曲 目 解 説 新しい耳シリーズ Vol.4 ~マリンバ・パニック!【バッハからバーンスタインまで】~ マリンバをメイン楽器に、没後250年のバッハから現代の巨匠バーンスタインに至る作品を中心に選 曲。ほとんどの曲がおなじみの曲でありながら、比較的耳新しい楽器である「マリンバ」でどんなアプ ローチができるかというのがわたしたちの試みでもあり、またこれだけの鍵盤打楽器の曲に取り組ん で、パニック!になっているのも現実である。旋律をなぞるだけでなく、新しい響きを提供したいという のが、願いでもある。 1 アレグロ(合奏協奏曲第2番 作品6より) バロック時代の最も重要な合奏曲形式で独奏部と全体合奏の対比を原理とする協奏曲。3人のマリンバが独奏部 を受け持つ。作曲者コレッリはパッヘルベルと同年の1653年、バッハの誕生より32年前に生まれている。 2 カノン ニ長調 「3声のカノンとジーグ ニ長調」の中のカノンにあたるもので、元々は3台のヴァイオリンと通奏低音のための作 品。複雑な対位法的技巧が駆使されていながら、優雅で落ち着いた雰囲気を持つ音楽となっている。今回の編曲版 は低音部をバスマリンバが担当するほか、3声の部分もマリンバにヴァイブラフォン、グロッケンシュピール、チャイム の金属性の音も加えカラフルな響きにしている。 3 小フーガ ト短調 主題の美しさと流麗さがとても魅力的なオルガン曲が原曲。管弦楽等に編曲され「小フーガ」の愛称で広く親しまれ ている。曲の末尾にバスマリンバに原型主題が現れ大団円となるが主題の絡み合いが美しい。 4 鏡の中の鏡 簡潔で澄明さと深さを湛えた作品を発表し続けるエストニア出身の現代の作曲家の作品は、2枚の鏡を向かい合 わせて見たとき両方の鏡の中にそれぞれの鏡の面が繰り返し写る様を表現したようなスタイルを持っており、原曲は ヴァイオリンとピアノのための作品。恐るべき単純さで淡々と流れていく音楽に、退屈だと感じるか(これも間違った聴 き方ではない)広がるイメージを持てるかは聴く人にゆだねられる。 5 トッカータとフーガ ニ短調 青年バッハのオルガン音楽にかける情熱があふれる傑作。若々しい才気とたくましい力がほとばしるトッカータは弦 楽器風の語法によるフーガに受け継がれるが、フーガの主題はトッカータ部分冒頭の素材を用いている事からもわ かるように内面的な関連性が高い。曲の末尾でも再びトッカータ部分があらわれ激しく、そして壮大に曲が閉じられ る。小フーガもそうであるが低音部の動きに着目したい曲でもある。 6 アレグロ(アイネ クライネ ナハトムジーク 第1楽章) セレナード第13番ト長調「アイネ クライネ ナハトムジーク」K.525が正式名称。4声の弦楽5部の曲をマリンバ4台 で演奏。モーツァルトは西暦2006年に生誕250年を迎える。 7 子供のためのアルバムより シューマンが長女マリーのために作曲した全43曲からなるピアノ曲(追加作品あり)。「子供の情景」が大人が回想 した子供の世界であるのに較べると「子供のためのアルバム」は子供の立場に立って書かれた感想といえよう。 8 月の光 「ベルガマスク組曲」の中の1曲。ドビュッシーは印象主義音楽の開拓者とされるがその第一歩の作品。 9 ウエスト サイド ストーリーより 「ロメオとジュリエット」の現代版として、ニューヨークのウエスト・サイドを舞台に、相容れない境遇にある男女の恋を 描いたミュージカル。その中から「プロローグ」「サムホエア」「クール(フーガ含む)」「アメリカ」の4曲を演奏。マリン バ、ヴァイブラフォン、シロフォン、打楽器等に加えピアノ、ドラムセットの活躍でダンサブルな響きが生み出されよう。
© Copyright 2024 Paperzz