/PM−TA1,
0/S33
P2
.
.
一
LT
2
1
B
S
酷
0
/
MT
A
0
/
S
3
/
P
P2
ワ/PM TAI.
1/S32
.
.
.
“X
SOOPO
SDONO
SDIPO
SDINO
NC
NC
G5 4
7”
.
C
1g
i
60
.
1
○
4
7
.
ブ□グラム
書き込み用
”
cc
切り替えスイ
ツチ
ピン配置
M
8
8
2
Tr
I
NTZS3151P
(オン・セミ
2E
曾碕
尋
コンダクター)
5
T「
2
A
P
I NTZS3151P
1ok
0
1%
.
気化冷却熱測定用
lok
サーミスタ
0
1%
.
室温測定用
C8
2200P
TEC)
(SEMI
サーミスタ
め2
103JT
C 一 }
I
IB o
0
1”
.
DP2ドットを湿度
表示時に点灯させる
0
‐
▲
i
合図 1
11
1
y
IG “
CI
C
0
I
I
2200p T220OP
サーミスタ用
スイ ッチ
P義
、
;
覗
三
巨 \
COM
i
i
)
(Var
t
x
r
on
図6 ロー・パワー・マイコン MSP430F6720を使った温度と湿度の測定回路
消費電流はIMHZ動作のとき265口A
, A‐Dコンバータの消費電流は約200“Aなので, 合計500”A程度である
ト
ヌタ枝術 2015年2月号
ラソジ
117
t
g
r
言
f
i
,
サーミスタヘ接続
ロー・パワー・マイコン Msp43oF672o
(テキサス・インスツルメンツ)
SWI
SW2
(Tr
)
2
(T
)
r
,
103JT
(SEMITEC)
屈め2
103JT
図7 湿度の計測に使用したサーミスタ式温度センサの回路
この回路で0
1℃の分解能が得られた
.
スタテイック・ ドライブ型の
・
‐ −−
液晶表示部
写真5 コンデンサC,に電力が蓄えられる頃合いを見て手動で
電源スイ ッチをONにする
表4 一20∼十110℃のサーミスタの抵抗値とAJD変換値
温度の分解能は○
1℃である
.
温度 サーミスタ両端の
A‐D値
抵抗 [
kS
Z
]
[℃]
0
7
1
02
.
43
0
67
.
く
89
8
2
75
10
27
7
00
.
1
8
0
.70
20
12
1
10
.
56
1
30
8
3
01
.
81
1 ノ
5
.
464
‐20
‐10
0
mvと3タイプ用意されています. 表3に起動電圧と仕
様を示します 負荷が4
7
0kQのときの値です. 負荷
抵抗が下がると起動電圧は少し高めです.
470kQ負
図3にLVBC03‐130の入出力 電圧 と効 率(
0”W
荷で出力6”Aのとき)を示します. 入力が約2
(
130mv, 160“A)のとき, 変換効率 が最大75%で15
5V と
”W 出力 できます. こ の とき, 出力 電圧 を−2
.
すると, 出力電流は6”Aに相当します. 今回使用す
40
50
60
70
80
る熱電デバイス TGP−751から得 られる 数十 “W の電
90
力でも動きます.
100
・
◎ 負荷の消費電流が約5“ ∼100gAであれば効率70
%を発揮できる
4
14
7
.
1
3
0
.1
◆22
.24
1
66
8
.
1
10
1
26
7
.
1
053
.
0
82
6
,
8
33
65
9
3
76
30
0
237
186
146
1
15
9
8
78
∼470kpの負 荷では, 70%程度の効率 を 保 っ ていま
す. 例えば, 昇圧機能だけで定電圧機能がないとき,
定電圧化のため三端子レギュレータの追加を考えます.
ロー・パワー回路とするためには自己消費電流が少な
い物を選びたいところです, しかし, 自己消費電流が
す. 出 力 が−2
7Vの と き, 負 荷 電 流 は 約5” ∼100
.
数 ”A 以下 の三端 子 レギュ レータ は, 最大入力 が6V
図4にLVBC03シリー ズ の効率 を示 します,
3k
0%程度ですが, 3
2MQ負荷での効率は最大5
”A流せます, この程度の消費電流ですむ回路であれ
ば, LVBC0
3の効率が高い領域を利用できます.
起 動 電 圧 が 低 いLVBC03
‐50やLVBC03−80で は,
.
全体的な効率はやや低いです. 負荷が1
ok∼2MQで
7∼
出力 電流は約1” ∼250”Aです. 出力 電圧 は−2
.
−2
5V と, 定電圧化さ れています,
,
◎ 簡易型の定電圧回路を搭載
出 力 電圧 は約 一2
5∼ −3Vで安 定 します. 入 力 が
.
130mvのとき, 効 率が ピー ク の75%.となり, 以降は
下がります. これは, 定電圧回路が動作するためです.
効率が下がっても出力には変化が無いので起動時の
効率が高ければ問題ありません. 効率を多少犠牲にし
ても定電圧回路が搭載されているのには理由がありま
118
程度のタイプがほとんどです. 発電デバイスの出力電
‐
とが多いので使えないときが
圧は, 大きく変動するこ
多いです.
悼壕
◎ 使用 上の注意点
出力が負電圧であることに注意が必要です. しかし,
r負電
発電デバイスが電位的に浮いているような場合,
圧出力をOVとして見れば, OV出力は正電圧出力の
電池に見えるので問題ありません′
LVBC0
3の配線接続例を示します. 入力と出
図5に
,
力 にコ ンデ ンサを接続 しています. LVBC03は入力 と
出力 に4
7βFを内蔵するので, 出力 が数gA レベ ルで
.
あれば外付けのコンデンサは不要です. 出力が数十
βA を超 える 場合は, 入力 に数百 “Fのセラミ ック ・
ド
久夕技術 2015年2月号
ランジ
特集
′ト作敷
永久ミニ竜源 ・ マイクロワリ
リスト1 湿度の計算に必要な飽和水蒸気圧 constintHptbl【
b1
o
/{
H
t
M
hp
i=
/
l
a
x
axlo
データはテーブル化して演算負荷を小さくする { 611
2
16
20
25
3
4
3
8
4
3
4
8
5
/0℃
29
′ 6
′ 6
′ 6
′ 6
′ /
′ 6
′ 6
′ 6
′ 6
′ 6
マイコンの演算時間を減らして消費電力を少しで
も小さくするため浮動小数点データをすべて整数
化した
/1℃
8
1
86
9
1
9
6
0
1
6
5
7
6
2
6
7
71
76
′ 6
′ 7
′ /
′ 6
′ 6
′ 6
′ 6
′ 6
′ 6
′ 6
/2℃
7
4
2
4
7
5
06
3
21
3
2
3
7
1
1
′ /
′ 7
′ 716
′ 7
′ 726
′ 7
′ 7
′ 7
′ 7
′ 7
/3℃
2
0
8
7
5
8
3
9
74
8
5
1
7
0
8
0
′ 76
′ 8
′ /
′ 76
′ 7
′ 7
′ 7
′ 79
′ 79
′ 8
コンデンサを接続 した方がよいです.
キーパーツ③ 動作時でも265女A
@I MHZの低消費電力マイコン
◎ ロー・ パワーといえばMSP430F6720
ロー・パ ワ ー・マイ コンの中でも開発環境が整っ て
いるので MSP430シリーズを選 びま した. その中でも
液晶ドライブ回路を内蔵していて一番安価なMSP43
0
動作のとき2
6
MH
6
5
F 720を使います. 消費電流はI Z
”Aです. A−Dコ ンバータ の消費 電流は約200gAな
ので, 合計5
0
0gA程度の消費電流ですみます.
このマイコンを間欠動作させることで平均消費電流
を数”A程度におさえます. 間欠動作せず, マイコン
をIMHZで動 作 させ たとき の消 費 は500gA で した,
1
/
5
0
0に間欠動作させると約1”Aとなります.
間欠動作時の待機電流は0
8”Aです. 液晶表示は
7
.
マイ コン内の専用ハ」 ドウェ アで行わ れるの で, 間欠
動作させても表示は継続されます.
◎ コンデンサC,でマイコン起動途中の高負荷状態を
乗り切る
図6にマイ コ ン部の回 路を示 します, 写真5にマイ
環境温度測定, 気化冷却温度測定, 湿度計算, 液晶表
示の順で処理します. それぞれの処理が終わったら次
のタイマ割り込みまでスリーブ状態にすることで不要
な電力を消費しないようにしています.
》工夫その1:複雑な計算はテーブル化して演算時間
を短くする
マイコンの消費電力はCPUの動作時間が短い程減
らせます, 温度測定, 湿度計算, 液晶表示のそれぞれ
る処理ステップ増加を避けるた
で判断処理や計算によ.
め, できるだけテーブル化を行い単純な計算でほとん
どの処理をすませるようにしました.
特に式(
I
Sの8
8
0
6に示された付
3
)
・は複雑なため,j
を作成しまし
表1
1の水の飽和水蒸気圧よりテーブル
.
℃ま
1℃単位で準備しま
た, 温度範囲は0∼5
0
0
でを .
した,
し工夫その2:浮動小数点データを整数化して演算時
間を減らす
浮動小数点演算が入ると演算時間を必要とするの で,
整数演算だ
,けで済むようにテーブル・データの桁を
100倍 に して整数 値にしています. リス ト1に示すの
は飽和水蒸気圧のテーブルHptblです. すべて整数
値 になっ ているこ と がわかります,
コンと表示部を実装した基板を示します. 電源スイッ
チは, 昇圧 部からの 電圧 をC・に貯めて からマイ コ ン
を起動させる必要が生 じたためです. ロー ンミワ ーの
◎ 実際のマイコンの消費電流
0
に は規定の動作電圧に至る途中で, 正常動作時の1
倍ほどの電流を消費する物があります, 今回のように
電源の電力容量が小さい場合, マイコンの起動途中に
よる高負荷状態を乗り切れません. そのため, C
Iに
たん電力を蓄え
いっ
, しばらくしてから手動で電源ス
イッチを入れます. これにより, 起動時の高負荷時間
をC
・からの放電で乗り越えられます. C
,には漏れ電
果, 4
2msで した, マイ コ ンの 平均消 費 電 流 は, 500
.
2ms/20ooms=1
05“Aとなります,
βA×4
,
.
”W を出力 できるのでDC‐DCコンバー タ の効 率が50
流の小さいセラミ ッ ク・コンデンサを使 います.
%でも動作できる計算になります,
P電圧検出ICを使うと電源スイッチを自動化できる
AP4400A(旭化成 エ レク トロ ニク ス)は, 電圧 検出
工Cです. 図6の 回 路で は, コ ンデ ンサC.両端 の 電圧
オ シロス コープでマイ コンの動作時間を観測 した結
78”A
マイ コ ンが動作 していない期 間の漏 れ電流0
.
と サーミス タ 電流Lz
えても
平均約2
Aを加
=4
0
5
n
h
.
,
4“W です,
”A の消費電流 で動きます. 電力と しては5
.
テ扇ぎ温
度 差1 ℃ で10
熱 電 デ バイ ス TGP‐751で あ
キ ー パー ツ ④ スタ テ ィ ッ ク ・
タイ プの液晶表示器
が2
5V付近になる のを待 っ て, 手動 で電 源スイ ッ チ
,
を ONに しま した. AP4400Aを 使う と, こ の 作 業 を
◎ スタティック・ドライブ型を使う
自動化できます. 消費電流は2
0nAt
y
pという低さです.
対応するので, 温度と湿度を同時表示できる液晶を使
えます, 多相ドライブは消費電流が増えるので, スタ
ティック・ドライブの液晶表示器を選びました.
◎ ロー・ パワー化のためのソフ トウ ェ ア作り
妙基本:処理が終わっ た らスリー プ・モー ドにする
5秒おきにタイ マ 割り込み で起動 して,
マイ コンは0
′
.
ド
ランジ
ヌタ技術 2015年2月号
,イ プに
MSP430F6720の 液晶 ドライ ブ回路は多 相 夕
ス タ ティ ッ ク ・ ドライ ブでは, 1ドッ ト ごと に一つ
のyoを使うため, 表示セグメントが少なくなります,
119
そのため, 温度と湿度の表示をスイッチで切り替える
動作としました 温度と湿度の区別として使い易い位
置の ドッ トがなかっ たため, DP2ドッ トを 区別用 に使
いました, DP2ドットが点灯している場合が湿度表示
)
です(図6
.
キーパーツ⑤ 乾球用と湿球用の2個
3℃の温度 センサ
使い/ 精度0
,
3 ℃と高いサーミスタ103JT(SEMITBC)
◎ 精度 が0
.
を使う
3℃の精度が期待できます. 厚さが
常温付近で0
,
0
5mm 程度 と薄い構 造 なので, 気化 側 の ガーゼと銅
.
コラム
低起動電圧の昇圧 型DC−DCコン バータのし、ろいると便し、こなし
表Bに示すのは, 低起動電圧の昇圧型DC−DCコ
ンバータ です.
コイ ルな どの周 辺部品を含 むモ ジュール・タイ プ
がETC3108(リ ニ ア テ クノ ロ ジー)で す, 熱 電 デバイ
スと相性が一番よさそうに見えます, しかし, 起動時
の入力 抵 抗 が 数 Q と 低 いた め, 電 源イ ン ピー ダンス
と外付け部品が必要なにタイ プがあります. 追加
を低くする必要があります.
部品の欄にバ ッ テリ と記載さ れているものは, バ ッ
imum
テリ の 充電 効 率 の最 適化 を 図る MPPT(Max
◎ 電源と発電デバイスに相性あり/ 出力インピーダ
i
i
PowerPo
ntTr
ack
ng)機能を持 っ ています.
ンスがか ぎ
◎ モジュ ール・タイ プ
l
)の出
t
cr
ope
今 回使っ た熱電デバイ スTGP‐751(Mi
力イ ン ピー ダンス は300Qです,
今回使っ たLVBC03‐103(CDN社)は, loomV前
0%を超えています. ただし,
後の入力でも効率が7
出力 が負 電圧です.BH4205とBH4295(ADVANCED
LmrEARDEVにESD社)は, 出力 がパルス 状なので,
直流電圧を得るには, 別に回路基板が必要です.
璽I
Cタイプ
表Bの 中 で起 動 電圧 が20mvと 際 立 っ て い る の
r
発電デバイスの内部抵抗と昇圧回路の入力抵抗で分
圧されるため, 十分な入力電圧を得るには, 昇圧回路
の 入力 抵 抗 が300Q 以 上 であ るこ と が望 ま しい です.
こ の 点 で は, LVBC03‐103(CDN)
, MB39C831(ス パ
キ
ンス ツ ルメ ンツ)
サス
.イ
0
(
ン シ ョ ン)
2
5
5
7
テ
b
,
, q
ADP5090(アナログ・ デバイ セ ズ)が向いています,
l
)は, 出力イ ン ピ
t
熱電デバイス TGP‐651(Mi
cr
ope
ー ダンス が185Qなので, LTC3105も使 えます. ただ
表B 低起動電圧の昇圧型DC−DCコンバータ
それぞれ得意とする発電デバイスが異なる
.
・ 〉
メーカ名r
型名
、 y
お甜電1
1 [mV]
最大入力電圧 [V]
]
出力電圧 [V
微小出力時効率
ス パンショ ン
ADVANCBDL闘 瓶 DEWCES
MB39C831
EH4205
EH4295
50
80
13
0
75
60
0
35
00
4
.
4
00
.
4
00
,
4
00
.
4
00
.
0∼15
O
6
.
.
4
5
7
.
O
2
5∼3
.
.
O
2
5∼3
.
.
2
5∼3
O
,
.
60%
6
7%
74%
LVBC03‐50
起動時入力インピー 100(470kQ
ダンス [Q]
負荷時)
外形
ICタイ プ
タイ プ \
電源モジュール・.
CDN
LVBC03‐80 LVBC03‐130
300(
4
70kQ
4
900(
70kQ
負荷時)
負荷時)
16×14×14mm
6
0∼15
O
.
.
(入力電圧に
(入力電圧に
比例して変動) 比例して変動)
3
0%
48%
5
0
95
0
2mm
2
4×38
1×15
5
,
.
.
3
O
0∼5
.
.
(電圧値設定可能)
60%
6
00m馬込力/
(
3V出力時)
8kQ以下
(
3
0mv入力時)
5
8
5mm
OXO
6
OX6
.
.
.
)
(QFN4
0
コイ ル
追加部品
特徴−
120
無し
コンデンサ
パルス出力のため別基板が必要と 抵抗 ,
, ツェナー・ダイオー
思われる
集積型熱電対発電デバイス向き
内部イ ンピー ダンスが高めの発電デバイスに向いている
iイ オン・バッテリ)
ド(L
1
無負荷時静止電流 が4
”A
太陽電池向き
ド
ヌタ技術 2015年2月号
ランジ
棒の間に差 し込むことができます,
は, プロ グラム 中で二つのサーミスタの誤差を補正 し
二つ使って気化側と室内の温度を測ります. 湿度の
計算には, 二つの測定値の差を使います. 表1の温度
差湿度表から2
5℃付近で温度差が0
5℃変化すると湿
.
度は4%変化します. つまりQ5℃の温度誤差は4%
ました.
の湿度誤差になっ て しま います, この誤差は二つ の温
度センサを同 じ温度で校正す れば解決できます, 今回
SW,
,SW2には,Pチ ャネ ル MOSFBT NTZS3151P(オ
ン・セミ コ ン ダク ター)を 使いま した. 当初 は, 分圧
し, 表BのLVBC0
3シリーズ以外の入力抵抗値は実測
ではなく入力仕様から想定した値です. 実際に使用さ
れる場合は, 発電デバイス の無負荷時電圧と昇圧型
発電 デバイス の内部イ ン ピー ダンスとの分圧 時にも
必要な電圧が得られるか確認が必要です.
DC−DCコンバータを接続 したときの発電 デバイ ス の
き には, 入力部のパスコ ンの容量に注意が必要です.
出力電圧から内部抵抗を確認します.−
効率 が70% でloomVを2
5V に 昇圧 す る 場 合, 出
.
⑩ 温度の分解能を上げる工夫
図6からサーミスタ部を抜き出した回路が図7です.
低起動電圧の昇圧型DC‐DCコ ンバータを使うと
・
力電流が1
0”A変化
0gA変化すると入力電流は3
6
.
◎ 効率が90%越えの製品も
します. こ のとき 入力 コ ンデンサの容量 が10”Fで
変化時間がlmsecと す ると, 入力 コ ンデ ンサ から
のみエネルギが供給される条件のとき, 入力は
に タイ プではLTC3108以 外 の 主 な 入力 は太 陽電池
が想定されているようで,起動電圧は3
0
0mv付近です.
この中で,bq25570とADP5090は起動電圧が330mv
30mvほ ど低下 します.
以上ですが, 起動後ならl
o
omV近くまで下がっても
動作するようです, しかも入力電圧が上がると効率が
0%を超えるようです. 今回のように数℃の温度差に
9
よるl
o
omVからの起動には使えませんが, もう少し
高い電圧が得られる場合には, なかなか魅力的に感じ
ます.
実際には入力に発電デバイスからも電流が供給さ
れますが, 発電 デバイス のイ ン ピー ダンス が高い と
入力電圧の変動が意外と大きくなります. 数十mv
のりブルは数Vの電源では無視できる値です. しか
し, l
oomV レベ ルの低電圧 では, 30%もの変動に
なります. 低電圧型の発電デバイスで内部抵抗が大
きい発電デバイスを使う場合は, 入力コンデンサの
容量にも注意します,
◎ 電源の出力電流がたった10”A変化するだけで入
力電圧は大騒ぎ
負荷抵抗を接続した状態で入力抵抗値を確認して,
〈野田 龍三>
ICタイ プ
テキサス・イ ンスツルメンツ
アナログ・デパイセズ
ADP5090
20
bq25570
330
0
50
,
5
5
,
3
6
0
.
リニアテクノロジー
1
TC3105
‐
250
.
5
00
.
LTC3108
2
5∼4
5
.
,
1
5^
}5
25
.
,
1
3∼53
.
(電圧値設定可能)
(電圧値設定可能)
(電圧値設定可能)
30%
”A レベルの出力時は30%以下と思
われる
75%,
(
2
0mV入力時)
5
38
0Q
(
2
0mv入力時)
5
.
3
0×3
OX0
75mm
,
.
.
コイル, コンデンサ, 抵抗
(バッテリ)
数Q
3
ox4
OXO
75mm
.
.
.
トランス, コンデンサ
3
8
0
バッテリ電圧による
70%
“窃
22kQ程度
22kp程度
(
3
3
0mv入力時)
(
3
8
0mv入力時)
3
65×3
65×1
omm
.
.
.
3
0×3
OXO
7
5mm
,
.
.
コイ ル, コンデンサ, 抵抗
(バッテリ)
コイル, コンデンサ
抵抗, バッ テリ
500mV以上の入力の場合, 数十 mvの低電圧, 低インピーダンス 起動電圧が330mvなので太 起 動電 圧 が3
3
0mvな の で太陽
効率 が6
5%を超 える. 500 電源より数mAレベルの出力を得る場 陽電池向き起動電力5”Wと 電池向き
‐
0%と高くなる. 熱電対で 小さい起動後は, 120mVま 保持電力5”Wと小さい
mv以下では効率が悪いの 合に効率が6
で太陽電池向き
大きな温度差がある場合に適している
ト
ラソジ
ヌタ技術 2015年2月号
で動作維持
起動後は,l
o
omVまで動作維持
121
一
睡
瞳
瞳
圏
圏
圃
圏
圏
圏
圏
圏
圏
ー
圏
圏
抵抗R・
, R2のほか, サーミ スタ に並列, 直列 に抵 抗
を入れて, 分圧出力の変化と温度変化率を最適化しよ
う と して いま した. と ころ が, 尺,
, R2の最 適化 だ け
でも0
1℃ の分解能 が得られたので, サーミスタ, 尺・
.
,
R2だ けの 回 路と しま した,.C.
o
.は, A‐D コ ンバ
, C,
流が増えることが予想されたので. COM端子を使わ
ず に液晶をわ ざわ ざス タティ ック ・ ドライ ブにした の
ですが, 4”Aほど液晶回路で消費しました,
勝液晶ドライブ回路とマイコン選びに改善の余地あり
結果的に液晶表示まで含めた本回路の消費電力は,
ータの入力ピン容量によるA−D値の変換誤差を小さ
くするために入れています.
16
2”W となっ ています, 腕時 計な どで液晶の低電力
,
ドライ ブは一般的に行われているので, 液晶 ドライ ブ
表4に, 一20∼ 十110℃ ま で の温度とA‐D出力 の
回路を工夫するか, 液晶表示回路まで含めて, もっと
低消費電力のマイコンを選ぶ必要がありそうです.
計算結果を示します. 2
5℃部分のA‐D変化を見ると,
20℃ から25℃ で A‐D値 が561から512に変化 してい
ま す. 5℃ の変化 に対 して561−512=49なの で, 分
解能 はほぼ0
1℃となっ ています.
.
◎ 2℃の温度差で正常に動作した
2℃ の温度差で40“W の出力 が可能な熱電デバイ ス
TGP‐751と組み合 わせれば, 昇圧 回 路を通 しても75
◎ 温度測定時の消費電流を実測
オシロスコープでサーミスタの駆動時間を 観測 した
%程度までの湿度で動作することが確認できました.
空調が効いた湿度が低めの室内では安定して動きます,
結果, 300gsでした. マイ コ ンのソフ トウ ェ アは室温
た だ し, 75%ま での動作 は温 度が25℃ 付近 だっ た
測定, 気化熱測定, 湿度計算, 液晶表示を0
5秒ずつ
,
行い, 1サイクル2秒単位で行います」 全体の処理時
の で, 表3を見ると3℃ レベルの温 度差 が必要で した,
間2秒のうち, サーミス タのON時間は600”s(=300
)なので, 駆動比は0
6ms/20oomsです.
“sx2
.
図7から抵抗R,
, R2によりサーミス タの中心抵抗も
1okQなので, 温度に対して の中心電流は 冨cc/20kQ
です. 口ccはDC−DCコンバータ により約2
7Vなので,
,
サーミス タに流 れる電流みめ=2
7V/20kQ=135”A
,
です. こ れに駆動比をか ける と, 40
5nA です. 非 常
.
に低消費電力の温度測定回路です,
動作確認と消費電流の実測
⑩ 予想よりも消費電流が多かった
実際に動作させてみると, 消費電流は6”Aほどで
TGP‐751が30gw も 出力 して いれ ば, LVBC03‐150
の変換効率が70%なので, 温湿度計回路に必要な1
6
“W は十 分に得 られま す, TGP−751が30gw を出 す
ために必要な温度差は1
8℃ なので, 約1
2℃ 分ロス し
.
.
てTGP−751に温度が伝わります,
TGP−751への温度伝 達はTGP‐751より十分に大き
な熱容量を持った銅棒と放熱器を使って熱インピーダ
ンスを下げて熱を伝えたつもりでしたが, 理想状態に
までは至らなかったようです. このあたりも改善の余
地があります,
*
’
熱 電 デバイ スとロー・パ ワ ー部品を使っ て, 水を与
えるだけで動く電子回路を実現できました.
した, 予定より4”A ほ ど増加 しています.
残 念 な が ら Mi
l
t社 はTGP‐751の 製造 を 止 め
cr
ope
たよう です, TGP‐651は製造 を 続 けて いく と のこ と
伊原因は液晶ドライブ回路
です. TGP‐651は, 発電電圧がTGP‐751の約半分の
液晶 ドライ ブ回路は, ハー ドウ ェ アで動作するので
マイ コンのソフトウ ェ アによる 実行電流とは別に電流
を消費します.
6
0mv/Kで内部抵抗が1
8
5Qです. 取り出せる電力が
1
/
2になりますが, 今回の製作では熱伝導効率と液晶
表示部に改良の余地があるので, 5
0mv起動タイプの
MSP430F6720の場合, ハー ドウ ェ アによる消費 電
LVBC03‐50や80mv起 動 タイ プのLVBC03‐80と組
流が予想以上に大きかったようです. 多相液晶ドライ
ブを前提にした回路だからかもしれません, 多相液晶
ドライブ機能を使うと, 液晶電圧の分圧回路で消費電
み合わせれば同等の性能が得られると思います, TGP
‐65
1を熱的に並列に設置して, 電気的喜 直列にすれ
ば, TGP‐751と同程度 のエネ ル ギが得 られます.
■
要 求 仕 様 どお りの 電 源 を短 時間 で 設 計 で き る
電 源 回 路 設 計 成功のかぎ
成 功 の か ぎ
電源回路設計
′
・
一
一
馬場清太郎著
A5判384ページ
定 価 :本 体 3,000 円
税
定
価本欄。
。
。爺十税
電源回路は, 電子機器の動作にとっては必要不可欠な存在です, 本書では, 各種電源回路の動作を近似に
よって簡単な1次式で表して,
、その設計手法を具体的に示していきます,
*:本書は 「わかる!
!電源回路教室」 として 『トランジスタ技術』 誌に連載した記事を大幅に加筆して再構
成 したものです.
122
ト
ヌタ技術 2015年2月号
ラソジ