z′ “ ιι″ 仁 土を耕 し未来 の希望 を創 る人たち 金 丸弘美 映画 の 中で 日本 のサムライ と紹介 され るのが福岡県 嘉穂郡桂川町 の古野 隆雄 さん と久美子 さん夫妻だ。 (食 環境ジャーナリスト、食総合プロデユーサー) 学肥料で栽培 している。 栽培する水田 と畑を交互 に使 つた り、また畑 も野 合 鴨を使 つた稲作「合鴨水稲 同時作 (あ いが もす い 菜 を少 しず つ栽培す るな どして、土 の栄養や微生物 とうどうじさ く)」 で知 られる農家だ。ちなみに合鴨 のバ ランスを考 え、輪作 をす ることで病気 を出さな とはアヒル と鴨を掛 け合わせた鳥の ことである。 いよ うに、さまざまな生物 が循環す る仕組みを考 え 合鴨を水 田に泳がせ雑草や害虫 を食 べ て もらい、 なが ら農業が組み立て られて いるのがわかる。 糞 はそのまま肥料 に し、成長 した合鴨は食糧 として 例 えば、鶏や鴨 の小屋 に敷かれて いるのは米 の も 食 べ る。古野 さんは農薬や化学肥料 を使わない循環 み殻 、餌 は屑米や糠 な ど。糞 が落 ちた もみ殻 は発酵 型農業の実践者である。 させて有機肥料 に変わる。 現在、日畑7.5haを 営み、約 200軒 の家 に配達 と宅 配で米や野菜や卵や 肉を届 けるほか、直売所 の販売 で生計 を立てている。 古野さんは有吉佐和子 さんの農薬の被害を描 いた 『 複合汚染 』を読んで以来、農薬や化学肥料 を使わな 合鴨 は田んぼに入 り、雑草 、害虫を食 べ 、糞 を し て田んぼの肥料 を創 る。といつた具合 なのだ。 古野 さんは「 百姓百作 』とい う看板 を 自宅 の入 口 に掲げているが、まさに百作 の人なのである。 古野家では台所や お風 呂のお湯 を沸かすのにボイ い農業 の実践に取 り組み始めた。 ラーを使 つている。燃料は裏山にある枯れた竹である。 それ も食料が 自給 自足ができて持続的農業 で生計 を ボイラーの灰は肥料 として使われる。 立てる というものだ。そ して、将来 は 1950年 代 の豊 かな農村風景 を取 り戻 したい という壮大な夢がある。 全国 どこで も竹林 は手入れが行 き届かず荒れて 処置 に困 つて いる。だが古野家では、しつか り燃料 合鴨農法はたびたびテ レビや雑誌 などで取 り上げ として毎 日使われて いる。竹林 で も合鴨 を放 つて雑 られて いるか らご存 じのことだろう。多 くの人は可 草 を食 べ させ 、タケノ コ栽培 が豊かになつて、美味 愛 い合鴨 を田んぼで泳 がせて雑草 を食 べ させ、農薬 しいものが収穫できた というか ら驚きだ。 を使わない農業だ と認識 して いるに違 いない。 2005年 ころか ら、九州各地 の日んぼを襲 つて社 あ つて、年間 60種 類 におよぶ野菜 の栽培、鶏の飼育、 会的問題 となつているのが中国か ら飛来す る米 の害 虫ウ ンカである。これは収量 の多いハ イ ブ リッ ド米 蜂蜜の採取 な ど、農産物 は多岐 にわた つて いる。日 が大 々 的 に栽培 されて、害虫対策で農薬 が使 われ、 だが、古野家に行 つてみる と、水田は ごく一部で 常で食 べ るものをほ とん どまかない、か つ販売 を し その結果農薬耐性 のできたウンカが異常発生 して気 て生計 をたて、自然 と共生す る暮 らしと農業 を 目指 流 に乗 つて九州に飛来 して多大な損害 を与 えている。 しているのである。 米は もちろん、トマ ト、カボチャ、ナス、オクラ、 ところが、古野家 では被害が まつた くない という。 これはウンカが飛来す る時期 を計算 して合鴨 を田ん ブ ロ ッコ リー、ウ リ、ピーナツ、サ トイモ、ナス、オ ぼに放 ち、全部食 べ させて しまうとい うか ら奇跡 と クラ、キ ャベ ツ、レタス、エ ン ドウ、アス パ ラガス、 しか思 えない。 トウモ ロコシ、ネギ、ホ ウ レンソウ、スイカ、メロン、 イチジクな どな ど、多彩 な野菜や果実 を無農薬無化 古野家で ご飯 をいただ くと、すべ て手作 りで、ご ↓ t ヽ_― 飯 も卵 も漬物 も物語があつて、どれ もが最上 の贈 り や コメ栽培では、除草剤や農薬 を使わない農業 を奨 物 だ。 励 し、町での認証 システムを実施 して いる。この事 合鴨農法 は 日本 国内よ りも、実はアジア圏で高 い 評価 を受けている。 バ ングラディシュ、韓国、台湾、マ レー シア、タイ、 例は、宮崎県綾町での取組が先駆事例 として知 られる。 ごみの徹底 した分別 とリサイクル と農業 の連携 とい うことでは、ほかに鹿児島県大崎町、熊本県水俣市、 カ ンボジア、ベ トナ ム な どである。また有機農業 を 徳島県上勝町などがあ り、現在、先駆的な活動が、い 推進するキ ューバでも合鴨農法は取 り入れ られて いる。 くつかの市町村で実施 されている。 特 に中国には古野 さんは毎年呼ばれていて、合鴨 池田町では、家庭の生 ごみは新聞紙 に包み専用の の水 田は20万 haま で広がつているという。実は合鴨 紙袋 に入れて、住民 100名 で作 るNPO「 環境 Uフ レン 農法 のルー ツは中国。田んぼでア ヒル を飼 つて いた ズ 」が交替で週3回 トラックで回収。これを町の堆肥 ものが持 ち込 まれた ものだ。それを、古野 さんは、う セ ンターで牛糞 と混ぜて40日 間発酵させて堆肥 に し まく稲作 と鴨の成長 と害虫駆除な どを組み合わせて て、畑 に還元 して使 うとい う取組がされて いる。 体系化 して いつた 。そ して今 、本家返 りを して いる また女性 を中心 とした野菜や加工品のグルー プが わ けだが、安心安全 な稲作で米 は高 く売れ、か つ 中 あ り、農産物や加工品は、福井市 内の店舗で販売 を 国では鴨は 日常の食糧 で も売れ る とあって、合鴨農 行 い、地域 に経済が回る活動に広がつた。 法は大 きく広がつているのである。 古野 さんの農業 を観ている と遠大 な宇宙のようで、 世間で言われて いる農業の自給率 の低下、食 の安全、 映画では牛の餌のなかに遺伝子組み換 え作物が使 われて いることが指摘 されて いる。それ をなに も知 らず に使 つている とい う、衝撃的な内容 になって い エ ネルギー問題 な ど、す べ ての解答が埋 まっている るのだが、ここで私 た ちの多 くは、初 めて畜産 の餌 かのように見 える。 につ いて新 たに知 ることになる。監督 のす る どい視 黒澤明監督が好 きだ というジャン =ポ ール・ジョ ー監督 は、 『 七人の侍 』の最後 に農家が田植 えを始め るシー ンに古野 さんを重ね合わせて いたに違 いない。 もうひとつ、子供たちに米作 りを伝 える活動 とし 点に感心 させ られる。 池田町を擁護す るわけではないが、ここの餌が特 別で はない。日本 の畜産 のほ とん どは海外か らの輸 入飼料が使われている。牛 の餌の75パ ーセ ン トは輸 て紹介 され るのが福井県池 田町である。岐阜県の県 入飼料 であ る。その多 くはアメ リカか らの ものだ。 境人 口3200名 ほ どの池 田町 は森林 91パ ー セ ン ト。 トウモ ロコシ、油 を絞 つたあ との脱脂大豆 な どだ。 緑 が豊か な地域 だ。この町では、エ コロジー の取 組 アメ リカでは遺伝子組み換 えが主流 になつて いる。 を町全体で行 っている。 一般生 ごみ と牛糞 を使 つて堆肥 を作 り、そこか ら ほかの地区で も調査 をすれば遺伝子組み換 え作物が 含まれているか もしれない。 作物 を作 る循環型農業の試み を している町 として知 古野家 と池 田町の活動 は、改 めて グロー バ ルのなか られる。 にある食 を考 えさせ られ、私 たちが未来 の子供 にな ごみの分別回収 を実施 しているが、生 ごみは、堆 肥 に して畑 に還元す る仕組み を作 つた。さ らに野菜 にを手渡 し、どう取組むべ きか を示 して くれた素晴 らしい事例だろう。
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