再生可能エネルギーと送電計画 概要

ITTA 社作成「再生可能エネルギー導入の送電計画への反映に関する報告書」
・NEDO シリコンバレー事務所にて、ITTA 社に対して、再生可能エネルギー導入などによ
り送電計画にどのような影響が出ているか、送電整備のコスト分担の現状などについて
調査を依頼。
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送電計画を取り巻く現状
o 送電の目的
従来より「信頼性向上」、「経済性」、「新規発電施設の接続」の目的で設立さ
れていたが、最近「再生可能エネルギー導入(RPS 目標達成)」が追加。
o 送電線の設立については関係者が多く利害調整が進まない中設立は遅延。
連邦レベルでは、FERC 命令 1000 号が発出されるなどの動きが出ているほ
か、地域・州レベルでも RPS 目標達成のためのルール変更が出ている。
o 送電線建設コストをどう振り分け、回収するかというのが最大の課題
このレポート構成は以下の通り。
連邦レベルでの動きと FERC1000
送電線計画策定は主に地域レベルで実施。送電計画の地域間調整を加速化し、RE
の導入を促進するため、連邦政府が FERC 命令 1000 号を発出し、介入。
FERC と FERC1000
o FERC 命令 1000 号の概要:具体的なコスト分配方法は提示していないもの
の、地方レベルで送電計画を策定しなければならないという義務を課した
上で、コスト分担は概ね得られる利益と対応していなければならない
(Cost should roughly commensurate with benefit)と規定。既存電力会社を優
遇する ROFR(Right of First Refusal)について一定の条件の下で制限するこ
とも規定。新規参入者を不利にしないよう Open なプロセスを推奨。
o RPS という政策目的の達成に向けて利益が得ている場合、再生可能エネル
ギー購入側も利益を受けていると考えられ、再生可能エネルギー送電州
(Wisconsin 州)から受入州(california)、その間の州(Nevada、Utah)の
間で利益、コストを諸々の側面から検討することが求められる。
o 連邦エネルギー省の動き:風力統合に向けての調査報告書1の公表など
o 連邦内務省の動き:内務省の土地の上の送電線建設を加速化するための
Rapid Response Team for Transmission(RRTT)の設立など
連邦エネルギー省では NREL を中心として情報を整理。下記などが有益。
http://www.20percentwind.org/
http://www.nrel.gov/wind/systemsintegration/projects_impacts_studies.html
http://www.nrel.gov/wind/systemsintegration/publications.html
2.
地域、地域間の動き(RTO/ISO レベル)
 RTO/ISO が RE 導入拡大に向けて担う役割。米国は3つの電力網に分かれる(西部、
東部、テキサス)。7つの RTO/ISO が 35 州をカバー(CAISO、ISO-NE、MISO、
NYISO、PJM、SPP)。西部では WECC で地域送電 10 年計画などを議論。東部では
ISO-NE、NYISO、PJM の間で NE RTO/ISO 計画調整 Protocol があり、一定の調整。
 現在、各 RTO/ISO は FERC1000 への適合化を推進中。どうやって Open なプロセス
にするか、コスト分担をどうするか、などを見直し中。またこの進展を踏まえ、
さらに RTO 内での議論を踏まえ、RTO/ISO 間の送電線の議論が進められる見込み。
 コスト分担方法
o 米国では下記の通りいろいろな方法を利用(p80 表参照)
License Plate
各電力会社が管轄内の送電線は負担。
Beneficiary Pays
受益者負担
Postage Stamp
送電線が通る地域内の全ての電力会社が Demand(Peak 需要
量)などに応じて、一律分担
Direct assignment
要求者が負担
Merchant Cost Recovery
特定の顧客が負担。送電量などが明確な DC 送電に活用
Highway/Byway
一定電圧以上のものは HIGHWAY として Postage Stamp で共通で
分担し、一定電圧以下は Byway としてより狭い範囲で負担。
Location Constrained
一義的には電力会社が負担した上で、送電線を利用する発電事
Resource Interconnection
業者が利用を開始した時点で、利用量に応じて負担する方法。
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報告書本文ではそれぞれの方法の一部使用例(SPP、MISO、CAISO など)を
報告。
特に LCRI は、カリフォルニアでの新たな事例として興味深い。
需要地より遠隔地にある風力発電などへの送電線については、受益者負担
としても、個々に送電線を設立するとコストがかかるので、風力発電所を
設立するか、送電線を設立するか、鶏と卵の問題が存在。
カリフォルニアでは、再生可能エネルギー資源として有望な CREZ
(Renewable Energy Zone)を設定した上で、そういう地域と需要地を接続
する送電線の設立を計画に入れ、これらの送電線について LCRI を適用。
CAISO が総額を当初負担の上、各風力事業者が風力事業を立ち上げて行く
につれ、応分の負担のみをすればよいとしている。
3.
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州レベル
RPS や税制優遇などの RE を進める政策と送電計画をバランスよく導入していくこ
とが難しい
RTO/ISO に属してない地域での送電計画
各州の取り組み:カリフォルニア、テキサスでは CREZ の設置などを通じて再生可
能エネルギー導入計画の送電計画への反映を義務化。電力会社に長期投資計画
(Integrated Resource Plan)の策定を義務づけてはいるものの、送電線の扱いはま
ちまち。
まとめ
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送電と発電は分けて計画されることが多く、結果的に両方に効率の良い計
画を立てるのが難しい。鶏と卵現象。発電は実現に 3 年、送電は 7 年かか
るなど計画スケジュールの相違もあり。
地域レベル、州レベルでの計画が主であるが、それを超える大規模なトラ
ンスミッション計画をどのように進めて行くかが現状の課題
計画実行の際に多くの政府関係機関とのやりとりが必要となり、手続きに
時間がかかる。州ごと、あるいは州と連邦レベルで異なる規制があり、す
べてをクリアして進めることが難しい。
FERC1000 はその地域間のトランスミッション計画を促進するべく発行され
たが、今後上手く機能するかは現時点では不明
コスト分配の問題は極めて重要だが、計画が州をまたいだり、RTO/ISO の
管轄をまたいだりすると、コスト分配は複雑化、計画実現が困難になって
いる。