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AC21
2008 年 10 月 1 日 No
Contents
4
第4回 AC21国際フォーラム(2008)を開催
第4回 AC21国際フォーラム
(2008)
を開催
1
ノースカロライナ州立大学長
ジェームス・L・オブリンガー
名古屋大学総長
平野真一
文部科学審議官
玉井日出夫
参加学生より
ノースカロライナ州立大学(NCSU)
(アメリカ)において、 7 月28日から30日にわたって
第 4 回国際学術コンソーシアム(AC21)国際フォーラムが開催されました。
2002年に名古屋大学の提唱によって設立された国際学術コンソーシアム(AC21)は、
2 年毎の国際フォーラム、世界学生フォーラム、国際共同研究、共同教育プログラム、
経済学研究科 二村雅子
農学研究科 倉田洋平
5
5
国際フォーラム参加報告
6
AC21プロジェクト
7
大学院法学研究科・法学部准教授
フランク・ベネット
学生交流、国際産学官連携プロジェクトなどの活動を展開し、国内外にその活動が広く知
られるようになってきています。国際フォーラムは、名古屋大学(2002)
、シドニー大学(オー
ストラリア・2004)
、ウォリック大学(イギリス・2006)の後を受けて、NCSU にて 4 回目と
なるフォーラムが開かれ、世界各国のメンバー大学の学長・副学長をはじめ大学関係者、
学生、政府機関、企業、地方団体等関係者等、約120名が参加しました。
博物館教授 足立 守 7
経済学研究科教授 野口晃弘 8
国際言語文化研究科助教 伊藤信博
9
大学院生命農学研究科教授 土川 覚 10
国際言語文化研究科教授 鈴木繁夫 11
留学生センター助教 山田直子
国際言語文化研究科准教授
ジョセフ・スタヴォイ
開会式では、ジェームス・L・オブリンガー NCSU 学長、平野総長、玉井文部科学審
議官が挨拶しました。(以下、挨拶文全訳)
IFPU 学生報告
国際言語文化研究科
岩下 曜子
教育発達科学研究科
海上 智昭
ノースカロライナ州立大学長
ジェームス・L・オブリンガー
12
13
国際的な産学官連携の推進14
産学官連携推進本部国際連携部長
阿部 正廣
2008年 AC21インターナショナルフォーラムにお集まりいただきましたことを、ノースカロライ
ナ州立大学を代表して感謝申し上げます。AC21メンバー大学を始め、世界のさまざまな大
学、機関からの多数の参加者をお迎えする機会をいただき、大変光栄に思います。今回
のフォーラムには、アメリカ合衆国に加えて、 9 カ国からご参加いただきました。本学にお
第 5 回 AC21国際フォーラム(2010年)
上海交通大学(中国)にて開催 15
いて、さらにはノースカロライナ州においてもかつてないほど真に高等教育についての国際
AC21推進室活動記録
15
的な話し合いが行われることを期待しています。
イベント・カレンダー
16
AC21メンバー
16
AC21パートナー
16
らには大学を超えた社会で境界線を取り払って取り組む必要がある」という本学の考えを反
AC21推進室
16
映しています。また本学では、パートナーシップに重点を置いています。具体的には、「部
国際フォーラムのテーマとして、「大学間パートナーシップ-21世紀のためのグローバルな
連携と革新」が選ばれました。このテーマは、「世界共通の問題は協調しあって解決する
必要がある」こと、及び「総合的で多面的な解決策を得るために、大学の枠を超えて、さ
局の枠を超えた学生と教員とのパートナーシップ」、「大学と、研究や卒業生が貢献する地
域社会、経済、産業界とのパートナーシップ」、「世界の協定大学とのパートナーシップ」
などです。AC21の活動や国際フォーラムを通じて、 2 国間で行われてきたパートナーシップ
以上に国際教育パートナーシップの成果が得られることと思います。
この度のフォーラムでは、「留学生交流および学術交流」、「グローバルな高等教育のた
めの課題」そして、「技術革新と技術移転」という3 つのテーマについて、パートナーシッ
プの力を検証する機会を得ました。これらのテーマは、ノースカロライナ州でも取り組まれて
いることで、誠に時宜を得たテーマといえます。これらのテーマについて、我々が行ってい
1
る取り組みを紹介するとともに、新しいアプローチを学ぶこ
2007年には、ノースカロライナ州立大学と名古屋大学の
とを期待しています。また、参加者の皆様に、ノースカロラ
協定は、技術移転の分野を中心に、大学及び産業界の
イナ州立大学を特徴づける革新的な人々や特徴あるプログ
協力を推進する産学連携に関する大学間交流協定に発展
ラムを紹介できることを楽しみにしています。
しました。また、名古屋大学は、国際技術移転を推進す
また、今回は、フォーラムを主催させていただくと同時に、
るためにノースカロライナのリサーチ・トライアングル内に非
フォーラム終了後に開催される AC21総会の議長を務めさ
営利法人名古屋大学テクノロジー・パートナーシップを設立
せていただくことになっています。AC21のメンバーシップの
しました。 名古屋大学との連携は両大学の研究に対する
拡大と、高等教育の発展のために、世界レベルでの相互
理解を深めました。そして、このパートナーシップは、アジ
教育を一層促進するとともに、国際社会および地域社会
ア及びアメリカ合衆国の技術市場及びビジネスの成功事
に貢献する学術ネットワークの構築という目的にむけて、皆
例について、価値のある知識の交流を促進することになり
様と議論できることを楽しみにしています。
ます。名古屋との関係は、大学間及び AC21を通じて益々
AC21フォーラムにて、メンバー大学と、21世紀の大学
発展していくことでしょう。
における共通の課題について議論できることは、本学が
名古屋大学が国際教育の現場で発揮しているリーダー
AC21に参加するメリットですが、メリットはこれだけに留まり
シップは、平野眞一総長のビジョンとエネルギーを反映して
ません。2007年には、ポンゼショセ工科大学にて、AC21
います。2004年に名古屋大学総長に就任されて以来、平
学生世界フォーラムが開催され、本学から 2 名の学生が参
野総長は、名古屋大学の国内外での研究の発展、技術
加しました。参加した学生の専門分野が持続可能なエネル
移転、経済発展そしてもちろん国際教育の発展に力を注い
ギー及び都市デザインだったため、学生世界フォーラムの
でいらっしゃいます。
テーマである、持続可能な都市やエネルギー、運輸、建
最後に平野総長、名古屋大学及び AC21からの参加
築物や家についてのワークショップは彼らにとって魅力ある
者の皆様に歓迎の意を表します。平野総長をノースカロラ
ものでした。 参加学生達は、21世紀に世界が直面してい
イナ州にお迎えできたことを光栄に思うとともに、全世界で
る問題について、次世代のリーダーとして貢献するでしょう。
共通の目標達成を目指す大学連携に貢献する平野総長の
AC21のプログラムは、学生や大学が世界中の仲間と、経
ビジョンとエネルギー及びリーダーシップに敬意を表したいと
験や考え方を共有できるすばらしい機会なのです。
思います。
ここで、AC21の発展に貢献した AC21のメンバー機関
の代表を紹介したいと思います。名前を呼ばれた方は、お
立ち下さい。(各大学長など氏名省略)
また、日本政府から今回のフォーラムに文部科学省の玉
井日出夫審議官をお迎えし、ご挨拶をいただくことを光栄に
名古屋大学総長
平野眞一
思います。
次にご挨拶をされる方をご紹介する前に、ノースカロライ
ナ州立大学の AC21への関わりについて、もう少しお話し
AC21国際フォーラムが、本日ここに盛大に開催されます
したいと思います。 本学は、現在アメリカで唯一の AC21
ことを、心からお喜び申し上げますとともに、オブリンガー学
メンバー校です。 本学が AC21に参加したのは、AC21
長はじめ、このように素晴らしいフォーラムをご準備いただい
の生みの親である名古屋大学との長きにわたるパートナー
たノースカロライナ州立大学のスタッフの皆様に深く感謝の
シップの成果です。 本学と名古屋大学は20年にも渡る学
意を表します。AC21メンバー校の学長・副学長におかれま
生交流を続けてきました。 名古屋大学短期留学プログラ
しては、お忙しいなかお集まりいただき、AC21国際フォー
ム(NUPACE)が1996年に創設されて以来、本学はアメ
ラムを盛り立てていただき、ありがとうございました。また、
リカ合衆国の中でもっとも活発に名古屋大学と学生交流を
このような場でスピーチをさせていただく栄誉をいただき、厚
続けており、これまで名古屋大学で学んだ学生は60名近く
くお礼申し上げます。
に及びました。実例を挙げると、今年の夏には、4 人のノー
2002年名古屋で開催された国際フォーラムをきっかけに
スカロライナ州の学生が、名古屋大学が提供する自動車
設立された国際学術コンソーシアム(AC21)は、今年で
工学のサマースクールに参加しました。そして今年の初めに
6 年目を迎えます。AC21の基本理念である「The Global
は、名古屋大学からシステム生命科学の COE プログラム
University -Architect of the New Century」という言葉
を代表する大学院学生数名がノースカロライナを訪れ、本
に象徴されるように、AC21は大学が社会や文化、価値観
学の教員と交流し、専門分野の研究について意見を交わ
などにおいて未来を創造していく建築家としての役割を担っ
しました。
ていきたいと願ってきました。 設立当初から、今後の大学
2
Academic Consortium 21
AC21
の使命と役割について、世界をリードする大学のトップが定
的に取り組み、AC21の活動、ネットワークを活用して、優
期的に集まり、
専門分野を超えて英知を結集する国際フォー
れた人材の輩出、21世紀の学問の発展、持続可能な社
ラムが、AC21の中心的な役割を果たしています。これまで
会の構築に向けた科学技術の革新において社会に貢献で
名古屋大学、シドニー大学、ウォリック大学、そして今回
きる大学として活動を進めてまいりたいと存じます。そして、
のノースカロライナ州立大学で、国際フォーラムを行ってき
AC21に積極的に取り組むことが、AC21の発展ばかりでな
ましたが、定期的に集まることで、大学の果たす役割につ
く、国際交流の核として、大学の発展に寄与することを示
いて議論するばかりでなく、お互いの友情を深めることがで
していけるように努力していきたいと存じます。
きました。
貴学においても、研究面ではもちろんのこと、教育面で
この他、学生世界フォーラム、ベンチマーキング、共同
も海外の研究者・留学生に魅力ある大学として、これまで
研究・プロジェクト支援基金、産学連携など様々な形で、
以上に世界にアピールしていくために、AC21で生まれたネッ
AC21の活動は広がってきています。AC21の活動やその
トワークを積極的にご活用いただき、貴学の国際的な発展
成果については、本日のセッションで述べられるかと思いま
に役立てていただくとともに、今後とも、AC21の発展のた
すので、
ここでは省略させていただきますが、6 年の間に行っ
めに新たなプロジェクトをご提案いただくなど、AC21へのご
た様々な活動を通じて、AC21が発展し、また国際的にも
支援・ご協力をお願いしたいと存じます。
認知されるようになったことについて、メンバー校の AC21
ご静聴ありがとうございました。
への積極的な関与とフォーラムなどの開催へのご協力に感
謝したいと存じます。特に運営委員会(STC)メンバーに
おいては、 1 年に 1 度お集まりいただき、AC21の推進力
となって AC21に活力を与え続けていただきました。ここに
改めて、感謝の意を表します。
文部科学審議官
玉井日出夫
名古屋大学にとって、世界的なコンソーシアム運営に中
心的に関わり、多数の大学と同時に連携協力していくこと
は未経験であり、挑戦的な事業でした。しかし、この 6 年
本日、第 4 回 AC21国際フォーラムがこのように盛大に
間に積極的に AC21の活動に取り組んだ結果、名古屋大
開催されますことを、心よりお喜び申し上げます。2002年
学は直接的、間接的に多くのものを得ることができました。
6 月に名古屋大学の呼び掛けにより設立された本国際コン
名古屋大学の使命は、学術憲章にも掲げられていますが、
ソーシアムが、
これまでの 6 年の間に、
シドニー大学、
ウォリッ
「研究と教育の創造的な活動を通じて、世界屈指の知の
ク大学にて国際フォーラムを開催し、名古屋大学、ポンゼ
創成と将来を担う勇気ある知識人を育成することによって
ショセ大学で学生世界フォーラムを行う等、発展を遂げて
社会に貢献する」ことです。AC21事業への取り組みは、
いることに文部科学省としても関心を持っているところであり
共同研究や学生の交流など、直接的に研究交流を通じて
ます。また、今回、「大学間パートナーシップ-21世紀の
知識人を養成するばかりでなく、AC21事務局運営の経験
ためのグローバルな連携と革新」をテーマに、世界の主要
や、文化・価値観の違うメンバーとの交流や新しい視点か
大学のリーダーの皆様がこのノースカロライナ州立大学に
らの助言を通じて、名古屋大学の教職員を国際的に成長
集まり、学問分野を超えて、英知を共有することは、極め
させてくれました。
て意義深いものと思います。
また、名古屋大学では、AC21の中心的な事業に主体
現在、我々を取り巻く世界は、地球温暖化や気候変動
的に関わっていくばかりでなく、名古屋大学と AC21メンバー
などの環境問題、経済格差の拡大、深刻な食糧・水不足、
大学の研究者が協力する研究に共同研究・プロジェクト支
自然災害の頻発など、様々な分野で多くの困難に直面し
援金を交付したり、AC21パートナーであるトヨタ自動車の
ており、お互いに協調していく必要性がますます高まってき
協力を得て、AC21メンバー校の学生を対象に自動車工学
ております。 高等教育分野においても、学生や教員交流
のサマースクールを開始したりするなど、独自に AC21を応
など人材流動性の高まりとともに、大学同士の交流・協力
援する事業を行ってきました。これらの事業については、今
が深まる一方で、先端科学研究や留学生の獲得といった
回のフォーラムでセッションやポスターにて発表される予定で
分野において国際的な大学間の競争が激化しているのが
す。こうした AC21事業を通じて、メンバー大学が、世界
現状です。
的視野で将来の方向性を様々な背景や視点から議論でき、
我が国においては、2004年に国立大学の法人化を開始
緊密な協力関係を維持することができるきっかけになったと
し、以来、各大学が競争的な環境の中で主体的・戦略
存じます。
的に研究・教育活動に取り組むことを支援するとともに、
「グ
名古屋大学は、これからも AC21の活動に対して積極
ローバル COE」を実施し、すべての学問分野を対象とし
3
No.
4
て、世界最高水準の卓越した教育研究の実施が期待され
が教育や研究の問題について語り合い、知識や経験を共
る拠点を重点的に支援することとしています。また、機を一
有し、その成果を世界に発信していくことで、国際的な学
にして、国際的な競争力の激化を背景に、大学等の研究
術交流及び協力の進展に貢献されること、また、本日ご参
開発能力の強化、研究開発の効率的推進、若手研究者
集された全ての大学の発展を心から祈念して、私の挨拶の
の能力活用、卓越した研究者への優遇措置等を促す、研
言葉とさせていただきます。
究開発力強化法が制定されました。
ご清聴有り難うございました。
また、我が国では、福田首相のイニシアティブにより、
日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間のヒ
開会式に続いて、「大学間パートナーシップ-21世紀の
ト・モノ・カネ・情報の流れを拡大する「グローバル戦略」
ためのグローバルな連携と革新」というテーマに沿って、
「国
展開の一環として、「留学生30万人計画」の策定及び実
際的な学生交流および学術交流」「グローバルな高等教
施に向けた検討を進めております。各大学では、留学生に
育のための課題」「技術革新と技術移転」の 3 つのテー
とって魅力ある大学とするため、海外の大学との連携強化
マに分かれて、講演やパネルディスカッション、ポスター発
に加え、ダブル・ディグリー、単位互換の拡大、教職員
表が行われ、活発な議論と関係者の交流が行われました。
等の組織的な交流、英語によるプログラムの提供などのグ
最初の基調講演では、ファレルアメリカ合衆国国務省
ローバル化のための基盤の整備など、大学の国際化のた
副次官補から、「革新的社会に向けた人材育成:大学
めの戦略的な取組を進めているところです。
間学生交流 」(Developing Talent for the Innovation
こうした取組を進める中、今回のフォーラムで議論される、
Society: University Student Exchange)と題し、大学
「国際的な学生交流および学術交流」、「グローバルな高
間学術交流・学生交流が果たした歴史的な意義が強調さ
等教育のための課題」、「技術革新と技術移転」などにつ
れました。
いては、大変時宜を得たテーマであり、興味深い内容にな
3 つのテーマに分かれたセッションには、AC21メンバー
ることを期待しております。
大学やその他の大学の関係者、政府関係機関、企業関
また、企業や市民を巻き込んで、地域社会にまでその連
係者がパネリストとして参加し、活発な議論が交わされまし
携を広めていく活動は、多くのメンバーが産業地域にキャン
た。日本の文部科学省から氷見谷高等教育局国際企画
パスを持つ大学で構成されている AC21の特色であるかと
室長、AC21パートナー企業であるトヨタ自動車から菊池昇
思います。特に、ノースカロライナ州立大学は、ノースカロ
トヨタ北米先端研究所所長(ミシガン大学教授兼務)か
ライナ州政府や他大学と協力して、
リサーチ・
トライアングル・
ら講演をいただきました。並行して、情報基盤統括責任者
パークという新しい産学官連携のモデルを打ち立てて成功
会議が行われ、大峯理事・情報連携統括本部長が本学
していることでよく知られ、新しいキャンパスの中に、企業
代表として参加しました。
やベンチャーの研究所を誘致し、企業との共同研究がキャ
ポスター発表では、AC21メンバー大学が関わる共同研
ンパス内で行われ、更には学生も参加するという画期的な
究の発表、本学自動車工学サマープログラム、学生によ
環境を作り出しています。本フォーラムでは、その特色を生
る専門分野研究発表など多彩な発表が行われました。
かした産学官連携を含めた幅広いパート
ナーシップのあり方に関する有意義な議論
と各大学が持つ知識・経験の交換を行っ
ていただけるものと期待します。
最後になりましたが、この度、オブリン
ガー学長をはじめとして、ノースカロライナ
州立大学の皆様、お集まりの AC21メン
バー校の学長・副学長をはじめ参加者の
皆様方のご努力により、第 4 回国際フォー
ラムが盛大に開催され、大きな成果を収め
られることを祈念いたします。また、本日の
フォーラムばかりでなく、恒常的に連携を
図っていく組織として、国際学術コンソー
シアムが果たしてきた役割に敬意を表した
いと思います。
この AC21を通じて、参加大学の皆様
4
Academic Consortium 21
AC21
〈学生参加報告1〉
名古屋大学大学院経済学研究科 二村 雅子
り、自分の行っている研究に対して新しい考え方や知
見がえられ、このような機会を提供していただいたこ
とを感謝しています。
AC21での研究発表の機会が与えられたため、7月28
自分の研究分野以外の他の分野について知識が乏し
日から30日までの 3 日間、ノースキャロライナ州立大
いため、自分の専門分野に知識が偏りがちで、新しい
学を訪問しました。大学の敷地はとても広大で、緑が
アイデアがなかなか出せない場合があります。今回の
多く美しいキャンパスでした。研究者ゆかりの品々や
フォーラムでは、経済学、法学、工学などいろいろな
肖像画、学生がコンテストで貰った盾などが展示され
研究分野に所属している方が参加しています。そのた
ており興味深かったです。
めに、発表においても、自分が考えもしない意見やア
私の報告内容は、連結財務諸表固有の少数株主損益
イデアがたくさんでて、もちろん、自分が知らない研
が株価に影響を与えるのかという実証研究でした。会
究発表を聞くことができるので、新鮮な感じがして、
計学や経済学の発表を行う人が他にいなかったため、
参考になりました。
ポスターの前にいるだけになるのではないかと若干心
それではここで具体例を挙げてみたいと思います。
配していました。しかし、興味を持ってポスターの前
僕は、タイのカセサート大学と共同研究を行った結果
にやって来てくれる先生や研究手法が同じであるため
を発表しました。普段の学会では、テクニカルな面に
立ち寄ってくれた大学院生さんがいました。研究分野
ばかり着目したディスカッションが行われます。しか
が異なるため説明するのに苦労する部分もありました
し、今回は、それが経済的にどのようなメリットがあ
が、日頃の成果が発表でき、とても嬉しく感じました。
るのか。タイで研究を行ったが、他の国ではだめなの
AC21へ参加して最も実感したことは、コミュニケー
か。他の測定方法や評価法はないのかなど、いろいろ
ションの道具としての英語の重要性です。日頃心を傾
なディスカッションができました。
け取り組んでいる研究だからこそ理解してもらいたい
今までに意識していなかった側面から、研究につい
という思いで、慣れない英語ながら説明しました。ま
て考えられたことが大きな収穫となり、また、良い経
た、レセプションに参加している時に、ノースキャロ
験ができたと思います。
ライナ州立大学の学長をはじめ、様々な方が気軽に声
をかけてくださいました。こちらが一生懸命伝えよう
とすると、
相手も応えてくださいました。
コミュニケー
ションの道具としての英語の重要性を身を持って実感
したため、今後は研究だけでなく英語の研鑽にも励ん
でゆきたいと思います。
一方、フォーラムに先立ち27日に AC21運営委員会、
最終日の30日には AC21総会が開かれました。運営委
員会は、AC21が2002年に創設されて以来、毎年 1 回
行われているもので、AC21運営委員会のメンバー大
学 7 大学全員が顔を揃え、ウォリック大学(イギリス)
マイケル・ウィットビー副学長、ケムニッツ工科大学
〈学生参加報告2〉
名古屋大学大学院生命農学研究科 倉田 洋平
(ドイツ)エーベルハルト・アレス事務局長、シドニー
大学(オーストラリア)ジョン・ハーン副学長、上海
交通大学(中国)葉取源副学長、チュラロンコン大学
今回ノースカロライナ州立大学で行われました、学
(タイ)クア・ウォンブンスィン副学長、ノースカロ
術コンソーシアムに参加させていただけたことによ
ライナ州立大学(アメリカ)ラリー・ニールセン副学
5
No.
4
長が参加し、名古屋大学からは議長役として宮田副総
今回のフォーラムや運営委員会及び総会では、メン
長、AC21推進室員が参加しました。
バー大学それぞれが AC21の活動に積極的に関わり、
AC21運営委員会では、新しい会費制度、年度予算、
将来の活動を提案したほか、複数の AC21加盟希望大
AC21プロジェクト支援制度、産学連携活動、新メン
学が参加し、さらなる新規メンバーの提案もありま
バー加入手続きと、タイ・チュラロンコン大学の2011
した。AC21の活動の意義を評価し、さらに発展させ
年学生世界フォーラム開催等が提案され、活発な議論
活用していきたいというメンバー大学の意気込みや国
の上で AC21総会に付議することが承認されました。
内外で AC21が注目を浴びつつあることを実感できる
AC21総会では、AC21メンバー大学の代表が集まり、
フォーラムでした。
運営委員会の提案について議論をすすめ、承認を行い
ました。今回のフォーラムには、AC21に加盟したい
という複数の大学が国際フォーラムに参加し、そのう
ち正式に手続を終えたアデレード大学(オーストラリ
ア)を新規メンバーとして正式承認しました。また、
国際フォーラム
参加報告
2009年に開催されるケムニッツ工科大学(ドイツ)の
学生世界フォーラム及び2010年に上海交通大学(中国)
で開催される国際フォーラムの計画の紹介がありまし
た。
大学院法学研究科・法学部准教授
フランク・ベネット
今 回 の 第 4 回 AC21国 際 フ ォ ー ラ ム に 参 加 し て、
ノースカロライナ州立大学やその他世界中の機関の
方々とお会いすることができ、たいへん光栄に思って
おります。様々なプレゼンテーションの中でも強調さ
れたように、今回のテーマであった「大学間パート
ナーシップ―21世紀のためのグローバルな連携と革
新」は、科学技術研究の点でも、また大学運営の戦略
構想の点においても、参加者全員にとってたいへん関
心の高いものでありました。 2 日目のセッションが分
かれていたため全ての発表に出向くことはできません
でしたが、聴くことのできたものは全て私にとって意
義深い内容でした。スカラシップ・留学プログラムか
ケムニッツ工科大学で開催される学生世界フォーラ
ら始まり、先駆的な研究、情報技術マネジメントの要
ムは、2009年 6 月22日~27日に「Production-Meeting
所に至るまで、実に彩り豊かなメニューを用意してい
the Global Challenges」をテーマにセミナーや、企
ただきました。全ての参加者を代表して、気持ちよく
業訪問など様々な活動計画が紹介されました。AC21
迎えてくださったノースカロライナ州立大学のスタッ
メンバーから30名、ケムニッツ工科大学から50名の学
フの皆様と、この素晴らしい成功を収めたフォーラム
生の参加を予定しており、幅広い学生交流が進展する
に関わった方々のご尽力に心から感謝申し上げます。
ことが期待されます。
6
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AC21
AC₂₁プロジェクト
係者と情報交換を始めました。
今年度は、まず、2007年10月にモンゴル科学技術大
学(モンゴル)の博物館関係者と東アジアフィールド
セミナーの打ち合わせを行い、続いて2008年 1 月中旬
に、吉田英一博物館准教授、山本鋼志環境学研究科准
教授の 3 人で、姉妹校であるシドニー大学(オースト
ラリア)のマックレイ博物館、ニコルソン博物館、アー
2007年 9 月に、AC21メンバー大学が 2 大学以上参
トギャラリーを訪れ、これらの博物館の館長であるデ
加する共同プロジェクトに発展する可能性のあるプロ
ヴィッド・エリス氏と、アジア・オセアニア地域の
ジェクトを支援する「国際学術コンソーシアム(AC21)
フィールドセミナー・連携についての具体的な意見交
プロジェクト計画」を募集し、
計10件を採択しました。
換を行いました。とくに、アジア・オセアニア地域の
これらの共同プロジェクトの代表者は第 4 回 AC21
自然誌要素の相違点・類似点を大学生に理解させるに
国際フォーラムにてその成果を発表し、フォーラムを
は、どのようなフィールドセミナーが最適か、どのよ
盛り上げました、
うなフィールドセミナー・コースが効果的かについて、
以下、 5 件のプロジェクトについて成果を紹介しま
実施上の問題点も含めて意見、情報交換を行いました。
す。
さらに、シドニー大学博物館の様々な展示、収蔵標
本を見ながら、( 1 )フィールドセミナーの事前学習
AC₂₁大学博物館連携によるアジア・オセアニ
ア自然誌フィールドセミナーの推進に関する
意見交換とフィールドセミナーコースの視察
博物館教授 足立 守
および事後学習で博物館標本をどのように活用する
か、
( 2 )姉妹校博物館の標本情報共有システムの構築、
( 3 )日本とオーストラリア両国学生の合同フィール
ドセミナーでの双方向コミュニケーションの在り方、
( 4 )博物館スタッフの交流や標本の交換、( 5 )姉妹
校博物館コーナーの設置、などについて有益な意見交
名古屋大学博物館は、自然離れや“モノ”離れの著
換を行うことができました。その結果として、こうし
しい若者への「自然や“モノ”を見て考える教育」が
たフィールドセミナーの実施によって、アジアとオセ
急務と考え、野外で人間の五感をフルに発揮して、本
アニアの自然・文化・環境・資源・災害などの多様性
物から何かを感じとり感性を磨くという次世代教育
と共通点・相違点を、AC21メンバー校の大学生に体
を、創設以来、継続的に行っています。これまでは、
験学習的に理解させることができる点で、姉妹校大学
主に中学生・高校生向けの「野外観察会」や親子を対
象とした「地球教室」を実施してきました。そして、
これらと並行して、大学生向けに姉妹校や AC21の大
学博物館連携をフルに活用したフィールドセミナー主
体の自然誌教育を、
大学博物館の主催によってアジア・
オセアニア地域で実施する計画を立て、2006年から関
左がマックレイ博物館長
バオバブの巨木(木の横に人物)
7
No.
4
博物館が連携して主催するフィールドセミナー構想に
会計の国際的収斂とアジアにおける「もの
づくり」の現状と課題に関する研究
関して大きな賛同が得られました。また、フィールド
セミナーの具体的実施に向けた経費をどのように恒常
的に確保するかについても、今後、継続的に意見交換
し双方でいろいろな可能性を探ることになりました。
経済学研究科教授 野口 晃弘
打ち合わせ終了後、デヴィッド・エリス氏は 3 年後に
完成予定の新しい大学博物館(約8000平米)の場所へ
世界各国の会計基準は、国際財務報告基準への収斂
我々を案内し、新設の博物館、従来の図書館、大学の
という形で、統一されようとしています。文化、社会、
シンボルである石造りの古い建物の 3 つが大学の顔と
法制度、そして経済活動そのものの姿が多様であるに
してトライアングルを形成して、新たな交流ゾーンを
もかかわらず、一つの物差しでそれを測定しようとす
つくり出すのだと、
新館構想を熱く語ってくれました。
ることになるため、さまざまな変化を生み出すものと
この構想が名古屋大学博物館の創設時からの基本構想
思われます。そこで、AC21関係予算からの支援を受
と非常によく似ているのに驚きつつ、博物館を殻にし
けた本研究プロジェクトでは、財務報告・財務会計と
たシドニー大学の将来展望をうらやましく思わざるを
管理会計の研究者が協力し、国際的な会計基準統一の
得ませんでした。
実態、すなわち、その光と影を明らかにすることを目
シドニー大学訪問の後は、オーストラリア中部の砂
的に研究が進められました。
漠地帯と北部の熱帯地域で、地質・植生のチェックと
財務報告・財務会計の領域では、会計の国際的収斂
フィールドセミナー・コースの視察を行い、同じ国
が日本の会計基準に及ぼしている影響の具体的な事例
の同じ季節でも、自然環境には格段の差があること
として、少数株主持分の連結貸借対照表における表示
を改めて実感しました。今後、オーストラリア-イ
について取り上げ、日本の株式市場における少数株主
ンドネシア-タイ-中国、日本-韓国-中国-モン
損益の価値関連性に関する実証研究を行いました。先
ゴルなどのアジア・オセアニア地域における実物を
行研究と同様、日本の概念フレームワークで採用され
ベースとした自然誌教育に力点を置いたフィールド
ている親会社説よりも、国際基準が採用しようと動い
セミナー・コースの検討と、フィールドセミナーに
ている経済的単一体説に整合した結果が得られたこと
関する情報交換を姉妹校博物館関係者と続けていく
から、少なくともこの点に関しては、国際基準に合わ
予定です。なお、このフィールドセミナーに関して
せて日本基準を修正することに合理性があると考え
は、2008年 7 月にノースカロライナ州立大学で開催
られます。この研究成果については、データ処理を
された AC21国際フォーラムで、次のタイトル('The
行った大学院生との共著論文としてまとめ、AC21国
Asia-Oceania Transect' A collaborative initiative for
際フォーラムのポスターセッションに応募しました。
the environmental education of university students
また、日本における連結財務諸表制度と少数株主持分
organized by university museums)
で発表されました。
の表示に関する歴史的経緯をまとめた大学院生との共
著論文を、ハノイで開催された経営・会計関連の国際
研 究 集 会(Hanoi 2008 International Conference on
Business, Economics and Information Technology)
で発表し、意見交換を行いました。
8
Academic Consortium 21
AC21
管理会計の領域で
パリ国立図書館東洋写本室資料古書目録作
成準備研究を通じた異文化交流の諸相
は、AC21の メ ン バ ー
校であるチュラロン
コン大学(タイ)の会
計学科を訪問し、
「ア
国際言語文化研究科助教 伊藤 信博
ジアのものづくり企
業における管理会計」
2008年 2 月及び 3 月にパリの国立図書館東洋写本室
をテーマとする研究
に調査に赴きました。 2 月には一人で朝鮮作漢籍のカ
交流を開始しました。
タログを中心に調査を行いました。1930年代に手書き
タイには日本企業が
で書かれた古いカタログ以外存在せず、コピーも許さ
部品メーカーを含め
れないため、コンピュータに打ち込む作業から始めま
多く進出しています。
した。朝鮮部門には、約2,000冊の写本・版本が所蔵
日本の「ものづくり」とタイの「ものづくり」を対比
されていますが、特に調査目的としたのは、30年以上
するには、日本企業の部品メーカーにおける現地の管
極東に滞在し、在日、在韓仏国大使でもあったビク
理会計と、純粋なタイの企業の部品メーカーにおける
トール・コランが収集した漢籍や版画等です。つまり、
管理会計を比較する必要があります。今回の意見交換
1911年 5 月にパリで彼のコレクションがオークション
では、日系企業とタイの企業とでは管理会計実務が異
に出品され、国立図書館がその際に購入した100種類
なっていることが明らかになりました。タイの企業の
の漢籍、地図、版画なのです。
実態調査には、言語だけではなく人脈の面でも、チュ
偶然、古本屋で同年に出版されたオークションカタ
ラロンコン大学側の協力が不可欠であり、その見通し
ログを今回パリで見つけ、比較対照し、この事実が明
がついたことが今回の訪問における最大の成果でし
白となりました。今回の新たな発見の一つです。約
た。今後は、共同研究をさらに進めるため、チュラロ
1,000点のコレクション販売品目の内、275点が絵画、
ンコン大学の研究者を招聘し、日本の「ものづくり」
版画、漢籍であり、三分の一弱が国立図書館に入って
の現場を案内するなど、こちら側としてできることを
いることになります。また、1916年には、彼の収集し
してゆかなければならないと考えています。
た漢籍14種類が同図書館に寄贈されていることも中国
将来は AC21国際フォーラムの場で財務会計・管理
部門研究員の好意により、非公開の寄贈関係図書館内
会計の国際展開をテーマとする分科会が開催されるよ
部資料を調査させていただき、判明しました。この14
うに、チュラロンコン大学だけではなく、他の AC21
種類はどれも朝鮮で制作されたにも関わらず、全てが
メンバー校に所属する会計研究者とも、研究交流の
中国部門に所蔵されていることも確認しました。それ
ネットワークを拡大してゆきたいと思います。
と同時に、彼のコレクションであった浮世絵なども国
立図書館の別の部門での寄贈による所蔵が分かりまし
た。加えて、2006年に高麗大学で行われた「Souvenirs
de Séoul」展覧会カタログから、ビクトール・コラ
ン収集絵画・彫刻等の美術品がギメ美術館に所蔵され
ていることも突き止めることが出来ました。国立図書
館の研究員も知らない事実が次々と発見されているの
で、大いに成果が上がったと感じています。
3 月には、阿部泰郎文学研究科教授と伴に日本部門
の漢籍カタログを中心に調査を行いました。カタロ
グはネット上では公開されておらず、ひたすらコン
ピュータに打ち込みました。ただ、1930年代に制作さ
れたカタログはマイクロフィルム化が許可されたの
で、それが到着次第、調査した資料と付き合わせる予
定です。日本部門の写本・版本は18~19世紀に購入さ
れたとされる2,700種類の和書のほか、貴重本と指定
されている奈良絵本が17種類確認されました。この和
書の中にも、ビクトール・コランが収集した漢籍が一
9
No.
4
冊入っていることが今回の調査で分かり、カタログを
早生樹プランテーションの健全経営による
東南アジア木質バイオマス資源のブランド
化戦略
整理するとさらに見つかる可能性もあります。また、
阿部教授の指摘により、合巻・絵入り本が多く収集さ
れていることもより明らかとなりました。
ところで、キリスト教に関する翻訳漢籍調査は閲覧
を許可されませんでしたが、1901年に出版された「宣
大学院生命農学研究科教授 土川 覚
教師が携わった翻訳漢籍リスト」を入手し、図像関係
のマイクロフィルムの提供を同図書館に依頼しまし
本プロジェクトは、タイおよびインドネシアにおけ
た。写本や版本リストはネット上で公開されているた
る早生樹プランテーションを対象として、木材の材質
め、マイクロフィルムの到着を待って、調査を開始し
チェックと木質資源の管理商品化を試み、これによっ
ます。今回調査した漢籍も含め、南京大学域外研究所
てバイオマス産業社会を構築するための国際相互協力
との共同研究が必要であり、重要と感じています。同
の具体的な方途を探索するために昨年度から実施され
図書館は来年から改築が始まるため、今年度中に再調
ているものです。AC21のメンバーであるカセサート
査する予定です。また、今回の調査を契機に、中世か
大学(タイ)、ガジャマタ大学(インドネシア)
、ノー
ら近世に作られた様々な図像の解釈を研究対象とし、
スカロライナ州立大学および名古屋大学の 4 大学の共
その図像解釈を基に新たに生まれた文化創造や知的創
同で実施されました。昨年度カセサート大学およびガ
造がどのように誕生し、発信されたかを考察する国際
ジャマタ大学を訪問した際、両大学から具体的な研究
シンポジウムを仏人日本学研究者等と伴に2009年 6 月
協力(演習林の利用、実験の分担等)が提案され、計
にストラスブール大学(フランス)で行うことが決定
画の推進が期待されておりました。本年度はそのとり
しました。
かかりとしまして、カセサート大学ユーカリ材プラン
テーションでの野外調査(非破壊材質測定)を実施す
るとともに、大学間の研究者および学生の交流を深め
ることを企画しました。
本年 3 月26日-31日に、生命農学研究科の土川、
佐々
木教授、松下准教授および大学院生 1 名(生命農学研
究科 D1倉田洋平)がタイ王国カセサート大学を訪問
し、本プロジェクトの進捗状況および今後の方針をカ
セサート大学農業・農業工学生産改良研究所 (KAPI)
のワルニー・タナパセ氏らと意見を交わしました。ま
た、同大学林学部のプラトアン・プッソン博士らと、
プランテーションでの測定方法および分析実験等につ
いて討議しました。
バンコク東部チャチェンサオ州内のユーカリ材のプ
ランテーションにおいて、立木を対象とする非破壊計
ユーカリプランテーションでの測定の様子
10
Academic Consortium 21
AC21
測を実施しました。当日は名古屋の真夏並みの暑さで
Web テレビ会議システムとブログで結ぶア
ジア英語による自他国学生文化交流
したが、カセサート大学研究者 4 名およびプランテー
ション管理会社職員 5 名の協力によって、応力波によ
る強度推定、近赤外分光法による材質推定をスムーズ
に行えました。その後、立木を裁断してカセサート大
学に運搬しました。今後、詳細な分析実験を行う予定
国際言語文化研究科教授 鈴木繁夫
留学生センター助教 山田直子
国際言語文化研究科准教授 ジョセフ・スタヴォイ
にしております。また、訪問中に現地大学院生と本学
大学院生との研究交流会を開催しました。互いの研究
内容について発表・討議し、国際的な研究交流の絆を
自国の文化に外国の文化が与えた影響を学生が自ら
深め合うことができました。
なお、
今回の研究プロジェ
学ぶということをねらって、このプロジェクトを立ち
クトの概要については、本年 7 月にノースカロライナ
上げました。学ぶとはいっても、机上ではなくフィー
州立大学で開催される AC21国際フォーラム2008にお
ルドワークを行いながら、しかも「よい」影響ばかり
いて、大学院生の倉田洋平が報告しました。
ではなく「わるい」影響も視野に入れました。Web
今後は、各大学が分担して材質の総合評価から効率
時代を踏まえて、テレビ会議システムを利用した双方
的なプランテーション経営の指針作成を試みる予定で
向同時ディスッカッションとして、学生の参加意欲を
す。さらに、早生樹の材質を立木状態で非破壊的に評
高め、パワーポイントによるプレゼンも質の高いもの
価する分光学的簡易計測システムを考案し、これに
とするように心がけました。ただし学生のプレゼンは
よって木材の原産地証明を具体的に行う手順について
いわゆるネイティブ・イングリッシュではなく、自国
検討します。本実験には各機関の学生も参画し、若手
の香りのする英語であっても相手に通じれば可を目安
ミニシンポジウムを開催するなどして学生交流を図る
として実行しています。
ことも考えております。
交流相手は最終的にチュラロンコン大学(タイ)が
応じてくれました。タイ側は歴史学科大学院生三名が、
日本側は四名の学生がそれぞれチームを組んで、両国
のそれぞれの影響について20分間のグループ・プレゼ
ンとしてまとめました。タイ側は第二次大戦中にタイ
の市民に日本軍が与えた印象について、村などの実地
調査に加えて、日本軍人とタイ女性の結婚物語の受容
調査も行いました。田園地帯では日本軍をなまで知っ
たので、いまだに好印象をもっていますが、日本軍の
態度が占領政策の一環ということをメディアを通じて
理解していた都市部市民はそうではありませんでし
た。その影響が尾を引き、結婚物語受容史にも反映し
ているとのことです。
カセサート大学でのディスカッションの様子
国際言語文化研究科棟テレビ会議システムを通じて議論するタイ・
グループ。画面右下の子画面には日本側グループの姿が見える。
11
No.
4
日本側は文系・理系の学生にタイの交換留学生が加
わって、タイからの仏舎利寄贈を建立起源とする日泰
IFPU 学生報告
寺の調査を、住職や地域住民とのインタビューを含め
て、周到に行いました。プレゼンは、日本の植民地政
策の一環としての日泰寺の起源から、タイ王室による
表敬訪問や日本政府の努力を含めた日奉寺の歴史をた
どりつつ、現在の日奉寺が日タイ友好の御旗の色彩が
薄れていることを説明しました。
ボローニャ大学(イタリア)において、 6 月23日
これらのプレゼンをテレビ会議を通じて行い、さら
から28日にわたって、International Forum of Public
に30分間のディスッカッションも加えて、学生同士、
Universities(IFPU)のサマースクールが開催され、
多いに刺激を受けました。とくに日本側からは、ディ
本学から 2 名の学生が参加しました。
スッカッションの時間がもっと長ければとの強い要望
がありました。
教員は学生のフィールドワークや英語指導を行いま
したが、
プレゼンの完成度の高さには圧倒されました。
またテレビ会議システムというやや時代遅れと見なさ
れつつあるメディアがもつ新鮮みとインパクトに、あ
IFPU 参加報告1
名古屋大学大学院 国際言語文化研究科
岩下 曜子
らためて感心しました。なおこのプロジェクトの準
2008年 6 月23日から28日にかけて、ボローニャ大学
備段階からフィールドワークを経てプレゼン完成に至
において「文化的多様性(Cultural diversity)
」をテー
るまで、ほぼすべてビデオに収録し、ウェッブ上で
マにサマースクールが開かれました。
「北と南、西洋
公開してあります。http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/
と東洋、文明と野蛮、先進国と発展途上国、コロニア
AC21/
ルとポストコロニアルといったカテゴリーは何に基づ
き、また文化的多様性を語る上で、こうしたカテゴリー
化は如何に機能しているのか。」この問いを理解する
為、「文化的多様性(Cultural diversity)」の本質につ
いて、ブラジル、アメリカ、セネガル、フランス、ド
イツ、イタリア、中国、日本などの世界20カ国から40
名の博士課程の学生が集い、特に文化人類学、記号論
の観点から議論をすすめ、地域ごとの文化的多様性へ
の知見を深めました。
講義は、
「グローバリゼーションと人の移動」
、
「オ
リエンタリズムと植民地主義」、さらには「文化遺産
の保護」や「民族紛争後の共通の記憶の構築」
まで、
テー
マは多岐に渡りました。これらは「生きた知」であり、
12
Academic Consortium 21
AC21
将来の展望を得ることとなりました。講義後には、身
体と母語を奪われて生まれたクレオールの詩について
の学生の研究を聞き、棄民された人々の望郷の詩、ア
イルランドの言語政策などについての教授の見識を伺
IFPU 参加報告2
名古屋大学大学院教育発達科学研究科 海上 智昭
いました。
第一回 IFPU のサマースクールが,2008年 6 月下旬
ヨーロッパの大学発祥の地とされるボローニャで、
にイタリア・ボローニャ大学で開催されました。参加
世界の学生と寝食をともにし、講義に参加し、研究の
者は,世界各国から集った博士課程後期に在籍する大
疑問点などを話し合った時間は、貴重な経験でした。
学院生で,専攻も国籍も異なる面々でした。一週間に
こうした経験が、私たちの「共通の記憶」となり、文
わたって,文化多様性という大きな主題について,様々
化的多様性に向けた学術交流及び人的交流へと実を結
な領域の講師によるセミナーの後,参加者ならびに講
ぶことを願っています。最後に、ボローニャ大学の皆
師を交えた質疑応答・討論を行ってきました。
さん、講義を下さった先生方、セミナーに参加したす
多文化主義と単一文化主義の間を往来する欧州なら
べての友人に心からお礼申し上げます。
ではの主題設定の下,扱われた内容も非常に多岐にわ
たり,文化や文化遺産を保存するための政治的・技術
的介入,移民と差別問題,テロの脅威など,世界で現
に問題になっている事象が多く取り上げられました。
それぞれのテーマについて,各自の専門領域に立脚し
た意見や,それぞれの文化圏での問題・解決策などの
交換が盛んに行われました。
いかなる問題に対しても積極的に自らの専門領域か
らの知見を述べ,最終的に様々な見解を統合してまと
めていくという議論が多く見られたこと,そして,終
始友好的で生産的な雰囲気の下で開催されたことがと
ても印象的でした。また,非常に幅広い専門領域を持
つ参加者が,それぞれ自由に述べる意見の多様性がと
ても刺激的であり,物事を幅広い視点で捉えることや,
枠にとらわれることなく柔軟に最適解を求めることの
大切さを再認識する機会ともなりました。
歴史的な酷暑の中での過密なスケジュールの一週間
でしたが,参加者間の交流を深めることもできました。
今後の研究に反映させることができる多くの資源を得
た貴重な体験でした。最後に,このような機会を与え
た下さった全ての関係諸氏に,御礼申し上げます。
13
No.
4
国際産学連携活動の紹介を行うことにしております。
国際的な産学官連携の推進
東海地域の関係大学との共同活動の一環として、
「国
際産学官連携推進に関する情報交換会」を定期的に開
産学官連携推進本部国際連携部長
阿部 正廣
催し、名古屋大学が今後どのようなことを計画してい
るか等をご紹介するとともにお互いが共同で活動でき
ることを検討しております。具体的には、昨年度作成
しました英文の技術シーズ集の改訂や名古屋大学が計
名古屋大学は、文部科学省から国際的な産学官連携
画している海外(米国)でのシーズ説明会への参加等
の推進体制を図る大学の一つとして選定され、具体的
があります。必要があれば、東海地域の大学間での人
な今年度の計画を決め、活動を推進しております。名
的交流により、実務を通じた国際産学連携の研修を行
古屋大学の国際産学官連携の特徴の一つは、名古屋大
うことも提案しております。
学だけではなく東海地域の関係大学の技術シーズや特
国際産学官連携活動の目的の一つとして、海外企業
許を海外へ移転することを通じて東海地域の関係大学
との共同研究等や特許ライセンスの増加に期待してお
との連携を深めることにあります。また、他の特徴と
りますので、例えばアジアについては、昨年度から参加
しては、名古屋大学が協力関係を有する海外の大学と
しておりますシンガポールでの現地政府関係機関主催
のネットワークを活用し、単に日本の技術シーズや特
による技術シーズ説明会には、中部 TLO のご協力をい
許を海外へ紹介等するだけでなく、逆に海外の大学等
ただきながら、継続して参加する予定にしております。
から東海地域への技術シーズや特許を移転することに
一方、中国に国際産学官連携のための情報収集拠点
ついての支援を行うことにあります。大学の技術移転
を設置することを計画しておりますが、名古屋大学の
機関は、どこも限られたマンパワー・予算等のリソー
上海事務所等や AC21の提携大学の既存のネットワー
スを工夫しながら活動していますので、協定を締結し
クを有効活用することも視野に入れながら、現在検討
ているという義理的なおつきあいだけでは、連携活動
を進めております。
は長続きしません。このため、お互いにメリットが感
国際連携部としましては、これまで産学連携協定を
じられる活動を一つずつ積み重ねることにより、双方
締結してきました海外の大学との具体的な活動を通じ
のネットワークを強固なものにする必要があります。
て双方の理解を深める第二段階に入ったと思っており
名古屋大学は、米国ノースカロライナ州に設立され
ます。このような活動は、大学同士の協力関係があり
た国際産学官連携のための非営利法人である「名古屋
ますと大いに円滑に進みます。その意味で、AC21 大学テクノロジー・パートナーシップ」と密接な関係
の活動は極めて有用であり、重要であります。今後と
を持ちながら、米国での国際産学官連携活動を推進し
も、連携を取りながら進めたいと思いますので、益々
ております。 7 月下旬に米国ノースカロライナ州立大
一層のご協力をお願いします。
学で開催されました AC21の国際フォーラムで、現地
非営利法人の鈴木所長や大橋助教にご協力をいただき
ましたので、皆様の中にもご存じの方がいることと思
います。大橋助教には、ノースカロライナ州立大学の
技術移転機関で技術移転活動の研修を受けており、こ
れが終了しましたらノースカロライナ大学チャペルヒ
ル校で同様の研修を受ける予定にしております。これ
らの活動を通じて、単に知識を習得するだけではなく、
双方の人的ネットワークを構築することにも期待して
おります。
また、
名古屋大学工学研究科の主催による
「テ
クノ・フェア名大2008」が 9 月25日に開催されますが、
この機会を利用して国際産学官連携活動を紹介するこ
とにしております。具体的には、テクノ・フェアの会
場でパネル等により、名古屋大学が連携しております
海外の大学の研究シーズや特許を東海地区企業の関係
者の方に知っていただく予定にしております。またテ
クノ・フェアでは、ミニ講演が予定されておりますが、
14
Academic Consortium 21
AC21
第5回 AC21国際フォーラム(2010年)
上海交通大学(中国)にて開催
今回 3 つのサブ・テーマが提唱されました。 1 つめ
のサブ・テーマ「大学ランキングと高等教育の評価」は、
世界大学ランキングをいかに他国・他地域に適用でき
るようにしていくかという問題に焦点を当てます。 2
つめの「国際化の時代における大学院教育」では、21
世紀における大学院教育、とりわけ急速に広がる大学
院教育の質をいかに向上させるか、ということをさら
2008年 7 月28日から30日にわたってノースカロラ
に詳しく理解することを目指します。 3 つめの「国際
イナ州立大学において開催された「第 4 回 AC21国際
化の時代における世界レベルの大学の構築」は、国際
フォーラム」にて、上海交通大学の葉取源副学長より
化の流れの中で世界レベルの大学がどのように貢献す
「第 5 回 AC21国際フォーラム」の予告発表がなされ
るべきか、という点と、いかにして開発途上国に世界
ました。
レベルの大学を作るか、という点を議論することを目
葉副学長は、次回の第 5 回 AC21国際フォーラムを
的とします。
2010年10月26日から29日にかけて上海交通大学にて開
催することを表明し、
「国際化の時代における大学間
の競争と協力」が次回フォーラムのテーマとなるこ
とを述べました。2002年に国際学術コンソーシアム21
(AC21)が設立されて以来、
「大学間の協力」がその
展望であり、
また目的であり続けてきました。しかし、
国際化が進展する時代において、大学はそれぞれ協力
するだけでなく、
互いに競い合うことを求められます。
競争なきところに発展は生まれません。よって、
「大
学間の競争と協力をいかに調和させるかと」いう課題
が2010年のフォーラムのメイン・テーマになります。
パネルディスカッションでは、( 1 )学生交流(学
部生および院生の留学、国際カリキュラムの開発等を
含む)
(
、 2 )学部教育におけるインターンシップ、
(3)
サイエンスパークと大学における関係と協力、の 3 つ
に焦点を当てます。
上海は、中国国内で経済・財政・貿易・船舶輸送の
中心的存在であり、また世界でも有数の国際都市です。
今後は世界の中でも経済・財政・貿易・船舶輸送の中
心になるべく奮闘している都市でもあります。また、次
回の万国博覧会は2010年 5 月 1 日から10月31日にかけて
上海で開催されることが決定しています。上海交通大
学はその上海に位置し、国内でも最も古く中心的な大学
のうちの一つです。1896年に創立し、2020年には世界
レベルの大学に到達すべく現在大きく躍進しています。
AC₂₁推進室活動記録(2008年 4 月~2008年 9 月)
2008.4.24
第64回 AC21推進室会議
2008.6.20
2008.5.15
チュラロンコン大学訪問
2008.6.22⊖28 IFPUSummerSchool
2008.5.19
第65回 AC21推進室会議
2008.7.11
第67回 AC21推進室会議
2008.8.4
ケムニッツ工科大学副学長訪問
2008.9.19
第68回 AC21推進室会議
2008.5.22⊖23 J SPS、NationalScienceFoundation
にて AC21について発表
2008.5.25⊖30 NAFSA 参加
15
第66回 AC21推進室会議
No.
4
イベント・カレンダー
AC21パートナー
2008.7第 4 回 AC21国 際 フ ォ ー ラ ム2008( 於
Advantage West Midland
ノースカロライナ州立大学)
2008.7第 6 回 AC21運営委員会(於ノースカロ
ライナ州立大学)
2008.7第 3 回 AC21総会(於ノースカロライナ
州立大学)
Asia House
中部電力株式会社
伊藤忠商事株式会社
日本ガイシ株式会社
トヨタ自動車株式会社
2009.6第 3 回 AC21学生世界フォーラム(於ケ
ムニッツ工科大学)
2009.[TBA]第 7 回 AC21運営委員会(於名古屋大学)
2010.10第 5 回 AC21国際フォーラム(於上海交
通大学)
2010.10第 8 回 AC21運営委員会(於上海交通大
学)
AC21推進室
室長
野水 勉 (留学生センター 教授)
副室長
2010.10第 4 回 AC21総会(於上海交通大学)
ウォリス サイモン R.(環境学研究科 准教授)
2011.[TBA]第 4 回 AC21学 生 世 界 フ ォ ー ラ ム( 於
高井次郎(教育発達科学研究科 教授)
チュラロンコン大学)
堀江未来(留学生センター 准教授)
プロジェクトコーディネーター
岩城奈巳(留学生センター 准教授)
AC21 メンバー
担当教員
アデレード大学(オーストラリア)
石川クラウディア(留学生センター 講師)
ウォリック大学*(イギリス)
石崎俊子(留学生センター 准教授)
ガジャマダ大学(インドネシア)
梶田将司(情報連携基盤センター 准教授)
カセサート大学(タイ)
粕谷英樹(医学系研究科留学生担当 講師)
華中科技大学(中国)
北村友人(国際開発研究科 准教授)
吉林大学(中国)
近田政博(高等教育研究センター 准教授)
ケムニッツ工科大学*(ドイツ)
張 紹良(工学研究科 教授)
シドニー大学 (オーストラリア)
長畑明利(国際言語文化研究科 教授)
上海交通大学*(中国)
ベネット フランク(法学研究科 准教授)
阿部正廣(産学官連携推進本部国際連携部長 特任教授)
*
チュラロンコン大学 (タイ)
村瀬 潤(生命農学研究科 講師)
同済大学(中国)
柳原光芳(経済学研究科 准教授)
東北大学(中国)
アシスタント・コーディネーター(事務職員)
名古屋大学*
古田知美(国際課国際企画掛主任)
南京大学(中国)
西崎由里子(国際課国際企画掛主任)
ノースカロライナ州立大学*(アメリカ合衆国)
事務スタッフ
復旦大学(中国)
島崎理代子
*
フライブルク大学(ドイツ)
北京大学(中国)
ラオス国立大学(ラオス)
*
は AC21運営委員会メンバー
AC21
No.
4
2008年10月1日
編集 ・ 発行 名古屋大学国際学術コンソーシ
アム(AC21)推進室
〒464-8601 名古屋市千種区不老町
TEL 052-789-5684
e-mail [email protected]
URL http://www.ac21.org