A-3. ナッツ・ドライフルーツ 3 ナッツ・ドライフルーツ 1. 日本のマーケット事情 (1) 品目の定義 【ナッツ】 HS番号 0801.11,19 0801.31,32 0802.11,12 0802.21,22 0802.31,32 0802.40 0802.50 0802.90-200 0801.21,22 0802.90-100、-300、-400 品目名 ココやしの実 カシューナッツ アーモンド ヘーゼルナッツ くるみ 栗 ピスタチオナッツ マカダミアナッツ その他の食用ナッツ(ブラジルナッツ、びんろう子、 ペカン、その他) HS番号 0803.00-200 0804.20-090 0804.50-090 0806.20 0813.10 0813.20 0813.40-010 0813.40-022 0804.30-090、0813.30-000 0813.40-021、-023、-029 品目名 バナナ いちじく グアバ、マンゴー及びマンゴスチン レーズン あんず プルーン ベリー類 干し柿 パイナップル、りんご、パパイヤ・パッションフルーツ などその他のもの 【ドライフルーツ】 (2) 市場動向 従来、ナッツやドライフルーツは直接消費されるより製菓・製パン材料として使われる場合が多く、販路も限定されてい たため、一般消費者の認知度は一部を除いて低いものにとどまっていた。また価格がピーナッツなどに比べ高かったこ ともあり、消費が拡大せず、市場としてほとんど変化がなかった。しかし、近年アーモンドやレーズンといった種類以外に も嗜好が多様化しており、消費者の健康志向や美容への関心が高まるにつれ、ナッツやドライフルーツのもつ食物繊維 や豊富なビタミンなど高い栄養価が認識され、健康食材としてイメージされるようになっている。最近はサプリメントのよう な感覚で食べる女性や若年層が増え、栄養補助食品の一部としても採用されるなど、人気が上昇し、需要の拡大が期 待されている。 最近の日本では、様々な栄養素が消費者の関心を集めており、ナッツについては、含まれているオレイン酸(一価不 飽和脂肪酸)がコレステロール値を下げる効果を期待できること、食物繊維が豊富で腹もちがよくダイエットに効果的で あることなど、様々な効用があることが消費者に認識されるようになってきている。このため、従来のつまみ用だけでなく、 塩分を気にせず毎日食べることのできる「無塩タイプ」の商品が登場するなど、各メーカーは健康食材としての面をアピ ールすることにより需要拡大を目指している。また、ドライフルーツについても、レーズン、プルーンといった従来からある 品目だけでなく、マンゴーやいちじく、ベリー類など様々な種類が販売され、スナック代わりに気軽に食べられるよう、 ファスナーつきで持ち運びに便利なパッケージやひとつずつ個別に包装した商品など販売されている。 ナッツやドライフルーツの販路は、一般スーパーだけでなく、コンビニや量販店、100円ショップなどにも拡大しており、 消費者が店頭で手にする機会も増加している。また、米国を主産地とするアーモンド、くるみ、レーズン、プルーンなど については、米国の業界団体が日本での需要を伸ばすために積極的なPR活動を展開しており、マスメディアやホーム ページを利用した広告などのほか、各種団体との提携による健康セミナーや新しいメニューの開発など、様々なプログ ラムが組まれ、消費者の認知度を高める取り組みを行っている。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 42 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 主要品目別市場動向 【ナッツ】 ① アーモンド ナッツのうち世界で最も多く消費されているのがアーモンドで、70~80%が米国カリフォルニア州で生産されている。 米国の輸出量のうち約8%が日本向けであり、インド、スペイン、ドイツに次ぐ相手国となっている。日本に輸入されて いるアーモンドの97.4%(数量ベース、2005年)は米国産のスイートアーモンドであり、ほとんどが殻を除いた形で輸入 されている。品種はノンパレル種が中心である。 アーモンドの利用方法は広範囲にわたり、用途に応じて、ローストホール、ローストクラッシュ (砕粒)、スライス、ブー ドル (粉末)、ぺ一ストなどの形に加工されている。ブルーダイヤモンド・アーモンド・グロワーズ日本支社の推定による と、アーモンドの需要のうち約7割を製菓原料 (チョコレート菓子、洋生菓子、焼き菓子)、約2割をスナックナッツが占め、 そのほかアイスクリームや外食産業、料理用などに使用されている。 カリフォルニア・アーモンド協会日本事務所では、1998年から日本で本格的な広報活動を開始し、アーモンドの栄 養情報の伝達やさまざまな食べ方の提案を行っている。日本の1人あたりのアーモンド消費量はまだ欧米の2~3分の 1程度にすぎないが、最近は、豊富に含まれるビタミンEとポリフェノールによる抗酸化作用や、コレステロール値を低 下させるオレイン酸の効果、豊富な食物繊維によるダイエット効果など、健康食材として注目を集めている。 ② 栗 日本で最も消費量が多いナッツが栗である。食用に利用できる栗は、日本と朝鮮半島南部に分布する日本栗のほ か、中国栗、米国栗、ヨーロッパ栗の4種であり、国産の日本栗は主に生食用に利用されている。日本の栗の輸入量の 約8割を占める中国産の栗は、ほとんどが天津栗とよばれる中国河北省を主産地とする甘栗用の栗である。韓国から 輸入されるものはむき栗で、主として「栗甘露煮」用や菓子原料などに利用される。このほか、量は少ないが、イタリア などから輸入されるヨーロッパ栗はマロングラッセ等の原料となっている。 正月の栗きんとんや、栗甘納豆など菓子の販売減少により、むき栗に対する需要は低迷している。また、国産の栗 の国内向け出荷量も3年連続の減少となっており(2005年 14,900トン)、栗全体に対する需要が縮小している。2000 年にヒット商品となったポケットサイズのむき栗のレトルトパウチ商品は、1人分の食べきりサイズで手を汚さずにいつで もどこでも気軽に食べられること、人工甘味料や添加物を一切使用していない天然の甘さが若い女性を中心に支持さ れたが、消費者に飽きが生じた面もあり、2002年以降販売額は減少傾向にある。 ③ くるみ 米国カリフォルニア州と中国が世界のくるみの二大生産地である。日本に輸入されているくるみの大半がカリフォル ニア産で、優れた品質管理基準のもとに栽培・収穫・加工・貯蔵され、主に殻をむいた形で輸入されており、総輸入量 はこのところ年間1万トン前後で安定的に推移している。くるみは国内でも主に長野県で生産されているが、生産量は 非常に少ない。 くるみは脂質を多く含むにもかかわらずコレステロール値はゼロであり、ビタミンEを豊富に含むほか、脂質の中には ナッツで唯一オメガ3脂肪酸(αリノレン酸)を含む。オメガ3脂肪酸にはコレステロール低減や動脈硬化等の予防効果 があるとされ、近年その重要性が認識されてきており、日本でも健康志向を背景に需要が拡大しているほか、韓国など でもくるみの輸入量が大幅に増加している。 くるみは洋菓子だけでなく、和菓子、パン、各種料理の副材料にも使われるポピュラーなナッツであり、他のナッツ以 上にベーカリー業界での需要が多い。カリフォルニア・くるみ協会日本事務所では、くるみを使った新製品開発を目指 して「カリフォルニア・ウォルナッツ・コンテスト」を実施するなど、様々な広報活動により需要拡大を目指している。 ④ カシューナッツ カシューナッツはまが玉型をした独特の形をしており、主にアジア、ブラジル、アフリカなどで生産される。脱穀・脱皮 の技術上の問題から、アフリカなどの生産地からは殻付きのままインドに送られるものが多く、インドのケララ州が世界 最大の生産・輸出国となっているが、近年ベトナムの伸びが著しく、2005年には世界第2位の輸出国となっている。な お、日本ではカシューナッツの輸入量の9割弱をインドが占めている。 カシューナッツは脂質が少なく、たんぱく質及び糖質が多く、ミネラルも豊富であることから世界的な健康志向の高 まりに伴い需要が拡大している。歯ざわりが柔らかで甘みがあり、主にミックスナッツなどのスナックフーズや、中華料理、 クッキー等の料理用など、様々な分野で利用されている。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 43 A-3. ナッツ・ドライフルーツ ⑤ マカダミアナッツ オーストラリアを原産地とするマカダミアナッツは、1930年に米国ハワイに移植され、大規模栽培されて、世界の二 大主産地となっている。マカダミアナッツチョコレートは、ハワイ土産の定番として有名であるが、ハワイ産は原料として 輸出されることはほとんどなく、チョコレート加工品が輸出の中心となっている。原料用として日本に輸入されているマ カダミアナッツの多くはオーストラリア産であり、次いでマラウイ、南アフリカなどアフリカの国々が続く。 マカダミアナッツは油脂分が非常に多く、カリッとした食感や甘みのある風味が好まれ、製菓材料としての需要が高 い。丸粒のままチョコレートのセンター材料として使われるほか、ローストスナック、高級菓子に、またダイスカットしてア イスクリームやケーキなどに広く利用されている。 ⑥ ピスタチオナッツ ピスタチオナッツは、世界の4割強を生産するイラン、次いで米国カリフォルニア州、トルコが主要産地となっており、 風味がよく高価なことからナッツの女王と呼ばれている。飽和脂肪酸が極めて低く、オレイン酸、リノール酸といった不 飽和脂肪酸を豊富に含み、殻付きのものはロースト、塩味加工によるスナックフーズとしての需要が多く、ピスタチオ ナッツの消費の多くを占める。殻を除いたものはスライス、ダイスカット、ペーストなどに加工して、高級製菓材料として 使用される。 日本でも1998年までは輸入量の80%をイラン産が占めていたが、この年販売されていたピスタチオナッツから規制 値を大幅に超えるアフラトキシンが検出され回収命令が出され、またその後輸入検査でも多数の違反事例が発見され たため、現在はカリフォルニアを主産地とする米国産が輸入量の90%を占め、輸入相手国1位となっている。 ⑦ へーゼルナッツ ヘーゼルナッツは主産地のトルコが世界の約8割を生産し、生産量、輸出量とも世界第1位を誇っており、日本の輸 入量の95%以上を占める。独特の風味を持ち、ダイスカットやペーストなどに加工されて、主にチョコレートの材料とし て使用されている。他のナッツに比べてまだ消費量は少ないが、トルコは在日大使館商務部をトルコ・へ-ゼルナッツ 協会の日本事務局として、日本における販売促進活動に力を入れており、各種イベントのほか、ホームページ上でも 健康メリットやレシピを紹介するなどの取り組みを行っている。 【ドライフルーツ】 ① レーズン カリフォルニアを主産地とする米国産レーズンが世界でも大きなシェアを占めている。日本は国内需要のほぼ全量 を輸入品に依存し、米国が輸入量の85%以上を占めており、米国産レーズンの最大の輸出先となっている。日本では レーズンの多くが製パンや製菓材料として使用されているが、2005年は米国の生産量の大幅減産、カリフォルニアワ イン生産量の増加による日本への出荷調整などの要因により価格が高騰し、国内の需要家に打撃を与えている。 ② プルーン プルーンはプラムを乾燥したものと定義されているが、西洋(ヨーロッパ)スモモといわれる品種は乾燥果実に適して いる品種が多いため、そのほとんどが生でも「プルーン」と呼ばれている。乾燥プルーンについては日本の輸入量の8 割以上を米国が占め、米国産の最大の輸出先となっている。米国ではほとんど全量がカリフォルニアで生産され、世 界の約4分の3を生産する一大産地となっているが、2年連続の不作により生産量が大幅に減少し、2003年以降価格 が高止まりしている。鉄分、カリウムなどのミネラル、ビタミンAや食物繊維などを豊富に含み、健康食品として早くから 人気を集めており、そのまま消費されるほか、プルーンジュースや、プルーンエキスなどの健康食品原料として使用さ れている。 ③ 干し柿 干し柿は日本では昔から保存食として生産されており、菓子や甘味料としても利用されている。国内生産量の約7割 を福島県、長野県、山梨県の上位3県が占め(2004年)、輸入については年により変動はあるものの、国内生産量の5 割強程度で推移している。輸入の全量を中国に依存しており、中国の干し柿の輸出先としては韓国に次いで2位、 2005年は輸出量の37.0%を日本向けが占めた。干し柿にはカリウム、カロチン、食物繊維などが多く含まれ、昔から 様々な効能が知られている。 ④ マンゴー マンゴーは熱帯果実の王者と言われており、ここ数年日本でも注目を集めている。3~4年前よりコンビニエンススト アなどでマンゴーを使用した様々なデザートが販売され、若年層を中心に人気がでていることや、各商社がフィリピン のドライマンゴーを取り扱い始めたことなどにより日本での需要が拡大している。日本で販売されているドライマンゴー はフィリピンのセブ島産のものが中心であり、やわらかい食感と酸味のきいた味が消費者に受け入れられている。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 44 A-3. ナッツ・ドライフルーツ (3) 日本の流通・取引慣行 ナッツ、ドライフルーツは直接消費者のもとへ届けられるものより、製菓・製パン材料として業務用食品の流通ルート にのるものの方が多い。市販用の流通経路は、調製されたものは輸入販売業者によりそのままパッケージされて、食 品問屋ルート、菓子問屋ルート及び小売店へ流通しているが、生の状態で輸入されたナッツについては、加工業者に より製品化され、小分けパッケージされてから、食品・菓子問屋ルートや小売市場へ流通する。 大口ユーザーであるチョコレート、その他製菓・製パンなどの食品加工メーカーに対しては輸入・加工業者からの直 販、小規模の食品加工メーカーには製菓材食品問屋からの供給が行われる。その他、飲料店(酒のつまみなど)用に は食品問屋、菓子問屋を経由して専門卸売業者から供給されている。ナッツ、ドライフルーツの流通経路は、品目によ り多少異なるが、概略は以下のとおりである。 図表1 輸入ナッツ・ドライフルーツの流通経路 海外生産者 【業務用】 輸入業者 加工業者 大手食品加工メーカー 【市販用】 小規模食品加工メーカー 食品問屋 菓子問屋 小売店 (百貨店、スーパー、量販店、コンビニエンスストア、菓子店等) 消 費 者 2. 貿易動向 (1) 日本の輸入動向 【ナッツ】 日本は栗やくるみなど一部を除き、ナッツのほぼ全量を輸入に依存している。ナッツは品目ごとに産地が限定される ため、輸入は原産地の生産状況の影響を受けやすく、国際需給バランス、為替相場なども影響を及ぼす。 2005年のナッツの輸入は445億円、7万3,143トンとなった。2005年はすべての品目で単価が上昇したため、金額 ベースでは前年比21.2%増と大幅な増加となり過去最高を記録したが、数量ベースでは前年比7.7%減で、2002年 の8万6,436トンをピークとして3年連続の減少となった。(⇒図表2) ナッツ輸入の主要品目であるアーモンドは、世界生産量の7~8割を占めるカリフォルニア産が3年連続の減産となり、 2005年の輸入量は2万5,268トン(前年比3.8%減)で2年連続の減少となった。しかし、輸入単価が前年の約1.5倍に 上昇したことにより、輸入額は196.2億円(同47.6%増)と大幅に増加し、ナッツ輸入に占めるシェアは前年に比べ大幅 に拡大した(36.2%→44.1%)。なお、2006年はカリフォルニア産アーモンドが4年ぶりの増産となり、出荷量は前年に 比べ大幅増加となっている。一方、もう1つの主要品目である栗は、76.7億円(前年比10.1%減)で3年連続の減少と なり、ナッツ輸入に占めるシェアは17.2%、2000年(45.1%)の約4割にまで縮小した。数量ベースでも、2000年の3万 7,384トンをピークに2万1,552トン(同14.5%減)まで5年連続の減少となり、シェアは29.5%に縮小している。 近年ナッツは生活習慣病を予防する健康食材としての認識が高まったことなどもあり、欧米のほかロシア、中国など でも需要が拡大する傾向にある。このため、上記以外の品目でも輸入単価が軒並み上昇しており、金額ベースでは、 くるみが58.0億円(前年比10.6%増)、マカダミアナッツ40.7億円(同33.9%増)、カシューナッツ 36.3億円(同6.6% 増)、ピスタチオナッツ15.5億円(同8.2%増)、へーゼルナッツ 7.0億円(同51.9%増)、ココやしの実3.6億円(同 49.2%増)といずれも前年を上回った。これに対し数量ベースで前年を上回った品目はマカダミアナッツ(前年比 18.8%増)、ココやしの実(同5.0%増)のみにとどまり、栗、カシューナッツ、ヘーゼルナッツは10%を超える大幅な減 少となった。(⇒図表3) ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 45 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 図表2 ナッツの輸入の推移 [輸入総額の推移] [品目別輸入金額の推移] (百万円) (百万円) 50,000 25,000 40,000 20,000 30,000 15,000 20,000 10,000 10,000 5,000 0 アーモンド 栗 くるみ 0 2001 2002 2003 2001 9,309 13,008 5,365 2,417 3,143 1,773 250 223 1,233 36,719 アーモンド 栗 くるみ マカダミアナッツ カシューナッツ ピスタチオナッツ ヘーゼルナッツ ココやしの実 その他 合 計 単位:金額=百万円、数量=トン 2004 2002 11,237 11,404 5,847 3,560 3,424 1,561 309 275 1,421 39,038 2005 金 額 2003 12,319 11,971 5,170 2,902 2,534 1,286 221 268 1,266 37,936 2001 (年) 2004 13,288 8,526 5,246 3,037 3,403 1,432 459 243 1,077 36,710 2005 19,619 7,668 5,803 4,067 3,627 1,550 697 362 1,095 44,488 2002 2001 24,322 31,695 9,087 2,893 5,833 3,466 535 2,206 2,668 82,704 2003 2002 27,978 29,073 10,247 3,963 6,717 2,695 760 2,497 2,504 86,436 2004 数 量 2003 28,858 25,233 9,683 2,788 5,457 2,230 527 2,490 1,964 79,230 2005 (年) 2004 26,269 25,207 10,734 2,445 6,908 2,347 729 2,524 2,062 79,226 2005 25,268 21,552 10,024 2,905 5,918 2,238 630 2,649 1,960 73,143 出所:財務省「貿易統計」 図表3 2005年におけるナッツの品目別輸入動向 アーモンド 栗 くるみ マカダミアナッツ カシューナッツ ピスタチオナッツ ヘーゼルナッツ 金 額 19,619 金額ベース 構成比 44.1% 前年比 147.6 数 量 25,268 数量ベース 構成比 34.5% 前年比 96.2 7,668 5,803 4,067 3,627 1,550 697 362 17.2% 13.0% 9.1% 8.2% 3.5% 1.6% 0.8% 89.9 110.6 133.9 106.6 108.2 151.9 149.2 21,552 10,024 2,905 5,918 2,238 630 2,649 29.5% 13.7% 4.0% 8.1% 3.1% 0.9% 3.6% 85.5 93.4 118.8 85.7 95.3 86.3 105.0 338 489 1,242 493 610 629 96 356 579 1,400 613 693 1,106 137 1,960 73,143 2.7% 100.00% 95.0 92.3 522 463 558 608 ココやしの実 1,095 2.5% 101.6 その他 44,488 100.00% 121.2 合 計 単位:金額=百万円、数量=トン、前年比=100%、kgあたり単価=円 平均単価 2004年 2005年 506 776 出所:財務省「貿易統計」 【ドライフルーツ】 ドライフルーツも干し柿など一部を除き、ほぼ全量を輸入に依存しており、原産地の生産状況や国際需給バランス、 為替相場などの影響を受ける。2005年のドライフルーツの輸入は、135億円(前年比1.0%増)、4万9,732トン(同 18.0%減)となり、ほとんどの品目で単価が上昇したため金額ベースでは前年並みを維持したものの、数量ベースで は主力品目であるレーズン、プルーンの落ち込みにより大幅な減少となった。 ドライフルーツの輸入における最大品目であるレーズンの輸入額は、輸入単価上昇により、63.9億円(前年比7.4% 増)と2年連続の増加を記録した。輸入量は3万360トン(同10.7%減)で、日本のレーズン輸入の9割弱を占める米国 での減産、カリフォルニアワイン生産量の増加を見越した原料のグレープの需給逼迫による日本への出荷調整などに より、前年を大きく下回ったものの、ドライフルーツの輸入全体に占めるシェア(金額47.1%、数量61.0%)は2年連続 の拡大となった。しかし、もう一つの主力商品であるプルーンは輸入量の8~9割を占めるカリフォルニア産が不作とな り、輸入単価が前年の約1.5倍と大幅に上昇したことにより、輸入量は1万904トン(前年比40.5%減)と大幅な落ち込 みを記録した。輸入額も41.3億円(同12.7%減)となり、この結果、全体に占めるシェアは金額(30.5%)、数量 (21.9%)とも大幅に縮小している。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 46 A-3. ナッツ・ドライフルーツ その他の品目についても輸入単価は上昇しているが、干し柿(10.6億円、4,761トン)、いちじく(5.5億円、1,383ト ン)は輸入額、量とも増加したほか、全体に占めるシェアは小さいものの、グアバ、マンゴー及びマンゴスチンは1.2億 円(前年比87.0%増)、162トン(同76.8%増)で大幅な伸びを記録した。一方、あんず(4.1億円、781トン)、ベリー類 (1.6億円、80トン)は金額、数量とも大幅な減少、バナナも前年を下回る結果となった。(⇒図表4、5) 図表4 ドライフルーツの輸入の推移 [輸入総額の推移] [品目別輸入金額の推移] (百万円) 8,000 (百万円) 15,000 レーズン 6,000 プルーン 10,000 4,000 5,000 2,000 0 0 2001 2002 レーズン プルーン 干し柿 いちじく あんず ベリー類 グアバ、マンゴー及びマンゴスチン バナナ その他 合 計 単位:金額=百万円、数量=トン 2003 2004 2005 2001 4,379 4,277 1,150 636 572 582 77 76 392 12,140 2002 4,835 4,456 977 552 470 449 53 93 864 12,748 金 額 2003 4,690 4,550 640 496 557 370 39 84 805 12,231 (年) 2004 5,943 4,734 769 516 514 224 66 91 552 13,409 干し柿 2001 2002 2003 2004 2005 2005 6,385 4,132 1,063 550 411 164 124 88 631 13,547 2001 28,152 16,742 4,832 1,755 1,397 242 254 249 888 54,510 2002 30,913 16,244 5,151 1,265 1,037 193 113 304 1,252 56,472 数 量 2003 29,736 17,325 3,572 1,163 1,033 154 77 285 1,579 54,925 2004 33,981 18,320 4,560 1,322 1,047 114 92 330 881 60,647 (年) 2005 30,360 10,904 4,761 1,383 781 80 162 315 986 49,732 出所:財務省「貿易統計」 図表5 2005年におけるドライフルーツの品目別輸入動向 レーズン プルーン 干し柿 いちじく あんず ベリー類 グアバ、マンゴー及びマンゴスチン バナナ その他 金 額 6,385 金額ベース 構成比 47.1% 前年比 107.4 数 量 30,360 数量ベース 構成比 61.0% 前年比 89.3 4,132 1,063 550 411 164 124 88 30.5% 7.8% 4.1% 3.0% 1.2% 0.9% 0.6% 87.3 138.2 106.5 80.0 73.0 187.0 96.8 10,904 4,761 1,383 781 80 162 315 21.9% 9.6% 2.8% 1.6% 0.2% 0.3% 0.6% 59.5 104.4 104.7 74.6 70.5 176.8 95.3 258 169 391 491 1,965 725 274 379 223 398 526 2,036 767 278 631 13,547 4.7% 100.0% 114.2 101.0 986 49,732 2.0% 100.0% 111.9 82.0 626 221 639 272 合 計 単位:金額=百万円、数量=トン、前年比=%、kgあたり単価=円 平均単価 2004年 2005年 175 210 出所:財務省「貿易統計」 (2) 対日輸出国別内訳及びASEANのポジショニング 【ナッツ】 2005年に何らかのナッツを日本に輸出している国は、米国のほか、中国、インド、韓国をはじめとするアジア、オー ストラリア、中南米、アフリカの国々など世界各地に広がり、合計27ヵ国・地域を数える。ただし、品目によって産地が限 定されるため、ほとんどの品目では上位3ヵ国が金額の90%以上を占め、日本に年間20億円以上のナッツを輸出して いる国は米国、中国、韓国、インド、オーストラリアの5ヵ国、2,000トン以上を輸出している国はフィリピンを加えた6ヵ国 に限られる。(⇒図表6) ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 47 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 対日輸出国トップは米国であり、2005年には256.2億円(前年比34.2%増)、3万5,512トン(同5.6%減)で、数量の 約7割を占めるアーモンドの単価の大幅上昇により、金額では過去最高を記録した。金額ではくるみ、ピスタチオナッ ツなどの対日輸出も増加させており、全体に占める2005年の米国のシェアは金額、数量とも前年を上回って、それぞ れ57.6%、48.6%と圧倒的なシェアを占める結果となった。その一方、対日輸出国2位の中国は、2005年は57.5億円 (前年比12.7%減)、1万9,865トン(同15.3%減)で、金額では2年連続、数量では3年連続の減少となった。中国では 主力品目である栗の対日輸出が数量で7年連続、金額で6年連続の減少となったことにより、全体に占めるシェアは金 額(12.9%)、数量(27.2%)とも前年を下回り、両国の差は年々拡大している。以下、韓国(33.0億円、4,622トン)、イ ンド(32.2億円、5,250トン)は主力品目の栗、カシューナッツの単価がそれぞれ上昇したことにより、数量は減少したも のの、金額では前年に比べいずれも大幅に増加している。 ASEANの対日輸出品目はココやしの実とカシューナッツにほぼ集約されている。ASEAN全体の2005年のナッツ の対日輸出は、7.3億円(前年比4.0%増)、3,203トン(同6.7%減)で、ナッツの対日輸出に占めるシェアは、金額で 1.6%、数量でも4.4%にとどまっている。2005年はフィリピンからのココやしの実の輸入が大幅に増加したものの、ベト ナムからのカシューナッツの輸入が減少したため、金額ベースでは前年を上回ったものの、数量ベースでは前年を下 回る結果となった。(⇒図表8) 品目別には、金額ベースでみると、アーモンドは米国が96.7%と圧倒的なシェアを占めているほか、栗は中国(シェ ア56.6%)、韓国(同43.0%)、くるみは米国(同89.1%)、マカダミアナッツはオーストラリア(同64.0%)、カシューナッツ はインド(同88.8%)、ピスタチオナッツは米国(同80.9%)、ヘーゼルナッツはトルコ(同96.6%)、ココやしの実はフィリ ピン(同87.4%)が主要対日輸出国となっている。(⇒図表7) 図表6 ナッツの主要対日輸出国・地域 [2005 年の輸入金額構成] [主要国からの輸入金額推移] (百万円) 30,000 米国 25,000 ASEAN EU 1.6% 1.2% その他 26.7% 20,000 15,000 10,000 5,000 韓国 インド 米 国 57.6% 中 国 12.9% 中国 0 2001 2002 2003 2004 2005 (年) 2004 2005 2001 2002 2003 米 国 金 額 15,421 金 額 17,455 金 額 17,828 金 額 19,095 数 量 37,626 中 国 7,279 7,566 8,785 6,591 23,461 5,753 12.9% 19,865 27.2% 290 韓 国 7,313 5,763 4,775 3,286 4,802 3,295 7.4% 4,622 6.3% 713 インド 2,644 2,720 2,136 2,896 5,842 3,222 7.2% 5,250 7.2% 614 オーストラリア 1,216 2,049 1,822 1,772 1,483 2,963 6.7% 2,241 3.1% 1,322 トルコ 240 295 208 446 713 676 1.5% 612 0.8% 1,105 マラウイ 284 389 360 413 349 544 1.2% 381 0.5% 1,426 南アフリカ 118 324 308 301 268 513 1.2% 369 0.5% 1,389 ケニア 665 643 441 542 427 388 0.9% 296 0.4% 1,309 ベトナム 423 618 308 439 931 340 0.8% 568 0.8% 599 フィリピン 173 203 203 192 1,968 316 0.7% 2,133 2.9% 148 その他 合 計 ( E U) ( ASEAN) 平均単価 数 量 35,512 48.6% 721 943 1,014 761 738 1,355 859 1.9% 1,294 1.8% 664 36,719 39,038 37,936 36,710 79,226 44,488 100.0% 73,143 100.0% 608 219 344 439 463 441 526 1.2% 445 0.6% 1,184 680 943 607 701 3,431 730 1.6% 3,203 4.4% 228 単位:金額=百万円、数量=トン、平均単価=kgあたり円 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 48 金 額 25,618 57.6% 出所:財務省「貿易統計」 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 図表7 ナッツの品目別主要対日輸出国・地域 (2005年、金額ベース) アーモンド 国 名 第1位 米 国 金 額 18,975 栗 シェア 96.7% 前年比 平均単価 国 名 145.9 770 中 国 1262.8 958 韓 国 146.7 1,160 イタリア 第2位 オーストラリア 330 1.7% 第3位 スペイン 217 1.1% 第4位 イタリア 92 0.5% 92.1 第5位 フランス 5 0.0% 202.3 - - - (ASEAN全体) 1,060 オーストラリア 1,257 フランス - くるみ 国 名 金 額 5,170 シェア 89.1% 第2位 中 国 603 10.4% 第3位 フランス 前年比 平均単価 国 名 109.7 598 オーストラリア 119.4 449 マラウイ 26 0.4% 111.5 第4位 チ リ 3 0.1% 118.2 第5位 スペイン 0 0.0% - (ASEAN全体) - - - 国 名 金 額 3,222 シェア 88.8% 337 9.3% 第3位 インドネシア 33 0.9% 122.1 第4位 スリランカ 20 0.5% 177.3 第5位 ケニア (ASEAN全体) 国 名 第2位 イタリア 3,295 43.0% 100.3 31 0.4% 104.1 400 0 0.0% - 1,017 0 0.0% - 1,580 - - - - 713 シェア 64.0% 544 13.4% 131.8 1,426 926 南アフリカ 649 ケニア 513 12.6% 170.7 1,389 373 9.2% 71.0 1,422 3,361 グアテマラ - 28 0.7% - 1,553 - - - - 前年比 平均単価 153.4 1,394 ピスタチオナッツ 前年比 平均単価 国 名 111.2 614 米 国 76.9 601 イラン 621 イタリア 1,011 オーストラリア 金 額 1,254 シェア 80.9% 前年比 平均単価 112.5 624 164 10.6% 104.9 876 127 8.2% 98.1 3,404 4 0.3% 13.9 869 15 0.4% 89.4 440 フランス 1 0.0% - 3,625 371 10.2% 79.7 603 - - - - ヘーゼルナッツ 第1位 トルコ 前年比 平均単価 83.4 258 金 額 2,602 カシューナッツ 第1位 インド シェア 56.6% マカダミアナッツ 第1位 米 国 第2位 ベトナム 金 額 4,341 金 額 673 シェア 96.6% 20 2.9% ココやしの実 前年比 平均単価 国 名 150.9 1,101 フィリピン 172.8 1,286 タ イ 第3位 スペイン 3 0.4% 1096.9 第4位 米 国 1 0.1% 81.6 1,200 シンガポール 1,535 スリランカ 第5位 コスタリカ (ASEAN全体) - - - - 国 名 第1位 中 国 金 額 808 シェア 73.8% 第2位 米 国 217 19.8% 103.7 第3位 ペルー 30 2.7% 432.6 749 第4位 オーストラリア 26 2.4% 145.4 1,115 4 0.3% 553.4 2,882 4 0.4% 318.7 456 金 額 316 シェア 87.4% 前年比 平均単価 164.9 148 32 8.8% 93.3 88 4 1.2% 416.8 85 4 1.0% 91.8 199 3 0.9% 102.3 67 355 98.0% 151.0 138 その他 第5位 トルコ (ASEAN全体) 前年比 平均単価 96.9 485 単位:金額=百万円、前年比=%、平均単価=kgあたり円 1,027 出所:財務省「貿易統計」 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 49 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 図表8 ASEANからのナッツの国別/品目別輸入の推移 [金額推移] (百万円) [数量推移] (トン) 943 1,000 800 5,000 607 600 3,743 4,000 730 701 680 3,000 400 2,000 200 1,000 0 3,091 3,007 3,431 3,203 0 2001 2002 2003 2004 2005 2001 (年) 2002 2003 金 額 2001 2002 2004 2005 数 量 2003 2004 2005 2001 2002 2003 2004 (年) 平均単価 2005 2005 アーモンド - - - - - - - - - - - 栗 - - - - - - - - - - - くるみ - - - - - - - - - - - マカダミアナッツ - 13 - - - - 13 - - - - カシューナッツ ASEAN ピスタチオナッツ 合計 ヘーゼルナッツ 461 661 346 465 371 877 1,324 748 984 615 603 - - - - - - - - - - - ココやしの実 - - - - - - - - - - - 216 267 259 235 355 2,127 2,404 2,338 2,445 2,579 138 2 2 3 1 4 3 2 5 2 9 456 680 943 607 701 730 3,007 3,743 3,091 3,431 3,203 228 1.9% 2.4% 1.6% 1.9% 1.6% 3.6% 4.3% 3.9% 4.3% 4.4% カシューナッツ 422 612 306 438 337 810 1,243 667 930 560 ココやしの実 1 4 - - - 34 53 - - - - - 1 3 1 4 - 2 5 2 8 419 599 その他 合 計 全体でのシェア ベトナム その他 合 計 全体でのシェア ココやしの実 フィリピン 合 計 全体でのシェア 423 618 308 439 340 844 1,298 672 931 568 1.2% 1.6% 0.8% 1.2% 0.8% 1.0% 1.5% 0.8% 1.2% 0.8% 173 203 203 192 316 1,752 1,862 1,795 1,968 2,133 148 173 203 203 192 316 1,752 1,862 1,795 1,968 2,133 148 0.5% 0.5% 0.5% 0.5% 0.7% 2.1% 2.2% 2.3% 2.5% 2.9% 39 48 40 27 33 67 81 81 54 54 カシューナッツ インド ネシア - - - 8 2 - - - 102 25 78 その他 0 0 0 1 1 0 0 0 1 1 1,074 455 39 49 40 36 36 68 81 81 156 79 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.2% 0.1% 全体でのシェア - 13 - - - - 13 - - - - マカダミアナッツ カシューナッツ - - - - 1 - - - - 1 650 ココやしの実 42 60 55 34 32 340 488 532 362 362 88 2 - - - - 3 - - - - - 44 73 55 34 32 343 502 532 362 363 89 0.1% 0.2% 0.1% 0.1% 0.1% 0.4% 0.6% 0.7% 0.5% 0.5% その他 合 計 全体でのシェア マレーシア - - 1 - - - - 11 - - - シンガポール - - - 1 4 - - - 13 50 85 ミャンマー - - - - 0 - - - - 9 38 ラオス - - - - - - - - - - - カンボジア - - - - - - - - - - - ブルネイ - - - - - - - - - - - 単位:金額=百万円、数量=トン、平均単価=kgあたり円 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 50 621 ココやしの実 合 計 タイ 601 出所:財務省「貿易統計」 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 【ドライフルーツ】 2005年に何らかのドライフルーツを日本に輸出している国は、米国、中国のほか、フランス、ドイツなどのEU諸国、 トルコ、イランなどの中東、中南米、アフリカ、アジアなど、合計31ヵ国・地域に及ぶ。しかし、このうち米国が金額の 70.8%、数量の71.8%を占め、2位の中国以下を大きく引き離している。(⇒図表9) 対日輸出国トップの米国は、2005年には95.9億円(前年比7.9%減)、3万5,727トン(同25.9%減)で、特に数量ベ ースで大幅な減少を記録した。米国の対日輸出においては、レーズンが金額の58.5%、数量の72.5%(2005年)を占 める主要品目であるが、減反による出荷量の減少、カリフォルニアワイン生産量の増加を見越した生産者による日本 への出荷調整などの要因により、2005年は数量で前年比13.3%減の大幅な減少となった。また金額の35.8%、数量 の25.4%を占め、もう一つの主要品目となっているプルーンもカリフォルニア州の不作により、金額(前年比43.5%減)、 数量(同41.0%減)とも大幅に減少した。一方、対日輸出国2位の中国は、15.3億円(前年比30.3%増)、5,943トン (同3.9%増)で、金額の約7割、数量の約8割を占める主力品目の干し柿の増加により、特に金額ベースで大幅な増 加となった。 また、ASEAN全体における2005年のドライフルーツの対日輸出は1.4億円(前年比76.8%増)、196トン(同60.0% 増)で、ドライフルーツの対日輸出に占めるシェアは金額で1.0%、数量は0.4%にとどまっているものの、前年に比べ 大幅な増加となった。ASEANでは主要品目のグアバ、マンゴー及びマンゴスチンのほぼ全量をフィリピンに依存して いるが、2005年にはグアバ、マンゴー及びマンゴスチンの対日輸出がほぼ倍増し、金額ではASEAN全体の8割弱、 数量では約6割を占めるに至った。(⇒図表11) 品目別にみると、主力品目であるレーズン、プルーンは、それぞれ米国が5.6億円(シェア87.8%)、3.4億円(同 83.1%)と圧倒的なシェアを占めているほか、干し柿は中国が100%であり、いずれも1ヵ国に集中する状況となってい る。以下、金額ベースではいちじくがトルコ(シェア41.8%)、米国(同41.1%)、あんず、ベリー類が米国(同53.1%、 57.9%)、グアバ、マンゴー及びマンゴスチンはフィリピン(同84.3%)、バナナはエクアドル(同75.1%)が主要対日輸 出国となっている。(⇒図表10) 図表9 ドライフルーツの主要対日輸出国・地域 [2005 年の輸入金額構成] [主要国からの輸入金額推移] (百万円) 12,000 10,000 中 国 11.3% 米国 8,000 その他 11.3% ASEAN EU 1.0% 5.6% 6,000 4,000 中国 2,000 米 国 70.8% 0 2001 2002 2003 2004 2005 (年) 2004 2005 2001 2002 2003 米 国 金 額 8,777 金 額 9,285 金 額 9,327 金 額 10,410 数 量 48,244 中 国 1,737 1,691 1,024 1,173 5,722 1,528 11.3% 5,943 11.9% 257 209 トルコ 金 額 9,591 70.8% 数 量 平均単価 35,727 71.8% 268 463 406 478 531 2,272 646 4.8% 3,091 6.2% フランス 33 41 60 91 245 498 3.7% 1,183 2.4% 421 チ リ 90 245 383 305 1,422 469 3.5% 1,815 3.6% 258 ドイツ 288 355 287 208 54 212 1.6% 57 0.1% 3,737 南アフリカ 266 213 149 172 876 134 1.0% 641 1.3% 209 フィリピン オーストラリア その他 合 計 ( E U) ( ASEAN) 16 30 26 53 63 107 0.8% 121 0.2% 882 102 110 109 134 609 107 0.8% 438 0.9% 244 368 373 388 332 1,141 255 1.9% 717 1.4% 356 12,140 12,748 12,231 13,409 60,647 13,547 100.0% 49,732 100.0% 272 361 428 369 345 433 755 5.6% 1,352 2.7% 559 134 107 104 77 123 136 1.0% 196 0.4% 692 単位:金額=百万円、数量=トン、平均単価=kgあたり円 出所:財務省「貿易統計」 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 51 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 図表10 ドライフルーツの品目別主要対日輸出国・地域(2005年・金額ベース) レーズン 国 名 第1位 米 国 金 額 5,606 プルーン シェア 87.8% 前年比 平均単価 国 名 106.4 216 米 国 169.9 140 フランス 第2位 トルコ 297 4.6% 第3位 チ リ 226 3.5% 147.5 第4位 オーストラリア 97 1.5% 88.8 第5位 南アフリカ 94 1.5% 93.0 (ASEAN全体) 1 0.0% 28.9 国 名 金 額 1,063 金 額 3,436 シェア 83.1% 489 11.8% 702.4 416 210 チ リ 226 イタリア 179 4.3% 187.5 299 21 0.5% - 404 171 中 国 753 6 0.1% - 304 - - - - 干し柿 第1位 中 国 前年比 平均単価 76.1 379 いちじく シェア 100.0% 前年比 平均単価 国 名 138.9 223 トルコ 金 額 230 シェア 41.8% 前年比 平均単価 127.0 353 第2位 米 国 226 41.1% 100.8 448 第3位 イラン 78 14.2% 101.9 371 スイス 7 1.2% 163.4 976 フランス 4 0.8% 50.8 1,336 - - - - 第4位 第5位 (ASEAN全体) - - - - あんず 国 名 ベリー類 金 額 218 シェア 53.1% 120 29.1% 第3位 南アフリカ 40 9.7% 58.1 第4位 中 国 24 5.9% 121.9 8 1.9% 31.9 - - - 第1位 米 国 第2位 トルコ 第5位 オーストラリア (ASEAN全体) 前年比 平均単価 国 名 98.5 1,146 米 国 69.0 364 ドイツ 443 中 国 148 スロバキア 950 フランス - 金 額 95 シェア 57.9% 40 24.5% 118.8 3,250 28 17.2% 143.5 2,606 0 0.2% - 966 0 0.1% - 7,700 - - - - グアバ、マンゴー及びマンゴスチン 国 名 第1位 フィリピン 金 額 105 シェア 84.3% 第2位 メキシコ 6 5.0% バナナ 前年比 平均単価 国 名 204.1 892 エクアドル 145.6 1,376 タ イ 第3位 中 国 6 4.8% 142.3 第4位 ウガンダ 2 1.6% - 第5位 エクアドル (ASEAN全体) 前年比 平均単価 56.5 1,668 2 1.3% - 106 85.3% 201.3 181 ベトナム 2,096 ドイツ 442 ウガンダ 892 金 額 66 シェア 75.1% 10 11.2% 前年比 平均単価 93.4 241 99.7 449 3 3.4% 125.4 213 3 3.2% 111.9 2,199 2 2.0% 371.4 1,100 13 14.6% 104.7 357 その他 国 名 金 額 350 シェア 55.5% 第2位 ドイツ 169 26.7% 99.5 3,950 第3位 チ リ 64 10.2% 115.1 455 第4位 タ イ 10 1.6% - 360 第5位 米 国 8 1.2% - 2,106 16 2.6% 174.1 405 第1位 中 国 (ASEAN全体) 前年比 平均単価 120.5 478 単位:金額=百万円、前年比=%、平均単価=kgあたり円 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 52 出所:財務省「貿易統計」 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 図表11 ASEANからのドライフルーツの国別/品目別輸入の推移 [金額推移] [数量推移] (百万円) 150 (トン) 300 136 134 107 276 250 104 100 209 201 200 196 77 150 123 100 50 50 0 0 2001 2002 2003 2004 2001 2005 2002 2003 金 額 2001 2002 2004 2005 (年) 数 量 2003 2004 2005 2001 2002 2003 2004 平均単価 2005 2005 82 50 56 3 1 166 99 114 4 1 753 干し柿 - - 0 - - - - 0 - - - ベリー類 - - 0 - - - - 1 - - - ASEAN グアバ、マンゴー等 合計 バナナ 18 28 23 53 106 24 33 24 61 119 892 19 10 14 12 13 46 25 41 35 36 357 その他 13 19 10 9 16 40 45 28 23 41 405 134 107 104 77 136 276 201 209 123 196 692 1.1% 0.8% 0.9% 0.6% 1.0% 0.5% 0.4% 0.4% 0.2% 0.4% レーズン 合 計 全体でのシェア 16 25 23 51 105 15 25 24 60 117 バナナ - 0 - - - - 1 - - - - フィリピン その他 0 5 2 2 2 0 6 2 3 4 587 16 30 26 53 107 15 32 27 63 121 882 0.1% 0.2% 0.2% 0.4% 0.8% 0.0% 0.1% 0.0% 0.1% 0.2% 1 3 - 1 1 3 8 - 1 1 843 14 8 10 10 10 26 14 21 22 22 449 グアバ、マンゴー等 合 計 全体でのシェア グアバ、マンゴー等 バナナ タイ その他 合 計 892 7 6 3 5 10 29 25 18 14 28 360 23 17 13 16 21 58 46 39 36 52 412 0.2% 0.1% 0.1% 0.1% 0.2% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% ベトナム 91 58 65 7 7 194 121 142 23 23 320 インドネシア 2 1 0 1 0 7 1 0 1 1 611 - - - - - - - - - - - 0 - - - - 0 - - - - - 全体でのシェア マレーシア シンガポール ミャンマー - - - - - - - - - - - 2 2 - 0 - 3 2 - 0 - - カンボジア - - - - - - - - - - - ブルネイ - - - - - - - - - - - ラオス 単位:金額=百万円、数量=トン、平均単価=kgあたり円 出所:財務省「貿易統計」 注)グアバ、マンゴー等:グアバ、マンゴー及びマンゴスチン (3) 国内市場における輸入品のシェア ナッツのうち、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオナッツなどは全て輸入品で賄われている。栗やくるみには国産 品も一部あるが、数量・価格等で輸入品との開きが大きいため、輸入品が大部分を占めている。また、ドライフルーツの うち、レーズンについては日本の湿潤な気候が乾燥に適しておらず、ほぼ全量が輸入されているほか、プルーンも国内 生産量はわずかであり、ほぼ全量を輸入に依存している。干し柿については国内生産量の統計がない年があり、2005 年の国内生産量は把握できないが、ここ3~4年は全供給量の3分の1前後を輸入品が占めていると推測される。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 53 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 3. 対日輸出における留意点 (1) 日本における輸入時の規制・手続き ナッツ・ドライフルーツの輸入に際しては「植物防疫法」および「食品衛生法」の規制を受ける。 1) 植物防疫法 海外からの植物の病害虫の侵入を防止するため、加熱加工されていないナッツ・ドライフルーツを輸入する場合に は植物検疫の手続きが必要となる。十分な植物検疫が実施できる特定の海港・空港のみが輸入港として認められてお り、貨物到着後、輸出国政府機関が発行する「植物検査証明書」等の必要書類を添付して「植物、輸入禁止品等輸入 検査申請書」を植物防疫所へ提出しなければならない(申請書は輸入予定日の7日前より受付開始)。検査の結果、 検疫病害虫が付着していなければ合格となり、「合格証明書」が発行され輸入することができる。 図表12 植物防疫法に基づく輸入検査 (検疫) 手続き 輸 入 検 査 の 申 請 (輸出国の植物検査証明書の添付) 輸入検査 検疫病害虫が付着している場合 検疫病害虫が付着していない場合 消毒実施 積戻し・廃棄 合 格 証 明 書 食品衛生法に基づく手続き ただし、焙煎等の加工がなされたもの、及びドライフルーツのうち下記の乾果は植物検疫の対象とならない。また、 アーモンド、カシューナッツ、ココやし、ピスタチオナッツ、ぺるしゃぐるみ(輸入禁止地域からの殻付きくるみを除く)、マ カダミアナッツの乾燥した種子は植物検疫の対象ではあるが、輸出国の検査証明書の添付が不要である。 (注) ただし、実務上これ以外の品目であっても、乾燥したものであれば輸出国の植物検査証明書の添付無しで、輸入検査 を受けることが可能とされている。 図表13 検査を必要としないドライフルーツ あんず、いちじく、かき、キウイフルーツ、すもも、なし、なつめ、なつめやし、パイナップル、 バナナ、パパイヤ、ぶどう、マンゴー、モモ及びりゅうがんの乾果 植物防疫法では、土のついた植物、日本に未発生の病害虫の生息する地域から発送され、またはその地域を経由 する植物(植物防疫法施行規則別表2に掲げるもの)の輸入が禁止されている。くるみの核子(殻付きくるみ)について はコドリンガを対象として輸入禁止地域が定められており、該当するものが日本に輸入された場合、焼却処分などの措 置がとられる。ただし、輸入禁止品であっても、試験研究や展示用など限られた目的を持って行う場合は、農林水産大 臣の許可を受けて、一定の条件のもとに輸入することができる。 また、輸入が禁止されている場合であっても、病害虫に対する消毒技術が確立したり、病害虫の発生していない地 域を確立する等、病害虫の侵入を防止する措置が確立した場合には、農林水産大臣が定める消毒等の基準に適合 していることを条件に、輸入が解禁されている。詳細は、農林水産省植物防疫所のホームページを参照のこと。 (⇒英文 http://www.pps.go.jp/english/faq/import/kinshi.html) 2) 食品衛生法 販売または営業に使用する目的で食品を輸入する場合には、輸入者は「食品等輸入届出書」と必要書類(加工食 品の場合、製造工程表、原材料配合表など)を揃え、通関しようとする海空港を管轄する厚生労働省検疫所に届け出 なければならない。届出書の審査の結果、衛生検査が必要とされたものは保税地域内で検査が行われ、輸入の可否 が判定される。手続きの流れは次のとおりである。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 54 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 図表14 食品衛生法に基づく輸入検査手続き 事 前 の 輸 入 相 談 事前の情報入手 (製造方法、添加物の使用等) 事前の検査 (輸出国公的検査機関、厚生労働大臣登録検査機関) 検 疫 所 へ の 届 出 (食品等輸入届出書の提出等) 審 検査を要する貨物 不合格 合 格 査 検査を要しない貨物 届出済証または 合格証の受取り 積戻し・廃棄・ 食用以外の用途 税 関 申 告 2006年5月29日、食品中に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(以下、農薬等)が、一定量を超えて残 留する食品の輸入・販売を原則禁止するというポジティブリスト制度が施行された。この制度では、使用、残留等が認 められる農薬等について残留基準を設定し、それ以外のものについては一律基準(人の健康を損なうおそれのない量 として0.01ppmに設定)を適用することとしている。ポジティブリスト制度の対象は加工食品を含む全ての食品で、ナッ ツ、ドライフルーツについてはそれぞれ基準値が設定されている。詳細は厚生労働省に確認のこと。 (⇒http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/index.html) また、ナッツのうちアーモンド、くるみ、ブラジルナッツ、ピスタチオナッツなど、及びドライフルーツのうち乾燥イチジ クは、アフラトキシン (カビ毒) について、イランからの殻なしピスタチオナッツはピリミホスメチルについて検査命令(食 品衛生法違反の蓋然性が高いと判断される食品について、厚生労働大臣が輸入者に命令する検査)の対象となって いる(2006年9月現在)。カビ毒のなかでも毒性が最も強く、検出頻度も高いアフラトキシンB1については定められた 試験方法において検出されないこと、ピリミホスメチルについては基準値(0.10ppm)が定められており、これらの条件 を満たしていない場合、廃棄、積戻しなどの措置がとられる。 輸入時には当該食品が食品衛生法の規格基準等に適合するかどうか、食品の原材料配合表、製造工程表等の入 手や検疫所の輸入相談を利用するなど十分な情報収集が必要である。また、事前に厚生労働大臣登録検査機関あ るいは輸出国の公的検査機関で自主検査を行い、その検査成績書を添付すると、その項目についての衛生検査が 省略され、輸入手続きが迅速に行われる。 な お 、 コ ン ピ ュー タ に よ る 届 出 を 希 望 す る 場 合 は 、 輸 入 手 続 き を 電 子 化 し た 「 輸 入 食 品 監 視 支 援 シ ス テ ム (FAINS)」を利用することができる。所要のハード、ソフトを備えて厚生労働大臣に申込み、暗証番号を取得すること が必要である。 (2) 日本における販売時の規制・手続き ナッツ・ドライフルーツの販売に際しては「食品衛生法」「JAS法」「計量法」「健康増進法」「不当景品類及び不当表示 防止法」の規制を受ける。また、容器包装については「容器包装リサイクル法」および「資源有効利用促進法」の規制を 受ける場合がある。 1) 食品衛生法 食品衛生法により、有害・有毒な物質を含有する食品や不衛生な食品を販売することが禁止されている。ナッツ・ド ライフルーツを販売する場合には、食品衛生法に基づく表示(使用した添加物、アレルギー物質を含む旨など)が義 務づけられている。(⇒(3) 表示規制) ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 55 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 2) JAS 法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律) JAS法では一般消費者向けに販売するすべての飲食料品が品質表示基準の対象となっている。生の栗や殻付きく るみのように青果物として扱われるものについては「生鮮食品品質表示基準」、加工されたナッツやドライフルーツにつ いては「加工食品品質表示基準」に基づく表示が義務づけられる。 (⇒(3) 表示規制) 3) 計量法 ナッツやドライフルーツを容器包装に入れて販売する場合には、計量法に基づく適正な計量と表示が義務づけられ ている。 4) 健康増進法 一般消費者向けに販売しようとする加工食品の容器包装や添付文書に、栄養表示をしようとする場合には、同法に 基づく「栄養表示基準」に従って表示(熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの含有量、他に表示しようとする 栄養成分の含有量の順に表示)することが義務づけられている。(⇒(3) 表示規制) 5) 不当景品類及び不当表示防止法 販売する商品等の内容について、一般消費者に優良と誤認させる誇大広告や虚偽表示などは、不当表示として禁 止されている。公正取引委員会は、不当表示に該当するか否かにつき判断するために必要である場合、事業者に合 理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が当該資料を提出しない場合不当表示として規制される。 また、特定の原産国を判別することが困難な紛らわしい表示も不当表示として禁止されている。なお「原産国」とは、そ の商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国と定められている。 6) 資源有効利用促進法(資源の有効な利用の促進に関する法律) ナッツやドライフルーツの容器包装のうち、紙製容器包装及びプラスチック製容器包装等については、識別表示(マ ーク)を貼付しなければならない。(⇒(3) 表示規制) 7) 容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律) 同法は容器包装廃棄物のリサイクルを促進することを目的とし、消費者による分別排出、市町村による分別収集、事 業者による再商品化(リサイクル)の役割分担を定めている。対象となる容器包装は、ガラス製容器、ペットボトル、紙製 容器包装(アルミ不使用の飲料容器を除く)、プラスチック製容器包装であり、これらの容器を使用しているナッツ・ドラ イフルーツを輸入販売する事業者は、容器包装を再商品化する義務がある。 なお、小規模事業者については、再商品化の義務は負わないが、識別表示義務は負うので注意が必要である。 (⇒(3) 表示規制) (3) 日本における販売時の表示規制 1) 法律に基づく義務表示 ① 食品衛生法、JAS 法、計量法 生の栗や殻付きくるみなどについては、JAS法の「生鮮食品品質表示基準」によって、容器や包装の見やすい箇所 や、立て札などの消費者の見やすい場所に日本語で下記の表示をすることが義務づけられている。 ① 名 称 ② 原産国名(一般に知られている地名でも可) また、容器包装に入れられたナッツ・ドライフルーツを販売する場合には「食品衛生法」、JAS法の「加工食品品質 表示基準」並びに「計量法」に基づき、下記の事項を順に日本語で一括表示することが義務づけられている。原材料 名は最も一般的な名称で、重量の多い順に記載し、食品添加物については食品衛生法で定められた方法で表示しな ければならない。 【一括表示すべき事項】 ① ③ ⑤ ⑦ 名 称 内容量 保存方法(定められている場合) 輸入・販売業者の名称、所在地 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 56 ② 原材料名、食品添加物(含む場合) ④ 賞味期限 ⑥ 原産国名 A-3. ナッツ・ドライフルーツ <アレルギー物質を含む食品の表示> 食品衛生法では、特にアレルギーを起こしやすい食品(特定原材料)について表示を義務づけている。発症数、重 篤度から考えて表示が義務化された5品目と、可能な限り表示することが推奨された20品目が定められている。容器 包装に入れられた加工食品(消費者に直接販売されることのない業務用の食品や食品添加物も含む。)で特定原材 料等が含まれる場合は、原則として原材料欄にその旨を表示しなければならない。 特定原材料 (表示が義務化されたもの) (5品目) 特定原材料に準ずるもの (表示が奨励されたもの) (20品目) 小麦、そば、卵、乳、落花生 あわび、いか、いくら、えび、かに、さけ、さば、オレ ンジ、キウイフルーツ、桃、やまいも、りんご、くるみ、 まつたけ、大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、ゼラチン、バナナ ② 資源有効利用促進法 同法に基づき、一定の容器包装については分別回収促進のための識別 表示をすることが義務づけられている。紙やプラスチック製包装材を使用 した場合、容器包装の 1 ヵ所以上に決められた様式で識別マークを表示 する必要がある。 2) 法律に基づく任意表示 ① JAS 法 <有機加工食品の検査認証制度> 有機加工食品に関しては「特定JAS規格」が定められており、その規格に適合するかどうかについて格付けを受け、 有機JASマークを貼付したものでなければ、「有機○○」「オーガニック○○」と表示することができない。外国 (JAS制 度と同等の認証制度を有すると認められる国に限る)で生産された有機加工食品を輸入する場合、「有機○○」などの 表示をするためには、次のいずれかの方法により格付けを行い、有機JASマークを貼付しなければならない。(⇒図表 15) ① 外国の製造業者等が登録外国認定機関から認定を受けて、自ら有機JASマークを貼付したものを輸入販売する。 ② 輸入業者が国内の登録認定機関から認定を受ければ、外国の公的機関が発行する証明書又はその写しが添付さ れているものに自ら格付けを行い、有機JASマークを貼付して販売する。 ③ 日本の登録認定機関から認定を受けた外国の製造業者等が製造した有機食品に有機JASマークを貼付したもの を輸入販売する。 図表15 輸入有機加工食品の検査・認証制度 有機JASマーク 農林水産大臣 登録 登録申請 登録国内認定機関 認定 登録 登録申請 [認定機関名] 外 国 登録外国認定機関 認定 認定 外国一般製造業者 認定外国製造業者、 認定外国小分け業者等 自らJASマークを貼付 一般輸入業者 認定輸入業者 (公的機関の証明書) 自らJASマークを貼付 問い合わせ先: 農林水産消費技術センター 本部 交流技術課 TEL:048-600-2366 http://www.cfqlcs.go.jp ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 57 A-3. ナッツ・ドライフルーツ ② 健康増進法 販売しようとするナッツ・ドライフルーツの容器包装又は貼付文書に栄養成分・熱量について日本語で表示する場 合は、同法に基づく「栄養表示基準」に従って、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの含有量、他に表示し ようとする栄養成分の含有量の順に記載しなければならない。また、特定の栄養成分を含む又は多く含む旨(食物繊 維が豊富、ビタミンEを含むなど)や、含まない/少ない旨(低カロリー、無糖など)を表示する場合の基準値が定めら れている。例えば、「食物繊維が豊富」と表示するには100gあたり6g以上でなければならない。 3) 業界自主表示 ナッツ・ドライフルーツに関する業界自主表示は特にない。 (4) 新規参入時の留意点 食品衛生法はアフラトキシンについては検出されないこととして厳しく規制しており、アーモンド・クルミなど品目によ っては検査命令の対象となっている。アフラトキシンが検出された場合、廃棄もしくは積戻しなどの措置がとられる。さら に、流通段階でも地方自治体の保健所による抜き取り検査が行われており、食品衛生法違反(ナッツの場合は、その ほとんどが基準値を超えるアフラトキシン検出)が発見されると、即座に全ロットの回収が命令される。1社でも違反が発 見され、マスコミで報道されると、その商品の回収処分にとどまらず、その国の品目全体、さらには他の国も含めた品目 そのものが消費者の信頼を失い、取り返しのつかないことになってしまうことを充分認識すべきである。 また、安全なナッツやドライフルーツを輸入するためには、輸出国における事前検査が必須である。また、2006年5 月より残留農薬のポジティブリスト制度が導入されたこともあり、トレーサビリティ(生産管理履歴)を確立しようとする動き が本格化しており、産地における品質管理の徹底が求められる。 (5) 関連品目の留意点 ① 生落花生は関税割当対象品目となっている。また、食品衛生法、植物防疫法の適用も受ける。 ② アーモンドやマカダミアナッツ等の入ったチョコレート、レーズン等の入ったフルーツケーキ等は、加熱加工さ れていることが確認されれば、植物検疫は免除されるが、食品衛生法の適用を受ける。 (6) 関連法規制の所轄官公庁 植物防疫法 農林水産省 消費・安全局 植物防疫課 TEL:03-3502-8111 (代) FAX:03-3502-3386 (直通) http://www. maff.go.jp 食品衛生法 厚生労働省 医薬食品局 食品安全部 監視安全課 輸入食品安全対策室 TEL:03-5253-1111 (代) FAX:03-3503-7964 (直通) http://www.mhlw.go.jp JAS 法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律) 農林水産省 消費・安全局 表示・規格課 TEL:03-3502-8111 (代) FAX:03-3502-0594 (直通) http://www.maff.go.jp 計量法 経済産業省 産業技術環境局 知的基盤課 計量行政室 TEL:03-3501-1511 (代) http://www.meti.go.jp 健康増進法 厚生労働省 医薬食品局 食品安全部 基準審査課 新開発食品保健対策室 TEL:03-5253-1111 (代) FAX:03-3501-4867 (直通) http://www.mhlw.go.jp 不当景品類及び不当表示防止法 公正取引委員会 経済取引局 取引部 消費者取引課 TEL:03-3581-5471 (代) FAX:03-3581-1754 (直通) http://www.jftc.go.jp 資源有効利用促進法/容器包装リサイクル法 経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課 TEL:03-3501-1511 (代) http://www.meti.go.jp 環境省 廃棄物・リサイクル対策部 企画課 リサイクル推進室 TEL:03-3581-3351 (代) FAX:03-3593-8262 (直通) http://www.env.go.jp 農林水産省 総合食料局 食品産業企画課 食品環境対策室 TEL:03-3502-8111 (代) FAX:03-3508-2417 (直通) http://www.maff.go.jp ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 58 A-3. ナッツ・ドライフルーツ 4. 日本の関税・消費税 (1) 関 税 ナッツ・ドライフルーツの関税率は図表16のとおりである。なお、事前に関税分類や関税率等を確認する場合、税関 に対して口頭・文書・Eメールで照会を行い、回答を受けることができる「事前教示制度」を利用すると便利である。 http://www.customs.go.jp 問い合わせ先:税関ホームページ 図表16 ナッツ・ドライフルーツの関税率 税 品 HS番号 0801.11、.19 21、.22 31、.32 0802.11、.12 -100 -200 0802.21、.22 0802.31、.32 0802.40 0802.50 0802.90 -100 -200 0803.00 0804.20 -300 -400 -200 -090 名 ココやしの実(乾燥したもの) ブラジルナット カシューナット アーモンド (1) ビターアーモンド (2) スイートアーモンド ヘーゼルナット くるみ 栗 ピスタチオナット その他のもの (1) びんろう子 (2) マカダミアナット (3) ペカン (4) その他 乾燥したバナナ 乾燥したいちじく 0804.30 -090 乾燥したパイナップル 0804.50 -090 乾燥したグアバ、マンゴー及びマンゴスチン 0806.20 乾燥したぶどう 0813.10 乾燥したあんず 20 乾燥したプルーン 40 乾燥したりんご 0813.40 乾燥したその他の果実 -010 (1) ベリー (2) その他のもの -021 (a)パパイヤ、ポポー、ドリアン、ビリンビ、チャンペダ、ナ ンカ、パンの実、ランブータン、ジャンボ、レンブ、サポテ、 チェリモア、シュガーアップル、カスターアップル、パッショ ンフルーツ、ランソム、サワーサップ及びレイシ -023 (b) サントル -022、-029 (c) 干し柿、その他 基本 WTO 協定 6% 4% 無税 3% 3% (無税) 無税 4% 10% 10% 16% 無税 (無税) 2.4% 6% (10%) 9.6% (無税) 無税 5% (無税) (5%) 5% 20% 6% 10% 4.5% 12% 3% 6% 12% 6% 2% 15% 4% 15% 7.2% 3% 1.2% 9% 2.4% 9% 12% 特恵 率 暫 定 日星 日馬 協定 協定 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税 2.5% *無税 無税 無税 無税 無税 8.8% 9.0% 無税 無税 無税 無税 10.9% 無税 3% *無税 *無税 無税 無税 *無税 無税 無税 9% 4.5% *無税 無税 7.5% 3.8% *無税 無税 9% 4.5% *無税 無税 9% *無税 7.9% 無税 無税 7.9% 無税 7.9% 15% 注1) 特恵欄の「*」は後発開発途上国(Least Developed Countries)にのみ適用されることを示す。 注2) 税率は原則として、特恵税率、WTO協定税率、暫定税率、基本税率の順に優先して採用される。ただし、特恵税率は法令で 定める要件を満たす場合に限られ、WTO協定税率はそれが暫定税率又は基本税率より低い場合にのみ適用される。 【特恵関税制度】 特恵受益国からナッツ・ドライフルーツを輸入し、特恵関税の適用を受けようとする場合には、原則として特恵受益国の税 関などが発給する「特恵原産地証明書」(Form A)を添付する必要がある(総価額が20万円以下の場合は不要)。なお、生 鮮野菜については、特恵原産地証明書の提出を省略可能なものもある。詳細は財務省 関税局へ確認のこと。 【EPA (経済連携協定)】 日本とASEAN諸国との間ではEPA(経済連携協定)交渉が推進されており、農林水産分野においても関税の撤廃・削減 が進められている。日本・シンガポール新時代経済連携協定(2002年11月30日発効)、日本・マレーシア経済連携協定 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 59 A-3. ナッツ・ドライフルーツ (2006年7月13日発効)によって、シンガポール及びマレーシアを原産国とする対象品目については、EPAによる協定税率 が適用される。 ASEAN諸国の関税率適用状況は以下のとおりである。 適用税率 LDC特恵税率 一般特恵税率 日星協定税率 日馬協定税率 WTO協定税率 国 名 ミャンマー、カンボジア、ラオス タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム シンガポール(注) マレーシア(注) ブルネイ 注) EPAの対象品目に含まれない場合は、シンガポールを原産地とする物品にはWTO協定税率が、マレーシアを原産地とする 物品には一般特恵税率が適用される。 (2) 消費税 (CIF+関税)×5% 5. 関連業界団体 ・日本ナッツ協会 TEL:03-5649-8572 ・日本乾果物輸入協会(豊田通商(株)内) TEL:03-5288-3574 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 60 FAX:03-5649-8573 http://www.jna-nut.com
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