経営のヒント - 公益財団法人 福岡県中小企業振興センター

経営の
経営の新しい取り組みの
ためのヒント
(公財)福岡県中小企業振興センター
経営革新アドバイザー
大串 明子
自社の業績を向上するために「何か新しい取り組 (4)事前に取り組んだこと
みをしたいけど、何をしたらいいかわからない」と ・自社の強みの分析・他社研究
成果を上げた企業
44 . 8 %
いう中小企業の経営者は多いと思います。その何か
成果を上げられなかった企業
23 . 6 %
を考えるためのヒントを「中小企業白書 2013 年版」
の新事業展開に関する調査データをもとに探って ・既存の市場調査結果の収集・分析
成果を上げた企業
34 .7 %
みたいと思います。
成果を上げられなかった企業
29 . 5 %
1.新事業展開とは
調査においては、
「新事業展開とは、既存事業と 自社の強みの分析・他社研究は、新事業展開で
は異なる事業分野・業種への進出を図ること」を指 成果を上げた企業の取り組みとしては最も多く、成
しています。
果を上げた企業と上げられなかった企業との差が
2.新事業展開についての調査データ
21.2ポイント(1. 9 倍)と大きくなっています。
(1)新事業展開有無別の 3 年後の業績見通し
逆に、既存の市場調査結果の収集・分析は、新事
・売上高が増加傾向の割合
業展開で成果を上げられなかった企業の取り組みと
新事業展開 実施
38 . 5 %
して最も多く、成果を上げた企業と上げられなかっ
新事業展開 未実施
20 .2 %
た企業の差は、5.2ポイントと小さくなっています。
新事業展開実施企業と未実施企業の差は18 . 3ポ
3.調査データから得られるヒント
イント(約1. 9 倍)となっています。
●新しい取り組みを考える場合は、自社の強みや
・経常利益が増加傾向の割合
新事業展開 実施
34 . 9 %
経営資源が活かせる分野がないか考える
新事業展開 未実施
18 . 3 %
例えば、自社の技術・ノウハウを使って、既存商
※新事業展開実施の割合は、事業転換と多角化の実施を合
品・サービスとは異なるカテゴリー(分野)の新商
わせた割合です。
品・サービスを開発したり、ターゲット顧客が異な
新事業展開実施企業と未実施企業の差は16 . 6ポ る新商品・サービスを開発することが考えられます。
●既存の販路を活用して販売できる新商品が開発
イント(約1. 9 倍)となっています。
できないか検討する
これらのことから、企業の成長のためには新事業
販路開拓は中小企業にとって最も重要な課題の1
展開を行うことが有効であるとわかります。
つであり、時間やコストを必要としますので、有効
(2)新事業展開をしたことによる効果
企業の知名度の向上・PR効果
64 . 7 %
活用できるというのは大きなメリットになります。
企業の信用力向上
60 . 7 %
●新 しい取り組みを行うに当たっては、事前に
企業の将来性・成長性
60 . 7 %
しっかりと情報収集・分析を行う
従業員の意欲向上や能力向上
53 . 3 %
既存市場の調査だけでなく、自社の強みや経営資
源の分析、他社商品・サービスの研究・分析を行う
ことが重要となります。また、新商品・サービスの開
(3)成果を上げた企業の事業分野選択理由
自社の技術・ノウハウを活かせる
66 . 4 %
発に当たっては、自社ではこれができるという企業
自社製品・サービスの提供ルートが 35 . 0 %
側の視点だけでなく、顧客の視点から見るためにも
活かせる
顧客ニーズなどを調査することが重要になります。
新しい市場であり、先行参入するメ 19 . 5 %
ぜひ新しい取り組みを計画し、実行するために経
リットがある
社会的課題の解決につながる
19 . 3 %
営革新計画書を作成されることをお勧めします。
成果を上げた企業の多くが自社の強みや経営資
参考文献「中小企業白書 2013 年版」中小企業庁(著, 編集)
源が活かせる事業分野を選択しています。
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BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.10