シンガポールの会計基準(FRS) FRS21 外国為替レート変動の影響 The Effect of Changes in Foreign Exchange Rates 本基準は外国為替取引の処理と表示を取り扱います。ここでは、機能通貨と 表示通貨についての説明を行います。 1 機能通貨と表示通貨 機能通貨は企業活動の主たる経済環境で使用される通貨を言います。 表示通貨は財務諸表において表示される通貨を言います。 会計的には機能通貨で測定・記録すべきですが、表示通貨で財務諸表を作 成しても差し支えないとしています。たとえば、シンガポールドルでの取引 が主たる事業体は機能通貨としてこれを記帳し、読者の便宜のために財務諸 表は US ドルにして表示することが考えられます。 2 機能通貨の選定 以下の要素を勘案して決定されます。 ・物品や役務の販売価格に大きな影響を与える通貨であること。 ・物品や役務提供の労務費、材料費その他コストに大きな影響を与える通 貨であること。 また、次の要因も補完的に勘案されます。 ・資金調達などに採用される通貨であること。 ・事業活動から得られる収入が通常その通貨で保持されていること。 3 機能通貨への換算 機能通貨が決まったら、外貨建て取引については機能通貨への換算が必要 になりますが、その手順は下記のとおりです。 ・外貨建て取引については、まずは取引日のレートで換算します。 ・次に期末において、貨幣性項目については期末日レートで換算し、為替 損益は PL に計上します。 ・一方、非貨幣項目ついては、取得原価で評価されているものは取得日レ ートで、公正価値で評価されているものは公正価値の算定された日のレ ートを適用し、為替損益は PL に計上します。ただし、非貨幣性項目の損 益がその他包括利益に計上されているものは、為替損益もこれに準じて 処理します。 4 表示通貨への換算 表示通貨が異なる場合は次のような手順で換算を行います。 ・資産及び負債については決算日レートで換算します。 ・収益及び費用は取引日のレートか期中平均レートで換算します。 ・表示通貨への換算による為替損益はその他包括利益に計上します。 本文書は最新の関連法規等に基づいて記載されておりますが、読者の基本的 理解のためにある程度分かり安い表現を採用しておりますので、具体的問題 解決には本文の内容にかかわらず専門家のアドバイスを受けることをお勧め します。 2015 年 6 月末作成
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