小中一貫教育校には夢がある

細河中学校情報発信
池田市伏尾台 3-14
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The Hosokawachugaku Shinbun 2010.6.30 第 2 号(通巻 196 号)
小中一貫教育校には夢がある
校長 山田 和男
<9 年制の新しい学校を創る>
細河中学校区 3 校の小中連携が始まって 18 年余り。いよいよ、細中校区の教育が次のステージに登るときが来ました。
今年、
「教育のまち池田」フォーラムで宣言された全市一斉の小中一貫教育スタート。中でも細中校区は、これまでの連携型(小
中学校が従来の建物のまま一貫教育を実施する)から一体型へ進む方向性が見えてきました。
これは、児童生徒数が減尐してきたから小中を統合するという消極的なものではありません。細中校区に池田で最初の 9 年制の
新しい教育をおこなう学校が生まれることなのです。
<私の夢>
では、これまでの教育と小中一貫教育校の教育はどこが同じでどこが新しいのでしょうか? その詳しい中身は、これから教育
委員会はもちろん、学校の教職員、保護者や地域のみなさんのご意見をもとに深めていくものです。そういう意味では、みなさん
にも夢をたくさん出していただくことが重要だと考えています。
私自身も新しい学校には夢があります。ここで私の夢を語ってみたいと思います。ただし、あくまでも、これは私の現在の夢で、
決定したものではないことを明記しておきます。
■どんな学校を作るのか■
○9 年間のトータルな教育で、地域の特性を生かし、子どもたちの未来を保障する学校
・自立し、仲間とともに人権尊重の社会づくりに参加できる人間を育てる。
・卒業時に全員の進路を保障する。
・そのために確かな学力と困難に負けない生きる力を全員に育む。
■その実現のために■
○ 小 1 から中 3 までの子どもの姿(いいところも解決すべきことも)を小中教職員がすべて知っている。
※たとえば、中学校の教職員が小 1 の子どもの課題を知っていたり、小学校の教職員が中 3 の進路選択の結果を踏まえて、
授業づくりをする等々。
○ 小 1 から中 3 までのカリキュラムが統一されているため、有機的な学習が保障される。
※たとえば次のような学習指導が考えられます。
小 1~小 4 は学級担任による学級での丁寧な学習指導
小5~中1は教科担当による学級での学習指導
中2~中 3 は教科担当による教科の専門教室でのより深い学習指導
○ 細中校区の子どもたちの生きる力(困難に負けず、志を持ち夢を実現する力)を 9 年間で育むことができる。
※たとえば、小中一貫教育校オリジナルの「生き方を考える教科」を新設し、<人間関係学習=コミュニケーション力を
育む学習><人と協力して何かを作り上げる体験をする学習><職業体験や将来の進路を考える学習>などを小 1 から
体系的に学習し、中 3 段階で進路選択や社会参加ができる力を保証することが考えられます。
※たとえば、細中校区の特色を生かした生産活動を 9 年間、総合的な学習の時間に位置付けることで、環境や仕事を教育の
中心にすえることが考えられます。
○ 特別支援が必要な子どもを 9 年間トータルで見ることができるため、子ども成長についての保護者と教職員の協働の関係が
太くなる。
※たとえば、現在のように小学校から中学校に進むにあたって、保護者が子どものことを学校に一から説明することはなく
なり、9 年間トータルの支援教育体制を作ることができます。
○ 現在のOSPが発展し、9 年間の子ども支援・学校支援にあたる地域本部となり、卒業生、保護者OGOB、地域のみなさ
んが集える部屋が学校にある。
※たとえば、早朝、放課後の学習支援だけではなく、細河コミュニティでやっている野菜市のような催し物がスタッフと子
どもで開催され、地域と学校を結ぶ拠点になります。
<夢をみんなで語りましょう>
新しい学校づくりに参加できることは、千載一遇の機会です。
まずは、私が夢を語りましたが、次は保護者のみなさんにも夢を語っていただきたいと思います。いろいろな機会に声を学校に
届けていただければありがたいです。みなさんの声を集約する組織として、6 月 2 日に池田市教育委員会の主催で細中校区小中一
貫教育検討委員会が発足しました。第 2 回目は 7 月 16 日を予定しています。
細中校区の小中一貫教育校の具体像の最終決定権は教育委員会にあります。教育委員会では最終決定するまでに学校や保護者、
地域のみなさん多数のご意見、ご要望を求めています。それを検討するものとして検討委員会があります。小中一貫教育校の具体
像についてのアイデアや要望を検討委員会事務局までお寄せ下さい。
細中校区小中一貫教育検討委員会事務局
TEL 751-0731
FAX 751-0732
教育実習生を受け入れて、あらためて教師という仕事の素晴らしさに感動!
6月の25日まで本校の卒業生(20期生)重野滋之さんと山本恭平さんの二人が教育実習をおこないました。
実習の終わりにあたって、生徒への挨拶のあとで、二人と話す機会がありました。二人とも教職を強く希望しており、これから
教員としてのぞむ心構えなどに話が移りました。そこで私たち何年も勤めている者にも“教師の心”を再認識した時間になりまし
た。
そこで二人に話したことは次のようなものでした。
○下校のとき、子どもたちと「さようなら」のあいさつを交わす。それだけなら誰もができる。学校での一日の生活を終え、部活
動に参加したり、また家路につく生徒の心の中はさまざまで、たとえばテストの結果が悪かったらの足取りは重く、先生に褒めら
れたら、その足取りは軽やかである。生徒と深くかかわっていけば、子どもの心の中が見えてくる。足取りの重い生徒にも軽やか
な生徒にも、
「さよなら」の後に一言を添える心遣いをしたい。
○また、素晴らしい授業であっても後に残ることはないだろう。残念ながら一瞬のうちに消えてしまう。そういう意味では教師の
仕事は実にはかなく、その力は弱々しいのかもしれない。しかし教師の何げない一言が子どもの将来を決定したり、心を深く傷つ
けたりすることもある。そういう意味では教師の力は非常に強く、その責任は重いものだ。
○「指導する」ことはできても、なかなか「教育する」ことはできないもので、分数の計算を教えることはできるが、何事にも真
摯(しんし)であることはなかなか教えることはできない。
私も後年、教えていた生徒に「理科の楽しさ」を教わったと言われることがあっても、
「化学変化」を教わったと言われたこと
はない。全力で指導する教師の姿から子どもが感化されるということは、なかなか意図して行えるものではない。
「教育」は心の
触れ合いを通じて行われる崇高な作業なのである。
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