気になるデータ(05-6) Your Financial Brain SMC 豊島 健治 日本銀行 日銀のバランスシ−ト推移 (単位:億円) 摘要 資産 1997.3.31 2,156 3,441 195 10,677 54,004 464,476 2005.3.31 4,412 2,671 摘要 発行銀行券 金融機関預金 政府預金 売出手形 その他負債 各種引当金 負債および資本 1997.3.31 452,849 36,714 25,743 金地金 現金 割引手形 1,411 貸付金 272,192 買入手形 1,000,220 国債 655,767 (内長期国債) 30,432 41,659 外国為替 負債計 38,586 30,825 資本金 代理店勘定 17,742 138,992 法定準備金 その他資産 1,882 2,398 剰余金 動産・不動産 貸倒引当金 ▲1,141 資本計 624,258 1,505,173 資産合計 負債・資本合計 註1.億円未満切り捨て、表上の合計額と必ずしも一致しない 註2.8年前と勘定科目計上基準が一部変わっている 57,435 24,658 2005.3.31 746,719 361,286 75,871 17,932 247,234 29,164 597,402 1 20,465 6,389 26,856 624,258 1,478,209 1 25,022 1,940 26,963 1,505,173 【独断的コメント】 ◆先頃、日銀当座預金の残高が30兆円を割れて話題になりました。日銀の金融政策(量的緩和策)が 変わったのではないかと見られたのがその要因ですが、日本の金融政策を担う「株式会社日本銀行」の バランスシート(以下B/S)がどのように変化したかを見たくなり、上のように8年前のB/Sと比較 したものを作成してみました。 ◆特殊な法人である上、一般の事業会社と違って馴染みのない勘定科目が並んでいて理解するのが難し いと感じると思いますが、以下、特に変化した点を挙げてみると、 1.B/S全体(資産合計、負債・資本合計)が62兆円から150兆円に膨らんだ(88兆円増) 2.保有国債が46兆円から100兆円に増加した(54兆円増) 3.発行銀行券が45兆円から74兆円に増加した(29兆円増) 4.金融機関預金が3兆円から36兆円に増加した(33兆円増) 5.資本の部は殆ど変化していない 等が挙げられます。発行銀行券の増加は市中に出されたお札が増えたことを示し、金融機関預金の増加 は銀行等民間金融機関が日銀に開いている当座預金に置いている無利息の当座預金残高が増加したこ とを示しています。この両者の大幅増加に日銀の量的金融緩和策を見ることができますが、銀行券(お 札)や預金という負債を増やすためにはその裏付けとなる資産を増やす必要があります。 ◆既にお分かりと思いますが、負債の裏付けとして取得している資産は国債です。つまり、日銀は国債 を購入することで資金を市中に供給しています。それを金融不安が起こった98年以降徹底的に進めた 結果、日銀のB/Sが倍以上の規模に膨らんだと云うことができるでしょう。 ◆今や日銀資産の3分の2が国債で占められ、B/Sの大きさも米国連邦準備理事会(FRB)の83 兆円、欧州中央銀行の120兆円(いずれも2003年度末)を上回り、世界で突出した規模になって います。そして、このB/Sの健全性は一に国債に懸かっているということができます。B/Sの膨張が 大きなリスク要因であることは、一般の事業会社と何ら変わるものではありません。 SMC TEL.0438-53-6092 FAX.0438-53-6096 発行日2005.6.11 ■ 「利益は、お客様の要求を満たすことによってのみ手に入れることができるのであって、他のいかなる手段によっ ても手に入れることは不可能なのである」 (一倉 定) ■
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