5 半導体素子の基礎(p.129) 5.1 ~ pn接合 半導体デバイスの基礎(ダイオード,接合型トランジスタ,etc.) 5.1.1~5.1.2 キャリアの拡散と電位障壁 熱平衡状態の場合 (a) p型とn型を接合 (b) 電子はp側へ,正孔はn側へ(低 エネルギー側へ) → (c) 電子と正孔が再結合 空間電荷層が形成される (d) n領域は正に,p領域は負に帯電 する (a) p型とn型を接合 (b) 電子はp側へ,正孔はn側 へ(低エネルギー側へ) → 電子と正孔が再結合 (c) フェルミ準位が一致する と移動は停止 → 空乏層(空間電荷層) が形成される このとき,接合面の正電荷qから見ると, n側には行きにくい → p側には行きやすい → 「電位」分布は, VD 電位の落差 → 「電位障壁」または「拡散電位」 このとき,空乏層の厚さは,VD とND+,NA-で決まり したがって, 室温付近では, ND+=ND,NA-=NA で, n型が高濃度のとき; p型が高濃度のとき; Ne Nh N D , Nh NA , NA ≪ND Ne ND ≪NA このとき, Wd(n)・ND = Wd(p)・NA (修正版) → 空乏層の厚さは,薄いドーパント(小数キャリア)の密度が支配 5.1.3 整流作用 順方向バイアスと逆方向バイアス 順方向バイアス → 電流が流れる 逆方向バイアス → 電流が流れない → なぜか? 拡散電流とドリフト電流 拡散電流:電子,正孔の密度を均一にしようという動き 密度差が大きいところで一番強く起こる ドリフト電流: (外部から加えられた)電場によって電子や正孔が動くこと 熱平衡状態(V=0)のとき; 電子密度分布 → n―拡散流,p―拡散流 拡散電位 内部電場 う → → n-ドリフト流,p-ドリフト流 V=0のとき n-ドリフト流 p-ドリフト流 それぞれ電流となるが打ち消し合っている 順方向バイアスのとき n-ドリフト流 p-ドリフト流 逆方向バイアスのとき n-ドリフト流 p-ドリフト流 pn接合の電流電圧特性 順方向バイアス効果 順方向電流の増加 逆方向電流 → → → → ボルツマン分布をシフト これが拡散電流を増加 指数関数的 ドリフト電流 → 逆方向バイアス 少数キャリア密度で決まる 順方向バイアス I=J0[exp(eV/kT - 1) ] (5.20) 5.1.4 pn接合の応用 ダイオードと整流回路 整流作用を持つ素子 交流の直流化 → → ダイオード(整流器) (ex.真空管ダイオード) 整流回路 半波整流 半波整流(平滑化) 全波整流(平滑化) 光電変換素子(太陽電池) 太陽電池の特色: 1. システムが簡便 2. 温水器のように熱が介在しないので効率的 3. 規模が自由に選べる 4. 直接型発電 → 送電線が不要 5. 軽量なので土地の多重利用が可能 太陽光;波長 0.2μm ~ 3 μm,1.6 eV 付近にピーク 半導体材料;InP(1.25eV),GaAs(1.35eV),CdTe(1.45eV),Si(1.1eV) ~ アモルファス Si,単結晶 Si 光起電力効果: 半導体の禁制帯幅よりも大きなエネルギーを持つ光を pn 接合に照射 → 価電子帯の電子が光を吸収,励起されて伝導電子(光電子)となる (内部光電効果) 光電子の発生によってドリフト電流が増大し,熱平衡状態がくずれフェルミ 準位の差(起電力)が発生. → 光起電力 (開放端における光起電力) 開放端状態の起電圧;Voc 外部回路を接続すると電流が流れる → 逆方向電流と同じ向き 短絡状態のときの最大電流;Isc (短絡したときの短絡電流) 実際の動作時は,開放端状態と短絡状態の中間 (太陽電池の電流-電圧特性) F 変換効率:=VocI sc ―― P F:I-V 特性の曲線因子 P:入射する太陽光エネルギー 発光素子(発光ダイオード) E =h = hc/λ(h:プランク定数 c:光速 λ:波長) λ [nm]=1.24/E [eV] ×103 Si → 可視光でない,再結合率が低い GaAs(1.35 eV) GaP(2.26 eV) → → 再結合率が高い,赤外光(リモコンの発光素子) 自分自身は発光しない 不純物が再結合中心を形成 ―――――――――― 化合物半導体 → ―― ―――――――――― エネルギーギャップが異なる接合 ~ 半導体ヘテロ接合 半導体ヘテロ接合: 単一ヘテロ構造: ダブルヘテロ構造(量子井戸構造) : 量子井戸構造 (pn接合)
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