特別寄稿 光コネクタ/メカニカルスプライス市場展望 By Stephen Montgomery, ElectroniCast 光ファイバの利用はますますエンド 現場組立可能光 ユーザ宅まで近づいている。そこでは、 コネクタの ファイバの心線数が多く、ファイバ長 トレンド が短いので、ファイバの接続が重要に FTTH加入者数の増加 なる。スプライスと接続はネットワー にともない、ドロップケ クコストとパフォーマンスに大きな影 ーブルの接続や屋内での 響を与える。一般的には、着脱が頻繁 接続工事の重要性が注目 でない箇所ではメカニカルスプライス されるようになった。従 が利用される。リストレーションの速 来、接続は屋外のキャビ さと安価であることが求められると、 ネットか、加入者宅の屋内キャビネッ ビル間接続、キャンパスリンクなど メカニカルスプライスの利用は制限さ トでメカニカルスプライスを利用して の屋外環境では、相対的に現場組立 れることになる。光コネクタは、ルー 行われていた。0.25mm径のファイバの コネクタの導入が進む。 ティングの柔軟性、再構成が必要なア 取り扱いは、多大な時間と注意を払う プリケーションで使用される。 必要がある。問題が起こった場合、メ 特に「グリーンフィールド」や「引き ファイバ分配架(FDH)/FDTにス カニカルスプライス接続は問題の特定 落とし」用途では、規定長のケーブ プライス/インタコネクトを収容する と修復が困難であり、面倒になる。こ ルを使用することができる点が重 と、エンジニアにとっては、MDU、 のため、工事であまり技術を必要とし 要。特に日本など、光ネットワーク FTTBアプリケーションあるいは他の ないように、またトラブルシューティ が進んだ(工事経験が豊富)ところ ロケーションなどへのサービス提供の ングを容易にすることを目的に、現場 ではそれが言える。現場組立とアセ デザイン選択肢が増えることになる。 組立コネクタに対する関心が高まって ンブリ済みのコネクタとの価格差 ハブの先のスプライスケースアクセス いる。この市場予測では、光コネクタ は、必ずしも市場での普及促進要因 が使えない、あるいは適切でないよう を現場組立として分類していない。し とならない。完全な現場組立コネク なアプリケーションでは、FDTによっ かし、以下で一般的なコメントをして タの生産性(品質)が、「設置作業」 てハブ内の分配ケーブルスプライスが おこう。 可能になる。端極は、屋内、屋外のい ・屋内、局舎/ヘッドエンド、LAN/ビ ずれのアプリケーションでも、壁面か ル内(縦系)では、現場組立コネク 動かす要因にもなる。 ポールに直接マウント可能となる。 タを使わない傾向にある。しかし、 世界の光コネクタ/メカニカルスプ これらのFDTは、予めファイバを成端 技術者の技量が向上し、製品の「フ ライス消費は、銅線の限界を超えた帯 しておくことも可能で、こうしたプラ ールプルーフ」度が高まるにつれて、 域需要によって激増している。光技術 ットフォームを用いると従来に比べる 現場組立光コネクタの使用は増加を の進歩により、光ファイバの敷設がエ とわずかな時間でインストールが可能 続けると見ている。 ンドユーザにますます近くなってい 表1 地域別世界の光コネクタ/スプライス消費か金額と市場 予測($100万) しかし、これらの屋外リンクでは、 (高賃金労働)や施工時間(現場組 立vs.プラガブル)に加えて、市場を ・ミリタリ/航空、特殊用途、モジュ る。このことは、短距離リンクが増え 成端済み、工場テスト済みハードウエ ール/コンポーネントでは、現場組 ることを意味しており、こうしたリン アとパッチコード付バックボーントラ 立コネクタはあまり使われない。 クでは施工コスト全体に占めるコネク になる。ファイバプラットフォームは、 ンクケーブルで構成されている。 40 ・距 離 不 定 の 通 信 リ ン ク ( F T T x )、 タのコストの割合が大きくなる。コス CATVリンクの一部、LAN間接続、 トに関する関心の高まりから、より小 OPTCOM August 2008 さく、低コストで施工しやすいコネク ビジネスのグローバル化が で、一般には1310nmか1550nmで1つの タが市場投入されつつある。マルチフ 帯域需要を押し上げ 通信モードが伝搬するだけだ。このた ほとんどの先進国はバックボーン光 め、シングルモードコネクタは、リン まだ相対的に少ないが、心数の多い高 ファイバネットワークの構築を管理し ク長が2km以上でデータレートも高い 密度インタコネクト用途では選択肢と ているか、完了しつつある。現状は、 光リンクで使用される。SMFは、 なる。 ローカルループリンクやHFCネットワ MMFより高いデータレートに対応し ElectroniCastによると、世界の光コ ーク構築フェーズにある。地域ネット ているが、狭線幅のレーザを必要とす ネクタとメカニカルスプライス消費額 ワーク構築では、企業が最初のターゲ る。SMFは、MMFよりも伝送レート は、2007年に約14億ドルだった。この ットであり、最終的にはFTTHだ。一 が高く、50倍の伝送距離を持つ。 消費額は、数量の激増が平均価格低下 般に、既存インフラの減価償却圧力を を部分的に相殺し、今後も増加してい 受けている既存オペレータと比べる 急増する く。2012年までに世界の消費額は、25 と、新規市場参入者は迅速にファイバ マルチモードコネクタ需要 億5000万ドルに達すると予測している。 導入を進める。 ァイバコネクタ(>2心)の使用は、 マルチモードコネクタ利用は昨年の ブロードバンド通信インタコネクト 7億6410万ドルから、2012年には14億 は、今後10年ほどで指数関数的に複雑 3700万ドルに拡大する。マルチモード になり、光ファイバ、SDH/SONET、 ファイバは、光信号を伝送するコア径 を占め、7億6300万ドル。北米の消費 Ethernet、最先端のデジタルクロスコ が50-100μmだが、通常のサイズは62.5 は、2012年には12億6770万ドルに拡大 ネクト、光スイッチング、その他のブ μmだ。北米のシェアは、世界の他の する(表1) 。北米のコネクタ消費増は、 ロードバンド製品、トランスポート技 地域に対して極めて高いが、これはプ プライベートデータ/ローカルループ 術の力強い需要が高まる。トランスポ レミスLANへの導入開始が最も早かっ ネットワークで使用される短距離リン ートネットワークアクセス技術に たこと、それに続いて横系へのインタ クが相対的に増加することによる。ヨ Ethernetを使用することで、ビジネス コネクト展開があり、スイッチやHPC ーロッパの光コネクタ消費は、2007年 Ethernetサーバス、一般消費者向け映 などの機器内にも使用されるようにな で19%、これはEU諸国がブロードバン 像放送などの新しい収益サービスが実 ったからだ。並列光インタコネクトコ ドサービスの自由競争に移行し、企業 現する。究極的には、チャネルあたり ンポーネントは、マルチモードファイ や一般消費者向けにサービスを提供す のコストが極端に安くなって、加入者 バコネクタや徐々に搭載されるように るようになったことによるもの。コネ が利用できる通信帯域は甚だしく増え なったVCSELを含めて、エンドユーザ クタ消費の最速の成長は、日本/パシ るものと考えられる。しかし、ネット 近くへの光の浸透を後押ししている。 フィックリムで、年平均の成長率が ワークに投資する側には、多くのリス 19.7%(2007-2012)と予測されている。 クとリターンがともなう。 北米がコネクタ消費をリード 北米が、2007年世界の消費額の55% メカニカルスプライスの使用は、 2007年のシェア3.5%から2012年には 2.7%に減少する。しかし、消費金額は その他の地域(中東、中南米、アフリ カ、オーストラリアを含む)は、国の テレコム用途が牽引する 4800万ドルから6800万ドルへと上昇す 経済政策、通信自由化傾向で刺激され、 シングルモードコネクタ需要 る(表2) 。テレコムアプリケーション、 成長率が高くなっている。 通信ネットワークでは、シングルモ 特に緊急のリストレーションではメカ ードコネクタ消費が優位を占める。シ ニカルスプライスの使用が優位を占め ングルモードコネクタのプ ている。しかし、融着スプライスは心 ライベートLAN/WANでの 線数の多い施工で主に用いられてお 利用は、急速に拡大しつつ り、それが比較的心線数の少ない施工 ある。これは帯域が1Gbps にまで拡大してきた。これは、小型で を超え、ノード間の距離が 低価格の融着機が手にはいるようにな 長くなってきているから ったからだ。 表2 タイプ別光コネクタ/スプライス世界消費額と市場予測 ($100万) だ。SMFは、8.3∼10μm径 41
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