銀行取引の知識(99/12) YourFinancialBrain SMC 豊島 健治 「代理貸付」について ポイント 1. 銀行は、様々な機関(主に政府系金融機関−中小企業金融公庫や国民金融公庫などが代表的存 在)と業務委託契約を締結し、当該機関より委任を受け代理貸付業務を行っている。 2. 代理貸付の種類によってその委任内容は異なるが、保証責任の発生を伴うものと伴わないもの があり、それによって取扱いが根本的に異なる。 代理貸付は、政府系金融機関の代理店として当該機関に成り代わって貸付け業務を行うことです。 しかし、政府系金融機関と一口で言っても30以上あり(訳の判らないものも含めて、官の仕事場 確保に必要なのでしょうか)、その種類によって、銀行に保証債務が発生する代理貸付と単に代理 業務を行うだけの代理貸付があります。 例えば住宅金融公庫ですが、この代理業務は単に公庫の貸付業務を代理で行っているだけで、取 扱い銀行に保証債務は発生しません。しかし中小企業と関係が深い中小企業金融公庫(以下中小公 庫)や国民金融公庫(以下国民公庫)は、取扱い銀行に、(代理)貸出額に対して一定割合の保証 債務が発生します。従って、銀行による中小公庫や国民公庫の代理貸付の実行は、貸出先への与信 行為(一般融資と同じ行為)となるのです。債務者に弁済困難が発生した場合、取扱い銀行は一定 割合で弁済する責任が生じるのです。以下、幾つかの留意点を挙げてみます。 ◆保証割合 中小企業金融公庫80%、国民金融公庫50%。その後変化しているかどうか判りませんが、か つての保証割合は上記のような割合でした。銀行では、その保証債務を支払承諾という勘定を使 って処理しています。 ◆権限と資金使途 一般に、代理店である銀行に融資権限を付与しています。但し、実行時期は公庫の資金枠や資金 繰り事情に左右されることがあります。また、貸付資金の使途は事前に指定されており、使途の 確認が重視されます。後日予想される会計検査院の調査に備えているのです。 ◆担保 銀行に保証債務が発生することから、一般的に代理貸付を受けるにも担保が必要となります。当 該借入のために抵当権を設定する場合もありますし、既に設定している根抵当権を援用する場合 もあります。 ◆直接貸付との関連 銀行が取扱う代理貸付(だいりがし)に対して、中小公庫や国民公庫に直接申込んで貸付を受け る事を直接貸付(じきがし)と呼んでいます。当然ですが、代理貸付は銀行の事情によって左右 されます。 銀行が自らの貸付残高を増やしたい時は、代理貸付は勧めません。逆に、自らの貸付残高を増や したくない時は、代理貸付利用に誘導しようとします。 ◆条件変更 資金使途が違った場合、通常その分を繰上償還させられます。期限や返済方法の変更は、債務者 からの申し出によって協議検討されます。不可能ではありません。 1999年12月25日発行 SMC TEL.0438-53-6092 FAX.0438-53-6096 −お知らせ― 「財務分解評価」講座1月27日(木)は定員(5名)に達しました。ご了承下さい。
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