日本移民学會ニューズレター

日本移民学會ニューズレター
2005年7月20日 第40号
発行 山本岩夫・木村健二・飯野正子・飯田耕二郎
日本移民学会:大阪商業大学飯田研究室 編集 白水繁彦
新しいホームページができました。 日本移民学会 http://www.musashi.jp/persons/imin/
本号の記事から---------------------------------------------p. 7 2005年度第2回総会議事録:木村健二氏新会長に
p. 8 新入会員一覧
p. 9 2005年度ワークショップのお知らせ
p.11 第15回年次大会報告要旨
p.17 2004年度 ワークショップ報告
p.18 掲示板 ----------------------------------------------------------● 2005年度 第1回 運営委員会議事録
日 時:2005年4月23日(土) 14:00 16:30
場 所:大阪商業大学 本館会議室Ⅲ
出席者:山本岩夫、木村健二、飯田耕二郎;森本豊富、村川庸子、篠田左多江、戸上宗賢、
(事務局)荒川正也
(委任状)石川友紀、粂井輝子、島田法子
報告事項
1.各種委員会
(1)編集委員会 『移民研究年報』編集企画・進捗状況について以下の報告があった。①第11号は3
月末に出版・配布。②第12号の論文投稿を募集中、締切は4月末日。(島田法子委員長欠席のためメッ
セージ代読)
(2)大会企画委員会 村川庸子委員から以下の報告があった。
①大会シンポジウムの第二報告者がキャンセルとなり、代わりに岡田皓一氏(明星大)と交渉中で
ある。第三報告のかわりに9.11に関する映画を上映する。②コメンテーターについては、もう1人に山
本剛郎氏(関西学院大)にお願いしている。
また、報告者・コメンテーターの決定はプログラムの発送の都合上4月末とし、大会レジュメ集
の原稿締切は5月20日とする。大会シンポジウムの時間は26日の9:30 12:30とすることとした。
(3)共同研究推進委員会 篠田左多江委員から本年度のワークショップのプログラム(案)が示され
た。会員には6月初めに葉書で案内、同時にホームページにも掲載し、7月10日までにメールまたは
FAXで参加申込みをしてもらう予定である。
その後の意見交換の結果、参加費は無料で、非会員の参加もOKとすることとした。
(4)ニューズレター 飯田耕二郎事務局長より以下の報告があった。①『日本移民学会ニューズレ
(4)ニューズレター 飯田耕二郎事務局長より以下の報告があった。①『日本移民学会ニューズレ
ター』第39号は2005年3月29日発送(年報と同封)。年報の刊行に合わせたため、3月20日発行より
やや遅れた発送となった。② 第40号の発行は2005年7月20日を予定しており、主たる
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掲載事項は2005年度宮城大会ならびに総会報告、および本年度ワークショップの案内である。
2.2005年度日本移民学会大会(6月25日・26日、宮城大学)について、飯田事務局長より以下の報
告があった。
①大会プログラムと出欠票の発送は、5月上旬に行う。それに合わせ、原稿は4月末日の締切としたい。
②大会レジュメ集の原稿締切は5月20日締切とし、事務局で集約し、印刷については今年度は大会開催
校の宮城大学で行い、大会当日出席者に配布することにする。
3.事務局 飯田事務局長より以下の報告があった。
①2005年度会費請求書を3月下旬、年報第11号に同封して発送した。②共同研究プロジェクト助成研
究代表者の菅美弥氏に助成関係書類および助成金を送付した。③運営委員選挙の日程については、前回
の運営委員会での決定通りに進めたい。報告の後、選挙の投票率についての質問などが出された。
審議事項
1.会員動態
(1)以下の入会希望者8名について審査し、いずれも正会員として承認した。
土屋智子、臺丸谷美幸、周飛帆、對馬秀子、宋連玉、金戸幸子、坂本悠一、水野守 (2)以下の3名の退会願を承認した。
簑原俊洋、玉盛映聿、津金昌一郎
2. 2004年度決算案、2005年度予算案、会計監査による監査など
①2004年度決算案が飯田事務局長より報告された。収入の部では、正会員の納入は84%である。学会
誌のバックナンバーの売り上げのうち現代史料出版扱いの収入が予想以上となり、全体で予算を上回る
収入となった。支出の部では、全体として81.3%の消化率となり、単年度決算で18万円強の黒字と
なったなどの説明がなされ、承認された。
②戸上宗賢監査委員より、運営委員会前に監査を行った結果、正しく決算がなされているとの報告が
あった。問題点として、消化率が半分以下となった項目については予算案策定の際に十分考慮が必要と
の指摘があった。もう1人の監査委員である白水繁彦氏には後ほど資料を送って監査を受けることとし
た。
③飯田事務局長より2005年度予算案報告があり、収入の部では、現在正会員が342名であるが、長期
滞納者・転居先不明者が34名あり、これらを除いた308名から年会費収入を見込めるとして計算した。
また支出の部では、本年度は運営委員選挙と会員名簿発行予定の年で、これらに関する諸費用の支出が
見込まれるため、前年度に比べて16万円の支出増となる旨の説明があり承認された。なお従来、特別出
張費という項目は大会企画委員会という名称に変えることとした。
④長期滞納者の扱いについて、(昨年度分までで)3年以上の年会費未納者については、3月に年報を送
らずにニューズレターと年会費の請求書のみを送付し、これまでの未納分が納入された時点で年報を送
ることとしたが、協議の結果、(今年度分を含め)3年間の未納者を除籍扱いとする案を、総会で提案
することとした。また、未納者に対して、年数回、振込用紙を送付する案が出された。
3. 2005年度名簿作成について
飯田事務局長より、名簿作成のための葉書によるアンケート実施について意見を求められた。意見の
一つとして、本年4月からの個人情報保護法実施のこともあり、従来どおりの名簿を作って配布してい
いものかどうかという疑問が出され、結局、次回の運営委員会で再度検討することとし、とりあえず名
いものかどうかという疑問が出され、結局、次回の運営委員会で再度検討することとし、とりあえず名
簿作成のためのアンケート実施は当分見合わせることとした。
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4. ニューズレター掲示板について
山本岩夫会長より、会員間の情報を密にするため、各会員の所属先が所有している資料の有効活用の
ため、また研究会への参加呼びかけなどのため、半ページ分程の掲示板を設けてはという提案があり、
了承された。掲載決定は四役一任とすることとした。
また篠田委員から、本年11月に小平尚道氏による強制収容所の絵画展が開催されるので、その案内
を10月発行のニューズレターに掲載してほしいとの要望があった。
5.次回以降の運営委員会/四役会議/各種委員会
第2回運営委員会 6月25日(土)10:30 12:30 於)宮城大学
議題:総会にむけて2005年度総会議案、2004年度決算案・2005年度予算案、
諸委員会活動報告・方針の確認、新運営委員の選出
四役会議 6月25日(土)9:30 10:30 於)宮城大学
第3回運営委員会 6月26日(日)8:30 9:30 於)宮城大学
議題:各種委員の選出 第4回運営委員会 6月26日(日)13:30 14:30 於)宮城大学
6.その他 福岡国際交流センターより、本学会のホームページにリンクしたいとの要請があり、特に
問題はないので許可することとした。
(文責 飯田耕二郎)
● 2005年度 第2回 運営委員会議事録
日 時:2005年6月25日(土) 10:30 12:30
場 所:宮城大学大和キャンパス421演習室
出席者:山本岩夫、木村健二、飯田耕二郎;森本豊富、村川庸子、坂口満宏、島田法子、
篠田左多江、白水繁彦、(事務局)荒川正也
(委任状)石川友紀、粂井輝子、戸上宗賢
報告事項
1.各種委員会
(1)編集委員会 島田法子編集委員長より『移民研究年報』編集企画・進捗状況について以下の報告
があった。①『移民研究年報』第12号の原稿募集でこれまで論文・研究ノート合わせて18件の投稿が
あった。②書評は5冊を予定している。③運営委員のメンバーには査読者になっていただくという依頼
あり。
(2)共同研究推進委員会 篠田左多江委員より、今年度のワークショップの追加事項として、五十嵐
泰正氏(一橋大学)をパネリストに加えるとの報告があり、今回のワークショップは現地見学や交流を
主体としているので、ゼミ生等の参加を期待するとの要請があった。
(3)ニューズレター 飯田耕二郎事務局長より、『日本移民学会ニューズレター』第40号の発行は
(3)ニューズレター 飯田耕二郎事務局長より、『日本移民学会ニューズレター』第40号の発行は
2005年7月20日を予定しており、主な内容は宮城大会および総会・運営委員会報告、昨年度のワーク
ショップの報告、今年度のワークショップの案内などである、との報告があった。続いて白水委員よ
り、大会報告要旨は、①今回は司会者に200 300字程度でお願いする。②ホームページについては、
明るい感じのものに変更したとの報告があった。その後ホームページについて、
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運営委員会の議事録をすべて公開するのは問題であり、外部には概要のみをオープンにすればよいとの
意見が出され、今後その方向で掲載することとした。
2.2005年度大会関係 飯田事務局長より以下の報告があった。
①琉球大学より11月に沖縄で行われるシンポジウムの案内チラシを大会会場に置かせてほしいとの申し
出があり了承した。②昨年度の大会で販売した芳賀武の本の残部を本大会でも販売し、その収益金は大
会実行委員会に帰属する。また、年報バックナンバーも大会期間中に販売するが、その収入は学会本部
に帰属する。③第15回大会報告要旨集の掲載広告は5件で広告費は大会費用に計上する。要旨集の編集
および印刷は宮城大学の方で行った。
3.事務局 飯田事務局長より以下の報告があった。
①2005年6月22日現在での会費納入状況は特別会員6団体35万円、一般会員延べ210名で126万
円である。② 次期運営委員選出選挙は下村雄紀委員長のもと予定通り実施された。
審議事項
1. 会員動態 以下の入会希望者7名について審査し、いずれも正会員として承認した。
今回はホームページをみて入会申し込みをした人がおり、今後このようなケースが増えることは望まし
いとの意見があった。
小田隆史、塩野ユカ、佐藤 渉、藍澤光晴、藤田純子、山根亮一、宮本愛梨
2.次期運営委員の選出 運営委員選出選挙管理委員会からの報告を受けて、以下の次期運営委員15名(任期2006年4月1日
2008年3月31日)を選出し、総会において承認を得ることとした。
①選挙による上位11名(10位の投票数が同数のため):飯田耕二郎、飯野正子、木村健二、粂井
輝子、森本豊富、島田法子、篠田左多江、白水繁彦、竹沢泰子、戸上宗賢、
山本岩夫
②現運営委員選出による4名:守屋友江、村川庸子、坂口満宏、高木眞理子
3.大会企画委員会 木村健二委員長より、①ラウンドテーブルは開催校の意向に沿った現地特定的な
テーマ、シンポジウムは学会の意向に沿った継続性のあるテーマという2本立てになっているが、これ
について明日の午後の大会企画委員会で検討したいとの発言がなされた。この後、ラウンドテーブルは
いくつかのテーマを決めて興味のある人々が集まって議論するのが普通で、テーマは会員が提案するも
のや企画委員会が出すもの、あるいは現地特定的なものもあってよいなどの意見が出された。
4. 2005年度名簿作成について 山本岩夫会長より、会員データの更新のため名簿を作成するが、今
回は個人情報の保護にできるだけ配慮する立場でアンケートを実施したいとの提案があり了承された。
またアンケートの記入形式も回答しやすいよう前回のものから若干変更することとした。飯田事務局長
より、名簿作成のスケジュールは、アンケート回答の締切を8月末日とし、遅くとも年度末には完成・
送付したいとの報告があった。
5. 2004年度決算案、2005年度予算案、会計監査報告 5. 2004年度決算案、2005年度予算案、会計監査報告 ①飯田事務局長より2004年度決算案について、第1回の運営委員会で承認され、戸上宗賢、白水繁彦両
委員に監査の承認をうけたとの報告があった。
②飯田事務局長より2005年度予算案について、第1回の運営委員会で一応の承認を得たが、その際指摘
された項目の名称変更を行ったことを報告し、承認された。
[P.5 of 05/07/20]
6.2005年度総会(第1日目および第2日目)の議事項目、報告担当者について、飯田事務局長から
報告があり了承を得た。
7.第5回以降の運営委員会予定
2005年度第5回運営委員会 2005年9月24日(土) 於)大阪商業大学
2006年度大会準備状況、その他
2005年度第6回運営委員会 2005年12月17日(土) 於)名古屋市立大学
2006年度大会準備状況、その他
8.その他
白水委員から、ホームページに年報の要旨を掲載したいとの提案があり、協議の結果、執筆者の了
解をとることで承認された。
(文責 飯田耕二郎)
■ 2005年度 第1回総会議事録
日 時:2004年6月25日(土) 18:00 18:30
場 所:宮城大学大和キャンパス400講義室
司会 山本岩夫氏、議長 小島 茂氏
審議事項
1.2004年度学会活動報告
基本的な方針
共同化と組織化という前年度からの取り組みを継承・発展。
年次大会におけるテーマの継承的企画の実施および『移民研究年報』との連動。
(1) ワークショップの実施
2005年3月26日、27日に京都大学文学部にて開催。
共通テーマ「日本帝国をめぐる人口移動(移民)の諸相・研究序説」
(2)共同研究推進企画の実施
前年度に続き共同研究プロジェクトへの助成を募集し、審査の結果1件の申請を採択。
(3)年次大会
2004年6月26、27日 早稲田大学所沢キャンパスにて第14回年年次大会開催。
大会テーマ「グローバリゼーションと移民−新旧移民の相克」を掲げるシンポジウムで3報告、コメン
大会テーマ「グローバリゼーションと移民−新旧移民の相克」を掲げるシンポジウムで3報告、コメン
ト2報告の後、総合討論を実施。他にラウンドテーブル「ハワイ先住民の言語文化復興運動と日本人移
民̶ハワイ島における軌跡」2報告とコメント1報告。自由論題11報告。
2005年6月の宮城大学にて開催される第15回年次大会にむけて準備を進める。
大会企画委員会を中心として大会企画を準備、運営。
大会テーマ「戦争と移民」。
(4)『移民研究年報』第11号刊行 2005年3月、161ページ
[P.6 of 05/07/20]
特集:移民とグローバリゼーション 論文3 / 論文4 / 書評 5 / 新刊紹介 1
(5)『日本移民学会ニューズレター』
第37号(2004年7月20日)、第38号(2004年10月20日)、
第39号(2005年3月20日)
新しい日本移民学会公式ホームページを開く。イベント情報や年報の投稿規定・執筆要綱を新たに掲
載。入会の方法および申込書のダウンロード。
(6)運営委員会(2004年度)
第1回4月24日、大会プログラムの確定、2003年度決算案、2004年度予算案。
第2回6月26日、次期大会企画委員の確定、決算案・予算案(再提案)の承認。
第3回6月27日、大会の反省と次年度大会への対応。
第4回9月25日、今年度ワークショップおよび次年度大会について協議。
第5回12月11日、今年度ワークショップおよび次年度大会の概要決定。
(7)総会(2004年度)
2004年6月27日、早稲田大学において開催。2003年度活動報告、決算報告両案承認される。2004年
度活動方針、予算両案承認される。
以上、飯田耕二郎事務局長より報告され、承認される。
2.2004年度会計決算報告
(収入) 2,412,747円 (単年度決算) 184,884円
(支出) 2,227,863 (昨年度繰越金)3,655,122
(単年度決算) 184,884 (次年度繰越金) 3,840,006
以上、飯田事務局長より報告され、承認される。
3.2003年度会計監査報告 白水繁彦委員による報告があり承認される。
4.2004年度学会活動方針案 山本岩夫会長より、これまでの共同化・組織化、年次大会における
テーマの継承性、共同研究の推進、『移民研究年報』の大会テーマの連動性の追求を維持し発展させる
という基本方針が述べられた。続いて大会企画委員会の木村健二委員長より2006年6月24日(土)、
25日(日)に名古屋市立大学で開催予定の年次大会の紹介、共同研究推進委員会の篠田左多江委員より
今年度のワークショップと共同研究プロジェクト助成の紹介、編集委員会の島田法子委員長から年報12
号についての説明があり、承認される。
5.2004年度予算案 (収入) 2,420,100円 (単年度決算) ▲479,900円
(収入) 2,420,100円 (単年度決算) ▲479,900円
(支出) 2,900,000 (昨年度繰越金)3,840,006
(単年度決算) ▲479,900 (次年度繰越金)3,360,106
上記予算案について、飯田事務局長より、前年度に比べ会員名簿の印刷・発送費、運営委員会選挙経費
等の支出が見込まれるため、単年度では赤字予算となる旨の報告があり、承認される。
6.会費長期未納者に対する措置 飯田事務局長より、長期未納者が郵送料などで財政を圧迫するた
め、本年度分を含め3年間の未納者は本年度末をもって除籍扱いとする案を提案し、承認される。
[P.7 of 05/07/20]
7.新運営委員の承認 新運営委員(任期2006年4月1日 2008年3月31日)について山本岩夫会長
より下記の15名の提案があり、承認を得た。
飯田耕二郎、飯野正子、木村健二、粂井輝子、森本豊富、守屋友江、村川庸子、坂口満宏、
島田法子、篠田左多江、白水繁彦、高木眞理子、竹沢泰子、戸上宗賢、山本岩夫
(文責 飯田耕二郎)
● 2005年度 第3回 拡大運営委員会議事録
日 時:2004年6月26日(日) 8:30 9:30
場 所:宮城大学大和キャンパス421演習室
出席者:山本岩夫、木村健二、飯田耕二郎;森本豊富、守屋友江、村川庸子、坂口満宏、
島田法子、篠田左多江、白水繁彦、戸上宗賢(事務局)荒川正也
(委任状)石川友紀
審議事項
1. 次期会長の選出 新運営委員による互選の結果、木村健二氏を次期会長に選出した。
(文責 飯田耕二郎)
■ 2005年度 第2回総会議事録
日 時:2004年6月26日(日) 12:50 13:10
場 所:宮城大学大和キャンパス400講義室
司会 山本岩夫氏、議長 小島 茂氏
議事項目
1. 次期会長の選出 山本岩夫会長より、運営委員会において木村健二氏を次期会長に選出したことが
報告された。
2. 木村健二・次期会長の挨拶
3. 山本岩夫会長の挨拶
(文責 飯田耕二郎)
● 2005年度 第4回 拡大運営委員会議事録
● 2005年度 第4回 拡大運営委員会議事録
日 時:2004年6月26日(日) 13:20 14:00
場 所:宮城大学大和キャンパス421演習室
出席者:山本岩夫、木村健二、飯田耕二郎;森本豊富、村川庸子、坂口満宏、島田法子、
篠田左多江、白水繁彦、高木眞理子(事務局)荒川正也
(委任状)石川友紀、戸上宗賢
審議事項
1.次期の四役、監査ならびに各委員会の委員長について木村健二・次期会長より提案があり、下記の
通り承認された。(任期2006年4月1日 2008年3月31日)
[P.8 of 05/07/20]
なお、事務局の引継ぎは2006年の2月ないし3月に行うこととした。
会 長 木村健二 年報編集委員長 庄司啓一
副会長 篠田左多江 共同研究推進委員長 竹沢泰子
事務局幹事 関東 森本豊富 大会企画委員長 村川庸子
関西 坂口満宏 事務局長 森本豊富
監 査 山本岩夫 事務局次長 未定
島田法子
2.2005年度大会の反省と次年度大会への対応について、以下のような意見が出された。
①報告の時間の余裕を持たせたほうがよい。報告終了後5分ぐらいの時間をあけるべきである。②シン
ポジウムのテーマなどを会員から募集し、それが反映されるならば参加へのインセンティブを高めるこ
とになる。③ラウンドテーブルは会場の立地条件がよければ、日曜日の午後3時くらいまでやれるので
はないか。④大会報告要旨集でプログラムの順番が間違っていたのは、大会実行委員会が製作したいと
の申し出により今回、事務局でチェックできなかったためである。⑤懇親会で今回のような催しは不要
ではないか。本来、懇親会は会員相互の親睦の機会たるべきである。
(文責 飯田耕二郎)
■新入会員一覧
★土屋智子(日本女子大学大学院博士前期課程)
ハワイにおける戦争花嫁
★臺丸谷美幸(日本女子大学大学院博士前期課程)
朝鮮戦争と大衆文化表象について
★周 飛帆(千葉大学助教授)
中国人(新)移民の社会的ネットワークおよび子女の教育
★對馬秀子(順天堂大学法医学研究室)
沖縄以外からのミクロネシア・北マリアナ諸島への移民について
★宋 蓮玉(青山学院大学教授)
朝鮮半島へ移動した日本人女性、朝鮮半島から移動した朝鮮人女性
★金戸幸子(東京大学大学院博士課程)
日台間の人の移動をめぐる国際社会学研究:沖縄と台湾の双方向な人の移動を中心に
★坂本悠一(九州国際大学経済学部教授)
★坂本悠一(九州国際大学経済学部教授)
20世紀アジアにおける人の移動、朝鮮人の海外移住
★水野 守(大阪大学大学院博士後期課程)
近代日本における移民論
(以上、2005年4月23日第1回運営委員会承認分)
★小田隆史(在サンフランシスコ日本国総領事館専門調査員)
北カリフォルニア日系人およびアジア系マイノリティの政治・経済動向
★塩野ユカ(中部大学大学院博士後期課程)
中南米の日系人の強制収容問題に対する日本、米国、ペルーの対応
★佐藤 渉(立命館大学法学部専任講師)
オーストラリアの先住民、移民の文学
★藍澤光晴(龍谷大学大学院博士課程)
イギリスにおける南アジア系移民の歴史と現状およびモーリシャス、マダガスカルにおける南アジ
[P.9 of 05/07/20]
ア系移民の比較研究
★藤田純子(京都大学大学院博士後期課程)
ケベック州のフランス語化政策と中国系、日系移民の関係を社会学的に考察すること
★山根亮一(大東文化大学大学院修士課程・修了)
アメリカ・イギリスのアジア系移民の文学におけるマジョリティへの融合と民族性から来る排他性の
問題
★宮本愛梨(放送大学大学院修士課程)
在日スペイン語圏出身者について(エスニック・メディアを中心に)
(以上、2005年6月25日第2回運営委員会承認分)
■2005年度ワークショップのお知らせ■
参加希望者が55名になり、申し込みは締め切らせていただきました。
日時 8月6日(土)・7日(日)
場所 群馬県邑楽郡大泉町(日系ブラジル人コミュニティ見学・懇親会)
太田市民会館 会議室(講演・シンポジウム)
テーマ 「共生」
スケジュール 8月6日 午後1時より大泉町の日系ブラジル人コミュニティ見学。
集合場所 東武小泉線終点 西小泉駅改札口
懇親会 18時 レストランテ・プリマヴェーラ 8月7日 午前10時 12時 講演 日系ブラジル人コミュニティの現状
1.高野祥子(Shoko Takano)大泉日伯センター代表。
教育問題を中心に共生を目指すNPO法人のリーダー。
2.ニウタ・ジアス(Nilta dos Santos Dias) ブラジル人児童の教育問題の研究者。
国費留学生として来日し、教育問題について研究。99年より太田市教育委員会 のバイリンガルプログラムに関わり、その後は栃木県のブラジル人学校で教務委
員長を務め、朝日小学校でも働いている。
午後1時 3時半 パネル・ディスカッション
午後1時 3時半 パネル・ディスカッション
司会・通訳 アンジェロ・イシ パネリスト 五十嵐 泰正(会員)日本学術振興会特別研究員(一橋大学)
エーデル・ハシヅメ(Eder Hashizume)ジャーナリスト
地域新聞『Folha E』編集長。工場労働も経験し、長年『インターナショナ
ルプレス』紙の群馬県特派員を務めた。
エルネスト・キノシタ(Ernesto Kinoshita)。10年前にデカセギで来日、現
在も工場で働きながら、ブラジル人青少年の犯罪防止の活動にも関わる。
高野祥子 ニウタ・ジアス
午後4時 現地解散
太田市民会館は太田駅南口下車、徒歩で約10分。
群馬県太田市飯田町808 TEL 0276(45)8291
http://www.city.ota.gunma.jp/gyosei/0040a/016/annai/map.htm参照
[P.10 of 05/07/20]
http://www.city.ota.gunma.jp/gyosei/0040a/016/riyouannai/riyouannai.htm
大泉町へのアクセスなどはウエブにあります。バスの時刻表などすべて見ることができます。 ■共同研究プロジェクト助成のお知らせ■
移民およびそれに関する問題を研究する共同研究プロジェクトに対して1グループにつき2年間で30万
円を助成する。
とくに若い会員の独創的な研究を奨励することを目的とする。
応募要領は以下の通りです。奮ってご応募ください。
【概要】
助成件数は、年度ごとに1件。
研究に必要な書籍代、コピー・文房具などの消耗品代、
調査や会議のための旅費・交通費などが助成対象となる。
助成金を受けた団体はその成果を次のような形で発表することが義務づけられる。
2年目の移民学会年次大会・ワークショップなどで研究成果を発表すること。
またその成果を『移民研究年報』誌上に論文として投稿すること。
これらは共同または個人執筆のいずれでも可とする。
2006年4月1日から研究を開始する。
【応募資格】
個人ではなく2,3人のグループ。若い研究者が望ましい。
申請者全員が応募の時点で学会員であること。
ただし申請は団体の代表者が行う。
【募集期間】
2005年9月1日 10月31日(当日消印有効)
【申請書の請求】
日本移民学会事務局へ請求、またはウエブサイトからプリントした用紙を使用すること。
【送り先】
【送り先】
募集期間中に日本移民学会事務局へ送付。
【結果の公表】
共同研究推進委員会による審査の結果を2005年12月に応募者に連絡し、ニューズレターで公表する。
■ 第16回年次大会のお知らせ ■
来年度の年次大会は、2006年6月24日(土)、25日(日) 名古屋市立大学で開催します。
《 自由論題報告をご希望の方へ 》
自由論題報告をご希望される方は、下記の要領を明記のうえ、日本移民学会事務局までお申し込みくだ
さい。大会企画委員会にて検討いたします。
●要 領(1)報告者氏名、(2)所属、連絡先、Eメール(3)報告タイトル、
(4)1200字以内の報告要旨 ●申込み締切り 2005年11月30日
[P.11 of 05/07/20]
●申込み先 (Eメール)[email protected]
(郵 送) 〒577-8505 東大阪市御厨栄町4-1-10 大阪商業大学 飯田研究室気付 日本移民学会
■事務局からのお知らせ
●年会費納入のお願い
2005年度分の年会費6,000円を下記郵便振替口座へお振込みください。
加 入 者 名 日本移民学会
郵便振替口座 00960-5-95922
●住所や所属に変更のある方は、下記事務局までご連絡ください
〒577-8505 大阪商業大学 飯田研究室気付 日本移民学会事務局
FAX 06-6781-8438 E-Mail [email protected]
●寄贈図書
渋谷努著『国境を越える名誉と家族̶フランス在住モロッコ移民をめぐる「多現場」民族誌̶』
(東北大学出版会、2005年)
宮島喬・太田晴雄編著『外国人の子どもと日本の教育̶不就学問題と多文化共生の課題』
(東京大学出版会、2005年)
●『移民研究年報』編集委員会からのお知らせ
『移民研究年報』第12号の特集のテーマは、「越境」です。会員からの投稿を募集いたしますので、
2006年4月末日までに、『移民研究年報』第11号の巻末にある投稿規程にしたがって応募してく
ださい。
また、その他の一般投稿も同時に募集いたしますので、ふるってご応募ください。
■日本移民学会第15回年次大会 自由論題報告およびシンポジウム要旨
● 自由論題報告
A会場 司会:白水繁彦・椿真智子
1.山本かほり「在日韓国・朝鮮人の非集住地区での文化運動−名古屋市の事例を中心にして−」
本報告では、まず在日韓国・朝鮮人の集住地域である大阪での民族教育や文化運動の特徴をふまえたう
えで、名古屋市における在日韓国・朝鮮人の文化運動を事例に、非集住地域において在日韓国・朝鮮人
のエスニシティが活性化し表出していくプロセスとそれに関わる諸条件とが考察された。具体的には、
20年間活動を続けるノリパンの成立経緯と活動内容、参加者の動機や活動への思い等が、詳細な聞き取
り調査にもとづき分析された。ノリパンは、在日韓国・朝鮮人二世の親が、子どもに民族への自覚や誇
りをもたせるために始めた活動であり、当初は同胞同士の連帯を維持・強化する機能を
[P.12 of 05/07/20]
はたしていたが、次第に日本人も参加し始め、在日韓国・朝鮮人と日本人とが朝鮮半島の伝統芸能を核
に相互理解を模索する場ともなった。山本氏は、ノリパンが在日韓国・朝鮮人のエスニシティ継承なら
びに「獲得」の場であると同時に、日本人との結合の契機を生み出す場としても機能していると結論づ
けた。明快な報告に対し、会場からは、ノリパンに参加した日本人の属性やエスニシティ活性化に対す
る外発的要因の有無に関する質問、集住地域における多様性についての意見交換が行われた。文化継承
や文化運動集における集住地域と非集住地域との相違や時代性など興味深い論点が提示された。
2.拝野寿美子「在日ブラジル人青少年の「日本での単純労働」観−ブラジル人学校就学者の事例を中
心に−」
本報告は、日本で生活するブラジル人青少年にとっての日本での単純労働の意味を、長時間の聞き取り
調査にもとづき分析し、就学形態と職業選択との関係を考察したものである。調査対象者は、日本にお
ける14 18歳前後のブラジル人学校就学者ならびにその親たちである。ブラジル人青少年にとって日
本での単純労働は、本国あるいは日本での大学進学や自己の夢を実現するための資金獲得などの戦略的
意味をもつことが示された。またそうした認識や就学形態は、本人や家族の価値観や家庭の事情等によ
りかなり多様化していることが明らかとなり、在日ブラジル人第二世代に対するホスト社会の一元的見
方がもつ危険性が指摘された。拝野氏の詳細な報告に対し会場からは、子どもの就学状況と親の学歴や
職業ならびに本国での社会階層との対応関係や、ブラジル人学校の教育方針等に関する質問・意見がだ
された。報告および意見交換をとおして、二世の教育問題が、エスニシティやホスト社会におけるマイ
ノリティの立場や適応過程、移民や出稼ぎ労働のもつ意味・機能などの多くの論点と関わる重要な課題
であることがあらためて認識された。
3.永田貴聖「国境を越えるフィリピン人の実像、80年代から現在まで−聞き取り調査を中心に−」
本報告は、日本において80年代以降増加したフィリピン人女性の「生活世界」を解明しようとする意
欲的研究の成果であり、日常生活においてさまざまな社会的関係をとり結びつつ生活する女性個人の
「生き方」を、参与観察と対話的構築主義アプローチにもとづき考察したものである。報告では、おも
に日本人の父とフィリピン人の母をもち90年代に来日したフィリピン人女性をとりあげ、来日の経緯、
就業状況、フィリピン人同志の人間関係や集まりへの参加、家族との関係などに関する口述内容の分析
が行われた。フィリピン人女性が、第一世代によって形成されたフィリピン人教会や就業先での社会関
係等、日本国籍、フィリピンの言語・文化などの資源を活用しつつ、独自の「生活世界」を形成してい
ることが示された。本事例は、安定した在留資格を有する点で、日本人男性との婚姻により日本人に取
り囲まれて生活するケースとは異なり、また結論として、日本とフィリピンとのトランスボーダーな
「生活世界」が展開していることが指摘された。会場からは、近年政府が受入れを表明した新たなフィ
「生活世界」が展開していることが指摘された。会場からは、近年政府が受入れを表明した新たなフィ
リピン労働者との関係や同国人同士のつきあいのあり方、就業形態、第二世代の定義などについて質問
がだされ、今後のフィリピン人移民の動向をふまえた活発な意見交換が行われた。 参加者
約15名(以上3報告・文責:椿真智子)
B会場 司会:坂口満宏・守屋友江
1.高橋典史「日系移民と日系宗教の関係性の再検討̶ハワイにおける日系諸宗教の布教過程の比較考
察̶」
本報告は宗教社会学の立場から、戦前期のハワイにおける仏教と天理教の布教が展開した過程、本派本
願寺との比較、真言宗の事例紹介、米化運動との関係といった多岐に渡る側面を明らかにしている。本
派本願寺が日本から組織的に聖職者を派遣する形態であったのに対し、天理教は布教者が現地で開設す
る教会を基盤とするが、ハワイで変質を遂げた。また現世利益的教義のために日系コミュニティで偏見
をもたれており、日系社会の宗教的ヒエラルヒーにおいて周縁的存在であったという。組織的変遷以外
の文化変容の事例に関する質問に対しては、天理教は後発であるためほとんど見られな
[P.13 of 05/07/20]
い、またアメリカ化の指標としては宗教法人化、理事会制度、英語伝道があげられると回答があった。
宗教教義のアメリカ化については今後の課題としたいということだが、日本の宗教社会学だけでなくア
メリカ人研究者の業績を取り入れ、日系アメリカ人研究という視点を明確にすることが課題といえよ
う。
2.物部ひろみ「二世のより良き未来のために̶1920年代 1930年代のハワイにおける日系人の帰農
運動̶」
本報告は、戦間期のハワイにおいて日系二世の帰農運動を展開した奥村多喜衛について、その運動の思
想的背景を明らかにしている。従来、二世がプランテーションにとどまるよう奨励したと評価されてい
るが、物部氏は奥村の言説を再検討して二世に自作農となるよう説明したとし、30年代に入って運動が
変質した背景に踏み込んで分析を行った。アメリカ人研究者からの評価に関する質問に対しては、ハワ
イ大学の指導教官から肯定的な意見を得ていること、また奥村の影響で実際に帰農した二世の存在につ
いては、都市部では否定的だったが農村部では肯定的に受け止められたと回答があった。彼のホームス
テッド法理解については、払い下げの資格を持つハワイアンとの通婚を容認していた可能性があり、ま
た資格問題に言及せず運動を展開したと回答があったが、ハオレ社会に人脈のある奥村があえて言及し
なかったことについて、より詳細な説明が必要であろう。配布レジュメに一次史料を出典つきで示して
もらうと説得的であったと思われる。
参加者・約15名(以上2報告・文責:守屋友江)
3.河原典史「第二次大戦以前のカナダ西岸における日系造船業の展開̶日系漁業とのかかわりをめ
ぐって̶」
これまでのカナダ日系漁業研究といえば、スティーブストンにおける和歌山県三尾村出身者のサケ漁と
缶詰工場に関するものが常であった。河原報告はこうした研究状況を再検討すべく、スティーブストン
からさらに北西部奥地へと二次移住していった人物、しかも漁労ではなく動力船建造に従事していった
人物Sのライフヒストリーを掘り起こしていく。造船技術が高く評価されたSは、1939年、スティーブ
ストンで日本人として初めてキャナリーから独立した造船所を開業するが、それ以降同所での日系造船
業者は和歌山県西・南牟婁出身者が多くなるという。このことは三尾を中心とする日高郡出身者の多く
がキャナリーに従事していたことと顕著に異なるもので、大字レベルでの比較を可能とすることが明ら
かにされた。
4.武田尚子「移民経験者と家族のライフコース̶地域社会へのインパクト̶」
武田報告は、戦前期に移民を送出したことが戦後の地域社会にどのような影響を与えるのかという課題
武田報告は、戦前期に移民を送出したことが戦後の地域社会にどのような影響を与えるのかという課題
設定のもと、広島県沼隈郡田島村町部落を事例に詳細な分析を加えたものである。戦前期マニラに渡航
したものの多くは、移住地でも漁業に従事したが、このことはその一方で地元町部落での漁業関係の権
利から離脱することを意味した。そのため移民経験者が、戦後、地元にもどったとしても第一次産業で
ある漁業に復帰することはなく、島外の第二次産業へ出て行った。こうした傾向は移民次世代のキャリ
ア形成にも影響を与えることになり、次世代はすでに形成されていた他出ルートを活用して島外へと流
出し、地元に形成されつつあった第二次産業に積極的に参入することはなかったという。地域社会研究
に「移民」という観点を取りこむことで、空間的にも時間的にもダイナミックな地域社会分析が可能と
なることを明示する報告であった。 (以上2報告・文責:坂口満宏)
C会場 司会:島田法子・高木(北山)眞理子
C会場では4人の報告者がほぼ与えられた時間通りに報告をし、その後活発な質疑応答が行われた。以
下、4人の報告者に各自の報告概要をまとめてもらった。
1. 門池啓史「日本軍兵士になった日系アメリカ人のアイデンティティ」 [P.14 of 05/07/20]
帰米二世に関する研究はあまり多くはない。とりわけ太平洋戦争中日本に滞在していた二世の実態はほ
とんど明らかにされていない。その中でも二重国籍等により日本軍に徴兵された人々は母国アメリカに
銃を向けることになり、彼らのアイデンティティは揺らいだであろうと推測される。また、帰米二世に
は様々なパターンがあり、一般的に言われている帰米二世の概念で全体を論じることは困難である。
報告者は、29人の元日本軍日系兵士の方々に個別聞き取りを実行し、ライフヒストリーを聞きながら
様々な質問事項にお答え頂いた。聞き取りからは、戦争に翻弄された二世たちの声が聞こえてはきた
が、アイデンティティが揺らいだような語りはあまり聞かれなかった。それは日米戦争、二重国籍、徴
兵とすべて彼らの選択したことではなく、戦争という究極の非常時では悩む余裕すらなかったからだと
推測される。あらためて戦争というものの過酷さ、重さを認識させられた。
本報告にはいくつもの質問が寄せられた。リドレス以前と以後の聞き取り調査で聞くことができる内
容の違いや、インタビューの質問の仕方(心の奥深くを語ってもらうためにどうするべきか)、また、
日本に単独で帰国(来日)していた二世と、家族とともに暮らしていた二世の違いなどが取り上げられ
た。
2. 権藤千恵「記憶を記録する試み−ハワイ日系人強制収容所の調査・展示を通じて−」 本報告では、2004年夏にホノルルにあるハワイ日本文化センターにおいて開催された企画展
Dark Clouds Over Paradise: Hawaii Internees Story(『楽園を覆う暗雲−ハワイ・インターニー
物語』) について(1)企画展の目的、(2)企画展の概要、(3)歴史資料・オーラルヒストリーの展示・
デジタルアーカイブのための研究フレームワーク、(4)今後の活動と課題、を紹介した。さらに、質疑
応答の場では、現在の日系ハワイ社会において「収容所体験」を語ること、展示を行うことの意義や、
ハワイにおける強制収容所、戦争体験に関する調査研究の意義とその課題、アメリカ本土との文化的・
歴史的な比較考察の必要性、デジタル化の必要性に関して、参加者とともに議論を深めた。
3. 岡野宣勝「『琉球系アメリカ人』の創出と消滅̶米国の沖縄統合戦略におけるハワイ沖縄移民の役
割」 本報告のねらいは、かつて日系移民の一員として来布したオキナワンが、現代ハワイにおいてはジャパ
ニーズとは異なる独自のエスニック集団としてのアイデンティティと社会的地位を形成しつつある点に
着目し、その様な社会的カテゴリーとしての実体化・顕在化が進行するに至ったきっかけを米国の沖縄
占領統治との関わりの中に見出すことにある。沖縄における反米感情や日本復帰論を押さえ込み、米琉
占領統治との関わりの中に見出すことにある。沖縄における反米感情や日本復帰論を押さえ込み、米琉
間の関係改善を実現するための媒介者としてハワイ・オキナワンを発掘した米軍部は、ハワイ−沖縄間
の大規模な交流プログラムを進める中で、オキナワンをジャパニーズとは民族的・文化的に異なる「琉
球系アメリカ人」と位置づけるプロパガンダを展開する。この試みは沖縄の「祖国復帰」とともに挫折
するものの、沖縄の民族的・文化的固有性を主張する歴史認識はその後もオキナワンにより継承され、
後の「エスニック集団」化の基礎となるのである。米国の沖縄占領統治政策や、「琉球系アメリカ人」
の創出という興味深い現象について、多面的な質問が寄せられた。
4. 日野壽憲「英国における反イスラム感情の歴史的展開」 本報告では、日本人には不案内な英国イスラム事情を紹介させていただいた。英国社会の実像を把握
するうえで、同国内の有色住民の動向は今や不可欠の知識だからだ。人種関係を懸念するエリザベス女
王のメッセージ紹介に始まり、反イスラム感情がもたらす人種的軋轢が「人種・宗教間の分離」という
不幸な状況を促進しているとはいえ、共生に努めつつ多様性を活かす姿勢の大切さを大方の英国市民は
理解しており、今後共生の方向に進むであろうし、また是非そうであって欲しいと結んだ私の報告に対
し、参加者の方々は熱心に耳を傾けられた。質問では、私の発表により英国の人種事情がすっきりと整
理できたとする暖かい励ましを頂戴したうえで、多文化主義に対する英政党の姿勢及び極右の動向につ
いての質問をいただいた。今後この分野での研究・啓蒙を進める意義を深く考えさせられた貴重な体験
であった。
[P.15 of 05/07/20]
● 大会シンポジウム 「戦争と移民:9・11と真珠湾」
司会・コーディネーター:村川庸子・森本豊富
コメンテーター:山本剛郎・戸上宗賢
今回のシンポジウムのテーマ「戦争と移民:9・11テロと真珠湾」は、昨年度の大会シンポジウムの
テーマ「グローバリゼーションと移民」を継承する形で設定された。
2001年9月11日の同時多発テロ前後から、米国では「自由か国内の治安維持か」という議論が再燃し
ている。このテロにより、他国に勝る軍事力が米国本土を攻撃から守るという抑止理論が脆くも崩れ去
り、国内の混乱と治安維持への不安が、今回はアラブ、イスラム系移民や外国人に向けられている。一
般市民による肉体的・精神的ハラスメントばかりでなく、彼らの自由や権利を制限する様々な立法措置
がとられてきた。このような状況を日米戦争中の日本人・日系アメリカ人の強制立退き・収容政策と重
ね合わせ、「歴史のアナロジー」だとする議論が既に数多く出されているが、一方で我々はこれが単な
る類似ではなく、国家的な危機に際して外国人や市民の中の外国人性が危険視されるという「移民の
国」の「慣行」であることにも気づかされる。移民の国アメリカでは、いかなる国や地域との紛争・対
立に際しても、「外」の敵とエスニシティを共有する人々を「内」に抱え込むことになる。外」の敵に
相対している間に、「内」なる敵に寝首をかかれることになるのではないかという不安に脅かされる。
しかも、冷戦期から「ポスト冷戦後」へグローバル化が加速化される中で、宗教、民族、政治体制、経
済格差など対立の火種はますます顕在化、複雑化し、人々の不安は益々増幅されているのである。
このような問題意識に立って、今回の企画では、これまで、人種差別のディスコースによって特殊な事
例として語られることの多かった第二次大戦中の日本人・日系アメリカ人の経験を、「国家的危機」に
おける米国の移民・外国人への処遇という、歴史の中のもう一つの文脈の中に置き替えることを試み
た。
シンポジウムではまず、第一報告に替えて星野利奈氏のビデオ Caught in Between: What to Call
Home in Times of War (邦題 『コート・イン・ビトウィーン:「故郷(くに)」を失った人々の物
語』、2004年)を上映し、その後に、第二報告の岡田皓一氏(明星大学)「アメリカの人身保護令の
特権剥奪と市民の自由」、第三報告の山倉明弘氏(天理大学)「歴史の教訓は生かせるか?─日系人戦
時抑留研究の視点から─」を配置した。星野氏はサンフランシスコ在住で、日本人の父と台湾人の母を
持ち、幼い頃からフランス・日本・アメリカで生活している。カーネギー・メロン大学で絵画・彫刻を
学び、93年からビデオ製作を開始し、その作品はイギリス、フィンランド、ポルトガル、スペイン等、
学び、93年からビデオ製作を開始し、その作品はイギリス、フィンランド、ポルトガル、スペイン等、
世界各地のフィルムフェスティバルで上映され、入賞作品も多く、注目されている。サンフランシスコ
で活動する日系団体Nisei Networkの主要メンバーでもある。岡田氏は移民研究者ではないが、今回の
テーマである、アメリカの「危機」における人身保護令の停止と市民の自由の緊張関係の歴史を政治学
の立場から研究されており、2004年に『非常事態とアメリカ民主政治』(北樹出版)を公刊されてい
る。山倉氏(天理大学)は永年、日本人・日系人の戦時抑留政策をナショナリズムの視点から、しかも
ハワイと本土、日本人とその他の敵性外国人(ドイツ・イタリア人)、更にはラテンアメリカ在住敵性
外国人の抑留まで視野に入れた、幅広い実証的な研究を続けてこられた。二本の報告の後、山本剛郎
(関西学院大学)、戸上宗賢(龍谷大学名誉教授)両氏からのコメントをいただいた。司会は森本豊富
(早稲田大学)、村川庸子(敬愛大学)で担当した。以下、報告の概要をまとめておきたい。
まず星野氏の作品であるが、テロ直後、米国内在住のアラブ系、イスラム系住民に対する迫害が続く中
で、彼らを支援すべくいち早く行動を起こした在米日系コミュニティの動きを追ったものである。テロ
の翌日、9月12日には全米日系市民協会が国内のアラブ系住民に対する寛容を訴えるアピールを行った
ことは日米両国で直ちに報道された。同年12月初旬に連邦司法長官ジョン・アッシュクロフトがテロと
の関係が疑われる人々の拘留政策の継続を発表した際にも、該当者の氏名の公開を拒否する司法長官の
秘密主義に抗議を行なっている。60余年前の自らの経験を髣髴とさせる事態に接しての已むにやまれぬ
思い、今後の進展に対する強い危機感の顕れであっ
[P.16 of 05/07/20]
たと想像される。ビデオでは日系とイスラム系アメリカ人が共に第二次大戦中の日系人強制収容所を再
訪し、当時の経験の語りの中に両者の共通点を見出していく過程が追われている。過去の経験を踏ま
え、アメリカ「民主主義」の矛盾を直視し、自由と人権を求めて毅然と闘おうとする人々の姿を描いた
秀作である。
第二報告では、米国の「危機」における人身保護令の特権剥奪が南北戦争の時代から現代に至るまでど
のような形で実施され、制度化されてきたかが詳細に検討された。アメリカ合衆国においては、通常、
個人は、裁判所による司法上の手続を経ることなく監禁されることのないよう、「人身保護令または人
身保護令状(Habeas Corpus or Writ of Habeas Corpus)」によりその自由を擁護されている。但し、
この特権は、国内の内乱や外敵からの侵略などに対する国内の治安維持という観点から国家がその剥奪
の必要性を認めるときには、それを剥奪される(合衆国憲法第1条第9項の2)、とされている。即ち個
人の自由が制限されることになる。人身保護律の停止は戒厳令の施行を条件としており、現在は大統
領、議会の両方にその権利があるとされているが、南北戦争時には大統領は議会を招集しないままこの
権限を行使し、後に裁判所が大統領のこの権限を認める判決を下している(EX PARTE
VALLANDIGHAM, 68 U.S. 243 (1863))が、第一次大戦時の市民の自由の制限に関しては、更に、立
法府が行政府に立法権を委任する形で行なわれた。
時間の制約で、第二次大戦後や9・11後については詳細に議論されることはなかったが、危機における
人身保護令の停止というこの問題に関する限り行政権が立法権や司法権に優越的であるという印象が歴
史的に裏づけられたように思われる。
第三報告では9.11後にしばしば展開される、真珠湾と9.11のアナロジーの政治性、問題性が詳細に検
討された。この二つの歴史的な事件はどちらも人々の生活史に関わり、「日付による記憶」がなされる
大事件であるが、安易なアナロジーはそれぞれの歴史的文脈を不可視化させ、また二つの事件の衝撃が
共振しつつ、「卑劣な敵に対する正義の側の報復」というイメージを増幅させ、結果として敵か味方
か、善か悪かという単純な二者択一的な議論につながっていると指摘される。
ブッシュ政権は、9.11テロを「前例のない危機」と位置づけ、テロを「戦争行為」と定義し、これに対
する対策は、国内外共に超法規的なものにならざるを得ないと宣言した。これに従って、国際社会にお
いては同盟国や世界の世論を無視した単独行動、国内においては憲法の保証する市民的自由を脅かす政
策を強力に推進している。米国の伝統的外交から逸脱し、また民主主義の伝統を根底から危うくすると
いう批判もほぼ無視する形になっている。ともかくも今回のテロを理由にブッシュ政権が掌握した権限
は、従来の政権よりも遥かに大きく、しかも特定の国家を敵としない今回の「非常事態」には終わりが
は、従来の政権よりも遥かに大きく、しかも特定の国家を敵としない今回の「非常事態」には終わりが
見えない。
現在、市民を含むアラブ系、イスラム系の人々がイラクやガンタナモ基地で拘留されているというが、
第二次大戦中にも西海岸の日系人ばかりでなく、在米のドイツ人、イタリア人やラテンアメリカ諸国の
ドイツ人、イタリア人、ペルーなどラテンアメリカ諸国在住の日系人などが多数合衆国内で抑留され
た。これらの政策と9.11後のブッシュ政権の国内の治安維持対策を比較しつつ、我々の多くがこれまで
関心を寄せてきた第二次大戦中の日本人・日系アメリカ人の歴史の教訓を今後活かすことができるのか
が検討された。「前例のない」事態に超法規的な措置で対処するという議論は正しいか、「安全対人
権」という二元論で実際にはマイノリティを犠牲にして「安全」を確保しようとする議論は正しいの
か、そして「我々対彼等」という二元論は正しいのか。刺激的な問題提起であった。
これらの報告に対し山本氏からはご自身の調査のフィールドであるカリフォルニア州コルテスの日系コ
ミュニティが自らの強制収容に対しては徒に反対するのでなく、寧ろ「起こるかも知れないこと」に備
えるという対応を選択したことと比較し、上映されたビデオに見られるような現在の日系コミュニティ
の活動が「起こるかも知れないこと」に立ち向かう方向に変化したこと、そこにリドレスの影響がある
ことを指摘する。また戸上氏は、一方は子供の頃に遭遇し、他方は現在進行中の生々しい状況を目撃し
つつあるこの二つの事件に対する感慨を述べられ、多年日本人移民の歴史研究に携わってきた立場から
現段階で我々が何かを語っておくことの意義について述べられた。最後に紹介されたリービ秀雄氏の近
著『千々にくだけて』のエピソードが印象的
[P.17 of 05/07/20]
であった。 (文責 村川庸子)
■2004年度ワークショップ報告■
去る2005年3月26日27日の両日にわたって「日本移民学会2004ワークショップ;日本帝国をめぐる
人口移動(移民)の諸相・研究序説」が京都大学において開催されました。参加者は、山本会長、飯田
事務局長をはじめ学会内外から幅広い参加が見られ60名を越える盛会となりました。本ワークショップ
は、企画段階では5本程度の報告とミニシンポジウムを構想しておりましたが、報告者を公募で募集し
ましたところ14名という多数の報告者がありどれも興味深いものでしたので、5つのセッションを設け
て2日間にわたるワークショップを企画し、いわば「日本帝国をめぐる人口移動(移民)」のミニ学会
を呈しました。ワークショップの概要は以下のようです(以下敬称略)。
第1セッション(司会:木村健二)では、小都晶子(大阪外国語大学大学院)が20世紀前半中国東北
における「開発」と満洲移民について、上田貴子(日本学術振興会特別研究員)が「満洲」における漢
民族の移民について、猪股祐介(東京大学大学院)が戦後引揚者と「満洲」の記憶について、最後に、
福本拓(京都大学大学院)が占領期における「不法入国」朝鮮人への法制度の変遷について報告しまし
た。
第2セッション(司会:竹沢泰子)では、竹野学(北海道大学)が戦前期樺太における商工業者の活動
を樺太農業開拓との関係で、田村将人(千葉大学大学院)がサハリン先住民、とくに樺太アイヌの「引
揚げ」要因について、最後に、阿部安成(滋賀大学)が彦根高商の修学旅行という経験についてそれぞ
れ報告しました。
翌日の第3セッション(司会:杉原達)では、松田ヒロ子(オーストラリア国立大学大学院)が、
1920-30年代の沖縄県八重山地方から植民地下台湾への出稼ぎ・移民について、高嶋朋子(大阪外国
語大学大学院)が草創期の『台湾教育会雑誌』に見る「在台内地人」教育をめぐる言説について、鐘淑
語大学大学院)が草創期の『台湾教育会雑誌』に見る「在台内地人」教育をめぐる言説について、鐘淑
敏(台湾中央研究院)が日期台湾人の人口移動について、最後に野入直美(琉球大学)が沖縄と台湾間
の双方向的な移動について報告しました。
第4セッション(司会:小島勝)では、武田尚子(武蔵大学)がマニラ湾における日本人漁業者と移民
送出母村について、湯山英子(北海道大学大学院)が仏領インドシナにおける邦商「雑貨輸入商」「漆
輸出商」の役割について、そして大野俊(オーストラリア国立大学)が『ダバオ国』の形成と崩壊、そ
して残された人々について報告しました。
第5セッション(司会:蘭信三)では、木村健二と坂本悠一(九州国際大学)とが総括コメントを行な
い、様々な重要な点が指摘され、総括的討論が展開されました。
従来、日本帝国の各地域への人口移動(移民)については個々の事例研究はかなりありましたが、本
ワークショップで一堂に会したことによって、個々の事例がじつは日本帝国における全体的な人口移動
(移民)と関連していることが改めて認識されたことは、参加者に少なからずインパクトを与えまし
た。興奮冷めやらず、閉会後も20名ほどの人たちが二次会に集まり、引き続きインフォーマルな総括
討論が闘わされました。
なお、本ワークショップの成果は、報告書として8月刊行を目指して鋭意努力しております。予算
[P.18 of 05/07/20]
の都合上刊行部数は限られておりますので、報告者・参加者を優先して配布いたします。希望者には郵
送料負担でお送りいたしますので、ご希望の方は以下のワークショップ事務局までお問い合わせ下さ
い。 (文責:京都大学・蘭信三)
〒606-8501京都大学国際交流センター
日本移民学会2004ワークショップ係(蘭気付)
E-mail:[email protected]
■ 掲示板
マイグレーション研究会 旧関西移民研究会は、2005年度より名称を「マイグレーション研究会」と改め、以下のように活動を
始めています。関西在住に限らず、広く移民研究者各位のご参加を募ります。
1. 研究会: 原則として、各回2名(文献紹介1名、研究発表1名)の発表を行います。
第1回 5月7日 於立命館大学
第2回 7月2日 於関西学院大学
第3回 10月1日 於大阪商業大学
第4回 12月3日 於大阪商業大学
第5回 3月4日 於愛媛大学
2. 会費: 年間500円の会費をご負担いただきます。
3. 研究報告集: 研究発表者2000字、文献紹介者1500字程度に発表内容をまとめたものを、年度
末に研究報告集『マイグレーション・スタディーズ』に編纂し、会員にE-mail配布します。
4. 問合せ先: 愛媛大学法文学部 中原ゆかり(マイグレーション研究会庶務連絡担当)
TEL: 089-927-9362 E-mail: [email protected]
以上
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