可視光通信によるマルチメディア情報伝達環境の一考察 A-15 Multimedia Information Transfer Environment by making use of Visible Light 竹林諒 今野紀子 宮保憲治 Ryo Takebayashi, Noriko Konno, Noriharu Miyaho, 東京電機大学情報環境学部 School of Information Environment, Tokyo Denki University 1. はじめに LED を高速に点滅させ、その点滅情報を可視光通信 情報として活用することにより、人間の目で見える照 明光を照明の目的に加え、情報伝達の手段としても活 用可能である。本稿では可視光通信用回路の製作、及 び音楽・香り情報を含めたハイブリッドなマルチメデ ィア環境の構築を、可視光通信と組み合わせて行うこ とによる、「癒し環境」を提供するためのリラックス 空間の実現性に関わる基礎的な検討結果を述べる。 2. 光、香り、音楽による心理実験 表1に示すマルチメディアの組み合わせにより人 にどのような心理状況の変化を与えるかを脳波、血圧、 心拍数、顔表面温度を測定し、更に心理状態を検証す るため、7段階リッカート方式による心理評価試験を 実施した。 表1:心理実験に使用したマルチメディアの種類 光の 赤(X:44.1Y:0.68 Z:0.32) 色彩空間 青(X:7.6 Y:0.14 Z:0.75) <色彩輝度計にて測定> モーツァルト作曲 セレナード第 13 番 音楽 ト長調 K525 アイネ・クライネ・ナハ トムジーク第2楽章 香り ラベンダー 香り調香器にミラプロ社(株)のアロマジュールを 使用し、可視光通信用の赤色/青色光の切り替えを可 能とする照明システムを構築し可視光には音楽情報 を重畳させた環境で実験を行った。この実験環境を図 1 に示す。 図2 青光・香り・音楽の組み合わせ時の心理状況 図3はメディアの組合せによるイメージの結果で ある。数値が高いほどリラックス度が高い。“青光・ 音楽・香り”の組み合わせが効果的であることが判明 した。 図3 リラックス効果を対象としたイメージ分析結果 4.応用と提案 今回の実験を通じてリラックス空間としては“青 光・音楽・香り”の組み合わせが一番効果的であった。 更に、評価項目を追加し、実験・分析することにより “音楽・香り・光“を使った新しい精神療法への応用 が期待できる。 今後は本実験システムと可視光通信システムやセ ンサネットワークとの有機的な結合を行うことによ り、医療等の現場で香り・音楽を融合させた無線通信 を実現することが可能なシステムの検討を進める。 参考文献 図 1 心理実験の測定環境 今回の実験測定により、光の色彩、音楽、香りの要 素は単独で与える場合より、複合的に用いる事により、 「リラックス」効果が高くなる事が判明した。取得し たデータよりリラックス効果の高い組合せは“青光・ 音楽・香り”である。図2に青光・香り・音楽の複合 空間における心理状況を示す。 [1] 鈴 木 憲 次 , ” ラ ジ オ & ワ イ ヤ レ ス 回 路 の 設 計 ・ 製 作”1999.10.15 [2]中川正雄,有田武美、”可視光通信の現状と可能性”、電 子情報通信学会東京支部, 2005.12 [3]篠田知璋監修 ; 日野原重明”新しい音楽療法-実践現場 よりの提言” 音楽之友社, 2001.11 [4]伊藤正敏,佐々木雄久,ほか”ラベンダー香りの生理効果 に関する研究” , Journal of International Society of Life Information Science 22(1)109-116.2004.
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