急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003年度合同研究班報告)
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Myocarditis (JCS 2004)
合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本心臓病学会,日本小児循環器学会,日本心不全学会,日本胸部外科学会,
日本心臓血管外科学会
班 長 和 泉 徹
北里大学内科学
班 員 磯 部 光 章
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科循環制御学
協力者 今中・吉田恭子
三重大学病理学第1
河 合 祥 雄 順天堂大学内科学
大 倉 裕 二 新潟大学大学院医歯学総合研究科器官制御医学
川 名 正 敏 東京女子医科大学附属青山病院
岡 本 洋 北海道大学大学院医学研究科循環器内科
北 浦 泰 大阪医科大学内科学Ⅲ
古 賀 義 則 久留米大学内科学第 3
木 村 一 雄 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター心臓血管センター
小 玉 誠 新潟大学大学院医歯学総合研究科器官制御医学
許 俊 鋭 埼玉医科大学外科学
佐 藤 幸 人 兵庫県立尼崎病院
佐 地 勉 東邦大学第一小児科学
瀬 川 郁 夫 岩手医科大学内科学第 2
廣 江 道 昭 国際医療センター腎臓・循環器科
曽 根 孝 仁 大垣市民病院循環器科
松 h
寺 崎 文 生 大阪医科大学内科学Ⅲ
益 Y 山口大学器官制御医科学
松 森 昭 京都大学大学院医学研究科循環器内科学
中 村 浩 士 山口大学器官制御医科学
森 本 紳一郎 藤田保健衛生大学内科学
布 田 伸 一 東京女子医科大学付属第二病院内科
由 谷 親 夫 岡山理科大学理学部臨床生命科学科
野々木 宏 国立循環器病センター内科心臓血管部門
協力者 伊 藤 浩 嗣
平 光 伸 也 藤田保健衛生大学内科学
沼津市立病院循環器内科
猪 又 孝 元 北里大学内科学
矢 崎 善 一 信州大学大学院医学研究科内科(1)
外部評価委員
藤 原 久 義 岐阜大学大学院医学研究科再生医科学循環病態学
倉 林 正 彦 群馬大学大学院医学系研究科臓器病態内科学
友 池 仁 暢 国立循環器病センター
山 科 章 東京医科大学内科学 2
奥 村 謙 弘前大学内科学第2
目
Ⅰ.序 文
Ⅱ.ガイドラインの作成にあたって
Ⅲ.急性心筋炎の分類と診断
1.病 因
2.分 類
3.症状と徴候
1)症 状
2)徴 候
3)血液生化学検査
次
4)胸部 X 線
5)心電図
6)心エコー図
7)MRI(核磁気共鳴法)
8)核医学検査
9)心臓カテーテル検査
10)原因検索
4.診断法とその評価
●将来展望
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1231
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
Ⅳ.治 療
1.急性期管理と治療法
1)無症状・軽徴候例における管理
2)不整脈治療
3)心不全治療
4)難治例への追加治療法
5)急性期以降の管理
●将来展望
Ⅴ.予後・自然歴
Ⅵ.特徴ある心筋炎の診断と治療
1.劇症型心筋炎
1)背 景
2)診 断
3)治 療
2.巨細胞性心筋炎
1)診 断
2)治 療
3.好酸球性心筋炎
1)背 景
2)診 断
●将来展望
3)治療
●将来展望
4.慢性心筋炎
1)背 景
2)診 断
●将来展望
3)治 療
●将来展望
5.小児期心筋炎
1)背 景
2)診 断
3)治 療
【参考資料】
小児期心筋炎の臨床像
−小児期心筋炎全国アンケート調査のまとめ
6.新生児期の心筋炎
1)背 景
2)診 断
3)治 療
Ⅶ.おわりに
(無断転載を禁ずる)
により作成された.この組織は,日本循環器学会,日本
心臓病学会,日本小児循環器学会,日本心不全学会,日
Ⅰ
序 文
本胸部外科学会,日本心臓血管外科学会の 6 学会により
推薦された 13 名の班員と 16 名の研究協力者により構成
され,平成 14 年 4 月に発足した.
心筋炎は心筋を主座とした炎症性疾患である.心膜ま
幸いなことに,心筋炎の臨床と研究についてわが国は
で炎症が及ぶと心膜心筋炎と呼ばれる.軽症例は確定診
優れた学術的土壌を培ってきた経緯がある.数多くの先
断が困難なために,わが国における発症率や死亡率の詳
行研究が行われ,臨床や基礎データが蓄積されている.
細は不明である.日本病理剖検輯報によれば,1958 年
また諸先達の努力で,既に幾つかの診断・治療の手引き
から 20 年間で 377,841 剖検例中 434 例の症候性心筋炎
が作成されている.そのうち,1)厚生省特定疾患特発
が報告されている.すなわち,剖検 10 万人当たり 115
性心筋症調査研究班病因分科会(分科会長 河村慧四郎)
人の頻度である .一方,無症候性心筋炎は非心臓死剖
がまとめた「急性心筋炎診断の手引き」3),2)厚生省特
検例の 0.6 % との指摘がある2).これらの報告を勘案す
定疾患特発性心筋症調査研究班病因分科会(分科会長
ると,一過性に無症状で経過する軽症心筋炎はさらに多
岡田了三)がまとめた「心内膜心筋生検診断基準」4),
いと思われる.心筋炎のほとんどは無症候性にあるいは
3)日本循環器学会学術委員会報告:「慢性心筋炎の診
他疾患様に姿を変えて日常診療上現れている,そのよう
断基準に関する研究」(班長 戸嶋裕徳)5),4)日本循環
な認識が必要である.
器学会学術委員会報告:「心肺補助循環を用いた劇症型
1)
心筋炎の治療と予後に関する調査研究」(班長 和泉
徹)6)を参照した.
Ⅱ
ガイドラインの作成にあたって
心筋炎は循環器疾患総体の中では発症頻度の少ない疾
病に属する.一方,先に述べたように無症候性心筋炎は
多発しているのであろうが,あくまでも組織標本がなけ
1232
この報告書は日本循環器学会学術委員会(委員長 堀
れば確定診断はできない.このような背景から多数例を
正二)が指定した「急性および慢性心筋炎の診断・治療
扱った臨床研究に乏しく,診断や治療に関して
に関するガイドライン作成研究班」(班長 和泉 徹)
evidence-based medicine に耐えるだけの学術的根拠に薄
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
い疾患であるのも事実である.そこで,当研究班ではガ
筋炎は別に項を設けた.また,一般成人に対するガイド
イドライン作成に際し,この疾患におけるわが国専門家
ラインとは別に,小児期や新生児期の心筋炎も別項に記
の叡智と経験を基軸に,文献的検索や日本人データを用
載した.特に,この小児・新生児期心筋炎は新たな調査
いてこれまでの手引きの妥当性を検証した.すなわち,
に基づいてまとめられたものである.貴重な情報提供・
可能な限り先行研究の成果を活用するとともに,臨床試
収集に協力された日本小児循環器学会諸氏に深い敬意を
験がない場合には専門医の多くが用いている手法を班員
表する.
の合意の下に提示した.なお,このガイドラインでも診
断法や治療法の適応基準クラス分類やエビデンスのレベ
ル表示を行った.適応基準クラス分類は次の 4 クラスで
Ⅲ
急性心筋炎の分類と診断
ある.
クラスⅠ:手技,治療が有効,有用であるというエビ
デンスがあるか,あるいは見解が広く一致
1
1 病 因
している.
クラスⅡ:手技,治療が有効性,有用性に関するエビ
デンスあるいは見解が一致していない.
Ⅱa:エビデンス,見解から有用,有効である
可能性が高い.
Ⅱb:エビデンス,見解から有用性,有効性が
それほど確立されていない.
クラスⅢ:手技,治療が有効,有用でなく,時に有害
であるとのエビデンスがあるか,あるいは
見解が広く一致している.
心筋炎の多くは細菌やウイルスなどの感染によって発
症する.感染因子だけを取り上げても実に多彩である。
ウイルス,細菌,リケッチア,クラミジア,スピロヘー
タ,マイコプラズマ,真菌,原虫,寄生虫などが知られ
ている.表 1 に代表的な心筋炎惹起性ウイルスを掲げ
た.RNA ウイルスが多く,ピコルナウイルス科のコク
表1
心筋炎を惹起するウイルス
ウイルス科
ピコルナウイルス
ウイルス属
コクサッキー A 群
コクサッキー B 群
またエビデンスレベルは以下の三段階である.
エコーウイルス
ポリオウイルス
レベル A:400 例以上の症例を対象とした複数の多施
設無作為介入臨床試験で実証された,ある
A 型肝炎ウイルス
オルソミクソウイルス
レベル B:400 例以下の症例を対象とした複数の多施
パラミクソウイルス
で実証されたもの.
麻疹ウイルス
フラビウイルス
C 型肝炎ウイルス
デング熱ウイルス
レベル C:無作為介入臨床試験ではないが,専門家の
意見が一致したもの.
RS ウイルス
ムンプスウイルス
設無作為介入臨床試験,良くデザインされ
た比較検討試験,大規模コホート試験など
A 型インフルエンザ
B 型インフルエンザ
いはメタ解析で実証されたもの.
黄熱病ウイルス
トガウイルス
風疹ウイルス
このガイドラインは,あくまでも現時点で可能な,あ
ラブドウイルス
狂犬病ウイルス
るいは保険診療で行える範囲を原則として作成した.現
レトロウイルス
HIV ウイルス
ポックスウイルス
ワクチニアウイルス
ヘルペスウイルス
帯状疱疹ウイルス
チクニングニアウイルス
在研究中,あるいは近い将来に応用可能な診断法や治療
法については「将来展望」の中で記述した.参考にして
サイトメガロウイルス
いただきたい.
単純ヘルペスウイルス
ガイドライン作成の構成上,最初に先進国で多発しや
EB ウイルス
すいウイルス感染と薬物による急性心筋炎を念頭に記述
アデノウイルス
アデノウイルス
した.その後に,臨床的に特異性の強い心筋炎である劇
パルボウイルス
パルボウイルス
症型心筋炎,巨細胞性心筋炎,好酸球性心筋炎,慢性心
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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
サッキー B 群ウイルスがヒト心筋に親和性が高いと言
われている7,8).HIV 感染症(AIDS)9)や C 型肝炎ウイ
ルスも心筋炎を惹起する
2
2 分 類(表 3)
.確かに近年,ウイルス性
10,11)
心筋炎に関する実験的・臨床的研究は著しく進歩した.
組織学的特徴から,心筋炎はリンパ球性心筋炎,巨細
しかし,ウイルス感染は確認できるが心筋炎を発症しな
胞性心筋炎,好酸球性心筋炎,肉芽腫性心筋炎に分類さ
い人が存在する背景,長期に渡るウイルス持続感染と拡
れる.病因的には,リンパ球性心筋炎はウイルス感染に
張型心筋症の関係12,13),さらには C 型肝炎ウイルスと肥
よるものが多く,巨細胞性心筋炎,好酸球性心筋炎,肉
大型心筋症
芽腫性心筋炎は心毒性物質・薬物アレルギー・自己免
など,なお多くの課題が残されている.
14)
また,これら感染症以外にも,薬物,放射線,熱など
疫・全身性疾患などの合併症としてみられることが多
の物理刺激,あるいは代謝障害や膠原病,サルコイドー
い.発病初期に心筋生検を行えば組織診断に基づいた治
シス,川崎病などの免疫異常,それに妊娠も原因となる.
療計画を立てることができるが,発病初期には心筋生検
むしろわが国のように成熟した社会では,ウイルス感染
が困難である症例や正確な組織診断が難しい症例もあ
に次いで薬物が原因にあげられる.心筋炎の原因となり
る.一方,発症様式により心筋炎は,急性心筋炎と慢性
うる薬物を表 2 に列記した.なお,これらの病因が特
心筋炎に分けられる.急性心筋炎は症状発現日を発症日
定出来ない場合を特発性心筋炎と称する.
として特定できる.急性心筋炎の中で発病初期に心肺危
表2
心筋炎を惹起する薬物
1.鎮痛消炎薬
インドメタシン,オキシフェンブタゾン,フェニルブ
タゾン
2.向精神薬
抗うつ薬(三環系):イミプラミン,クロミプラミン,
アミトリプチン,ノルトリプチリン,ドスレピン,ア
モキサピン
抗躁薬:炭酸リチウム,シュウ酸リチウム
抗てんかん薬:フェニンジオン,フェニトイン,カル
バマゼピン
3.利尿薬
アセタゾラミド,ヒドロクロロチアジド,スピロノラ
クトン,クロルタリドン
4.降圧薬
メチルドパ
5.抗ガン剤
アドリアマイシン,ダウノルビシン,ミトキサントロン
6.抗生物質
アンフォテリシン B,アンピシリン,クロランフェニ
コール,ペニシリン,テトラサイクリン,ストレプト
マイシン
7.サルファ薬
スルファジアジン,スルフィソキセゾール
8.抗結核薬
イソニアジド(INH),パラアミノサルチル酸(PAS)
9.生物学的製剤
破傷風トキソイド,インターフェロンα,インターロ
イキン 2
10.抗糖尿病薬
スルフォニルウレア
11.その他
カテコールアミン,コカイン,アンフェタミン,ヒ素
機に陥るものを劇症型心筋炎(fulminant myocarditis)と
呼ぶ6).慢性心筋炎には遷延性と不顕性の二型がある5).
このような組織分類,病因分類,臨床病型分類の三種類
を診療に用いる際には,これらの分類法が必ずしも1対1
の対応をしていないことに留意しなければならない.
表3
病因分類
心筋炎の分類
組織分類
臨床病型分類
ウイルス
リンパ球性
急性
細菌
巨細胞性
劇症型
真菌
好酸球性
慢性(遷延性)
リケッチア
肉芽腫性
(不顕性)
スピロヘータ
原虫,寄生虫
その他の感染症
薬物,化学物質
アレルギー,自己免疫
膠原病,川崎病
サルコイドーシス
放射線,熱射病
原因不明,特発性
3
3 症状と徴候
1
症 状
多くの急性心筋炎患者ではかぜ様症状(悪寒,発熱,
頭痛,筋肉痛,全身倦怠感)や食思不振,悪心,嘔吐,
下痢などの消化器症状が先行する.その後,数時間から
数日の経過で心症状が出現する.心症状には,①心不全
徴候(出現頻度約 70 %15)),②心膜刺激による胸痛(約
1234
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急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
表4
急性心筋炎の診断手引き
1.心症状1)に先行して,かぜ様症状2)や消化器症状3),また皮疹,関節痛,筋肉痛などを発現する.無症状で経過し,突然死に
て発見されることもある.
2.身体所見では,頻脈,徐脈,不整脈,心音微弱,奔馬調律(Ⅲ音やⅣ音),心膜摩擦音,収縮期雑音などがみられる.
3.通常,心電図は経過中に何らかの異常所見を示す.所見としては,Ⅰ∼Ⅲ度の房室ブロック,心室内伝導障害(QRS 幅の拡
大),R 波減高,異常 Q 波,ST-T 波の変化,低電位差,期外収縮の多発,上室頻拍,心房細動,洞停止,心室頻拍,心室細動,
心静止など多彩である.
4.心エコー図では,局所的あるいはびまん性に壁肥厚や壁運動低下がみられ,心腔狭小化や心膜液貯留を認める.
5.血清中に心筋構成蛋白(心筋トロポニン T や CK-MB)を検出できる.CRP の上昇,白血球の増多も認める.特に,全血を用い
たトロポニン T の早期検出は有用である.
6.上記の第 2∼5 の四項目所見は数時間単位で変動する.被疑患者では経時的な観察が必要である.また,徐脈の出現,QRS 幅
の拡大,期外収縮の多発,壁肥厚や壁運動低下の増強,トロポニン T の高値,トロポニン T 値が持続亢進する患者は心肺危機
の恐れがある.
7.最終的に,急性心筋梗塞との鑑別診断が不可欠である.
8.心内膜心筋生検による組織像4)の検出は診断を確定する.ただし,組織像が検出されなくても本症を除外できない.
9.急性期と寛解期に採取したペア血清におけるウイルス抗体価の 4 倍以上の変動は病因検索にときに有用である.ウイルス感
染との証明には polymerase chain reaction(PCR)法を用いた心筋からのウイルスゲノム検出が用いられる.加えて,咽頭スワ
プ,尿,糞便,血液,とりわけ心膜液や心筋組織からのウイルス分離またはウイルス抗原同定は直接的根拠となる.
注 1)心症状:胸痛,失神,呼吸困難,動悸,ショック,けいれん,チアノーゼ
2)かぜ様症状:発熱,頭痛,咳嗽,咽頭痛など
3)消化器症状:悪心,嘔吐,腹痛,下痢など
4)表 5 参照
44 %),③心ブロックや不整脈(約 25 %),がある.こ
れらの症状発現は病変の部位や炎症の程度,それに心筋
3
血液生化学検査
炎の広がりによって決まる.例えば,広範囲の炎症はび
CRP の上昇,AST,LDH や CK-MB,心筋トロポニン
まん性の心室壁運動低下を生じ,急速なポンプ失調を来
T16)などの心筋構成蛋白の血中増加が一過性に確認され
す.心筋炎が局在すれば,急性心筋梗塞と酷似する.ま
る.なかでも,全血を用いた心筋トロポニン T の酵素
た,心膜側心筋が炎症にさらされると心膜刺激症状が発
抗体法による迅速測定(トロップテストR)が簡便で有
現する.一方,心内膜側の刺激伝導系心筋が侵されれば
用である(図 1).また,劇症型心筋炎でのトロポニン
心ブロックを発症する.また心筋内の炎症病巣は常に不
T 値は,測定値が時間経過とともに持続的に上昇を続け,
整脈基質となりうる.
かつ,ピーク値も高いのが特徴である.このように心筋
軽症例を含めれば,心筋炎は決して発症頻度の少ない
疾患ではないであろう.しかし症状や徴候が非特異的な
ため,臨床上症状や症候が明白な心筋炎はまれである.
単なるかぜ症状や消化器症状のあと極めて短期間で心肺
炎の診断と治療はトロポニン T によるガイドが有用で
ある.
4
胸部 X 線
危機に陥り,致死的経過をとる劇症型心筋炎に出会うこ
時に心拡大や肺うっ血像を認める.ただし,右室優位
とすらある.したがって,臨床の現場で有熱患者を診る
の心筋炎例も存在する17)ため,心原性ショックに陥った
際に,心筋炎の可能性を念頭におけるかが重要である.
にもかかわらず心拡大や肺うっ血像が明瞭でない症例も
従来用いられていた急性心筋炎診断の手引き を今回見
ある.
3)
直したうえで,表 4 に掲げた.
2
徴 候
着目すべき身体所見は,発熱,脈の異常(頻脈,徐脈,
5
心電図
心電図は感度の高い簡便診断法である.ときに,初回
の心電図変化は軽微でも時間の経過とともに異常所見が
不整),低血圧である.奔馬調律(Ⅲ音の出現),ラ音な
明瞭になる場合がある.したがって,心筋炎が疑われる
どの肺うっ血徴候,頸静脈怒張や下腿浮腫などの右心不
患者では,経過とともに心電図検査を繰り返すことが肝
全徴候を認めることがある.心膜炎合併例では心タンポ
要である.頻度としては ST-T 異常が最も多い(図 2).
ナーデが現れる.
ST 上昇は心膜炎の合併(心膜心筋炎)を示唆し,鏡像
を伴わない全誘導での ST 上昇を認めることも少なくな
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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
図1
心筋トロポニン T 迅速測定法(トロップテストR)
抗凝固薬入りの全血を,添付されている検体定量用シリンジに 150μl 採り,試験紙の検体滴下孔に滴下.コントロールとシグナ
ルラインの 2 本が発色した場合を陽性,コントロールのみの場合を陰性と判断する.概ね 15 分で診断可能であるが,高値の場合は
数分以内にシグナルが現れる.左は陽性例,右が陰性例.
図2
急性心筋炎の心電図
Ⅰ
V1
Ⅱ
V2
Ⅲ
V3
aVR
V4
aVL
V5
aVF
V6
入院 1 週間前よりかぜ様症状が出現し,全身倦怠感にて来院した時の心電図.広範な誘導で ST 上昇がみられる.
い.逆に限局性の ST 上昇を呈し,急性心筋梗塞と酷似
する例にも遭遇する.心ブロック(房室ブロックや脚ブ
1236
6
心エコー図
ロック,それに心室内伝導障害など)は頻繁にみられる.
心膜液貯留に加えて,炎症部位に一致した一過性の壁
QRS 波の幅が徐々に拡大してきたら悪化徴候である.
肥厚と壁運動低下が特徴的である.典型例では全周性求
不整脈では心室頻拍や心室細動,それに心静止の出現は
心性肥厚とびまん性壁運動低下,それに心腔の狭小化を
致死的である.よって,心筋炎患者の急性期では連続的
認める18,19)(図 3).初期には壁運動低下がみられない例
な心電図モニターを行う必要がある.
もある.特に小児例では心エコー図による観察が容易な
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
図3
心筋炎の心エコー図
収 縮 期
拡 張 期
心膜液貯留と全周性求心性肥厚,それにびまん性壁運動低下を認める.
ため,鑑別診断での有用性が高い.検査の感度および特
異性の高さより,心筋炎を疑ったら必ず心エコー図検査
9
を行う.
病状が許せば診断的価値が高い急性期に,心臓カテー
7
心臓カテーテル検査
テル検査を行う.まず,冠動脈造影法にて冠動脈の有意
MRI(核磁気共鳴法)
狭窄病変を除外する.次いで,心内膜心筋生検(生検)23)
ガドリニウム(Gd)造影 MRI により,炎症部位に一
にて心筋変性や心筋壊死像,それに両者に近接する炎症
致して T1 強調像が認められ,心筋炎と診断される例が
細胞の浸潤像が検出できれば心筋炎が確定診断される
ある.また最近では,炎症性浮腫の検出に MRI-T2 強調
(図 5).生検では,採取部位や標本の個数,採取時期に
より組織像の違いや偽陰性が避けられない24,25).そこで,
画像が注目されている20).
8
通常 3 ヶ所以上から標本を採取する.また,生検時期が
核医学検査
発症 10 日以内であれば大多数の症例で心筋炎組織像が
ガリウム-67( Ga)の心筋集積は大型単核細胞の浸潤
認められるが,回復期では診断率が大きく後退する.遷
67
像を反映しており特異性が高い が,感度はあまり高く
延例や重症例については経時的に生検を行い,心筋組織
ない.一方,梗塞心筋の描出に用いられるテクネシウ
炎症の活動程度を確認することが望ましい26).ただし,
ム-99m( Tc)ピロリン酸心筋シンチは比較的高感度
生検においては病変存在部を採取できているとは限らな
で心筋炎病巣に一致した集積像を描出する (図 4).
い(サンプリング・エラー)ので,病理所見が陰性であ
21)
99m
22)
っても心筋炎の存在は除外できない.
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1237
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
図4
心臓核医学検査
Tl シンチ像
201
99m
Tc-PYP シンチ像
Tl 心筋シンチでの欠損部位に一致して 99mTc ピロリン酸心筋シンチでの集積像がみられる(矢印の部位).
201
図5
心内膜心筋生検
心筋変性・壊死像とそれに近接する炎症細胞の浸潤像が検出される.リンパ球浸潤が主体であるが,ごく少数の好酸球もみられる.
1238
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急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
10
原因検索
4
4 診断法とその評価
患者血清を用いたウイルス抗体価の測定を行う.2 週
間以上の間隔で採取された急性期と寛解期のペア血清を
心筋炎の臨床診断は,「急性心筋炎の臨床診断の手引
用い,ウイルス抗体価の 4 倍以上の変動をもって陽性と
き」(表 4)に従い行う.基本的には急性心筋梗塞が除
判断する.ただし,その陽性率は概ね 10 % に過ぎず,
外診断でき,心筋生検で「心内膜心筋生検による急性心
さらに感染臓器の同定は不可能である.一方,ポリメラ
筋炎の診断基準」(表 5)に示される活動性病変が確認
ーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction: PCR)法や in
situ hybridization 法によって心筋からウイルスゲノムを
直接検出できれば心筋炎原因ウイルスを確認することが
できる(図 6)27).しかし,PCR 法によるウイルス検出
については測定施設による差があり,まだ標準的な臨床
検査法とはなっていない.
また,薬物を疑った場合には徹底した聞き込み調査を
行い,被疑薬候補を順次絞り込んでいく.その後で薬物
性リンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test:DLST)を行う.
図6
表5
心内膜心筋生検による急性心筋炎の診断基準
1.多数の大小単核細胞の浸潤1)(ときに少数の多核白血球,
多核巨細胞の出現).
2.心筋細胞の断裂,融解,消失.
3.間質の浮腫(ときに線維化).
注 1)浸潤細胞と心筋細胞の接近がしばしばみられる.
(付)
より確実な診断のための条件
1.ウイルス性感染を思わせる症状発現後早期に心筋生検を
行う.
2.生検による経時的観察は病態や治療効果の判定に有用で
ある.
3.生検標本は 3 個以上が好ましい.標本を多数の割面で観
察する.
4.電子顕微鏡,免疫組織学的手法はより詳細な情報を提供
し得る.
心筋内ウイルスゲノムの直接検出
in situ hybridization によって心筋内にマイナス鎖の HCV ウイルス RNA が検出されている.
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
1239
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
されれば診断は確定する.現在の日常診療レベルでは
4)心筋トロポニン I31)
個々の患者で直接病因を特定することはほぼ困難であ
トロポニン複合体はトロポニン C,T,および I によ
り,むしろ特定できないことが多い.したがって,ほと
って形成される.このうちトロポニン C は心筋と骨格
んどの患者が「特発性心筋炎」と診断される.しかし,
筋でアイソフォームが同じであるが,T と I は異なるた
状況証拠や実験的根拠から多くはウイルス性と考えられ
め心筋傷害の特異的なバイオマーカーとして活用されて
ている.
いる.欧米では心筋トロポニン I が,日本では心筋トロ
【急性心筋炎における診断法と有用性評価】
クラスⅠ(レベル C)
ポニン T が主に用いられている.心筋炎ではトロポニ
ン T と I の血中濃度の推移は近似するが,T の方がより
遅延する.
心筋生検
クラスⅡa(レベル C)
5)新たな核医学検査32)
2003 年の ACC/AHA/ASNC ガイドラインによると,
心筋トロポニン T,心電図,心エコー図,MRI,
Ga 心筋シンチ,99mTc ピロリン酸心筋シンチ
67
クラスⅢ
該当なし
●将来展望
1)可溶性 Fas ならびに Fas リガンド28)
組織学的に確診された急性心筋炎患者を検索したとこ
ろ,血漿可溶性 Fas 並びに Fas リガンド値の多寡が患者
67
Ga とインジウム-111(111In)抗ミオシン抗体心筋シン
チはクラスⅡb であり,エビデンスレベルは 67Ga シンチ
が B,111In 抗ミオシン抗体シンチが C と報告されている.
わが国では 67Ga と
99m
Tc ピロリン酸シンチが使用でき
る.他方,タリウム-201(201Tl)や
99m
Tc-MIBI による心
筋灌流欠損像,ヨード-123(123I)-BMIPPによる脂肪酸
代謝障害像,さらに
123
I-MIBG による心臓交感神経障害
像などの報告がある.
の予後を決定していた.初診時の急性心筋炎患者の血漿
可溶性 Fas ならびに Fas リガンド値は高く,さらに死亡
者と生存者には有意差がみられる.
Ⅳ
治 療
29)
2)インターロイキン-10(IL-10)
入院時に血漿 IL-10 値を ELISA 法にて測定し,急性
心筋炎と劇症型心筋炎を比較検討した.その結果,臨床
1
1 急性期管理と治療
像では急性心筋炎と劇症型心筋炎で差異を認めなかった
ものの,血漿 IL-10 値は劇症型心筋炎で有意に高値であ
心筋炎は無症状から突然死まで幅広い病像を示すとさ
った.しかも劇症型心筋炎の死亡群における IL-10 値は
れるが,一般的な急性心筋炎に限ればその基本的な病状
生存群より上昇していた.すなわち,入院時血漿 IL-10
や経過は比較的単一である.すなわち,炎症期が 1∼2
値は急性心筋炎の進展や劇症化を予測できる.
週間持続した後に回復期に入る.心筋炎では,心筋壊死
とともに炎症性物質による心筋細胞機能障害がおこり,
30)
3)テネイシン-C(tenascin-C)
1240
両者が合間って心ポンプ失調を形成する.多くは炎症に
テネイシン-C は胎児期の形態形成や創傷治癒などに
伴う可逆的な心筋機能低下がより強く,急性期に全く収
伴って発現する細胞外マトリックス蛋白の一つである.
縮しなかった左室壁が回復期にはほぼ正常化することも
成人正常心では発現しないが,様々な病態で再発現する.
まれではない.したがって,心筋炎に対する介入点は次
例えば,心筋炎では炎症活動期に特異的に発現し,その
の三つに集約される(図 7).
発現程度は炎症や心筋壊死の程度を反映する.この特異
第一は原因に対する介入である.ウイルス性心筋炎に
的な発現様式を心筋炎患者で検証すると,生検標本でも
対して一般的に臨床使用可能な抗ウイルス薬はまだ開発
発現が確認された.しかもテネイシン-C の発現程度は
されていない.一方,巨細胞性心筋炎や好酸球性心筋炎
心筋炎の病状と相関した.心筋組織でのテネイシン-C
などの特殊型のなかには発症機序にアレルギーや自己免
の発現は,漸減するものの発症 30 日後でも検出できた.
疫が関わっているものがある.そのような病態にはステ
一方,血清テネイシン-C 濃度も初診時に有意な上昇が
ロイドや免疫抑制薬が有効と考えられる.それに対して,
見られ,5 日目で正常に復した.
ウイルス性心筋炎ではステロイドや免疫抑制薬はウイル
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
図7
心筋炎における心機能障害の経過と介入ポイント
左室機能
心筋壊死
自然治癒までの循環管理
原因に対する治療
心筋機能抑制
心筋炎
心筋機能抑制に対する治療
スの駆除が遅れ,心筋炎が遷延する.したがって,心筋
ことが可能である.ステロイド短期大量療法(ステロイ
炎の急性期にステロイドや免疫抑制薬を使用するには,
ド・パルス療法)はこの観点からの介入法であるが,そ
ウイルス感染の除外が必須であり,現状では心筋生検に
の効果については評価が定まっていない.大量免疫グロ
て特殊な心筋炎が確定診断されない限り,急性期にはス
ブリン療法や血漿交換療法なども検討されている.
テロイドや免疫抑制薬を積極的に使用しないのが原則で
ある.
心筋炎に対する第二の介入点は自然軽快までの血行動
態維持である.急性期には心原性ショック,房室ブロッ
ク,心室頻拍,心室細動,心静止などにしばしば陥る.
このような背景を踏まえ,急性心筋炎症例では病態別
に以下のように対処していく.
1
無症状・軽徴候例における対処
急性心筋炎と診断されても,心徴候のみで心症状が顕
したがって,心筋炎患者では循環および呼吸動態に基づ
著でないのであれば,入院処置による安静臥床と,バイ
く心肺危機管理が全例で必要である.薬物による血行動
タルサインや心電図,心エコー図,心筋トロポニン T
態維持は一般の急性心不全患者と同じであり,利尿薬や
値などの注意深い経過観察のみで対処できる.ただし,
カテコラミン薬などが用いられる.房室ブロックや心室
急変時の心肺危機管理に迅速対応が可能な状況を構築し
細動などの不整脈を合併したら,それぞれ体外式ペース
ておく.ウイルス感染を増強する恐れがあるため,発熱
メーカーや直流除細動にて対応する.心原性ショックあ
に対しても NSAID などの鎮痛・解熱薬はなるべく使わ
るいは低心拍出状態に陥ったら大動脈内バルーンパンピ
ない.
ング(intraaortic balloon pumping:IABP)や経皮的心肺
補助装置(percutaneous cardiopulmonary support:PCPS)
2
不整脈治療
を装着する.急性心筋炎は一定期間の心肺危機管理の後
高度心ブロックによる徐脈には一時的体外式ペーシン
に心機能回復が期待できるため,心肺危機を一定期間回
グを行う.一方,期外収縮の頻発や非持続性心室頻拍に
避できる循環補助装置のよい適応病態である6).
対しては安易な薬物療法を行わず,原則として高頻度ペ
第三は炎症性物質による心筋機能抑制からの解放であ
ーシングを行うか,経過観察とする.心筋炎では抗不整
る.炎症性サイトカインや一酸化窒素(NO)は高濃度
脈薬は効果が乏しく,むしろ不整脈を誘発することが少
になると心筋細胞の機能を抑制し,さらには細胞傷害を
なくない.心室頻拍や心室細動には直流通電を行なう.
も惹起する.心筋炎に直接介入出来なくとも,炎症性物
これら致死的不整脈が頻発し血行動態を維持できない場
質による心筋抑制を解放できれば,急性期を乗り切れる
合は PCPS のよい適応である.
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
1241
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
3
心不全管理
広範な心筋炎は心収縮力を低下させ,ポンプ失調を招
来する.カテコラミン薬,ホスホジエステラーゼ(PDE)
阻害薬,hANP 薬(カルペリチド)などを用いて急性期
を乗り切る.ジギタリスは強心効果よりも催不整脈作用
が強いので使用を避ける.治療に抵抗して高用量の強心
薬が必要な場合には補助循環導入の適応を検討する.
鎮痛・解熱薬
クラスⅢ
ジギタリス
●将来展望
1)抗炎症性サイトカインによる治療36)
IL-10 は種々のサイトカイン産生を抑制することか
ら,IL-10 による抗炎症作用が期待できる.ウイルス性
IABP や PCPS の積極導入により救命できる症例があ
心筋炎モデルにおいて,IL-10 は腫瘍壊死性因子-α
る 6).心筋炎からの治癒が期待でき,PCPS が長期化す
(TNF-α)や IL-2 などのサイトカインおよび誘導性 NO
るようであれば左室補助装置(left ventricular assist
合成酵素(iNOS)による NO の産生を抑制することに
system:L-VAS)も有効である.
より,心筋障害を軽減した.IL-10 は他のサイトカイン
4
難治例への追加治療法
と異なり副作用が少ないことが想定され,今後の臨床応
用が期待される.
炎症が遷延し血行動態の改善が得られない場合には,
ステロイド短期大量療法を試みる.著効例があるのは事
2)サイトカイン遺伝子治療37)
実であるが,ステロイドの適応そのものが課題となって
近年開発された in vivo 電気穿孔法は,プラスミド筋
いる33).一方で,劇症型心筋炎に対する大量免疫グロブ
注法と電気穿孔法を組み合わせたもので,強力な発現力
リン療法(2.0 g/kg)の有効性が注目されている34).大
をもつ CAG プロモーターを用いることにより高度かつ
量免疫グロブリン療法には抗原非特異的な免疫抑制作
長時間の治療遺伝子の発現が可能である.この方法の活
用,免疫調節作用,抗炎症作用があり,既に特発性血小
用により,マウス心筋炎モデルにおける IL-10 および
板減少性紫斑病や川崎病患者に用いられてきた.大量に
IL-1ra 遺伝子導入が有効であった.
投与された免疫グロブリンの Fc 部分がマクロファージ
の抑制性 Fc 受容体と結合し,それ以降の過剰な抗原提
3)NF-κB 阻害薬38∼40)
示やサイトカイン分泌などの炎症反応を抑制すると考え
カルシウム感受性増強作用を併せ持つ PDE 阻害薬ピ
られている35).したがって,Fab 分画製剤ではこの作用
モベンダンは,慢性心不全の心事故発生を減少させるが,
が期待できない.ウイルス性心筋炎では,投与された免
ウイルス性心筋炎モデルの生存率をも改善させた.その
疫グロブリンのウイルス中和抗体価が高ければウイルス
作用機序として心筋内の IL-1α,IL-6,TNF-αや NO 産
の駆除にも役立つ.この治療はウイルス性心筋炎と自己
生の低下があげられる.これは転写因子 NF-κB の活性
免疫/アレルギー性心筋炎の両者に有効な可能性がある.
化抑制に基づく.新しく合成された選択的 NF-κB 阻害
最大の難点は保険適応でないことである.
薬もサイトカイン抑制作用により心筋炎を軽減したこと
5
急性期以降の管理
から,NF-κB を標的とした新しい心筋炎治療が模索さ
れている.
心筋トロポニン T 値がピークを越え心肺危機が遠の
いたと判断できたら,心筋保護を期待して ACE 阻害薬
を投与する.
【急性心筋炎の治療法と適応評価】
ウイルス病因が明らかな場合はインターフェロンやリ
バビリン(ribavirin)による抗ウイルス療法が有効であ
ろう.インターフェロンやリバビリンは脳心筋炎ウイル
クラスⅠ(レベル C)
ス性心筋炎,コクサッキーウイルス性心筋炎に実験的に
IABP,PCPS
は有効である.また両者の併用療法は現在 C 型肝炎に
クラスⅡa(レベル C)
対する標準治療となっている.今後,C 型肝炎ウイルス
カテコラミン薬,PDE 阻害薬,カルペリチド,大
を含めたウイルス性心筋炎に対する治療法として期待さ
量免疫グロブリン療法,ステロイド療法,ACE 阻
れる.また WIN54954 が実験的ピコナウイルス性心筋炎
害薬
に有効であったとの報告もある.
クラスⅡb
1242
4)抗ウイルス療法41∼43)
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
5)免疫抑制薬44)
型心筋炎 21 例,慢性心筋炎(遷延性)3 例,慢性心筋
新しい免疫抑制薬 FTY720 は移植拒絶反応を著明に抑
炎(不顕性)15 例であった.このとき各病型の初回入
制し,その臨床応用が期待されている.注目すべきは,
院での死亡率は急性 22 %,劇症型 43 %,慢性遷延性 33
この薬がウイルス性心筋炎にも有効なことである.すな
%,慢性不顕性 40 % であった.また心筋炎が改善して
わち,従来の免疫抑制薬はウイルス感染を悪化させるが,
退院できた場合の遠隔期死亡は少数で予後良好であった
この薬は病因にかかわらず心筋炎を回復させる.
が,慢性不顕性型心筋炎では遠隔期死亡が少なからず観
察された.一方,日本循環器学会学術委員会が全国調査
6)アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
により集計した劇症型心筋炎の急性期死亡率は 42 % で
45,46)
アンジオテンシンⅡ(AⅡ)は,STAT,AP-1,NF-κB
などの転写因子を活性化させ,AT1 受容体を介して血管
ある6).組織分類に基づくと巨細胞性心筋炎 6 例中 5 例
が死亡し,リンパ球性心筋炎に比べ予後が不良であった.
の炎症や炎症細胞の遊走を惹起し,また線維芽細胞から
IL-6 や TNF-αを産生させる.ウイルス性心筋炎モデル
での検討では,炎症のごく初期に血中 AⅡは高値に達し,
Ⅵ
特徴ある心筋炎の診断と治療
AT1 受容体拮抗薬投与は炎症を著明に抑制した.一方,
AT 1 受容体欠損マウスに脳心筋炎ウイルスを接種する
と,NF-κB の活性化抑制,IL-6 やTNF-αの発現抑制と
ともに心筋炎は軽減した.したがって,AⅡによるNF-
1
1 劇症型心筋炎
κB 活性化を介したサイトカイン発現亢進が心筋炎発症
に重要であることが示唆され,ACE 阻害薬や ARB 薬は
抗炎症作用により心筋炎を軽減する可能性がある.
1
背 景
致死的心筋炎としての劇症型心筋炎の認知は,約一世
7)マスト細胞の活性化抑制による治療
47)
紀前の Fiedler による記載にさかのぼる51).一方で,体
マスト細胞はアレルギー性炎症に関与することが知ら
外補助循環装置の一般的普及に伴う救命例の出現が,劇
れていたが,近年心肥大から心不全への移行に重要な役
症型心筋炎の「劇症」とする定義を不明確にしてきてい
割を果たすことが報告された.マスト細胞を欠損するマ
る48).すなわち,劇症型心筋炎の定義は国際的にも未だ
ウスではウイルス増殖にかかわらず心筋炎は軽度であ
確立してはいない.ここでは,わが国で主に常識的に認
り,一方,マスト細胞活性化を抑制する薬物によりウイ
知されている「血行動態の破綻を急激にきたし,致死的
ルス性心筋炎が軽減した.
経過をとる急性心筋炎」を劇症型心筋炎ととらえ52),主
に「体外循環補助を必要とする重症度を有する」ものを
その対象とする.
Ⅴ
予後・自然歴
2
診 断
①症 状6):発症初期より血行動態の破綻をきたす例も
急性心筋炎の自然経過はいまなお明らかでない.厚生
省特定疾患特発性心筋症調査研究班による調査
15)
では,
あるが,一方で軽度な初期症状でも急速に劇症化へ向
かう症例が存在することをまず認識すべきである.単
274 例中の 13 例(4.7 %)が発症 1 ヵ月以内に死亡して
なるかぜとして診療されそうな軽い倦怠感のみで,
いた.死因は心原性ショック 6 例(46 %),うっ血性心
NYHA 心機能分類1度で初診している劇症型心筋炎例
不全 5 例(38 %),完全房室ブロック 2 例(15 %)であ
すら存在する.その病状変化は日単位から,時に時間
る.つまり,心筋炎の急性期診療ではポンプ失調と致死
単位で進行することもある.初発症状としては通常の
的不整脈が主な臨床課題である.一方,心筋炎は病因や
急性心筋炎と同様に,発熱を伴うかぜ様症状(63 %)
.ここで,わが国で組織
や嘔吐・下痢などの消化器症状(23 %)を併発する.
学的に心筋炎が確認できた 48 症例についての臨床病型
主症状としては,ショックを含む心不全症状(69 %)
別予後を検討した報告を参照する50).組織型では,リン
と不整脈による動悸や失神(24 %),それに長時間続
病型によって予後も異なる
48,49)
パ球性心筋炎 41 例,巨細胞性心筋炎 6 例,好酸球性心
筋炎 1 例であり,臨床病型では,急性心筋炎 9 例,劇症
く胸痛(18 %)が多くみられる.
②身体所見:かぜ症状としての発熱のほかに,循環不全
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
1243
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
を合併している場合には,虚脱様外観,低血圧,脈圧
り,それぞれ特徴的な臨床経過が予想される.
減少,脈拍微弱,末梢冷感,尿量減少などが診断の参
⑧血行動態:劇症型の定義として循環虚脱があるため,
考となる.脈拍数は発熱の程度に比して頻脈が強い傾
血行動態評価は診断の要となる.血行動態が不安定な
向を示す.逆に,完全房室ブロック出現時には発熱に
場合はスワンガンツカテーテルによるガイドを行い,
不釣合いな徐脈が心筋炎診断のきっかけとなることも
体・肺うっ血,心拍出,末梢循環を評価する.すなわ
ある.肺ラ音や奔馬調律も聴取されるが,高度な心ポ
ち,心拍出量(1 回拍出量を含む),肺動脈楔入圧,
ンプ失調の割には左心不全徴候が顕在化しない例も散
中心静脈圧,体・肺動脈圧,動脈血酸素飽和度(SaO2),
見される.
混合静脈血酸素飽和度(SvO 2)を測定する.尿量減
③血液生化学検査:心筋炎診断での感度・特異度から血
少は末梢循環不全の最も鋭敏な臨床指標のひとつであ
中心筋トロポニン T 値の測定が必須である16).トロッ
る.各指標の絶対値評価も重要であるが,綿密な経時
R
プテスト が短時間で陽性化するほどに初診時の心筋
的変動の観察が劇症化移行を把握する最も確実な評価
トロポニン T 値が著高しているか,あるいは経時的
法である.
に心筋トロポニン T 値が上昇し続ける場合は心筋炎
が劇症化する可能性を考える.
一方,循環動態を反映する血液指標も劇症化の存在
【劇症型心筋炎の予測診断法と適応評価】
クラスⅠ
診断に欠かせない.すなわち,乳酸,塩基過剰(base
excess)や,多臓器不全指標としての総ビリルビン値
該当なし
クラスⅡa(レベル C)
やクレアチニン値などが重要である.
経時的循環動態観察,経時的心エコー図変化,経時
④胸部 X 線:急性心筋炎では劇症化症例であっても,
的心電図変化,血中心筋トロポニン T 値の経時的
急速な進行を反映して心胸郭比増大が顕著でない場合
(15 %)や,右心系優位の心筋炎のため肺うっ血像を
推移
クラスⅡb
認めない場合(29 %)があり6),注意が必要である.
初診時循環動態,初診時心エコー図,初診時心電図,
⑤心電図6):心筋炎診断における感度の高い心電図所見
は ST-T 変化(100 %)であり,異常 Q 波(80 %),低
電位差あるいは R 波減高(94 %)などを認めるが,
劇症化の予測項目として一時点での心電図所見には限
界がある.むしろ心電図変化の経時的推移が重要であ
り,特に QRS 幅の増大や心室性不整脈の頻発は劇症
化に向かう予兆となる.また完全房室ブロックや房室
解離(35 %)が劇症化例に多い.
心筋生検
3
治 療
①急性期管理
A)循環補助
わが国での急性心筋炎の多くはウイルス感染に起因
し,かぜ類似の一相性経過をとる.すなわち,心筋炎極
⑥心エコー図:急性心筋炎では左室壁運動低下と低下部
期をのりきれば劇症型といえども自然軽快する.したが
位に一致した壁肥厚がみられ ,劇症型例ではびまん
って,最も重要な急性期管理方針は,心筋炎による血行
性にみられる.劇症化の予測に関して一時点での観察
動態の破綻を回避し,自然回復の時期までいかに橋渡し
では限界があり,左室駆出率低下(40 % 未満)が劇
をするかに尽きる.事実,後述する様に,従来救命し得
症型に多いとする報告がある程度である .むしろ,
なかった劇症型心筋炎症例の社会復帰が循環補助により
壁運動低下と壁肥厚所見の経時的観察が重要である.
可能となってきた.
18)
53)
時にその変化は急速である.一方,このような変化が
軽減した場合には心筋炎の病勢がピークを過ぎたこと
1.循環動態補助の種類:
を示す.なお,心タンポナーデは少量の心膜液貯留に
a)IABP
ても出現するため,奇脈の存在とともに右房や右室の
拡張期虚脱所見を見逃さないようにする.
1244
下行大動脈に留置したバルーンを心電図同期させ,収
縮・膨張により後負荷軽減を図る.その循環補助効果は
⑦組織診断:劇症型心筋炎を非劇症型と病理学的に鑑別
自己心機能に依存するため,極めて高度な血行動態破綻
する方法は今のところない.これは,心内膜心筋生検
時には効果が不充分となる.また,頻脈性心室不整脈時
によるサンプリング・エラーの影響が大きいためであ
に循環補助効果は期待できない.一方,PCPS 施行時は
る.ただし,心筋組織内の好酸球や巨細胞の検出によ
IABP 併用が推奨される.その理由として,i)後負荷の
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
減弱,ii)組織血流の拍動流化,iii)PCPS 離脱時のバッ
管理初期から意識混濁や乏尿など臓器灌流低下による
クアップ,があげられる.
多臓器不全を呈している患者も,躊躇せず PCPS を導入
b)PCPS
する.一方,心ポンプ失調が徐々に進行する患者では,
大腿静脈から挿入したカテーテルより右房脱血を行
循環指標を経時的に観察しながら,強心薬投与,IABP,
い,膜型人工肺を介し,遠心ポンプを用いて大腿動脈に
PCPS と順次治療法を追加し強化していく.劇症型心筋
挿入したカテーテルより下行大動脈に送血する.循環補
炎では原病による循環不全が主死因であるが,循環補助
助装着が簡便であり,また自己心拍出量の 6 割前後もの
の装着に伴う合併症も無視できないため,過剰な使用は
循環補助が期待できることから,劇症型心筋炎での主な
厳に慎むべきである.
循環補助装置として推奨されている.しかし,i)人工
また,劇症型心筋炎での心タンポナーデ併発は血行動
肺の寿命が約 1 週間,ii)カテーテルによる血流アクセ
態の更なる悪化をもたらすため,的確な対処が必須であ
スが不可能な場合には使用できない,iii)後負荷増大,
る.貯留する心膜液の多くは比較的少量であり,経皮的
などの難点もある.
な心膜穿刺は困難なことが少なくない.その場合は,直
c)L-VAS
視下で横隔膜下より心膜腔ドレナージ管を留置する.
左室(もしくは左房)脱血後,ポンプにより大動脈に
送血する.装着は開胸下に手術する侵襲性が最大の難点
3.PCPSの運用(図 8)6)
である.しかし,長期補助が可能で,確実な左心減負荷
劇症型心筋炎の循環補助では,PCPS の適正使用に最
が期待できる.PCPS 補助でも低心拍出状態による多臓
も重点が置かれる.その際,i)導入適応と導入時期,ii)
器不全が進行し,心筋炎の回復が望める場合,あるいは
心拍出および末梢循環の適切な把握と十分な循環補助量
カテーテルによる血流アクセスが出来ない小児例では
の設定,iii)合併症予防対策,に留意する.ここでは,
L-VAS 導入をはかるべきである.
「心肺補助循環を用いた劇症型心筋炎の治療と予後に関
する調査研究」6)で提唱された PCPS 運用ガイドライン
2.循環補助の適応
循環補助の適応は,致死的不整脈(心静止を含む)と
に基づいて解説する.
なお,PCPS のような侵襲的治療法では,その有用性
心ポンプ失調による低心拍出状態の二つである.
の一方で常に合併症派生の可能性が存在する.したがっ
a)致死的不整脈
て,その導入にあたっては患者および家族に説明をわか
突然の循環虚脱に伴う生命危機,特に中枢神経系合併
りやすく行い,十分に理解していただいたうえで同意書
症の発生を最小限にすることが重要である.すなわち,
を文書の形で残すことを原則とする.また,その円滑な
適切な心肺蘇生がまず求められる.PCPS などで循環不
運用には一定のトレーニング効果が見られるため,熟練
全から脱却できても,心肺蘇生不成功では社会復帰は望
施設または医師にセカンド・オピニオンを求める態度も
めない.
必要であろう.
劇症型心筋炎例での心室頻拍に対して,薬物治療ある
a)PCPS の導入
いは直流通電の成功率は高くない.一旦除細動が成功し
致死的不整脈による循環虚脱では抗不整脈薬や IABP
たかに見えても再発を繰り返す.直流通電で効果がみら
の効用には限界があり,直流通電が不成功と判断すれば
れない場合は,すみやかに PCPS 導入に踏み切る.なお,
すみやかに PCPS を導入する.一方,心ポンプ失調によ
PCPS 導入後には,心室頻拍が自然に解除されることも
る低心拍出状態時には循環指標を経時的に評価し,段階
しばしば経験される.
的に PCPS 導入の必要性を判断する.その際の臨床指標
一方,徐脈性不整脈の出現時は,カテコラミン薬やア
には,尿量の著明な減少や SvO2 60 % 未満,1 回心拍出
トロピンを使いながら一時ペーシングを早急に開始す
量係数 20 mL/分/m2 未満,代謝性アシドーシス,各臓
る.心筋炎極期では閾値上昇により最適ペーシング部位
器機能を反映する血液生化学検査(血清総ビリルビン,
の選択が困難なことがあるので,X 線透視下で留置する.
クレアチニン値など)の増悪などがあげられる.
また,心房・心室の同調による心拍出増大を期待して,
b)PCPS の運用
DDD ペーシングも活用する.なお,心電図での QRS 波
循環不全の解除を十分かつ迅速に行うべく,必要補助
が幅広くなって心室内伝導障害が急速に進行する例で
流量を決定する.前述の末梢循環指標を基に設定流量の
は,予防的にバックアップペーシングを行う.
増減を図るが,初期流量としては 3∼3.5 L/分前後の十
b)心ポンプ失調による低心拍出状態
分な流量設定が無難である.ただし,高補助流量の長期
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
1245
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
図8
劇症型心筋炎における PCPS 管理図
適応 1:心室頻拍,心室細動,心静止
by-stander CPR が施行され中枢神経系
合併症が最小限であることが前提
心肺蘇生
適応 2:低心拍出量状態
大腿動静脈にシースを留置
成 功
カテコラミン,PDE-Ⅲ阻害薬
不 成 功
VT・Vf に際し 3∼5 回の電気的除
細動で効果なしと判断
末梢循環不全の改善がない
IABP(大動脈内バルーンパンピング)
末梢循環不全の改善がない
PCPS(経皮的心肺補助)
適応 1 の場合は IABP を併用
1)初期補助流量の決定:3.0∼3.5 L/分で開始し,循環不全が生じない最低の 補
助流量に調節する
2)送血回路から下肢バイパスを設ける
3)抗凝固:ACT 250 秒,ヘパリンコーティング回路なら 150∼200 秒,何れも
300 秒を越えないように調節
管 理
1)循環不全指標:SVO 2 ,乳酸,総ビリル
ビン,動脈血ケトン体比,アシドーシス,
生化学検査,尿量
2)心機能指標:壁運動,駆出率,駆出時間,
心拍出量係数,終末呼気炭酸ガス分圧
(ETCO2)
上記指標を参考に,循環不全がなく心機能
が改善する状態を維持する.
合併症対策
1)多臓器障害,循環不全の進行:補助流量増加,持続的血流濾過(CVVH),
メシル酸ナファモスタット,ウリナスタチンの併用,DIC に注意
2)下肢阻血:下肢バイパス,脹張切開,切断
3)出血:メシル酸ナファモスタットを併用し ACT 150∼200 秒とする.Hb
10 g/dl,Plt 5.0×104/mm3 以上を保つよう輸血
4)溶血:ハプトグロビン投与,脱血不良を避ける
5)感染:感染源検索と抗生剤投与,DIC,敗血症に注意
6)高 K 血症:原因検索,原因除去,CVVH,グルコース・インスリン療法
7)脱血不良:PA 20∼30/10∼15 mmHg を目安に輸液負荷
離脱準備
補助流量の減量:心機能改善が認められれば補助流量を 0.3∼0.5 L/分で減量し,
循環不全がなく駆出時間が最も長くなるような補助流量を設定していく.減量後,
循環不全が生じていれば元の流量に戻す.可及的に流量減量を試みる.
離脱考慮
補助流量が 1.5 L/分まで減量でき,循環不全の指標で,SVO2>60%,総ビリル
ビン<3 mg/dl,乳酸正常値,動脈血液ガス分析でアシドーシスがない,生化学
検査で臓器障害が進行していない,尿量が保たれている.心機能指標で,壁運動
の改善,駆出時間>200 msec,ETCO2≒PaCO2,心拍出量係数>2.0 L/分/m2 で
あれば離脱を考慮する.
離 脱
補助流量を 1.0 L/分に減量し,循環不全および心機能の指標に悪化傾向がなけれ
ば直ちに離脱する.
1246
持続は後負荷増大による心負荷をもたらし,時に溶血を
設定を試みる.離脱に際しては,各循環指標の改善と維
伴う.各循環指標と心エコー図による駆出時間を参考に,
持を前提に段階的に補助流量を漸減させる.IABP は
薬物に依存しない補助循環のみによる必要最低限の流量
PCPS 離脱時の循環補助として有用であり,PCPS 離脱
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
後に薬物再開による応援を受けながら順次離脱する.
投与は原則として適応としないのが妥当である.なお,
c)合併症対策
ステロイド奏効例として,高度な心ブロックや壁肥厚の
i )下肢阻血
存在をあげる報告がある54).また,巨細胞性および好酸
PCPS 活用の黎明期では,心機能改善に向かいながら
も多臓器不全にて死亡する劇症型心筋炎例が多く,下肢
球性の組織病変では奏効すると報告されている57).
b)大量免疫グロブリン療法
阻血がその主因であった.脱送血カテーテル径と大腿動
大量免疫グロブリン療法はウイルス性および自己免疫
静脈径との不適合の場合もあるが,カテーテル挿入時の
性心筋炎モデルの両者で有効性が報告された58,59).この
頻回穿刺による出血が原因と推測される場合もある.劇
ことから重症型のヒト心筋炎への応用が模索され,完全
症型心筋炎では動脈拍動が微弱であり,技術的にカテー
型免疫グロブリン製剤 2.0 g/kg を 2∼3 日間静注する方
テル挿入は困難なことが多い.したがって,PCPS 使用
法が一般的である.しかしながら,心筋炎を含む心筋疾
候補患者では動脈触知が可能な時点であらかじめ大腿動
患での有効性が否定的な大規模臨床試験の報告60)もみら
静脈にシース留置を行い,緊急時の PCPS 導入に備える
れる.生物製剤であることや対費用効果についても問題
ことを勧める.また,PCPS 導入後はすみやかに阻血を
点として指摘されており,適応にあたっては慎重な対応
予防するため,送血回路から下肢バイパスを設ける.多
が望まれる.
くは足背動脈もしくは後徑骨動脈にカニューラを求心方
向に向けて留置する.阻血が発生してからのバイパス設
置は効果的でない場合が多い.
ii)出血・溶血・抗凝固
体外循環としての PCPS 施行時は,抗凝固療法として
のヘパリン使用が必須である.使用期間中は活性化プロ
トロンビン時間を経時的に測定し,投与量を調整する.
【劇症型心筋炎における治療】
クラスⅠ(レベル C)
PCPS,IABP,一時ペーシング,L-VAS
クラスⅡa(レベル C)
カテコラミン薬,PDE 阻害薬
クラスⅡb
広範な溶血はときに不可逆的な腎不全をもたらす.
大量免疫グロブリン療法,ステロイド療法(巨細胞
iii)多臓器不全
性および好酸球性心筋炎ではクラスⅡa),カルペリ
腎不全時や体液量調整の必要性がある場合は持続的血
チド
液濾過を併用する.また,長期 PCPS 運用時は感染が必
クラスⅢ
発であり,初期からの広域抗生剤使用が勧められる.
B)免疫制御療法
抗不整脈薬,ジギタリス
②慢性期管理
次に挙げる治療法には奏効した症例報告が多数見られ
劇症型心筋炎は PCPS 導入による循環補助をもってし
るが,確立されたエビデンスはない.しかし,心筋炎に
ても約4割の死亡が認められ,その予後の多くは回復期
対する根治療法が存在しない現状では,難治例での使用
への橋渡しの成否に左右される.また,社会復帰しても
は是認される.すなわち,劇症型心筋炎での平均的な
退院後 3 年間で心事故発生を 16 % に認めている6).劇
PCPS 使用が約 1 週間であることを考えると,劇症化開
症型心筋炎の多くは高度な心筋炎の結果として心室リモ
始から 3∼4 日を経ても心機能や心ブロックの改善が見
デリングが避けられない.したがって,急性期からの回
られない場合は下記療法を試みる根拠となる.
復後は,①心筋炎症の遷延化・再発,②心室リモデリン
a)ステロイド短期大量療法
グに伴う慢性心不全,③不整脈,への対応に留意する.
ステロイドは抗炎症薬,免疫反応抑制薬として広くそ
ウイルス再感染による①はまれで,症例報告がわずかに
の有効性が確認され,劇症型心筋炎においても古くから
みられるほどである.②,③はそれぞれ ACE 阻害薬投
その有効性が報告されてきた54).しかしながら,ヒト心
与を基本とする慢性心不全・心臓突然死対策に準ずる.
筋炎症例での代表的な大規模臨床試験(Myocarditis
いずれにせよ,長期の経過観察や疾病管理を怠らないこ
Treatment Trial )では,ウイルス感染が想定されるリ
とが必要である.
55)
ンパ球性心筋炎における免疫抑制療法は生命予後・心機
能とも改善させなかった.これは,ステロイド投与がマ
ウスでのウイルス性心筋炎を増悪させた報告56)を支持す
る.したがって,ウイルス性心筋炎に対するステロイド
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
1247
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
告から巨細胞性心筋炎にはステロイド治療(プレドニン
2
2 巨細胞性心筋炎
40 mg/日から開始)が行われるのが一般的である.劇
症型心筋炎として発症した場合は免疫グロブリン大量療
1
診 断
巨細胞性心筋炎は病変部に多核巨細胞が出現する心筋
炎である61).心筋生検あるいは剖検による組織学的検索
で診断が確定する.劇症型心筋炎の臨床病型をとること
が多いが,一部には慢性不顕性に発症する症例もある.
法やステロイド短期大量療法を先行させる.心サルコイ
ドーシスの場合は治療開始量がプレドニン 30 mg/日程
度であるが,病状の激しさと予後の差から巨細胞性心筋
炎の治療開始ステロイド量は多めに設定されている.
【巨細胞性心筋炎に対する免疫制御療法の治療指針】
後者の場合,心サルコイドーシスとの鑑別が問題とな
A.臨床病型が急性の場合
る
1.ステロイド短期大量療法(パルス療法)
.巨細胞性心筋炎は病変が主として単核球浸潤と
62,63)
心筋壊死によって構成されているのに対して,心サルコ
イドーシスでは類上皮細胞肉芽腫が中心である.さらに
メチルプレドニゾロン 1000 mg/日×3 日間
2.ステロイド導入および維持療法
心サルコイドーシスでは注意深い検索により心臓以外に
導入量 プレドニゾロン 40 mg/日
病変を確認できることが多い.両者は予後が著しく異な
維持量 プレドニゾロン 5 mg/日
り,巨細胞性心筋炎の方が予後不良である.ただし,両
者の分類はあくまでも臨床病型と組織所見の差に注目し
3.大量免疫グロブリン療法(巨細胞性心筋炎を対象と
した臨床試験はない)
たものであり,それぞれの病因はいずれも不明とされて
完全型免疫グロブリン製剤で低塩製剤が望ましい.
いる.したがって,両疾患が同一病因による,異なった
1.0∼2.0 g/kg を 2 日間で静注
表現型である可能性は否定できない.このような背景を
勘案し,以下のような観点でこの心筋炎の診断を行う.
(1)心内膜心筋生検(あるいは剖検)で単核球浸潤・
4.免疫抑制療法(巨細胞性心筋炎を対象とした臨床試
験はない)
プレドニゾロン 1.0 mg/kg + アザチオプリン 2.0
心筋壊死とともに多核巨細胞を認める時に巨細胞
mg/kg
性心筋炎と診断する.
サイクロスポリン 導入時血中濃度 100∼200 ng/
(2)非乾酪性類上皮細胞肉芽腫病変があり単核球浸潤
ml
が少ない場合,あるいは他の臓器にサルコイドー
シスの所見が明らかな場合は,心サルコイドーシ
B.臨床病型が慢性の場合
スと診断する.
1.ステロイド導入および維持療法
【巨細胞性心筋炎の診断法と有用性評価】
クラスⅠ(レベル C)
心筋生検
該当なし
験はない)
mg/kg
サイクロスポリン 導入時血中濃度 100∼200 ng/
クラスⅢ
該当なし
治 療
多数の巨細胞性心筋炎を集計した検討では,免疫抑制
療法を行わなかった症例の平均生存期間は 3 ヵ月である
のに対し,ステロイド治療により 3.8 ヵ月に延長し,さ
ml
【巨細胞性心筋炎における治療法とその適応評価】
クラスⅠ(レベル C)
IABP,PCPS
クラスⅡa(レベル C)
らに他の免疫抑制薬の併用により 11.5 ヵ月にまで延長
カテコラミン薬,PDE 阻害薬,カルペリチド,ス
していた .これまで巨細胞性心筋炎に対するステロイ
テロイド療法
57)
ドあるいは免疫抑制薬の効果を前向きに検討した臨床研
究はないが,多数例を扱った後向き研究の結果と症例報
1248
維持量 プレドニゾロン 5 mg/日
2.免疫抑制療法(巨細胞性心筋炎を対象とした臨床試
プレドニゾロン 1.0 mg/kg + アザチオプリン 2.0
クラスⅡ
2
導入量 プレドニゾロン 40 mg/日
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
クラスⅡb
免疫グロブリン療法,免疫抑制療法
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
表6
クラスⅢ
ジギタリス
下記の必須 5 項目が認められれば好酸球性心筋炎が強く
疑われる.なお冠動脈造影などによって,急性心筋梗塞を
鑑別する必要がある.確定診断は心筋生検による.
3
3 好酸球性心筋炎
1
背 景
好酸球性心筋炎は,心筋に浸潤した好酸球の顆粒中に
含まれる好酸球性カチオン蛋白(eosinophilic cationic
protein:ECP)や主要塩基性蛋白(major basic protein:
MBP)などの細胞毒性物質により生じる64∼71)と言われて
いる.大多数例で末梢血の好酸球数増加がみられるが72),
好酸球数増加が認められない症例も存在する72∼74).原因
はアレルギー性疾患,薬剤過敏症,寄生虫感染から特発
性まで様々である74).最も多いのは特発性であり,半数
を占める74).なお,本症の予後は必ずしも悪くなく,急
性期における死亡率は 7 % 程度である72,74).
2
好酸球性心筋炎の診断手引き
診 断
心筋炎としての診断は「急性心筋炎の臨床診断の手引
き 表 4 参照」に準じて行い,末梢血中の好酸球数の
増加と心筋生検にて有意な好酸球の浸潤,脱顆粒と心筋
細胞の破壊像が認められれば診断される.
①症 状:ウイルス性心筋炎と同様に,発熱,咽頭痛,
咳などの先行するかぜ様症状が約 2/3 の症例に認めら
れる72,74,75).その後,数時間から数日後に胸痛,呼吸
困難,動悸などの心症状が出現する.発症当初は末梢
血の好酸球数が正常範囲内で,ウイルス性心筋炎と鑑
1.必須項目
1)末梢血中の好酸球数の増加(500/mm3 以上)(注 1).
2)胸痛,呼吸困難,動悸などの心症状.
3)CK-MB などの心筋逸脱酵素,心筋トロポニン T など
の心筋構成蛋白の上昇.
4)心電図変化(注 2).
5)心エコー図における一過性の左室壁肥厚(注 3)ある
いは壁運動異常.
2.参考項目
1)アレルギー性疾患(気管支喘息,鼻炎,じんま疹など)
を約 1/3 の症例が有する.
2)先行するかぜ様症状(発熱,咽頭痛,咳など)が約
2/3 の症例でみられる.
3.心筋生検所見
好酸球の浸潤,好酸球の脱顆粒,心筋細胞の融解・消
失,間質の浮腫や線維化などが認められる.なお心内膜
炎が観察されることもある.
注1.末梢血の好酸球数増加は心症状出現前から認められる例
と,心症状が既にみられるにもかかわらず好酸球数は正
常範囲内でその後徐々に増加し 500/mm3 を上回る例があ
る.したがって,心筋炎が疑われる症例では,急性期に
は少なくとも 2∼3 日に一度は好酸球を算定する必要が
ある.なお,症例により末梢血の好酸球増加の程度は異
なる.
注2.ST 上昇は約半数例で観察され,異常 Q 波も約 1/3 の症
例で認められる.ウイルス性や特発性心筋炎でしばしば
認められる房室ブロックは,本症ではまれである.
注3.左室壁肥厚は高頻度に認められる.その程度は症例によ
り様々であり,7∼14 日で正常化する.したがって経時
的な観察が必要である.
別できない場合がある72,74).したがって急性心筋炎で
は,常に好酸球性心筋炎を念頭におき経過を観察する
必要がある.なお薬剤過敏によるものでは,発症は急
③胸部 X 線:しばしば心拡大や肺うっ血像が認められ
る.
激であり,発疹,発熱,肝機能異常などが通常みられ
④心電図:様々な所見がみられるが ST 上昇の頻度が最
る.心症状は心不全,不整脈,心膜炎などに大別され
も高く,約半数例で観察される74).異常 Q 波の頻度も
る74∼82).なお高頻度(70 %)に心膜液貯留をきたす74).
高く,約 1/3 の症例で認められる74).ウイルス性心筋
②血液生化学検査:末梢血中の好酸球数の増加(500/
炎でしばしば認められる房室ブロックは,この心筋炎
mm 以上)に加え ,CK-MB などの心筋逸脱酵素や
3
83)
ではまれである74).
心筋トロポニン T などの心筋構成蛋白の上昇が認め
⑤心エコー図:主な所見としては,一過性の左室壁肥厚
られれば本症を疑う.しかし末梢血の好酸球数増加が
と左室壁運動異常があげられる18,19,86∼88).左室壁肥厚
心症状出現前から既に認められる例と,心症状がみら
は約 80 % の症例で認められ19),心室中隔および左室
れるにもかかわらず初発段階では好酸球数が正常範囲
後壁の壁厚がともに 15 mm 以上に及ぶこともしばし
内に留まり,その後徐々に増加して 500/mm を上回
ばある18,19,87,88).この壁厚増大は心筋間質の浮腫によ
る例もある72,73,76,77,84∼86).急性心筋炎が疑われる症例
るものであり18),7∼14 日で正常化する88).この壁厚
では,急性期には 2∼3 日毎に好酸球を測定する必要
増大に伴い左室内腔が狭小化する19)と,左室駆出率の
がある.なお症例により末梢血の好酸球数増加の程度
低下と相まって 1 回心拍出量が低下する19).また,心
は異なる .
膜炎を合併すると心膜液の貯留が観察される78)が,大
3
72)
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
1249
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
量に心膜液が貯留しなくても心タンポナーデに陥る症
例が存在する78).このような経時的変化の把握には心
エコー図が非侵襲的で情報量の多い有用な検査法であ
疾患への療法を先行させる.
【好酸球性心筋炎に対するステロイド療法の治療指針】
(1)急性期
り,急性期には頻回に施行する.
⑥心臓カテ−テル検査:急性心筋梗塞を鑑別する目的で
心筋生検にて確定診断された時点で,心症状を有する
冠動脈造影検査を行う .本症の確定診断は心筋生検
場合はステロイド投与を考慮する.プレドニゾロン 30
によって得られるため,病状が許せば出来るだけ急性
mg/日から開始し,好酸球数や炎症所見を目安に漸減す
期に心内膜心筋生検を施行する.標本内に有意な好酸
る82,87,89∼93).ショックや肺水腫などの重症例では,メチ
球の浸潤,好酸球顆粒と心筋細胞の融解や消失化が認
ルプレドニゾロン 1,000 mg/日(3 日間)のステロイド
められれば,好酸球性心筋炎と確定診断される.多く
短期大量療法を行う77).通常,末梢血中の好酸球数は速
の症例で好酸球浸潤以外にリンパ球浸潤,間質の浮腫,
やかに減少・正常化し,左室壁肥厚や壁運動異常も改善
線維化などが認められ,心内膜炎が観察されることも
する.
85)
ある81,89).一般に免疫染色で ECP71,81,90)や MBP78)が
染色される.心筋生検では,採取部位や標本の個数,
(2)遠隔期の管理
採取時期により組織像の違いや偽陰性が避けられない
大半の症例が,急性期のステロイド投与にて改善する
ので,標本は 3 個以上の採取が望ましい.なお,病理
が,まれに好酸球数が再び増加する症例が存在する.こ
所見が陰性であっても本症は否定出来ない.
の場合には,好酸球が増加する原因をさらに検索し,時
⑦原因検索:何らかのアレルギー性疾患が約 1/3 の症例
に認められるため ,十分な問診が必要となる.寄生
にはステロイド長期投与が必要となる.
74)
虫感染が原因となることもあるため,血清の寄生虫抗
体価の測定も行う.また,薬剤性が疑われる場合は,
【好酸球性心筋炎における治療法とその適応評価】
クラスⅠ(レベル C)
薬剤性リンパ球刺激試験(DLST)を行う.
【好酸球性心筋炎の診断法と有用性評価】
IABP,PCPS
クラスⅡa(レベル C)
ステロイド,カルペリチド,カテコラミン薬,PDE
阻害薬
クラスⅠ(レベルC)
クラスⅢ
心筋生検
該当なし
クラスⅡa
末梢血好酸球数の増加(500/mm 以上)
3
クラスⅢ
4
4 慢性心筋炎
該当なし
●将来展望
①診断のための特異的バイオマーカー
この心筋炎では血清中の ECP が上昇しており,また
ECP が病勢を反映するとの報告がある91).
3
1250
治 療
1
背 景
慢性心筋炎は,ヨーロッパにおいて疾患単位として認
知されているが,アメリカでは否定的な見解が多い.一
方,わが国では臨床例や剖検例において慢性心筋炎と診
断せざるを得ない症例が報告されている94∼99).本疾患に
ついての見解が未だ統一されないのは,歴史的背景100),
この心筋炎は,無症状に経過する例から重篤な心不全
報告症例が少ないこと,臨床像が多彩であることなどの
を呈して,死に至る例まで幅広い病像を示す.治療の主
理由が考えられる.しかし,実際には拡張型心筋症と臨
眼は好酸球に基づく炎症を鎮静化することにある.心症
床診断された症例においても,剖検や手術時に採取した
状が軽微な症例では,安静臥床と経過観察のみで自然軽
心筋標本に,まれではなく心筋炎の存在を示すリンパ球
快することがある.しかし,心不全や重篤な不整脈を伴
浸潤を認めている.しかも,症例の中には高度の細胞浸
うと支持療法に加えてステロイド投与を必要とする.な
潤がある例も含まれる.このことは拡張型心筋症と慢性
お,喘息や鼻炎などのアレルギー性疾患,寄生虫感染症,
心筋炎との鑑別診断が必ずしも容易ではないこと,また,
薬物アレルギーなど好酸球増加をもたらす病態では,原
慢性心筋炎が決してまれではないことを示唆している.
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
表7
慢性心筋炎の診断手引き
ンによる心筋障害の遷延化が証明されている13,104).自己
[定 義]
慢性心筋炎とは,数ヵ月間以上持続する心筋炎をいう.
しばしば心不全や不整脈をきたし,拡張型心筋症類似の病
態を呈する.不顕性に発病し慢性の経過をとるものと,ご
く一部に急性心筋炎が持続遷延するもの(注 1)がある.
[診断の参考事項]
1)数ヵ月以上持続する心不全や不整脈による症状や徴候
がある.
2)心筋生検:
心筋組織には,大小の単核細胞の集簇あるいは浸潤が
あり(注 2),近接する心筋細胞の融解消失や壊死を
伴う.また,心筋細胞には大小不同,肥大,配列の乱
れがみられる.間質には心筋細胞と置き換った線維組
織や脂肪組織が認められる.これら心筋細胞変性,細
胞浸潤と線維化・脂肪化の併存は持続する心筋炎の目
安となる.また,心筋におけるウイルス遺伝子の検出
は診断を支持する.
3)切除心筋や剖検:
心筋生検で診断されず,切除心筋や剖検心ではじめて
持続する心筋炎が証明されることがある.
4)心筋シンチグラム:
ガリウムシンチグラム,ピロリン酸シンチグラムでの
陽性所見は,心筋炎の活動性の指標として有用である.
(注 1)炎症の持続遷延とは急性心筋炎発症から数ヵ月後にも
心筋炎の持続を認める場合をいう.
(注 2)細胞浸潤とは 1 視野(400 倍)で単核細胞が 5 個以上,
集簇とは 1 視野(400 倍)20 個以上を認める場合をい
う.なお,浸潤細胞の同定には免疫組織化学的方法を
行うことが望ましい.
免疫性心筋炎モデルでは,慢性化への機序として心筋炎
惹起性リンパ球への抑制が起こらないことや病変部サイ
トカイン環境の Th1 優位性が持続することなどが指摘
されている105,106).
慢性心筋炎の診断ガイドラインが作成されて 10 年余
の経過のため,未だ症例数が少なく予後が明らかにされ
ていないが,予後不良との指摘もある50,107).予後を規定
する因子として,ウイルス本体たる遺伝子構造すなわち
ウイルスゲノムの心筋内局在が注目されている108).
2
診 断
慢性心筋炎の診断は必ずしも容易でない.特に,拡張
型心筋症との鑑別診断は困難である.急性心筋炎と異な
り,慢性心筋炎では臨床症状,胸部 X 線,心電図,心
エコー図などの所見があまり参考にならない.ほとんど
の慢性心筋炎は不顕性に発病し,慢性の経過をとる.急
性心筋炎から移行するものは極めてまれである5).本疾
患の症状や徴候は非特異的で,心不全や不整脈の症状や
徴候を示し,拡張型心筋症類似の病態を呈することが多
い94∼99,107).さらに,心サルコイドーシスと類似すること
があるため,心サルコイドーシスとの鑑別も必要である.
急性心筋炎が遷延する症例5)では病歴が重要な診断根拠
となる3,6).
①血液生化学検査
慢性心筋炎のほとんどは急性に発病しないが,ごくまれ
心筋細胞壊死,間質の細胞浸潤や線維化を示唆する所
見が有用と考えられる.しかし,炎症の存在を示す高感
に急性に発病し,持続・遷延する場合がある.
現在のところ,慢性心筋炎の診断は主に心筋組織所見
度 CRP,心筋細胞壊死の存在を示す心筋構成蛋白のト
を根拠として行われている.しかし,生検心筋などの小
ロポニン T およびヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-
さな標本はサンプリング・エラーや病理医による診断バ
FABP),心筋逸脱酵素である CK-MB などの血中濃度増
イアスが大きい.このような背景に基づいて,日本循環
加の診断価値は未だ実証されていない.
器学会学術委員会により,心筋組織所見のみならず臨床
所見を取り入れた「慢性心筋炎診断のガイドライン
(1991-1993 年度報告)」が作成された .これは,慢性
5)
②画像診断
胸部 X 線,心電図および心エコー図などにおける所
心筋炎診断に関する世界唯一のガイドラインである.今
見は拡張型心筋症に類似する.一方,67Ga や
回はその後に得られた知見を加えて新しいガイドライン
リン酸心筋シンチなどの心臓核医学検査は持続する心筋
を作成した(表 7).
炎の存在を示唆し,拡張型心筋症との鑑別に有用である.
急性心筋炎の病因はウイルス感染が重要であるが,慢
性心筋炎は不明の場合が多く,慢性化の機序もほとんど
明らかにされていない.ごく最近,ウイルス感染
101)
99m
Tc ピロ
しかし,心サルコイドーシスでも類似の陽性所見を呈す
るので注意を要する.
や
自己免疫102,103)の本疾患への関与を示唆する報告がみら
③病理診断
れるようになった.一方,動物モデルでは,以前より急
諸種検査の中で診断価値が最も高い.表 7 に示した
性心筋炎後のウイルス持続感染や自己反応性リンパ球の
「慢性心筋炎診断のガイドライン」を参照し,大小の単
活性化による自己免疫心筋細胞障害,さらにサイトカイ
核球浸潤・集簇および間質の線維化や脂肪化との併存を
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
1251
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
確認すれば診断が確定する.しかし,心内膜心筋生検標
全や不整脈を主徴とするためエビデンスを有する慢性心
本は小さいため,複数採取してもサンプリング・エラー
不全および抗不整脈療法などを行う.本疾患患者におい
は避けられない.心筋生検に比べ,心臓形成術や L-
て内科的治療が限界に達し心臓形成術を行った場合,手
VAS 装着時の切除心筋,あるいは剖検心は標本が大き
術死亡は拡張型心筋症に比して高い101,107).
いので偽陰性が避けられる.すなわち,心筋生検で診断
1995 年に活動性心筋炎を対象とした免疫抑制療法に
されず,切除心筋や剖検心筋ではじめて持続する心筋炎
よる大規模臨床試験(Myocarditis Treatment Trial)が行
が証明されることがある107).また,心筋組織におけるウ
われた55).この試験の対象症例には慢性心筋炎が多数含
イルス遺伝子の検出,特にコクサッキー B 群ウイルス
まれていると推定されるが,免疫抑制療法の有効性は確
ゲノムの存在
認されなかった55).最近,この大規模臨床試験は異なる
は慢性心筋炎との診断を支持する.
101)
【慢性心筋炎における診断法とその有用性評価】
病因の心筋炎を画一的に治療したとの反省がなされてい
る.この反省に基づいて,慢性心筋炎を病因によりウイ
ルス性心筋炎と自己免疫性心筋炎との二つに大別し,そ
クラスⅠ(レベル C)
生検心筋,剖検心,心臓手術時の切除心筋による組
れぞれに抗ウイルス療法または免疫抑制療法を行い,い
織診断
ずれの治療も有効であったと報告している114∼116).また,
クラスⅡa
慢性心不全を呈するリンパ球性心筋炎のうち,抗心自己
該当なし
抗体が陽性で心筋にウイルス遺伝子が存在しない症例が
クラスⅡb
67
免疫抑制療法の良い適応であるとの指摘がある117).さら
Ga シンチグラム,99mTc ピロリン酸シンチグラム,
に,心筋組織に HLA 発現が亢進している炎症性心筋症
例では免疫抑制療法が有効であったとの報告もある118).
心筋内ウイルスゲノム
クラスⅢ
また,原因療法としてウイルス性心筋症にβインターフ
該当なし
ェロン投与が有効であったとの報告がある119).現在,心
筋炎を病因によりウイルス性と自己免疫性に分類して治
●将来展望
療を行う新しい大規模臨床試験(The European Study of
①心筋トロポニン T
Epidemiology and Treatment of Cardiac Inflammatory
拡張型心筋症における血中心筋トロポニン T 陽性の持
続は心機能低下や予後の悪化と相関し,持続的な心筋細
胞障害を示唆している
.また,血中心筋トロポニン T
109)
は軽微な心筋細胞障害も検出する
.したがって血中心
110)
Diseases)が進行中である120).
慢性心筋炎も拡張型心筋症と同様に,内科的治療が限
界に達すれば心臓移植の適応がある.しかし適応に際し
ては,移植除外条件 121)である心筋炎を惹起する活動性
筋トロポニン T は慢性心筋炎診断の重要なバイオマーカ
感染症や膠原病などの有無に十分留意せねばならない.
ーとなるであろう.同様に,H-FABP も有用と思われる.
より慎重な適応評価が必要となる.移植後の予後につい
てはレシピエント心にウイルスゲノムが検出されると成
②サイトカイン
111)
生検標本を用いた IL-6 や TNF-αなどの炎症性サイト
カインの検出は慢性心筋炎の診断に有望である.
績が悪いとの指摘がある122).
【慢性心筋炎における治療法と適応評価】
クラスⅠ
③抗心自己抗体
102,112,113)
慢性心筋炎や拡張型心筋症患者の成因に抗心自己抗体
が関与し,心機能の悪化にも関わるとの報告がある.抗
エビデンスを有する慢性心不全療法および抗不整脈
心自己抗体の存否が慢性心筋炎の診断や予後評価に役立
療法
つ可能性がある.
3
治 療
ほとんどの慢性心筋炎は病因を特定できないため,一
般には原因療法を行わず対症療法のみが行われている.
本疾患はしばしば拡張型心筋症類似の病態を呈し,心不
1252
該当なし
クラスⅡa
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
クラスⅡb
ステロイド療法,免疫抑制療法,抗ウイルス療法
(βインターフェロン),心臓移植
クラスⅢ
該当なし
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
2
●将来展望
免疫グロブリン吸着療法123,124)
診 断
①血液生化学検査
最近,拡張型心筋症患者の治療に免疫グロブリン吸着
小児例においても,AST,LDH など心筋逸脱酵素の
療法が有効で心機能が有意に改善したとの報告がある.
急激な上昇は急性心筋炎の診断に有効である.さらに,
慢性心筋炎の成因に抗心自己抗体の関与が指摘されてお
血中心筋トロポニン T の上昇は特異的である.時に,
り102),免疫グロブリン吸着が有効である可能性がある.
来院時は正常値でありながら数時間後に上昇する例があ
るので注意を要する.
5
5 小児期心筋炎
ウイルス分離は,便,尿,血液,気管分泌物などから
可能である.発病初期に一過性に分離される.血清中ウ
1
イルス抗体価の測定では,中和抗体が特異性に優れ,補
背 景
体結合反応は交差性があり,診断的価値は低い.早期診
小児期に発症する心筋炎は,劇症型心筋炎が 30∼40
%,急性心筋炎が 40∼50 %,その他が 5∼10 % の頻度
断には特異的 IgM 抗体価の上昇を確認することが有用
である133).
である.慢性心筋炎は極めて少ない.原因にはウイルス
感染によるものが多く,日常臨床上遭遇するあらゆる種
②心電図
類のウイルスが小児期心筋炎を起こす.PCR を用いた
刺激伝導系に心筋炎が波及すると心ブロックや不整脈
ウイルスゲノム検索の報告によると,小児期急性心筋炎
を惹起し,一時ペーシングを必要とする場合がある134).
の 38∼59 % がウイルスゲノム陽性であり,なかでもア
小児期心筋炎の報告例から心電図変化の頻度をまとめる
デノウイルスとエンテロウイルスの陽性率が高い.アデ
と,心室細動・心室頻拍 12 %,完全房室ブロック 25 %,
ノウイルスによる心筋炎は 10∼50 % と比較的多い.そ
心室内伝導障害 12 %,低電位差 39 %,異常 Q 波 46 %,
の内訳は 2 型が 80 %,5 型が 20 % である.症状は軽症
R 波減高 54 %,ST-T 変化 95 % であった.これを大き
から中等症に及ぶ.一方,エンテロウイルスによるもの
く分類すると,①完全房室ブロック 23 %,②心室頻拍
は 20∼30 % で,特にコクサッキーウイルスによる心筋
や上室頻拍などの異所性自動能亢進 12 %,③心筋梗塞
炎は重症になりやすい
様 49 %,④ ST-T 波陰転化 16 % となる27).
.また心内膜線維弾性症
27,125∼128)
でも,ムンプスウイルス以外にアデノウイルスやコクサ
ッキーウイルスが検出される 129).PCR を用いれば気道
③胸部 X 線
分泌物からも検出が可能である .その他サイトメガロ
急性期に心拡大が急速に進行する例がある.一方,心
ウイルスが 3 % にみられる.インフルエンザ,単純ヘ
拡大が目立たず間質性肺水腫と肺静脈うっ血が主体の重
ルペスウイルス,EB ウイルス,RS ウイルスなどのウ
症例も少なくない.劇症型心筋炎の発症直後では心胸郭
イルス感染は 1 % 未満とまれである131).また一部でパ
比がほぼ正常な例も認められる6).胸水を呈する症例も
ルボウイルス B19 の報告がみられる
.細菌感染症に
ある.なお,心筋炎に伴う乳頭筋や腱索の断裂にて急性
おいても,肺炎球菌,髄膜炎菌などによって心筋炎が発
僧帽弁閉鎖不全症を合併する場合や,急性肺水腫のため
症する27,133,134).
に呼吸不全が前景に出る場合もある137).
130)
132)
小児期心筋炎の予後は成人例に近似し,劇症型心筋炎
は依然予後不良であるため,急性期の迅速な対応が求め
④心エコー図
られる.急性心筋炎では 1/3 が完全回復し,1/3 で何ら
小児期心筋炎では心筋生検は日常的に行えない.した
かの後遺症を示すが無症状な状態に回復する.心不全を
がって心エコー図検査が診断や治療に特に重要である.
合併した症例の一部は拡張型心筋症様病態に陥る.小児
小児での経胸壁心エコー図は明瞭であり,心膜液貯留,
期心筋炎の特徴は,不整脈,特に心室頻拍や心室性期外
左室壁運動低下および相当部位の一過性壁厚増加が急性
収縮の頻発を遺すことであり,長期にわたる注意深い心
心筋炎の診断に優れた所見である138).左房拡大,左室拡
事故後観察が必要である135).急性心筋炎によって発症し
大,拡張能の低下,心腔内血栓,腱索断裂,房室弁逆流
た完全房室ブロックの 67 % が自然に回復したが,28 %
の検出も重要である.これらの所見は数時間単位で変化
では遺し永久ペースメーカーの植込みを必要とした.ま
するので,経時的に繰り返し検査し,経過観察すること
たその 5 % が死亡した136).
が肝要である.
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
1253
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
左室壁運動異常の程度は,心不全の重症度とよく相関
観察される.T2 強調画像における心筋/骨格筋シグナル
する139).しかし予後とは必ずしも一致しない.入院時の
強度比が心筋組織像とよく一致する146).さらに Gd 造影
左室駆出率が40%未満の症例は劇症化しやすいとされる
MRI およびシネ MRI を行うことにより,心筋炎におけ
139)
る MRI の診断的価値をさらに高められる.すなわち,
が多い.左室拡張末期径に対する左室壁厚の割合が高い
40 % 以上の造影効果を認める部位に一致して局所壁運
群は生命予後が良好であるに比して,割合が低い群は死
動異常を認めれば,急性心筋炎の可能性が高いという147).
.一方,劇症化と壁厚の関連については否定的な報告
亡したり,心臓移植を受けたりする可能性が高い.特に,
左室腔が有意な拡大をみせず,左室後壁が厚い場合は,
心筋炎による浮腫が強いことを示す
⑦心筋生検
.たとえ,心収縮
成人例と同様診断の決め手であり,一般的に年長児で
能が低下し高度の心ポンプ失調に陥っても心筋炎が終焉
あれば安全に心筋生検を行うことが可能である.幼児で
すれば心機能の回復が期待される18).なお,劇症型心筋
は,拡張型心筋症との鑑別診断が必須となる症例におい
炎では急性期に壁厚増加があっても左室拡張径は不変で
てのみ,安全性を十分配慮して行う.小児期心筋炎の生
あり,回復後 6 ヵ月時点の左室駆出率も高い141).
検組織像を系統的に扱った文献はほとんどない.しかし,
140)
成人例と異なる所見があるわけではない125,148∼150).なお,
5∼12 歳の小児期心筋炎例での調査で,発症後平均 13
⑤核医学検査
急性期における Ga 心筋シンチや
Tc-ピロリン酸シ
ヵ月時の組織像にても治癒後心筋炎像や心筋肥大が認め
ンチの陽性像は,心筋における炎症像の指標として有用
られ,201Tl 集積異常や心収縮力低下が随伴していたとい
である.しかし前者は感受性が低いうえ被爆量が多いこ
う指摘がある151).また,成人でも時に検出される巨細胞
とが特に小児では問題であり,後者は特異性が低いこと
性心筋炎が小児でもまれに報告されている152).好酸球性
が短所である.撮像にあたってはプラナー像だけでなく,
心筋炎153)や,サルコイドーシス154),慢性心筋炎155)もま
SPECT 像による観察も行う.また,上述の核種に加え
れながら報告がある.
67
99m
Tl を用いた二核種同時撮影を行えば, Tl 欠損部に陽
201
201
性像が確認されることで診断根拠となる.小児期心筋炎
では発症から 1 年を経過しても
頻度に検出される
201
Tl の集積低下像が高
【小児期心筋炎における診断法と有用性評価】
クラスⅠ(レベル C)
生検心筋
.しかし,その後徐々に改善して行
142)
く143).ただし,心事故後長期に渡って心不全症状を呈す
クラスⅡa(レベル C)
心エコー図,心電図,心筋トロポニン T
る患者では,201Tl 欠損像や集積低下像を認める頻度が高
い.また無症候性の慢性心筋炎の小児例では,T 波陰転
化などの心電図異常部位に一致して
201
クラスⅡb
Tl 集積低下像を
示すことがある144).
アメリカの一部で臨床応用されている
Tc ピロリン酸シンチ,67Ga シンチ,MRI
99m
クラスⅢ
111
該当なし
In 抗ミオシ
ン抗体シンチは,急性期から亜急性期には心筋壊死に特
異的な集積像を示す.その感度や特異度はそれぞれ 80
3
∼100 % 程度,30∼50 % 程度と報告され,極めて有用
心筋炎が疑われたら,まず小児患者の救命救急管理が
である
.しかし,現在わが国では使用できない.急性
145)
治 療
可能な施設に搬送する.治療方針の基本は,全身血管抵
心筋炎のために拡張型心筋症様病態に陥った患者では
抗の軽減,左室充満圧の軽減,酸素供給増加/酸素消費
I-MIBG の心臓への集積低下と洗い出し率亢進といっ
低下などによる循環動態の保持である.劇症型やショッ
た心臓交感神経活性の異常を認める.心プールシンチで
ク例に対しては呼吸管理と心肺補助循環を併用する.特
は左室駆出率低下の度合いは様々であるが,びまん性の
異的療法として,抗ウイルス薬や大量免疫グロブリン療
収縮能低下や 低収縮・無収縮といった壁運動異常を高
法がある.
123
頻度に認める .
144)
①大量免疫グロブリン療法
⑥MRI
小児期心筋炎の MRI 検査では,急性期の壁運動低下
部位での浮腫および心腔内の血流停滞シグナルが良好に
1254
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
免疫グロブリンによる治療は1年後の左心機能と生存
率を有意に改善するとの報告がある.しかし,大規模臨
床試験による有効性は実証されていない34,156).ただし,
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
成人に比しこの療法による有効性は小児例で大きい可能
満から 42 % で,IABP および CHDF の併用がそれぞれ
性がある34,157).
2 例ずつあった.管理中途で開胸による方法に変更され
たものが 4 例あり,9 例中 7 例が救命された167∼174).また,
②免疫抑制薬
海外での多施設共同研究の結果では,ECMO と L-VAS
小児においても成人と同様,免疫抑制療法の心筋炎へ
の明らかな治療効果は実証されていない .しかし一部
55)
の小児期心筋炎で,プレドゾロニンとアザチオプリン,
あるいはシクロスポリンの併用は心筋炎および重症の心
機能障害を改善するとの報告がある158).また,免疫調整
療法として OKT-3 による心機能の劇的な改善が小児期
心筋炎でも報告されている .
159)
を用いた劇症型心筋炎の治療では 80 % が救命され,体
表面積 1.3 m2 以下の小児でも 72 % が生存した175).
【小児期急性心筋炎の治療と有効性評価】
クラスⅠ(レベル C)
PCPS,IABP,ECMO,CHDF
クラスⅡa(レベル C)
急性心不全支持療法: 利尿薬(フロセミド,スピロ
③抗ウイルス療法
ノラクトン),血管拡張薬(ミルリノン,エナラプ
プレコナリルはコクサッキーウイルスへの直接結合に
て心筋細胞への感染を防ぎ,小児期心筋炎での有効性が
報告されている
.また,抗ウイルス薬であるリバビリ
160)
リル,カプトプリル),カテコラミン薬(ドブタミ
ン,ドパミン)
クラスⅡb
ンは初期に投与されればコクサッキーウイルス,アデノ
ステロイド療法,大量免疫グロブリン療法,リバビ
ウイルス両者の感染に有効性があるとされる41,42).
リン,抗不整脈薬
クラスⅢ
④補助循環
該当なし
劇症型心筋炎での心原性ショックや重症不整脈に対し
て,早期の心肺補助循環が有用と考えられ,小児期でも
今回小児科学会認定施設 627 病院に対して,1997 年 1
PCPS の積極的な使用が勧められる.症例によっては,
月から 2002 年 12 月までの 5 年間の小児期心筋炎経験例
IABP を併用する場合もある.ただし,小児領域では体
をアンケート調査した.111 施設から 261 症例の報告が
格に見合った装置が充分開発されていないこともあり,
あり,そのうち 161 例について二次回答が得られた.
学童以下では開胸下での人工心肺装置が用いられること
小児期心筋炎では劇症型が全体の約 40 % と多く,急
もある.大腿動静脈の血管径が細くカテーテルが挿入で
性型と併せた死亡率は約 20 % であった.生存例の 2/3
きない症例や下肢阻血が懸念される症例では,挿入部以
は後遺症なく回復した.また,長期観察期での不整脈や
後の下腿血管にバイパスを設置するか,開胸下でカテー
心機能低下の遺残は比較的少なかった.治療として,ス
テルを挿入する方法を選択した方がよい.小児では
テロイドが 26 %,免疫グロブリン大量療法が 46 %,補
PCPS 導入にあたり,その適応や施行時期とともに体格
助循環が約半数で有効と判断された.以下にその詳細を
が問題となるが,年齢では概ね学童以上が目安である.
列挙する.
その管理にあたっては,回路や機器の設置,導入のタイ
病 型:劇症型 62 例(38.5 %),急性 85 例(52.8 %),
ミングが非常に重要であり,管理上の増悪要因について
慢性 7 例,不明 7 例.
はあらかじめ十分検討しておく.また,経過中の発熱や
原因ウイルス:37 例(23.0 %)で判明.インフルエン
呼吸状態の悪化,感染症に対する抗菌薬の投与や呼吸条
ザ 13 例,コクサッキーウイルス A 群 6 例/B 群 9
件の設定を行う必要性から,慎重な集中管理が基本であ
例,エコーウイルス 2 例,エンテロウイルス属 2
.一般的な使用期間は小児でも 1 週間前後まで
例,パルボウイルス 2 例,サイトメガロウイルス
る
6,161,162)
が目安であり,長期使用では出血,血栓や感染等の合併
1 例,麻疹 1 例,ムンプス 1 例.
症が多いため心機能の改善を判断し早期離脱を進める.
初発症状:発熱 86 例,悪心・嘔吐 52 例,腹痛 24 例.
体重の少ない乳幼児では ExtraCorporeal Membrane
心症状:心不全 70 例,不整脈 37 例,アダムストークス
Oxygenation(ECMO)と持続血液浄化装置(CHDF)に
よる管理が推奨される
.
163∼166)
なお,わが国での小児期心筋炎に対する PCPS 管理の
症例報告をまとめると,開始時の左室駆出率は 10 % 未
発作/失神 17 例,徐脈 16 例.
入院時血液生化学検査:CK 5∼38,100(CK-MB 1∼
1,525)IU/L,心筋トロポニン T<0.01∼35.8 ng/
mL,ミオシン軽鎖<0.1∼120 ng/mL.
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
1255
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2002−2003 年度合同研究班報告)
心エコー図(n=143):心収縮能低下 117 例,心膜液貯
留 31 例,心筋肥厚 15 例.
が有用である.約半数の症例ではウイルスが分離され,
心臓核医学: Tl 集積:異常 26,正常 16. Ga 集積:
201
脱酵素や心筋トロポニン T などのバイオマーカー検査
67
コクサッキー B 群ウイルス,特に B2 と B3 が多く,ま
異常 1,正常 9. Tc-ピロリン酸集積:異常 4,
たコクサッキーウイルス A3,9,14,エコーウイルス 6,
正常 1.123I-MIBG 集積:異常 19,正常 4.
11,19 も報告されている.合併症である DIC の検査も
99m
治 療:大量免疫グロブリン療法:有効 29(46 %),無
効 16,不明 28.ステロイド:有効 11(26 %),
無効 16,不明 21.補助循環(IABP 4 例,PCPS
10 例,L-VAS 0 例,ECMO 4 例):有効 12,無効
必要である.
【新生児期心筋炎における診断法と有用性評価】
クラスⅠ
8,不明 1.
転 帰:生存 120 例(74.5 %):後遺症なし 71 例,後
該当なし
クラスⅡa(レベル C)
遺症あり 49 例(心不全 7,心機能低下 29,不
整脈 10,弁膜症 4,その他 4),再発/再燃なし
心エコー図,心電図
クラスⅡb
77 例,死亡 39 例(18.6 %).
長期観察期:正常 87 例(83 %),異常 9 例,不変
心筋トロポニン T
クラスⅢ
9 例,増悪 0 例.
不整脈:あり 9 例(10 %),なし 28 例.
心機能低下:あり 13 例(14.2 %),なし 78 例.
該当なし
3
治 療178)
同一施設内でのウイルス感染伝播の可能性もあり,隔
6
6 新生児期の心筋炎
離,ガウンテクニック等の感染予防措置をとる必要があ
る.カテコラミン薬や利尿薬,血管拡張薬による内科的
1
背 景
等の体外補助循環が有用との報告も見られ,NICU や小
新生児期の急性心筋炎では,出産数日前から母体に感
児 ICU 等を備える専門施設へ直ちに搬送することが望
染徴候がみられることが多く,出生前から胎児の心不全
ましい.また,合併症としての肝炎や髄膜炎,DIC の治
徴候がみられることもある176).水平感染の危険性もあり,
療を同時に行う.ステロイドや大量免疫グロブリンによ
家族内の感染源は母親のみならず,兄弟や父の感染徴候
る直接的効果は未だ新生児では明らかではない.特異的
にも充分注意すべきである.また,保育施設内での集団
治療として,RS ウイルスにはリバビリンが,単純ヘル
発症がコクサッキーウイルス A9,A16 やエコーウイル
ペスウイルスとサイトメガロウイルスにはアシクロビル
ス 7,11 で報告されている177).報告例の 2/3 は劇症型で
やガンシクロビルが有用である.
あり,致命率は 50 % 以上と高い178).特に,致死例の原
因ウイルスはコクサッキー B 群ウイルスが約 75 % を占
めている179).心臓以外の合併症として播種性血管内凝固
【新生児期心筋炎の治療と有効性評価】
クラスⅠ(レベル C)
症候群(DIC),髄膜脳炎,肝炎が多く,これらは予後
急性心不全支持療法:利尿薬(フロセミド,スピロ
に大きく影響する.危険因子として,未熟児,低出生体
ノラクトン),血管拡張薬(ミルリノン,エナラプ
重児が挙げられる.
リル,カプトプリル),カテコラミン薬(ドブタミ
2
診 断
多くは分娩時から症状が発現する.発熱は全例にはな
く,発症時から心肺症状を呈する症例が多い.臨床症状
ン,ドパミン),抗不整脈薬
クラスⅡa
体外補助循環(ECMO など)
クラスⅡb
は不機嫌,哺乳困難,嘔吐,呼吸困難,痙攣などの非特異
ステロイド,大量免疫グロブリン療法,抗ウイルス
的症状や,心症状,不整脈,まれには心不全を伴った非
療法
免疫性胎児水腫で発症することもある.また,エンテロ
クラスⅢ
ウイルス感染の一部では典型的なニ峰性経過もみられる.
新生児期では血清 CRP の上昇は不良であり,心筋逸
1256
支持療法を中心とした全身管理が基本である.ECMO
Circulation Journal Vol. 68, Suppl. IV, 2004
該当なし
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン
今日,心筋炎の存在を念頭におくことさえできれば,典
型例の診断に窮することはそれほど多くない.また,多
Ⅶ
おわりに
くの心筋炎患者は自然治癒が期待できる.したがって,
治療の基本は,臨床診断を正しく下し,循環動態の急激
な変化に迅速対応できる体制で徹底的な患者管理をする
心筋炎の臨床診断は困難である.診断する第一歩は心
ことである.加えて,一部にはステロイド治療などによ
筋炎を疑い念頭におくことである.原因不明の重症不整
く反応する特殊な心筋炎を含んでいるので,組織学に診
脈,心ブロック,心不全,それに急性冠症候群にさえ心
断を確定する努力を怠ってはならない.
筋炎が潜んでいる.ただし,様々な臨床検査が進歩した
文
急性心筋炎
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