Gard Alert 船舶でのドローンの利用について こちらは、英文記事「Drones launched from vessels」(2016 年 6 月 9 日 付)の和訳です。 最近 Gard のある加入船がスエズ運河を通航中に船体の写真を 撮影しようとドローンを飛ばしたところ、拘留されるという事案が発 生しました。 ある船舶がスエズ運河を通航中にドローンを飛ばしたところ、すぐにスエズ運河庁(SCA)から投錨を命じられまし た。SCA は、調査の過程でドローンとメモリーカードを没収した上で、エジプト当局によるさらなる調査があることを見 込んで当該船舶を拘留しました。 現在、ドローンの使用を規律する共通規則や国際規則は存在しません。欧州航空安全機関(European Aviation Safety Agency [EASA])によると、基本的には国内安全規則が適用されるとされていますが、その内容は国によっ てまちまちであるのが現状です。とはいえ、ドローンの飛行に際しても、一般的な航空機と同様に、他の航空機や地 上の人や建物などの安全を考慮する必要があります。ドローン技術は平和的に利用することを目的に開発されたも のですが、実際には犯罪や違法な目的にも使用されてきており、ドローンが武器などの形でテロリストに利用されるこ とを多くの国が恐れています。こうしたことを背景として、単にスエズ運河を通航する様子を記録する目的で飛行さ せたこの“無邪気な行為”が、エジプト軍から国家安全保障上の脅威であるとみなされたものと思われます。 海運業界におけるドローンの活用 ドローンは、海運業界において、様々な各種作業に利用されるケースが増えてきています。それは第一に時間・ 費用の節約のためですが、安全確保の手段としてでもあります。アブダビ港では、港湾保安調査設備としてドローン が導入されたほか1、マースク社のタンカーでは船舶への物資の搬入業務に初めてドローンが活用されました2。DNV GL 社では、ドローンを使用した初めての生産調査を行い3、MOU に基づく船舶検査(船舶の上部構造物や外面、タ ンク内の検査)にドローンを活用することを検討しています。欧州海上保安機関(European Maritime Safety Agency [EMSA])は、ドローンを使った難民ボートの監視を検討しており4、海運業における汚染や排出の監視にもドローンの 使用が計画されています。このように、海運業界においてドローンが活用されるケースは今後も増加するものと思わ れますが、ドローンを使用する場合には、現地の規則や制限事項を必ず遵守しなければなりません。 推奨事項 今回の事例は、写真撮影目的であっても、ドローンを飛行させた場合、重大な結果を招くおそれがあることをはっ きり示しています。したがって、このことを船長・船員に知らしめ、入港中や領海内を通航する際には特に注意するよ うにしてください。ドローンの使用に関する規則は国ごとに異なっており、法律を遵守しなかった場合には刑事告発さ れる可能性もあります。 ドローンの飛行に関しては、以下の情報も参考にしてください。 • 米国連邦航空局(US Federal Aviation Administration [FAA])5は、 各業界団体と連携し、「Know Before You Fly」キャンペーンを推進し、無人航空機の安全かつ責任のある使用に関する市民啓蒙を行っています。 • 英国民間航空局(UK Civil Aviation Authority [CAA])は、娯楽目的のドローン飛行に関する安全ガイドをはじ め、無人航空機や模型飛行機の飛行に適用される安全ルールに関するガイダンスを提供しています6。 • カナダ運輸省(Transport Canada [TC])は、常に法律を遵守することの大切さを強調するとともに7、ドローンを 安全かつ合法的に飛ばす上で「すべきこと・してはいけないこと」を公開しています。 1 2 3 4 5 6 7 Abu Dhabi Ports「Abu Dhabi Ports takes part in “UAE Drones for Good” Awards」(2015 年 2 月 9 日) Maersk「Flown out by drone」(2016 年 3 月 8 日) DNV GL「Posidonia 2016: DNV GL performs first drone production survey」(2016 年 6 月 7 日) EurActiv.com「EU maritime agency gets ready to use drones to monitor refugee boats」(2016 年 3 月 7 日) FAA の「Fly for Fun」では、ドローンを飛ばすための必要手続き等を定めています。 CAA の「Flying drones」をご参照ください。 TC の「Drone Safety」をご参照ください。 本情報は一般的な情報提供のみを目的としています。発行時において提供する情報の正確性および品質の保証には細心の注意を払っていますが、Gard は本情報に依拠することによって生じるいか なる種類の損失または損害に対して一切の責任を負いません。 本情報は日本のメンバー、クライアントおよびその他の利害関係者に対するサービスの一環として、ガードジャパン株式会社により英文から和文に翻訳されております。翻訳の正確性については十分な注 意をしておりますが、翻訳された和文は参考上のものであり、すべての点において原文である英文の完全な翻訳であることを証するものではありません。したがって、ガードジャパン株式会社は、原文との 内容の不一致については、一切責任を負いません。翻訳文についてご不明な点などありましたらガードジャパン株式会社までご連絡ください。 © Gard AS Page 1 of 1
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