資料1 第2回 触法精神障害者入院施設地域住民向説明会 要点録 平成23年10月2日 触法精神障害者入院施設の説明会 時間:午後1時~ 説明者:滋賀県立精神医療センター 医療観察法病棟開設準備室/若林氏 滋賀県病院事業庁 経営管理課/谷氏、川辺氏 滋賀県立精神医療センター/岡江医師(元京都府立洛南病院院長) 第2回 触法精神障害者 入院施設 地域住民向説明会 資料 以下住民側の質問は青字、県側の回答は赤字で示す。 各ページの右半分に説明会中に用いたスライドを示す(資料1から資料15)。 資料2 説明会のスケジュール 1. 県からの説明 前回とほぼ同様の資料を用いて説明を行った。 2. スライドを用いて懸案事項を質問 右に示すスライドのOUTLINE(あらまし)で質問を行った。 3. フリーの質疑応答 参加者からの質問を県の担当者が回答した。 OUTLINE 1. 2. 3. 4. 5. 指定入院医療機関ー施設建設の背景 近畿の指定入院医療機関 クリティカルパス 患者の退院後の状況(通院義務) 説明会における県の問題点 (1)反対運動について (2)なぜ笠山に必要か? なぜ笠山に必要か? (3)再犯0? 再犯0? (4)県は住民の同意なしで建設を強行できるのか? 県は住民の同意なしで建設を強行できるのか? 資料3 司会者が右のスライドを用いて入院施設建設の背景を述べ質問した。 概要 1.県は財政赤字(1兆円以上の借金)を抱えている。現在建設を進めようとし ている病院事業庁は数年前に赤字対策で健康福祉部から切り離してでき た部署である。国から建設費13億円全額補助をうけ、さらに毎年の運営 でも黒字の目算(県の回答により明らかになった)のこの事業に、財政難 のため飛びついたのではないかという質問を行った。 →「国からの要請のため」と県側は答えた。 もし赤字の目算ならこんな事業は行わないのではないかという質問に対し →県側は無言で回答しなかった。 2.確かに右スライドに示すように国からの要請(目標825床)もあるが、各地 で反対運動があるために目標に達していないのが現状である。資料4に ある嘉田知事の答弁「京都でもなかなか設置できないということでしたの で」に注目し京都での入居施設設置状況について質問が行われた。京都 で最も触法精神障害者に力を入れている京都府立洛南病院は経営失敗 により外部監査人から「司法精神病棟設置を積極的に検討しなさい。」と 指摘を受けている。 1.指定入院医療機関ー施設建設の背景 (1).県の財政赤字 病院事業庁―赤字対策で数年前に健康福祉部から切り離してできた部署 国から全額補助ー13億円の建設費 佐賀の施設と同規模で予算はほぼ倍 財政赤字はいくらですか? 運営でどの程度の黒字の目算ですか? (2) .入院施設 現在 616床 (国の目標825床) 各地で建設反対運動がおこり目標に達していない 京都府立洛南病院 外部監査(経営失敗)京都府包括外部監査報告書 「司法精神病棟設置を積極的に検討しなさい。」 院長:岡江晃氏 資料4 洛南病院は巨額な赤字を抱えているので国からの援助によって必ずもう かるこの入院施設を造りなさいと監査人に言われているのになぜ建設に 至らなかったのかという質問をおこなった。 →当時の洛南病院院長である岡江医師は京都府の判断により建設でき なかったと回答した。 岡江医師はこの分野では大家であり、使命感正義感でこの施設をどうし ても建てたかったのではという質問に対し→建設したかったと回答した。 岡江医師は自分の病院で建てれなかったから、こんどは滋賀の笠山に 近隣住民の理解なしに建てようとしていると司会者が激しく抗議した。 岡江医師と嘉田知事はいつからの知り合いで、これはどちらから持ちか けた話かという質問をした。 →知り合いでもなく岡江医師から持ちかけた話ではないと回答した。 司会者が建設の背景は、お金に困った県と、どうしてもこの施設が建てた い岡江医師が策略し現在にいたっているとまとめ、次の質問に移った。 2011年3月15日 嘉田知事の答弁 新聞記者の「なぜこの施設を作るのか」という質問に対する嘉田知事の答弁 (以下滋賀県ホームページ知事定例記者会見からの抜粋) 京都でもなかなか設置できないということでしたので ここは滋賀として汗をかかせていただこうということで 医療観察法に基づく施設、ハードを作り、・・・ 資料5 2.近畿の指定入院医療機関 (触法精神障害者の入院機関) 近畿の指定入院医療機関について右のスライドを用いて司会者が解説した。 滋賀県では年間1名から2名の入院患者しか出ておらず、入院機関は約1年半 なので計算上4床あれば十分だと指摘した。 残りの19床は他府県の患者のためのものであると指摘した。 患者数の多い大阪兵庫に造るべきと指摘した。 この間県は特に反論なし 大阪5床、奈良33床 医療観察法施行から平成20年11月までのの累計入院決定数 年間1名~2名 滋賀県 5名 京都府 10名 大阪府 39名 兵庫県 27名 奈良県 2名 和歌山県 9名 医療観察法医療体制整備推進室調べ 滋賀建設予定ベット数 23床 計算上は4床で十分 →他府県からの患者を受け入れ 反対運動を失敗すれば奈良県のような目にあう 資料6 国立精神・神経医療研究センター発表のクリティカルパス(入院から退院まで の計画)について司会者から解説があった。 県の説明では入院中の外出は自宅に帰すというものであったが、国立 精神・神経医療研究センター発表の医療計画では49週目から週2回1時間 から2時間の外出計画がある。このような短時間で自宅に帰せるのかとい う質問をした。 → これは古いクリティカルパスで自宅に帰す計画をしていると回答した。 いきなり自宅に帰すなど長時間の外出を許可して大丈夫か?新しいクリティ カルパス、もしくは今考えているクリティカルパスを提示してほしいと要請が あった。 → まだクリティカルパスないと回答した。 国立精神・神経医療研究センターが現在もホームページで公開している入院 から退院までの計画を古いものであると言い切り、新しい計画も出せず、 根拠のない県の説明に場内唖然とした。 3.クリティカルパス入院から退院までの計画 国立精神・神経医療研究センター発表 入院期間 基本的には1年半 厳重な入院設備を造っても外出計画がある 入院開始からの期間 外出計画 49週間目 週2 回:1~2時間 短時間で自宅に帰せるか? 55週間目 週2 回:3~4時間 61週間目 週2 回:試験外泊 63週間目 週1 回:1~3泊訪問観察 68週間目 5泊1 回;7 泊1 回 国立精神・神経医療研究センター 資料7 患者は退院後の通院義務(3年から5年間)があるが県は患者を看護師付 き添いのもと故郷に帰すと説明している。 司会者は触法精神障害者のアンケートをもとに作成した横浜市総合保健 医療財団の資料に基づき、故郷に帰す権限はだれにもなく、他府県の患者 が近隣に住みつく可能性があると以下のように指摘した。 資料には患者の人権が最も尊重され、通院する病院を選ぶのは患者自身 であると書かれている。患者が笠山に通院したいと言えば誰も拒否できない 現状がある。入院した病院に通院したいと思うので当然の感覚である。また 患者のアンケート調査によると家族からの同居を拒否される場合(殺人者の 80%が家族を殺害)が少なくなく、事件が知れ渡っている故郷に帰れない状 況がある。 すなわちこの地域に住み通院する可能性が大きいと指摘した。 →県は法務省が患者の住所を把握していると回答 →把握していても何もできず、笠山近隣に住むなとは命令できないと指摘 →県は緑字で示した指摘に反論できず、新たな根拠なしにただ故郷に帰す と回答するのみ 司会者が患者は退院後この地域に住み通院する可能性が大きいと締めくくり、 つぎの質問に移った。 4.患者の退院後の通院義務 4.患者の退院後の通院義務(3年から5年間) 義務(3年から5年間) 前回の説明―患者を故郷に帰す(看護師付き添いのもと) 平成22 年3月31 日 財団法人横浜市総合保健医療財団の資料 患者の人権が最も尊重される→通院する病院を選ぶのは患者自身(社会復帰調整官) 患者が笠山に通院したいと言えば誰も拒否できない 家族からの同居を拒否される、退院後いきなり1人暮らし(グループホームから拒否) 故郷に帰れない状況がある→ この地域に住み通院する可能性が大きい 他府県の多くの通院患者をこの地域に集中 資料8 5.説明会における県の問題点 策略的な虚偽の説明があった場合、告訴告発を辞さない旨の警告を県の職 員に与えた。 1.作為的な虚偽の説明 2.不確かな情報 3.憲法違反 資料9 (1)前回の説明―反対運動はどこにも起こっていない 相違点 前回の説明会動画を見直したところ、「反対運動はほとんどない」と県 側が説明している部分が見つかった。すべての動画をチェックしきれてい ないが「反対運動はどこにも起こっていない」と言ったことに対して間違い があったので、このスライドを用いた抗議は取りやめにした。ただスライド にあるように多くの反対運動が起きているとメディアが報じている。「反対 運動はほとんどない」との県の説明は住民運動をさせないための策略的 な虚偽と捉えられても仕方がないと司会者が述べた。 住民運動をさせないための 策略的な虚偽 メディアからの情報 地元住民の反対運動が起きたケースもあり( H22年9月2日(産経新聞)) 佐賀県 愛知県 奈良県 広島県 神崎郡吉野ヶ里町 佐賀新聞 名古屋市 朝日新聞 大和郡山市 ネットニュース(産経関西)、奈良新聞 東広島市 平成17年 市議会で設置反対の議決 資料10 (2)前回の説明ー滋賀県では法的にここしか開院できない 住民をあきらめさせるための策略的虚偽 滋賀県では法的に笠山にしか開院できないと県は説明している。それは資料 11の医療観察法16条第1項に基づくと説明している。 医療観察法16条第1項は建設する入院機関が国公立でなければならないこと のみ示しており、既存の国公立精神病棟と併設しなければならない旨の記 載はどこにもないと抗議した。 県は法律で滋賀県では笠山にしか建てられないと説明したことは間違いだった と認めた。 観察法にはどこにも書いていないと指摘 調べ直して後日報告すると回答 ここにしか建てられないなら 「”既存”の国公立精神病棟と併設しなければならない」と書いてあるはずです。 法律で笠山にしか建てられないと言われ諦めた住民もいるので、自治会の説 明などを含めすべて初めからやり直すよう要請を行った。 新しく病棟を建てれば選択肢は無限、経験ある病棟が必 要なら県内他の8つの指定医療機関に併設でもよい。 資料11 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律 (指定医療機関の指定 指定医療機関の指定) 指定医療機関の指定 第16条 指定入院医療機関の指定は、国、都道府県、特定独立行政 法人(独立行政法人通則法 (平成11年法律第103号)第2条 第2項 に規定する特定独立行政法人をいう。)又は都道府県 若しくは都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設 立した特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成 15年法律第118号)第2条第2項 に規定する特定地方独立 行政法人をいう。)が開設する病院であって厚生労働省令で 定める基準に適合するものの全部又は一部について、その 開設者の同意を得て、厚生労働大臣が行う。 資料12 今までの説明会では重大犯罪(殺人、放火、強盗、傷害、性犯罪)再犯は0 と県は説明していた。 これに対し資料(共同通信ー退院後僅か3ヵ月半で2名殺害)等で抗議を行 った結果、 県側は再犯は4,5件あると認め、謝罪した。 (3)前回の説明―重大犯罪再犯0 (入院通院中) 県議会( 9月27日)で村木院事業庁長が再犯があったと聞いていないと証言 明確な資料はない 情報元―厚労省の役人との立ち話(岡江医師) 2010/8/4 共同通信 医療観察法で初の重大再犯 2人殺害容疑で逮捕の男 大阪市で5月、男性2人を刺殺したとして殺人容疑で逮捕 された男(45)が、 事件の約3カ月半前まで、重大な他害行為を行い心神喪失などで不起訴 となった場合に適用される医療観察法の入院治療を受けていたことが4日、 関係者への取材で分かった。 法務省に開示請求を! 資料13 法務省 犯罪白書 過去の犯罪白書に出ている触法精神障害者の再犯率について議論を行っ た。 再犯率と精神病再発率はほぼ等しいのではないかとの指摘をした。 岡江医師は等しくないと回答した。 触法精神障害者 初犯後11年間 殺人再犯率 放火再犯率 6.8% 9.4% 医療観察法.NET 医療観察法 渡邊哲雄(精神科医)2007年7月 氏名変更も可能 分母が不確か 精神病の再発率は? (統合失調症) 薬物療法なし 70〜80% 継続的に薬を服用 20〜30%程度 メルクマニュアル医学百科 資料14 (4)県は住民の同意なしで建設を強行できるのか? 前回の説明会→地域住民の同意や理解はいらない。建設を強行できる。地域住民が 前回の説明会 質問や反対しても無駄であり、地域の賛成はいらない形で進行する。 右のスライドを用いてなぜ事前に笠山以外の近隣住民に説明がなかったの か抗議をした。 県側からの明確な回答はなかった。 2011年3月15日、嘉田知事新聞記者の質問に対する嘉田知事の答弁 (以下滋賀 県ホームページ知事定例記者会見からの抜粋) 精神医療センターの医療観察病棟の開設でございますけれども・・・・・中略・・・・ 笠山の地元の自治会の皆さまたちとも相談をしながら、「突然に県が」ということでは なくて、丁寧に地元と相談をしながら進めさせていただいております。 ・最も近い住宅地は、直線距離で草津市笠山で約2キロ、大津市青山で約400メ ートル、大津市田上で約600メートルである。特に大津市青山には大規模な 住宅地がある。 ・なぜ県で予算決議する(平成22年9月)前にその他の近隣地域の了解を得ない のか? 資料15 基本的人権 右のスライドを用いて嘉田知事が憲法違反を犯している旨の抗議を行った。 嘉田知事に説明会に来ていただき、これに対する説明を行うよう要請をした。 地域で安心して暮らす権利は、誰にとってもかけがえのない基本的人権 県は建設には住民の理解は必要ないと明言し、住民の不安を解消 しないまま建設を強行しようとしている。 →県側から嘉田知事を説明会に出席させることはできないと回答があった。 知事の見解を次回説明会で公表するよう要請し、県側がそれを了承した。 県のやり方は地域住民の安心して暮らす人権を大きく侵害している。 ⇒憲法違反 住民が安心だと納得できるまでの建設の 凍結を求める 3.フリーの質疑応答 ・今までの自治会等に対する県の説明を時系列を追って文書で回答するよ う要請をし、県側がそれを了承した。 以下のような質問がなされたが県側から住民が納得のいく回答は得られな かった。 ・前回の説明会に県警私服警官が紛れ込んでいたことに対する抗議。 ・これだけ県の説明に矛盾があると証明されているのだから即座に建設延 期を示せ。
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