授業公開・授業参観(研修授業)

授業公開・授業参観(研修授業)
1.はじめに
法文学部では、現行制度の前身に当たる研修授業を含め、2004 年度より FD 活動の柱の1つとして
授業公開・授業参観を実施している。その経緯は以下のとおりである。
(1)2004(平成 16)年度より 2 年間
FD 委員会が数名の教員に授業の公開を依頼し、他の教員が参観するという学部独自の研修授業を
行っていた。初年度は経済情報学科と人文学科で1つずつ、翌 2005 年度は法政策学科も含めて各学
科1つずつの研修授業を実施した。この研修授業はとりわけ授業後の意見交換会が FD 活動の中心を
なしていたと言える。ただ、実際のところは FD 委員を中心とした少数の参加者による活動に留まる
ものであり、学部全体での活動には至っていなかった。その背景には、学科ごとのカリキュラムやコ
ース・ゼミといった教育制度の違いはもとより、学科内でも専門分野ごとにさらに細かい違いもあり、
学部全体でも学科単位でも、統一的な教育の制度化や一般化は難しいという状況があったためである。
(2)2006 年度以降現在まで
学長裁定による「鹿児島大学『授業公開』実施要領」の制定に伴い、全学規模で授業公開・授業
参観が行われることになったことを受けて、法文学部では全教員に対し授業公開が義務づけられた。
その背景には国立大学の法人化に伴う評価があった。それは FD 活動のあり方が、評価の主な対象で
ある教育活動の評価に影響を与えるという認識に基づくものである。すなわち、評価のための根拠
資料として FD 活動の報告が位置づけられたのである。
(3)授業公開・授業参観制度の継続的改善
法文学部では毎年、前年度の反省に立って授業公開・授業参観の実施方法の改善が図られてきた。
2006 年度は前期に実施された他学部の動向を参考に 12 月に 2 週間実施されたが、参観期間が短い
という声を受けて、2007 年度には 3 週間に延長され、各教員の公開コマ数も 1 コマ以上に拡大され
た。
さらに 2008 年および 2009 年度には実施期間を 4 週間に延長し、委員会の推薦授業を設け、参観
者の増加に向けた努力を行ってきている。
また昨年度(2011 年度)は報告書に授業改善に向けたアイディアを募集する欄を設け、各教員か
ら幅広い意見を募ることにより、より FD 活動を有効にする試みが行われた。
今年度はこれらに加え、実施期間を昨年より 1 週間延長して 5 週間とし、複数科目または同一
科目の複数回の公開を募集し、適宜アナウンスして教員の参観を呼びかけた。
次に今年度の授業公開・授業参観の概要をまとめる。
1. 実施期間
2012 年 11 月 20 日(火)から 12 月 24 日(月=振替休日:通常授業)
2. 対象教員
法文学部全教員(非常勤講師を除く)
81
・全教員は、法文学部における担当授業の上記期間中の全コマの中から、1コマ以上を選び、
他の教員に公開する(講義以外も可。共通教育は除く)
。
・全教員は、上記期間中に公開される授業の中から、1コマ以上参観する。
3. 授業公開の流れ
・授業参観者は授業を担当する教員(以下、授業担当教員)に事前に参観する旨を伝える。事前
連絡を必要としない教員については、参観する旨を伝えなくてもよい。
・参観後、授業参観者は「授業参観報告書」を授業担当教員に提出する。
・授業担当教員は授業参観者と相談の上、意見交換会を行ってもよい(授業終了後でなくても構
わない)。
・授業担当教員は「授業公開報告書」と「授業参観報告書」を 12 月 28 日(金)までに各学科
の FD 委員に提出する(授業参観者がいない場合は「授業公開報告書」のみを提出する)
。
4. 他学部からの参観
・授業公開の日程等は全学に送付する。
・授業参観報告書の提出を依頼する。
・参観する場合は、学生係に事前に連絡することを依頼する。他学部からの参観者については、
学生係(あるいは FD 委員会)が授業担当教員に連絡する。
・他学部からの参観について不都合がある場合、法文学部 FD 委員会の判断による参観を認めな
いこともある。
・なお今年度は他学部からの参観はなかった。
5. その他
・授業担当教員や受講生の病気等で休講にする場合は、授業公開を中止し、後日行えばよい(実
施期間後でもよい)
。
・授業参観者がいない場合、授業担当教員は参観者を集めなくてもよい。
・授業参観者が多い場合の対応は、授業担当教員に一任する(立ち見になることを参観者に伝え
る、教室の変更、椅子の持ち込み等)。
82
平成 24 年(2012 年)度
授業科目
名
公開期日
鹿児島大学法文学部授業公開報告書
授業担当者名
2012 年
月
日(
曜日)
時限
授業参観
者
意見交換
有
無
会
(1)昨年度の授業公開・参観を踏まえて、先生が工夫、改善された点等をお書き下さい。
※参観者がない場合でも、必ずご記入下さい。
(2)授業公開に対する意見や感想等をお書き下さい。
※参観者がない場合でも、必ずご記入下さい。
(3) 授業参観者からの意見等に対する感想をお書き下さい。
(4) 意見交換会で話し合われた内容についてお書き下さい。
※意見交換会を実施された方のみ
(5) 授業をよりよくするアイディアを募集しています。
※当該授業に限らず授業全般を対象にしています。実際に取り組んでいなくても「できたらいいのに」
というものでも結構です。ご自由にお書き下さい。
※ 12 月 28 日(金)までに学科のFD委員(下記)にご提出下さい。できましたらメールの添付ファイ
ルでご提出いただければ幸いです。提出先:法政策・柿内:[email protected] 、
経済情報・中島:[email protected] 、人文・内山:[email protected]
83
平成 24 年(2012 年)度
鹿児島大学法文学部授業参観報告書
参観者氏名
参観者所属
参観授業名
授業担当者名
参観期日
2012 年
月
日(
曜日)
時限
(1)本授業を参観して、工夫していると感じた点や、自分の授業に取り入れたいと思った点
をお書き下さい。
(2)本授業をより良いものにするためには、どのようにすればよいかをお書き下さい。
(3)本授業に対する感想やコメント等をお書き下さい。
※ 参観後、授業担当者にご提出下さい。
なるべくメールの添付ファイルでご提出いただければ幸いです。
84
平成 24 年度 法政策学科 授業公開科目一覧
曜
時
日
限
11 月 20 日
火
11 月 20 日
月
日
授業科目名
担当教員名
教室
3
物権法
植本幸子
共 211
火
4
刑法総論
上原大祐
201
11 月 22 日
木
4
演習
中村達
4演
11 月 22 日
木
5
外国書講読
壹岐道隆
総研 203
11 月 26 日
月
2
外国語表現法
小山憲明
総研 203
☆ 11 月 26 日
月
5
人権論
大野友也
201
☆ 11 月 27 日
火
1
政治学
木村朗
201
11 月 27 日
火
2
税の法システム
鳥飼貴司
101
○
11 月 30 日
金
2
国際法
井上知子
103
○
12 月 3 日
月
3
地方行財政論
柿内一樹
201
○
12 月 6 日
木
2
国際私法
眞砂康司
総研 102
12 月 7 日
金
4
外国書講読(独)
相浦聡
総研 202
12 月 10 日
月
3
地方行財政論
柿内一樹
201
○
12 月 14 日
金
2
有価証券法
松田忠大
共 131
○
12 月 17 日
月
3
地方行財政論
柿内一樹
201
○
12 月 20 日
木
4
演習
松田忠大
3演
○
12 月 20 日
木
4
演習
森尾成之
共 215
12 月 24 日
月
3
地方行財政論
柿内一樹
201
○
12 月 24 日
月
5
演習
柿内一樹
総研 101
○
(1)授業参観を希望される場合は、担当教員に事前に連絡してくださ
い。事前予約が必要でない授業は、連絡なしに授業を参観できます。
(2)授業参観された場合は、授業参観報告書を担当教員へ直接お渡し
ください。
※ ☆マークは昨年度の授業参観報告書をもとに定めたFD委員会の推
薦授業です。
※ ○マークは事前連絡の必要のない授業です。
85
○
平成 24 年度 経済情報学科
授業公開科目一覧
月 日
曜日
時限
授業科目名
担当教員名
教室
11 月 20 日
火
2
情報社会論
桑原 司
法文 203 号
11 月 20 日
火
3
演習
平井 一臣
法文第 4 演習室
11 月 20 日
火
4
演習
三浦
法文第 2 演習室
11 月 20 日
火
5
演習
松川 太一郎
経済情報第 1 演習室
11 月 21 日
水
1
実用英語Ⅱ
長谷川 茂夫
法文 101 号
〇
11 月 22 日
木
4
演習
北村 浩一
法文第 5 演習室
〇
11 月 23 日
金
3
経済政策論
林 亮輔
総研棟 203 号
11 月 23 日
金
5
演習
桑原 司
共通教育棟 154 号
11 月 26 日
月
2
経済原論
橋本 直樹
法文 103 号
〇
11 月 26 日
月
3
経営管理論
王 鏡凱
法文 101 号
〇
11 月 27 日
火
1
都市社会学
菱山 宏輔
総研棟 203 号
11 月 29 日
木
1
現代社会論
城戸 秀之
法文 103 号
11 月 29 日
木
4
演習
大前 慶和
総研棟 202 号
11 月 29 日
木
5
演習
山本 一哉
法文第 3 演習室
11 月 30 日
金
2
外国書研究
片桐 資津子
法文 102 号
11 月 30 日
金
5
エンドユーザー実習 3
永田 邦和
11 月 30 日
金
5
演習
石塚 孔信
経済情報学科会議室
11 月 30 日
金
5
演習
北崎 浩嗣
法文第2演習室
12 月 3 日
月
4
国際経済システム論
日野 道啓
法文 201 号
12 月 3 日
月
5
特殊講義
萩野 誠
法文 102 号
12 月 5 日
水
2
市川 英孝
法文 101 号
壮
備考
〇
情報基盤センター第 1
端末室
オペレーティングシステム
論
〇
12 月 6 日
木
4
東アジア・中国経済論
12 月 6 日
木
5
演習
中島 大輔
共通教育 217 号
12 月 7 日
金
4
国際カルチャーI
井原 慶一郎
共通教育 211 号
12 月 7 日
金
4
演習
12 月 11 日
火
3
簿記システム論
12 月 13 日
木
4
特殊研究指導
12 月 13 日
木
4
演習
中島 大輔
共通教育 217 号
12 月 18 日
火
2
キャリア科目
金丸 哲
法文 104 号
〇
12 月 20 日
木
5
演習
西村 知
総研棟 201 号
〇
12 月 21 日
金
5
エンドユーザー実習 3
福山 博文
伊
渋谷
娜
正
藤重 義則
朴
86
源
法文 102 号
経済情報学科会議室
法文 104 号
〇
経済情報第 1 演習室
情報基盤センター第 2
端末室
(1) 授業参観を希望される場合は、担当教員に事前に連絡してください。事前予約が必要でない授業は、
連絡なしに授業を参観できます。
(2) 授業参観された場合は、授業参観報告書を担当教員に直接お渡しください。
※備考欄の〇マークは事前連絡の必要のない授業です。
87
平成 24 年度 人文学科 授業公開科目一覧
曜
時
日
限
11 月 20 日 火
月 日
授業科目名
担当教員名
教室
1
東洋史概説
大田由紀夫
103
11 月 20 日 火
2
自然地理学概説
森脇広
201
11 月 20 日 火
3
哲学概論
近藤和敬
共 131
11 月 20 日 火
5
コース基礎演習2
黒田景子
11 月 20 日 火
5
コース基礎演習2A
竹岡 健一
11 月 20 日 火
5
コース基礎演習2
尾崎孝宏
11 月 22 日 木
1
英語コミュニケーシ
ョン2B
○
総研セミナー室
1
総研 102
○
総研セミナー室 2 ○
Steve Cother
LL
杉原洋
101
メディア論 アジ
11 月 22 日 木
2
ア・太平洋戦争と新聞
Ⅱ
11 月 22 日 木
3
中国語学演習
三木夏華
総研 101
11 月 22 日 木
3
日本語構造論演習
内山弘
102
11 月 22 日 木
4
英語学演習
末松信子
101
11 月 23 日 金
1
日本文化史
金井静香
101
11 月 23 日 金
2
フランス言語芸術論
小澤晃
総研 202
11 月 23 日 金
3
11 月 23 日 金
4
11 月 23 日 金
4
11 月 23 日 金
5
11 月 26 日 月
1
11 月 26 日 月
2
11 月 26 日 月
3
11 月 26 日 月 4,5
11 月 27 日 火
1
現代メディア文化論
桜井芳生
演習
西洋の歴史と社会演
細川道久
習A2
現代文化論演習
桜井芳生
西洋の歴史と社会演
習B2
中国文学概説
西洋の人間と思想 B
演習
アメリカ文学
フィールド学実験(考
古学)
国語学概論
88
○
学情基盤センタ
ー第二端末室
103
学情基盤センタ
ー第二端末室
藤内哲也
103
高津孝
101
柴田健志
202
竹内勝徳
104
○
本田道輝
総研 202
○
内山弘
102
○
○
11 月 27 日 火
3
哲学概論
近藤和敬
11 月 27 日 火
3
11 月 27 日 火
4
比較行動心理学
富原一哉
101
○
11 月 29 日 木
2
比較考古学
新田栄治
203
○
杉原洋
101
フランス語圏言語文
梁川英俊
化演習3
共 131
共・英独仏中
図書室
メディア論 アジ
11 月 29 日 木
2
ア・太平洋戦争と新聞
Ⅱ
11 月 29 日 木
3
日本語構造論演習
内山弘
102
11 月 30 日 金
1
心理学研究法
横山春彦
203
○
11 月 30 日 金
1
物質文化研究
渡辺芳郎
総研 102
○
11 月 30 日 金
2
イギリス文学演習
大和高行
総研 103
11 月 30 日 金
3
11 月 30 日 金
4
現代文化論演習
桜井芳生
12 月 3 日
月
2
社会言語学
太田一郎
104
12 月 3 日
月
2
イギリス文学
大和高行
101
○
12 月 3 日
月
2
生活環境論
井上 佳朗
201
○
12 月 3 日
月
3
臨床援助論演習
飯田昌子
総研 203
12 月 3 日
月
3
ドイツ女性文学論
梅内幸信
103
○
12 月 4 日
火
2
文化人類学演習1
桑原季雄
共 217
○
12 月 7 日
金
3
12 月 7 日
金
4
日本文学演習Ⅱ
丹羽謙治
12 月 7 日
金
4
現代文化論演習
桜井芳生
12 月 10 日 月
2
社会言語学
太田一郎
104
12 月 11 日 火
4
比較行動心理学
富原一哉
101
12 月 11 日 火
5
コース基礎演習2
尾崎孝宏
12 月 13 日 木
2
ヨ-ロッパ言語コミ
與倉アンド
ュニケーション
レーア
12 月 14 日 金
2
アジア史演習 3
伊藤宏明
12 月 14 日 金
2
日本国制史
乕尾達哉
12 月 14 日 金
3
現代メディア文化論
桜井芳生
演習
現代メディア文化論
桜井芳生
演習
現代メディア文化論
桜井芳生
演習
89
学情基盤センタ
ー第二端末室
学情基盤センタ
ー第二端末室
学情基盤センタ
ー第二端末室
102
学情基盤センタ
ー第二端末室
○
総研セミナー室 2 ○
LL
日本・アジア演習
室Ⅱ
総研 102
学情基盤センタ
ー第二端末室
12 月 14 日 金
4
日本文学演習Ⅱ
丹羽謙治
12 月 14 日 金
4
現代文化論演習
桜井芳生
☆ 12 月 20 日 木
5
テーマ地理学
小林善仁
総研 102
12 月 21 日 金
1
物質文化研究
渡辺芳郎
総研 102
○
☆ 12 月 21 日 金
1
中国言語文化論
中筋健吉
102
○
12 月 21 日 金
2
日本古典文学
中島あや子
202
12 月 21 日 金
3
12 月 21 日 金
4
現代メディア文化論
桜井芳生
演習
現代文化論演習
桜井芳生
102
学情基盤センタ
ー第二端末室
学情基盤センタ
ー第二端末室
学情基盤センタ
ー第二端末室
(1)授業参観を希望される場合は、担当教員に事前に連絡してください。事
前予約が必要でない授業は、連絡なしに授業を参観できます。
(2)授業参観された場合は、授業参観報告書を担当教員に直接お渡しくださ
い。
※☆マークは昨年度の授業参観報告書をもとに定めたFD委員会の推薦授業
です。
※○マークは事前連絡の必要のない授業です。
90
2.授業公開の報告
ここでは、授業公開報告書と授業参観報告書の以下の項目を要約する。
(1)「授業公開報告書」の「昨年度の授業公開・参観を踏まえて、先生が工夫、改善された点等をお書き
下さい。
」(以下、「授業担当者の工夫、改善点」)
(2)「本授業を参観して、工夫していると感じた点や、自分の授業に取り入れたいと思った点をお書き
下さい。
」(以下、「工夫していると感じた点・取り入れたい点」)
(3)「授業参観報告書」の「本授業をより良いものにするためには、どのようにすればよいかをお書き
下さい。
」(以下、「授業をより良いものにするための授業参観者の意見」)
(4)「授業公開報告書」の「授業参観者からの意見等に対する感想をお書き下さい。
」(以下、
「授業参観
者の意見への感想・返答」)
(5)「授業公開報告書」の「意見交換会で話し合われた内容についてお書き下さい。
」(以下、
「意見交換
会の内容」)
これらを、学科ごとに「講義形式の授業」と「演習形式の授業」に分けて整理してある。
2.1.法政策学科
2.1.1.講義形式の授業
(1)授業担当者の工夫・改善点
・できるだけ受講者に身近に感じてもらえる内容のテクストを用いるよう心がけている。
・受講生の理解に役立つよう、できるだけ参考資料を用意する。
・学生自らが考えるような授業になるように心がけている。
・抽象的な概念を学生が理解しやすいように、具体例を出して説明するよう努力した。
・本年度は、繰り返しを増やし理解と筆記をしやすくなるように心がけた。
・学生にわかりやすい表現を心がける。
・理解を助ける資料をできるだけ多く提供する。
・教員の説明を聞くだけでなく、自ら調べたり、考えを書いたりする時間を一定時間確保する。
・説明時間が連続して 20 分を超えたら、学生の気分転換を促す時間を設ける。
・資料の選択を少し工夫した。板書は内容をコンパクトにして分かりやすくした。
・プリントを配布し、わかりやすい授業をこころがけている。
・昨年度と比べて、意図的にホワイトボードへの板書を行っている。学生が講義中寝ないためであ
る。
・受講生の自発的分析に資するよう努めた。
・昨年度と比べて、意図的に学生への質問回数を増やしている。
・学生にとって最もなじみのない講義のため、なるべく丁寧な板書をこころがけ、仕組についてわ
かりやすく記載した資料等の配布を行った。
・民法の知識が必要なため、関連する民法の条文についての説明も丁寧に行った。
(2)工夫していると感じた点・取り入れたい点
・話の展開の仕方、資料の準備の周到さ等、大いに参考になる。
91
・講義後に学生に書かせた質問を、授業の中で関連するところで説明するという手法は、学生が理
解しやすいと思われ、良いと思う。猫を使った喩えもわかりやすく、また学生に親しみやすいの
で良いと思う。
・授業の冒頭で、前回の授業内容に関する復習(穴埋め問題)をさせた後、答え合わせはプロジェ
クターで行うことにより、時間を有効活用している。
・学生の集中力が低下すると思われる頃に、休憩と称して小問題を解かせることにより、気分転換
を図っている。
・前回の授業内容を、穴埋め形式を活用して復習する機会を設けている。
・教科書と別に、さらに分かりやすい資料を準備している。
・細部にこだわらず、大筋を重点的に説明している。
・受講者の集中力の限界に配慮し、途中で漢字テスト、及び公務員試験で出題されそうな推論テス
トの時間を設けている。
・実体験に基づく実例を挙げながらの説得的な説明をしている。
・公務員試験や、自治体あるいは企業に就職してから役に立ちそうな実践的な知識を講じている。
・周到な準備と受講者への配慮を見習わなければならないと思った。
・前回の復習問題を解く時間をとり、知識の定着を図っている。
・板書式ではなくスライドを用いている。
・講義の初めに前回の復習、講義の終わりに今回のテーマについて「あなたの見解を述べなさい」
という講義+演習の形式、及び、学生の集中力が切れた頃を見計らっての“休憩”(漢字クイズ・S
PI 過去問)という“斬新な”講義スタイルは、大いに参考になった。
・学生への指導、指摘が絶妙だった。
・学生に馴染みのない事項を扱う授業であるため、イラスト入りのわかりやすい資料により、学生
がイメージを掴みやすくする工夫をしている。
・教科書中の設問に対する答えを考えさせたり、民法に関する規定を思い出させたりする時間等を
多く確保している。
(3)授業をより良いものにするための授業参観者の意見
・授業の感想・質問を書く時間が確保されるとよいのではないか。
・時間があればであるが、基本的な条文については学生による音読、六法は他の科目の関係上所持
しているのが本来であるはずなので、学習用の六法に載っているような条文については学生が自
ら引いて答えるような機会を与えてもらえれば幸いである。
・先生にはコントロールできないことかもしれないが、受講生数に比して教室が広すぎるように感
じた。もっと狭い教室であれば、学生の理解状況等も把握でき、授業がしやすくなるのではない
か。
(4)参観者の意見への感想・返答
・過分のお褒めをもらっているが、授業の準備についても、進め方についても反省すべき点が多々
あると思っている。
・どうしても、授業終了後の休み時間に感想を書いて提出するような時間設定になりがちである。
授業時間中に時間を確保できるよう努力したい。
92
・関係法令の基本的な条文は、学生に六法を引かせた上で答えさせたり、学生による音読をさせた
りすることが本来の姿であるとの貴重なご指摘をいただけた。これまでそのようなことをさせて
こなかったため、今後改善したい。
・受講者数に対して教室が広すぎるのではないかとの指摘があった。学生の理解度を細かく把握す
るためにも、できるだけ前の方に着席させるなどの方法を考えたいと思う。
(5)意見交換会の内容
・特になし
2.1.2.演習形式の授業
(1)授業担当者の工夫・改善点
・ゼミ生同士が刺激を与え合いながら、主体的に学修する意識を持てるような指導を行う。
・報告者のゼミのレジュメをフル原稿化し、書式を指定し(A4 で 10 枚、章立て、引用文献の表記
等を指定)
、事前に何度か添付ファイルで添削のやりとりをし、30 分で報告をもらう(時間厳守、
過ぎても越えてもいけない)、完成レジュメを数日前までに配布し、報告者以外の学生は事前に
質問をいくつか考えてきて必ず全員最低一回は発言してもらうといった形式面で枠づけする指
導を行い、当日はできる限り話さず総評に徹するというスタイルがかなり定着してきた。
・学生主体で授業を組み立てられるよう、発表の準備段階から学生に対しては、レジュメの作成、
発表の内容についてアドバイスを行った。
(2)工夫していると感じた点・取り入れたい点
・学生に班ごとに発表させ、また班ごとに討論の時間を設けて意見を集約し、報告させているのが
良いと思った。私自身、ゼミでは、学問的な討論を行うとともに、就職活動や社会に出てから
の仕事に役立つような場にしたいと考え、試行錯誤しているが、特に、その場で複数人の意見
を集約するスキルは、社会に出てから必ず役立つものであり、当方の演習にも採り入れたい。
・演習の授業については、いかに学生の主体的な参加を促していくかが課題となる、学生同士によ
るディスカッションの時間が設けられ、参加者すべてが必ず議論に参加するという形態になって
おり、演習の運営方法としてたいへん参考になった。
・学生の自主的なディスカッションのために、途中で先生が発言をしないように配慮がなされてい
ると思った。
・A~D の4班×2学年の8グループに編成して、グループ単位で報告、質疑応答がなされている。
・全体として議論をしやすいような雰囲気づくりに目配せした進行がなされている。20 分報告、
10 分検討、20 分報告、15 分検討、10 分質疑とタイムテーブルを細切れにすることで、報告者
だけの報告から、全体での議論へと促されている点。個人と報告者の間に班での議論が入るので、
発言しやすいと思った。
・本番レジュメを当日配るとしても、前の回に予告レジュメと予習文献リストを配布して次回の報
告者がアナウンスしている。
・全体として、和やかな雰囲気の中で、ゼミ生中心の運営がなされるべく、適宜、運営権限が学生
に移譲されている。
・パワーポイントを使ったプレゼンの形が報告を通じて学べる。
93
・前期、後期各1回のゼミ合宿が行われており、4年も後期に参加するなど、ゼミとしての一体感
を学生が感じられるような行事が入れられている。
・次週報告予定の学生が、事前に報告の予告を行い、学生が事前の準備ができるように工夫が凝ら
されていた。
・報告のなかで、参加学生に対して問いを発する形式をとっており、また、その問いに対してグル
ープ討論を行うというやり方が参考になった。
(3)授業をより良いものにするための授業参観者の意見
・政策学と法律学では方法論が異なるので、一概には言えないが、学生の報告の中で、用語の定義
等が気になる部分が少しあった(例:
「少年法」と「刑罰」の関係をきちんと理解できているのか)。
その辺をもう少し厳密に調べてくるよう、報告者に求める等すると良いのではないか。
・1回だけの参観なので、よく分からない点であるが、演習全体のテーマや当該演習の前後の発表
との関連などがどのようになっているのか、という点が気になった。
(4)参観者の意見への感想・返答
・演習全体のテーマや当該演習の前後の発表との関連が気になったと、たいへん貴重なご指摘をも
らった。現状は学生が興味・関心あるテーマについて調査・発表をさせており、ゼミ全体での
学修内容の統一性が乏しく、テーマが重複することもあることから、改善を図りたい。
(5)意見交換会の内容
・特になし
2.2. 経済情報学科
2.2.1.講義形式の授業
(1)授業担当者の工夫・改善点
・学生の中間発表において学生が発表・質疑応答しやすい雰囲気づくりを心がけた。
・毎回,テキストのみを利用して解説するのではなく,関連する説明資料を配付し理解力が高まるよう
にしている。学生が単に個々の簿記の記帳技術を学習するのではなく,企業簿記の記帳方法と企業の
経済活動との関係についても関心をもつように説明をしている。また,複式簿記システムのメカニズ
ムを理解しながら,個々の取引活動の記帳方法を学習することができるように教育方法を工夫してい
る。
・スマートフォンを使った授業をおこなった。
・作成する資料の改善。
・出席の取り方を工夫しました。
・学生が率先して授業での発言ができるように。学生が問題意識をもち、考え、結論を導けるよう
に。
・映像資料を見せる前に必要なポイントをわかりやすく説明するよう心がけた。
・板書を行う際に、学生が書き取るべき板書を黒板の左側に、自分のメモ用の板書を黒板の右側に
書くよう努力しようとしたが、うまくいかなかった(結局「出来ず」終い)
。
94
・昨年度、
「学生達に対して、講義中に意見や質問を求めてみる」というアドバイスをいただいた。
今年度から、試みている。
・オランダの介護・子育てのイノベーションについての専門的な論文をテキストにしているので、
受講生が理解しやすいようにするため、丁寧な解説を加えている。さらに、受講生が内容理解の
手助けになるようにとの目的で、毎週、Question & Answer のレジュメを配布している。(外国
書研究)
・学生の理解度に合わせて、教科書の進度を遅くした。
(実用英語)
・ほぼ例年通りですが,学生に発表させるテーマを絞ることにしました。
(エンドユーザ実習)
・本授業はパワーポイントを使って学生が興味のあるテーマについてプレゼンテーションを行うと
いうものである。昨年度の授業公開において,「学生のコメント・発表がありきたりなものにな
っているので教員から助言が必要」という課題をいただいた。そこで,本年度は,各発表者1人
1人に対し発表の姿勢・スライドの構成に至るまで細かい助言・アドバイスを行った。(エンド
ユーザ実習)
・昨年度は行っていない。たまたまキャリア科目の担当になったので,法文学部の就職状況のデー
タをまとめて,解説してみた。就職に限らず,一般的にデータの整理がほとんどできていない。
(キャリア科目)
(2)工夫していると感じた点・取り入れたい点
・授業の冒頭で、講義資料は配られ、前回講義の復習もなされていた。豊富な資料(テキスト、レ
ジュメ)を基にして板書を使いながら大変丁寧な解説がなされていた。授業は、事前に配られた
レジュメに受講生はメモを取りながら、教員は重要な箇所について丁寧な解説を加えるというス
タイルで進行されていた。このスタイルは多く重要な情報を短時間で伝えることができ、かつ学
生は要点を整理しやすいため大変効率的で工夫された授業だと感じた。
難解な「先入先出法」の説明を具体的な数値例と図表を使って分かり易く説明する点は大変参
考になった。板書の構成は絶妙で素晴らしいものでした。学生の理解度を折々に確認し、適切な
進行になっていった。
・学生に講義内容をその都度確認させている点に工夫を感じた。すなわち、講義内容を理解させる
ために、理解できない用語があれば、まずネット上で調べさせて説明させたり、講義の内容に関
して学生に質問を求め、その質問に対してできるだけ学生が自分で答えを出せるようにしたりし
て、学生に考えさせる講義の進め方に工夫を感じた。
・講義では,自作のレジュメを配布し,難しい内容を分かりやすくまとめていた。
教科書を併用し,分からなくなった際も,自分で内容を復習できるような体制を作っていた。
板書を色分けし,重要な部分は視覚的に認知できるようになっていた。
・質問をしない学生への対策として質問票を配布し、次回講義の冒頭で対応する工夫が見られた。
また、時事問題を活用し、学生の理解が深まるように配慮されていた。経営学は実学であること
もあり、効果的な工夫だと思われる。補足資料についても、自身の講義では考えられないほど多
くの情報が提供されている。大変丁寧な講義スタイルであった。
・参観日の授業のテーマは「法文学部生の就職状況」に関するものでした。
自分自身が所属している学部の就職状況は、学生にとって非常に興味のあるテーマだと思われま
す。したがって、授業の冒頭で就職状況のデータを示したことが、学生を授業に惹きつけること
95
に一役買っているように感じました。学生にとって興味のある事柄を授業の冒頭で提示すること
は、非常に有用であり、自分自身の授業にも取り入れたいと思います。
また、エクセルの機能の一つであるピボットテーブルを、就職状況のデータを用いながら説明
することによって、学生が興味を失うことなくツールの習得ができるよう工夫がされていました。
学生の視点に立った授業作りを心掛ける必要性を、授業を通じて改めて感じました。
・法文学部の就職データに基づいてエクセルを使いながら大変丁寧な解説がなされていた。膨大な
就職データをエクセルのピボットテーブルを使って分かり易く説明する点は大変参考になった。
最新の就職データを整理・分析して見せることによって、これから就活を迎える学生にとっては
エクセルの習得だけでなく、就職にも大変役立つ授業であると感じた。
躊躇なく名簿から学生を指名して質問することは、学生の積極性を保ちつつ、ある程度の緊張
感を持たせることができた。これを自分の授業にも取り入れたい。
・パソコンを使って実際の就職データを提示して、それをスクリーン上で加工しながら、法文学部
の就職状況を多面的・視覚的に説明しており、非常に分かりやすいとともに就職についての生の
データを見る良い機会になっている。
自分の授業への応用としては、エクセルを使う講義をやっている関係で、この授業で使用した
ピボットテーブルを利用すると効果的な講義が出来るのではないかと思い、今後の講義にこれを
活用したいと思った。
・
(1)受講生を指名して,質問(クイズ)に答えさせる
(2)あまり知られていないソフトの機能を教えるときに,実際に Excel を操作してみせる
・学生を積極的に参加させているようにしている。
財政・税に関する非常に高度な問題に関しても、学生が事前にしっかり準備をし、周りの意見に
対してもしっかりコメントできていたことは、先生の指導の賜物と感じる。
・パワーポイントによりグラフを整理し、強調点などをふくめ見やすく提示していた。
レジュメ、パワーポイント、板書の使い方・重点の置き方が適切でわかりやすかった。
学生のノートテイクの状況や理解の度合いを折々に確認し、適切な進行になっていた。
・①板書を中心に話を展開しているので、受講生は集中力を維持できる。自分の講義でも、板書が
もたらす受講生への効果を意識したい。
②声がとても聞き取りやすい。話すスピードもちょうどよい。メリハリがある。
③出席の取り方がユニークである。担当教員が事前に準備した教室の配置図(座席表)の空欄の
部分に、受講生が自分の名前を書いていくというスタイル。これは参観者も一度試してみたい。
④都市社会学の「理論」の紹介をベースにしつつ、日本の都市社会の現状と歴史的経緯といった
「実態」をリンクさせながら、授業内容の構成を工夫されていると感じた。
・学生のプレゼンテーションをビデオに撮り、指導に用いている点。学生自身に自己の発表を客観
的にとらえされる材料になる。
学生相互に発表の評価をさせている点。これも自身の学習状況を客観的に判断する機会になる
と考える。
(3)授業をより良いものにするための授業参観者の意見
・教室の最後列から授業を拝見していたのですが、スクリーンに表示されているエクセルの文字が
小さく見えづらいことがありました。この点は担当教員の責任というわけではなく、教室の構
96
造上の問題であると思われます。
また、スクリーンが黒板の中央に配置されていることから、スクリーンを使用しながら板書を
することが困難であるように感じられました。
以上の点を改善することは、本授業のみならず、鹿児島大学全体の授業の向上に寄与すると思
われます。
・特にないが、板書の工夫が必要なように思われる。
・担当教員の授業は申し分なく、素晴らしいものであった。
・視覚的にわかりやすい講義だと思うけれど、エクセルのファイルをもう少し大きくして説明した
らいいかなと思った。また、これは難しいかもしれないけれど、パソコン教室で実際に学生にも
データを与えて自分でわかりやすく加工しながらデータを多角的に検討するツールを身につけ
させる機会になっても良いのかなと思った。
・
(1)説明に使う Excel のファイルをその場で操作してスクリーンに映すと,時間がかかるので,
事前に PDF に変換するか PowerPoint に貼り付けておけば,スムーズに進められると思います(大
きく表示できると思います)。
(2)指名されても答えない学生がいるようです。ボーナス点を加算してはどうでしょうか。
・専門が違うので分からないが、問題はないと思う。
・担当教員の授業は申し分なく、素晴らしいものでした。
問題は、パワーポイントを映しながら板書をすることができないという教室の設備にあり、あ
わせて、マイクの充電池の疲労、インクが十分に充填されていないペンがほとんどであることな
ど、授業の物的環境について、より適切な整備が必要と思われます。
・とくになし。
・受講生の性質にもよるが、発表形式の授業ではその回に担当しない出席者の受講意欲を落とさな
いことがポイントになる。今回は若干の私語はみられたが、概ね良好だったと思う。
・レジュメを,毎回全部持ってくるのではなく,講義で該当するレジュメだけ配布するとよいので
はないかと思った。
出席・欠席は自由意志であるが,遅刻してくる学生には注意を与えた方がよいのではないかと
思った。
今でもすでに行われているが,理論が形成される歴史的背景などによりいっそう言及すると,
イメージが具体的になり,理解が進むのではないかと思った。
・担当教員の発言の「区切り」がハッキリしないように思われた。質問票に対する回答の局面を例
にとると、どこまでが質問でどこからが回答であるかの区切り、あるいはどこまでが同じ質問で
あるのか、若干聞き取れなかった。また、講義内容についても、区切りを付けた方が良いのでは
ないだろうか。どこまでが一般論で、どこからが担当教員の意見か、ハッキリ伝えると、より興
味を引き出せるように思われた。
・質問はないかと問いかけても受講生の反応がないので,受講生は嫌がるかもしれないが,受講生
名簿から指名してもいいのではないかと思います。例えば,配布資料にあるように「自分のキャ
リアをどのようにして管理すればよいのか?」という疑問 4-3 をまず受講生に投げかけて少し考
える時間を与え,受講生数名を指名しその場で意見を述べさせてから説明をするというやり方に
すれば,受講生の理解度をチェックしながら授業を進めることができるのではないかと思います。
授業の冒頭で,今日の授業で何をどこまで明らかにするかといった「今日の授業スケジュール」
97
を説明してから授業を開始した方が受講生は授業全体のどのあたりをいま勉強しているのかが
分かってより受講生の理解度が深まるのではないかと思いました。
(4)参観者の意見への感想・返答
・受講生の理解度を確認しながら重要な記帳方法については丁寧な解説を加えるというスタイルで
進行している点を評価していただいている。
・たしかに黒板は汚いかもしれない。ホワイトボードを消すのが大変だから一面に記入する。
黒板も、ホワイトボードも字を消しやすくできないものか、検討してほしい。
・ありがたい言葉である。
・授業参観者からの報告書には、授業の物的環境のさらなる整備の必要性が指摘されていました。
私自身も、教室の設備の関係上、板書とパワーポイントを同時に使用する講義形式を断念した経
緯があるため、授業参観者からの意見には同様の考えを持っております。
・発表形式の授業であるので,受講生に発表をしっかり聞かせることに非常に苦労しています。い
ろいろと工夫をしていきたいと思います。
・参観者の先生からは、過分な評価を頂いた。経済理論の授業は、難解な理論の解説だけに留まり
がちで、今日の現実的な問題に引きつけて説明するように努めているが、いまだに道半ばである。
・ありがたい言葉である。
・プロジェクタと黒板の同時使用が難しいという指摘をいただいたが,その通りである。
・①講義内容の区切りに気を付ける必要がある。②配布資料に関する工夫が良かった。③テキスト
の指定に関しては誤解を与えない説明が必要である。④焦らずに自分の講義スタイルを作ってい
けばよい。
・黒板を分け、基幹となる歴史的事項と、それに付随し拡張して説明する事項とを分けても良いか
もしれないとの意見を頂きましたので、検討してみたいと思います。
(5)意見交換会の内容
・①報告書に基づいて問題点の確認がなされ、問題点に関する対策・アドバイスは提示された。
②報告書になかった質問や問題点(具体的には、配布資料の著作権問題、WEB 上資料アップロー
ドのタイミングの問題、学生に対する心構え、試験問題作成、等々)についても話が行われた。
・内容について褒めてくださった。
2.2.2.演習形式の授業
(1)授業担当者の工夫・改善点
・学期初めに 2 年生と 3 年生のペアを作り、授業内容に関係するクイズを出すなどして、受講生同
士の垣根を低くし、活発に意見や質問ができる雰囲気づくりに努めている。
・学生になるべく発言させるため答えやすい質問の仕方(平易な言葉を使うなど)をした。
・演習なので、ディスカションが盛り上がるようなテーマやテキストを選ぶように努力しています。
・より双方向型の授業を目指し,質疑応答の機会を増やし続け,授業を活性化させてきた。
・抽象的理論を、感覚に訴える形式で説明すること。
・今年は、演習書をテキストにしているので、毎回、複数の学生が報告することにしたので、緊張
98
感を持続させることが出来るようになった。また、質問も出やすくなっている。
・五大学合同ゼミの準備作業を中心に行った。同ゼミのプレゼンテーションの事前報告を行い、そ
れについての意見交換を行った。
・今年は小学校出前講義などを行い,専門書の輪読だけではなく,学生が主体的にゼミに取り組む
ことが出来る試みを行った。その結果,ゼミで「議論」する雰囲気が定着したように思う。
・昨年度は、参観者の先生方から過分な評価を頂き、改善点は特に指摘されなかった。
・司会者と報告者に事前にその役割を果たしてもらうために、責務を確認した。
質問内容を授業担当者がさらにかみくだき、授業参加者に伝えるよう留意した。
最後のまとめを、自分たちの言葉でまとめさせるようにした。
・意見を述べないゼミ生が何名かおり、苦労している。個性を発揮せず、
「頑張るってどういうこ
とですか、これまでほどほどに目立たないように過ごしてきたので、頑張るという意味が分かり
ません」などという者までいる。こちらから積極的に指名したり、あるいは評価の8割を発言に
よって行うなど刺激を与えるようにしているが、それでも問題の解決が遠い。
・授業「内容」を多少犠牲にして、
「進行」に重きを置いた。如何に指導教員ではなく受講生(=
ゼミ生)にゼミの進行を「仕切らせるか」に重きを置いて授業を行った。とはいえ、まだうまく
いっているとは言い難い。どうしても教員による発言の多さが目立つ。
(2)工夫していると感じた点・取り入れたい点
・工夫していると感じた点は、次の 2 点である。第 1 に、先生の適切かつ具体的な説明である。報
告の内容は、比較的難易度の高い抽象的な理論の話であったが、①板書による図解と論点の整理、
そして②学生達にとって身近な例を用いた具体的な説明は、大変分かりやすいものであった。と
くに、理論と現実を適切に結びつける説明の仕方は、大変参考になるものであった。第 2 に、テ
キストの選定である。難易度の問題よりも、現代的意義がありかつ含蓄のあるテキストを選定さ
れていた。テキストの選定に関しては、とかく、前者を優先させる傾向にあるが、教員の適切な
解説と学生の熱意があれば後者を優先しても、特別問題はないと理解した。
以上の 2 点は、大変参考になるものであり、自分の演習でも積極的に取り入れたいと思う。
(3)授業をより良いものにするための授業参観者の意見
・特にないが、板書の工夫が必要なように思われる。
・教えていただく点ばかりであり、私から提案できる点はとくにありません。
(4)参観者の意見への感想・返答
・報告者以外が発言する工夫が必要であることを指摘された。今後、具体的な対策を考えていきた
い。
(5)意見交換会の内容
・なし
99
2.3. 人文学科
2.3.1.講義形式の授業
(1)授業担当者の工夫・改善点
・スライドの見やすさの工夫(文字の大きさ,内容の整理)
。授業の双方向性(学生の質問への回
答)
。*メールで質問に答えることもあります。
・板書の見易さや講義進行の便宜のため、パワーポイントを使用して講義を行い、講義内容が理解
され易くなるように改善した。総じて、聴講学生が講義内容を理解しやすくなるような工夫を考
えるようになった。
・昨年の事業公開では、教員の側から説明する時間がとても長く、一方的な授業の展開であったよ
うに記憶していた。そのため、今回の授業では、学生に問いかけて考えさせる時間を設け、授業
の内容と関係する質問を学生に考えさせた。
・できるだけ現代社会に起きている問題に引き寄せて論じることを心掛けている。特別バージョン
授業として「総選挙の争点」に取り組んだが、学生の関心は非常に高かった。
・授業の度に学生に「質問と感想」を記入してもらい,
「質問」に対しては次の回で全て答えるよ
うにしている。これにより,学生の主体的興味と授業内容を一致させ,さらに理解があやふやな
部分がないように補足説明することができるようになった。
・1.授業の初めに、その日の授業の構成について予告する。
2.授業を単調にしないため、ときどき視覚教材を使用する。これは、12 月 24 日に「解離性同
一性障害(二重人格)」に関する DVD を紹介する。
3.1学期間 15 回の授業において 3 回の「小テスト」を実施する。今回がその時に当たってい
る。
4.最後に、次回の授業の予告をする。
・中国の古代文学として、紀元前 11-7 世紀の詩経の詩篇を取り上げ、説明を行った。東アジア古
代社会の特徴を述べるにあたり、ギリシャ古代の詩編、日本の万葉集の作品を事例として使用し
た。
・学生たちの興味関心を引きそうな知識を、講義のなかにさらに取り入れるよう心がけた。
・学生がメモを取る時間を意識的に作るようにしている。
・1.心理学研究に必要な変数、統計処理に関する予備知識、実験や調査の手続き、デザインの設
定(独立変数、従属変数、剰余変数の統制)等について、そのポイントを端的に伝えること。
2.実例を用いて行動観察(ヒトや動物)の面白さを伝えること。
・パワーポイントのスライドに頼らず、なるべく受講生に語りかけ、話題をふくらませる感じで講
義をした。
・今年が初めてだったので、去年との比較はできませんが、
・レジュメを作成する。
・授業の途中で休憩を入れる。
ということを試みました。
・講義に際し、前時間までの内容を適宜振り返り、全体の中に位置づけるようにしている。
(2)工夫していると感じた点・取り入れたい点
100
・パワーポイントによる写真と図を豊富に用いて視覚的にわかりやすく説明するための工夫がなさ
れており、自分の授業にも取り入れたいと思いました。
・学生が名札を作り、卓上に置いている点。学生を指名する時などにも便利だと思いました。
・前回の学生の質問に対し、細やかに解説をされている点。学生との双方向のやりとりが成立し、
授業を理解しようという学生の気持ちが高まると思いました。
・パワーポイントを利用し、ゆっくり間を取って話を進めていらっしゃる点。パワーポイントを使
うと次々に画面を見せることができるので、どうしてもペースが速くなってしまうのですが、き
ちんと間を取っていらっしゃったので、その間に学生が考える時間ができてよいと思いました。
・途中休憩をとっていらっしゃった点。90 分連続だと集中力が途切れてしまうので、短い時間の
休憩で集中力が持続しますし、またその間に学習したことを整理できてよいと思いました。
・学生に講義内容をその都度確認させている点に工夫を感じた。すなわち、講義内容を理解させる
ために、理解できない用語があれば、まずネット上で調べさせて説明させたり、講義の内容に関
して学生に質問を求め、その質問に対してできるだけ学生が自分で答えを出せるようにしたりし
て、学生に考えさせる講義の進め方に工夫を感じた。
・豊富な資料に基づき,よく構成された授業を行われていた。事前の準備等大変だろうと思うが,
非常に完成度の高い授業を学生に提供しようとするその姿勢を見習いたいと思う。
・1.パワーポイントを使用した授業であったが、その内容を配布資料としても作成し、受講者に
配布している。
(かなりの準備が必要であると思われる。
)
2.パワーポイントと配布資料を交互に使用している。
3.古代に関する内容を、現代の鹿児島と対照しながら説明していた点は、効果的だと考える。
4.前回の復習も、授業の中に織り込んでいた。
5. 話し方とテンポが、ちょうど良かった。
6.次回のテーマを簡単に予告していた。
7.一応、1 回の講義で、その都度のテーマが完結するように構成されていた点は、大変良かっ
た。
・PPTを使用した授業で、主要な画面は、打ち出したプリント 1 枚を配布。画面にマーキングを
入れながら、説明する方式は、単にポインターで指示するより効果的である。
・笑い声がチャーミングでいい!板書の字が大きくてよい。若くて、お兄さん的魅力がある(うら
やましい)。
「民族」で、自嘲したのがおもしろかった。休憩するのは、いい。そのとき、学生に
あてたらいかがでしょう。
・①当日の授業に入る前に、前回の授業(古代編)のおさらいをしているのは、理解を促進する上
で有効だと思う。
②「冬休みの宿題」を 3 点挙げたのは、受講生の動機づけとしていい方法だと思う。
(3)授業をより良いものにするための授業参観者の意見
・板書の工夫が必要なように思われる。
・PowerPoint の文字がやや小さかったので,見にくいところがあった。印刷資料も配布はされて
いるが,図表中の文字などは印刷された方がかえって見にくくなることもあるので,その点配慮
いただければ良いかと思う。
・1.独自の講義スタイルをもっているので、それで十分であると思われる。
101
2.時々、休憩を兼ねて、受講生との質疑応答があれば、もっと授業が活気付くのではと思った。
3.途中で、「閑話休題」として、少々息抜きをする時間を設けてもよいかなと思った。
4.講義担当者のフィールドに関する体験談を織り込めば、もっと親近感のある内容になるかも
知れない。
5.諸々の学説を紹介している点は、良いと思った。
6.フィールドに関するスライドを見せたら、気分転換になるかなとも思った。
7.私が座った真ん中の席が空いていて、大半の受講生が左右に分かれて座っている理由が知り
たいと思った。
・地域に関する日本史の知識を略述して述べているが、学生は必ずしも日本史を高校段階で履修し
ているとは限らず、工夫が必要と思われる。
・学生の目をみてしゃべる。あるきまわる。遅刻対策をする。Youtube とかで、哲学者の英語の
動画ながすのもいいかも。東ローマと西ローマというときは、みるほうから、上手(かみて)、
下手(しもて)にするといいかも。学生を、プラトン派とアリストテレス派に、チームわけして
ディベートするのもおもしろいかも。なにか「もの」(写本のレプリカ)とか、もってくると、
迫力でるかも。一回の授業で、
「ヤマ場」あらかじめもうけておくといいかも。
・①90 分で消化するには、多少、内容を盛り込みすぎているという印象を持った。鹿児島市内で
育っていない受講生や県外出身者からすれば、スライドや古地図などの視覚的資料をじっくり
見る時間をもう少し取ることができるなら、理解をより深めることもできるように思う。
②自らの授業の反省も込めて言わせていただければ、教員が一方的に話すスタイルを何とか改善
できないだろうか。この点は参観日以外の授業で実践されているかもしれないので、一方的な
感想になっているならお詫びします。
(4) 参観者の意見への感想・返答
・授業運営で気をつけている点をきちんと見て評価していただきました。
・参観して頂いた先生方からは、日頃考えている点だけでなく、自分自身では気付かない点もご指
摘頂き、有意義な授業公開となりました。
・自分自身,十分でないと思っていた点を的確に指摘され,改めて改善を心がけるようにしたい。
・もう少し、学生からの発言をうまくとりいれることや、メディアを活用した授業を試みるように
したいと思いました。
(5) 意見交換会の内容
・特になし
2.3.2.演習形式の授業
(1) 授業担当者の工夫・改善点
・授業に対する受講者の自発的な取り組みを促すため、リラックスした雰囲気づくりを行いました。
・なるべく多くの学生が意見を出せるよう促した。
・留学生の TA に作文の添削をしてもらったり、テキストの本文をチェックしてもらったりすること
により、できる限りネイティブスピーカーの視点を取り入れた授業を心掛けた。
・学生個々人の関心を引き出し、討論を促すべく、質疑応答の時間を設けるなど、授業環境の改善に
102
努めている。
・昨年度、担当以外の学生の関心を喚起する必要があるとの指摘があり、途中全員に質問をなげかけ
たり、辞書を引かせたりして、学生の集中力を持続させるよう工夫した。
・以前は 2 年生~4 年生前期まで継続して受講する学生が多く、それを前提とした計画で授業を進め
たが、2 年生でコース所属、3 年生からゼミ所属となったため、短期受講する学生も多く、急ぎ足
でかつての 4 期分をやるようにした(改善?)
。
・演習の参加者が発言しやすいよう、他人の意見を否定しないというルールを設定した点。
・学生に自発的な発言を促す時間を確保するため、ペース配分を工夫した。
・昨年度は、表現方法に重点を置いた授業を心掛けたが、今期は、発表者と他の学生たちの間の議論
が活発になるよう、学生たちの自発的な発言を引き出すことを心掛けた。
・史料講読の授業なので、担当者を決めて、授業を行っている。そのため、担当者以外の受講生が消
極的になりがちなので、質問などを誘導して、授業に関わらせるようにしている。発表者に対して
も自らが納得のいかない点を示すように指導して、授業に主体的に関わりを持たせるようにしてい
る。
・昨年度は参観がなかった。演習で読む作品によって進め方が変わってくるが、現在の作品において
は基本的な演習の進め方が定着しているので学生もそれを承知している。今年は、指名しなくても
積極的に発言するように求めたところ、積極的に発言する学生が例年より増えた。
・受講生が活発に意見交換できるよう、受講生には予習することを求めた。
・本演習では、
『現代イギリス女流短編集(1)』の原文テクスト(小野寺健(解説注釈), 研究社小英文叢
書, 277)を使用して、イギリス現代女性作家の短編を精読している。昨年度は予め担当箇所を割り
振っていたが、今年度は、名簿から無作為に選び出した学生を指名し、英語を日本に直させたり、
文法的解説を加えさせたりして、英語力そのものをつける授業になるように工夫した。TA の留学
生は英語が堪能であり、学生から出される質問・意見に答えるという形で、良い意味でのピア・プ
レッシャーとなった。長年の試行錯誤の上、この形式を確立し、学生の作品読解を効率的に進める
ことができるようになったと思う。
・出席学生に「お客さん」が生じないように注意した。
(2) 工夫していると感じた点・取り入れたい点
・学生の質問に対し、資料を準備されて非常に細やかに解説をされている点。
・学生の英語の発音を矯正するのに、電子辞書の音声機能を用いられるのは自分の授業でも取り入れ
たいと思いました。
・留学生の TA を授業補助としてどのような役割を与えるかでいつも悩んでいましたが、授業以外の
自習時間に受講生の発音チェックを依頼するのは良いアイディアだと感じました。
・要点を絞った的確な指摘が、わかりやすい言葉でなされている。
・受講生各自のテーマに対する方向性が適切に示されている。
・学生の報告に対して、適切な評価や分かりやすいアドヴァイスがなされている。
・学生間の質疑応答や議論をふまえて、適切なコメントがなされている。
・学生の発言を促すための間の取り方が上手い。自分の場合、つい発言者が乏しいと自分でしゃべっ
てしまいがちなのだが、発言が出るまで待つ、また指名してちゃんと発言させるというマナーが徹
底していると感じた。
103
・教員の発言が最低限で済むよう、学生がしつけられている印象を受けた。
・レジュメで辞書の記述を手書きではなくコピーの切り貼りによって示している点。手書きだと省略
されてしまう文献上の用例までチェックすることが可能であり、意味等に関してより精緻な検討が
出来るようになっている。
・学生にどんどん質問させ、演習担当者がその場で答えられない場合は次週に持ち越して解決させて
いる点。演習担当者にとっては負担だが、大変勉強になると思われる。
・授業中に必要の感じられた追加資料などを学生にネット上で探してもらい、事前に用意してある授
業用のMLを使ってその資料を共有するなど、メディア機器を利用した授業のあり方に感心しまし
た。
・実物の小物(ギターやミニアンプなど)を面倒がらずにちゃんと用意するところ。
・コメントを指名した数名に口頭で述べてもらうだけではなく、現場でメール形式で書かせて送らせ
るようにしている点(発言機会の均等性と緊張感の維持という面で)
。
・学術情報基盤センターの端末室で授業が行われているので、受講する学生が一人一台ずつパソコン
を操作でき、ワープロソフトによるノート・テイキングやインターネット利用による調査などを授
業中に行うことができる点。重要な事項についてその場ですぐ書かせたり調べさせたりすることは、
学生にその事項を印象付け知識として定着させるために良い方法だと思いました。
(3) 授業をより良いものにするための授業参観者の意見
・時間が限られているため難しいことは否めないが、受講生どうしの質疑応答(討論)がさらに活発
になるとよいのではと思われる。
・時間の制約があるものの、学生の自発的な発言が促されると、さらに活発な議論が展開されるよう
に思われる。
・ただ、
(2)とは矛盾してしまうが、場合によっては議論の方向が、教員の意図した方向から外れ
てしまっているような印象を受ける場面があった。こうしたケースでは、教員がもっと積極的に介
入しても良いかもしれないと思う。また、学生同士の議論が盛り上がりすぎた結果、教員が総括す
る時間が取れなかったように感じる。
・論じられている考え方(思想?)の文献的な教養部分への参照がもう少し厚めにあると(もちろん
なかったわけではないです。ブルデューとか)
、もっと良いように感じました(がそれは実際には
好みの問題であって、学生にとって教育効果を発揮するかどうかは、対象学生によって差異がある
ようにも思いますが)。
・特定の質問者の質問時間を少し引き伸ばし過ぎていた気もします(前半ぐらいまでの引き伸ばしは
緊張感がましてよかったのですが、後半の暴走気味のところではすでに他の学生が興味を失い始め
ていたので)。
・授業で拝見したパワーポイントの画面は、この日発表を行った学生が作成したものと思いますが、
文字数が多かったのでノートを取るのが大変な学生もいるのではないかと思いました。パワーポイ
ント画面の文字数が多くなる場合にはその画面をプリントアウトしたものも配布するよう指導さ
れると良いかもしれません。
(4) 参観者の意見への感想・返答
・適切な指摘であり、今後の授業の参考にしたい。
104
・日常的話題(ときには雑談)に触れたりしながら、自由に討論できる環境作りを心がけたり、学生
の質問や意見に対して適宜サポートすることで、質問をしやすくしたり、意見をまとめやすくする
よう、一層の工夫をしたい。
・電子辞書の音声機能を用いたり、TA に受講生の発音チェックを依頼すること等に対してよいアイ
デアであるとのコメントをいただきました。次の機会には私も他の語学の演習を拝見させていただ
き、様々な工夫を学んで、今後の授業改善に活かしていきたいと思いました。
・学生の作成するレジメは多いが、分量の割には十分活用できているか、やや不安が残る。学生に対
しては発表者の調べてきたものを熟読玩味することによって、読む力や知識が身につくことを当初
から強調している。
・演習での「挙手発言者」だけでなく、その発言を聞いている着席者たちへの指摘をいただき、とて
も啓発された。
(5) 意見交換会の内容
・特になし
2.4.授業をより良くするアイディアの募集
昨年度から「授業公開報告書」に「授業をより良くするアイディア」を募集する項目が新たに設
けられた。昨年度は報告書に掲載した上で、
「さらに有効な活用方法を検討していく」とされたが、
今年度は報告書に掲載するとともに、各学科や当該関連委員会(教務委員会、施設関係委員会等)
へのフィードバック(報告や検討依頼等)を通じて、授業環境・学習環境の改善を図りたいと考え
る。
<法政策学科>
・講義であっても、何らかの形で学生とコミュニケーションを取り、学生の意見や質問等を講義
にフィードバックできるようにしたい。現在は授業終了後に提出するコメントペーパーという
形で実施しているが、より良い方法がないか、引き続き探っていきたい。
・事務方の人手不足もよく理解できるので、共通教育の教室のマイクを使用するために鍵の受け
取りを毎回しているのだが、それがなければいいのにということと、出欠確認をするなどにつ
いてはサポートの人材がいれば時間的な余裕が出来ていいのにと思うことはある。
・学生のレベルに応じ、知的好奇心をかき立てるような授業が理想であるが、その域に到達する
ことはかなり難しい。今後はそこに少しでも近づけるよう、学生同士が話し合いを持つような
時間を確保する工夫をしていきたい。
・出来れば、手書きの文字を投影できる機材が欲しい。
・1 人あるいは他者と協力しながら、調べ、新たな知識を獲得し、理論的に思考し、事象がおき
る原因、メカニズム等を明らかにし、改善策をまとめ、それをわかりやすく説明するという、
社会人に必要な能力を身につける上で、ゼミ活動は非常に重要かつ有意義なものである。学生
がそのような能力をトータルに獲得できる授業が理想である。
<経済情報学科>
・毎週講義の場合は、板書を中心にしてデータ等はパソコンを使って説明するのが良いかと思う
105
けれど教室の環境でなかなか同時にできないところが多いので、そこを改善すると効果的な講
義が出来ると思う。
・私は講義形式の授業であれ、
「学生に参加意識を持たせる」ことを目標に授業を行っています。
具体例の 1 つとして、授業開始後の 10 分間を利用し、前回の授業の復習を各学生にレポート
形式で記述してもらっています。前回の授業の復習を教員が口頭で述べるのではなく、学生自
身が思い出すという行為を経ることによって、自分自身が理解できていなかった点などが浮き
彫りになり、学ぶ意欲の向上につながると考えられるためです。
・他大学との合同ゼミを10数年行っているが、学部内での合同ゼミのようなものがあってもよ
いのではないかと思う。
・授業公開とは関係ありませんが,ゼミ発表会などがあると学生ももう少し緊張感を持って勉学
に取り組めるのではないかと思っています。ただ,実際に実施するとなると準備する側は大変
なので実行は難しいかなとも思っています。
・プロジェクタをつかって講義を行ったが、そうすると黒板が使えないのでやりにくい。
・漠然とした回答ですが、近年、多くの学生が iPad やネクサスなどのタブレット機器を持って
います。これらの機器との連携あるいは効果的な利用ができるようになれば、配布資料の削減
や柔軟な講義進行等(例:講義中、機器を利用して、学生から質問を随時受け付ける)ができ
るのではないかと考えています。
・①講義の特徴によって、PPT に適しているものと適さないものがある。学生に手を動かして
もらうためには板書が最も効果的である。②学生の講義履修にある程度の制約をかけた方が良
い。学生は単位のとりやすい講義に集中することは、大学教育その本来の意図ではないはず、
お客様である学生のためにもならない。長期視点から見ると、学生側に起因する講義履修のモ
ラル・ハザードはいずれ鹿大の評判(企業価値)を落とすことになる。学生に全ての科目を履修
させることは学生の自由を奪うことではないはず。
・パワーポイントをプロジェクタにてうつしたまま板書ができるような設備があると、授業をよ
り円滑に、かつ良い内容にすることができると考えています。
黒板の教室では予備のチョークがたくさんあるので心配ないのですが、白板の教室ではマー
カーの予備がないため、毎回、出の悪い大量のマーカーから比較的出の良いマーカーを見つけ
出すことに苦労しています。白版直下だけでなく、AV ボード内等に予備をストックして頂け
ると助かります。
・AV 機器を使用する際に、照明とラックの距離が離れているため、動線が長くなり操作しにく
い教室がある。なんとかならないものでしょうか。
・私の場合、個性溢れる、自由な講義を提供したいと思っている。授業担当教員の考え方、もの
の見方、はたまた自己の研究成果なども織り交ぜて、自分にしかできない講義要素を増やす努
力をしている。学生による授業評価が 0 点か 100 点かでいいかな、と割り切るようにしてい
る(本当は色々と精神的にきついこともある)。
・
「授業参観者からの意見等に対する感想」で書いたように、板書というのはインパクトがある。
これをサポートするべく、字を消去する方法を改善してほしい。
・演習では、テキスト選びや授業の進行方法などにおいて学生の意見を取り入れる工夫が必要だ
と思います。ただし、教員の専門から全く外れてしまう内容にならないよう留意すべきと思い
ます。それでは、単なる自己表現クラスになってしまいます。
106
・レポートの基本的な書き方ができていない学生が増加しているような気がする。まず基本的な
レポートの書き方について指導する必要があるのではないか。
<人文学科>
・いかに学生を授業に参加させるかが昨今の課題かと思います。私の場合は,毎回のレポートで
寄せられる質問などを利用し,メールで個別に答える,必要な場合は授業で改めて取り上げて
内容理解を促す,などを行っています。
・
「演習」や「実習」ではない普通の「講義」でも TA をつけることができれば,学生とのやり
取りなど,もっときめ細やかな対応ができるようになると思う。
・パソコンを接続して、PPTを活用した授業に、教室の設備はほぼ対応するようになったが、
一部の教室では、ビデオ、DVDへの未対応(機器はあるが接続できない)場合がある。
・TA の留学生は英語が堪能であり、学生の評判が良かった。予算が限られていると思うが、外
国語運用能力を高めたりや異文化に対する理解を推進したりすることを教育目標とする授業
科目で外国籍の TA を積極的に活用することは、学生の勉学意欲を高めることにつながると思
う。
・特に講義の工夫として個人的に行っていること。
1.受講者一人一人とのあいさつを兼ね、授業開始前に時間的余裕を持って入室し準備をする。
2.受講者とのやり取りをするよう心がけること(出席表の裏に質問事項等を書いてもらう)。
3.雰囲気づくりを考えた講義の進め方の工夫。4.覚えてもらうのではなく、見て理解し、考
えてもらうためのプレゼンテ―ション。何よりも興味を持ってもらうことを心がける。
・授業最後の 5 分くらいで、小さな用紙に感想を書かせ、それを出席点とする。また、次の授業
で、そこに書かれてある感想や質問に答える形で、授業に入っていく。そうすると、より受講
生の興味・関心を把握できるし、授業に一貫性が出てくる。
・ウェブシステム上に資料をアップロードし、それを活用させる。講義資料だけでなく、授業に
関連する資料もそこに置くことで、授業時間以外での学習を促すことができる。また、アマゾ
ンへのリンクを貼ることで、参考文献が入手しやすくなる。
・法文棟に、端末室があればいいのに!
・普通の部屋でも、ノートパソコンとネットワークを使って、学生からのその場その場での意見
や感想などを教師が見れるようになると、大人数でも細かいニーズにこたえられるようになる
なと思いました。
・学部、学科の教育目標と個々の授業の関係を明確にするために、特に授業参観の仕組みを検討
してみてはいかがであろうか。
2.5.授業公開に対する意見
ここでは、
「授業公開報告書」の「授業公開に対して意見等があれば、お書きください。
」を(1)
授業を公開、参観したことの感想と、(2)授業公開・参観に対する要望・意見に分けて整理した。
(1)授業公開・参観の感想
<法政策学科>
・今回、初めてゼミを参観したが、大変勉強になった。
<経済情報学科>
107
・授業の質的向上にとって妥当なことだと感じる。
・他の先生の授業を参観することにより、授業の進め方等参考になることが多いので意味はある
と思う。
・授業参観自体は良い企画だと思います。
・授業公開は、授業の力量を高めるために必要なことだと思う。
授業を参観されることは、多少の緊張感を伴うが、刺激的でもある。
・授業参観者がいるという前提で報告者と司会者に用意させたため、通常より中身のある授業と
なった。
・新任の先生が何名かおられるので、新しさがあり、授業に参加する楽しみが出てきた。
・分野により教育方法が異なるので、必ずしも参観した授業のやり方が参考になるとは限らない。
<人文学科>
・有益な取り組みだと思います。
・今年、一人の教員につき複数の授業を公開してもらう形式に変更になり、参観の機会が増えて
良かったと思います。
・今回、言語は異なりますが、中国語の演習などをご担当の先生に参観していただき、自分では
無意識に行っていた点に目を留められていたことが新鮮でした。
・期間を延長されたので参観しやすくなりました。
・分野の異なる先生方から、ある意味客観的に授業を見て頂くことはとても貴重な機会ですし、
他の先生の授業を見学させて頂くことは、自分にとって授業の組み立て・展開・配布資料・説
明の仕方など色々と勉強になります。
・一般の学生対象の授業とは異なり、緊張感があるのは良い。
・今回は珍しく 4 名もの先生方が来られたので、少々緊張した。
・自分の専門分野以外の授業がどのように行われているかということは普段なかなか知ることが
できないので、授業公開は貴重な機会であると思う。
・授業公開によって、授業担当者は様々なことに気づき、それを今後の授業の中で活かせる。そ
の点で、良い試みだと思う。
・19 世紀の外国文学の授業は、たいくつになりがちだが、今日的話題と絡める形で提示すると、
多少は興味を喚起できると思った。
・本年は、参観者が、複数あり、とても参考になった。
・授業を工夫する自覚をもつきっかけになるので重要なことだと思います。他の先生の授業をみ
ることができるのもとても勉強になります。
・授業公開によって、教員個人では気づかない点が指摘されるため、有益である。また、普段以
上に準備をして授業に臨もうと心がける契機となる。
・参観者からのご意見は授業改善の役に立ちます。
・学生以外の目線で他者の授業を観察することは、授業運営方法に対する認識・知見を深めるた
めにはよい機会であると思う。
・授業改善等のための方途として必要な取り組みである。
(2)授業公開・参観に対する意見
<法政策学科>
108
・自分の授業を改善しようとする動機付けとして、また他の先生方の授業からいろいろと学べる
という意味で有用な制度だと思っている。
・授業公開は、授業について今一度考える機会を与える点で有意義だと思う。
・他の先生に授業参観をしてもらうと、身が引き締まる思いがした。FD のために授業参観は非
常に有益だと思う。参観した先生からは、より忌憚のない意見をもらえるとありがたい。
・有意義な制度であるので楽しみであるが、今回は特に負担を大きく感じた。初めて赴任した人
を除き義務とするのは隔年でいいのではないだろうか。
・ゼミの公開はあまり意味がない上、ゼミの開講時間が重なっているため参加しにくい。今後は
講義のみの公開とすべき。
・他の先生の授業を見て手法を学んだり、教壇からでは気づかない学生の受講態度を見たりする
ことができるほか、参観してくださった先生から様々な助言をいただける機会はたいへん貴重
である。今後も年1回は開催してほしい。
・広報体制をもっと充実させる必要があるのではないか。
・授業公開はあまりしたくない。自分の授業に自信のある人だけがおこなってもいいのでは。
・授業公開をする機会があるのは、教員にとっても学ぶ機会を作ることになると思うので、現状
維持が良いと思う。
・教育的効果は、大きいものと思う。
・他の先生が行っている授業の改善点を指摘するというよりも、他の先生の授業スタイルを見て、
自らの教授方法を見直すきっかけになる。その意味で授業公開はあった方がよいと思う。
・演習については、各教員がどのような運営をしているか大変関心がある。ただ、演習の時間帯
は重なっている場合が多く、他の教員の演習を参観する機会は少ないように思う(そうかとい
って、どのようにすればよいかについてアイデアは特にはないが…)
。
<経済情報学科>
・授業公開の期間を長くし、一時期(年末)に限られない期間設定にしてほしい。
・すべての授業で参観する時代は終わったのではないかと思う。特定の実験的な授業モデルを使っ
て、意見を交換し、意識を深める方がよい段階だと思われる。
・実施時期が後期に限定されているため、参観できる授業が限られているのではないだろうか。前
期の実施も検討すべきかもしれない。
・ユニークな取り組み等を事例集などの形で紹介していただけると有り難いです(すでに『報告
書』に掲載されていましたらすみません)。
・分野により教育方法が異なるので、必ずしも参観した授業のやり方が参考となるとは限らない。
・授業公開もかなり形骸化してきているような気がする。実効性のあるものにするためには、困
難なところもあるかと思うけれども小中高校のように研究授業のような形にする方が良いの
ではないだろうか。
・隔年で,前後期に行って欲しいです。これまで参観していない授業から参観する授業を選ぶの
で、後期だけだと参観できる授業が少なくなってきます。
・授業担当教員にとっても学生にとっても半期に1度くらいは緊張感のある中で授業を行った方
が良いと思うので授業公開に対して賛成ではあるが,かなり形骸化が進んでいる気がするので、
毎年同時期に行うのではなく,隔年で前期開催あるいは後期開催などにしてはどうだろうか。
109
・これまで後期ばかりなので、前期にする年度があってもよいのではないか。
・他の先生方の講義のやり方を見ることで、自分の講義のやり方のメリット、デメリットの双方が
わかる。是非、継続して欲しい。
<人文学科>
・意義は認められるが、形骸化している部分も否めないのではないか。
・やはり日本人の先生の授業参観を頼むのが難しいです。迷惑をかけたくないです。
・昨年も書いたが、授業公開そのものはよい考えだと思うが、形骸化しているように思える。さら
なる工夫が必要ではないだろうか(例 授業公開数を絞って、各教員は数年に一度担当するよう
にし、一つの授業をより多くの教員が参観して意見交換する)
。
・普段目にすることのない、他の先生のやり方に触れる良い機会だと思う。ただ、本来は日常的に
交流があるのがベストなのだとも思う。
・多少、マンネリ化しているような印象がある。意義、目的などについての事前説明をもう少し丁
寧にした方がいいのではないか。
・相変わらず参加者がいない。公開する授業を厳選して,ローテーションでまわすべきだと思う。
・1.他の教員の授業を参観することは、異なった授業展開・工夫を知るうえで参考になる。ただ
し、授業の内容、つまり実験系の授業と非実験系の授業では、内容も目的も異なるので、どこ
まで自分の授業に取り入れられるかが、検討課題となる。
2.自分の空いている時間に参観をすることになるので、参観できる授業は、おのずと制限され
る。
・マンネリにならないように、変化をつける工夫があればと思う。いつもギリギリになってしまう
ので来年は気をつけて早めに参観をしたい。
・今回は参観者がいなかったのですが、意見交換会を実施するには現実的にはスケジュールを組み
にくいのかもしれません。
(かといって代案はすぐには浮かばないのですが)
・これまでの授業公開が後期の特定の期間にのみ設定されているため、毎年公開対象となる授業が
限定されている点が問題ではないか。前期、後期を通じて公開してもよいとするなら参観できる
授業も増え、メリットがあると思われます。
3.授業公開の総括
ここでは本年度の授業公開・授業参観について、近年の動向をも踏まえながら総括してみたい。
3.1.授業公開実施による成果について
全員参加による授業公開・授業参観は、今年度で 7 年目を迎える。過去 6 年間の取り組みを通し
て、さまざまな工夫や改善が図られてきた。これまでの工夫や改善は講義形式の授業に関しては以
下の 3 点に要約される。
(1) 受講生の興味・関心を高めるための工夫や改善
(2) 受講生の理解度を高めるための工夫や改善
(3) 双方向的な授業スタイルを確立するための工夫や改善
授業公開報告書・参観報告書の回答からまとめると、(1)については受講者が身近に感じるテキ
110
ストの選択や実践的な知識の教授、実体験や実例による説明、アクチュアルな問題に関連付けた解
説、受講者の興味を引きそうな知識を意識的に盛り込むなど、種々の工夫が試みられている。
(2)については学生の理解度に応じた講義はもちろん、補足的資料の配布や板書の工夫、図表や
映像(ビデオやパワーポイント等)を用いた解説、Q&A のレジュメや質問票の配布、授業冒頭で
の前回内容の復習・確認など、それぞれ講義の形態や内容に即して受講生の理解度を高める試みが
採り入れられている。
(3)に関しては、受講生の質疑応答を促す雰囲気づくりに始まり、難解な用語を受講生自身に調
べさせ発表させたり、相互に発表を評価させたり、受講生を指名して質問やクイズに答えさせるな
ど、教員の一方通行を避ける試みが行われている。
演習形式の授業については、改善や工夫は次の 2 点にまとめられる。
(1) 受講生の自発的な発言を引き出すための工夫や改善
(2) 受講生同士の意見交換や討論を活発にするための工夫や改善
これらに関しては、受講生が発言しやすい授業の雰囲気づくりや受講生の関心を惹くテキストの
選択に始まり、準備段階からのレジュメ作成指導、班ごとの発表や討論、司会役と報告者の役割の
確認、次回の報告内容の予告、質疑の時間の確保、TA の活用など、授業内容に応じてきめ細かな
工夫が行われていることが読み取れる。
また参観報告書の「工夫していると感じた点・取り入れたい点」からは、参観者が他の授業から
改善のヒントを得ていることが窺える。授業方法はそれぞれの講義や演習の内容と密接に関わって
おり、必ずしも改善方法が参考にならない場合もあることは言うまでもないが、これまでの授業公
開・授業参観の取り組みが着実な授業改善に結びついている状況が確認できよう。
3.2.授業公開のあり方について
まず今年度を含む過去 4 年間の授業公開の結果を下に表で示す。
(1) 参観者数(参観率)
今年度は公開科目が 87 コマと過去最高を記録し、総公開コマ数は 107 コマにのぼった。教員が
積極的に科目提供に応じてくれたことが分かる。一方、参加者は 48 名で昨年比横ばいであった。
そのため、
(C)の参観率は昨年から 5 ポイント低い 55%にとどまった。
(2) 被参観率
被参観率は昨年比-2 ポイントの 33%となった。参観者のいた科目数は 1 科目増えているが、
公開科目数が増えたために下がったものである。これらの数字をどのように評価するか見方は分か
れようが、母数となる公開科目・公開コマの提供増に見られる教員の積極的な姿勢を評価する一方
で、形骸化の指摘も真摯に受けとめねばならない。
2009 年度
2010 年度
2011 年度
2012 年度
(A)公開された科目数
83 科目
80 科目
80 科目
87 科目(107 コマ*)
(B)参観者数
40 名
39 名
48 名
48 名
(C)参観率〔(B)÷(A)
〕
約 48%
約 49%
60%
約 55%
(D)参観者のいた科目数
34 科目
30 科目
28 科目
29 科目(31 コマ)
(E)被参観率〔(D)÷(A)
〕
約 41%
約 38%
約 35%
約 33%(約 29%)
111
(F)推薦授業の参観者数
6名
6名
11 名
4 名**
*コマ数には同一授業の複数回の公開が含まれる。
**2012 年度は経済情報学科の推薦授業指定はなし。
次に報告書の「授業公開・参観に対する意見」を参考に、今後の授業公開のあり方について、以
下の 3 点を中心に考察を行いたい。
(1) 実施時期・実施期間について
(2) 実施方法について
(3) 実施内容について(推薦授業等)
(1) 実施時期・実施期間
今年度は実施期間を昨年より 1 週間延長して参観の便宜を図った。しかし参観者数は昨年と同じ
数に留まった。その要因としては、例年後期のみでは参観できる授業が限られることがまず挙げら
れよう。従来から実施時期の見直しの要望は出されており、昨年度も実施時期の見直しについて「今
後真剣な議論が必要」と報告書で指摘されていた。
今回のアンケートではこの項目に回答した 30 名のうち 6 名から前期に実施すべき(通年実施の
意見を含む)との意見が寄せられた。とりわけ経済情報学科については 9 名中 5 名から前期実施の
要望が出されたが、その背景には同学科の公開科目 30 科目中 12 科目を「演習」が占めているこ
とに窺われるように、公開科目の偏りがある。形骸化、マンネリ化の指摘、また「演習」
(ゼミ)
の公開の意義に対する疑問を含めて、前期の実施を検討すべき時に来ている。
(2) 実施方法
今年度は複数科目の提供に加えて、同一授業の複数回の公開も呼びかけた。その結果、公開科目
は 87 科目と微増(昨年比+7)ながら、公開コマ数は 107 コマと大幅に増えた。その結果、たと
えば法政策の科目で 4 回の授業に 1 名ずつ計 4 名が参観したように、参観条件の改善が図られた
と言えよう。今後も継続すべきと考える。
一方で、公開科目数および公開コマ数に対する参観率の低下には歯止めがかからなかったこと
は反省材料である。広報の徹底や(1)の実施時期の問題などにも関わるが、下記(3)の実施内容と併
せて総合的に検討を進めたい。
(3) 実施内容(推薦授業等)
FD 委員会の選定による推薦授業は今年度は法政策と人文の 2 学科、計 4 科目であった(経済情
報は有意のデータを欠いたため選定せず)
。推薦授業の参観率(全参観者に占める推薦授業参観者
の比率)は一昨年度が約 15%、昨年度は約 23%、今年度は約 13%であった。必ずしも推薦授業に
参観者が訪れていないケースもあるが、公開科目が増加する中、新任教員にとって参観授業選択の
際のひとつの判断材料になることから、今後も継続すべきと考える。
全体として今年度は参観された科目数、参観者とも昨年比でほぼ横ばいであった。公開科目なら
112
びに公開コマ数が増えたため、参観率はやや減少する結果となっている。しかしアンケートの回答
からは授業公開自体の意義や必要性について否定的な意見は寄せられず、教員は総じてきわめて真
摯に公開および参観に関わっていることが窺える。
したがって、評価に当たっては年度ごとの単純な参観率のみではなく、たとえば「2 年間で全教
員の何割が参観できたか」というような、学部全体の授業改善につながるような統計数値を求める
ことも必要ではないかと考えられる。
一方、アンケートの回答の中には、従来の授業参観の限界や形骸化を指摘し、ローテーション方
式を含め、むしろ公開授業数を絞って特定の授業を多くの教員に参観させるという、一種の「研究
授業方式」を提案する意見があった(4 名)
。この方法はあるいは推薦授業の延長上に位置づけら
れるかもしれない。公開授業の負担軽減を求める声や意見交換会の充実を求める声なども勘案する
と、今後従来の授業公開との併用も含めてその実施に向けた検討が必要となろう。
3.3.授業公開制度の改善に向けて
2004(平成 16)年度から始まった授業公開制度であるが、年度ごとに委員会で改善に向けた検
討が行われ、またその結果を受けて着実な改善が図られてきた。その経緯はすでに1.
(3)に記し
たとおりである。
しかし今回の実施結果とアンケートの回答、ならびに昨年度の検討結果を踏まえれば、従来型の
授業公開は転機を迎えていると判断せざるを得ない。そこで授業公開の質的向上を図るため、来年
度に向けて具体的な方向性をいくつか提案したい。
(1)実施時期の見直し
(2)全員参観に向けた方策
(3)研究授業型の授業公開・参観の検討
まず(1)についてはすでにここ数年常に後期に実施されてきたため、アンケートでも公開科目
の偏りが指摘されている。通年の公開授業を求める声もあるが、一方で関係教員や委員会、事務方
の負担軽減にも配慮する必要がある。そこで 2013 年度は試験的に前期に実施し、将来の隔年での
前期・後期実施に向けた足がかりとしたい。
(2)については昨年度「授業参観の原則義務化」が検討されたが、学部教員の合意形成が難し
いことなどから実施が見送られている。そこで来年度からは基本的な全員参観の原則をあらためて
周知した上で、2 年スパンでの全員参加状況の確認や、2 年続けて参観しない教員にその理由を尋
ねることなどが必要ではないか。その方法として、具体的にはアンケートに相応の項目を設けるこ
となどが考えられる。
(1)の公開科目の偏りの解消と(2)の参観者の偏りの解消により、真に有
効な授業公開・授業参観が実現されよう。併せていわゆる「参観率」
(公開科目数に対する参観者
数の比率)や「被参観率」
(公開科目数に対する参観科目数の比率)のみを物差しとせず、授業公
開の実質に関する評価につながるような評価項目を加えることも検討すべき時期に来ている。
(3)については、アンケートで提言があったとは言え、実施に向けた環境が整っているとは言
えず、まずは学部の合意形成が求められよう。また従来型の公開授業や委員会による推薦授業との
関係や併用方法なども検討する必要がある。
ただ、今年度多くの教員が複数科目や複数回の授業提供に快く応じてくれた状況を考えれば、再
来年度以降の実施に向け、具体的な検討を始めても良いであろう。たとえば各教員にアンケートで
研究授業としての公開科目の是非や科目提供の可否等を尋ねることなどが考えられる。
113