Urinary tract infection (UTI)

Case study level 2
Urinary tract infection (UTI)
臨床薬物情報学研究室
4年 上田真理
患者背景
【患者】27歳 女性
【主訴】排尿時に不快感
ヒリヒリして突き刺すような痛み
【現病歴】尿路感染症と診断された
(試験紙による簡易な検査のみ)
【処方】ニトロフラントイン(50mg)/分4 3日分
・医師はEffercitrateというOTC医薬品を購入するよ
うに勧める
・友人はクランベリー錠剤を購入するように勧める
Problem List
#1 尿路感染症
#1 尿路感染症
S:排尿時にヒリヒリして突き刺すような痛み
診断方法の不安
O:・試験紙を使った簡易検査のみでUTIと診断
・ニトロフラントイン錠(50mg)/分4 3日分
(→日本では使われていない)
・Effercitrateとクランベリーエキス錠の推薦
A:・簡易検査のみでは信用できないので、尿検査など他
の検査も必要
・ Effercitrateは感染症を助長してしまう可能性がある
ので好ましくないと考えられる
Plan
【尿路感染症の検査(尿検査)】
・白血球尿→尿の顕微鏡検査で白血球数を確認
(10個/1視野以上)
・細菌尿→細菌培養検査で細菌数を確認
(10000cfu/ml以上)
Planのつづき
【薬物治療】
・細菌性の単純UTIの場合、適切な抗菌薬を投与すれば
3日ほどで治癒する
→妊娠の有無を確認し抗菌剤投与
ex)セフェム系抗菌薬
セフジニル 1日300mg 1日3回 (経口)
ニューキノロン系抗菌薬
レボフロキサシン 1日300mg 1日3回(経口)
(*妊婦禁忌)
Planのつづき
【服薬指導】
症状がとれた段階で抗菌薬の投与を勝手に
中止すると、菌が残って再発したり、細菌が
薬への抵抗性を持つようになってしまうため、
勝手に中止しないよう指導する
Planのつづき
【OTC薬について】
・Effercitrateはクエン酸カリウムを主成分とした医薬
品で、尿をアルカリ化して高尿酸血症時にできやす
い尿路結石を防ぐ薬。
→尿がアルカリ性に傾くと、細菌の至適pHに近づ
き繁殖しやすくしてしまうので、尿路感染症患者に
は慎重投与。
・クランベリーにはキナ酸が多く含まれ、尿路や尿中の
細菌に対して殺菌・抗菌作用があるとされている。し
かし、それはあくまでもアメリカにおける民間療法で
あり、抗生物質による薬物療法とあわせて補助的に
用いるのが良いと考えられる。
Q1 What are the symptom and the signs of a
UTI and what is the role of dipstick testing?
【UTIとは?】
尿路に細菌などの病原体が侵入して感染をおこす病態
・上部UTI・・・腎、尿管に感染をきたす
・下部UTI・・・膀胱、尿道に感染をきたす
【症状】
・上部UTI・・・発熱、側腹部痛、悪心、嘔吐、下痢
・下部UTI・・・頻尿、残尿感、排尿痛、尿混濁、
下腹部不快感 (発熱を伴わない)
【尿検査】
・白血球尿→尿の顕微鏡検査で白血球数を確認
(10個/1視野以上)
・細菌尿→細菌培養検査で細菌数を確認
(10000cfu/ml以上)
これら白血球尿(膿尿)や細菌尿の有無とUTIの臨床
症状の有無を考慮して、尿路感染症の診断を行う
Q2a When can a patient with cystitis be safety treated
with over-the-counter products and when should they be
referred to their GP?
・軽い症状の場合はOTC薬で治癒する可能
性もあるが、OTC薬に抗生物質はなく、菌が
残って再発したり、炎症が腎臓にいく可能性
もあるため、すぐに医者にかかるのがいいと
考えられる。
Q2b When is antibiotic treatment
indicated for UTI?
・尿検査により、起因菌を同定する
細菌性のUTIの場合、適切な抗菌薬を投与す
れば3日ほどで治癒する
Q3a What are the typical UTI pathogens and what
are the treatment choices for lower UTI
in a non-pregnant women?
【病原体】
・UTIにおける起因菌はほとんどの場合、大腸菌
(約80%)
・次いで、黄色ブドウ球菌など(約10%)
【妊娠していない女性への選択薬】
ニューキノロン系抗菌薬
・レボフロキサシン
・塩酸シプロフロキサシン
1日300mg 1日3回(経口) 3日間
(*妊婦禁忌)
Q3b What are the treatment choices for
lower UTI in pregnant women?
【妊娠中の女性への選択薬】
セフェム系抗菌薬
・セフジニル
・セフカベンピボキシル塩酸塩水和物
1日300mg 1日3回 (経口) 3日間
Q4a What should be considered by the
pharmacist when dispensing nitrofurantoin?
・ニトロフラントインは腎不全に禁忌。
腎不全の患者で薬を継続すると,副作用とし
て知覚異常,続いて重度の上行性運動およ
び知覚性の多発性神経障害を生じうる。
→腎障害がないか確認する
Q5a What alternative therapies are available
for cystitis and how effective are they?
・飲料量を増やす指導
→水分摂取を多くして尿量を増やし、細菌の
感染巣を洗い流す
Q5b what lifestyle advice can be offered to
patients with cystitis?
・水分をいつも多めに飲むようにする
・排尿は我慢しない
・下腹部が冷えないように体を温める
【参考文献】
・「薬学セレクト 疾患と薬物治療」
医歯薬出版株式会社(2008)
・「第2版疾患別服薬指導マニュアル第Ⅰ集」
じほう(2000)
・MyMed 尿路感染症
http://www.mymed.jp/di/c5c.html