雫石町農業農村振興に関する建議書 雫石町農業委員会 0 雫石町農業農村振興に関する建議 国内の農業・農村を取り巻く環境は、農業従事者の高齢化や担い 手不足、耕作放棄地の増加など様々な課題を抱えており、農業収入 の減少や将来不安など、非常に厳しい状況が続いております。また、 さらにTPP協定交渉大筋合意が発表され、農業者は将来とも農業 経営を継続できるのか、戸惑いと不安を隠しきれません。 これらを解決するためには、地域農業マスタープランを推進し、 経営規模の拡大を図るとともに農産物の価値を高める加工販売、新 たな流通経路の開拓と効率的流通の仕組みの構築など、戦略的な農 業経営の取り組みを活発化させていくことが重要と考えます。 こうした状況を踏まえ、雫石町農業委員会といたしましては、本 町の農業を持続的に発展させ、農村のさらなる振興を推進する立場 から、町当局の格段のご配慮をいただきたく、農業委員会等に関す る法律(昭和 26 年法律第 88 号)第6条第3項の規定に基づき建議 いたします。 平成27年12月1日 雫石町長 深 谷 政 光 様 雫石町農業委員会 会 長 1 菅 原 久 耕 記 1.米のオリジナル新品種の優先的な導入について (1) 「銀河のしずく」、「岩手118号」の県のオリジナル新品 種を町が優先的に導入し、主産地となるよう岩手県に働きか けるとともに、水稲生産者を中心に研修会を実施し、生産コ スト低減や食味の向上など栽培技術の向上を図られるよう関 係機関に働きかけたい。 2.水田フル活用対策の確立について (1) 水田が最大限に活用されるとともに、主食用米の需給調整 を着実に進めるため、飼料用米、WCS、麦、大豆など戦略 作物に対する水田活用の直接支払交付金制度を安定的に継続 されるよう働きかけられたい。 特に、飼料用米については、集出荷施設などの貯蔵・輸送 体制の整備、粉砕など飼料に加工する施設の整備、需要先で ある畜産農家とのマッチング等の支援を充実強化するととも に、現行と同程度の交付単価となるよう安定財源を確保する よう働きかけられたい。 3.農地中間管理事業について (1) 農地中間管理事業による担い手への農地集積が効率かつ効 果的に推進できるよう、 「人・農地プラン」を活用し農地コー ディネーターと関係機関の連携による農地の出し手・受け手 の掘り起こしやマッチング活動を支援すること。 2 また、農地中間管理事業を通じた規模拡大に伴い、新たな 機械導入や施設整備が必要となることが予想されることから、 機械・施設等の整備に対し助成を行うなど、支援策の充実を 図られたい。 4.認定農業者等担い手の確保、育成と支援策について (1) 認定農業者は、地域農業マスタープランにおける中心経営 体として役割を果たすこととなるため、その経営課題を把握 し、解決のための指導や目標達成に向けた機械・施設等の整 備に対し助成を行うなど、経営改善計画の達成に向けた支援 策の充実を図られたい。 (2) 農業後継者や新規就農者の就農が円滑に進むよう、農地の 確保や機械・施設設備について支援を行うとともに、農業経 営・栽培技術に係る営農指導の充実を図られたい。 (3) 若い世代の認定農業者や農業後継者等が安定した農業を営 み、農業への定着化が図れるよう、情報共有や意見交換がで きる交流の場の創設を講じられたい。 5.農村環境の保全について (1) 高齢化と過疎化、農業人口の減少が進む地域では農業用排 水路、農道等の維持管理や整備作業が大きな負担となってい ることから、新たな日本型直接支払制度を活用し、住民協働 による農村環境保全のための支援の充実強化を図るとともに、 町内の全地域が日本型直接支払制度に取り組めるよう推進さ れたい。 3 6.農産物等の販売促進と情報発信の推進について (1) 本町で生産された農産物が、地元のホテルやレストラン等 の宿泊施設や飲食店で提供されることや、地元のスーパーや 小売店で手軽に購買できるよう地産地消の仕組みの構築を図 られたい。 (2) 本町で生産された農産物及び加工品の販売促進のため、町 ホームページ等により、消費者に向けた情報発信の充実を図 られたい。 (3) 農産物の価値向上のため、雫石ブランドの特産品の開発に 向けた施策を講じられたい。 (4) 農業の6次産業化を進められるよう生産者が気軽に利用で きる農産物の加工施設及び加工された農産物販売施設の充 実・拡大を図られたい。 7.畜産・酪農基盤の強化について (1) 畜産・酪農家の高齢化や離農に伴い農家戸数や飼養頭数の 減少など生産基盤が弱体化しているため、畜産・酪農家の育成 を図るとともに、収益性向上に必要な機械のリースや施設整備 の支援などの対策を強化されたい。 8.有害鳥獣対策について (1) 農作物に深刻な影響をもたらしている、ニホンジカやツキ ノワグマなどの有害鳥獣の駆除対策を講じられたい。また、 駆除にかかわる猟友会員の高齢化が進み減少していることか ら、新規狩猟者の育成対策を講じられたい。 4
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