女性の喫煙に関する意識調査と受動喫煙防止について

女性の喫煙に関する意識調査と受動喫煙防止について
谷
嶋
綾
子
新見公立短期大学地域看護学専攻科
【目的】
女性を対象とし、喫煙状況や喫煙に対する認識、意識、知識を明らかにし、喫煙が及ぼす健康被
害や、効果的な受動喫煙防止のための有効な対策について検討することを目的とする。
【方法】
A デパートで勤務している全女性従業員 121 名を対象とし、喫煙状況と喫煙に関する意識・知識
に関する自記無記名式のアンケート調査を依頼し、後日回収した。結果の公表に関して個人が特定
されることがないことと研究目的以外で使用しないことをアンケートの表紙に記載した。分析方法
は SPSS12.0 J for windows にてクロス集計、カイ2乗検定を行った。
【結果・考察】
121 名に配布し、回収数 108 名(92.3%)、有効回答数 105 名(97.2%)であった。喫煙率は 41.7%
と全国の女性の喫煙率 13.2%をおおいに上回る結果であり、初回喫煙開始年齢が低年齢化傾向であ
った。喫煙のきっかけとしては「友人からの誘い」や「家族が吸うから」などが大半を占めていた。
また家族に喫煙者がいる者の方が、喫煙をしている割合が有意に高かった。「健康増進法」の認知度
は、57.2%の者が知っており、喫煙者、非喫煙者間で有意差はなかった。受動喫煙に関しては、喫煙
者の方が影響を知らない者が有意に多かった。また「健康増進法」を知らない者の方が、公共の場
で周囲の状況を気にせず喫煙している割合が有意に高かった。
【考察】
喫煙開始年齢が低年齢化傾向にあり、喫煙行動に移るきっかけとして大人へのあこがれ、友人か
らの喫煙の誘惑などの外的要因や興味本位がほとんどであることが明らかになった。喫煙行動へ移
るには様々な要因があり、その要因を周りの大人が除去し、子どもの前では喫煙をしないという態
度や、学童期の早い時期から徹底した喫煙被害の知識や、喫煙への誘惑に対する対処の教育を行う
必要があると考える。「健康増進法」第 25 条で、努力義務であるが受動喫煙の防止が定められたこ
とで、社会的にも大きく取り上げられた。これを機会に喫煙者、非喫煙者全員を対象として、受動
喫煙が健康に及ぼす影響をさらに普及していく事が重要であり、徹底した受動喫煙防止を目指して
働きかけていく必要があると考える。
【結論】
1.喫煙に関する意識は、非喫煙者の方が有意に、喫煙の影響について興味を示しており、健康被害
を感じていた。
2.半数以上の者が未成年のうちから習慣的に喫煙しており、より早い時期からの喫煙の健康被害に
関する知識や、誘惑への対処方法などの徹底した教育を行う必要がある。
3.喫煙者の方が、受動喫煙の影響を知らないと答えた者が有意に高かった。
4.「健康増進法」を知らない者の方が、公共の場で周りの状況を気にせず喫煙していた。
「健康増進
法」の 25 条で受動喫煙防止に関する条文が規定されていることを啓発し、徹底した受動喫煙防止
に努める必要がある。