v 『 薬を 分 析 し よ う』 徳島 文 理 大 学薬 学 部 応 用数 理 科 1 年 生 4 0 名 受 講 201 2 .6 .6 6 月 6 日(水)午後、応用数理科1年生 40 徳島文理大学薬学部薬品分析学教室にお邪魔して体験入学講座に参加させてい ただきました。今回は『薬を分析しよう』というテーマで通 元夫(とおり もとお)先生ご指導の もと、生徒たちは、市販されている医薬品であるノーシンやサリドンを薄層クロマトグラフィー やガスクロマトグラフィー、質量スペクトルを用いて分析を行いました。 「薄層とは何か?」 「分離とは何か?」というところから教えていただき、 授業で習っていない分野も丁寧に説明していただきました。そして、な かなか使うことのできない高価な分析機器を実際に生徒たちが操作する ことによりとてもよい勉強になったと思います。長時間にわたり丁寧に 説明していただいた薬学部薬品分析学教室の先生方、学部の皆さん貴重な体験を本当にありがとう ございました。 『プチ理数科隊員になってフィジーの学生と交流しよう!』JICA 協力 応用数理科2年生 39 名受講 2012.6.7・14 今年の「科学英語」の目玉は、国際協力機構JICAのご協力による国際交流事業です。JICA国際 協力推進員の中川さん、フィジーから鳴門教育大学大学院に留学中の Emosi さんと Seru さん(数学の先 生で Seru さんは Emosi さんの教え子だそうです)をお招きして、フィジーという国やフィジーの学校に ついてお話しをいただきました。 6 月 14 日には Skype によるテレビ電話で現地と直接交流を試みました(現地の回線が混み合っていて 接続が断続的になってしまいましたが通話はできました)。 今後、日本や徳島、城南高校、そして実験を紹介するビデオレターを作成し、現地高校生との交流を深めていく計画です。 高大連携事業:徳島大学工学部『なぜ構造物は地震により壊れるのか?』 応用数理科3年生 10 名受講 2012.6.15 6 月 15 日(金)午後、徳島大学工学部建設工学科教授である成行 義文教授による講義『なぜ構造物は地震により壊れるのか?』 を受講しました。地球の内部構造や、プレートテクトニクスを用いて海洋型地震や内部直下型地震 発生のメカニズム、また、地震動の分析についての話がありました。講義の後半では、地震動の加 速度や慣性力、また、構造物の固有周期等を用いて、構造物の強度や、耐震・免震の理論について わかりやすく説明してくれました。その後、建設工学科の風工学研究室で風洞実験や大鳴門橋の渦 の道の模型による設計の説明を受けました。次に、河川・水文研究室訪問し、 ダムの模型に実際に、水を流して流水速度の特徴について知りました。速度を 弱める工夫や津波の実験も行いました。最後にコンクリート工学研究室を訪問 し、新しい素材を用いたコンクリートの開発について説明を聞きました。コン クリートの強度について一人ひとりが測定しました。今回の講義で、建設工学の社会における広範な役割 について学び、その重要性を実感できる有意義な講義となりました。 高大連携事業:徳島大学工学部『バイオマスの有効利用』 応用数理科3年生 10 名受講 2012.6.15 6 月 15 日(金)午後、徳島大学工学部生物工学科にお邪魔した 3 年生 10 名は、中村 嘉利教授より酵素反応についての講義を 受け、実験を行いました。生物の教科書に必ず登場する酵素のグラフを実験を通じて検証することができ、生徒たちは理解を深 めていました。また、実験の待ち時間には、バイオマスの有効利用の研究等に使用される水蒸気爆砕装置や研究室を見学させて いただいた。 高大連携事業:徳島大学総合科学部『テトラフェニルシクロペンタジエノンの合成』 応用数理科3年生 8 名受講 2012.6.15 6 月 15 日(金)午後、徳島大学総合科学部の三好 徳和教授にお越しいただき、実験実習を行いました。 テトラフェニルペンタジエノンとは,右図のような構造式の物質です。これを合成す る実験を指導して いただきました。 今回合成するような物質は有機化合物といい,水に溶けないものが多いため,高校の化 学実験ではあまり取り上げられません。今回は溶媒としてエタノー ルを用いて合成を行いました。 初めに理論の話があった後,まずは実験装置の組み立てです。 きちんとした実験装置は美しいという三好 徳和教授の経験をもとに,金具の位置ま で力学的な合理性に基づいて,組み立てていきました。出来上がったものを見てみる と,なるほど,安定していて美しいものでした。 実験操作としては,秤量した原料を,試験管内に順番に加えていくだけですが,還流 冷却器の使用や,吸引ろ過した生成物の洗浄といった,有機合成独特の実験操作があ り,その都度,三好先生から要点をついた指導で,全員,無事に合成に成功しました。 高大連携事業:徳島大学工学部研究室訪問&実習 応用数理科3年 9 名受講 2012.6.29 6 月 29 日(金) 徳島大学工学部光応用学科の中の各研究室の研究内容について説明して戴きました。今回 は、高分子化合物の光による変容や、CT 画像を立体的に処理し病変をピックアップするソフト開発や、 発光ダイオードの開発から太陽電池の開発に至るまで、多岐にわたる研究内容を紹介して戴きました。 ま た生徒実験では、アーク 3D 表示技術について説明して戴き、実際に工作しその立体感を体感することが できました。 高大連携事業:徳島文理大学『機器分析による物質の分離と同定』 応用数理科3年 12 名受講 2012.6.29 6 月 29 日(金)徳島文理大学薬学部薬化学研究室の長島 史裕准教授ほかのご指導により『機器分析による物質の分離 と同定』というテーマで応用数理科3年生の希望者12名を対象に実験教室が行われました。有機 化合物であるサリチル酸、アセトアニリドおよびアミノ安息香酸エチルの混合物を HPLC(高速液 体クロマトグラフィ)を利用して分離、検出をする実験を行いました。その後、機器分析室を見学 し、MNR(核磁気共鳴スペクトル)では超伝導による非常に強力な電磁石を使って物質の構造を調 べていることを学びました。学生さん達の丁寧な指導で実験自体は比較的簡単に終えることができ ました。最新の機器による分析や構造決定の現状を知ることができ、有意義な実習となりました。 高大連携事業:徳島大学『肝癌の治療:肝癌って本当に切って も大丈夫?』 応用数理科 3年 9 名受講 2012.6.29 6 月 29 日(金)午後、医師、看護師など医療系の分野への進路を希望している応用数理科 3 年生 8 名は、徳島大学医学部 へお邪魔しました。宇都宮 徹准教授からは肝がんの外科的治療方法と移植につ いて実際の映像を踏まえながら講義を行っていただきました。また、講義後は 岩田 貴准教授より本物の聴診器を使った実習などをご指導いただきました。特 に宇都宮 徹准教授には、講義後に生徒一人一人からの質問を受け付けていただ き、医師という仕事のやりがいなどを率直に答えていただきました。今回の講 座を通じて生徒たちは医療分野へ進む意欲をさらに高めていました。 高大 連携事業:徳島 大学医学部 栄養学科『歴史か ら学ぶ栄養 学』 応 用 数 理 科 2年生 3 9 名 受 講 2 0 12 . 7 . 3 7 月 3 日(火) 徳島大学医学部栄養学科の中屋 豊教授にお越しいただき、『歴史から学ぶ栄養学』をテーマに講義をして いただきました。最初に徳島大学医学部栄養学科が、全国唯一の医学部にある栄養学科であり、臨床の場で高度な知識と アイデアで医師と連携して活躍する管理栄養士や、栄養学の基礎研究を行う研究者の育成を行っ ていることをお聞きしました。 そして「歴史から学ぶ」というタイトルの通り、藤原道真、アンネ・フランク、沖田総司、徳 川家継、山本勘助、オードリー・ヘップバーンなど歴史上の人物や、秀吉の鳥取城攻めや太平洋 戦争の米英捕虜などの歴史的事例をもとに、糖尿病の原因と人体への影響、幼少時の栄養失調と 将来のリスク、飢餓が人体にあたえる影響など、栄養学に関する内容をわかりやすくお話しいた だきました。 「栄養管理は全ての治療の基礎」ということを実感し、医学部の中に栄養学科がある意味、栄養学科のミッションにつ いてよく理解できました。 高大連携事業:徳島大学疾患ゲノム研究センター『科学とは何か、研究とは何か』 応用数理科1年生 40 名受講 2012.7.4 7 月 4 日(水) 徳島大学疾患ゲノム研究センターの高浜 洋介教授にお越しいただき、これから「課題研究」に取り組も うとする 1 年生のために、 『科学とは何か、研究とは何か』というテーマで講義をしていただき ました。前半は、病気と免疫の関係の歴史を通して病気の予防や治療に免疫がいかに重要かを わかりやすく解説していただきました。また、この分野における日本人の貢献についても紹介 していただき、 「日本人として、自分の生まれ育った所や環境に誇りを持つことの大切さ」につ いてもお話いただきました。 後半は、先生が研究をされている免疫現象で重要な役割を果たしている胸腺とT細胞の働き と疾患の関係について具体的にお話頂きました。研究を通じて自己免疫疾患の治療に貢献する ことを目的にしているということでした。また、慌てず、焦らず好きなことを見つけ取り組むことの大切さについて、先 生のご経験をもとにお話いただきました。生徒たちは、研究の醍醐味や取り組む心構えについて、たいへん参考になった ようです。 今後の日程 7 月 10 日(火)午後 園瀬川総合科学調査 応用数理科 1 年生全員参加 7 月 22 日(土) 12:30~受付 13:00~開始 中学生対象理科実験教室 化学実験教室にて(生物・物理) ぜひ中学生の皆さん参加してね! 8 月 4 日(土)・5 日(日) 科学体験フェスティバルへ出展 科学部員参加 8 月 7 日(火) 大阪方面県外研修(大阪ガス ガス科学館&大阪教育大学 福江 純教授の講義)応用数理科 1 年生全員参加 8 月 9 日(木) 神戸方面県外研修(神戸耐震工学研究センター&神戸大学オープンキャンパス) 応用数理科 2 年生全員参加 8 月 7 日(火)~9 日(木) SSH生徒研究発表会(パシフィコ横浜)応用数理科 3 年生推薦された者 2 名 8 月 8 日(水)・9 日(木) 中国・四国・九州地区理数科高等学校生徒研究発表大会(島根大会) 8 月 10 日(金)~12 日(日) 全国高校文化祭 自然科学部門に出場(富山大会) 8 月 10 日(金) 地学野外実習『化石採集』香川県 香東川河原 8 月 22 日(水)中学生体験入学 科学部体験入学 応用数理科 3 年生推薦された者参加 5 名 応用数理科 3 年生推薦された者参加 応用数理科 1 年生希望者 僕は平成 18 年度に応用数理科の第一期生として城南高校に入学し、現在は京都大学薬学部薬科学科に 在籍しています。 僕は小さい時から科学に興味があり、将来は研究者になりたいと考えていたので、理系科目の学習を 重視した応用数理科にとても魅力的に感じ、進学を決めました。応用数理科では充実した理系科目の授 業だけでなく、大学の研究室に伺って、講義を聴いたり、実際に様々な分野の実験をしたりと、とても 楽しく充実した経験をするこができました。 特に 2 年生の時に行う課題研究では、自ら研究テーマを決めて実験や調査を行い、その結果をまと めて論文にしたり口頭で発表するというまるで大学のような授業があります。それを通して、教科書に 載っていないようなことを自分で調べ考えていく姿勢やデータをまとめて分かりやすく人に伝える方法が身に付き、 そして何より科学の面白さを再確認することができました。このような応用数理科にいた 3 年間で得たものが大学に 入ってからの研究やプレゼンテーションで生かされていると強く感じます。 もし科学に興味があるのなら応用数理科での 3 年間で様々なことを見て学ぶことで、科学に対するさらなる興味や 将来の明確な夢をきっと得ることができると思います。 狩野芳信 こんにちは。平成 20 年度卒業生の坂東正樹です。僕は現在、筑波大学大学院で有機合成化学を勉 強しています。今回は、みなさんに城南高校の特色である SSH について、僕自身の経験を交えながら 紹介したいと思います。 まず、SSH の特徴として挙げられるのは、理数系科目の授業の多さでしょう。理系の大学入試では もちろん理数系科目は重要になってきますし、大学入学後も高校レベルの知識は前提として授業が行 われます。こういった知識は、大学での学習や大学院での研究のキソ(基礎)になります。 大学入試はもちろんですが、SSH では他の高校では体験できない様々な専門実験を体験することが できます。科学は、実験によって発展します。逆に言えば、実験をして何かを示さなければ何も始ま りません。つまり、実験は研究のキホン(基本)なのです。SSH では、理系学生としてのキソ・キホンを十分に身につ けることができる学科です。 お医者さんや技術者などのいわゆる理系職業に憧れており、大学の理数系学科を目指そうと考えている方には、SSH はこのうえない学習環境ではないでしょうか。 さて、少し堅い話から入りましたが、これからは僕の SSH での経験について書こうと思います。僕が SSH に入っ たのは、 「将来、化学を通して社会の役に立てたらいいな」という夢があったからでした。その夢から進路を逆算して いくと、化学系の職業→大学院の化学専攻→大学の化学科→高校の理系クラス、だと考えました。最後の高校の理系 クラスが、僕にとっては SSH クラスになります。僕はもともと色々なことに興味を持つ生徒だったので、SSH クラ スでの毎日はとても充実していました。授業中の先生のちょっとマニアックな雑談もそうですし、冒頭でも触れた理 科の色々な分野の専門実験が特に刺激的でした。この専門実験は、ほとんど教科書に記載されていない事象を扱いま す。つまり、(自分たちにとって)ほぼ未知の現象について、自分たちの実験で解明するという、まさに科学そのものを 勉強します。初めのうちはよくわからないのですが、実験データをとっていくにつれてだんだん謎の正体が明らかに なり、最後は実験データから得られた結論を出す。その結論と、理論から導かれる予測が一致したとき、初めてその 予測が正しいと実証され、結果となります。その謎を解明した時の喜びは何ものにも代え難いものです。 また、SSH には課題研究という授業があります(総合的な学習の時間)。この課題研究は、何人かでグループを作り、 自分たちで研究テーマを設定してそれについて研究を行い、最後は得られた結果を発表するというものです。この過 程は、実際に大学で行われている学際的研究や、社会の研究機関で行われている研究活動と同じプロセスを踏んでい ます。つまり、課題研究は皆さんが実際の研究者の 1 人として活動できる機会なのです。この課題研究は正直に言っ てかなり苦労します。しかし、苦労した分だけ得られるものはすごく大きいです。将来理系の職業を目指す方には、 実験が予想通りにいかないもどかしさや、発表資料作成の難しさをぜひ実感してほしいと思います。それと同時に、 ひとつの研究テーマをやりきるという達成感を感じてほしいと思います。(研究の進め方や資料のまとめ方に関しては それぞれの専門の先生方が十分にサポートしてくださるので心配は無用です!) もちろん、この経験は大学に入学してからの授業や実験でも大いに役立ちます。例えば、授業で実験レポートをま とめる時など、他校出身の人は実験レポートを本格的にまとめるのが初めてなので割と苦労しているようですが、僕 はそういう経験を十分に積んでいたのであまり苦労はしませんでした。実験の授業でも、SSH の授業で十分に実験を やってきていたので、進め方や考察に関してほとんど困ることはありませんでした。 どうでしょうか。SSH の魅力を少しでも感じていただけたでしょうか?最後に著名な物理学者である朝永振一郎(と もながしんいちろう)先生の言葉を紹介して終わりにします。 ふしぎだと思うこと これが科学の芽です よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の茎です そうして最後になぞがとける これが科学の花です みなさんが将来、素晴らしい科学の花を咲かせられることを願っています。 *朝永振一郎・・・1965 年ノーベル物理学賞受賞
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