講義ノート(シラバス) 組織学・細胞学を学ぶ前に Ⅰ 解剖学とは、 Anatomy: 切り刻むこと 形態学 Morphology 何をあつかう? 形や色合いなど、部位(空間的位置、隣接物)、材質-構造、素材-由来、 機能解明を最終目標とする 医学部で人体解剖に関わる講座: 解剖学、病理学、法医学 医学の基本的研究手法: 形態学(解剖学)-生理学-生化学(医化学)の三角関係 「生理」系学問と「病理」系学問のちがい Ⅱ 解剖学の細分科目 系統解剖学と局所解剖学 肉眼解剖学と顕微解剖学 組織学 Histology と細胞学 Cytology 細胞生物学 Cell-biology、組織・細胞化学 Histochemistry/Cytochemistry、 分子形態学 Molecular morphpogy、機能形態学 Functional morphology、 細胞科学 Cell-science 発生学 Embryology(個体発生 Ontogeny と系統発生 Phylogeny) 比較解剖学 人類学、美術解剖学、生体工学 Ⅲ 動物と「ヒト」 「人」と「ヒト」 、 動物のおおまかな分類とヒトの位置付け。 動物の分類例: 恒温と変温、冬眠、卵性と胎生、陸棲・水棲と両棲、空飛ぶ、 ・・・ Ⅳ Ⅴ 正常と異常 平均と標準、教科書記載型、 単位 (長さを例に) m (dm) (cm) mm Km Mm Gm 破格 variation μm nm pm fm Tm など (1Å=0.1nm) -2- Ⅵ 生体の成り立ち 生体>系(統)>器官>組織>細胞 「系」 System とは: 同じ(似た)機能を持った器官の集合、発生学的にも近縁関係 人体を約 10 の系に分ける。 運動器系(筋系、骨格系)、循環器系、(血液)、消化器系、呼吸器系、 内分泌系、泌尿・生殖器系、感覚器系、(皮膚)、神経系 #「臓器系統別カリキュラム」の「系統」もこの「系」を示している。 #「系統解剖学」の教科書は、このような項目に分けて記載がなされている。 # 多くの科目で「各論」というのは、臓器系統別に記載されている。 「器官」 Organ: 臓器のこと 「組織」 Tissue: 4 種に大別される: 上皮組織、支持(結合)組織、筋組織、神経組織 組織学総論では、この順に講義がおこなわれる。 「細胞」 Cell: 生物としての性質をもった、動植物の最小単位。 Ⅶ 生体を構成する化学物質 ¾ 細胞内の原子は、A.細胞の中の原子 炭素 C、水素 H、チッ素 N、酸素 O、リン P、イオウ S の 6 種で全重量の約 99% ¾ 細胞の中の分子: 細胞内で最も豊富な物質は水 H2O である。 水(細胞内液)は細胞重量の約 70%をしめる。 なお細胞外には、 「細胞外液」があり、これは組織液(間質液)+血漿をさす。 これらの水溶液中で、お決まりの(タイプの限られた)化学反応をおこなう。 ¾ 水を除けば、細胞内のほぼすべての分子は炭素化合物で、すなわち、有機分子である。 これら有機分子には、メチル基 -CH3、水酸基 -OH、カルボキシル基 -COOH、 アミノ基 -NH2、カルボニル基 >C=O、リン酸基 -PO32-など、 お決まりの原子の組み合わせ (基) がよくみられる。 ¾ 細胞内の有機小分子は化学的によく似たものが多く、その特徴に群に分類されるが、 そのほとんどは糖 (単糖)、脂肪酸、アミノ酸、ヌクレオチドの 4 種類に属する。 これらは重合して巨大分子になる。 ◎ アミノ酸 < ペプチド < ポリペプチド < タンパク質 ◎ 脂肪酸 << 脂質 ◎ 糖類(単糖 < オリゴ糖) << 糖質 ◎ 塩基 < (+糖=)ヌクレオシド <(+リン酸=) ヌクレオチド << 核酸 ¾ 無機物質は、細胞内の水の中でイオン化した状態か、または、巨大分子と結合して 存在する。 ⇒ 無機塩類 ナトリウム Na、カリウム K、カルシウム Ca、塩素 Cl、亜鉛 Zn、鉄 Fe など、 ¾ 核酸の塩基配列⇒タンパク質のアミノ酸配列 DNA: RNA 塩基:アデニン A とグアニン G がプリン塩基、シトシン C とチミン T とウラシル U がピリミジン塩基であり、A=T(U)、G=C という風に相補的に水素結合する。 DNA では A・G・C・T、RNA では A・G・C・U が利用されている。 トリップレットコドンによって、アミノ酸配列に読み替えられる。 動物個体内のタンパク質の部品 となるアミノ酸は 20 個しかない -4-
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